以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、薬剤供給装置101の外観を示す斜視図である。図1に示すように、薬剤供給装置101は、薬剤供給装置101の外郭を構成する筐体102を備えている。筐体102は、上部筐体103と、下部筐体104とを有している。上部筐体103には、複数の薬剤容器からそれぞれの薬剤を排出する薬剤収納払出装置が収納されている。下部筐体104には、薬剤を包材内に包装する包装装置が収納されている。
上部筐体103の前面には、扉105a,105bが取り付けられている。扉105aは取っ手106aを有し、扉105bは取っ手106bを有している。薬剤供給装置101を使用するユーザは、取っ手106aを持って扉105aを開閉することができ、取っ手106bを持って扉105bを開閉することができる。上部筐体103の前面には、操作部107が設けられている。操作部107は、タッチパネル機能を有するディスプレイを備えるものであってもよく、操作盤に物理的なボタンを備えるものであってもよい。
下部筐体104の前面には、扉108,109が設けられている。扉108,109は開閉可能に構成されている。薬剤供給装置101を使用するユーザは、扉108,109を開けて、薬剤が内部に収容された包装物を、下部筐体104の内部から取り出すことができる。扉108,109には、開口が形成されてもよく、この開口から、薬剤が内部に収容された包装物を取り出すことができるように構成してもよい。
図2は、実施形態に係る包装装置1の概略構成図である。包装装置1は、包装対象物を包装するために用いられる。包装対象物は、薬剤であり、具体的には固形の薬剤である。固形の薬剤としては、錠剤、丸剤およびカプセル剤などが挙げられる。固形の薬剤としては、散剤および顆粒剤であってもよい。包装対象物は、固形の薬剤に限られない。包装対象物は、半固形の薬剤であってもよく、または、液状の薬剤であってもよい。
包装装置1は、処方箋に基づいて薬剤を包装するための薬剤包装装置である。処方箋は、医師が患者に交付するものである。処方箋には、患者情報および薬剤情報が記載されている。患者情報は、患者の氏名および年齢を含む。薬剤情報は、薬名、分量、用法および用量を含む。このような処方箋に基づいて薬剤を1回の服用分ずつ包装するために、包装装置1が用いられる。
包装装置1は、包材搬送部8を備えている。包材搬送部8は、包材2に駆動力を作用し、包材2を搬送する。包材2は、長尺シート状である。包材2は、この包材2の長手方向に搬送される。包材2は、巻回体3から巻き出される。巻回体3は、包材2がロール状に巻回されたものである。図2中の矢印は、包材2の搬送方向DRを示す。以下、包材2の搬送方向DRを単に「搬送方向DR」という。
包装装置1は、印刷部4と、供給部5と、収容部形成部6と、をさらに備えている。搬送方向DRの上流(巻回体3に近い側)から下流(巻回体3から離れる側)に向けて、印刷部4、供給部5、収容部形成部6の順に並んでいる。印刷部4は、包材搬送部8によって搬送される包材2に、所定の情報を印刷する。所定の情報は、薬剤に関連する情報である。供給部5は、包材搬送部8によって搬送される包材2に、薬剤を供給する。薬剤は、処方箋に基づいて1回の服用分ずつ供給される。収容部形成部6は、包材搬送部8によって搬送される包材2を用いて、収容部を形成する。収容部には、薬剤が収容される。収容部形成部6は、供給部5から薬剤が供給された後に、包材2を熱融着して、薬剤が内部に収容された包装物を形成する。
包装装置1は、ミシン目形成部7をさらに備えている。ミシン目形成部7は、収容部形成部6に設けられている。ミシン目形成部7は、包材搬送部8によって搬送される包材2に、搬送方向DRに直交する方向に延びるミシン目を形成する。ミシン目は、複数の細孔が包材2の短手方向に連続して並んだものである。
このような包装装置1では、収容部形成部6とミシン目形成部7と包材搬送部8とによって、包装部9が構成されている。包装部9において、巻回体3から巻き出された包材2を用いて、包装対象物である薬剤が順次包装される。
図3は、包装装置1の概略斜視図である。包装装置1は、包材供給部10と、方向転換バー11と、切断部12と、排出部13と、フレーム15とをさらに備えている。上述した供給部5、収容部形成部6および包材搬送部8を含む、包装装置1を構成する各機器類は、フレーム15に取り付けられている。包装装置1は、フレーム15の厚み方向に、筐体102(図1)に対して往復移動可能に構成されている。包装装置1は、下部筐体104(図1)に対して前後方向に移動可能であり、下部筐体104内に収納されている収納位置から前方へ引き出され得るように構成されている。
包材供給部10は、略箱状のケーシング20と、図2に示す巻回体3が装着される被装着部21とを有している。被装着部21は、巻回体3を支持する。巻回体3は、被装着部21に対して相対回転不能に、被装着部21に取り付けられる。ケーシング20は、平面状の外表面20aを有している。外表面20aは、箱状のケーシング20の一部表面を構成している。被装着部21は、ケーシング20の外表面20aから突出し、外表面20aに対して略垂直に延びている。
ケーシング20の外表面20aには、案内孔22が形成されている。案内孔22は、緩やかに湾曲して延びている。案内孔22の延びる方向に沿って移動可能に、ダンサーローラ23が設けられている。外表面20aには、固定ローラ24,25が取り付けられている。ダンサーローラ23と固定ローラ24,25とは、ケーシング20の外表面20aから突出し、外表面20aに対して略垂直に延びている。ダンサーローラ23と固定ローラ24,25とは、互いに平行に延びている。包材供給部10のその他の構成については後述する。
巻回体3から巻き出される包材2は、固定ローラ24、ダンサーローラ23、および固定ローラ25に、この順に巻き掛けられる。包材2はさらに、方向転換バー11に巻き掛けられる。方向転換バー11は、包材2の搬送方向DRを変更して、包材2を供給部5へ向く方向へ移動させる。包材2はさらに、供給部5を経由して、包装部9(図2)に巻き掛けられる。
供給部5が薬剤を包材2に供給する薬剤供給位置では、包材2が、この包材2の短手方向の中心線に沿って二つ折りされている。供給部5は、ホッパ151を有している。ホッパ151は、上部筐体103(図1)内に収納された薬剤収納払出装置から払い出された薬剤を、包材2に導く。ホッパ151の先端は、二つ折りされた包材2の内側に入り込むように配置されている。薬剤は、ホッパ151によって導かれることで、二つ折りされた包材2の内側に入る。
切断部12は、包装部9を構成している収容部形成部6および包材搬送部8よりも搬送方向DRの下流に、設けられている。切断部12は、薬剤が内部に収容された包材2を切断する。排出部13は、切断部12よりも搬送方向DRの下流に、設けられている。排出部13は、切断部12によって切断された包材2を搬送するための駆動力を発生して、包材2を外部に排出する。以下、巻回体3から巻き出されて排出部13にまで搬送される包材2が通る経路を、「搬送経路」という。
