JP6822395B2 - 医療用観察装置及び医療用観察装置のレンズ鏡筒 - Google Patents

医療用観察装置及び医療用観察装置のレンズ鏡筒 Download PDF

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Description

本技術は被写体を撮像する撮像光学系を有する鏡筒ユニットと撮像素子を有する素子ユニットとを備え医療分野において用いられる医療用観察装置及び医療用観察装置のレンズ鏡筒についての技術分野に関する。
特開2004−81231号公報 特開2011−104068号公報
例えば、病院等の医療機関における手術や治療や検査等の施術において、患者の患部を観察することにより施術の効率化を図る医療用観察装置がある。このような医療用観察装置は、例えば、ロボットアーム等の先端部に取り付けられ、アームを動作させて必要な向きや角度に設定されることにより患者の患部を所望の方向から観察できるようにして使用されたり、施術者に把持された状態で使用される。医療用観察装置によって撮像された画像や映像はモニターやディスプレイ等の表示部に映し出される。
このような医療用観察装置には被写体を撮像する撮像光学系と撮像光学系によって撮像された被写体の像を光電変換する撮像素子とを備え、撮像光学系が筐体に配置され撮像素子が素子ホルダーに保持され筐体と素子ホルダーが結合されて構成されたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
ところで、医療用観察装置は手術や治療や検査等の施術において用いられるため、施術前にオートクレーブと称される滅菌処理が行われる。オートクレーブは、例えば、100°C以上の高温下に10分程度放置されることにより行われるため、医療用観察装置が高温に耐え得る構成にされている必要があるが、耐熱性を確保するために筐体を金属材料によって形成すると、医療用観察装置の軽量化に支障を来してしまう。特に、医療用観察装置が施術者に把持されて使用される場合には、軽量化を図ることは極めて重要である。
従って、撮像光学系が配置される筐体や撮像素子を保持する素子ホルダーはオートクレーブに対応した耐熱性を有すると共に軽量化を図ることが可能な材料によって形成されることが望ましい。
一方、撮像素子は素子ホルダーに接着等によって取り付けられて保持されるため、素子ホルダーを接着等に適した材料によって形成して撮像素子の良好な性能を確保する必要もある。
そこで、本技術医療用観察装置及び医療用観察装置のレンズ鏡筒は、上記した問題点を克服し、軽量化を図ると共に撮像素子の良好な性能を確保することを目的とする。
第1に、本技術に係る医療用観察装置のレンズ鏡筒は、被写体を撮像する撮像光学系と前記撮像光学系が配置された筐体とを有する鏡筒ユニットと、前記撮像光学系によって撮像された被写体の像を光電変換する撮像素子と前記撮像素子を保持する素子ホルダーとを有する素子ユニットとを備え、前記筐体が樹脂材料によって形成され、前記素子ホルダーが前記筐体と異なる材料によって形成され、前記筐体に放熱板が取り付けられ、前記撮像光学系に少なくとも一つのレンズが設けられ、前記レンズの少なくとも一つを保持し光軸方向へ移動される移動枠が設けられ、前記移動枠が樹脂材料によって形成され、前記移動枠の移動に伴って前記移動枠に保持された前記レンズが光軸方向へ移動されてオートフォーカシングが行われ、前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットの光軸方向に直交する面内における位置決めを行う少なくとも二つの偏心ピンが設けられ、前記鏡筒ユニットに少なくとも二つのピン挿入穴が形成され、前記素子ユニットに少なくとも二つのピン挿通孔が形成され、前記偏心ピンは一部が前記ピン挿入穴に挿入され他の一部が前記ピン挿通孔に挿通され、前記偏心ピンの少なくとも一つが軸回り方向へ回転されて前記鏡筒ユニットに対する前記素子ユニットの位置が調整され、少なくとも一つの前記ピン挿通孔が長穴状に形成され、前記偏心ピンには前記ピン挿通孔に挿通される挿通軸部と前記ピン挿入穴に挿入され前記挿通軸部に対して偏心された偏心軸部とが設けられ、全ての前記偏心ピンにおいて前記挿通軸部に対する前記偏心軸部の偏心量が同じにされたものである。
これにより、撮像光学系が配置された筐体が樹脂材料によって形成されると共に撮像素子を保持する素子ホルダーが筐体とは異なる材料によって形成され、筐体に放熱板が取り付けられる。また、樹脂材料によって形成された移動枠の光軸方向への移動に伴ってレンズが光軸方向へ移動されてオートフォーカシングが行われる。また、外部環境によって鏡筒ユニット又は素子ユニットが膨張又は収縮され鏡筒ユニットと素子ユニットの一方が他方に対して変位されたときに、外部環境の変化に応じた鏡筒ユニット又は素子ユニットの変位が許容される。また、全ての偏心ピンとして同一の偏心ピンを用いることが可能になる。
第2に、上記した医療用観察装置のレンズ鏡筒においては、軸方向が光軸方向にされた駆動軸と、前記駆動軸に平行な状態で配置されたガイド軸とが設けられ、前記移動枠が前記駆動軸と前記ガイド軸に支持され、前記移動枠が前記駆動軸から伝達される駆動力によって前記ガイド軸に案内されて移動されることが望ましい。
これにより、移動枠とレンズが駆動軸から伝達される駆動力によって光軸方向へ移動される直動式の駆動が行われる。
第3に、上記した医療用観察装置のレンズ鏡筒においては、前記偏心ピンによる前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットの位置決めが行われた状態において、前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットが光軸方向において締結用ネジによって結合されることが望ましい。
これにより、鏡筒ユニットと素子ユニットが位置決めされた状態が保持された上で締結用ネジによって結合される。
第4に、上記した医療用観察装置のレンズ鏡筒においては、前記締結用ネジに前記素子ユニットを前記鏡筒ユニットに押し付ける押さえバネが支持されることが望ましい。
これにより、外部環境の変化によって鏡筒ユニット又は素子ユニットが膨張又は収縮されたときに押さえバネが伸縮される。
第5に、上記した医療用観察装置のレンズ鏡筒においては、前記鏡筒ユニットに前記締結用ネジが螺合されるネジ穴が形成され、前記素子ユニットに前記締結用ネジが挿通されるネジ挿通孔が形成され、前記ネジ挿通孔の径が前記締結用ネジの径より大きくされることが望ましい。
これにより、外部環境によって鏡筒ユニット又は素子ユニットが膨張又は収縮されたときに、締結用ネジがネジ挿通孔に対して相対的に変位される。
