以下に、図面を参照しながら本発明の乗用芝刈機にかかる一実施の形態の乗用芝刈機について説明する。
本実施の形態の乗用芝刈機1の主な構成について、図1、図2を用いて説明する。
図1は、本実施の形態における乗用芝刈機1の左側面図である。
また、図2は、本実施の形態における乗用芝刈機1の平面図である。
本実施の形態の乗用芝刈機1は、図1及び図2に示す通り、(1)左右一対の前輪3L、3Rと、左右一対の後輪4L、4Rとを有する走行車体10と、(2)走行車体10の前側の下部に連結された左右一対の昇降アーム100L、100Rと、(3)左右一対の昇降アーム100L、100Rに連結されたモーアユニット200と、(4)左右一対の昇降アーム100L、100Rによるモーアユニット200の刈高さを調整する刈高さ調整機構300と、を備えている。
また、走行車体10の後部には、エンジン(図示省略)が設けられており、走行車体10の前部には、ステップフロア5が設けられている。また、ステップフロア5の前側には操縦ハンドル6が配置され、後側には運転座席7が配置されている。また、運転座席7の左右両側には各種の操作レバー8が配置されており、後方には刈り草を収容するコンテナ9が昇降可能に配置されている。
また、運転座席7の下方には、ミッションケース(図示省略)が設けられており、エンジンからの駆動力が、ミッションケースの出力軸(図示省略)に連結された駆動力伝達軸(図示省略)を介してモーアユニット200の回転刈り刃(図示省略)に伝達される構成である。
また、このモーアユニット200は、芝刈りや草刈り作業を行うものであり、走行車体10に設けられた昇降シリンダー11の伸縮操作に左右一対の昇降アーム100L、100Rが連動することにより、上昇下降が可能となるように構成されている。
また、刈高さ調整機構300の左右一対の偏心カム330L、330Rを所望の位置に位置決めした後、モーアユニット200を下降作業状態にして走行車体10を走行させると、モーアユニット200が、モーアデッキ(刈刃ハウジング)210に収納された左右一対の回転刈刃201L、201R(図11(a)参照)によって、所望の刈高さで芝刈りや草刈りを行うことが出来る。そして、左右一対の回転刈刃201L、201Rによって刈り取られた刈草はモーアデッキ210の後端中央部から刈草排出ダクト(図示省略)から、コンテナ9内に搬送され収容される構成である。
次に、図3〜図10を用いて、左右一対の昇降アーム100L、100R、モーアユニット200、及び刈高さ調整機構300を中心に更に説明する。
図3は、左右一対の昇降アーム100L、100R、モーアユニット200及び刈高さ調整機構300を示す概略左側面図である。
また、図4は、モーアユニット200及び刈高さ調整機構300を示す概略平面図であり、図5は、図4のA部の部分拡大平面図である。
また、図6は、左右一対の昇降アーム100L、100R、モーアユニット200及び刈高さ調整機構300を右前方から見た概略斜視図であり、図7は、図6のA部の部分拡大斜視図である。
また、図8は、左右一対の昇降アーム100L、100R、モーアユニット200及び刈高さ調整機構300を左前方から見た概略斜視図である。
また、図9は、モーアデッキ210の要部を左前方から見た斜視図であり、左昇降アーム100L、左第2リンク500L等を主として示した図であり、右昇降アーム100R、右第2リンク500R等の図示は省略した。なお、図9では、左昇降アーム100Lの前端部100bは、左昇降アーム連結ステイ220Lから外された状態を示している。
また、図10は、図9に示した左昇降アーム100L、及び左第2リンク500Lの拡大斜視図である。
モーアユニット200は、上述した様に、2枚の回転刈り刃(図示省略)を回動可能に収納し、底面が開放された、平面視で略箱状のモーアデッキ210を有し、そのモーアデッキ210の左右後端部には、左右一対のリアホイール211L、211Rが回動可能に設けられていると共に、左右前端部には、左右一対のフロントホイール212L、212Rが回動可能に設けられている(図4参照)。
なお、本実施の形態では、左右一対のフロントホイール212L、212Rは、図4に示す様に、モーアデッキ210の左右幅方向の中心部から左右方向にそれぞれ所定距離ずらして配置されている。これにより、フロントホイール212L、212Rは、モーアデッキ210の左右幅方向の中心部の草を踏みつけることが無いので、中心部の草の刈残しを防止出来る。
また、モーアデッキ210の天板210tには、平面視で、左右一対の回転刈刃201L、201Rの回動軸芯213L、213Rより前側であって、且つ左右外側の位置に、平面視で略コの字状に屈曲された板状の左右一対の昇降アーム連結ステイ220L、220Rが立設されている(図3、図4参照)。
