JPH11228940A - 加熱硬化型防曇剤組成物 - Google Patents

加熱硬化型防曇剤組成物

Info

Publication number
JPH11228940A
JPH11228940A JP3516498A JP3516498A JPH11228940A JP H11228940 A JPH11228940 A JP H11228940A JP 3516498 A JP3516498 A JP 3516498A JP 3516498 A JP3516498 A JP 3516498A JP H11228940 A JPH11228940 A JP H11228940A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monomer
fogging
meth
polymer segment
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3516498A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomohisa Tasaka
知久 田坂
Naoyuki Amaya
直之 天谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP3516498A priority Critical patent/JPH11228940A/ja
Publication of JPH11228940A publication Critical patent/JPH11228940A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 防曇被膜の良好な外観、防曇性及び基材に対
する防曇被膜の優れた密着性を発現できとともに、それ
らの特性を紫外線環境下においても、長期にわたって維
持できる加熱硬化型防曇剤組成物を提供する。 【解決手段】 加熱硬化型防曇剤組成物は、親水性重合
体セグメントと疎水性重合体セグメントとからなるブロ
ック又はグラフト共重合体及び紫外線吸収剤を含有す
る。親水性重合体セグメントは、N−メチロール基、N
−メチロールエーテル基又はヒドロキシル基の架橋性官
能基を有する単量体から選ばれる少なくとも一種の単量
体と、親水性単量体の少なくとも一種の単量体とより形
成される。疎水性重合体セグメントは、スルホン酸基、
カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル型単量体か
らから選ばれる少なくとも一種の単量体と、(メタ)ア
クリル酸低級アルキルの少なくとも一種の単量体とより
形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、太陽光線又はラ
ンプ等による紫外線が照射される部分に用いられるプラ
スチック材料を塗布対象物とする加熱硬化型防曇剤組成
物に関するものである。特に、多量の紫外線を浴びる環
境下においても優れた塗膜外観、防曇性及び密着性が発
現されるされるとともに、それらの特性が長期にわたっ
て維持される加熱硬化型防曇剤組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、高温環境下で使用される用途、例
えば各種ランプに使用される場合、ランプを点灯させる
とそのランプのカバーの内部温度と外部温度との差が生
じてカバー内面に水滴が付着し、曇りを生ずるという問
題があった。
【0003】この問題を解決するために、特開平6−1
07967号公報や特開平6−212146号公報にお
いては、熱による硬化反応が経時的に進行しない硬化形
式を採用した親水性重合体セグメントと疎水性重合体セ
グメントからなるブロック又はグラフト共重合体と、界
面活性剤とよりなる加熱硬化型防曇剤組成物、及びその
防曇剤組成物がカバー内面に塗布された車両ランプが開
示されている。
【0004】一方、透明プラスチック材料は長期にわた
って太陽光線や紫外線を浴びて黄変し易いため、黄変防
止の目的で紫外線吸収剤を混合して成形されている。特
に、紫外線照射装置を用いる作業者の眼を保護する目的
でも、保護面体や保護眼鏡中に紫外線吸収剤を混合する
ことが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平6−107
967号公報等に記載の加熱硬化型防曇剤組成物は、紫
外線量の少ない場所では高温環境下においても塗膜の良
好な外観、防曇性及び基材に対する密着性は長期に維持
される。しかしながら、紫外線照射下の場合、塗膜の架
橋反応の進行あるいは分解反応のためにクラックが発生
したり、さらには基材として用いた透明プラスチック材
料がすぐに黄変してしまうという問題があった。
【0006】特に、車両ランプのような特定の技術分野
では、近年光源バルブがハロゲン系からメタルハライド
系に変わることで光量が強くなり、発生する紫外線量が
多くなっている。そのため、従来以上に透明プラスチッ
ク材料が黄変し、その外観が悪くなる傾向にある。
【0007】そのため、紫外線照射下においても通常の
環境下と同じく、実用的に使用可能な加熱硬化型防曇剤
組成物の開発が強く求められている。この発明は、上記
のような従来技術に存在する問題点に着目してなされた
ものである。その目的とするところは、防曇被膜の良好
な外観、防曇性及び基材に対する防曇被膜の優れた密着
性を発現できとともに、それらの特性を紫外線環境下に
おいても、長期にわたって維持できる加熱硬化型防曇剤
組成物を提供することにある。その他の目的とするとこ
ろは、塗布等による防曇被膜の形成によって基材の黄変
防止を効率的に図ることができ、基材中の紫外線吸収剤
の使用量を低減できるとともに、混練や塗布が容易であ
る加熱硬化型防曇剤組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明における第1の発明の加熱硬化型防曇剤
組成物は、N−メチロール基、N−メチロールエーテル
基又はヒドロキシル基の架橋性官能基を有する単量体か
ら選ばれる少なくとも一種の単量体と、親水性単量体の
少なくとも一種の単量体とより形成される親水性重合体
セグメントと、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン
酸基を有するビニル型単量体から選ばれる少なくとも一
種の単量体と、(メタ)アクリル酸低級アルキルの少な
くとも一種の単量体とより形成される疎水性重合体セグ
メントとからなるブロック又はグラフト共重合体及び紫
外線吸収剤を含有するものである。
【0009】また、第2の発明の加熱硬化型防曇剤組成
物は、第1の発明において、前記親水性重合体セグメン
トは、N−メチロール基、N−メチロールエーテル基又
はヒドロキシル基の架橋性官能基を有する単量体から選
ばれる少なくとも一種、親水性単量体の少なくとも一種
及び(メタ)アクリル酸低級アルキルアルキルの少なく
とも一種とから形成されるものである。