図4は、包材供給部10の正面図である。図4には、図3に示す矢印IV方向から見た包材供給部10が図示されている。ダンサーローラ23は、ケーシング20に形成された案内孔22に沿って、ケーシング20に対して相対移動する。ダンサーローラ23は、包材2の搬送経路に交差する方向に変位可能に構成されている。
包材供給部10は、ダンサーローラ23の位置を検出する位置検出部を含んでいる。この位置検出部は、定位置センサ28を有している。定位置センサ28は、磁気センサである。ダンサーローラ23が取り付けられている後述するメインアームに、磁石が取り付けられている。図4の紙面垂直方向においてダンサーローラ23が定位置センサ28と重なる位置を、定位置と称する。定位置は、搬送経路上にある。定位置センサ28は、ダンサーローラ23が定位置にあるとき、磁力を検出してオン状態になる。ダンサーローラ23が定位置から離れると、定位置センサ28はオンからオフに切り換わる。これにより定位置センサ28は、ダンサーローラ23が定位置にあるか否かを検出する。
包材供給部10は、ロック解除部26を有している。上記のメインアームは、後述するロック部によってロックされる。ロック解除部26を手動で操作することにより、ロック部によるメインアームのロックが解除される。
図5は、包材供給部10の背面を見た斜視図である。図6は、包材供給部10の背面図である。図6には、図3に示す矢印VI方向から見た包材供給部10が図示されている。ダンサーローラ23の位置を検出する位置検出部は、上述した定位置センサ28の他に、限界位置センサ27と、退避位置センサ29とを有している。限界位置センサ27、定位置センサ28および退避位置センサ29は、センサ支持部30によって支持されている。センサ支持部30は、ケーシング20の天井部に固定されている。
図4においてダンサーローラ23が配置されている位置を、限界位置と称する。限界位置は、案内孔22の一方端にある。案内孔22の他方端の位置を、退避位置と称する。限界位置センサ27および退避位置センサ29は、磁気センサである。限界位置および退避位置は、搬送経路から外れている。限界位置は、定位置よりも搬送経路から離れている。
限界位置センサ27は、ダンサーローラ23が限界位置にあるとき、磁力を検出してオン状態になる。ダンサーローラ23が限界位置から離れると、限界位置センサ27はオンからオフに切り換わる。これにより限界位置センサ27は、ダンサーローラ23が限界位置にあるか否かを検出する。退避位置センサ29は、ダンサーローラ23が退避位置にあるとき、磁力を検出してオン状態になる。ダンサーローラ23が退避位置から離れると、退避位置センサ29はオンからオフに切り換わる。これにより退避位置センサ29は、ダンサーローラ23が退避位置にあるか否かを検出する。
包材供給部10は、巻出巻取モータ35を有している。本実施の形態の巻出巻取モータ35は、ステッピングモータである。巻出巻取モータ35は、ケーシング20に支持されている。巻出巻取モータ35は、被装着部21を回転させて、巻回体3から包材2を巻き出す、または包材2を巻回体3へ巻き取るための、回転駆動力を発生する。巻出巻取モータ35の発生する駆動力は、中間ギヤ72、中間ピニオンギヤ73、ローラギヤ74を経由して、被装着部21に伝達される。中間ギヤ72と中間ピニオンギヤ73とは、中間ギヤ軸75を中心に、一体として回転可能に固定されている。
包材供給部10は、メインアーム40と、サブアーム50と、ギヤ位置決めプレート55とを有している。メインアーム40は、第一腕部41、第二腕部42および屈曲部43を有している。図6に示す第一腕部41および第二腕部42は、それぞれ略直線状の形状を有している。第一腕部41、第二腕部42および屈曲部43は、一体として回転可能に、互いに固定されている。メインアーム40は、屈曲部43において屈曲された、略L字状の形状を有している。
第一腕部41は、先端と基端とを有している。第一腕部41の先端に、上述したダンサーローラ23が固定されている。第一腕部41は、その基端において、屈曲部43とつながっている。第二腕部42は、先端と基端とを有している。第二腕部42の基端に、ギヤ位置決めプレート55が固定されている。第二腕部42は、その先端において、屈曲部43とつながっている。屈曲部43には、ロックピン47が固定されている。メインアーム40は、アーム回転軸44を回転中心として、回転可能に構成されている。メインアーム40は、アーム回転軸44を介して、ケーシング20に支持されている。
サブアーム50は、基端部51と、先端部52とを有している。基端部51は、メインアーム40の屈曲部43から第二腕部42に亘ってメインアーム40の表面に面接触し、ボルトなどの固定部材を複数用いてメインアーム40に固定されている。これによりサブアーム50は、メインアーム40と一体に回転可能に構成されている。サブアーム50の先端部52には、円筒部53が取り付けられている。
サブアーム50をメインアーム40に固定する複数の固定部材のうちの一つは、ばね掛け部45を構成している。センサ支持部30にも、ばね掛け部31が設けられている。センサ支持部30に取り付けられたボルトにより、ばね掛け部31が構成されている。ばね掛け部31に、復帰ばね46の一端が係合し、ばね掛け部45に、復帰ばね46の他端が係合している。復帰ばね46は、たとえばコイルばねである。
ギヤ位置決めプレート55は、メインアーム40の第二腕部42の基端に、ボルトなどの固定部材56を複数用いて、固定されている。ギヤ位置決めプレート55には、切欠き59が形成されている。ギヤ位置決めプレート55は、第一部分57と第二部分58とを有している。第一部分57と第二部分58とは、切欠き59によって隔てられている。第二部分58の縁部の一部は、円弧縁58aを形成している。円弧縁58aは、アーム回転軸44を中心とする円弧の形状を有している。
円弧縁58aに当接して、円筒部65が設けられている。円筒部65は、ギヤアームの第2部分63の先端部に取り付けられている。ギヤアームの第3部分64の先端部は、中間ギヤ軸75と、ベアリングを介して係合している。第3部分64には、ばね掛け部66が形成されている。図示しない復帰ばねの一端がばね掛け部38に係合し、他端がばね掛け部66に係合している。
円筒部65の外周面は、円弧縁58aに対して摺動可能である。円筒部65はまた、切欠き59内に移動可能である。円筒部65の外周面が円弧縁58aに当接することにより中間ギヤ72および中間ピニオンギヤ73が位置決めされ、また円筒部65が切欠き59内へ移動することにより中間ギヤ72および中間ピニオンギヤ73がその位置を変化するように構成されている。
包材供給部10は、ロック部78をさらに備えている。ロック部78は、ロック部材79を有している。ロック部材79は、一方側(図6中の左側)の端部に、傾斜部80と、係合部81とを有している。ロック部材79は、他方側(図6中の右側)の端部に、連結片を有している。ロック部材79はまた、突起部82を有している。