本技術に係る医療用観察装置は、被写体を撮像する撮像光学系と前記撮像光学系が配置された筐体とを有する鏡筒ユニットと、前記撮像光学系によって撮像された被写体の像を光電変換する撮像素子と前記撮像素子を保持する素子ホルダーとを有する素子ユニットとを備え、前記筐体が樹脂材料によって形成され、前記素子ホルダーが前記筐体と異なる材料によって形成され、前記筐体に放熱板が取り付けられ、前記撮像光学系に少なくとも一つのレンズが設けられ、前記レンズの少なくとも一つを保持し光軸方向へ移動される移動枠が設けられ、前記移動枠が樹脂材料によって形成され、前記移動枠の移動に伴って前記移動枠に保持された前記レンズが光軸方向へ移動されてオートフォーカシングが行われ、前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットの光軸方向に直交する面内における位置決めを行う少なくとも二つの偏心ピンが設けられ、前記鏡筒ユニットに少なくとも二つのピン挿入穴が形成され、前記素子ユニットに少なくとも二つのピン挿通孔が形成され、前記偏心ピンは一部が前記ピン挿入穴に挿入され他の一部が前記ピン挿通孔に挿通され、前記偏心ピンの少なくとも一つが軸回り方向へ回転されて前記鏡筒ユニットに対する前記素子ユニットの位置が調整され、少なくとも一つの前記ピン挿通孔が長穴状に形成され、前記偏心ピンには前記ピン挿通孔に挿通される挿通軸部と前記ピン挿入穴に挿入され前記挿通軸部に対して偏心された偏心軸部とが設けられ、全ての前記偏心ピンにおいて前記挿通軸部に対する前記偏心軸部の偏心量が同じにされたものである。
これにより、撮像光学系が配置された筐体が樹脂材料によって形成されると共に撮像素子を保持する素子ホルダーが筐体とは異なる材料によって形成され、筐体に放熱板が取り付けられる。また、樹脂材料によって形成された移動枠の光軸方向への移動に伴ってレンズが光軸方向へ移動されてオートフォーカシングが行われる。また、外部環境によって鏡筒ユニット又は素子ユニットが膨張又は収縮され鏡筒ユニットと素子ユニットの一方が他方に対して変位されたときに、外部環境の変化に応じた鏡筒ユニット又は素子ユニットの変位が許容される。また、全ての偏心ピンとして同一の偏心ピンを用いることが可能になる。
本技術によれば、撮像光学系が配置された筐体が樹脂材料によって形成されると共に撮像素子を保持する素子ホルダーが筐体とは異なる材料によって形成されるため、軽量化を図ることができると共に撮像素子の良好な性能を確保することができる。
尚、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
図2乃至図18と共に本技術医療用観察装置及び医療用観察装置のレンズ鏡筒の実施の形態を示すものであり、本図は、医療用観察装置の分解斜視図である。 医療用観察装置の断面図である。 レンズ鏡筒の斜視図である。 レンズ鏡筒を図3とは異なる方向から見た状態で示す斜視図である。 鏡筒ユニットと素子ユニットを分離した状態で示すレンズ鏡筒の斜視図である。 レンズ鏡筒の断面図である。 移動枠等を示す拡大斜視図である。 一部を断面にして示す移動枠等の正面図である。 移動枠にフォーカスレンズが取り付けられた状態を示す正面図である。 鏡筒ユニットと素子ユニットが取付体によって結合された状態を示す拡大断面図である。 レンズ鏡筒の背面図である。 偏心ピンの拡大斜視図である。 鏡筒ユニットと素子ユニットの位置決めが行われる前の状態を示す概略背面図である。 鏡筒ユニットと素子ユニットの位置決めが行われた状態を示す概略背面図である。 鏡筒ユニットと素子ユニットの位置決めが行われ取付体によって鏡筒ユニットと素子ユニットが結合された状態を示す概略背面図である。 取付体の拡大斜視図である。 膨張又は収縮により鏡筒ユニットに対して素子ユニットが相対的に変位された状態を示す概略背面図である。 医療用観察装置の一例を示すブロック図である。
以下に、本技術を実施するための形態を添付図面を参照して説明する。
以下に示す実施の形態に係る医療用観察装置は動画撮影や静止画撮影を行うことができる医療用観察装置であり、レンズと撮像素子を結ぶ方向が光軸方向にされている。
以下の説明にあっては、光軸方向を前後方向とし、光軸方向に直交する所定の各方向を上下方向及び左右方向として方向を示すものとする。また、被写体側を前方とし、被写体の像が取り込まれる方向を後方として説明する。
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
また、以下に示すレンズ群は、単数又は複数のレンズにより構成されたものの他、これらの単数又は複数のレンズと絞りやアイリス等の他の光学素子を含んでもよい。
[医療用観察装置の概略構成]
先ず、医療用観察装置の概略構成について説明する(図1及び図2参照)。
医療用観察装置100は外筐1の内部にレンズ鏡筒2が配置されて構成されている。外筐1はチタン等の金属材料によって形成され、後方に開口された凹状のケース体3と前方に開口された浅い凹状のカバー体4とから成り、ケース体3とカバー体4が前後方向において結合されることにより構成されている。外筐1はレンズ鏡筒2を保護する機能を有する他、施術者が把持する把持部としても機能する。
ケース体3の前端部にはマニュアルフォーカスリング5が回転自在に支持されている。マニュアルフォーカスリング5を手動によって操作することにより、後述する移動枠とフォーカスレンズを光軸方向(前後方向)へ移動させて手動によるマニュアルフォーカシングを行うことが可能にされている。
ケース体3の前端部には図示しないリレーレンズが配置された挿入部6が取り付けられている。挿入部6は患者の患部等に挿入され、挿入部6を介してレンズ鏡筒2によって患部等の画像や映像が撮影される。撮影された画像や映像は図示しないモニターに表示され、施術者はモニターに表示された画像や映像を確認しながら施術を行う。
カバー体4の後面部には挿通孔4aが形成されている。挿通孔4aにはレンズ鏡筒2に対する電源の供給やレンズ鏡筒2によって撮像された画像や映像に関する信号を送受信するための図示しないケーブルが挿通される。
[レンズ鏡筒の構成]
レンズ鏡筒2は鏡筒ユニット7と素子ユニット8が前後方向において結合されて成る(図3乃至図6参照)。
鏡筒ユニット7は筐体9と筐体9の内外に配置された後述する複数のレンズを有する撮像光学系等の所要の各部とを有している。筐体9は耐熱性に優れた樹脂材料、例えば、ポリエーテルサルフォン(PES)等によって形成され、カーボンが含有されている。筐体9はフロントキャビネット10とバックキャビネット11が前後で結合されることにより構成されている。
フロントキャビネット10は前後方向を向く板状のベース板部12とベース板部12の下端部を除く部分から前方に突出されたレンズ保持部13とを有し、レンズ保持部13が前後に貫通された略円筒状に形成されている。
レンズ保持部13の内部には複数のレンズ14、14、・・・が光軸方向(前後方向)に並んで配置され、レンズ14、14、・・・がレンズ保持部13に保持されている。レンズ保持部13の前端部には絞り15が保持されている。
バックキャビネット11は前方及び下方に開口された箱状に形成され、上下方向を向く天面部16と前後方向を向く後面部17と左右方向を向く側面部18、18と後面部17の下端部から後方に突出された配置部19とを有している。配置部19は下方に開口された箱状に形成されている。
天面部16の外面と側面部18、18の外面にはそれぞれ放熱板20、20、・・・が取り付けられている。天面部16には、例えば、二つの放熱板20、20が取り付けられ、側面部18、18には、例えば、それぞれ一つずつの放熱板20、20が取り付けられている。放熱板20、20、・・・からは熱が放出され、温度上昇時において、筐体9の各部における温度上昇がそれぞれ抑制されている。特に、素子ユニット8の駆動時には素子ユニット8の後述する撮像素子からバックキャビネット11に伝達される熱量が大きく、素子ユニット8の駆動時に放熱板20、20、・・・からの放熱により筐体9の各部における温度上昇が抑制されると共に撮像素子の安定した駆動状態が確保される。
