JP6829942B2 - 発災時初動支援キット - Google Patents

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Description

本発明は、災害対策の技術に関し、特に、発災時における自治体の職員の初動での的確な対応を支援する発災時初動支援キットに適用して有効な技術に関するものである。
特に東日本大震災以降、各種方面で災害対策・防災対策が改めて重要視されている。災害対策・防災対策では、いわゆる「自助」「共助」「公助」という考え方がとられ、自分の命は自分で守る(自助)ことを基本としつつ、自分でできることには限界があることから、家族、企業、コミュニティ等で共に助け合うこと(共助)が求められる。そしてこれらをカバーするものとして国や地方自治体、防災関係機関などが事前の防災・減災活動や事後の救助活動などを行う(公助)。すなわち、「自助」「共助」「公助」の連携が重要である。
「公助」を担う自治体では、災害対策基本法に基づいて地域の実情に即した地域防災計画を策定し運用することが求められている。地域防災計画の中には各種の方針や目標、計画、対策などが規定されるが、特に災害発生(以下では「発災」と記載する場合がある)直後の自治体の初動(例えば発災時から72時間)での対応は、人命優先のために組織的かつ迅速な行動が必要な重要な事項であり、これに関わるものとして、例えば、災害予防(災害発生前の計画)における事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定や、災害応急対策(発災時の対策)における初動体制の確立などが求められる。
災害発生時における自治体の対応を支援する技術としては、例えば、特開平10−334078号公報(特許文献1)には、天災被害や突発事故といった災害発生時に、自治体や対応機関の各部署が迅速かつ的確に対応できるような意思決定を支援する技術が記載されている。ここでは、災害時に災害情報の入力を受け付け、予め格納しておいた防災計画ルール、受け付けた災害情報および災害発生時から実際に実行した意思決定の履歴情報に基づいて、意思決定を行うための候補となる意思決定支援情報を作成して出力し、意思決定者による実際の意思決定の入力を受け付ける。
また、特開2007−102263号公報(特許文献2)には、災害発生時に、利用者の属性に加えて災害種別を考慮して、利用者毎に適切な災害時行動マニュアルを呈示できるようにする技術が記載されている。ここでは、利用者の所属部署名や役職等の利用者属性情報を記憶した利用者データベースと、組織や災害対策本部の構成等の組織属性情報を記憶した組織データベースと、上記利用者の属性、組織の属性および災害種別に応じて予め作成された災害時行動マニュアルを記憶した災害時行動マニュアルデータベースを設けている。そして、要求元の利用者の所属部署名および役職に対応し、さらに災害種別に応じた災害時行動マニュアルを読み出して要求元の電子端末に配信する。
また、特開2013−88829号公報(特許文献3)には、予測不可能な状況が発生し得る災害時などに効果的な意思決定を行うため、やるべきタスクと必要な情報を適切な内容でかつ適切なタイミングで提供する技術が記載されている。ここでは、意思決定に必要な情報を意思決定支援装置から各種端末に配信するために、意思決定の原因となるイベントをイベント管理部で検知し、当該イベントに応じたタスク割り当ておよび通知すべき情報を、イベントおよびこれに伴う状況に応じて情報相関管理部で管理される各情報の相関関係を用いて決定し、各種端末に配信する。
特開平10−334078号公報 特開2007−102263号公報 特開2013−88829号公報
特許文献1、2などに記載された技術によれば、災害発生時に災害状況等に応じて自治体の担当者が意思決定を行うための候補となる情報を呈示したり、適切な災害時の行動マニュアルを呈示したりすることができる。しかしながら、呈示した意思決定の内容や行動マニュアル等に従って実際に行動する多数の自治体職員や担当者等のレベルでの行動を支援して、発災時の初動として求められる関係各所の連携と一連のタスクの迅速な実行を実現することまでは考慮されていない。