【0010】さらに、第3の発明の加熱硬化型防曇剤組
成物は、第1の発明又は第2の発明の加熱型防曇剤組成
物に更に界面活性剤を配合してなるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て順次詳細に説明する。加熱硬化型防曇剤組成物は、N
−メチロール基、N−メチロールエーテル基又はヒドロ
キシル基の架橋性官能基を有する単量体(以下、A成分
という)から選ばれる少なくとも一種の単量体と、親水
性単量体(以下、B成分という)の少なくとも一種の単
量体とより形成される親水性重合体セグメントと、スル
ホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル
型単量体(以下、C成分という)から選ばれる少なくと
も一種の単量体と、(メタ)アクリル酸低級アルキル
(以下、D成分という)の少なくとも一種の単量体とよ
り形成される疎水性重合体セグメントとからなるブロッ
ク又はグラフト共重合体及び紫外線吸収剤を含有する。
なお、この明細書では、アクリルとメタクリルを(メ
タ)アクリルと総称する。
【0012】まず、ブロック又はグラフト共重合体を形
成する各単量体について説明する。ブロック又はグラフ
ト共重合体の親水性重合体セグメントには、前記A成分
の架橋性官能基を有する単量体が用いられる。例えば、
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシ
メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチ
ロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ヒ
ドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シプロピルエステル、(メタ)アクリル酸−3−クロル
−2−ヒドロキシプロピルエステルのような(メタ)ア
クリル酸のヒドロキシエステル等が使用される。
【0013】これらのうち、N−メチロ−ル(メタ)ア
クリルアミド、N−メトキシメチロール(メタ)アクリ
ルアミド又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエス
テルが好ましい。これらの単量体を用いてブロック又は
グラフト共重合体を合成した場合、重合転化率が高く、
しかも架橋反応が速くなるからである。
【0014】さらに、親水性重合体セグメントには、親
水性単量体である前記B成分として、前記A成分が有す
る官能基との架橋反応に全く関与しないか又は反応性が
格段に低い単量体が好適である。例えば、(メタ)アク
リルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、
N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N’−
ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,
N’−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、
ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アク
リロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルモルホ
リン、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、
グルタコン酸、アコニット酸、シトラコン酸、メサコン
酸、フマル酸、チグリン酸、クロトン酸、ムロン酸、イ
ソクロトン酸、3−ブテン酸等のラジカル重合性不飽和
カルボン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、メタク
リロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピ
ルトリメチルアンモニウムクロライドのような(メタ)
アクリル酸から誘導される第四級アンモニウム塩、(メ
タ)アクリル酸メトキシエチレングリコール(ここで、
エチレンオキサイド数は1〜10の整数が好適であ
る)、(メタ)アクリル酸エトキシエチレングリコール
(ここで、エチレンオキサイド数は1〜10の整数が好
適である)、(メタ)アクリル酸メトキシプロピレング
リコール(ここで、プロピルオキサイド数nは1〜10
の整数が好適である)等の(メタ)アクリル酸低級アル
コキシアルキレングリコール、モノ(2−ヒドロキシル
エチルメタクリレート)アシッドフォスフェート等の
(メタ)アクリル酸の燐酸塩、(メタ)アクリルアミド
−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ビニルスルホ
ン酸等のスルホン酸基を有するビニル単量体等が使用さ
れる。
【0015】これらの単量体うち、N,N−ジメチル
(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモ
ルホリン、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ
プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)
アクリル酸メトキシエチレングリコール(ここで、エチ
レンオキサイド数は1〜4の整数が好適である)又は
(メタ)アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンス
ルホン酸が好ましい。これらの単量体を用いてブロック
又はグラフト共重合体を合成した場合、重合転化率が高
く、しかも得られる防曇被膜の防曇性に優れるからであ
る。
【0016】一方、疎水性重合体セグメントには、スル
ホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル
型単量体である前記C成分が用いられる。この単量体と
しては、例えば(メタ)アクリル酸−3−スルホプロピ
ル、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)
アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸半エ
ステル、マレイン酸半エステル、マレイン酸、モノ(2
−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフ
ェート等が使用される。
【0017】これらの単量体のうち、(メタ)アクリル
酸又はモノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)
アシッドホスフェートが好ましい。これらの単量体を用
いてブロック又はグラフト共重合体を合成した場合、重
合転化率を高めることができるからである。
