JP6819228B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、トレッド部に設けられたブロックの耐偏摩耗性を向上させ得るタイヤに関する。
例えば、下記特許文献1には、六角形状の踏面を有するブロックが複数設けられたタイヤが提案されている。特許文献1の各ブロックには、踏面をタイヤ軸方向に横切る横断サイプが設けられている。
しかしながら、特許文献1の横断サイプは、その両端が、ブロック外方に突出するブロック壁の頂部に連なっている。一般に、ブロック壁の頂部付近には、大きな応力が作用するため、特許文献1のサイプは、前記頂部付近の偏摩耗を招く傾向があった。
また、特許文献1のブロックは、横断サイプで区画された各領域の踏面に偏摩耗が生じる傾向があった。
以上のように、特許文献1のタイヤは、ブロックの耐偏摩耗性の向上について、さらなる改善の余地があった。
特開2011−98622号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ブロックの耐偏摩耗性を向上させ得るタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝と、前記主溝間を接続する複数本の横溝とによって区画された複数のブロックを有するタイヤであって、前記トレッド部の平面視において、前記ブロックの少なくとも1つは、両側の前記主溝に沿ってそれぞれのびる第1ブロック壁及び第2ブロック壁と、前記第1ブロック壁で開口する第1端と前記第2ブロック壁に開口する第2端との間をのびる横断サイプと、前記横断サイプのタイヤ周方向の両側に区画された第1領域及び第2領域とを有し、前記第1ブロック壁及び前記第2ブロック壁は、それぞれ、ブロック外方に突出する頂部を有して凸となるV字状に湾曲しており、前記横断サイプは、前記第1端が前記第1ブロック壁の前記頂部のタイヤ周方向の第1の側に位置し、前記第2端が前記第2ブロック壁の前記頂部のタイヤ周方向の第2の側に位置し、前記第1領域及び前記第2領域には、それぞれ、両端が各領域内で途切れるクローズドサイプが形成されている。
本発明のタイヤにおいて、前記横断サイプは、前記第1端から波状にタイヤ軸方向にのびる第1部分と、前記第2端から波状にタイヤ軸方向にのびる第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間を直線状にのびて継ぐ第3部分とを含むのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1部分と前記第2部分とは、タイヤ周方向で異なる位置に形成され、前記第3部分は、タイヤ軸方向に対して傾斜しているのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記クローズドサイプは、波状にのび、前記クローズドサイプの波状の振幅の中心線は、前記第3部分と同じ向きに傾斜しているのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1領域に配された前記クローズドサイプと、前記第2領域に配された前記クローズドサイプとは、タイヤ軸方向で、互いにオーバーラップすることなく形成されているのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1領域及び前記第2領域は、それぞれ、タイヤ軸方向のブロック最大幅を2等分してタイヤ周方向にのびるブロック中心線の一方側に配されかつ前記第1ブロック壁又は前記第2ブロック壁の前記頂部を含む頂部側領域と、前記ブロック中心線の他方側に配されかつ前記頂部側領域よりも小さい踏面の面積を有する非頂部側領域とを含み、前記各クローズドサイプは、前記頂部側領域に設けられているのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記各クローズドサイプは、全体が前記頂部側領域内に形成されているのが望ましい。
本発明のタイヤのトレッド部の平面視において、ブロックの少なくとも1つは、両側の主溝に沿ってそれぞれのびる第1ブロック壁及び第2ブロック壁と、第1ブロック壁で開口する第1端と第2ブロック壁に開口する第2端との間をのびる横断サイプと、横断サイプのタイヤ周方向の両側に区画された第1領域及び第2領域とを有している。第1ブロック壁及び第2ブロック壁は、それぞれ、ブロック外方に突出する頂部を有して凸となるV字状に湾曲している。このような横断サイプを有するブロックは、路面と接触するときにブロックの端縁に作用する応力を適度に緩和でき、例えば、ヒールアンドトゥ摩耗を抑制することができる。
