JP6815621B2 - 歯科用接着性組成物、セラミックスプライマーおよび歯科用接着材 - Google Patents

歯科用接着性組成物、セラミックスプライマーおよび歯科用接着材 Download PDF

Info

Publication number
JP6815621B2
JP6815621B2 JP2016113528A JP2016113528A JP6815621B2 JP 6815621 B2 JP6815621 B2 JP 6815621B2 JP 2016113528 A JP2016113528 A JP 2016113528A JP 2016113528 A JP2016113528 A JP 2016113528A JP 6815621 B2 JP6815621 B2 JP 6815621B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dental
group
meth
adhesive
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016113528A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017218407A (ja
Inventor
京子 滝田
京子 滝田
裕人 岸
裕人 岸
和彦 沖汐
和彦 沖汐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Original Assignee
TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOKUYMA DENTAL CORPORATION filed Critical TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Priority to JP2016113528A priority Critical patent/JP6815621B2/ja
Publication of JP2017218407A publication Critical patent/JP2017218407A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6815621B2 publication Critical patent/JP6815621B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Dental Preparations (AREA)

Description

本発明は、歯科用接着性組成物、セラミックスプライマーおよび歯科用接着材に関するものである。
歯科治療に用いられる歯科用組成物として、シランカップリング剤を主成分として含むものが知られている(たとえば、特許文献1、2)。このシランカップリング剤を主成分として含む歯科用組成物は、特に歯科用セラミックスに対する接着強度を向上させる上で有用である。
特開2008−1624号公報 特開2007−277114号公報
一方、歯科用組成物中に、シランカップリング剤の他に酸も含まれる場合、酸触媒の作用によりシランカップリング剤中の加水性分解基が加水分解する。このため、歯科用組成物の保存安定性に劣る。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、長期保管後に使用しても優れた接着強度が得られ、かつ、保存安定性にも優れた歯科用接着性組成物ならびにこれを用いたセラミックスプライマーおよび歯科用接着材を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
本発明の歯科用接着性組成物は、(A)重合性基としてメタクリロキシ基を有するシランカップリング剤と、(B)テトラアリールボレートのアルカリ金属塩と、(C)有機溶媒と、(D)水とを含み、かつ、酸成分を含まず、(A)シランカップリング剤100質量部に対する(D)水の含有量が20質量部〜1500質量部であることを特徴とする。
本発明の歯科用接着性組成物の他の実施形態は、酸性基を含有しない重合性単量体、フィラー、光重合開始剤および重合禁止剤より選ばれる少なくとも1種をさらに含有することが好ましい。
本発明の歯科用接着性組成物の他の実施形態は、(A)シランカップリング剤として、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランを含むことが好ましい。
本発明のセラミックスプライマーは、本発明の歯科用接着性組成物からなることを特徴とする。
本発明の歯科用接着材は、本発明の歯科用接着性組成物と、酸性基含有重合性単量体および光重合開始剤を含有する光重合型ボンディング材とからなることを特徴とする。
本発明によれば、長期保管後に使用しても優れた接着強度が得られ、かつ、保存安定性にも優れた歯科用接着性組成物(以下、「歯科用組成物」と略す場合がある)ならびにこれを用いたセラミックスプライマーおよび歯科用接着材を提供することができる。
比較例A1の歯科用組成物のHPLC分析結果を示すグラフである。 比較例A2の歯科用組成物のHPLC分析結果を示すグラフである。 実施例A1の歯科用組成物のHPLC分析結果を示すグラフである。
本実施形態の歯科用組成物は、(A)シランカップリング剤と、(B)テトラアリールボレートのアルカリ金属塩と、(C)有機溶媒と、(D)水とを含み、かつ、酸成分を含まないことを特徴とする。本実施形態の歯科用組成物には、酸成分が含まれないため、保管中において、シランカップリング剤を構成するアルコキシ基などの加水性分解基が酸触媒作用によって加水分解されることが無い。しかしながら、本実施形態の歯科用組成物には、接着強度を向上させるべくシランカップリング剤を活性化する成分として酸成分の代わりに水を用いる。このため、酸触媒作用ほどの効果は無いにせよ、シランカップリング剤を構成する加水性分解基が保管中に徐々に加水分解されてしまう。それゆえ、(A)シランカップリング剤と、(C)有機溶媒と、(D)水とのみからなる組成物では、この組成物の調製直後においては優れた接着強度が得られるものの、長期保管した後においては、接着強度は著しく低下する。
上述した問題に対して、本発明者らが鋭意検討したところ、(A)シランカップリング剤と、(C)有機溶媒と、(D)水とのみからなる組成物に対して、さらに(B)テトラアリールボレートのアルカリ金属塩を添加した組成物では、長期保管後に使用しても優れた接着強度が得られ、かつ、保存安定性にも優れることを見出した。
なお、本実施形態の歯科用組成物は、酸成分を含まない。ここで、「酸成分を含まない」とは、本実施形態の歯科用組成物中に実質的に酸成分が含まれないことを意味し、全く含まれないことが特に好ましい。言い換えれば、長期保管後における接着強度および保存安定性に悪影響を及ぼさない限り、不純物などとして極微量の酸成分が含まれる場合は許容される。また、「酸成分」とは、水中に1mol/Lの濃度で溶解および/または分散させた水溶液あるいは水性分散液において、pHが4以下となる物質を意味する。「酸成分」としては、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸、クエン酸等の有機酸などの公知の酸成分であればいずれも挙げられるが、特に歯科用組成物に用いられる酸成分として、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基あるいはカルボキシル基などの酸性基を含む重合性単量体、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基あるいはカルボキシル基などの酸性基により表面修飾されたフィラーなどが挙げられる。
