JP6819936B2 - 防曇剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、防曇剤組成物に関する。
自動車のヘッドランプなどの車両灯具において、灯室内に高湿度の空気が入り込み、外気や降雨などによってレンズが冷やされ、内面に水分が結露することによって曇りが生じることがある。その結果、車両灯の輝度が低下し、またレンズ面の美観が損なわれることにより、ユーザーの不快感を引き起こす場合がある。このようなレンズの曇りを防ぐために、曇りが発生する部位(レンズ内側)に防曇剤組成物を塗布して、塗膜を形成する方法(特許文献1)が知られている。
特開2016−27134号公報
一方、近年、レンズ基材の樹脂形状が意匠性の観点から複雑化しており、レンズ基材を射出成型する際において、成型性、離型性を高めるために、滑剤、離型剤などの樹脂用添加剤が多量に使用されている。特許文献1に記載の防曇剤組成物では、このような樹脂添加剤が多量に使用された基材に塗装を行うと、基材表面に残留、あるいは偏析した添加剤の影響により、塗膜の外観が悪化し、基材への密着性が低下してしまうという懸念があった。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、樹脂用添加剤を含む基材に対して、良好な基材への密着性、塗膜外観、および防曇性を有する塗膜が形成できる防曇剤組成物を提供することを目的とする。
本発明は、親水性樹脂(A)、界面活性剤(B)、および溶剤(C)を含有する防曇剤組成物であって、前記溶剤(C)が、一般式(1):R−(OA)−OH(一般式(1)中、Rは、炭素数1以上8以下の直鎖または分岐鎖アルキル基を表し、OAはオキシエチレン基、またはオキシプロピレン基を表す。)で表される化合物、および炭素数3〜5の1価アルコールからなる群より選ばれる1種以上の溶剤(c1)と、一般式(2):R−(OA)−O−R(一般式(2)中、RおよびRは、独立して、炭素数1以上4以下の、直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、または直鎖もしくは分岐鎖アセチル基を表し、OAはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、またはオキシブチレン基を表し、OAがオキシエチレン基またはオキシプロピレン基の場合、nは2または3であり、OAがオキシブチレン基の場合、nは1である。)で表される溶剤(c2)を含み、前記溶剤(C)100質量部において、前記溶剤(c1)が60〜97質量部であり、前記溶剤(c2)が3〜20質量部であり、前記溶剤(c1)および前記溶剤(c2)の合計が65〜100質量部である防曇剤組成物、に関する。
本発明は、樹脂用添加剤が残留あるいは偏析した基材に対して、良好な基材への密着性、塗膜外観、および防曇性を有する塗膜が形成できる防曇剤組成物を提供できるため、樹脂用添加剤を含む射出成型された樹脂基材(部材)用の防曇剤組成物として好適である。
本発明の作用メカニズムは、防曇剤組成物に含まれる溶剤(c1)が、親水性樹脂(A)や界面活性剤(B)を溶解させやすい性質を有することにより、良好な防曇性能を有する塗膜を形成でき、また、溶剤(c2)が、射出成型された基材の表面に偏析した滑剤、離型剤などの樹脂用添加剤を溶解し、かつ基材を適度に侵食することにより、基材への密着性、外観の平滑性に優れた塗膜を形成できるものと、推定される。また、これら溶剤が、親水性樹脂(A)および界面活性剤(B)を含有する防曇剤組成物中に、特定量を含むことにより、上記の効果をバランスよく発現すると推定される。
本発明の防曇剤組成物は、親水性樹脂(A)、界面活性剤(B)、ならびに溶剤(c1)および(c2)を含む溶剤(C)を含有する。
以下、本発明の防曇剤組成物に含まれる各成分について説明する。
<親水性樹脂(A)>
本発明の親水性樹脂(A)は、従来から知られている防曇剤組成物に用いられる親水性樹脂であるが、例えば、(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル系水溶性樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂などが挙げられる。前記親水性樹脂(A)は、工業的な生産性の容易さや、多義にわたる性能面の観点から、(メタ)アクリレート共重合体であることが好ましい。
前記(メタ)アクリレート共重合体は、単量体混合物から形成される共重合体である。前記単量体混合物としては、例えば、N−メチロール基またはN−メチロールエーテル基を有するビニル系単量体(a1)と、スルホン酸基またはその塩を有するビニル系単量体(a2)と、アルキル(メタ)アクリレート系単量体(a3)と、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド系単量体(a4)を含むことが好ましい。
<単量体(a1)>
前記単量体(a1)は、N−メチロール基またはN−メチロールエーテル基を有するビニル系単量体である。前記単量体(a1)は、脱水縮合反応、脱アルコール縮合反応により分子間を架橋させて共重合体に架橋構造を形成する機能を有する。前記単量体(a1)がこのような架橋性官能基を有することにより、共重合体の製造後に加熱することによって共重合体に架橋構造を形成することができる。この縮合反応は酸触媒によって促進される。