横断サイプは、第1端が第1ブロック壁の頂部のタイヤ周方向の第1の側に位置し、第2端が第2ブロック壁の頂部のタイヤ周方向の第2の側に位置している。このような横断サイプの第1端及び第2端は、大きな応力が作用するブロック壁の頂部からずれた位置に設けられるため、前記頂部付近の剛性が維持され、ひいてはブロックの耐偏摩耗性が高められる。また、横断サイプで区画された第1領域及び第2領域は、それぞれ、ブロック壁の1つの頂部を含んでいるため、各領域の剛性がバランス良く高められ、均一な摩耗が得られる。従って、ブロックの偏摩耗が効果的に抑制される。
前記ブロックの第1領域及び第2領域には、それぞれ、両端が各領域内で途切れるクローズドサイプが形成されている。クローズドサイプは、各領域の過度な変形を抑制しつつ、ブロックに作用する応力をさらに緩和し、偏摩耗をさらに抑制し得る。
本発明の一実施形態のタイヤのトレッド部の展開図である。 図1のクラウン陸部の拡大図である。 図2の第1クラウンブロックの拡大図である。 図1のミドル陸部の拡大図である。 図1のショルダー陸部の拡大図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、乗用車用や重荷重用の空気入りタイヤ、及び、タイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤ等の様々なタイヤに用いることができる。本実施形態のタイヤ1は、例えば、トラックやバス等の重荷重用の空気入りタイヤとして好適に使用される。
図1に示されるように、タイヤ1のトレッド部2には、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝3で区画された陸部10が設けられている。
主溝3は、例えば、クラウン主溝4及びショルダー主溝5を含んでいる。クラウン主溝4は、例えば、タイヤ赤道の両側に1本ずつ設けられている。ショルダー主溝5は、例えば、最もトレッド端Te側に配されている。
「トレッド端Te」は、空気入りタイヤの場合、正規リム(図示せず)にリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも無負荷である正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0°で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
クラウン主溝4及びショルダー主溝5は、任意の位置に設けることができる。例えば、クラウン主溝4は、その溝中心線がタイヤ赤道Cからトレッド幅TWの0.08〜0.15倍の距離を隔てて位置するのが望ましい。同様に、ショルダー主溝5は、その溝中心線がタイヤ赤道Cからトレッド幅TWの0.25〜0.35倍の距離を隔てて位置するのが望ましい。トレッド幅TWは、前記正規状態のタイヤ1のトレッド端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離である。
各主溝3は、例えば、互いに逆向きに傾斜した第1傾斜部6aと第2傾斜部6bとがタイヤ周方向に交互に設けられたジグザグ状である。各傾斜部6a、6bのタイヤ周方向に対する角度θ1は、例えば、5〜15°であるのが望ましい。
クラウン主溝4の溝幅W1及びショルダー主溝5の溝幅W2は、例えば、トレッド幅TWの1.5%〜5.0%であるのが望ましい。ショルダー主溝5の溝幅W2は、例えば、クラウン主溝4の溝幅W1よりも大きいのが望ましい。各主溝3の溝深さは、重荷重用空気入りタイヤの場合、例えば、10〜25mmであるのが望ましい。このような各主溝3は、ウェット性能と耐偏摩耗性とをバランス良く高めるのに役立つ。
陸部10は、例えば、クラウン陸部11、ミドル陸部12、及び、ショルダー陸部13を含んでいる。
クラウン陸部11は、一対のクラウン主溝4、4の間に区画されている。ミドル陸部12は、クラウン主溝4とショルダー主溝5との間に区画されている。ショルダー陸部13は、ショルダー主溝5のタイヤ軸方向外側に区画されている。各陸部10は、主溝間を接続する横溝で区画されたブロック20がタイヤ周方向に並ぶブロック列として形成されている。
図2には、クラウン陸部11の拡大図が示されている。図2に示されるように、クラウン陸部11は、複数のクラウン横溝16によって区画された複数のクラウンブロック21を含んでいる。
クラウン横溝16は、例えば、一対のクラウン主溝4の間をタイヤ軸方向に沿って直線状にのびている。クラウン横溝16の溝幅W3は、例えば、クラウン主溝の溝幅W1よりも大きいのが望ましい。前記溝幅W3は、例えば、前記溝幅W1の1.5〜1.8倍である。