この点、特許文献3に記載された技術によれば、予め定義されたワークフローを基準としつつ、意思決定の原因となるイベントの検知に応じて臨機応変にタスクの割り当てと情報の共有を図ることで、業務対応者に対してやるべきタスクと必要な情報を適切に提供することができる。しかしながら、ここでは「公助」の観点からの自治体側のタスクが主に想定されており、「自助」「共助」の観点から自治体が行うことができるタスク、例えば、地域住民への情報提供や避難支援といったところまでは考慮されていない。
そこで本発明の目的は、発災時における自治体の職員等の初動を支援し、地域住民への迅速かつ的確な対応を可能とする発災時初動支援キットを提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
本発明の代表的な実施の形態による発災時初動支援キットは、発災時における自治体の初動での対応を支援する発災時初動支援キットであって、前記自治体が地域防災計画の初動時に行うべき業務プロセスをワークフローとして定義した初動モデルを保持する初動モデル記録部と、発災を検知した際に、前記初動モデルに基づいて前記自治体の対象の職員に対して前記ワークフローに含まれるタスクを割り当てるとともに、前記タスクを割り当てられた前記職員が保有する携帯端末に対してネットワークを介してその旨を通知し、前記タスクが完了した旨を前記携帯端末を介して取得する指揮連絡部と、前記ワークフローの進捗状況に係る情報を保持する状況管理記録部と、を有するものである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、発災時における自治体の職員等の初動を支援することで、非常時における職員等の心理的負担を軽減することが可能となるとともに、関連する職員等の全体行動を把握して可視化することができ、これにより地域住民への迅速かつ的確な対応が可能となる。
本発明の一実施の形態である発災時初動支援キットの構成例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における初動対応の概要および体制の例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における初動対応のワークフロー(初動モデル)の例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における自治体の各職員が初動時の自身の行動内容を確認するための画面の例を示した図である。 本発明の一実施の形態における初動時の職員全体の行動内容を確認するための画面の例を示した図である。 本発明の一実施の形態における初動時の各職員の行動履歴を確認するための画面の例を示した図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である発災時初動支援キットの構成例について概要を示した図である。発災時初動支援キット1は、例えば、対象の自治体の拠点等に構築されたBCP対策インフラ20上でスタンバイもしくは稼働するサーバシステム10と、サーバシステム10に対してインターネット等のネットワーク30を介して接続可能な複数の職員端末41および住民端末51からなる情報処理システムである。
サーバシステム10は、自治体における発災時の初動対応を支援するための各種処理を実行する情報処理装置である。サーバシステム10は、例えば、サーバ機器により構成され、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアとして実装された指揮連絡部11、および防災マップ処理部12などの各部を有する。また、初動モデルデータベース(DB)13、体制DB14、状況管理DB15、および防災マップDB16などの各データストアを有する。
指揮連絡部11は、発災時の初動における対応内容をワークフローとして定義し、これを実行する機能を有する。例えば、後述するような初動時の各職員40の対応内容としての災害対策本部の設置から避難所開設、住民への避難所に関する情報提供といった一連の業務プロセスをワークフローとしてモデル化したものの入力・設定を受け付けて、予め初動モデルDB13に登録しておく。そして、発災時には初動モデルDB13に登録された初動モデル(ワークフロー)に従って、体制DB14に登録されている人事情報や組織、担当者に係る情報を参照しながら、各タスクを適切な担当者に順次割り当てるとともに各タスクの実行状況・進捗状況を状況管理DB15に記録することで、ユーザがこれを参照・把握することを可能とする。