前記単量体(a1)としては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、防曇剤組成物の保存安定性に優れ、低温での加熱硬化性に優れる観点から、N−メチロール(メタ)アクリルアミドが好ましい。前記単量体(a1)は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記単量体(a1)の含有量は、共重合体の架橋密度を高め、また低温での硬化性を高め、硬化時間を短くする観点から、単量体混合物100質量部において、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましい。前記単量体(a1)の含有量は、硬化塗膜の防曇性を高める観点から、単量体混合物100質量部において、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがさらに好ましい。
<単量体(a2)>
前記単量体(a2)は、スルホン酸基またはその塩を有するビニル系単量体である。前記単量体(a2)は、前記単量体(a1)の縮合反応を低温で促進させるための酸触媒としての機能と、共重合体の親水性を高め、高湿度環境下で塗装および乾燥を行った場合にブラッシングを抑制し、良好な塗膜外観を与えるための機能を有する。
前記単量体(a2)としては、例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、3−((メタ)アクリロイルオキシ)−1−プロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、またはそれらの塩などが挙げられる。これらの中でも、前記単量体(a1)との共重合性に優れるという観点から、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、3−((メタ)アクリロイルオキシ)−1−プロパンスルホン酸、またはそれらの塩が好ましい。前記単量体(a2)は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記単量体(a2)における塩としては、ナトリウム、カルシウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、アニリン、α−ナフチルアミン、ベンジルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、イミダゾールなどが挙げられる。これらの中でも、塗膜の加熱硬化時にスルホン酸基と解離しやすく、スルホン酸基の酸触媒としての作用を阻害しにくい観点から、25℃における水溶液中での塩基解離定数(以下、pKbと略記する)が3〜14である、アンモニア(pKb=4.7)、メチルアミン(pKb=3.5)、ジメチルアミン(pKb=3.4)、トリメチルアミン(pKb=3.2)、エチルアミン(pKb=3.5)、ジエチルアミン(pKb=3.4)、トリエチルアミン(pKb=3.2)、モノエタノールアミン(pKb=4.5)、ジエタノールアミン(pKb=5.1)、トリエタノールアミン(pKb=6.2)、ジメチルアミノエタノール(pKb=4.1)、ジエチルアミノエタノール(pKb=4.1)、アニリン(pKb=4.6)、α−ナフチルアミン(pKb=10.1)、ベンジルアミン(pKb=4.6)、ピリジン(pKb=8.8)、2,6−ルチジン(pKb=8.0)、イミダゾール(pKb=7.1)が好ましい。
前記単量体(a2)の含有量は、前記単量体(a1)の縮合反応を低温で促進させるための効果を高める観点、および共重合体の親水性を高め、高湿度下での塗装および乾燥でもブラッシングを抑制できる観点から、単量体混合物100質量部において、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがさらに好ましい。前記単量体(a2)の含有量は、基材への親和性を高めて密着性を与え、またスルホン酸基に起因する高温湿度下での硬化塗膜の酸化劣化を抑制して耐熱性を高める観点から、単量体混合物100質量部において、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
前記単量体(a2)は、上記機能を硬化塗膜にバランスよく発現させるために、スルホン酸基を有するビニル系単量体、およびスルホン酸基の塩を有するビニル系単量体を、併用することが好ましい。前記単量体(a2)として、スルホン酸基を有するビニル系単量体、およびスルホン酸基の塩を有するビニル系単量体を併用する場合、前記単量体(a2)成分中のスルホン酸基を有するビニル系単量体の含有量は、共重合体の親水性、および硬化塗膜の耐熱性を向上させる効果を高める観点から、前記単量体(a2)100質量部において、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。前記単量体(a2)成分中のスルホン酸基を有するビニル系単量体の含有量は、スルホン酸基の酸触媒としての機能を高め、共重合体の低温での硬化性を高める観点から、前記単量体(a2)100質量部において、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。
なお、前記スルホン酸基の塩を有するビニル系単量体は、(メタ)アクリレート共重合体を製造する際に、当該単量体そのものを使用するほかに、スルホン酸基を有するビニル系単量体と一緒に塩基性化合物を加えたものを使用してもよいし、製造した共重合体に塩基性化合物を加えたものも使用できる。
<単量体(a3)>
前記単量体(a3)は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体である。前記単量体(a3)は、硬化塗膜の耐熱性を高め、また硬化塗膜と基材との親和性を高めて良好な密着性を与える機能を有する。なお、アルキル(メタ)アクリレート系単量体とは、(メタ)アクリル酸の直鎖、分岐または環状のアルキルエステルである。