本実施形態のクラウン横溝16は、例えば、タイヤ軸方向の中央部に溝底が隆起したタイバー16aが設けられている。さらに望ましい態様として、タイバー16aには、溝底サイプ16bが設けられている。但し、クラウン横溝16は、このような態様に限定されるものではない。本明細書において、「サイプ」とは、幅が1.5mm以下の切れ込みを意味し、排水用の溝とは区別される。
図3には、本実施形態のブロック20を説明するための図として、図2の第1クラウンブロック21Aの拡大図が示されている。図3に示されるように、トレッド部2の平面視において、ブロック20の少なくとも1つは、第1ブロック壁25a及び第2ブロック壁25bと、これらの間をのびる横断サイプ30とを有している。
第1ブロック壁25a及び第2ブロック壁25bは、それぞれ、主溝3(図1に示す)に沿ってのびている。図3において、第1ブロック壁25aは、ブロック20の右側に配され、第2ブロック壁25bは、ブロック20の左側に配されている。第1ブロック壁25a及び第2ブロック壁25bは、それぞれ、ブロック外方に突出する頂部27を有して凸となるV字状に湾曲している。頂部27におけるブロック壁の角度θ7(図2に示す)は、例えば、140〜170°である。このようなブロック壁により、ブロック20は、略六角形状の踏面を有している。
前記頂部27は、例えば、ブロックのタイヤ周方向の中央位置からずれて形成されている。これにより、各ブロック壁25a、25bは、長壁部46と、長壁部46よりもタイヤ周方向の長さが小さい短壁部47とを含んでいる。本実施形態において、第1ブロック壁25aは、例えば、頂部27のタイヤ周方向の第1の側(図3では上側)に長壁部46が配され、頂部27のタイヤ周方向の第2の側(図3では下側)に短壁部47が配されている。第2ブロック壁25bは、例えば、頂部27のタイヤ周方向の前記第2の側に長壁部46が配され、頂部27のタイヤ周方向の前記第1の側に短壁部47が配されている。短壁部47は、例えば、長壁部46の0.75〜0.90倍のタイヤ周方向の長さを有しているのが望ましい。本実施形態では、このような第1ブロック壁25aおよび第2ブロック壁25bを有するブロック20がタイヤ周方向に複数設けられている。
1つのブロックにおいて、第1ブロック壁25aと第2ブロック壁25bとは、互い点対称となる形状を有してるのが望ましい。これにより、ブロック20の偏摩耗を抑制することができる。
横断サイプ30は、第1ブロック壁25aで開口する第1端28aと第2ブロック壁25bに開口する第2端28bとの間をのびている。このような横断サイプ30を有するブロック20は、路面と接触するときにブロックの端縁に作用する応力を適度に緩和でき、例えば、ヒールアンドトゥ摩耗を抑制することができる。
横断サイプ30は、第1端28aが第1ブロック壁25の頂部27のタイヤ周方向の前記第1の側に位置し、第2端28bが第2ブロック壁26の頂部27のタイヤ周方向の前記第2の側に位置している。
このような横断サイプ30の第1端28a及び第2端28bは、大きな応力が作用するブロック壁の頂部27からずれた位置に設けられるため、頂部27付近の剛性が維持され、ひいてはブロックの耐偏摩耗性が高められる。また、横断サイプ30で区画された第1領域26a及び第2領域26bは、それぞれ、ブロック壁の1つの頂部を含んでいるため、各領域の剛性がバランス良く高められ、均一な摩耗が得られる。従って、ブロックの偏摩耗が効果的に抑制される。
横断サイプ30は、例えば、第1端28aからのびる第1部分31と、第2端28bからのびる第2部分32と、これらの間の第3部分33とを含んでいる。
第1部分31及び第2部分32は、それぞれ、波状にタイヤ軸方向にのびているのが望ましい。第1部分31及び第2部分32は、例えば、正弦波状、矩形波状、又は、ジグザグ状等、種々の形状を採用し得る。このような第1部分31及び第2部分32は、互いに向き合うサイプ壁同士が強く噛み合うことにより、ブロックの剛性を高めることができ、ひいてはブロックの耐偏摩耗性を向上させる。
上述の効果をさらに発揮させるために、第1部分31及び第2部分32のピークトゥピークの振幅量A1は、例えば、ブロック20のタイヤ周方向の最大長さL1(図2に示す)の0.05〜0.15倍であるのが望ましい。
第1部分31及び第2部分32の振幅の中心線は、例えば、タイヤ軸方向に対して5〜10°の角度θ2で傾斜しているのが望ましい。
本実施形態の第1部分31と第2部分32とは、例えば、互いにタイヤ周方向に異なる位置に形成されているのが望ましい。このような第1部分31及び第2部分32は、横断サイプ30で区画された各領域のタイヤ周方向の剛性を緩和し、ブロック20に作用する応力をさらに小さくすることができる。