また、モーアデッキ210の天板210tには、平面視で、左右一対の昇降アーム連結ステイ220L、220Rより前側であって、且つ左右外側の位置に、縦長の左右一対の板状部材230L、230Rが立設されている(図3、図4参照)。更に、左右一対の板状部材230L、230Rには、長孔231(図3参照)が、その上端縁部231aが下端縁部231bより前側に位置する様に傾斜して形成されており、且つ、貫通孔232(図3参照)が、左右一対の偏心カム330L、330Rの外周縁部の所定範囲に形成された円弧状の凹部331の個数(本実施の形態では、11個)と同じ個数だけ、後述する連結パイプ部材341の両端部341aが回動可能に挿入される貫通孔233(図5参照)を中心とする同一半径の円弧上に形成されている。なお、左右一対の偏心カム330L、330Rの凹部331の個数、及び、左右一対の板状部材230L、230R上の貫通孔232の個数は、11個に限定されるものではない。
また、モーアデッキ210の天板210tには、平面視で、左右一対の昇降アーム連結ステイ220L、220Rより後側であって、且つ左右外側の位置に、平面視で略コの字状に屈曲された板状の左右一対の吊り下げアーム連結ステイ240L、240Rが立設されている(図3、図4参照)。
また、左右一対の昇降アーム100L、100Rは、後端部100aから前端部100bに向かう途中において、平面視で前方斜め外側に屈曲された第1屈曲部101と、平面視で前方に屈曲された第2屈曲部102とを有し、後端部100aから第1屈曲部101までと、前端部100bから第2屈曲部102までとは、互いに平行である。
また、左右一対の昇降アーム100L、100Rの前端部100bのそれぞれは、モーアデッキ210の天板210tに立設された左右一対の昇降アーム連結ステイ220L、220Rに対して、昇降アーム連結ピン221により回動自在に連結されている(図4参照)。
また、刈高さ調整機構300は、図3〜図8に示す様に、(1)モーアデッキ210上に形成された、上述した左右一対の板状部材230L、230Rと、(2)それぞれの後端部311は、上述した左右一対の吊り下げアーム連結ステイ240L、240Rに対して、吊り下げアーム連結ピン241により回動可能に連結されると共に、それぞれの前端部312には左右一対の補助輪320L、320Rが取り付けられた、平面視で互いに平行に配置された左右一対の吊り下げアームであって、それぞれの吊り下げアームの前後幅の略中央部の下面から下方に突き出した左右一対のストッパーピン固定部材313L、313Rには、左右一対の板状部材230L、230Rに形成された長孔231に移動可能に貫通配置されたストッパーピン314がそれぞれ固定された左右一対の吊り下げアーム310L、310Rと、(3)外形が側面視で略3/4円形板状の左右一対の偏心カムであって、それぞれの外周縁部に11個の円弧状の凹部331が、それぞれの偏心カムの回動中心330a(図3参照)からの距離が段階的に異なる位置に隣接して形成された左右一対の偏心カム330L、330Rと、(4)左右一対の偏心カム330L、330Rを連結する偏心カム連結部材340と、により構成されている。
また、左右一対のストッパーピン314は、長孔231の下端縁部に位置する場合を除き、その先端部314a側が、左右一対の偏心カム330L、330Rの縁部に形成された11個の凹部331の何れの凹部331とも嵌合可能となる様に構成されている。つまり、左右一対のストッパーピン314が長孔231の下端縁部に位置する場合は、その先端部314a側は、11個の凹部331の何れの凹部331とも嵌合することは出来ない。
更に、偏心カム連結部材340は、図3〜図5に示す様に、(1)左右一対の偏心カム330L、330Rをそれらの回動中心330aにおいて連結することで、左右一対の偏心カム330L、330Rの回動位置(位相)を常に一致させると共に、両端部341aが左右一対の板状部材230L、230Rの貫通孔233(図5参照)に回動可能に挿入された連結パイプ部材341と、(2)略L字形状に湾曲した把持部342a(図5参照)を作業者が把持して偏心カム330L、330Rを回動させて所望位置に位置決めするために、左偏心カム330Lの近傍において、連結パイプ部材341に平行な方向にスライド移動可能(図5の矢印B参照)に配置された位置決めピン342と、(3)連結パイプ部材341の左右両端の内で左偏心カム330Lの近傍に固定された位置決めピン保持アームであって、位置決めピン342を連結パイプ部材341に平行な方向(図5の矢印B参照)にスライド移動可能に保持すると共に、位置決めピン342の先端部342b側が左偏心カム330Lと干渉することなく左板状部材230Lの貫通孔232に挿入及び取り外し可能に保持する円筒状の保持部343a(図5参照)を有する位置決めピン保持アーム343(図5参照)と、(4)位置決めピン342の先端部342bから右側寄りの位置に設けられた、貫通孔232の孔径より大きな直径を有する円板状の鍔部342c(図5参照)と、位置決めピン保持アーム343との間に配置された圧縮スプリングであって、その復元力により、位置決めピン342の鍔部342cの左側面が左板状部材230Lの貫通孔232の外周部の右側面に常時当接する様に作用する圧縮スプリング344(図5参照)と、を有している。