【0018】さらに、(メタ)アクリル酸低級アルキル
である前記D成分としては、炭素数1〜4の直鎖又は分
岐状のアルキル基を有するものが使用される。例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリ
ル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、
(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t
−ブチル等が挙げられる。
【0019】これらのうち、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル又は(メタ)アクリル酸
i−ブチルが好ましい。これらの単量体を用いてブロッ
ク又はグラフト共重合体を合成した場合、重合転化率が
高く、しかも基材に対する防曇被膜の密着性が向上する
からである。
【0020】なお、D成分については、高温環境下にお
ける防曇被膜のより優れた密着性及び防曇被膜の外観を
確保するため、親水性重合体セグメント中に配合するこ
とも可能である。
【0021】次に、ブロック又はグラフト共重合体を形
成する単量体の各成分の使用割合について説明する。ま
ず、親水性重合体セグメントを形成する各成分の使用割
合は、前記A成分の少なくとも一種が1〜30重量%、
前記B成分の少なくとも一種が70〜99重量%が好ま
しい。
【0022】また、親水性重合体セグメント中に前記D
成分を共重合させる場合、前記A成分の少なくとも一種
の単量体が1〜30重量%、前記B成分の少なくとも一
種が20〜84重量%、及び前記D成分の少なくとも一
種が15〜50重量%となるように配合させることが好
ましい。
【0023】前記A成分の配合量を調整することによ
り、架橋密度を最適値に調整することができる。A成分
が1重量%に満たない場合、防曇被膜の架橋密度が不足
し、十分な被膜強度が得られなくなり、30重量%を越
える場合、架橋密度が高くなり過ぎて防曇被膜の防曇性
が低下し、かつ初期における基材との密着性も低下する
傾向にある。
【0024】さらに、親水性重合体セグメントは、これ
を構成する単量体がA成分から選ばれる少なくとも一種
と、B成分の少なくとも一種とから形成される系の場
合、B成分の親水性単量体の少なくとも一種が70〜9
9重量%となるように配合される。一方、A成分から選
ばれる単量体の少なくとも一種と、B成分の少なくとも
一種と、D成分の少なくとも一種から形成される系の場
合、B成分の親水性単量体の少なくとも一種が20〜8
4重量%となるように配合される。
【0025】特に、B成分が70重量%又は後者におい
ては20重量%に満たない場合、防曇被膜の防曇性が低
下し、一方、前者においては99重量%又は後者におい
ては84重量%を越える場合、防曇被膜への水の浸透力
が強くなり過ぎ、被膜強度が低下する傾向にある。
【0026】また、基材に対する防曇被膜の密着性及び
被膜強度を確保するために、親水性重合体セグメント中
に、D成分の少なくとも一種の単量体から形成される単
位も含む場合、その含有量は15〜50重量%の範囲が
好ましい。この単量体が15重量%に満たない場合、6
0〜140℃の高温環境下での防曇被膜強度が不足し、
逆に50重量%を越える場合、D成分が疎水性であるた
めに防曇被膜の親水性が低下し、防曇性が低下しやす
い。
【0027】次に、疎水性重合体セグメントの各成分の
割合は、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を
有するC成分の割合が1〜30重量%と、これと共重合
性を有する(メタ)アクリル酸低級アルキルであるD成
分の割合が70〜99重量%である単量体混合物から形
成されることが好ましい。C成分が1重量%に満たない
場合、防曇被膜の透明性が低下し、30重量%を越える
場合、防曇被膜と基材の密着性が低下する傾向にある。
【0028】また、D成分の使用割合が70重量%に満
たない場合、防曇被膜と基材との密着性が低下し、99
重量%を越える場合、防曇被膜の透明性が低下しやす
い。次に、ブロック又はグラフト共重合体中における親
水性重合体セグメントと疎水性重合体セグメントの重量
比は50/50〜95/5であることが好ましい。親水
性重合体セグメントが50重量%に満たない場合、ブロ
ック又はグラフト共重合体の親水性が低下し、またブロ
ック又はグラフト共重合体と界面活性剤の相互作用が弱
くなり、その結果、防曇被膜の初期における防曇性だけ
でなく、防曇持続性が低下する。一方、疎水性重合体セ
グメントの割合が5重量%を満たない場合には、被膜強
度と基材に対する防曇被膜の密着性が損なわれる傾向と
なる。
【0029】親水性重合体セグメントと疎水性重合体セ
グメントからなるブロック又はグラフト共重合体は、常
法に従って合成できるが、特に工業的な生産性の容易
さ、多義にわたる性能面より、ポリメリックペルオキシ
ド、ポリアゾ化合物、ラジカル共重合ペルオキシドを重
合開始剤としたラジカル重合法により製造されるものが
好ましい。この場合、使用されるラジカル重合開始剤と
しては、従来公知の1分子中に2個以上のペルオキシ結
合又はアゾ結合を有する化合物、1分子中にラジカル共
重合性基とペルオキシ基を有する化合物が用いられる。
また、重合方法としては、通常の塊状重合法、懸濁重合
法、溶液重合法、乳化重合法等が採用される。
【0030】次に、ブロック共重合体の代表的な製造例
として、ポリメリックペルオキシドを重合開始剤とする
重合方法について説明する。まず、ポリメリックペルオ
キシドを用いて親水性重合体セグメントを形成する単量
体の重合を行うと、連鎖中にペルオキシ結合が導入され
たペルオキシ結合含有親水性重合体が得られる。これに
疎水性重合体セグメントを形成する単量体を加えて重合
を行うと、親水性重合体連鎖中のペルオキシ結合におい
て開裂し、効率よくブロック共重合体が得られる。
【0031】また、グラフト共重合体の代表的な製造例
をラジカル共重合性基含有ペルオキシドを重合開始剤と
して説明する。まず、ラジカル共重合性基含有ペルオキ
シドのペルオキシ結合が開裂しない条件で通常の遊離基
重合開始剤により親水性の重合体を形成するビニル型単
量体を共重合することにより、ペルオキシ結合を含有す
る親水性共重合体が得られる。
【0032】更に、このペルオキシ結合が開裂する条件
で、これに疎水性の重合体を形成するビニル型単量体を
加えて重合を行うと、親水性重合体中のペルオキシ結合
において開裂し、効率良くグラフト共重合体が得られ
る。このようにして合成されるブロック又はグラフト共
重合体は、親水性重合体セグメント及び疎水性重合体セ
グメントの分子量を自由に調節することが可能である。
【0033】次に、加熱硬化型防曇剤組成物には紫外線
吸収剤が配合される。紫外線吸収剤の作用機構は、加熱
硬化型防曇剤組成物が基材表面に塗布されて被膜が形成
された場合、防曇被膜が300〜400nmの紫外線を
吸収し、吸収されたエネルギーが主として熱エネルギー