さらに望ましい態様として、第1部分31のタイヤ軸方向の長さは、第2部分32のタイヤ軸方向の長さと同一である。これにより、ブロック20が均一に摩耗し易くなり、耐偏摩耗性がさらに向上する。
第3部分33は、例えば、タイヤ軸方向に対して傾斜して直線状にのびている。第3部分33のタイヤ軸方向に対する角度θ3は、例えば、40〜60°である。このような第3部分33は、第1部分31及び第2部分32とともに、ブロック20に作用する応力を小さくするのに役立つ。
第3部分33のタイヤ軸方向の長さL3は、例えば、ブロック20のタイヤ軸方向の最大長さL2(図2に示す)の0.15〜0.30倍であるのが望ましい。さらに望ましい態様として、第3部分33の前記長さL3は、クラウン横溝16に設けられたタイバー16a(図2に示す)のタイヤ軸方向の長さよりも小さいのが望ましい。このような第3部分33は、ウェット性能と耐偏摩耗性とをバランス良く高めるのに役立つ。
第1ブロック壁25aの頂部27から第1端28aまでのタイヤ周方向の距離L4、及び、第2ブロック壁25bの頂部27から第2端28bまでのタイヤ周方向の距離L5は、例えば、ブロックのタイヤ周方向の最大長さL1の0.01〜0.40倍である。望ましい態様として、図3で示される第1クラウンブロック21Aでは、前記距離L4及び前記距離L5は、例えば、前記最大長さL1の0.15〜0.25倍とされている。これにより、横断サイプ30の端の位置が、頂部27や横溝から適度に離れるため、端を起点とした摩耗を効果的に抑制することができる。
さらに望ましい態様として、横断サイプ30の第1端28a及び第2端28bは、ブロック壁25a、25bに含まれるスロット37に連なるのが望ましい。なお、スロット37は、ブロック壁25a、25bのうち、部分的にタイヤ半径方向に対する角度が大きくなり、踏面に連なる傾斜面である。これにより、横断サイプ30の端を起点とした偏摩耗がさらに抑制される。
横断サイプ30のタイヤ周方向の両側に区画された第1領域26a及び第2領域26bは、それぞれ、ブロック中心線20cの一方側に配されかつ第1ブロック壁25又は第2ブロック壁26の頂部27を含む頂部側領域34と、ブロック中心線20cの他方側に配されかつ頂部側領域34よりも小さい踏面の面積を有する非頂部側領域35とを含んでいる。なお、ブロック中心線は、タイヤ軸方向のブロック最大幅を2等分してタイヤ周方向にのびる線である。
第1領域26a及び第2領域26bには、それぞれ、両端が各領域内で途切れるクローズドサイプ38が形成されている。クローズドサイプ38は、各領域の過度な変形を抑制しつつ、ブロックに作用する応力をさらに緩和し、偏摩耗をさらに抑制し得る。
本実施形態のクローズドサイプ38は、例えば、第1領域26a及び第2領域26bの頂部側領域34に設けられているのが望ましい。本実施形態のクローズドサイプ38は、ブロック中心線20cに跨ることなく、全体が頂部側領域34に形成されている。これにより、非頂部側領域35の剛性低下が抑制され、ひいては各領域の偏摩耗が抑制される。
クローズドサイプ38は、例えば、波状にのびているのが望ましい。クローズドサイプ38は、例えば、正弦波状、矩形波状、又は、ジグザグ状等、種々の形状を採用し得る。クローズドサイプ38のピークトゥピークの振幅量A2は、例えば、第1部分31又は第2部分32の前記振幅量A1よりも小さいのが望ましい。このようなクローズドサイプ38は、互いに向き合うサイプ壁同士が適度に噛み合い、各領域の変形を抑制することができる。
クローズドサイプ38の波状の振幅の中心線38cは、第3部分33と同じ向きに傾斜しているのが望ましい。前記中心線38cのタイヤ軸方向に対する角度θ4は、例えば、30〜50°であるのが望ましい。
クラウンブロック21において、第1領域26aに配されたクローズドサイプ38と、第2領域26bに配されたクローズドサイプ38とは、タイヤ軸方向で、互いにオーバーラップすることなく形成されているのが望ましい。このようなクローズドサイプ38の配置は、ブロックの過度な剛性低下を抑制することができる。
同様の観点から、クローズドサイプ38は、例えば、横断サイプ30よりも小さい深さを有しているのが望ましい。具体的には、クローズドサイプ38の深さは、主溝の深さの0.20〜0.50倍であるのが望ましい。
図2に示されるように、本実施形態のクラウンブロック21は、例えば、上述した第1クラウンブロック21Aと、これとは横断サイプ30の配置の異なる第2クラウンブロック21Bとを含み、これらがタイヤ周方向に交互に設けられている。