ロック部材79は、保持部材84によって保持されている。保持部材84は、ケーシング20に固定されている。保持部材84は、ロック部材79を、その延在方向(図6中の左右方向)にスライド移動可能に保持している。保持部材84は、突起部を有している。ロック部材79の突起部82と、保持部材84の突起部とは、その先端部が互いに向き合うように配置されている。ロック部材79の突起部82と保持部材84の突起部とに亘って、スプリング86が設けられている。突起部82は、スプリング86の一方端(図6中に示すスプリング86の左端)を支持している。保持部材84の突起部は、スプリング86の他方端(図6中に示すスプリング86の右端)を支持している。
ロック部78はまた、リニアソレノイドアクチュエータ87を有している。リニアソレノイドアクチュエータ87は、図示しない保持部材によって、ケーシング20に固定されている。リニアソレノイドアクチュエータ87は、本体部と、本体部から突出するステム88とを有している。ステム88は、ロック部材79の連結片に連結されている。
ロック部78は、メインアーム40に取り付けられたロックピン47と係合することにより、メインアーム40をロックするように構成されている。
包装装置1は、スプリングヒンジ90を有している。スプリングヒンジ90は、第1ヒンジプレート91と、第2ヒンジプレート92と、ヒンジ軸93と、トーションスプリング94とを有している。第1ヒンジプレート91と第2ヒンジプレート92とは、ヒンジ軸93を介して連結されている。
第1ヒンジプレート91は、下部筐体104に固定されており、移動不能である。第2ヒンジプレート92は、ヒンジ軸93を回転中心として、第1ヒンジプレート91に対して相対移動可能である。第2ヒンジプレート92は、その上端が相対的に前方(図中の右方向)にありその下端が相対的に後方(図中の左方向)にあるように、上下方向に対して傾斜して配置されている。
トーションスプリング94は、ヒンジ軸93の周りに巻回されたコイル部と、コイル部から突き出る一対のアーム部とを有している。一対のアーム部のうちの一方は、第1ヒンジプレート91に当接している。一対のアーム部のうちの他方は、第2ヒンジプレート92に当接している。
トーションスプリング94は、第1ヒンジプレート91と第2ヒンジプレート92との間に弾性反発力を作用させ、ヒンジ軸93を回転中心として第2ヒンジプレート92が第1ヒンジプレート91から離れる方向に、第2ヒンジプレート92を付勢している。トーションスプリング94の付勢力および重力以外の外力がスプリングヒンジ90に作用しない状態で、第1ヒンジプレート91と第2ヒンジプレート92とは、略直交して延びている。ヒンジ軸93の軸方向に見て、第1ヒンジプレート91と第2ヒンジプレート92とは、L字状の形状に配置されている。
包材供給部10は、スプリングヒンジ90に対して、筐体102の前後方向(図6中の左右方向)に相対移動可能である。図6に示す配置では、サブアーム50の円筒部53は、第2ヒンジプレート92から離れており、円筒部53と第2ヒンジプレート92とは非接触の状態である。円筒部53は、スプリングヒンジ90の第2ヒンジプレート92に対して摺動し、これによりサブアーム50およびメインアーム40をアーム回転軸44回りに回動させるように構成されている。
図7は、ダンサーローラ23が定位置にあるときの包材供給部10の正面図である。図7に示すダンサーローラ23は、図4と比較して、案内孔22に沿って図中の右方向へ移動している。図7に示すダンサーローラ23は、限界位置から離れて、定位置に位置している。ダンサーローラ23が、図4に示す限界位置から離れているため、図7では限界位置センサ27が図示されている。一方、図7では、ダンサーローラ23が定位置にあるため、定位置センサ28にダンサーローラ23が重なっており、定位置センサ28は図示されていない。
図7には図示しない巻回体3から巻き出される包材2は、上述した通り、固定ローラ24、ダンサーローラ23、および固定ローラ25に、この順に巻き掛けられる。ダンサーローラ23が定位置にあるとき、包材2には、予め定められた張力が付与されている。包材2に張力を付与することにより、包材2の弛みの発生が抑制されている。これにより、包材搬送部8(図2,3)が包材2を搬送するときの、包材2のずれおよび皺寄りなどが、抑制されている。
図8は、ダンサーローラ23が定位置にあるときの包材供給部10の背面を見た斜視図である。図8に示すメインアーム40およびサブアーム50は、図5と比較して、アーム回転軸44を中心として、反時計回り方向に回転している。ギヤ位置決めプレート55がメインアーム40とともに回転し、円筒部65がギヤ位置決めプレート55の円弧縁58aに沿って相対移動することにより、図8に示す円筒部65は、図5と比較して切欠き59に近い位置にある。図8に示すロックピン47は、図5と比較して、ロック部78に近づく方向に移動している。図8に示す復帰ばね46は、図5と比較して、その長さが増大している。
図9は、ダンサーローラ23が搬送時移動位置にあるときの包材供給部10の正面図である。図9に示すダンサーローラ23は、図7と比較して、案内孔22に沿って図中の右方向に移動している。図9に示すダンサーローラ23は、定位置から離れており、そのため図9では限界位置センサ27と定位置センサ28との両方が図示されている。図7においてダンサーローラ23が配置されている位置を、搬送時移動位置と称する。搬送時移動位置は、搬送経路上にある。
図9には、薬剤が内部に収容された包装物の一包分の長さだけ包材2が包材搬送部8によって搬送され、包材2の搬送に伴って定位置から移動した後のダンサーローラ23が、図示されている。包材搬送部8による包材2の搬送が実行されている間、巻出巻取モータ35は停止している。そのため、包材2が巻回体3から巻き出されることはない。
一方、包材搬送部8が包材2を包装物の一包分搬送することにより、巻回体3から包材搬送部8へ至るまでの搬送方向DRにおける包材2の長さが、一包分短くなる。この包材2の長さの変化を、ダンサーローラ23を移動させて、ダンサーローラ23と固定ローラ24との距離、およびダンサーローラ23と固定ローラ25との距離を短くすることにより、調節している。
つまり、図7に示す定位置にあるダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間に巻き掛けられる包材2と、図9に示す位置にあるダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間に巻き掛けられる包材2との長さを比較すると、図9の方が包材2の長さが短くなる。ダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間に巻き掛けられる包材2の長さの変化を、包装物の一包分の長さに対応させることにより、包材2に予め定められた張力が付与された状態を一定に維持しつつ、包材2を搬送することができる。