尚、筐体9にはカーボンが含有されているため、筐体9における高い伝熱性が確保されると共に筐体9の強度の向上が図られる。
後面部17の上端側には後方に開口された配置用凹部21が形成され、配置用凹部21を形成する部分には前後に貫通された透過孔22が形成されている。後面部17の下端寄りの位置には連通孔23が形成され、連通孔23によって筐体9における後面部17の前側の空間である内部空間11aと配置部19の内部の空間とが連通されている。
後面部17の外周部にはネジ穴24、24、24が形成されている。ネジ穴24、24、24は後方に開口されている。
後面部17にはそれぞれ後方に開口された第1のピン挿入穴25と第2のピン挿入穴26が形成されている。第1のピン挿入穴25は円形状に形成され、例えば、後面部17の上端部に位置され、第2のピン挿入穴26も円形状に形成され、例えば、第1のピン挿入穴25の下方において後面部17の一方の側部に位置されている。
バックキャビネット11の内部空間11aには金属材料によって形成されたガイド軸27、27が配置されている(図6乃至図8参照)。ガイド軸27、27はそれぞれ内部空間11aにおける上端部と下端部に配置され、軸方向における両端部がそれぞれレンズ保持部13と後面部17に取り付けられている。
バックキャビネット11の下端部には取付板28が取り付けられている。取付板28は上下方向を向き上下に延びる連結面部28aと連結面部28aの前端部から上方に突出された支持面部28bと連結面部28aの後端部から上方に突出された取付面部28cとを有している。取付面部28cは配置部19の内部における前端部に位置され、支持面部28bは内部空間11aにおける前端部に位置されている。
取付板28には取付面部28cの後面に駆動モーター29が取り付けられ、駆動モーター29は、例えば、ステッピングモーターであり、配置部19に配置されている。駆動モーター29の駆動軸(出力軸)はリードスクリュー30として設けられ、リードスクリュー30は取付面部28cを貫通されて内部空間11aに位置され、前端部が支持面部28bに支持されている。リードスクリュー30は金属材料によって形成されている。
ガイド軸27、27には移動枠31が摺動自在に支持されている。移動枠31は耐熱性に優れた樹脂材料、例えば、ポリエーテルサルフォン等によって形成され、前後方向を向くレンズ保持部32とレンズ保持部32の下端部から後方に突出された連結突部33と連結突部33に結合された支持軸部34と連結突部33から後方に突出されたスリーブ部35とを有している。
レンズ保持部32は下端部を除く部分が環状に形成されている。レンズ保持部32の環状に形成された部分には、例えば、ガラス材料によって形成されたフォーカスレンズ36が保持されている。レンズ保持部32の下端寄りの位置には後方に突出されたバネ支持片32aが設けられている。
連結突部33はレンズ保持部32から後方に突出された突状部33aと突状部33aの後端部から側方に突出された結合用突部33bとを有している。
支持軸部34は前後に延びる丸軸状に形成され、前端部がレンズ保持部32の下端部に結合され後端部が結合用突部33bに結合されている。
スリーブ部35は軸方向が前後方向にされた略円筒状に形成され、突状部33aから後方に突出されている。
移動枠31はレンズ保持部32の上端部とスリーブ部35がそれぞれガイド軸27、27に摺動自在に支持され、ガイド軸27、27に案内されてフォーカスレンズ36と一体になって光軸方向(前後方向)へ移動可能とされている。
フォーカスレンズ36は接着剤37、37、37によってレンズ保持部32に取り付けられている(図8及び図9参照)。接着剤37、37、37は弾力性を有し高温においても接着強度が低下し難い材料によって形成されている。接着剤37、37、37が弾力性を有し高温においても接着強度が低下し難い材料によって形成されることにより、レンズ鏡筒2に対して、例えば、100°C以上の高温下で10分程度放置されるオートクレーブが行われた際に、接着剤37、37、37によって移動枠31とフォーカスレンズ36の線膨張差が吸収される。従って、レンズ保持部32に対してフォーカスレンズ36が高い位置精度で保持されると共に落下等による衝撃の発生時におけるフォーカスレンズ36の破損やレンズ保持部32からの脱落を防止することができる。
支持軸部34には付勢バネ38とナット部材39が前後に並んで支持されている(図6及び図7参照)。付勢バネ38は、例えば、捩じりコイルバネであり、ナット部材39を後方に付勢すると共にナット部材39を支持軸部34の軸回り方向における一方へ付勢する機能を有している。ナット部材39は耐熱性及び摺動性がともに高い樹脂材料、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)によって形成され、リードスクリュー30の螺溝に螺合される図示しない螺合突部を有している。
ナット部材39は付勢バネ38によって支持軸部34の軸回り方向における一方へ付勢されることにより、螺合突部がリードスクリュー30に側方から押し付けられて螺合される。
このようにナット部材39は付勢バネ38の付勢力によって螺合突部がリードスクリュー30に側方から押し付けられて螺合されるため、振動等が発生した場合においてもリードスクリュー30に対する螺合突部の螺合が解除され難く、ナット部材39をリードスクリュー30に確実に螺合することができる。
また、ガイド軸27、27とリードスクリュー30が金属材料によって形成され移動枠31とナット部材39が樹脂材料によって形成されているため、ガイド軸27、27に対する移動枠31の良好な摺動性が確保されると共にリードスクリュー30が回転されたときのリードスクリュー30に対するナット部材39の良好な摺動性が確保される。
従って、移動枠31とフォーカスレンズ36を光軸方向へ円滑かつ確実に移動させることができる。
さらに、オートクレーブが行われたときには金属材料によって形成されたリードスクリュー30と樹脂材料によって形成されたナット部材39との線膨張率の相違により螺合突部のリードスクリュー30に対する位置が変化される可能性があるが、この場合においてもナット部材39は付勢バネ38の付勢力によって螺合突部がリードスクリュー30に側方から押し付けられて螺合されるため、ナット部材39のリードスクリュー30に対する良好な螺合状態を確保することができる。
さらにまた、ナット部材39は付勢バネ38によって後方へ付勢されることにより、リードスクリュー30の螺溝に螺合突部がリードスクリュー30の軸方向から押し当てられて螺合される。従って、バックラッシの発生を抑制することができる。
駆動モーター29の駆動力によってリードスクリュー30が回転されると、リードスクリュー30の回転方向に応じた方向へナット部材39が送られて移動枠31がガイド軸27、27に案内されてフォーカスレンズ36と一体になって前方又は後方へ移動され、オートフォーカシングが行われる。