第2クラウンブロック21Bは、例えば、横断サイプ30の第1端28aが前記頂部27の前記第2の側(図2では下側)に位置し、横断サイプ30の第2端28bが前記頂部27の第1の側(図2では上側)に位置している。横断サイプ30の配置が異なる第1クラウンブロック21A及び第2クラウンブロック21Bは、摩耗のし易い部分が異なるため、クラウン陸部11全体でみれば、摩耗の進行し易い部分を分散させることができる。
上述の効果をさらに発揮させるために、第2クラウンブロック21Bは、第1ブロック壁25aの頂部27から第1端28aまでのタイヤ周方向の距離L4、及び、第2ブロック壁25bの頂部27から第2端28bまでのタイヤ周方向の距離L5が、第1クラウンブロック21Aよりも小さいのが望ましい。具体的には、第2クラウンブロック21Bにおいて、前記距離L4及び距離L5は、例えば、ブロックのタイヤ周方向の最大長さL1の1.5%〜5.0%であるのが望ましい。
図4には、図1のミドル陸部12の拡大図が示されている。図4に示されるように、ミドル陸部12は、複数のミドル横溝17によって区画された複数のミドルブロック22を含んでいる。
ミドル横溝17は、例えば、タイヤ軸方向に対して5〜25°の角度θ5で傾斜してのびている。ミドル横溝17は、例えば、少なくとも一部が曲がっている。さらに望ましい態様として、本実施形態のミドル横溝17は、一対の第1横溝部41と第2横溝部42とを含んでいる。第1横溝部41は、例えば、クラウン主溝4又はショルダー主溝5に連なっている。第2横溝部42は、例えば、各第1横溝部41の間に配され、かつ、タイヤ軸方向に対して第1横溝部41よりも大きい角度で傾斜している。これにより、ウェット走行時、第1横溝部41内の水が滑らかに主溝側に案内され、ひいてはウェット性能が高められる。
本実施形態のミドルブロック22は、例えば、上述したクラウンブロック21と同様の構成を有している。即ち、ミドルブロック22は、上述した各ブロック壁25a、25b、並びに、横断サイプ30及びクローズドサイプ38を有している。なお、図4に示されたミドルブロック22において、図3に示されたクラウンブロック21と共通する構成には、同一の符号が付されている。
各ミドルブロック22は、横断サイプ30の第1端28aが第1ブロック壁25aの頂部27の第2の側(図4では下側)に位置し、かつ、横断サイプ30の第2端28bが第2ブロック壁25bの頂部27の第1の側(図4では上側)に位置している。
各ミドルブロック22に設けられたクローズドサイプ38は、それぞれ、同じ向きに傾斜しているのが望ましい。このようなミドルブロック22は、上述したクラウンブロックと均一に摩耗することができる。
同様の観点から、各ミドルブロック22において、第1領域26aに設けられたクローズドサイプ38と第2領域26bに設けられたクローズドサイプ38とは、タイヤ軸方向で互いにオーバーラップして形成されているのが望ましい。
図5には、図1のショルダー陸部13の拡大図が示されている。図5に示されるように、ショルダー陸部13は、例えば、複数のショルダー横溝18によって区画された複数のショルダーブロック23を含んでいる。
ショルダー横溝18は、例えば、タイヤ軸方向に沿ってのびる一対の第1横溝部43と、これらの間でタイヤ軸方向に対して傾斜してのびる第2横溝部44とを含んでいる。第2横溝部44のタイヤ軸方向に対する角度θ6は、例えば、25〜35°である。
望ましい態様として、ショルダー横溝18の溝深さは、例えば、ショルダー主溝5の溝深さの0.05〜0.25倍である。これにより、高い剛性を有するショルダー陸部13がトレッド部の両側に配され、ひいてはクラウン陸部11及びミドル陸部12(図1に示す)に作用する接地荷重が緩和される。従って、クラウン陸部11及びミドル陸部12の耐偏摩耗性がさらに高められる。
本実施形態のショルダーブロック23は、例えば、縦長状の踏面を有している。望ましい態様として、ショルダーブロック23の踏面には、サイプが設けられていない。このようなショルダーブロック23は、優れた耐久性を発揮することができる。
以上、本発明の一実施形態のタイヤが詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施される。
図1の基本パターンを有するサイズ11R22.5の重荷重用の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。比較例1として、横断サイプの端がブロック壁の頂部からのびており、かつ、クローズドサイプが設けられていないタイヤが試作された。比較例2として、図1の基本パターンと同様の横断サイプの配置を有し、かつ、クローズドサイプが設けられていないタイヤが試作された。比較例1及び比較例2のタイヤは、上記の構成を除き、実質的に図1に示されるタイヤと同じ構成を有している。テストタイヤのウェット性能、耐摩耗性、及び、偏摩耗の有無がテストされた。各テストタイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