指揮連絡部11に係るワークフロー機能は、ソフトウェアプログラムとして個別に開発・実装してもよいし、ベンダー等から提供されて一般に入手可能なワークフロー製品やツールなど(例えば、独Metasonic社のMetasonic(登録商標) Suiteなど)を適宜利用する構成としてもよい。
防災マップ処理部12は、対象地域における避難所の候補地・候補施設に係る情報を含む防災関連情報を地図情報として防災マップDB16に予め保持するとともに、住民50がこれを参照できるようにする機能を有する。また、発災時には、初動対応において実際に決定・開設された避難所の情報を防災マップDB16に登録し、住民50に対して提供する機能を有する。住民50の所在位置の情報(例えば、住所やGPS(Global Positioning System)による位置情報など)に基づいて最寄りの適切な避難所を指示、誘導するナビゲーション機能を有していてもよい。
防災マップ処理部12に係る地図情報の作成や共有、利用の機能についても、指揮連絡部11と同様に、ソフトウェアプログラムとして個別に開発・実装してもよいし、ベンダーから提供されて一般に入手可能な地図製品や地理情報システム(GIS:Geographic Information System)などを適宜利用する構成としてもよい。
サーバシステム10は、例えば、対象の自治体の拠点等に設置されるため、発災時でも正常な稼働が可能となるよう、BCP対策インフラ20上で稼働するよう構成するのが望ましい。BCP対策インフラ20は、単独の物や機器を指すものではなく、発災時初動支援キット1が稼働するITインフラにおける災害対策としての各種ファシリティなどを総称した論理的なものである。
BCP対策インフラ20には、例えば、サーバシステム10の設置環境としての免震装置を備えた堅牢なコンテナ型データセンターや、非常用発電設備、UPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)、設備や環境の監視システム、冗長構成、入退室管理等のセキュリティシステムなどが含まれ得る。また、発災時にJ−ALERT(全国瞬時警報システム)から各自治体に配信される警報を取得し、これをトリガーとしてサーバシステム10をアクティブにする仕組みを有していてもよい。
本実施の形態では、オンプレミス型として各自治体が個別にサーバシステム10およびBCP対策インフラ20を備える構成としているが、例えばこれらの構成の全部もしくは一部を商用のクラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバによって実現する構成とすることもできる。また、サーバシステム10は、常時稼働している必要はなく、例えば、体制DB14や初動モデルDB13、防災マップDB16の登録内容などのメンテナンス時、および発災時以外は停止もしくはスタンバイ状態としておいてもよい。
職員端末41は、自治体の職員40が保有する情報処理端末であり、タブレット端末やスマートフォン等の携帯型であるのが望ましい。職員端末41は、有線/無線通信によりネットワーク30を介してサーバシステム10にアクセスすることができる。職員端末41には、例えば、サーバシステム10の指揮連絡部11と連携して初動モデルDB13に登録されているワークフローに係る処理を行うクライアントアプリケーションが導入されており、職員40は、発災時に当該アプリケーションにより後述するような各種の連絡・通知を受け取ったり、タスク実行の結果を入力・報告したりすることができる。
住民端末51は、地域の住民50が保有する情報処理端末であり、有線/無線通信によりネットワーク30を介してサーバシステム10にアクセスすることができる。住民50は、発災時(および通常時)に図示しないWebブラウザ等によりサーバシステム10にアクセスし、防災マップ処理部12より防災マップDB16から抽出された避難所に係る地図情報を参照することができる。発災時には、実際に開設された避難所の情報を参照することができるとともに、住民端末51がGPS機能を有する携帯型の情報処理端末である場合、その位置情報に基づいて最寄りの適切な避難所への誘導を受けられるようにすることも可能である。