前記単量体(a3)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどの低級アルキル(メタ)アクリレート;2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの高級アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの環状アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、低級アルキル(メタ)アクリレートが、基材への親和性を高め強固な密着性を与え、また高湿度下での塗装および乾燥におけるブラッシングを抑制する観点から、好ましい。とくに、低級アルキル(メタ)アクリレートの中でも、アルキルエステルのアルキル基の炭素数が1または2の低級アルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。単量体(a3)は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記単量体(a3)の含有量は、硬化塗膜の耐熱性を高め、また硬化塗膜と基材との親和性を高めて良好な密着性を与える観点から、単量体混合物100質量部において、20質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがさらに好ましい。単量体(a3)の含有量は、高湿度下での塗装および乾燥におけるブラッシングを抑制する観点から、単量体混合物100質量部において、90質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがさらに好ましい。
<単量体(a4)>
前記単量体(a4)は、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド系単量体である。前記単量体(a4)は、耐熱性に優れ、親水性が高く、高湿度下での塗装および乾燥におけるブラッシングの抑制効果を高める機能を有する。
前記単量体(a4)としては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドが好ましい。前記単量体(a4)は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記単量体(a4)の含有量は、硬化塗膜の耐熱性を高め、また共重合体に親水性を与え、高湿度下での塗装および乾燥におけるブラッシングの抑制効果を高める観点から、単量体混合物100質量部において、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましい。前記単量体(a4)の含有量は、塗膜の耐水性能低下を抑制する観点から、単量体混合物100質量部において、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましい。
前記単量体(a1)〜(a4)の合計の含有量は、防曇性を高める観点から、単量体混合物100質量部において、80質量部以上であることが好ましく、90質量部以上であることがさらに好ましく、95質量部以上であることがより好ましい。
<単量体(a5)>
前記単量体混合物には、塗膜の耐水性能を高める観点から、2官能性(メタ)アクリレート系単量体(a5)を含むことができる。
前記単量体(a5)としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートが好ましい。前記単量体(a5)は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記単量体(a5)の含有量は、塗膜の耐水性能を高める観点から、単量体混合物100質量部において、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがさらに好ましい。前記単量体(a5)の含有量は、塗装性の低下を抑制する観点から、単量体混合物100質量部において、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。
<その他の単量体>
前記単量体混合物には、その他の単量体を含むことができる。前記その他の単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体;(メトキシ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(エトキシ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(エトキシ)ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物などのヒドロキシル基含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸半エステルなどのカルボキシル基含有単量体およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、(メタ)アクロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルピリジンなどの窒素原子含有ビニル系単量体などが挙げられる。
前記その他の単量体の含有量は、防曇性を高める観点から、単量体混合物100質量部において、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
<(メタ)アクリレート共重合体の製造方法>
前記(メタ)アクリレート共重合体は、前記単量体混合物を共重合することにより得られる。前記共重合体の構造としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体のいずれの構造であってもよいが、防曇性をはじめとする防曇剤組成物の効果を向上させることができると共に、防曇剤組成物を容易に調製することができるという観点から、ランダム共重合体が好ましい。