なお、本実施の形態では、左右一対の偏心カム330L、330Rを連結パイプ部材341で連結したことにより、片側の偏心カム330Lを位置決めピン342で固定するのみで、刈高さの調整が可能となり、作業性が向上する。
また、モーアデッキ210の天板210tには、平面視で、左右一対の昇降アーム連結ステイ220L、220Rと、左右一対の板状部材230L、230Rとの間であって、且つ左右一対の板状部材230L、230Rの左右外側の位置に、平面視で略コの字状に屈曲された板状の左右一対の第1リンク連結ステイ250L、250Rが立設されている(図3、図4参照)。
また、モーアデッキ210の天板210tには、左右一対の昇降アーム100L、100Rの第1屈曲部101と第2屈曲部102の間の略下方の位置に、平面視で略コの字状に屈曲された板状の左右一対の第2リンク連結ステイ260L、260Rが立設されている(図4、図6参照)。なお、左右一対の第2リンク連結ステイ260L、260Rを、左右一対の昇降アーム100L、100Rの略下方に配置したことで、例えば、悪路走行時に昇降アーム100L、100Rにかかるロール方向の負荷を低減することが出来る。
また、モーアユニット200は、左右一対の第1リンク連結ステイ250L、250Rに回動可能に連結された左右一対の第1リンク400L、400Rを介して左右一対の吊り下げアーム310L、310Rから吊り下げられていると共に、左右一対の第2リンク連結ステイ260L、260R及び左右一対の吊り下げアーム連結ステイ240L、240Rの下端部に回動可能に連結された左右一対の第2リンク500L、500Rを介して左右一対の昇降アーム100L、100Rから吊り下げられている(図3、図4、図6、図8、図9参照)。
また、左右一対の第1リンク400L、400Rは、それぞれ第1上リンクプレート410と、第1下リンクプレート420とを有している(図3、図8参照)。
また、第1上リンクプレート410の上端部は、それぞれ左右一対の吊り下げアーム310L、310Rの前後幅の略中央部から後方寄りの位置に回動可能に連結され、第1下リンクプレート420の下端部は、それぞれ左右一対の第1リンク連結ステイ250L、250Rに回動可能に連結され、且つ、第1上リンクプレート410の下端部と第1下リンクプレート420の上端部とが第1連結ピン430により回動可能に連結されており、第1上リンクプレート410と第1下リンクプレート420は第1連結ピン430により、側面視で略ヘの字形状(図3参照)を成している。
また、左右一対の第2リンク500L、500Rは、それぞれ第2上リンクプレート510と、第2上リンクプレート510に回動可能に連結された第2下リンクプレート520と、第2外リンクプレート530と、第2下リンクプレート520と第2外リンクプレート530を両端に連結固定した連結軸540とを有している(図8〜図10)。
一方、左右一対の昇降アーム100L、100Rの第1屈曲部101の上面には、左右一対の第2上リンクプレート510を着脱可能で且つ回動可能に連結する左右一対の着脱部材550が溶接固定されている(図8、図10参照)。
また、左右一対の着脱部材550は、図10に示す様に、(1)略中央部に貫通孔(図示省略)をそれぞれ有し、所定間隔の隙間を残して互いに平行に配置された2枚の板状部材で形成された着脱基部551と、(2)着脱基部551の外側の板状部材の外側面に、スプリング552付きの着脱ピン553の先端部が、対向する着脱基部551のそれぞれに形成された貫通孔を常時貫通する様に着脱ピン553をスライド移動可能に保持するピンホルダー554と、(3)ピンホルダー554にスライド移動可能に収納された着脱ピン553とにより構成されている。
また、左右一対の第2上リンクプレート510の上端部が着脱部材550の上記隙間に挿入され、且つ、当該上端部に形成された長孔(図示省略)を介して、着脱ピン553の先端部が、着脱基部551のそれぞれに形成された貫通孔を貫通することにより、左右一対の第2上リンクプレート510の上端部が、左右一対の着脱部材550に回動可能に連結されている(図10参照)。
これにより、作業者が、スプリング552の復元力(即ち、ここでは伸びようとする力)に対抗して、着脱ピン553を矢印C方向(図10の矢印C参照)に引っ張ることにより、着脱ピン553の先端部が長孔から抜けるので、左右一対の第2リンク500L、500Rと左右一対の昇降アーム100L、100Rとの連結を、簡単な操作で解除することが出来る。