搬送方向DRにおける包装物の一包分の長さは、常に一定とは限らず、包装物内に収容される薬剤の量に従って変化させてもよい。包装物の寸法に応じて、包材搬送部8による包材2の搬送量も変更可能であり、搬送時移動位置も変動する。搬送方向DRにおける包装物の一包分の長さが大きいと、搬送時移動位置は相対的に定位置から離れた位置に設定される。搬送方向DRにおける包装物の一包分の長さが小さいと、搬送時移動位置は相対的に定位置に近い位置に設定される。
包材2は、間欠的に搬送される。包材2の搬送を実行した後、包材2の搬送を停止している間に、巻出巻取モータ35が駆動される。被装着部21に巻出巻取モータ35の駆動力が伝達されて巻回体3が回転することにより、包材2が巻回体3から巻き出される。このとき包材搬送部8による包材2の搬送は停止しているので、巻回体3から巻き出された包材2は、ダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間に巻き掛けられる包材2の長さを元に戻すために用いられる。つまり、包材2が巻回体3から巻き出されると、ダンサーローラ23は、図9に示す搬送時移動位置から、図7に示す定位置へ向けて移動する。定位置にまでダンサーローラ23が移動して、定位置センサ28がダンサーローラ23を検出すると、巻出巻取モータ35が停止される。
このように、包材搬送部8による包材2の搬送と、巻回体3からの包材2の巻き出しとを交互に繰り返すことにより、包材2に予め定められた張力が付与された状態を維持したまま、包材2を適切に搬送することができる。
図10は、ダンサーローラ23が搬送時移動位置にあるときの包材供給部10の背面を見た斜視図である。図10に示すメインアーム40およびサブアーム50は、図8と比較して、アーム回転軸44を中心として、反時計回り方向に回転している。ギヤ位置決めプレート55がメインアーム40とともに回転し、円筒部65がギヤ位置決めプレート55の円弧縁58aに沿って相対移動することにより、図10に示す円筒部65は、図8と比較して切欠き59に近い位置にある。図10に示すロックピン47は、図8と比較して、ロック部78に近づく方向に移動している。図10に示す復帰ばね46は、図8と比較して、その長さが増大している。
上述した通り、包材搬送部8による包材2を搬送しているとき、包材2に張力が付与された状態が維持され、このときダンサーローラ23が定位置と搬送時移動位置との間を往復移動する。巻回体3から全ての包材2が巻き出されると、包材2の搬送方向DRの上流側の端部が巻回体3によって支持されなくなるため、包材2に張力が付与されなくなる。張力が付与された状態の包材2によってダンサーローラ23が支持されなくなるため、復帰ばね46の弾性力によってメインアーム40が回転し、これに伴ってダンサーローラ23は限界位置へ移動する。
図11は、ダンサーローラ23が退避位置にあるときの包材供給部10の正面図である。図11に示すダンサーローラ23は、図9と比較して、案内孔22に沿って図中の右方向に移動している。図11に示すダンサーローラ23は、案内孔22の他方端の退避位置に位置している。
図7,9において、ダンサーローラ23は、固定ローラ24,25に対して、図中の左側に位置している。そのため、固定ローラ24、ダンサーローラ23および固定ローラ25にこの順に巻き掛けられた包材2は、ダンサーローラ23によって押圧され、これにより包材2に張力が付与されている。これに対し、図11では、ダンサーローラ23は、固定ローラ24,25に対して、図中の右側に位置している。巻回体3から巻き出される包材2は、図11中の左右方向におけるダンサーローラ23と固定ローラ24との間の隙間を通り、またダンサーローラ23と固定ローラ25との間の隙間を通ることが可能になっている。このとき、包材2には、張力が付与されない。
図11中の左右方向におけるダンサーローラ23と固定ローラ24,25との間の隙間に包材2を通し、その状態でダンサーローラ23を定位置へ移動させることにより、包材2に張力が付与される。
ダンサーローラ23および固定ローラ24,25は、巻回体3から巻き出された包材2に張力を付与する、張力付与部を構成している。張力付与部は、ダンサーローラ23が包材2を押圧することで、包材2に張力を付与する。ダンサーローラ23は、包材2の搬送経路に交差する方向に変位可能な、変位部材を構成している。張力付与部は、ダンサーローラ23を移動させることにより、包材2に張力を付与する付与状態と、包材2に張力を付与しない非付与状態とに、切換可能である。
図12は、ダンサーローラ23が退避位置にあるときの包材供給部10の背面を見た斜視図である。図12に示すメインアーム40およびサブアーム50は、図10と比較して、アーム回転軸44を中心として、反時計回り方向に回転している。図12に示す円筒部65は、ギヤ位置決めプレート55の円弧縁58aから離れて、切欠き59内にある。図12に示すロックピン47は、図12には図示しないロック部78と係合しており、これによりメインアーム40はロックされている。図12に示す復帰ばね46は、図10と比較して、その長さが増大しており、最大の長さをとっている。
次に、巻回体3における包材2の残量を算出するための制御について説明する。図13は、実施形態に係る包装装置1の電気的構成を示すブロック図である。図13に示すように、包装装置1は、操作部107と、全体制御部200とを備えている。
操作部107は、包装装置1を操作する操作者によって操作される。操作者によって操作部107が操作されることで、包装装置1の包装動作に必要な情報が、全体制御部200に入力される。包装装置1の包装動作に必要な情報としては、処方箋に基づく処方データおよび種々の設定情報が挙げられる。設定情報は、薬剤が内部に収容された包装物の一包分の長さを含む。包装装置1の包装動作に必要な情報は、外部のコンピュータから全体制御部200に入力されてもよい。
全体制御部200は、包装装置1の包装動作に必要な情報に基づいて、包装装置1全体の動作を制御する。全体制御部200は、供給部5および包装部9を制御する。
全体制御部200は、供給部5に制御信号を送信し、供給部5が供給すべき薬剤の種類および数量を指令する。全体制御部200は、包装物の搬送方向DRにおける長さが所定の値となるように、包装部9に制御信号を送信する。包装物の長さは、たとえば操作部107を介して入力された値であってもよく、または、薬剤の種類および数量に基づいて全体制御部200が設定した値であってもよい。
包装部9は、包装制御部201を有している。包装制御部201は、定位置センサ28、限界位置センサ27および退避位置センサ29の検出信号を受け取り、ダンサーローラ23の現在位置を判別する。包装制御部201は、全体制御部200からの制御信号に基づいて、巻出巻取モータ35、加圧モータ6m、ヒータ6h、および搬送モータ8mを制御する。これら巻出巻取モータ35、加圧モータ6m、ヒータ6h、および搬送モータ8mが適宜駆動および停止することにより、包材2の包装が行なわれる。