前記共重合体を得るための重合方法としては、例えば、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法などの公知の各種重合方法が採用されるが、特に工業的な生産性の容易さ、多義にわたる性能面より、ラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法としては、通常の塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法などが採用されるが、重合後にそのまま防曇剤組成物として使用することができる点で溶液重合法が好ましい。
前記溶液重合法に用いる重合溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールなどのアルコールエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤、水などが挙げられる。前記重合溶剤は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記重合溶剤の中でも、後述する溶剤(c1)および/または溶剤(c2)を用いることが、重合後にそのまま防曇剤組成物として使用できる観点から、好ましい。
前記溶液重合法において、単量体混合物と重合反応に使用する重合溶剤の合計100質量部中、重合発熱を抑制して工業的生産を行い易くする観点から、単量体混合物は60質量部以下に調整することが好ましく、50質量部以下であることがさらに好ましい。
前記ラジカル重合法における開始剤(ラジカル重合開始剤)としては、一般的に使用される有機過酸化物、アゾ化合物などを使用することができる。前記有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−ヘキサノエートレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカネートなどが挙げられる。前記アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルなどが挙げられる。
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、単量体混合物100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。前記ラジカル重合開始剤は、反応容器中に滴下しながら重合を行うことが、重合発熱を制御しやすくなる点で好ましい。重合反応を行う温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜変更されるが、工業的に製造を行う上で、30〜150℃であることが好ましく、40〜100℃であることがより好ましい。
<界面活性剤(B)>
本発明の界面活性剤(B)は、塗膜表面に付着した水分の表面張力を低下させ、塗膜表面に水膜を形成させることにより防曇性を向上させるための成分である。
前記界面活性剤(B)は、従来から知られているものを全て使用することができるが、例えば、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらのうち、効果の持続性の点から、陰イオン系界面活性剤を少なくとも1種以上用いることが好ましく、さらに非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、および両性イオン系界面活性剤のうち少なくとも1種以上との併用がより好ましい。
前記非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノールなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリオキシエチレングリコールモノステアレートなどのポリオキシエチレンアシルエステル類;ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのリン酸エステル類;シュガーエステル類、セルロースエーテル類などが挙げられる。さらに、これらの界面活性剤の炭化水素残基の水素原子がフッ素原子に一部置換されたものも使用される。
前記陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなどの脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの高級アルコール硫酸エステル類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩およびアルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンサルフェート塩などが挙げられる。さらに、これらの界面活性剤の炭化水素残基の水素原子がフッ素原子に一部置換されたものも使用される。
前記陽イオン系界面活性剤としては、例えば、エタノールアミン類、ラウリルアミンアセテート、トリエタノールアミンモノ蟻酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩などのアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩などが挙げられる。さらに、これらの界面活性剤の炭化水素残基の水素原子がフッ素原子に一部置換されたものも使用される。
前記両性イオン系界面活性剤としては、例えば、ジメチルアルキルラウリルベタイン、ジメチルアルキルステアリルベタインなどの脂肪酸型両性イオン系界面活性剤;ジメチルアルキルスルホベタインのようなスルホン酸型両性イオン系界面活性剤;アルキルグリシンなどが挙げられる。さらに、これらの界面活性剤の炭化水素残基の水素原子がフッ素原子に一部置換されたものも使用される。