即ち、例えば、モーアユニット200をフリップアップの姿勢(モーアデッキ210の内部が前方に向かう様に傾斜した傾斜姿勢)にする際に、左右一対の第2リンク500L、500Rと左右一対の昇降アーム100L、100Rとの連結を、着脱ピン553を取り外すことなくワンタッチで解除することが出来、モーアデッキ210内部の清掃や点検などが可能となる。
また、左右一対の第2上リンクプレート510の上端部が、当該上端部に形成された長孔(図示省略)を介して、着脱ピン553により着脱基部551に連結されていることにより、例えば、リアホイール211L、211R(図3参照)が地面の凹凸を捉えて、モーアデッキ210の後部が上下動した時でもその動きが長孔により吸収されて、左右一対の昇降アーム100L、100Rへの衝撃が緩和される。
また、左右一対の第2下リンクプレート520は、それぞれの上端部が、左右一対の第2上リンクプレート510の下端部と、第2内側連結ピン560(図6、図10参照)により回動可能に連結されており、側面視で略ヘの字形状を成している(図8、図10参照)。
また、左右一対の第2下リンクプレート520は、それぞれの下端部が、左右一対の連結軸540のそれぞれの一端部(即ち、モーアデッキ210の左右幅の中央側の端部)に固定されている(図8、図10参照)。
また、左右一対の第2外リンクプレート530は、左右一対の吊り下げアーム連結ステイ240L、240Rの外側に配置され、且つ、それぞれの下端部が、左右一対の連結軸540のそれぞれの他端部(即ち、モーアデッキ210の左右の外縁側の端部)に固定されている(図8、図10参照)。
また、左右一対の連結軸540の一端部は、モーアデッキ210の天板210tに固定された左右一対の第2リンク連結ステイ260L、260Rにより回動可能に連結され、且つ、左右一対の連結軸540の他端部側は、モーアデッキ210の天板210tに固定された左右一対の吊り下げアーム連結ステイ240L、240Rにより回動可能に連結されている(図6、図8〜図10参照)。
また、左右一対の第1リンク400L、400Rと、左右一対の第2リンク500L、500Rは、左右一対のロッド部材600L、600Rにより回動可能に連結されている(図3、図4参照)。
即ち、左右一対のロッド部材600L、600Rの前端部610のそれぞれは、左右一対の第1リンク400L、400Rの第1連結ピン430に対して回動可能に連結されており、且つ、後端部620のそれぞれは、左右一対の第2外リンクプレート530の上端部の孔部に貫通挿入された第2外側連結ピン561に対して回動可能に連結されている(図3、図10参照)。
これにより、本実施の形態では、左右一対の第1リンク400L、400Rと、左右一対の第2リンク500L、500Rは、左右一対のロッド部材600L、600Rで連結されることで、左右一対の第1リンク400L、400Rの第1下リンクプレート420と、左右一対の第2リンク500L、500Rの第2外リンクプレート530と、左右一対のロッド部材600L、600Rと、モーアデッキ210の天板210tとにより、平行リンク構造が形成されている。
この平行リンク構造によって、刈高さ調整機構300により刈高さが変更されてもモーアデッキ210を地面に対して平行に吊り下げることが出来る。
なお、本実施の形態の走行車体10は、本発明の走行車体の一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の昇降アーム100L、100Rは、本発明の昇降アームの一例にあたり、本実施の形態のモーアユニット200は、本発明のモーアユニットの一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の偏心カム330L、330Rは、本発明の偏心カムの一例にあたり、本実施の形態の刈高さ調整機構300は、本発明の刈高さ調整機構の一例にあたる。
また、本実施の形態の左右一対の補助輪320L、320Rは、本発明の補助輪の一例にあたり、本実施の形態の左右一対の吊り下げアーム310L、310Rは、本発明の吊り下げアームの一例にあたる。また、本実施の形態のストッパーピン314は、本発明の当接ピンの一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の板状部材230L、230Rは、本発明の板状部材の一例にあたり、本実施の形態の左右一対の長孔231は、本発明の長孔の一例にあたる。
また、本実施の形態の左右一対の第1リンク400L、400Rは、本発明の第1リンクの一例にあたり、本実施の形態の左右一対の第2リンク500L、500Rは、本発明の第2リンクの一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対のロッド部材600L、600Rは、本発明のロッド部材の一例にあたる。