上記したように、レンズ鏡筒2にあっては、フォーカスレンズ36を保持し光軸方向へ移動される移動枠31が樹脂材料によって形成されているため、移動枠31が軽量化され移動枠31の円滑な移動及びレンズ鏡筒2の軽量化を図ることができる。
また、移動枠31の移動に伴ってフォーカスレンズ36が光軸方向へ移動されてオートフォーカシングが行われ、軽量化された移動枠31が移動されてオートフォーカシングが行われるため、オートフォーカシングの動作速度が向上しフォーカシング動作における応答性の向上及びフォーカシング精度の向上を図ることができる。
さらに、移動枠31が駆動軸であるリードスクリュー30とガイド軸27、27に支持され、移動枠31とフォーカスレンズ36がリードスクリュー30から伝達される駆動力によってガイド軸27、27に案内されて移動される。
従って、移動枠31とフォーカスレンズ36がリードスクリュー30から伝達される駆動力によって光軸方向へ移動される直動式の駆動が行われ、簡素な構成によって移動枠31とフォーカスレンズ36が移動されレンズ鏡筒2の軽量化及び製造コストの低減を図ることができる。
移動枠31が筐体9の内部に配置された状態においては、移動枠31におけるスリーブ部35の一部を除いた部分が内部空間11aに位置され、スリーブ部35の一部と駆動モーター29が配置部19の内部に位置される(図6参照)。配置部19はバックキャビネット11における後面部17の下端部から後方に突出された部分であり、配置部19の上側で後面部17の後側には配置空間40が形成され、配置空間40には後述するように素子ユニット8と基板等が配置される。
このように配置空間40はレンズ鏡筒2に必要な構成である素子ユニット8等が配置される空間であり、配置空間40の下側に配置部19を設けて配置部19の内部にスリーブ部35の一部と駆動モーター29を位置させることにより、スペース効率の有効化が図られ、レンズ鏡筒2の小型化を図ることができる。
また、フロントキャビネット10より後側にスリーブ部35の一部と駆動モーター29を位置させることにより、フロントキャビネット10に回転自在に支持されたマニュアルフォーカスリング5と駆動モーター29等との干渉が回避され、マニュアルフォーカスリング5の良好な操作性を確保した上でレンズ鏡筒2の小型化を図ることができる。
さらに、レンズ鏡筒2の小型化を図ることができるため医療用観察装置100の全体の小型化を図ることも可能であり、施術者が外筐1を把持して医療用観察装置100を使用した際に医療用観察装置100を掴み易く、医療用観察装置100に対する把持性の向上を図ることもできる。
尚、レンズ鏡筒2にあっては、素子ユニット8の下側にスリーブ部35と駆動モーター29が位置される構成にされているため、移動枠31が縦長の形状に形成され(図8及び図9参照)、移動枠31の重量バランスが低下するおそれがあるが、ナット部材39は付勢バネ38の付勢力によって螺合突部がリードスクリュー30に側方から押し付けられて螺合されるため、リードスクリュー30に対する螺合突部の螺合が解除され難く、ナット部材39のリードスクリュー30に対する良好な螺合状態を確保することができる。
素子ユニット8はバックキャビネット11における後面部17に取り付けられ、配置空間40に配置されている(図3乃至図6参照)。
素子ユニット8は樹脂材料によって形成された素子ホルダー41と素子ホルダー41に接着等によって取り付けられて保持された撮像素子42とを有している(図5、図10及び図11参照)。
素子ホルダー41は鏡筒ユニット7の筐体9とは異なる樹脂材料、例えば、機械的強度に優れ耐熱性の高いエポキシ樹脂によって形成されている。従って、素子ホルダー41と筐体9は線膨張率が異なるようにされている。素子ホルダー41は略矩形の枠状に形成され、内側の空間が透孔41aとして形成されている。
撮像素子42は矩形状に形成され、素子ホルダー41の後面に透孔41aを後方から覆う状態で、例えば、エポキシ系の接着剤によって取り付けられている。
撮像素子42の前面には略矩形の枠状に形成されたシールゴム43が取り付けられ、シールゴム43の前面には赤外線カットフィルター44が取り付けられている。シールゴム43は一部が透孔41aを挿通された状態で撮像素子42に取り付けられ、シールゴム43によって撮像素子42に対する塵埃等の付着が防止されている。赤外線カットフィルター44はバックキャビネット11の後面部17に形成された透過孔22の直ぐ後側に位置されている。
撮像素子42の後面には基板45が、例えば、リフローによって接合されている(図6参照)。基板45としては、例えば、剛性の高い2枚のリジッド基板がその間に折り返された状態で配置されたフレキシブル配線板によって接続された構成にされている。
基板45にはフレキシブルプリント配線板46が接続されている。フレキシブルプリント配線板46は各部が折り曲げられて構成され(図3、図4及び図6参照)、各一部が配置部19の後面やフロントキャビネット10におけるレンズ保持部13の下面等に取り付けられ、各部分が所要の各部分にそれぞれ接続されている。フレキシブルプリント配線板46は一部が配置空間40において折り返された状態で配置され、折り返された部分の先端部が基板45に接続されている。
フレキシブルプリント配線板46には、外筐1のカバー体4に形成された挿通孔4aを挿通されたケーブルが接続され、外部電源からケーブル及びフレキシブルプリント配線板46を介して各部への電力の供給等が行われる。
上記のように、素子ユニット8においては基板45が撮像素子42にリフローによって接合されている。従って、素子ユニット8はリフロー炉において高温下に晒されるが、素子ホルダー41が耐熱性の高い樹脂材料によって形成されているため、リフローに対して十分に適応され、素子ホルダー41の変形等を来すことなく基板45の撮像素子42に対する良好な接合状態を確保することができる。
また、素子ホルダー41に対する撮像素子42の取付に用いられるエポキシ系の接着剤も高い耐熱性を有するため、リフローが行われた際においても撮像素子42の素子ホルダー41からの剥がれが発生することがなく、素子ホルダー41に対する撮像素子42の接着による良好な取付状態を確保することができる。
さらに、素子ホルダー41は撮像素子42の取付に用いられるエポキシ系の接着剤との適合性が高い樹脂材料によって形成されているため、エポキシ系の接着剤による高い接着強度が得られ、素子ホルダー41に対する撮像素子42の良好な接着状態を確保することもできる。
素子ホルダー41には何れも前後に貫通された第1のピン挿通孔47と第2のピン挿通孔48が形成されている(図5参照)。第1のピン挿通孔47は円形状に形成され、例えば、上端部の左右方向における中央部に位置され、第2のピン挿通孔48は長円状に形成され、例えば、第1のピン挿通孔47の下方において一方の側部に位置されている。第2のピン挿通孔48は長手方向が第1のピン挿通孔47と第2のピン挿通孔48を結ぶ方向にされている。
第1のピン挿通孔47の径はバックキャビネット11の後面部17に形成された第1のピン挿入穴25の径より大きくされ、第2のピン挿通孔48の径(幅)はバックキャビネット11の後面部17に形成された第2のピン挿入穴26の径より大きくされている。
素子ホルダー41には後方に開口された接着剤溜凹部49、49が形成され、接着剤溜凹部49、49はそれぞれ第1のピン挿通孔47と第2のピン挿通孔48に連続して位置されている。