<初動対応の内容>
図2は、自治体における地域防災計画に規定された初動対応の概要および体制の例について概要を示した図である。災害発生によりJ−ALERTからの警報を検知すると、その情報はまず自治体の総務課の地域安全班に伝達される。地域安全班は、他の各課の必要な職員に対して安否確認を行うとともに災害対策本部への参集を要請し、災害対策本部を設置する。
災害対策本部は、図示するように、例えば、本部会議、本部事務局(例えば総務課)、および各専門部局と地区災害対策室により構成され、初動時の対応についての意思決定と指揮・連絡を行う。そして、災害対策本部の各専門部局と、他の防災関係機関(例えば、消防等)とが連携して住民支援に当たる構成をとる。なお、各専門部局と地区災害対策室、および各防災関係機関は、それぞれ指名された本部連絡員を介して災害対策本部の本部事務局と連携する。
図3は、初動対応のワークフロー(初動モデル)の例について概要を示した図である。災害発生により、サーバシステム10がJ−ALERTからの警報を検知すると(S01)、警報のレベル(例えば、地震の震度等)に応じて予め定められた基準により非常時の配備体制を決定する(S02)。例えば、レベルが高くなるに従って「注意配備」「警戒配備」「非常配備」の順に配備のレベルを上げるように決定する。配備体制により、例えば災害対策本部の設置主体や手順が異なるようにワークフローが定義されていてもよい。また、配備体制をサーバシステム10が自動的に決定するのではなく、警報を検知した旨を総務課の地域安全班の担当者宛に通知し、地域安全班の担当者の判断により決定するようにしてもよい。
決定された配備体制に応じて、サーバシステム10の指揮連絡部11により、災害対策本部の設置と避難指示を行うためのワークフローが開始される。まず、総務課の地域安全班の担当者に対して、災害対策本部の設置要員となる各課の必要な職員に対して安否確認および災害対策本部への参集の要請を行うタスクが割り当てられる(S03)。災害対策本部の設置要員となる職員は、例えば、体制DB14から自動もしくは手動により抽出することができる。地域安全班の担当者が安否確認および参集要請を行うタスクを完了すると、災害対策本部の設置要員となる各課の必要な職員に対して、安否および参集可否の情報を応答するタスクが割り当てられる(S04)。
安否および参集可否の情報を応答するタスクが割り当てられたことを職員端末41によって把握した災害対策本部の設置要員の職員40は、それぞれ、職員端末41を用いて安否および参集可否の情報を入力してタスクを完了する。入力された内容は、例えば、指揮連絡部11により状況管理DB15に登録される。対象の全て(もしくは一定数以上)の職員40が安否および参集可否の情報を応答するタスクを完了すると、総務課の地域安全班の担当者に対して、災害対策本部の設置要員の参集可否の状況を報告するタスクが割り当てられる(S05)。
地域安全班の担当者が参集可否状況を取りまとめてタスクを完了すると、その内容を承認するタスクが災害対策本部事務局の総括班の担当者に割り当てられる(S06)。参集可否状況の情報は、事務局総括班の担当者にタスクの割り当てとともに直接送付されてもよいし、サーバシステム10の状況管理DB15などを介して地域安全班の担当者と事務局総括班の担当者が共有できるようにしてもよい。
事務局総括班の担当者が参集可否状況の内容を承認すると、その旨が総務課の地域安全班の担当者に通知されるとともに、事務局総括班の担当者には災害対策本部の設置を指示・連絡するタスクが割り当てられる(S07)。事務局総括班の担当者が、災害対策本部を設置する指示・連絡を出してタスクを完了すると、次に避難所を指定して避難所開設を指示するタスクが割り当てられる(S08)。
事務局総括班の担当者が、予め選定されている避難所の候補の中から、災害の発生状況等に応じて実際に開設する避難所を決定・入力してタスクを完了すると、災害対策本部の総括班の担当者に避難所の開設と防災マップでの公開を行うタスクが割り当てられる(S09)。総括班の担当者が実際に避難所を開設し、サーバシステム10の防災マップ処理部12を介して開設した避難所の情報を防災マップDB16に登録して参照可能としてタスクを完了すると、事務局総括班の担当者に対してその旨を報告するタスクが割り当てられる(S10)。このタスクは総括班の担当者が手動で実行してもよいし、避難所開設と防災マップの公開のタスクの完了をトリガーとして自動的に完了の報告がされるようにしてもよい。