次に、上記構成に基づいて、本実施の形態の刈高さ調整機構300の動作について、主として図3、図5、図11(a)〜図11(c)を用いて説明する。
図11(a)は、刈高さが最も高くなる様に左右一対の偏心カム330L、330Rを設定した場合の、モーアユニット200の地面からの高さ、及び姿勢等を示す左側面図である。
また、図11(b)は、刈高さが中間の高さになる様に左右一対の偏心カム330L、330Rを設定した場合の、モーアユニット200の地面からの高さ、及び姿勢等を示す左側面図である。
また、図11(c)は、刈高さが最も低くなる様に左右一対の偏心カム330L、330Rを設定した場合の、モーアユニット200の地面からの高さ、及び姿勢等を示す左側面図である。
なお、図11(a)〜図11(c)は、左板状部材230Lに対する、ストッパーピン314及び左偏心カム330Lの位置関係を明確に示すために、各部材の輪郭線は、それらの配置関係に関わらず便宜上実線で示した。また、左第1リンク400L、左第2リンク500Lについても、その輪郭線は、それらの配置関係に関わらず便宜上実線で示した。
まず、作業者が、左右一対の偏心カム330L、330Rの位置決めを行う場合について、図3、図5を用いて説明する。
ここでは、左右一対の昇降アーム100L、100Rを昇降させる昇降シリンダー11が最下げ状態にあって、左右一対の補助輪320L、320Rが地面に接地しており、且つ、左右一対のストッパーピン314が左右一対の偏心カム330L、330Rの所定の凹部331に嵌合することで、モーアユニット200は所定の刈高さに設定されているものとする。
作業者は、各種操作レバー8の内で、左右一対の昇降アーム100L、100Rを昇降させるための操作レバーを操作して、左右一対の昇降アーム100L、100Rを上昇させると、左右一対の昇降アーム100L、100Rの前端部100bに、左右一対の昇降アーム連結ステイ220L、220Rを介して連結されたモーアユニット200が上昇を開始する。
モーアユニット200の上昇に伴って、モーアデッキ210上に固定された左右一対の板状部材230L、230Rに設けられた長孔231も上昇を開始するが、その時点では、左右一対の補助輪320L、320Rは接地したままであり、まだ上昇しない(図3参照)。
即ち、この段階では、モーアデッキ210及び長孔231の上昇に伴って、左右一対の吊り下げアーム310L、310Rは、その自重により、左側面視で吊り下げアーム連結ピン241(図3参照)を回動中心として相対的に反時計回りに回動する。このため、左右一対の吊り下げアーム310L、310Rに、ストッパーピン固定部材313L、313Rを介して固定されている左右一対のストッパーピン314は、直前まで互いに嵌合していた左右一対の偏心カム330L、330Rの所定の凹部331から離れて、上昇する長孔231に沿ってその内側を相対的に斜め下方に移動して行き、最終的に長孔231の下端縁部に到達する。
その後、更にモーアユニット200が上昇動作を続けると、左右一対のストッパーピン314は、その下面側が長孔231の下端縁部に当接したまま持ち上げられるので、左右一対のストッパーピン314が固定されている左右一対の吊り下げアーム310L、310Rは、左右一対の補助輪320L、320Rと共に上昇を開始する。
作業者は、この時点で操作レバーを操作して、左右一対の昇降アーム100L、100Rの上昇を停止させる。
即ち、この段階では、左右一対の板状部材230L、230Rに回動可能に取り付けられている左右一対の偏心カム330L、330Rは、左右一対のストッパーピン314との嵌合が外れた位置にあるので、大きな力を用いなくても回動が可能となる。
よって、作業者は、位置決めピン342(図5参照)の把持部342aを手で持って、その先端部342bを、圧縮スプリング344の伸長力に対抗して左板状部材230Lの貫通孔232から引き抜いて、連結パイプ部材341を回動の軸心として側面視で時計回り又は反時計回りに軽い力で回動させることが出来る。これにより、作業者は、連結パイプ部材341の先端部に固定された左偏心カム330Lを、軽い力で所望の刈高さに対応する位置に回動させることが出来る。左偏心カム330Lに対して、連結パイプ部材341により連結固定されている右偏心カム330Rは、左偏心カム330Lと同期して回動する。
即ち、作業者は、位置決めピン342の把持部342aを持って、連結パイプ部材341を回動させることにより、左偏心カム330Lを所望の刈高さに対応する位置まで回動した後、位置決めピン342の先端部342bを、11種類の刈高さに対応する位置に設けられている貫通孔232(左板状部材230Lに形成されている)の内の所望の位置に挿入することで、左偏心カム330Lの位置が固定されると共に、左偏心カム330Lに連結パイプ部材341を介して連結固定されている右偏心カム330Rの位置も同時に固定される。