素子ホルダー41の外周部には前後に貫通されたネジ挿通孔50、50、50が形成されている。
素子ユニット8は鏡筒ユニット7に第1の偏心ピン51と第2の偏心ピン52によって位置調整されることにより結合される。
第1の偏心ピン51は、図12に示すように、前後に延びる円柱状の挿通軸部53と挿通軸部53の前面から前方に突出された偏心軸部54と挿通軸部53の後面から後方に突出された被操作部55とから成り、被操作部55には操作用スリット55aが形成されている。偏心軸部54は挿通軸部53に対して偏心した位置にあり、偏心軸部54の中心軸が挿通軸部53の中心軸に対してずれている。
第1の偏心ピン51は後方から挿通軸部53が第1のピン挿通孔47に挿通され後方から偏心軸部54が第1のピン挿入穴25に挿入される(図13参照)。尚、図13、図14、図15及び図17の各図には、説明の理解を容易にするために、ネジ穴24とネジ挿通孔50の位置等を大きくずれた状態で誇張して示している。挿通軸部53と偏心軸部54はそれぞれ第1のピン挿通孔47と第1のピン挿入穴25に回転可能な状態で嵌合される。
第2の偏心ピン52は、図12に示すように、前後に延びる円柱状の挿通軸部56と挿通軸部56の前面から前方に突出された偏心軸部57と挿通軸部56の後面から後方に突出された被操作部58とから成り、被操作部58には操作用スリット58aが形成されている。偏心軸部57は挿通軸部56に対して偏心した位置にあり、偏心軸部57の中心軸が挿通軸部56の中心軸に対してずれている。
第1の偏心ピン51の挿通軸部53に対する偏心軸部54の偏心量と第2の偏心ピン52の挿通軸部56に対する偏心軸部57の偏心量とは同じにされている。
第2の偏心ピン52は後方から挿通軸部56が第2のピン挿通孔48に挿通され後方から偏心軸部57が第2のピン挿入穴26に挿入される(図13参照)。挿通軸部56は第2のピン挿通孔48に回転可能な状態で挿通され、偏心軸部57は第2のピン挿入穴26に回転可能な状態で嵌合される。
第1の偏心ピン51が第1のピン挿通孔47と第1のピン挿入穴25に挿入されると共に第2の偏心ピン52が第2のピン挿通孔48と第2のピン挿入穴26に挿入された状態において、第1の偏心ピン51又は第2の偏心ピン52が回転されることにより鏡筒ユニット7に対する素子ユニット8の位置調整が行われる(図14参照)。第1の偏心ピン51と第2の偏心ピン52の回転はそれぞれ操作用スリット55a、58aに挿入される図示しないドライバー等の治具が回転されることにより行われる。
鏡筒ユニット7に対する素子ユニット8の位置調整は鏡筒ユニット7における撮像光学系の光軸と素子ユニット8における撮像素子42の中心(中央)とが一致されることにより行われ、モニターに表示される鏡筒ユニット7の位置と素子ユニット8の位置を観察しながら行われる。
例えば、第1の偏心ピン51が回転されると、挿通軸部53が偏心軸部54を支点として偏心した状態で回転され、第1のピン挿入穴25に対する第1のピン挿通孔47の位置が変化されて鏡筒ユニット7に対する素子ユニット8の位置が変化される。このとき第1の偏心ピン51の回転に伴って第2の偏心ピン52が偏心軸部57を支点として回転される。
一方、第2の偏心ピン52が回転されると、挿通軸部56が偏心軸部57を支点として偏心した状態で回転され、第2のピン挿入穴26に対する第2のピン挿通孔48の位置が変化されて鏡筒ユニット7に対する素子ユニット8の位置が変化される。このとき第2の偏心ピン52の回転に伴って第1の偏心ピン51が偏心軸部54を支点として回転される。
このように第1の偏心ピン51又は第2の偏心ピン52を回転させて鏡筒ユニット7に対する素子ユニット8の位置を変化させ、撮像光学系の光軸と撮像素子42の中心とを一致させることにより鏡筒ユニット7に対する素子ユニット8の位置調整を終了する。
上記した鏡筒ユニット7と素子ユニット8の位置調整においては、挿通軸部53に対する偏心軸部54の偏心量と挿通軸部56に対する偏心軸部57の偏心量とが同じにされた第1の偏心ピン51と第2の偏心ピン52が用いられている。
従って、第1の偏心ピン51と第2の偏心ピン52として同一の偏心ピンを用いればよく、鏡筒ユニット7と素子ユニット8の位置調整を容易に行うことができると共にレンズ鏡筒2の製造コストの低減を図ることができる。
また、鏡筒ユニット7と素子ユニット8の位置調整が行われるため、撮像光学系と撮像素子42の位置ずれを考慮して撮像素子42の有効撮像範囲に対して予め撮像素子42における結像範囲を小さく設定する必要がないと共に結像範囲が有効撮像範囲からはみ出してしまうことがなく、撮像素子42の有効撮像範囲の全体を使用して画質の向上を図ることができる。
鏡筒ユニット7に対する素子ユニット8の位置調整が終了されると、鏡筒ユニット7と素子ユニット8が取付体59、59、59によって結合される(図10、図11及び図15参照)。
鏡筒ユニット7と素子ユニット8が取付体59、59、59によって結合されると、接着剤溜凹部49、49にそれぞれ図示しない接着剤が塗布されて第1の偏心ピン51と第2の偏心ピン52が素子ホルダー41に固定される。接着剤溜凹部49、49に塗布された接着剤によって第1の偏心ピン51と第2の偏心ピン52が素子ホルダー41に固定されることにより、第1の偏心ピン51と第2の偏心ピン52の素子ホルダー41からの脱落が防止される。
尚、接着剤溜凹部49、49に塗布される接着剤は弾性に富む接着剤であり、素子ホルダー41が第1の偏心ピン51と第2の偏心ピン52に対して一定の範囲で移動されたときに伸縮され、第1の偏心ピン51と第2の偏心ピン52の素子ホルダー41との接着状態が解除されないようにされている。
取付体59は締結用ネジ60と押さえ板61と押さえバネ62によって構成されている(図16参照)。
締結用ネジ60は回転操作用の溝を有する頭部60aと頭部60aから突出された螺軸部60bとから成る。螺軸部60bは素子ホルダー41のネジ挿通孔50に挿通されるが、ネジ挿通孔50の径は螺軸部60bの径より大きくされている。
押さえ板61はリング状に形成され、押さえ板61には締結用ネジ60の螺軸部60bが挿通されている。従って、押さえ板61は螺軸部60bに対して螺軸部60bの軸方向に移動可能にされている。
押さえバネ62は、例えば、ワッシャ状のバネであり、螺軸部60bに支持された状態で締結用ネジ60の頭部60aと押さえ板61の間に配置されている。押さえバネ62は螺軸部60bの軸方向において押さえ板61を頭部60aから離隔する方向へ付勢する機能を有している。
取付体59、59、59は、図10に示すように、それぞれ締結用ネジ60、60、60の螺軸部60b、60b、60bが素子ホルダー41のネジ挿通孔50、50、50に後方から挿入されバックキャビネット11の後面部17に形成されたネジ穴24、24、24に螺合される。螺軸部60bがネジ穴24に螺合されることにより、鏡筒ユニット7と素子ユニット8が位置決めされた状態で結合され素子ホルダー41の前面の一部が後面部7の後面の一部に接した状態にされる。鏡筒ユニット7と素子ユニット8が結合された状態においては、後面部17の配置用凹部21に素子ユニット8の一部が配置される。