として再輻射され、しかも紫外線吸収剤自身はなんら変
質しないものである。従って、透明プラスチック等の基
材の黄変防止や防曇被膜のクラック防止を長期間にわた
って維持することが可能である。この紫外線吸収剤とし
ては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シュ
ウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、及びサリチル
酸系から選ばれる一種以上の紫外線吸収剤である。これ
らのうち、特に透明プラスチック等の基材の黄変防止、
防曇被膜のクラック防止、更には防曇性や密着性を紫外
線の多い環境下でも長時間維持できる点から、ベンゾト
リアゾール系、ベンゾフェノン系又はシュウ酸アニリド
系が好ましい。これらの紫外線吸収剤は、有機溶剤等の
溶剤に可溶であり、塗工性や取扱い性に優れている。
【0034】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−
メチル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ
−3’−tert−ブチル−5’−オクテートエチル)ベン
ゾトリアゾール、
【0035】
【化1】 等が使用される。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として
は、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキ
シ−4−ジメトキシベンゾフェノン2,2’−ジヒドロ
キシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビ
ス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフ
ェニル)メタン等が使用される。
【0036】シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤として
は、2−エトキシフェニル−4−ドデシルフェニルシュ
ウ酸アニリド等が使用される。シアノアクリレート系紫
外線吸収剤としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ
−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シ
アノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等が使用され
る。
【0037】サリチル酸系紫外線吸収剤としては、フェ
ニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレ
ート、p−オクチルフェニルサリシレート等が使用され
る。これらの紫外線吸収剤の中でブロック又はグラフト
共重合体との相溶性の点から、2−(2’−ヒドロキシ
−3’−ドデシル−5’−メチル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−
5’−オクテートエチル)ベンゾトリアゾール、
【0038】
【化2】 2−エトキシフェニル−4−ドデシルフェニルシュウ酸
アニリドが好適に使用される。
【0039】これら紫外線吸収剤の配合割合は固形分重
量比で、ブロック又はグラフト共重合体:紫外線吸収剤
=100:0.5〜100:10が好ましい。さらに、
ブロック又はグラフト共重合体:紫外線吸収剤=10
0:1〜100:8がより好ましい。紫外線吸収剤の配
合量が0.5重量部に満たない場合、長期にわたる防曇
被膜の紫外線防止性が得られず、10重量部を越える場
合、防曇被膜の耐水性が低くなりやすい。
【0040】ブロック又はグラフト共重合体と紫外線吸
収剤の混合方法としては、ブロック若しくはグラフト共
重合体を有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶剤又は水に
溶解したり、分散させたりしてその中に紫外線吸収剤を
加えてもよく、またブロック又はグラフト共重合体を形
成する単量体と一緒に紫外線吸収剤を加えてもよい。
【0041】次に、加熱硬化型防曇剤組成物には界面活
性剤を配合することが望ましい。この界面活性剤として
は、一般に使用されるもので、非イオン系界面活性剤、
陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤及び両性
イオン系界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤
である。これらのうち、効果の持続性の点から、非イオ
ン系界面活性剤又は陰イオン系界面活性剤が好ましく、
特にポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類と
ジアルキルスルホコハク酸塩の組合せが、防曇性の持続
性及び防曇被膜の外観変化を防止する観点から好適であ
る。
【0042】非イオン系界面活性剤としては、例えばポ
リオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチ
レンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエ
ーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル
類、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキ
シエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンア
ルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレングリコ
ールモノステアレート等のポリオキシエチレンアシルエ
ステル類、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイ
ド付加物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等
のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ア
ルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルリン酸エステル等のリン酸エステル類、シュガー
エステル類、セルロースエーテル類等が使用される。
【0043】陰イオン系界面活性剤としては、例えばオ
レイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸
塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウ
ム等の高級アルコール硫酸エステル類、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン
酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩及びア
ルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸
ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ジア
ルキルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレン
サルフェート塩等が使用される。
【0044】陽イオン系界面活性剤としては、例えばエ
タノールアミン類、ラウリルアミンアセテート、トリエ
タノールアミンモノ蟻酸塩、ステアラミドエチルジエチ
ルアミン酢酸塩等のアミン塩、ラウリルトリメチルアン
モニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロラ
イド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、
ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ス
テアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の
第4級アンモニウム塩等が使用される。
【0045】両性イオン系界面活性剤としては、例えば
ジメチルアルキルラウリルベタイン、ジメチルアルキル
ステアリルベタイン等の脂肪酸型両性界面活性剤、ジメ
チルアルキルスルホベタインのようなスルホン酸型両性
界面活性剤、アルキルグリシン等が使用される。
【0046】これら界面活性剤の配合割合は、固形分重
量比で、ブロック又はグラフト共重合体:界面活性剤=
100:0.5〜100:30が好ましく、ブロック又
はグラフト共重合体:界面活性剤=100:1〜10
0:20であることがさらに好ましい。界面活性剤の配
合量が0.5重量部に満たない場合、長期にわたる防曇
被膜の防曇持続性が得られず、30重量部を越える場
合、防曇被膜の耐水性が低くなる傾向となる。
【0047】ブロック又はグラフト共重合体と界面活性
剤の混合方法としては、ブロック若しくはグラフト共重
合体を有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶剤又は水に溶
解したり、分散させりしてその中に界面活性剤を加えて
もよく、またブロック又はグラフト共重合体を形成する
単量体と一緒に界面活性剤を加えてもよい。
【0048】加熱硬化型防曇剤の溶剤としては、ブロッ
ク又はグラフト共重合体、紫外線吸収剤及び界面活性剤
を溶解又は分散できる溶剤が使用される。そのような溶
剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチ
ルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビト
ール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のア
ルコールエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ホルムア
ミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤等が挙げ
られる。これらのうち、アルコール系溶剤、アルコール
エーテル溶剤及びこれらの混合溶剤が特に好適である。
【0049】加熱硬化型防曇剤組成物には、必要により
レベリング剤、硬化触媒、酸化防止剤等の慣用の各種添
加剤を配合することができる。次に、以上のような紫外
線吸収性を有する加熱硬化型防曇剤組成物を用いた防曇
加工について説明する。
【0050】すなわち、加工対象物となる各種プラスチ
ック材料等の基材に通常の塗料における塗工手段で塗工
し、70〜145℃の温度で加熱硬化することによっ
て、防曇被膜を形成させる。この防曇加工により、防曇
性が付与された各種基材は実環境下において、防曇被膜
の外観及び密着性はもちろんのこと、防曇性が極めて長
期に維持されるものとなる。
【0051】また、塗工環境としては相対湿度が60%
R.H.以下であることが好ましい。これは、防曇剤組
成物が非常に親水性が高く、水を吸収する傾向があるた
めである。すなわち、相対湿度60%R.H.を越える
環境下で塗工した場合、加熱硬化後に防曇被膜が白化
し、外観が低下する傾向を示す。この白化傾向を抑制す
るには溶剤揮発時の水の吸着量を少なく、蒸発速度の遅
い溶剤を一部併用することが有効である。
【0052】塗工手段としては、通常の塗料における塗
布手段、即ちロールコート法、スプレー法、浸漬法、ハ
ケ塗り法、スピンコート法、フローコート法、バーコー
ター法等が適用される。
【0053】以上のような実施形態により発揮される効
果について説明する。 ・ 実施形態の加熱硬化型防曇剤組成物によれば、防曇
剤組成物により基材表面に形成された防曇被膜中のブロ
ック又はグラフト共重合体の親水性重合体セグメントが
表面側に配向し、疎水性重合体セグメントが基材側に配
向する。このため、防曇被膜の優れた外観、防曇性及び
基材に対する防曇被膜の良好な密着性を発揮することが
できる。
【0054】・ 実施形態の加熱硬化型防曇剤組成物に
よれば、基材表面に形成された防曇被膜中の紫外線吸収
剤が紫外線を吸収し、吸収されたエネルギーが主として
熱エネルギーとして再輻射される。このため、防曇被膜
の架橋反応の進行又は分解反応を抑制でき、防曇被膜の
優れた外観、防曇性及び基材に対する防曇被膜の密着性
等の特性を紫外線環境下においても、長期にわたって維
持することができる。
【0055】・ 実施形態の加熱硬化型防曇剤組成物に
よれば、防曇剤組成物を基材上に塗布して加熱硬化する
ことにより得られる被膜形成によって基材の黄変防止を
効率的に図ることができる。
【0056】・ 実施形態の加熱硬化型防曇剤組成物に
よれば、防曇被膜中の紫外線吸収剤が所定範囲の紫外線
を吸収することから、基材中に含有される紫外線吸収剤
の使用量を低減することができる。
【0057】・ 実施形態の加熱硬化型防曇剤組成物に
よれば、防曇剤組成物が有機溶剤等の溶剤に溶解可能で
あることから、防曇剤組成物の混練や基材に対する防曇
剤組成物の塗布を容易に行うことができる。
【0058】・ 実施形態の加熱硬化型防曇剤組成物に
よれば、ブロック又はグラフト共重合体の親水性重合体
セグメントがさらに(メタ)アクリル酸低級アルキルア
ルキルを加えて形成されると、ブロック又はグラフト共
重合体の親水性と疎水性の調整を容易に図ることができ
る。しかも、防曇被膜の被膜強度が高まるとともに、紫
外線環境下でも基材に対する密着性が向上する。
【0059】・ 実施形態の加熱硬化型防曇剤組成物に
よれば、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤
等の界面活性剤を配合することにより、その界面活性作