前記界面活性剤(B)の含有量は、前記親水性樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましく、3〜15質量部であることがさらに好ましい。
また、前記界面活性剤(B)として、前記陰イオン系界面活性剤と、さらに、前記非イオン系界面活性剤、前記陽イオン系界面活性剤、および前記両性イオン系界面活性剤のうち少なくとも1種以上(以下、陰イオン系界面活性剤以外の界面活性剤ともいう)とを併用する場合、前記陰イオン系界面活性剤と前記陰イオン系界面活性剤以外の界面活性剤との質量比(陰イオン系界面活性剤/前記陰イオン系界面活性剤以外の界面活性剤)は、0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、そして、60以下であることが好ましく、55以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましい。
なお、前記親水性樹脂(A)と前記界面活性剤(B)との混合方法としては、親水性樹脂(A)を溶剤に溶解してその中に界面活性剤(B)を加えてもよく、また親水性樹脂(A)を製造する際に一緒に界面活性剤(B)を加えてもよい。
<溶剤(C)>
本発明の溶剤(C)は、少なくとも、溶剤(c1)および溶剤(c2)を含有する。
<溶剤(c1)>
前記溶剤(c1)は、一般式(1):R−(OA)−OH
(一般式(1)中、Rは、炭素数1以上8以下の直鎖または分岐鎖アルキル基を表し、OAはオキシエチレン基、またはオキシプロピレン基を表す。)で表される化合物、および炭素数3〜5の1価アルコールからなる群より選ばれる1種以上である。溶剤(c1)は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記一般式(1)中、Rは塗装性を高める観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基が好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。これらの中でも、塗装性を高める観点から、プロピレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
前記炭素数3〜5の1価アルコールとしては、例えば、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、s−アミルアルコール、t−アミルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、炭素数3〜4の1価アルコールが好ましい。
<溶剤(c2)>
前記溶剤(c2)は、一般式(2):R−(OA)−O−R
(一般式(2)中、RおよびRは、独立して、炭素数1以上4以下の、直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、または直鎖もしくは分岐鎖アセチル基を表し、OAはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、またはオキシブチレン基を表し、OAがオキシエチレン基またはオキシプロピレン基の場合、nは2または3であり、OAがオキシブチレン基の場合、nは1である。)で表される化合物である。前記溶剤(c2)は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記一般式(2)中、Rは防曇剤組成物を熱硬化して得られた硬化塗膜の外観の平滑性、および基材への密着性を高める観点から、メチル基、エチル基、アセチル基が好ましい。また、OAは、防曇剤組成物を熱硬化して得られた硬化塗膜の外観の平滑性、および基材への密着性を高める観点から、nが2であるオキシエチレン基、nが1であるオキシブチレン基が好ましい。さらに、防曇剤組成物を熱硬化して得られた硬化塗膜の外観の平滑性、および基材への密着性を高める観点から、RおよびRの少なくとも1つはアセチル基であることが好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ブチレングリコールジアセテートなどが挙げられる。
前記溶剤(c1)の含有量は、前記溶剤(C)100質量部において、60〜97質量部である。前記溶剤(c1)の含有量は、前記親水性樹脂(A)、前記界面活性剤(B)を溶解させる観点から、前記溶剤(C)100質量部において、65質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがさらに好ましい。前記溶剤(c1)の含有量は、防曇剤組成物を熱硬化して得られた硬化塗膜の外観の平滑性、および防曇剤組成物の塗装時の塗膜表面の平滑性を高める観点から、前記溶剤(C)100質量部において、95質量部以下であることが好ましい。
前記溶剤(c2)の含有量は、前記溶剤(C)100質量部において、3〜20質量部である。前記溶剤(c2)の含有量は、防曇剤組成物を熱硬化して得られた硬化塗膜の外観の平滑性、および基材への密着性を高める観点から、前記溶剤(C)100質量部において、5質量部以上であることが好ましい。前記溶剤(c2)の含有量は、基材の溶出に由来する外観悪化を抑制する観点から、前記溶剤(C)100質量部において、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
前記溶剤(c1)および前記溶剤(c2)の合計量は、溶剤(C)100質量部において、65〜100質量部である。前記溶剤(c1)および前記溶剤(c2)の合計量は、防曇剤組成物を熱硬化して得られた硬化塗膜の外観の平滑性および基材への密着性を高める観点から、前記溶剤(C)100質量部において、70質量部以上であることが好ましく、75質量部以上であることがさらに好ましい。