加圧モータ6mおよびヒータ6hは、収容部形成部6(図2)に含まれている。ヒータ6hは、包材2を間に挟んで対向して配置された一対の加圧部材のうちの一方に内蔵されている。加圧モータ6mは、一対の加圧部材を駆動し、加圧部材で包材2を両側から加圧したり、加圧部材を包材2から離隔したりする。包材2を両側から加圧するときにヒータ6hが駆動して包材2を加熱することにより、包材2の一部分が熱融着されて、薬剤を内部に収容した包装物が形成される。
搬送モータ8mは、包材搬送部8に含まれている。搬送モータ8mは、包材2を間に挟んで対向して配置された一対の搬送ローラを回転駆動する。搬送モータ8mが一対の搬送ローラを回転駆動することで、包材2が搬送される。包材搬送部8は、包材2を間欠的に搬送する。包材2の搬送を停止している間に、収容部形成部6による包材2の熱融着、印刷部4(図2)による包材2への所定の情報の印刷、ミシン目形成部7(図2)による包材2へのミシン目の形成、および切断部12(図3)による包材2の切断などの、所定動作が行なわれる。
図14は、巻出巻取部および搬送部による動作を示すフローチャートである。本実施の形態の包装装置1において、巻出巻取部とは、巻回体3からの包材2の巻き出し、または包材2の巻回体3への巻き取りを実行するための構成である。巻出巻取部は、巻出巻取モータ35、被装着部21、巻出巻取モータ35の発生する駆動力を被装着部21に伝達する動力伝達部、ダンサーローラ23、ダンサーローラ23の位置を検出する位置検出部、および固定ローラ24,25を含んでいる。搬送部とは、搬送方向DRに沿って包材2を搬送するための構成である。搬送部は、包材搬送部8により構成されている。
図14に示すように、包装装置1による包装が開始されると、まずステップS101において、巻出巻取部による初期動作を開始する。
図15は、巻出巻取部による初期動作を示すフローチャートである。ステップS101で行なわれる巻出巻取部による初期動作の詳細について、図15および図16を参照して説明する。
ステップS201において、ダンサーローラ23が定位置以外にあるかどうかを判断する。ダンサーローラ23が定位置にあるかどうかは、定位置センサ28がオン状態であるかどうかを示す検出信号に基づいて、判断される。定位置センサ28がオフ状態であるとき、ダンサーローラ23が定位置以外の位置にあると判断される。ダンサーローラ23が定位置以外の位置にある、すなわちダンサーローラ23が定位置にないと判断されると(ステップS201においてYES)、ステップS202に進み、巻出巻取部による巻出巻取動作が行なわれる。
図16は、巻出巻取部による巻出巻取動作を示すフローチャートである。図16には、巻出巻取部による初期動作中に含まれるステップS202で行なわれる巻出巻取動作のサブルーチンを示すフローチャートが、図示されている。
図16を参照して、まずステップS301において、ダンサーローラ23が限界位置にあるかどうかを判断する。ダンサーローラ23が限界位置にあるかどうかは、限界位置センサ27がオン状態であるかどうかを示す検出信号に基づいて、判断される。限界位置センサ27がオフ状態であるとき、ダンサーローラ23が限界位置以外の位置にあると判断される。ダンサーローラ23が限界位置にないと判断されると(ステップS301においてNO)、ステップS302に進み、巻回体3からの包材2の巻き出しが開始される。包装制御部201は、包材2を巻回体3から巻き出す方向へ被装着部21を回転駆動させるように、巻出巻取モータ35に対し制御信号を送信する。
続いてステップS303において、ダンサーローラ23が限界位置にあるかどうかを判断する。ダンサーローラ23が限界位置にないと判断されると(ステップS303においてNO)、ダンサーローラ23が限界位置にあることが検出されるまで、ステップS303の判断が繰り返され、その間包材2の巻き出しが継続される。ダンサーローラ23が限界位置にあると判断されると(ステップS303においてYES)、ステップS304に進み、巻回体3からの包材2の巻き出しを終了する。包装制御部201は、巻出巻取モータ35に対し、停止させる制御信号を送信する。
ステップS301の判断においてダンサーローラ23が限界位置にあると判断された場合(ステップS301においてYES)、ダンサーローラ23は限界位置にある。ステップS304で包材2の巻き出しが終了したとき、ダンサーローラ23は限界位置にある。ダンサーローラ23が限界位置にあることが検出されると、ステップS305に進み、包材2の巻回体3への巻き取りが開始される。包装制御部201は、包材2を巻回体3へ巻き取る方向へ被装着部21を回転駆動させるように、巻出巻取モータ35に対し制御信号を送信する。
続いてステップS306において、ダンサーローラ23が定位置にあるかどうかを判断する。ダンサーローラ23が定位置にないと判断されると(ステップS306においてNO)、ダンサーローラ23が定位置にあることが検出されるまで、ステップS306の判断が繰り返され、その間包材2の巻き取りが継続される。ダンサーローラ23が定位置にあると判断されると(ステップS306においてYES)、ステップS307に進み、巻回体3への包材2の巻き取りを終了する。包装制御部201は、巻出巻取モータ35に対し、停止させる制御信号を送信する。このようにして、巻出巻取部による巻出巻取動作が終了する。
ダンサーローラ23は、案内孔22に沿って、限界位置から退避位置まで移動可能である。ステップS201の判断においてダンサーローラ23が定位置にあることが検出されず、かつステップS301の判断においてダンサーローラ23が限界位置にあることが検出されなければ、ダンサーローラ23の位置が不明であるため、まずステップS302〜ステップS304において包材2を巻き出してダンサーローラ23を限界位置に移動させる。ダンサーローラ23が限界位置まで移動してから、ステップS305〜ステップS307において包材2を巻き取り、ダンサーローラ23を定位置に移動させる。
つまり、巻出巻取動作において、ダンサーローラ23は、限界位置にあることを検出された後、定位置まで移動する。巻出巻取動作において、ダンサーローラ23は、限界位置から定位置までの一定の距離を移動する。巻出巻取動作が終了した時点で、ダンサーローラ23は、定位置にある。
巻回体3における包材2の残量が多く、包材2の巻き径が大きい場合、巻回体3の慣性が大きい。そのため、巻回体3の回転速度が大きすぎると、ステッピングモータの特性上、脱調する可能性がある。また、巻回体3の慣性が大きいために包材2に緩みが生じ、この緩みが誤差となり包材2の残量判断の精度が低下する。そのため、包材2の残量が多い場合には、回転速度を小さくする。
巻回体3における包材2の残量が少なく、包材2の巻き径が小さい場合、巻回体3の慣性は小さいので、脱調の可能性が小さくなる。また、巻き径が大きい場合と比較して、巻き径が小さいと、同じ長さの包材2を巻き出すために巻回体3をより多く回転する必要がある。そのため、包材2の残量が少ない場合には、回転速度を大きくする。このように包装制御部201は、巻回体3における包材2の残量に応じて、巻出巻取モータ35の回転速度を設定している。