なお、位置決めピン342の先端部342bが挿入可能な貫通孔232は、左板状部材230Lに11個形成されており、それぞれの貫通孔232は、左偏心カム330Lの11個の凹部331と、一対一対応している。そして、位置決めピン342の先端部342bを何れの貫通孔232に挿入した場合でも、その挿入された貫通孔232に対応する左偏心カム330Lの凹部331が、長孔231の開口部に位置して、ストッパーピン314の先端部314a側と嵌合可能となる。
次に、モーアユニット200の刈高さを確定させる場合について、図11(a)〜図11(c)を用いて説明する。
(1)左右一対の偏心カム330L、330Rの位置決めの動作:
左右一対の昇降アーム100L、100Rを上昇させて、左右一対の偏心カム330L、330Rを所望の刈高さの位置に位置決めする動作については、上述した通りである。
なお、図11(a)〜図11(c)では、設定された刈高さの位置がそれぞれ異なる。
(2)左右一対の昇降アーム100L、100Rの最下げ位置への下降の動作:
(2−1)左右一対の偏心カム330L、330Rを所望の刈高さの位置に位置決めした時点では、左右一対の吊り下げアーム310L、310Rの後端部311は、左右一対の吊り下げアーム連結ステイ240L、240Rの吊り下げアーム連結ピン241により回動可能に支持されており、且つ、中央部は、左右一対の吊り下げアーム310L、310Rから下方に突き出した左右一対のストッパーピン固定部材313L、313Rに固定された左右一対のストッパーピン314が、長孔231の下端縁部231bに当接することで下方から持ち上げられて支持されている。
(2−2)その後、作業者が操作レバーを操作して、最下げ状態に設定し、昇降シリンダー11内の圧力が抜けると、モーアユニット200と左右一対の吊り下げアーム310L、310Rと左右一対の補助輪320L、320Rが自重により降下して、左右一対の補助輪320L、320Rが最初に地面に接触する。
なお、昇降シリンダー11(図1参照)を最下げ状態に設定した場合、昇降シリンダー11内の圧力が抜けることで、左右一対の昇降アーム100L、100Rは、左側面視で反時計回りに回動し、モーアユニット200が最低の刈高さHc(図11(c)参照)になるまで自重により降下可能に構成されているが、実際には、左右一対の偏心カム330L、330Rによる刈高さの設定により、モーアユニット200が降下出来る高さが決まる。
(2−3)左右一対の補助輪320L、320Rが接地した後も、モーアユニット200は、更に降下を続ける。
これにより、左右一対のストッパーピン314は、左右一対の長孔231の下端縁部231bから離れて相対的に斜め上方に移動することで、左右一対の偏心カム330L、330Rの予め設定された所望の凹部331に近づき、やがてその所望の凹部331と嵌合して、モーアユニット200の降下が停止する。
なお、左右一対のストッパーピン314が、左右一対の長孔231の下端縁部231bから離れて相対的に斜め上方に移動を開始すると、左右一対の第1リンク400L、400R及び左右一対の第2リンク500L、500Rが連動することで、モーアユニット200の左右一対の回転刈刃201L、201Rの下端部201aは、地面G(図11(a)参照)に対して平行な姿勢に保たれる。この平行リンク構造の動作については、更に後述する。
これにより、モーアユニット200の刈高さHが予め設定された所望の高さ(図11(a)〜図11(c)の符号Ha、Hb、Hc参照)に確定する。
即ち、図11(a)では、モーアユニット200の刈高さHが最高の刈高さHaに確定し、図11(b)では、モーアユニット200の刈高さが中間の刈高さHbに確定し、図11(c)では、モーアユニット200の刈高さが最低の刈高さHcに確定した状態を示している。
なお、各種刈高さHa〜Hcは、左右一対の回転刈刃201L、201Rの刃の下端部201aの地面G(図11(a)参照)からの高さを表しており、Ha>Hb>Hcの関係を有している。
具体的には、図11(a)では、位置決めピン342の先端部342bが、11種類の刈高さに対応する位置に設けられている貫通孔232(左板状部材230Lに形成されている)の内の「最高の刈高さHa(例えば、125mm)」に対応する位置に設けられている第1貫通孔232aに挿入されており、且つ、左右一対のストッパーピン314が、左右一対の偏心カム330L、330Rの回動中心330aから最も遠い位置、即ち、「最高の刈高さHa」に対応する位置に設けられている第1凹部331aと嵌合して、モーアユニット200の刈高さが最高の刈高さHaに確定している状態を示している。