前記溶剤(c1)と前記溶剤(c2)の質量比((c1)/(c2))は、4以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、そして、33以下であることが好ましく、17以下であることがより好ましい。
<その他の溶剤>
前記溶剤(C)には、前記溶剤(c1)および前記溶剤(c2)以外のその他の溶剤を使用することができる。前記その他の溶剤としては、前記溶剤(c1)および/または前記溶剤(c2)と相溶するものであれば特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、ジアセトンアルコールなどの(c1)以外のアルコール系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの(c2)以外のアルコールエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤;n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカンなどの炭化水素系溶剤、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤、水などが挙げられる。これらの中でも、基材へのソルベントクラックを抑制する観点から、水、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤が好ましい。
前記その他の溶剤の含有量は、硬化塗膜の外観の平滑性、防曇剤組成物の塗装時の塗膜表面の平滑性を高める観点から、前記溶剤(C)100質量部において、35質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがよりさらに好ましく、前記溶剤(C)に含まないことが最も好ましい。
<その他の成分>
本発明の防曇剤組成物には、その他の成分として、必要に応じ、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒などの慣用の各種添加剤を配合することができる。前記その他の成分の添加量は、それぞれの添加剤につき慣用的な添加量で配合することができるが、通常、前記親水性樹脂(A)100質量部に対して、10質量部以下である。
<防曇剤組成物の製造>
本発明の防曇剤組成物は、例えば、前記親水性樹脂(A)および前記界面活性剤(B)を、塗装に適した固形分および粘度調整を目的として、前記溶剤(c1)および前記溶剤(c2)、必要に応じて前記その他溶剤を加えて溶解、分散または希釈をすることによって製造することができる。塗装方法により、塗装に適した固形分および粘度は異なるが、スプレーコート法の場合、前記親水性樹脂(A)は、防曇剤組成物中、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
<硬化塗膜>
本発明の硬化塗膜は、前記防曇剤組成物を、通常の塗料において行われる塗装方法により被塗装物に塗装し、乾燥と加熱硬化することによって、被塗装物表面に塗膜が形成されたものである。
前記被塗装物としては、その種類は問わず、公知の樹脂基材が使用可能であるが、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂基材は射出成型によって成型される場合が多く、酸化防止剤、難燃化剤、光安定化剤、滑剤、離型剤などの樹脂用添加剤が含まれている。
前記被塗装物への塗装の際には、被塗装物に対する防曇剤組成物の濡れ性を高め、はじきを防止する目的で、塗装前における被塗装物表面の付着異物除去を行うことが好ましい。具体的には、高圧エアやイオン化エアによる除塵、紫外線とオゾンによる洗浄などが挙げられる。塗装方法としては、例えば、浸漬法、フローコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
前記乾燥は、20〜50℃の温度で0.5〜5分間塗膜中に含まれる溶剤を揮発乾燥させる工程である。また、加熱温度は、通常、60〜150℃の温度で5〜60分間、望ましくは70〜130℃の温度で10〜40分間である。例えば、親水性樹脂(A)として、前記(メタ)アクリレート共重合体を採用した場合、加熱より共重合体に含まれる単量体(a1)のN−メチロール基またはN−メチロールエーテル基の脱水縮合反応、あるいは脱アルコール縮合反応が、単量体(a2)のスルホン酸基によって促進されて進行し、共重合体に架橋構造が形成される。但し、被塗装物が樹脂基材である場合には、硬化温度を当該樹脂の熱変形温度以下に設定することが好ましい。
前記防曇剤組成物によって形成される塗膜の膜厚は、良好な防曇性と塗膜外観を得る観点から、0.5〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
前記塗膜が形成された樹脂部材は、車両灯具に用いることができる。前記車両灯具としては、例えば、前照灯(ヘッドランプ)、補助前照灯、車幅灯、番号灯、尾灯、駐車灯、制動灯、後退灯、方向指示灯、補助方向指示灯、非常点滅表示灯などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施によりなんら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例で使用した化合物を以下に示す。
<原料>
<親水性樹脂(A)>
(メタ)アクリレート共重合体
<単量体(a1)>
n−メチロールアクリルアミド(N−MAAm)
n−メチロールメタクリルアミド(N−MMAm)
<単量体(a2)>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(AMPS)
2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸(SEMA)