巻出巻取動作を行なう際に包材2の残量が判明していないステップS202における巻出巻取動作は、最低速度で実行される。包材2の残量が判明していないので、確実に脱調を防止する観点で、最低速度での巻出巻取動作が実行される。
図15に戻って、巻出巻取部による巻出巻取動作が終了すると、次にステップS203において、巻回体3における包材2の残量の算出が行なわれる。包材2の残量は、複数段階で示される。本実施の形態では、包材2の残量は、5段階で示される。具体的には、包材2の残量は、多い方から順に、「LL」、「L」、「M」、「S」、「SS」と設定されている。
巻出巻取モータ35はステッピングモータであり、巻出巻取モータ35の駆動量はステッピングモータの駆動パルス数(ステップ数)に対応している。ダンサーローラ23が限界位置から定位置までの一定の距離を移動する間のステッピングモータのステップ数をカウントする。ダンサーローラ23が限界位置にないことが検出されてから、ダンサーローラ23が定位置にあることが検出されるまでの間の、ステッピングモータのステップ数をカウントする。これにより、巻回体3における包材2の残量が算出される。
包材2の巻き径が小さいと、ダンサーローラ23を一定距離移動させるまでに必要な包材2の回転数が大きくなり、このときステッピングモータのステップ数が大きくなる。包材2の巻き径が大きいと、ダンサーローラ23を一定距離移動させるまでに必要な包材2の回転数が小さくなり、このときステッピングモータのステップ数が小さくなる。したがって、ステッピングモータのステップ数と包材2の残量との関係を予め包装制御部201に記憶させておくことで、巻出巻取モータ35のステップ数に基づいて、巻回体3における包材2の残量を算出することができる。
次に、ステップS204において、巻回体3における包材2の残量判定結果があるかどうかを判断する。残量判定結果とは、巻回体3における包材2の現時点での残量として包装制御部201に記憶されている値をいう。
残量判定結果がある、すなわち包装制御部201に残量判定結果が記憶されていると判断されれば(ステップS204においてYES)、ステップS205において、ステップS203で算出された包材2の残量の算出結果と、残量判定結果とを比較して、包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいかどうかを判断する。つまり、以前に算出された包材2の残量よりも、今回算出した包材2の残量の方が、小さくなっているか否かを判断する。
包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断されれば(ステップS205においてYES)、ステップS206に進み、ステップS203で算出された包材2の残量の算出結果を、残量判定結果として包装制御部201に記憶する。ステップS204の判断において、残量判定結果がない、すなわち包装制御部201に残量判定結果が記憶されていないと判断された場合も(ステップS204においてNO)、ステップS206に進み、ステップS203で算出された包材2の残量の算出結果を、残量判定結果として包装制御部201に記憶する。そして、初期動作を終了する。
ステップS205の判断において、包材2の残量の算出結果が残量判定結果以上であると判断されれば(ステップS205においてNO)、包材2の残量の算出結果を残量判定結果に反映することなく、初期動作を終了する。
ステップS201の判断において、ダンサーローラ23が定位置にあると判断されると(ステップS201においてYES)、巻出巻取動作は実行されず、そのまま初期動作を終了する。
図14に戻って、ステップS101における初期動作が終了すると、次にステップS102において、包装装置1が包装開始後現時点までに包装した包装物の数が指定包数に到達したかどうかを判断する。指定包数に到達していないと判断されると(ステップS102においてNO)、ステップS103に進み、搬送部による包材2の停止中に行なわれるべき、上述した熱融着、印刷、ミシン目の形成および切断などの所定動作が、全て終了したか否かが判断される。所定動作が全て終了するまで、ステップS103の判断が繰り返される。
所定動作が全て終了すると(ステップS103においてYES)、次にステップS104において、搬送部による包材2の搬送動作を開始する。包装制御部201は、搬送モータ8mを駆動する制御信号を、搬送モータ8mに送信する。包材2の搬送動作中、包装制御部201は、巻出巻取モータ35の停止を維持する制御信号を、巻出巻取モータ35に送信する。そのため、巻回体3からの包材2の巻き出しは行なわれない。
続いてステップS105において、搬送動作が終了したか否かが判断される。包装制御部201は、搬送モータ8mの駆動量に基づいて、包材2の搬送距離を算出する。包材2が、包装物の一包分の長さだけ搬送されると、包材2の搬送動作を終了する。包装制御部201は、搬送モータ8mを停止する制御信号を、搬送モータ8mに送信する。包材2の搬送動作が終了した時点で、ダンサーローラ23は、定位置から搬送時移動位置へ移動している。
次にステップS106において、巻出巻取部による巻き出し動作が開始される。図17は、巻出巻取部による巻き出し動作の第一の例を示すフローチャートである。図17には、ステップS106で行なわれる巻き出し動作のサブルーチンの一例を示すフローチャートが、図示されている。
図17を参照して、まずステップS401において、巻回体3からの包材2の巻き出しが開始される。包装制御部201は、包材2を巻回体3から巻き出す方向へ被装着部21を回転駆動させるように、巻出巻取モータ35に対し制御信号を送信する。このとき、包装制御部201は、包材2の残量判定結果に基づいて、巻出巻取モータ35の回転速度を設定している。
続いてステップS402において、ダンサーローラ23が定位置にあるかどうかを判断する。ダンサーローラ23が定位置にないと判断されると(ステップS402においてNO)、ダンサーローラ23が定位置にあることが検出されるまで、ステップS402の判断が繰り返され、その間包材2の巻き出しが継続される。ダンサーローラ23が定位置にあると判断されると(ステップS402においてYES)、ステップS403に進み、巻回体3からの包材2の巻き出しを終了する。包装制御部201は、巻出巻取モータ35に対し、停止させる制御信号を送信する。
巻き出し動作において、ダンサーローラ23は、搬送時移動位置から定位置まで移動する。搬送時移動位置は、搬送方向DRにおける包装物の一包分の長さに応じて変化する。包装物の一包分の長さと搬送時移動位置との関係は、予め包装制御部201に記憶されている。包装制御部201は、包装物の一包分の長さに応じて、巻き出し動作におけるダンサーローラ23の移動距離を導出する。
巻き出し動作が終了すると、次にステップS404において、巻回体3における包材2の残量の算出が行なわれる。ステップS401において巻出巻取モータ35による巻回体3の駆動を開始してから、ステップS402においてダンサーローラ23が定位置にあることが検出されるまでの間の、ステッピングモータのステップ数をカウントする。ダンサーローラ23が搬送時移動位置から定位置まで移動する間のステッピングモータのステップ数に基づいて、巻回体3における包材2の残量を算出することができる。