尚、鏡筒ユニット7と素子ユニット8が位置決めされた状態においては、ネジ挿通孔50、50、50とネジ穴24、24、24の位置が光軸方向に直交する面内においてずれている可能性があるが、締結用ネジ60はタッピングネジとして設けられている。従って、ネジ挿通孔50、50、50とネジ穴24、24、24の位置がずれている場合であっても、締結用ネジ60が後面部17にねじ込まれていくため、鏡筒ユニット7と素子ユニット8の位置関係を変化させることなく鏡筒ユニット7と素子ユニット8を結合することができる。
このように締結用ネジ60がタッピングネジとして設けられ後面部17にねじ込まれていく構成にされているため、後面部17には予めネジ穴24を形成せずに締結用ネジ60が後面部17にねじ込まれていくことによりネジ穴24が形成されるようにしてもよく、また、後面部17に予め螺軸部60bより径の小さい穴を形成しておき締結用ネジ60が径の小さい穴にねじ込まれていくことによりネジ穴24が形成されるようにしてもよい。
上記したように、レンズ鏡筒2にあっては、第1の偏心ピン51と第2の偏心ピン52による鏡筒ユニット7と素子ユニット8の位置決めが行われた状態において、鏡筒ユニット7と素子ユニット8が光軸方向において締結用ネジ60、60、60によって結合される。
従って、鏡筒ユニット7と素子ユニット8が位置決めされた状態が保持された上で締結用ネジ60、60、60によって結合され、位置決めされた状態において鏡筒ユニット7と素子ユニット8の分離を防止することができる。
鏡筒ユニット7と素子ユニット8が取付体59、59、59によって結合された状態においては、押さえ板61、61、61が素子ホルダー41の後面に接した状態にされている。押さえ板61は押さえバネ62によって頭部60aから離隔する方向へ付勢されているため、素子ホルダー41が押さえ板61によって後方から押さえられ、素子ホルダー41が後面部17に密着される。
このときオートクレーブ等により外部環境の変化が生じ、筐体9と素子ホルダー41が前後方向において膨張又は収縮される場合があるが、この場合には押さえバネ62が弾性変形され膨張又は収縮による筐体9又は素子ホルダー41の寸法の変化量が吸収され、鏡筒ユニット7と素子ユニット8の良好な結合状態が保持される。
このように締結用ネジ60には素子ユニット8を鏡筒ユニット7に押し付ける押さえバネ62が支持されているため、締結用ネジ60によって鏡筒ユニット7と素子ユニット8が結合された状態において押さえバネ62によって素子ユニット8が鏡筒ユニット7に押し付けられる。
従って、外部環境の変化によって鏡筒ユニット7又は素子ユニット8が膨張又は収縮されたときに押さえバネ62が伸縮され、鏡筒ユニット7又は素子ユニット8が膨張又は収縮された状態においても両者の良好な結合状態を確保することができる。
また、オートクレーブ等により外部環境の変化が生じたときには、筐体9と素子ホルダー41が光軸方向に直交する面内においても膨張又は収縮される場合があり、この場合には筐体9と素子ホルダー41の線膨張率の相違により鏡筒ユニット7に対して素子ユニット8が光軸方向に直交する面内において相対的に変位される(図17参照)。
このとき素子ユニット8は第1の偏心ピン51の偏心軸部54を基準にして鏡筒ユニット7に対して相対的に変位され、第2の偏心ピン52の挿通軸部56に対して長穴状の第2のピン挿通孔48の位置が変化される。このように第2のピン挿通孔48が長穴状に形成されているため、鏡筒ユニット7に対する素子ユニット8の相対的な変位が許容される。
従って、外部環境によって鏡筒ユニット7又は素子ユニット8が膨張又は収縮され鏡筒ユニット7と素子ユニット8の一方が他方に対して変位されたときに、外部環境の変化に応じた鏡筒ユニット7又は素子ユニット8の変位が許容され、鏡筒ユニット7と素子ユニット8の歪みや変形を防止することができる。
また、鏡筒ユニット7と素子ユニット8の変位が許容されるため、筐体9と素子ホルダー41をそれぞれ必要な性能を確保するための最適な材料によって形成することができ、鏡筒ユニット7と素子ユニット8の機能性の向上を図ることができると共に良好な性能を確保することができる。
さらに、筐体9と素子ホルダー41を耐熱性や強度やコスト等を考慮した最適な材料によって形成することが可能であるため、鏡筒ユニット7と素子ユニット8の機能性の向上を図った上でレンズ鏡筒2の製造コストの低減を図ることができる。
尚、レンズ鏡筒2にあっては、上記したように、長穴状の第2のピン挿通孔48の長手方向が第1のピン挿通孔47と第2のピン挿通孔48を結ぶ方向にされている。従って、第1のピン挿通孔47に挿入された第1の偏心ピン51の偏心軸部54を基準にして素子ユニット8が鏡筒ユニット7に対して相対的に変位されたときに、第2の偏心ピン52の挿通軸部56が素子ユニット8の変位の妨げになり難く、素子ユニット8を鏡筒ユニット7に対して円滑に変位させることができる。
上記したように、素子ホルダー41のネジ挿通孔50、50、50の径はそれぞれ締結用ネジ60、60、60の螺軸部60b、60b、60bの径より大きくされている。
このようにネジ挿通孔50の径が螺軸部60bの径より大きくされているため、上記のように、外部環境によって鏡筒ユニット7又は素子ユニット8が光軸方向に直交する方向において膨張又は収縮されたときには、螺軸部60bがネジ挿通孔50に対して相対的に変位され、相対的に変位される素子ユニット8に螺軸部60bが干渉することがない。
従って、鏡筒ユニット7と素子ユニット8の良好な結合状態を確保した上で鏡筒ユニット7と素子ユニット8の相対的な変位が許容され、鏡筒ユニット7と素子ユニット8の歪みや変形を防止することができる。
オートクレーブ等が終了し外部環境が元の環境に戻ったときには膨張又は収縮されていた鏡筒ユニット7と素子ユニット8が元の状態に戻り、鏡筒ユニット7と素子ユニット8が外部環境の変化前の位置決めされた元の状態に復帰される。
以上に記載した通り、レンズ鏡筒2にあっては、鏡筒ユニット7の筐体9が樹脂材料によって形成され、素子ユニット8の素子ホルダー41が筐体9と異なる材料によって形成されている。
従って、撮像光学系が配置された筐体9が樹脂材料によって形成されると共に撮像素子42を保持する素子ホルダー41が筐体9とは異なる材料によって形成されるため、軽量化を図ることができると共に撮像素子42の良好な性能を確保することができる。
特に、医療用観察装置100は施術者に把持されて使用されるため、軽量化により施術者における使い勝手の向上を図ることができる。
また、筐体9と素子ホルダー41がともに樹脂材料によって形成されているため、金属材料よりも所望の形状に形成し易く、設計の自由度の向上を図ることができると共に筐体9を筐体9の内部に位置される構造に応じた必要最小限の大きさ及び形状に形成することが可能になり小型化を図ることもできる。
さらに、筐体9と素子ホルダー41がともに樹脂材料によって形成されるため、製造コストの低減を図ることができる。
[医療用観察装置の一実施形態]
図18に、本技術医療用観察装置の一実施形態のブロック図を示す。