ここまでのワークフローにより、災害対策本部の設置と避難所の開設、および住民50への情報提供という初動対応は一応完了したこととなる。これに加えて、さらに、避難所に詰めている専門部局の担当者(図示しない)に対して、住民50が防災マップを参照しながら避難所に実際に到着した際に避難状況を入力するタスクを割り当てるようにしてもよい(S11)。入力された避難状況に係る情報は、サーバシステム10の状況管理DB15に登録され、これにより、災害対策本部では避難所の受け入れ状況を一元的に把握することが可能となる(S12)。
<職員等の初動対応の管理>
図4は、自治体の各職員40が初動時の自身の行動内容を確認するための画面の例を示した図である。この画面は、各職員40の職員端末41上に導入されているクライアントアプリケーションが、サーバシステム10の指揮連絡部11と連携して、初動モデルDB13に登録されている図3の例に示すようなワークフローから、自身に割り当てられているタスクを抽出して表示するものである。図4の例では、画面下部の領域で、図3の例に示したワークフローの定義内容のうち、対象の職員40に割り当てられている一連のタスクがフローとして示されている。各タスクの詳細な内容は画面上部の領域に表示することができる。
図4の例では、一連のタスクの中で対象の職員40(図4の例では総務課地域安全班の担当者)が現在実行すべきタスク(現在割り当てられているタスク)が強調表示されており(図4の例では太枠となっている災害対策本部設置要員参集)、当該タスクの内容が画面上部の領域に表示されている。これらにより、各職員40が自身の行動内容の全体を容易に把握・確認することを可能とする電子マニュアルの役割を果たすことができる。また、その中で対象の職員40が現在実行すべきタスクの実行を即時にガイドすることができる。
図5は、初動時の職員40全体の行動内容を確認するための画面の例を示した図である。ここでは、初動モデルDB13に登録されている図3の例に示すようなワークフローの全体について、担当者毎に区分したシーケンス図のような形式で、一連のタスクの内容と流れを表示している。この画面は、例えば、総務課地域安全班の担当者など、初動時の一連のワークフローの管理者的な役割を有する担当者の職員端末41上に表示され、当該担当者が全体を把握するために主に利用されるものである。
図6は、初動時の各職員40の行動履歴を確認するための画面の例を示した図である。この画面は、例えば、上記の図5に示した画面との間で切り替えて表示する。ここでは、例えば、各職員40についてそれぞれ、状況管理DB15の内容に基づいて、実行したタスク毎にその内容と実行時のタイムスタンプの情報を表示する。図6の例では、実行されたタスクの時系列に従って上から下に向かって履歴が表示されている。ここで、例えば指示の送信と受信など、対応するタスク(図6の例では、要員の安否確認と参集指示送信のタスクと、安否確認・参集指示受信のタスクなど)については、同じ行で表示することで、視認性を向上させることができる。
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である発災時初動支援キット1によれば、発災時の初動対応における災害対策本部の設置と避難所の開設、および防災マップの公開による住民への情報提供と誘導という一連の手順をワークフローとして定義した初動モデルを定義しておき、発災時にはこれに従ってワークフロー制御を行う。このように発災時における自治体の職員等の初動を支援することで、非常時における職員等の心理的負担を軽減することが可能となるとともに、地域住民への迅速かつ的確な対応が可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、上記の実施の形態では災害として地震等の自然災害を想定した説明としているが、テロ等の人為的な行為による災害も対象とすることができることは当然である。
本発明は、発災時における自治体の初動での的確な対応を支援する発災時初動支援キットに利用可能である。
1…発災時初動支援キット、