3−(メタクリロイルオキシ)−1−プロパンスルホン酸(SPMA)
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸トリエタノールアンモニウム塩(AMPS・TEA)
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(AMPS・Na)
<単量体(a3)>
メチルメタクリレート(MMA)
エチルメタクリレート(EMA)
n−ブチルアクリレート(BA)
<単量体(a4)>
N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)
N,N−ジエチルアクリルアミド(DEAA)
<単量体(a5)>
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(A−HD−N)
1,10−デカンジオールジアクリレート(A−DOD−N)
<界面活性剤(B)>
ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:ラピゾールA80、日油(株)製、有効成分80質量%)
モノアルキルトリメチルアンモニウム塩化物塩(商品名:ニッサンカチオンBB、日油(株)製、有効成分30質量%)
トリメチルフルオロアルキルアンモニウムヨウ化物塩(商品名:フタージェント300、(株)ネオス製、有効成分100質量%)
フルオロアルキル基含有4級アンモニウム塩(商品名:サーフロンS―221、AGCセイミケミカル(株)製、有効成分30質量%)
ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(商品名:ノイゲンEA140、第一工業製薬(株)製、有効成分100質量%)
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ニッサンアノンBL−SF、日油(株)製、有効成分36質量%)
フルオロアルキル基含ベタイン(フタージェント400−SW、(株)ネオス製、有効成分50質量%)
<溶剤(c1)>
エチレングリコールモノメチルエーテル
エチレングリコールモノt−ブチルエーテル
プロピレングリコールモノメチルエーテル
プロピレングリコールモノn−プロピルーテル
n−プロパノール
イソプロパノール
n−ブタノール
イソブタノール
t−アミルアルコール
<溶剤(c2)>
ジエチレングリコールジメチルエーテル
トリエチレングリコールジメチルエーテル
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
ジエチレングリコールジエチルーテル
ジエチレングリコールジブチルエーテル
ジプロピレングリコールジメチルエーテル
ジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル
1,3−ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート
1,3−ブチレングリコールジアセテート
1,4−ブチレングリコールジアセテート
<その他の溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
3−メトキシ3−メチルブタノール
1,3−ブチレングリコール
<実施例1>
<親水性樹脂(A)の製造>
攪拌装置、窒素導入管および冷却管を備えた反応容器に、溶剤(c1)としてエチレングリコールモノメチルエーテル260質量部と、単量体(a1)としてN−メチロールアクリルアミド(N−MAAm)8質量部、単量体(a2)として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(AMPS)2.4質量部および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸トリエタノールアンモニウム塩(AMPS・TEA)9.6質量部、単量体(a3)としてメチルメタクリレート(MMA)48質量部およびn-ブチルアクリレート(BA)16質量部、および単量体(a4)としてN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)16質量部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら55℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤としてt−ヘキシルペルオキシネオデカネートの炭化水素希釈品(商品名:パーヘキシルND、日油(株)社製)1質量部を、エチレングリコールモノメチルエーテル40質量部に溶解させたものを3時間かけて滴下した。さらに5時間重合を行った後、70℃に昇温し、その温度で1時間重合を行って、共重合体の濃度が25質量%の実施例1の親水性樹脂(A)の溶液を得た。
<防曇剤組成物の製造>
上記で得られた実施例1の親水性樹脂(A)溶液に、溶剤(c1)としてエチレングリコールモノメチルエーテル670質量部、溶剤(c2)としてジエチレングリコールジメチルエーテル30質量部を加え、界面活性剤(B)としてジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:ラピゾールA−80、日油社製(有効成分80質量%))10質量部(純品換算すると8質量部)と、表面調整剤としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(商品名BYK333、ビックケミー・ジャパン(株)社製)0.1質量部とを混合し、防曇剤組成物を得た。得られた防曇剤組成物について、下記の(1)〜(3)の評価方法で得られた結果を表2に示す。
<実施例2〜15>
<親水性樹脂(A)の製造>