また、図11(b)では、位置決めピン342の先端部342bが、11種類の刈高さに対応する位置に設けられている貫通孔232(左板状部材230Lに形成されている)の内の「中間の刈高さHb(例えば、75mm)」に対応する位置に設けられている第2貫通孔232bに挿入されており、且つ、左右一対のストッパーピン314が、左右一対の偏心カム330L、330Rの回動中心330aから中間位置、即ち、「中間の刈高さHb」に対応する位置に設けられている第2凹部331bと嵌合して、モーアユニット200の刈高さが中間の刈高さHbに確定している状態を示している。
また、図11(c)では、位置決めピン342の先端部342bが、11種類の刈高さに対応する位置に設けられている貫通孔232(左板状部材230Lに形成されている)の内の「最低の刈高さHc(例えば、25mm)」に対応する位置に設けられている第3貫通孔232cに挿入されており、且つ、左右一対のストッパーピン314が、左右一対の偏心カム330L、330Rの回動中心330aから最も近い位置、即ち、「最低の刈高さHc」に対応する位置に設けられている第3凹部331cと嵌合して、モーアユニット200の刈高さが最低の刈高さHcに確定している状態を示している。
(3)平行リンク構造の動作:
ここでは、上述した平行リンク構造の動作について、図9、図11(a)、図11(b)を用いて更に説明する。
上記項目(2−2)及び(2−3)で説明した様に、作業者が操作レバーを操作して、昇降シリンダー11を最下げ状態に設定することで、モーアユニット200が自重により降下を開始して、左右一対の補助輪320L、320Rが接地したとする。その時点では、左右一対のストッパーピン314は、上述した様に、長孔231内を斜め上方へ相対的に移動を開始するが、左右一対の偏心カム330L、330Rの凹部331にまだ当接していない状況にあるとする。
一方、左右一対の補助輪320L、320Rが接地した後、左右一対のストッパーピン314が、左右一対の偏心カム330L、330Rの凹部331に当接し嵌合するまでは、モーアユニット200は降下を続ける。この時、補助輪320L、320Rの接地により左右一対の吊り下げアーム310L、310Rのそれぞれの前端部312(図11(a)参照)の高さはほぼ固定され、それぞれの後端部311(図11(a)参照)が下降するため、左右一対の吊り下げアーム310L、310Rは地面G(図11(a)参照)に対する角度が変化する。
また、これと同時に第1上リンクプレート410と第2上リンクプレート510は左側面視で反時計回りに回動するが(図11(a)、図11(b)参照)、両リンクプレートは左右一対のロッド部材600L、600R、左右一対の第2外リンクプレート530、連結軸540を介してそれぞれ連結しており(図9、図11(b)参照)、かつ第1上リンクプレート410と第2上リンクプレート510は不等長であるため、左右一対の吊り下げアーム310L、310Rに対する左右一対のロッド部材600L、600Rの角度はモーアユニット200の下降に応じて変化する。
第1上リンクプレート410と第2上リンクプレート510の長さの比は補助輪320L、320Rの設置後のモーアユニット200の降下中に左右一対のロッド部材600L、600Rが地面に対して常に略平行となるように設計されている。そのため、第1上リンクプレート410と第2上リンクプレート510、左右一対のロッド部材600L、600Rは台形リンクのような構造となり、モーアユニット200の下降に応じて左右一対の吊り下げアーム310L、310Rの地面に対する角度が変化するのに対して、左右一対のロッド部材600L、600Rは地面に対して略平行に保たれる。
さらに、左右一対の第2外リンクプレート530と第1下リンクプレート420は同じ長さに設計されおり、左右一対のロッド部材600L、600R、モーアデッキ210の天板210tとで平行リンクを形成している。
その結果として、この平行リンク構造の作用により、モーアユニット200は、地面に平行な姿勢を維持しつつ許容限界まで下方に下がり、最終的に、左右一対のストッパーピン314が左右一対の偏心カム330L、330Rの凹部331に当接した位置で、下方への移動を停止することになる。
なお、本実施の形態では、モーアデッキ210の前側の左端にはメンテナンス用把持部202が設けられており、且つ、モーアデッキ210の左端にはメンテナンス用把持部202の取り付け位置の後方に滑り止め付プレート203が設けられている(図1、図2参照)。
これにより、昇降シリンダー11を最上げ状態にして、左右一対の昇降アーム100L、100Rを最上昇させた場合(図12参照)、前側に重心があるモーアユニット200を更に立ち上がらせてフリップアップの姿勢にするために、作業者が、滑り止め付プレート203を足で前方に押さえつけながら、メンテナンス用把持部202を手で握って引き上げることで、フリップアップの姿勢を維持させることが出来る。