用に基づいて長期にわたる防曇持続性を達成することが
できる。
【0060】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、前記実施
形態を具体的に説明する。なお、各例における部数表示
はいずれも重量基準である。また、表1及び表2におけ
る略号は次の意味を表す。
【0061】N−MAAm:N−メチロールアクリルア
ミド DMAAm:N,N’−ジメチルアクリルアミド ACMO:N−アクリロイルモルホリン MMA:メタクリル酸メチル B−QA:2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ
プロピルトリメチルアンモニウムクロライド AMPS:(メタ)アクリルアミド−2−メチル−1−
プロパンスルホン酸 IBMA:メタクリル酸i−ブチル M20G:メタクリル酸メトキシジエチレングリコール M40G:メタクリル酸メトキシテトラエチレングリコ
ール AA:アクリル酸 MAA:メタクリル酸 SEM:メタクリル酸2−スルホエチル PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル さらに、表3及び表4における略号の意味を以下に示
す。 紫外線吸収剤 (A):2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−
5’−メチル)ベンゾトリアゾール〔チバガイギー( C
hiba Geigy)社製商品名TINUVIN171〕 (B):2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−
5’−オクテートエチル)ベンゾトリアゾール〔チバガ
イギー( Chiba Geigy)社製商品名TINUVIN384〕 (C):
【0062】
【化3】 〔チバガイギー( Chiba Geigy)社製商品名TINUVIN113
0 〕 (D):2−エトキシフェニル−4−ドデシルフェニル
シュウ酸アニリド(サンド社製商品名サント゛ハ゛ー 3206) 界面活性剤 (a):ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
(日本油脂社製商品名ノニオンNS-212) (b):ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル
(日本油脂社製商品名ノニオンHS-210) (c):n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(日本油脂社製商品名 ニューレックスR ) (d):ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(日本油
脂社製商品名 ラヒソ゛-ル A80) (e):オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライ
ド(日本油脂社製商品名カチオンAB) (f):ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン(日本油脂
社製商品名アノン BF)基材 PC:ポリカーボネート PMMA:ポリメタクリル酸メチル (参考例1〜5、ブロック共重合体の合成)下記化4で
表されるポリメリックペルオキシドを重合開始剤に用い
た2段階重合により、ブロック共重合体を以下のように
合成した。尚、以下に示す重合条件は、親水性重合体セ
グメントを形成する第1段重合、疎水性重合体セグメン
トを形成する第2段重合のいずれも、仕込んだ単量体が
各段階においてほぼ完全にポリマー化される条件であ
る。
【0063】温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた
反応器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル1
00部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら70℃に加
熱し、それに、 プロピレングリコールモノメチルエーテル A部 化3で表されるポリメリックペルオキシド B部 前記A成分から選ばれる架橋性官能基を有する単量体 C部 前記B成分から選ばれる親水性単量体 D部 前記D成分から選ばれる(メタ)アクリル酸低級アルキル E部 からなる混合液を2時間かけて仕込み、さらに2時間重合反応を行った(第1段 重合)。その後さらに、 プロピレングリコールモノメチルエーテル F部 前記C成分から選ばれるスルホン酸、カルボキシル基又はリン酸基を有する ビニル型単量体 G部 前記D成分から選ばれる(メタ)アクリル酸低級アルキル H部 からなる混合液を30分かけて仕込み、75℃で5時間
重合反応を行った。上記A〜Hの部数及び重合結果を表
1に示した。
【0064】
【化4】
【0065】
【表1】 (参考例6〜10、グラフト共重合体の合成)t−ブチ
ルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートを
用いてグラフト共重合体を合成した。なお、以下に示す
重合条件は、親水性重合体セグメントを形成する第1段
重合、疎水性重合体セグメントを形成する第2段重合の
各段階において、仕込んだ単量体がほぼ完全に重合化さ
れる条件である。まず、前記参考例1で用いた反応器に
プロピレングリコールモノメチルエーテル100部を仕
込み、窒素ガスを吹き込みながら85℃に加熱し、それ
に、 プロピレングリコールモノメチルエーテル 33.6部 t−ブチルペルオキシオクタノエート 4.0部 t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチル カーボネート 2.4部 前記A成分から選ばれる架橋性官能基を有する単量体 C部 前記B成分から選ばれる親水性単量体 D部 前記D成分から選ばれる(メタ)アクリル酸低級アルキル E部 からなる混合液を2時間かけて仕込み、さらに7時間重合反応を行った(第1段 重合)。その後さらに、110℃まで加熱して、 プロピレングリコールモノメチルエーテル F部 前記C成分から選ばれるスルホン酸、カルボキシル基又はリン酸基を有する ビニル型単量体 G部 前記D成分から選ばれる(メタ)アクリル酸低級アルキル H部 からなる混合液を30分かけて仕込み、110℃で7時
間重合反応を行った。上記C〜Hの部数及び重合結果を
表2に示した。表2で、重合結果の欄における固形分は
重量%を示す。粘度は重合溶液の25℃における粘度
(ポイズ、P)を表す。親水性重合体セグメントの比率
は、全重合体に占める第1段目重合で合成された重合体
の割合(%)を表す。
【0066】
【表2】 (実施例1〜10及び比較例1〜10)参考例1〜20
で合成した重合体を全て重合体の固形分が20重量%に
なるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで
希釈した重合体溶液に、紫外線吸収剤と界面活性剤をそ