医療用観察装置100は、撮像機能を担うレンズ鏡筒80(レンズ鏡筒2)と、撮影された画像信号のアナログ−デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部81と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部82とを有している。また、医療用観察装置100は、撮影された画像等を表示する表示部83と、メモリー90への画像信号の書込及び読出を行うR/W(リーダ/ライタ)84と、医療用観察装置100の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)85と、ユーザーによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等の入力操作部86と、レンズ鏡筒80に配置されたレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部87とを備えている。
レンズ鏡筒80は、レンズ群88(レンズ14、14、・・・及びフォーカスレンズ36)を含む撮像光学系や、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary
Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子89(撮像素子42)等とによって構成されている。
カメラ信号処理部81は、撮像素子89からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
画像処理部82は、所定の画像データーフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデーター仕様の変換処理等を行う。
表示部83はユーザーの入力操作部86に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデーターを表示する機能を有している。尚、医療用観察装置100においては、表示部83が設けられていなくてもよく、撮影された画像データがモニター等の他の表示部に送出されて画像が表示されるように構成されていてもよい。
R/W84は、画像処理部82によって符号化された画像データーのメモリー90への書込及びメモリー90に記録された画像データーの読出を行う。
CPU85は、医療用観察装置100に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能し、入力操作部86からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
入力操作部86はユーザーによる操作に応じた指示入力信号をCPU85に対して出力する。
レンズ駆動制御部87は、CPU85からの制御信号に基づいてレンズ群88のレンズ(フォーカスレンズ36)を駆動する駆動源(駆動モーター29)を制御する。
メモリー90は、例えば、R/W84に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリーである。
以下に、医療用観察装置100における動作を説明する。
撮影の待機状態では、CPU85による制御の下で、レンズ鏡筒80において撮影された画像信号が、カメラ信号処理部81を介して表示部83に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、入力操作部86からのフォーカシングのための指示入力信号が入力されると、CPU85がレンズ駆動制御部87に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部87の制御に基づいてレンズ群88の所定のレンズが移動される。
入力操作部86からの指示入力信号により撮影が行われると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部81から画像処理部82に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデーターフォーマットのデジタルデーターに変換される。変換されたデーターはR/W84に出力され、メモリー90に書き込まれる。
フォーカシングはCPU85からの制御信号に基づいてレンズ駆動制御部87がレンズ群88のフォーカスレンズ36を移動させることにより行われる。
メモリー90に記録された画像データーを再生する場合には、入力操作部86に対する操作に応じて、R/W84によってメモリー90から所定の画像データーが読み出され、画像処理部82によって伸張復号化処理が行われた後に、再生画像信号が表示部83に出力されて再生画像が表示される。
[本技術]
本技術は、以下のような構成にすることもできる。
(1)
被写体を撮像する撮像光学系と前記撮像光学系が配置された筐体とを有する鏡筒ユニットと、
前記撮像光学系によって撮像された被写体の像を光電変換する撮像素子と前記撮像素子を保持する素子ホルダーとを有する素子ユニットとを備え、
前記筐体が樹脂材料によって形成され、
前記素子ホルダーが前記筐体と異なる材料によって形成された
医療用観察装置のレンズ鏡筒。
(2)
前記撮像光学系に少なくとも一つのレンズが設けられ、
前記レンズの少なくとも一つを保持し光軸方向へ移動される移動枠が設けられ、
前記移動枠が樹脂材料によって形成された
前記(1)に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
(3)
前記移動枠の移動に伴って前記移動枠に保持された前記レンズが光軸方向へ移動されてオートフォーカシングが行われる
前記(2)に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
(4)
軸方向が光軸方向にされた駆動軸と、
前記駆動軸に平行な状態で配置されたガイド軸とが設けられ、
前記移動枠が前記駆動軸と前記ガイド軸に支持され、
前記移動枠が前記駆動軸から伝達される駆動力によって前記ガイド軸に案内されて移動される
前記(1)又は前記(2)に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
(5)
前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットの光軸方向に直交する面内における位置決めを行う少なくとも二つの偏心ピンが設けられ、
前記鏡筒ユニットに少なくとも二つのピン挿入穴が形成され、
前記素子ユニットに少なくとも二つのピン挿通孔が形成され、
前記偏心ピンは一部が前記ピン挿入穴に挿入され他の一部が前記ピン挿通孔に挿通され、
前記偏心ピンの少なくとも一つが軸回り方向へ回転されて前記鏡筒ユニットに対する前記素子ユニットの位置が調整され、
少なくとも一つの前記ピン挿通孔が長穴状に形成された
前記(1)から前記(4)の何れかに記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
(6)
前記偏心ピンには前記ピン挿通孔に挿通される挿通軸部と前記ピン挿入穴に挿入され前記挿通軸部に対して偏心された偏心軸部とが設けられ、
全ての前記偏心ピンにおいて前記挿通軸部に対する前記偏心軸部の偏心量が同じにされた
前記(5)に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
(7)