次に、ステップS405において、ステップS404で算出された包材2の残量の算出結果と、残量判定結果とを比較して、包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいかどうかを判断する。つまり、以前に算出された包材2の残量よりも、今回算出した包材2の残量の方が、小さくなっているか否かを判断する。
包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断されれば(ステップS405においてYES)、次にステップS406において、包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断した回数に1を加算する。より具体的には、ステップS405の時点で包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断した回数がN(Nはゼロ以上の整数)回であれば、ステップS406において回数を(N+1)回とする。たとえば、ステップS405の時点で包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断した回数が2回であれば、ステップS406において回数を3回とする。
次にステップS407において、ステップS406で加算した後の回数が、閾値以上であるかどうかを判断する。回数が閾値以上であると判断されると(ステップS407においてYES)、ステップS408に進み、残量判定結果を更新する。たとえば、ステップS407の判断に用いられる閾値が5である場合、5回連続して包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断できたときに、包装制御部201に記憶される残量判定結果の値を更新する。
ステップS404で算出された包材2の残量の最新の算出結果を残量判定結果とすることで、残量判定結果を更新してもよい。たとえば、ステップS407の判断に用いられる閾値が5である場合、5回連続して包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断できたときに、5回目の算出結果を新たな残量判定結果として包装制御部201に記憶してもよい。
または、ステップS404で算出された包材2の残量の複数の算出結果のうち、最大の算出結果を残量判定結果とすることで、残量判定結果を更新してもよい。たとえば、ステップS407の判断に用いられる閾値が5である場合、5回連続して包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断できたときに、5つの算出結果のうち最も大きい算出結果を、新たな残量判定結果として包装制御部201に記憶してもよい。
または、ステップS404で算出された包材2の残量の複数の算出結果のうち、もっとも頻度の高い算出結果を残量判定結果とすることで、残量判定結果を更新してもよい。たとえば、ステップS407の判断に用いられる閾値が5であり、5回連続して包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断できた場合に、5つの算出結果のうち4つは同じ値であるが他の1つは異なるとき、値の異なる1つの算出結果を除いた4つの算出結果と同じ値を、新たな残量判定結果として包装制御部201に記憶してもよい。
または、残量判定結果を一段階小さくすることで、残量判定結果を更新してもよい。たとえば、ステップS407の判断に用いられる閾値が5である場合、5回連続して包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断できたときに、5つの算出結果とは無関係に、残量判定結果を一段階小さくし、新たな残量判定結果として包装制御部201に記憶してもよい。
このようにして、包装制御部201に記憶される残量判定結果の値を更新する。ステップS408において、さらに、包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断した回数を初期化する。つまり、回数をゼロにする。そして、巻き出し動作を終了する。
ステップS407の判断において、回数が閾値未満であると判断されると(ステップS407においてNO)、残量判定結果を更新することなく、巻き出し動作を終了する。
ステップS405の判断において、包材2の残量の算出結果が残量判定結果以上であると判断されれば(ステップS405においてNO)、ステップS409に進み、包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断した回数を初期化する。つまり、回数をゼロにする。そして、残量判定結果を更新することなく、巻き出し動作を終了する。
代替的には、ステップS405の判断において包材2の残量の算出結果が残量判定結果以上であると判断された場合、何も行なわずにそのまま巻き出し動作を終了してもよい。つまり、ステップS405においてNOの場合、図17に示すステップS409をスキップして、そのまま巻き出し動作を終了してもよい。この場合は、包材2の残量の算出結果が残量判定結果以上であると判断されても、包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断した回数が初期化されない。その結果、包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断した回数を累積して閾値以上となった場合に、残量判定結果が更新される。
たとえば、ステップS407の判断に用いられる閾値が5である場合、4回連続して包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断され、5回目の判断で包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも大きいと判断され、6回目の判断で包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断されれば、包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断した回数を累積して閾値以上となるので、包装制御部201に記憶される残量判定結果の値を更新する。
図18は、巻出巻取部による巻き出し動作の第二の例を示すフローチャートである。図18には、ステップS106で行なわれる巻き出し動作のサブルーチンの他の例を示すフローチャートが、図示されている。
図18に示すステップS501〜S505では、図17を参照して説明したステップS401〜S405と、同じ処理が行なわれる。