れぞれ配合した加熱硬化型防曇剤組成物を得た。配合の
際には強力な攪拌は必要とせず、容易に混合することが
可能であった。配合組成を、表3及び表4に示した。
【0067】次いで、各組成物をその乾燥膜厚が5μm
となるように相対湿度60%R.H.以下の環境下でバ
ーコーターを用いて厚さ2mmの基材に塗布し、各々の
条件で加熱硬化を行った。このように、塗布する方法に
よって、紫外線吸収剤の使用量が樹脂中に混練する方法
と比較して低減することができ、更に容易に作業を行う
ことができた。
【0068】
【表3】 硬化条件 (1): 80℃で60分 (2):120℃で30分 (3):140℃で10分
【0069】
【表4】 硬化条件 (1): 80℃で60分 (2):120℃で30分 (3):140℃で10分 このようにして得られたそれぞれの防曇被膜を東洋精機
製作所製ATLASUVCONを用いて紫外線を照射
し、促進試験を行った。なお、ブラックパネル温度は8
3℃、1000時間後の防曇被膜について、下記に示す
評価方法にて試験を行った。その結果を表5及び表6に
示す。 <防曇被膜外観>試験後の防曇被膜外観の変化を目視に
より判定した。
【0070】 ○:防曇被膜に変化のないもの ×:防曇被膜にクラックが発生したもの <塗膜密着性>JIS D0202に準じた碁盤目セロ
テープ剥離試験を行った。すなわち、防曇被膜表面にカ
ッターナイフで基材に達するように100個のクロスカ
ットを作り、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社)
を貼り付け、接着面と垂直方向に剥離し、剥がずに残っ
たクロスカットの数を次のような記号で表した。
【0071】 ○(a): 100/100 △(b):15〜30/100 ×(d): 0/100 <呼気テスト>試験後の防曇被膜を20℃の恒温室内に
置き、その防曇被膜に息を吹きかけ、曇りの状態を目視
により判定した。
【0072】 ◎:全く曇らないもの ○:水滴が瞬時にぬれひろがるもの △:やや曇りが見られるもの ×:全面が曇るもの <基材外観>試験後の試験板(基材)の変化を目視より
判定した。なお、防曇被膜の着色も見られるためサンド
ペーパーで防曇被膜を削り落としてから評価を行った。
【0073】 ○:基材に変化のないもの △:基材に極わずかに黄色が発生したもの ×:基材に黄色が発生したもの
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】 上記表6に示されるように、比較例1〜10では防曇剤
組成物に紫外線吸収剤が含まれていないため、防曇被膜
の外観が不良で、防曇性や基材に対する密着性が低下す
ることが判明し、さらには基材の外観までもが低下する
ことが判明した。
【0076】それに対し、実施例1〜10の加熱硬化型
防曇剤組成物は、防曇被膜の外観、基材に対する密着
性、防曇性能及び基材の外観の全ての性能について優れ
ていることが判明した。
【0077】以上詳述したように、第1〜第3の発明の
加熱硬化型防曇剤組成物は、長時間にわたって紫外線が
照射されても防曇被膜の外観、防曇性及び基材に対する
密着性を改善することが可能となり、防曇剤組成物を基
材に塗工するという簡単な方法で基材の黄変まで抑制す
ることが可能となった。
【0078】なお、前記実施形態より把握される技術的
思想について以下に記載する。 ・ 前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、ベン
ゾフェノン系又はシュウ酸アニリド系である請求項1か
ら請求項3のいずれかに記載の加熱硬化型防曇剤組成
物。
【0079】このように構成した場合、透明プラスチッ
ク等の基材の黄変防止、防曇被膜のクラック防止、さら
には基材に対する防曇被膜の防曇性や密着性を紫外線の
多い環境下でも長時間維持することができる。 ・ 前記界面活性剤は、非イオン系又は陰イオン系の界
面活性剤である請求項1から請求項3のいずれかに記載
の加熱硬化型防曇剤組成物。
【0080】このように構成した場合、防曇被膜の防曇
性の持続性及び防曇被膜の外観変化を抑制することがで
きる。 ・ 請求項1に記載の加熱硬化型防曇剤組成物を基材に
塗工した後、70〜145℃の温度で加熱硬化し、基材
表面に防曇被膜を形成する防曇加工方法。
【0081】この方法によれば、簡単な操作により、優
れた防曇性とその持続性、さらには基材の黄変抑制を効
果的に図ることができる。
【0082】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、次のような効果を奏する。第1の発明の加熱硬
化型防曇剤組成物によれば、防曇被膜の外観を良好に維
持でき、優れた防曇性を発揮できるとともに、基材に対
する密着性を向上させることができる。さらに、それら
の特性を紫外線環境下においても長期間にわたって維持
することができる。また、塗布等による防曇被膜の形成
によって基材の黄変防止を効率的に図ることができると
ともに、基材中の紫外線吸収剤の使用量を低減すること
ができる。加えて、防曇剤組成物の混練や、基材への防
曇剤組成物の塗布が容易である。
【0083】また、第2の発明の加熱硬化型防曇剤組成
物によれば、第1の発明の効果に加え、親水性と疎水性
の調整が容易で、紫外線環境下でも基材に対する防曇被
膜の密着性を向上させることができる。
【0084】さらに、第3の発明の加熱硬化型防曇剤組
成物によれば、第1の発明又は第2の発明の効果に加
え、界面活性剤の作用に基づき、防曇持続性をより長期
にわたって発揮することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−メチロール基、N−メチロールエー
    テル基又はヒドロキシル基の架橋性官能基を有する単量
    体から選ばれる少なくとも一種の単量体と、親水性単量
    体の少なくとも一種の単量体とより形成される親水性重
    合体セグメントと、スルホン酸基、カルボキシル基又は
    リン酸基を有するビニル型単量体からから選ばれる少な
    くとも一種の単量体と、(メタ)アクリル酸低級アルキ
    ルの少なくとも一種の単量体とより形成される疎水性重
    合体セグメントとからなるブロック又はグラフト共重合
    体及び紫外線吸収剤を含有する加熱硬化型防曇剤組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記親水性重合体セグメントは、N−メ
    チロール基、N−メチロールエーテル基又はヒドロキシ
    ル基の架橋性官能基を有する単量体から選ばれる少なく
    とも一種、親水性単量体の少なくとも一種及び(メタ)
    アクリル酸低級アルキルアルキルの少なくとも一種とか
    ら形成されるものである請求項1に記載の加熱硬化型防
    曇剤組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の加熱硬化