前記偏心ピンによる前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットの位置決めが行われた状態において、
前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットが光軸方向において締結用ネジによって結合された
前記(5)又は前記(6)に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
(8)
前記締結用ネジに前記素子ユニットを前記鏡筒ユニットに押し付ける押さえバネが支持された
前記(7)に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
(9)
前記鏡筒ユニットに前記締結用ネジが螺合されるネジ穴が形成され、
前記素子ユニットに前記締結用ネジが挿通されるネジ挿通孔が形成され、
前記ネジ挿通孔の径が前記締結用ネジの径より大きくされた
前記(8)に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
(10)
被写体を撮像する撮像光学系と前記撮像光学系が配置された筐体とを有する鏡筒ユニットと、
前記撮像光学系によって撮像された被写体の像を光電変換する撮像素子と前記撮像素子を保持する素子ホルダーとを有する素子ユニットとを備え、
前記筐体が樹脂材料によって形成され、
前記素子ホルダーが前記筐体と異なる材料によって形成された
医療用観察装置。
100…医療用観察装置、2…レンズ鏡筒、7…鏡筒ユニット、8…素子ユニット、9…筐体、14…レンズ、20…放熱板、24…ネジ穴、25…第1のピン挿入穴、26…第2のピン挿入穴、27…ガイド軸、30…リードスクリュー(駆動軸)、31…移動枠、36…フォーカスレンズ、41…素子ホルダー、42…撮像素子、47…第1のピン挿通孔、48…第2のピン挿通孔、50…ネジ挿通孔、51…第1の偏心ピン、52…第2の偏心ピン、53…挿通軸部、54…偏心軸部、56…挿通軸部、57…偏心軸部、60…締結用ネジ、62…押さえバネ、80…レンズ鏡筒、89…撮像素子

Claims (6)

  1. 被写体を撮像する撮像光学系と前記撮像光学系が配置された筐体とを有する鏡筒ユニットと、
    前記撮像光学系によって撮像された被写体の像を光電変換する撮像素子と前記撮像素子を保持する素子ホルダーとを有する素子ユニットとを備え、
    前記筐体が樹脂材料によって形成され、
    前記素子ホルダーが前記筐体と異なる材料によって形成され、
    前記筐体に放熱板が取り付けられ
    前記撮像光学系に少なくとも一つのレンズが設けられ、
    前記レンズの少なくとも一つを保持し光軸方向へ移動される移動枠が設けられ、
    前記移動枠が樹脂材料によって形成され、
    前記移動枠の移動に伴って前記移動枠に保持された前記レンズが光軸方向へ移動されてオートフォーカシングが行われ、
    前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットの光軸方向に直交する面内における位置決めを行う少なくとも二つの偏心ピンが設けられ、
    前記鏡筒ユニットに少なくとも二つのピン挿入穴が形成され、
    前記素子ユニットに少なくとも二つのピン挿通孔が形成され、
    前記偏心ピンは一部が前記ピン挿入穴に挿入され他の一部が前記ピン挿通孔に挿通され、
    前記偏心ピンの少なくとも一つが軸回り方向へ回転されて前記鏡筒ユニットに対する前記素子ユニットの位置が調整され、
    少なくとも一つの前記ピン挿通孔が長穴状に形成され、
    前記偏心ピンには前記ピン挿通孔に挿通される挿通軸部と前記ピン挿入穴に挿入され前記挿通軸部に対して偏心された偏心軸部とが設けられ、
    全ての前記偏心ピンにおいて前記挿通軸部に対する前記偏心軸部の偏心量が同じにされた
    医療用観察装置のレンズ鏡筒。
  2. 軸方向が光軸方向にされた駆動軸と、
    前記駆動軸に平行な状態で配置されたガイド軸とが設けられ、
    前記移動枠が前記駆動軸と前記ガイド軸に支持され、
    前記移動枠が前記駆動軸から伝達される駆動力によって前記ガイド軸に案内されて移動される
    請求項1に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
  3. 前記偏心ピンによる前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットの位置決めが行われた状態において、
    前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットが光軸方向において締結用ネジによって結合された
    請求項1に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
  4. 前記締結用ネジに前記素子ユニットを前記鏡筒ユニットに押し付ける押さえバネが支持された
    請求項3に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
  5. 前記鏡筒ユニットに前記締結用ネジが螺合されるネジ穴が形成され、
    前記素子ユニットに前記締結用ネジが挿通されるネジ挿通孔が形成され、
    前記ネジ挿通孔の径が前記締結用ネジの径より大きくされた
    請求項4に記載の医療用観察装置のレンズ鏡筒。
  6. 被写体を撮像する撮像光学系と前記撮像光学系が配置された筐体とを有する鏡筒ユニットと、
    前記撮像光学系によって撮像された被写体の像を光電変換する撮像素子と前記撮像素子を保持する素子ホルダーとを有する素子ユニットとを備え、
    前記筐体が樹脂材料によって形成され、
    前記素子ホルダーが前記筐体と異なる材料によって形成され、
    前記筐体に放熱板が取り付けられ
    前記撮像光学系に少なくとも一つのレンズが設けられ、
    前記レンズの少なくとも一つを保持し光軸方向へ移動される移動枠が設けられ、
    前記移動枠が樹脂材料によって形成され、
    前記移動枠の移動に伴って前記移動枠に保持された前記レンズが光軸方向へ移動されてオートフォーカシングが行われ、
    前記鏡筒ユニットと前記素子ユニットの光軸方向に直交する面内における位置決めを行う少なくとも二つの偏心ピンが設けられ、
    前記鏡筒ユニットに少なくとも二つのピン挿入穴が形成され、
    前記素子ユニットに少なくとも二つのピン挿通孔が形成され、
    前記偏心ピンは一部が前記ピン挿入穴に挿入され他の一部が前記ピン挿通孔に挿通され、
    前記偏心ピンの少なくとも一つが軸回り方向へ回転されて前記鏡筒ユニットに対する前記素子ユニットの位置が調整され、
    少なくとも一つの前記ピン挿通孔が長穴状に形成された
    前記偏心ピンには前記ピン挿通孔に挿通される挿通軸部と前記ピン挿入穴に挿入され前記挿通軸部に対して偏心された偏心軸部とが設けられ、
    全ての前記偏心ピンにおいて前記挿通軸部に対する前記偏心軸部の偏心量が同じにされた
    医療用観察装置。
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