実施例1の単量体を表1の原料および含有量のように変更し、重合溶剤である溶剤(c1)を表2の溶剤(c1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜15および比較例1〜5の親水性樹脂(A)の溶液を得た。
<防曇剤組成物の製造>
上記で得られた実施例2〜15および比較例1〜5の親水性樹脂(A)を用い、界面活性剤(B)、溶剤(c1)、溶剤(c2)およびその他の溶剤の含有量を表2または3のようになるように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜15および比較例1〜5の防曇剤組成物を得た。それぞれの防曇剤組成物について、下記の(1)〜(3)の評価方法で得られた結果を表2および3に示す。
<(1)密着性の評価>
上記の実施例および比較例で得られた防曇剤組成物を、射出成型されたポリカーボネート樹脂板(離型剤としてペンタエリスリトールテトラステアレートを、ポリカーボネート樹脂(住友スタイロンポリカーボネート(株)製、商品名:カリバー200−30)100質量部に対して、10質量部添加されたもの、形状:縦11cm×横6cm×厚み3mmの平板、ノズル温度:280℃、金型温度:80℃))に、硬化後の塗膜の膜厚が2〜3μmとなるようにスプレーコート法にて塗装を行い、30℃で1分間乾燥を行った後、120℃で30分間の加熱硬化を行い、塗膜試験片を得た。得られた試験片に対して、塗膜に2mm幅間隔で縦横の切り込みを入れて碁盤目25個マスを作り、セロハンテープを完全に密着させた。セロハンテープを瞬間的に引き離し、目視により碁盤目の状態を確認し、次の3段階で評価した。なお、評価が○以上であれば実用上問題なく、◎であればより好ましい。
◎:剥離がまったく見られない。
○:剥離が僅かに見られる。
×:剥離が明らかに見られる。
<(2)塗膜外観の評価>
上記の密着性の評価と同様な方法で塗膜試験片を得た。得られた試験片を目視により観察し、次の3段階で評価した。なお、評価が○以上であれば実用上問題なく、◎であればより好ましい。
◎:表面が平滑である。
○:表面にかすかな凹凸あるいは塗膜のヨリが見られる。
×:表面に明らかな凹凸あるいは塗膜のヨリが見られる。
<(3)防曇性の評価>
上記の密着性の評価と同様な方法で塗膜試験片を得た。得られた試験片を80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さの所に、試験片を塗膜面が下になるように設置し、温水浴からのスチームを塗膜に連続照射し、照射から10秒後の曇りの有無を目視によって次の2段階で評価した。なお、評価が○であれば実用上問題ない。
○:曇りが全く認められない。あるいはスチームを照射した直後に、わずかにかつ一瞬だけ曇るが、その後は曇りが認められない。
×:はっきりと曇りが認められる。
Figure 0006819936
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Claims (3)

  1. 親水性樹脂(A)、界面活性剤(B)、および溶剤(C)を含有する防曇剤組成物であって、
    前記親水性樹脂(A)が、(メタ)アクリレート共重合体であり、
    前記(メタ)アクリレート共重合体が、単量体混合物から形成される共重合体であり、
    前記単量体混合物は、N−メチロール基またはN−メチロールエーテル基を有するビニル系単量体(a1)と、スルホン酸基またはその塩を有するビニル系単量体(a2)と、アルキル(メタ)アクリレート系単量体(a3)と、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド系単量体(a4)を含み、
    前記溶剤(C)が、一般式(1):R−(OA)−OH
    (一般式(1)中、Rは、炭素数1以上8以下の直鎖または分岐鎖アルキル基を表し、OAはオキシエチレン基、またはオキシプロピレン基を表す。)で表される化合物、および炭素数3〜5の1価アルコールからなる群より選ばれる1種以上の溶剤(c1)と、
    一般式(2):R−(OA)−O−R
    (一般式(2)中、RおよびRは、独立して、炭素数1以上4以下の、直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、または直鎖もしくは分岐鎖アセチル基を表し、OAはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、またはオキシブチレン基を表し、OAがオキシエチレン基またはオキシプロピレン基の場合、nは2または3であり、OAがオキシブチレン基の場合、nは1である。)で表される溶剤(c2)を含み、
    前記溶剤(C)100質量部において、前記溶剤(c1)が60〜97質量部であり、前記溶剤(c2)が3〜20質量部であり、前記溶剤(c1)および前記溶剤(c2)の合計が65〜100質量部であることを特徴とする防曇剤組成物。
  2. 前記溶剤(c2)が、一般式(2):R−(OA)−O−R
    (一般式(2)中、RおよびRは、独立して、炭素数1以上4以下の、直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、または直鎖もしくは分岐鎖アセチル基を表し、かつRおよびRの少なくとも1つはアセチル基であり、OAおよびnは前記同様である。)で表される溶剤であることを特徴とする請求項1記載の防曇剤組成物。
  3. 前記単量体混合物が、さらに、2官能性(メタ)アクリレート系単量体(a5)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の防曇剤組成物。
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