装着リム:22.5×8.25
タイヤ内圧:720kPa
テスト車両:10t積トラック、荷台前方に標準積載量の50%の荷物を積載
タイヤ装着位置:全輪
<ウェット性能>
下記の条件で、テスト車両が全長10mのテストコースを通過したときの通過タイムが測定された。結果は、比較例1の通過タイムを100とする指数で表示されている。数値が小さい程良好である。
路面:厚さ5mmの水膜を有するアスファルト
発進方法:2速‐1500rpm固定でクラッチを繋いで発進する。
<耐摩耗性>
上記テスト車両で乾燥路面を一定距離走行した後のクラウンブロックの摩耗量が測定された。結果は、比較例1のクラウンブロックの摩耗量を100とする指数で表示されている。数値が小さい程、耐摩耗性が優れていることを示す。
<偏摩耗の有無>
上記テスト車両で乾燥路面を一定距離走行した後、ブロック壁の頂部の偏摩耗や、ヒールアンドトゥ摩耗の有無が確認された。
テスト結果が表1に示される。なお、表1の実施例の各パラメータは、第1クラウンブロックのものである。
Figure 0006819228
Figure 0006819228
表1から明らかなように、実施例のタイヤは、偏摩耗が抑制されていることが確認できた。
2 トレッド部
3 主溝
20 ブロック
25a 第1ブロック壁
25b 第2ブロック壁
26a 第1領域
26b 第2領域
27 頂部
28a 第1端
28b 第2端
30 横断サイプ
38 クローズドサイプ

Claims (6)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝と、前記主溝間を接続する複数本の横溝とによって区画された複数のブロックを有するタイヤであって、
    前記トレッド部の平面視において、
    前記ブロックの少なくとも1つは、両側の前記主溝に沿ってそれぞれのびる第1ブロック壁及び第2ブロック壁と、前記第1ブロック壁で開口する第1端と前記第2ブロック壁に開口する第2端との間をのびる横断サイプと、前記横断サイプのタイヤ周方向の両側に区画された第1領域及び第2領域とを有し、
    前記第1ブロック壁及び前記第2ブロック壁は、それぞれ、ブロック外方に突出する頂部を有して凸となるV字状に湾曲しており、
    前記横断サイプは、前記第1端が前記第1ブロック壁の前記頂部のタイヤ周方向の第1の側に位置し、前記第2端が前記第2ブロック壁の前記頂部のタイヤ周方向の第2の側に位置し、
    前記横断サイプは、前記第1端から波状にタイヤ軸方向にのびる第1部分と、前記第2端から波状にタイヤ軸方向にのびる第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間を直線状にのびて継ぐ第3部分とを含み、
    前記第1領域及び前記第2領域には、それぞれ、両端が各領域内で途切れるクローズドサイプが形成されているタイヤ。
  2. 前記第1部分と前記第2部分とは、タイヤ周方向で異なる位置に形成され、
    前記第3部分は、タイヤ軸方向に対して傾斜している請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記クローズドサイプは、波状にのび、
    前記クローズドサイプの波状の振幅の中心線は、前記第3部分と同じ向きに傾斜している請求項1又は2記載のタイヤ。
  4. 前記第1領域に配された前記クローズドサイプと、前記第2領域に配された前記クローズドサイプとは、タイヤ軸方向で、互いにオーバーラップすることなく形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 前記第1領域及び前記第2領域は、それぞれ、タイヤ軸方向のブロック最大幅を2等分してタイヤ周方向にのびるブロック中心線の一方側に配されかつ前記第1ブロック壁又は前記第2ブロック壁の前記頂部を含む頂部側領域と、前記ブロック中心線の他方側に配されかつ前記頂部側領域よりも小さい踏面の面積を有する非頂部側領域とを含み、
    前記各クローズドサイプは、前記頂部側領域に設けられている請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 前記各クローズドサイプは、全体が前記頂部側領域内に形成されている請求項5記載のタイヤ。
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