    型防曇剤組成物に更に界面活性剤を配合してなる加熱硬
    化型防曇剤組成物。
JP3516498A 1998-02-17 1998-02-17 加熱硬化型防曇剤組成物 Pending JPH11228940A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3516498A JPH11228940A (ja) 1998-02-17 1998-02-17 加熱硬化型防曇剤組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3516498A JPH11228940A (ja) 1998-02-17 1998-02-17 加熱硬化型防曇剤組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11228940A true JPH11228940A (ja) 1999-08-24

Family

ID=12434240

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3516498A Pending JPH11228940A (ja) 1998-02-17 1998-02-17 加熱硬化型防曇剤組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11228940A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008120585A1 (ja) * 2007-03-22 2008-10-09 Jsr Corporation 水溶性共重合体および水性分散剤
US7601768B2 (en) 2001-07-24 2009-10-13 Nippon Oil & Fats Co. Ltd. Antifogging coating composition and article coated therewith
JP2011140589A (ja) * 2010-01-08 2011-07-21 Nof Corp 防曇塗料組成物
US20150203736A1 (en) * 2013-12-25 2015-07-23 Sinopec Oilfield Service Corporation Comb polymer, method of preparing the same, and use thereof
JP2017179112A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 Dic株式会社 ブロックポリマー、並びにこれを含むコーティング剤および塗膜
JP2018150470A (ja) * 2017-03-14 2018-09-27 日油株式会社 防曇剤組成物

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7601768B2 (en) 2001-07-24 2009-10-13 Nippon Oil & Fats Co. Ltd. Antifogging coating composition and article coated therewith
WO2008120585A1 (ja) * 2007-03-22 2008-10-09 Jsr Corporation 水溶性共重合体および水性分散剤
JP2011140589A (ja) * 2010-01-08 2011-07-21 Nof Corp 防曇塗料組成物
US8921455B2 (en) 2010-01-08 2014-12-30 Nof Corporation Anti-fog coating composition
US20150203736A1 (en) * 2013-12-25 2015-07-23 Sinopec Oilfield Service Corporation Comb polymer, method of preparing the same, and use thereof
US9938445B2 (en) * 2013-12-25 2018-04-10 Sinopec Oilfield Service Corporation Comb polymer, method of preparing the same, and use thereof
JP2017179112A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 Dic株式会社 ブロックポリマー、並びにこれを含むコーティング剤および塗膜
JP2018150470A (ja) * 2017-03-14 2018-09-27 日油株式会社 防曇剤組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5568995B2 (ja) 防曇塗料組成物
US5180760A (en) Anti-fogging resin film-forming composition
EP2599799A1 (en) Single-layer film and hydrophilic material comprising same
WO2006090572A1 (ja) 再剥離型粘着剤組成物、再剥離型粘着剤層、および粘着シート類、ならびに表面保護材
JP5379130B2 (ja) 表面に多数のくぼみを有する樹脂粒子
JP3605833B2 (ja) 加熱硬化型防曇剤組成物
JPH11228940A (ja) 加熱硬化型防曇剤組成物
JP3216262B2 (ja) 車両灯具用加熱硬化型防曇剤組成物及び車両灯具
JP6642152B2 (ja) 防曇剤組成物
JPH06172676A (ja) 紫外線硬化型防曇剤組成物
JP2003206435A (ja) 防曇塗料、防曇性成形品及び防曇性シート
JPH02255854A (ja) 防曇性樹脂塗膜形成組成物
JPH1143614A (ja) 防曇膜及びその製造方法
JPH04211461A (ja) 紫外線硬化型防曇剤組成物及び防曇塗膜の作成方法
JPH08269387A (ja) 加熱硬化型被覆組成物
JPH07157518A (ja) 共重合体ラテックス
JP2008208152A (ja) プラスチックコーティング剤用水性樹脂エマルジョンおよびそれを用いたプラスチックコーティング剤
JP2007051254A (ja) エマルション塗料組成物、その製造方法、及び塗装物品
JP2841621B2 (ja) プラスチック成形材料用加熱硬化型防曇剤組成物及び防曇粧膜被覆プラスチック成形材料
JPH11189737A (ja) 水系コーテイング剤用組成物
JPH09194828A (ja) 防曇剤組成物
JPH0632997A (ja) 紫外線硬化型被覆組成物
JPH08253654A (ja) 加熱硬化型被覆組成物
JPH08157767A (ja) 導電性塗膜形成剤組成物
JP4379935B2 (ja) 機能性被膜及び機能性物品並びにそれらの製造方法