10…サーバシステム、11…指揮連絡部、12…防災マップ処理部、13…初動モデルDB、14…体制DB、15…状況管理DB、16…防災マップDB、
20…BCP対策インフラ、
30…ネットワーク、
40…職員、41…職員端末、
50…住民、51…住民端末

Claims (5)

  1. 発災時における自治体の初動での対応を支援するサーバシステムを含む発災時初動支援キットであって、
    前記サーバシステムは、
    前記自治体が地域防災計画の初動時に行うべき業務プロセスとして前記自治体が住民に対し情報提供し避難支援を行う業務プロセスを含む業務プロセスをワークフローとして定義した初動モデルを保持する初動モデル記録部と、
    発災を検知した際に、前記初動モデルに基づいて前記自治体の対象の職員に対して前記ワークフローに含まれるタスクを割り当てるとともに、前記タスクを割り当てられた前記職員が保有する携帯端末に対してネットワークを介して前記タスクを割り当てられた旨を通知し、前記職員による前記携帯端末での前記タスクの確認および入力に基づいて前記タスクが完了した旨を前記携帯端末を介して取得する指揮連絡部と、
    前記指揮連絡部によって取得した情報に基づいて、前記ワークフローの進捗状況に係る情報を保持する状況管理部と、
    前記状況管理部によって管理される進捗状況に基づいて、前記自治体の対象地域の防災マップと、前記防災マップ上における避難所の候補および前記発災時に開設された避難所に係る情報とを、前記ネットワークを介して前記対象地域に居住する住民の保有する住民端末に対して提供する防災マップ処理部と、を有し、
    前記初動モデルは、
    前記発災時に災害対策本部の設置要員である前記職員に対して安否確認および前記災害対策本部への参集の可否を問い合わせるタスクと、
    前記問い合わせに対し前記設置要員である職員が応答するタスクと、
    前記応答に基づいて把握される参集状況に応じて、前記災害対策本部の設置を指示して設置するタスクと、
    前記避難所の開設を指示するタスクと、
    前記避難所を開設するタスクと、
    前記発災時に開設された前記避難所に係る情報を含む前記防災マップを前記住民に対して公開するタスクと、
    前記発災時に開設された前記避難所における前記住民の受け入れ状況を入力して避難状況を把握するタスクと、を含
    前記サーバシステムは、前記職員の前記携帯端末の表示画面に、前記職員に割り当てられているタスクを含む前記ワークフローの一部を表示して、前記職員が現在実行すべきタスク部分を強調表示する機能を有する、
    発災時初動支援キット。
  2. 発災時における自治体の初動での対応を支援するサーバシステムを含む発災時初動支援キットであって、
    前記サーバシステムは、
    前記自治体が地域防災計画の初動時に行うべき業務プロセスとして前記自治体が住民に対し情報提供し避難支援を行う業務プロセスを含む業務プロセスをワークフローとして定義した初動モデルを保持する初動モデル記録部と、
    発災を検知した際に、前記初動モデルに基づいて前記自治体の対象の職員に対して前記ワークフローに含まれるタスクを割り当てるとともに、前記タスクを割り当てられた前記職員が保有する携帯端末に対してネットワークを介して前記タスクを割り当てられた旨を通知し、前記職員による前記携帯端末での前記タスクの確認および入力に基づいて前記タスクが完了した旨を前記携帯端末を介して取得する指揮連絡部と、
    前記指揮連絡部によって取得した情報に基づいて、前記ワークフローの進捗状況に係る情報を保持する状況管理部と、
    前記状況管理部によって管理される進捗状況に基づいて、前記自治体の対象地域の防災マップと、前記防災マップ上における避難所の候補および前記発災時に開設された避難所に係る情報とを、前記ネットワークを介して前記対象地域に居住する住民の保有する住民端末に対して提供する防災マップ処理部と、を有し、
    前記初動モデルは、
    前記発災時に災害対策本部の設置要員である前記職員に対して安否確認および前記災害対策本部への参集の可否を問い合わせるタスクと、
    前記問い合わせに対し前記設置要員である職員が応答するタスクと、
    前記応答に基づいて把握される参集状況に応じて、前記災害対策本部の設置を指示して設置するタスクと、