ステップS505の判断において、包材2の残量の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断されれば(ステップS505においてYES)、次にステップS506において、ステップS504で算出された包材2の残量の算出結果が、前回の巻き出し動作において算出された包材2の残量の算出結果と一致しているかどうかを判断する。
包材2の残量の算出結果が前回の算出結果と一致していると判断されれば(ステップS506においてYES)、次にステップS507において、包材2の残量の算出結果が前回の算出結果と一致していると判断した回数に1を加算する。より具体的には、ステップS506の時点で包材2の残量の算出結果が前回の算出結果と一致していると判断した回数がN(Nはゼロ以上の整数)回であれば、ステップS507において当該回数を(N+1)回とする。たとえば、ステップS506の時点で包材2の残量の算出結果が前回の算出結果と一致していると判断した回数が2回であれば、ステップS507において回数を3回とする。
次にステップS508において、ステップS507で加算した後の回数が、閾値以上であるかどうかを判断する。回数が閾値以上であると判断されると(ステップS508においてYES)、ステップS509に進み、ステップS504で算出された包材2の残量の算出結果を、新たな残量判定結果として包装制御部201に記憶する。たとえば、ステップS508の判断に用いられる閾値が5である場合、5回連続して包材2の残量の算出結果が前回の算出結果と一致していると判断できたときに、5回目の算出結果を新たな残量判定結果として包装制御部201に記憶する。
ステップS509において、さらに、包材2の残量の算出結果が前回の算出結果と一致していると判断した回数を初期化する。つまり、回数をゼロにする。そして、巻き出し動作を終了する。
ステップS508の判断において、回数が閾値未満であると判断されると(ステップS508においてNO)、包材2の残量の算出結果を残量判定結果に反映することなく、巻き出し動作を終了する。
ステップS506の判断において、包材2の残量の算出結果が前回の算出結果と一致していないと判断された場合(ステップS506においてNO)、および、ステップS505の判断において、包材2の残量の算出結果が残量判定結果以上であると判断された場合(ステップS505においてNO)、ステップS510に進み、包材2の残量の算出結果が前回の算出結果と一致していると判断した回数を初期化する。つまり、回数をゼロにする。そして、包材2の残量の算出結果を残量判定結果に反映することなく、巻き出し動作を終了する。
図14に戻って、ステップS106における巻き出し動作が終了すると、ステップS102の判断に戻る。包装装置1が包装した包装物の数が指定包数に到達するまで、ステップS103〜ステップS106に従って包材2の搬送と巻回体3からの包材2の巻き出しとが繰り返される。指定包数に到達したと判断されると(ステップS102においてYES)、巻出巻取部および搬送部による一連の分包動作を終了する。
以上説明したように、本実施の形態の包装装置1は、位置検出部による検出結果に基づいてダンサーローラ23の移動距離を算出し、また、ステッピングモータである巻出巻取モータ35のステップ数をカウントすることによりダンサーローラ23の移動中の巻出巻取モータ35の駆動量を計測している。ダンサーローラ23の移動量に対する巻出巻取モータ35の駆動量から、巻回体3における包材2の残量を算出する。
ダンサーローラ23が定位置または限界位置にあることを検出するために設けられた位置検出部と、巻回体3を回転させて包材2を巻回体3から巻き出すための駆動力を発生する巻出巻取モータ35とを用いて、包材2の残量が算出される。他に用途のある部品のみを用いて、換言すると包材2の残量を算出するための専用の部品を追加する必要なく、巻回体3における包材2の残量を算出できる。したがって、包装装置1の構成を簡略化することができる。
静電気などが原因で巻回体3に包材2が貼り付いて、巻回体3を回転させても包材2が巻き出されない場合がある。巻回体3から巻き出される包材2の量が本来の量よりも少ないと、ダンサーローラ23を所定距離移動させるための巻出巻取モータ35の駆動量が大きくなり、包材2の残量の算出結果が実際の残量よりも少なくなる。実際の包材2の残量よりも少ない算出結果に基づいて、包材2の残量が少なくなったと判断して巻出巻取モータ35の回転速度を増大すると、過大な速度で巻回体3が回転して、ステッピングモータの脱調、包材2の緩みなどが生じる可能性がある。
そこで、本実施の形態の包装装置1では、複数の算出結果に基づいて、残量判定結果を更新する。包材2の残量を算出するときの巻出巻取モータ35の回転数が大きく包材2の残量が少なくなったと一回検出されたとしても、そのときの包材2の残量の算出結果を残量判定結果とするのではなく、包材2の残量が少なくなったことを複数回判断できた時点で、残量判定結果を更新する。このようにすれば、包材2の残量の算出結果の一時的な変動が残量判定結果に反映されることがなくなり、包材2の残量の検出精度を向上することができる。したがって、実際の包材2の残量に対して過大な速度で巻回体3を回転させる事象の発生を、抑制することができる。
図17に示す一例では、包材2の残量を算出するごとに、最新の算出結果と、包装制御部201に記憶されている残量判定結果とを比較する。最新の算出結果が残量判定結果よりも小さいと連続して判断した回数が閾値以上となったとき、残量判定結果を更新する。図18に示す他の例では、包材2の残量を算出するごとに、最新の算出結果と、包装制御部201に記憶されている残量判定結果とを比較するとともに、最新の算出結果と、前回の算出による算出結果とを比較する。最新の算出結果が残量判定結果よりも小さく、かつ、最新の算出結果が前回の算出による算出結果と連続して一致した回数が閾値以上となったとき、最新の算出結果を新たな残量判定結果として記憶する。さらに他の例では、最新の算出結果が残量判定結果よりも小さいと連続して判断されなくても、最新の算出結果が残量判定結果よりも小さいと判断した回数を累積して閾値以上となったとき、残量判定結果を更新する。
いずれの場合も、包材2の残量の検出精度を向上できる効果を、同様に達成することができる。
巻回体3への包材2の貼り付きなどが原因で巻回体3から巻き出される包材2の量が少なかったとしても、包材2の貼り付きが解消されれば、巻回体3の回転に従った本来の巻き出しに復帰し、本来の包材2の残量が算出される。
なお、これまでの実施の形態においては、巻出巻取モータ35がステッピングモータであり、ステッピングモータのステップ数をカウントすることで巻出巻取モータ35の駆動量を計測したが、この例に限られるものではない。包装制御部201がタイマを有する構成として、巻出巻取モータ35の駆動時間に基づいて駆動量を計測してもよい。この場合、巻出巻取モータ35はステッピングモータとする必要はなく、任意の種類のモータを巻出巻取モータ35として適用することが可能になる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。