また、本実施の形態では、図12に示す様に、左右一対の昇降アーム100L、100Rのそれぞれの第1屈曲部101に溶接固定されたコーナープレート103(図4、図10、図12参照)には、左右一対の昇降アーム100L、100Rを最上昇させた場合にモーアデッキ210の後部が左右一対の昇降アーム100L、100R等と干渉しない様にするための左右一対の干渉防止ピン104(図12参照)が、高さ調節可能に取り付けられている。なお、干渉防止ピン104の先端部104aはゴム部材で覆われている。
図12は、昇降シリンダー11を最上げ状態にした場合のモーアユニット200及びその周辺の構成を示す左側面図である。
これにより、昇降シリンダー11を最上げ状態にした場合にモーアデッキ210の後部が左右一対の昇降アーム100L、100R等と干渉することが防止出来て、これらの部材の破損を防止することが出来る。
また、干渉防止ピン104の高さは調整可能に構成されているので、モーアユニット200の重心が前側にあれば、昇降シリンダー11を最上げ状態にした場合、モーアデッキ210の後部は常に干渉防止ピン104の先端部104aと当接し、モーアデッキ210の姿勢、即ち、傾斜角度を任意に設定することが出来る。
また、昇降シリンダー11を最上げ状態にして乗用芝刈機1を走行させる場合、モーアユニット200の重心が前側にあれば、モーアデッキ210の後部は常に干渉防止ピン104の先端部104aと当接しているので、モーアユニット200のバタツキを防止出来、モーアデッキ210の姿勢が安定する。
なお、上記実施の形態では、平行リンク構造は、左右一対の偏心カム330L、330Rの設定位置に関わらず、即ち、刈高さの設定に関わらず、モーアデッキ210が常に地面に対して平行になる様に構成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、刈高さHが、上述した中間の刈高さHbより高い所謂「高刈り(例えば、95mm以上)」に設定された場合は、地面G(図11(a)参照)を基準として、モーアデッキ210の後部を前部よりも高くする様に構成しても良い。この場合、例えば、左右一対の偏心カム330L、330Rを、刈高さHが95mmになる様に設定することで、左右一対の回転刈刃201L、201Rの刃の下端部201aの前端部の地面G(図11(a)参照)からの高さが約95mmとなり、下端部201aの後端部の地面Gからの高さが約117mmとなる構成としても良い。
これにより、モーアデッキ210の前部を基準として後部を地面Gから高く設定することで、左右一対の回転刈刃201L、201Rの前部と後部で2度刈りを防止出来るので、駆動部への負荷が低減出来る。
また、上記実施の形態では、左右一対の吊り下げアーム310L、310Rは、それらの後端部311が、左右一対の吊り下げアーム連結ステイ240L、240Rにより回動可能に支持されている場合について説明したが、これに限らず例えば、左右一対の吊り下げアーム310L、310Rは、それらの前端側において互いに連結する構成であっても良い。これにより、左右一対の吊り下げアーム310L、310Rの姿勢がより安定する。また、この構成の場合、連結する位置は、平面視でモーアデッキ210の最前部より少し後方とするのが好ましい。これにより、例えば、木の幹の周りに生えている芝を刈る場合、その木の幹がモーアデッキ210の最前部に当接するまで、木の下に侵入できるので作業性が向上する。
また、上記実施の形態では、片側の偏心カム330Lを位置決めピン342で固定するのみで、刈高さの調整が可能となる構成について説明したが、これに限らず例えば、左右両方の偏心カム330L、330Rのそれぞれに位置決めピン342を設け、左右両方の偏心カム330L、330Rのそれぞれを位置決めピン342で個別に固定する構成としても良い。
また、上記実施の形態では、昇降アームが左右に設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、昇降アームが中央に一つ設けられていても良い。
また、上記実施の形態では、偏心カムが左右に設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、偏心カムが1つしか設けられていない構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、吊り下げアームが左右に設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、吊り下げアームが中央に配置され、平面視で略T字形状を成し、略T字形状の両端部にそれぞれ補助輪が設けられている構成としても良い。
また、上記実施の形態では、11種類の刈高さHが設定可能に構成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、刈高さHの種類は、11より少なくても良いし、11より多くても良い。