    前記避難所の開設を指示するタスクと、
    前記避難所を開設するタスクと、
    前記発災時に開設された前記避難所に係る情報を含む前記防災マップを前記住民に対して公開するタスクと、
    前記発災時に開設された前記避難所における前記住民の受け入れ状況を入力して避難状況を把握するタスクと、を含み、
    前記サーバシステムは、前記職員の前記携帯端末の表示画面に、前記初動モデルに基づいた全体状況把握を可能とする情報として、前記ワークフローに係る複数の職員の間における複数のタスクのシーケンスを表示する機能を有し、前記シーケンスの表示では、一方向に前記複数の職員をとり、もう一方向に時系列をとり、順序関係を持つタスク同士が線で接続されて表示される、発災時初動支援キット。
  3. 発災時における自治体の初動での対応を支援するサーバシステムを含む発災時初動支援キットであって、
    前記サーバシステムは、
    前記自治体が地域防災計画の初動時に行うべき業務プロセスとして前記自治体が住民に対し情報提供し避難支援を行う業務プロセスを含む業務プロセスをワークフローとして定義した初動モデルを保持する初動モデル記録部と、
    発災を検知した際に、前記初動モデルに基づいて前記自治体の対象の職員に対して前記ワークフローに含まれるタスクを割り当てるとともに、前記タスクを割り当てられた前記職員が保有する携帯端末に対してネットワークを介して前記タスクを割り当てられた旨を通知し、前記職員による前記携帯端末での前記タスクの確認および入力に基づいて前記タスクが完了した旨を前記携帯端末を介して取得する指揮連絡部と、
    前記指揮連絡部によって取得した情報に基づいて、前記ワークフローの進捗状況に係る情報を保持する状況管理部と、
    前記状況管理部によって管理される進捗状況に基づいて、前記自治体の対象地域の防災マップと、前記防災マップ上における避難所の候補および前記発災時に開設された避難所に係る情報とを、前記ネットワークを介して前記対象地域に居住する住民の保有する住民端末に対して提供する防災マップ処理部と、を有し、
    前記初動モデルは、
    前記発災時に災害対策本部の設置要員である前記職員に対して安否確認および前記災害対策本部への参集の可否を問い合わせるタスクと、
    前記問い合わせに対し前記設置要員である職員が応答するタスクと、
    前記応答に基づいて把握される参集状況に応じて、前記災害対策本部の設置を指示して設置するタスクと、
    前記避難所の開設を指示するタスクと、
    前記避難所を開設するタスクと、
    前記発災時に開設された前記避難所に係る情報を含む前記防災マップを前記住民に対して公開するタスクと、
    前記発災時に開設された前記避難所における前記住民の受け入れ状況を入力して避難状況を把握するタスクと、を含み、
    前記サーバシステムは、前記初動モデルに基づいて、実際の発災時の初動対応行動をデータとして蓄積し、前記職員の前記携帯端末の表示画面に、前記職員毎に実行済みのタスクおよび実行日時を含む履歴情報を時系列で表示する機能を有し、前記履歴情報の表示では、横方向に前記複数の職員をとり、縦方向に時系列をとり、送信と受信のような関係で対応するタスク同士については同じ行に表示される、発災時初動支援キット。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の発災時初動支援キットにおいて、
    前記サーバシステムは、前記住民の所在位置の情報に基づいて、前記住民端末に情報を提供することで、前記住民に最寄りの前記避難所を指示し誘導する機能を有する、発災時初動支援キット。
  5. 請求項に記載の発災時初動支援キットにおいて、
    前記住民端末がGPS機能を備える場合に、前記サーバシステムは、前記住民端末から取得できる前記GPS機能による位置情報に基づいて前記住民の所在位置を把握して、前記住民に最寄りの前記避難所を指示し誘導し、
    前記住民端末は、Webブラウザを用いて、前記サーバシステムにアクセスし、表示画面に前記避難支援に係る情報を表示することができる、発災時初動支援キット。
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