(A)シランカップリング剤としては、水により加水分解して有機物質と無機物質とを接合できるような作用を発揮するものであれば、公知のものが制限なく使用できる。この様なシランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキエトキシ)シラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリエトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリイソプロポキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ω−メタクリロキシデシルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、(メタクリロキシメチル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メタクリロキシプロピルシラトラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示できる。
これらシランカップリング剤のなかでも、特に、接着性及び取扱い性の観点からメタクリロキシ基などの重合基を有するシランカップリング剤が好適に使用される。
好適に使用される重合基を有するシランカップリング剤を具体的に例示すると、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリエトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリイソプロポキシシラン、ω−メタクリロキシデシルトリメトキシシランが挙げられる。
また、シランカップリング剤のSi原子に結合する加水性分解基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基、アリール基、アルキル基、水酸基、クロロ基などのハロゲン基が代表例として挙げられる。また、アルコキシ基の中では特にエトキシ基が好ましく、シランカップリング剤のSi原子に結合する加水性分解基の全てがエトキシ基であることが特に好ましい。加水性分解基がエトキシ基である場合、メトキシ基と比べて長期間保管した後の接着強度に優れ、プロポキシ基と比べて歯科用組成物を調整した直後の時点から接着強度に優れる。また、加水性分解基がプロポキシ基である場合には、初期から接着強度に優れることから、i−プロポキシ基よりもn−プロポキシ基がより好ましい。
上記のシランカップリング剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
歯科組成物中におけるシランカップリング剤の配合割合としては特に限定されないが 0.1質量%〜50質量%の範囲内が好ましく、0.3質量%〜10質量%の範囲内がより好ましい。配合割合が0.1質量%未満では十分な接着強度及び保存安定性が得られなくなる場合があり、50質量%を超えると硬化性が低下し接着強度が低下する場合がある。
(B)テトラアリールボレートのアルカリ金属塩としては、公知のものが制限なく使用できる。テトラアリールボレートのフェニル基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、ハロゲン原子などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i-プロピル基、n−ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n−オクチル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子などが挙げられる。テトラアリールボレートの具体例としては、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−メチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素が挙げられる。これらテトラアリールボレートのアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩などが挙げられる。
シランカップリング剤100質量部に対するテトラアリールボレートのアルカリ金属塩の配合量としては特に限定されないが、1〜300質量部の範囲内が好ましく、10質量部〜200質量部の範囲内がより好ましい。配合量が1質量部未満では保存後の接着強度が低下してしまう場合があり、配合量が300質量部を超える場合は、テトラアリールボレートの金属塩が使用時に析出し、接着強さの低下を生じる場合がある。
有機溶媒としては、公知のものが制限なく使用できる。具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル、蟻酸エチル等のエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のハイドロカーボン系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒;トリフルオロエタノール等のフッ素系溶媒等が挙げられる。これらの中で、溶解性および保存安定性等の理由で、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール等が特に好ましく使用される。上記の有機溶媒は1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
歯科組成物中における有機溶媒の配合割合としては特に限定されないが 5質量%〜99質量%の範囲内が好ましく、10質量%〜95質量%の範囲内がより好ましい。歯科組成物中の有機溶媒が5質量%未満であるとシランカップリング剤と水の濃度が高くなるため、シランカップリング剤の保存安定性が低下する傾向にある。また、有機溶媒が99質量%を超えるとシランカップリング剤と水の濃度が希薄となり接着強さが十分に得られない場合がある。
(D)水としては、貯蔵安定性、生体適合性及び接着性の観点で有害な不純物を実質的に含まない事が好ましく、例としては脱イオン水、蒸留水等が挙げられる。シランカップリング剤100質量部に対する水の配合量としては特に限定されないが、20質量部〜1500質量部の範囲内が好ましく、25質量部〜1250質量部の範囲内がより好ましい。配合量が20質量部未満では接着強度が低下してしまう傾向があり、配合量が1500質量部を超える場合は、水がエアブローで除去しきれずに残存して接着を阻害する場合や、シランカップリング剤の加水分解が促進されて保存安定性が低下する傾向がある。
また、本実施形態の歯科用組成物は、シランカップリング剤、テトラアリールボレートのアルカリ金属塩、有機溶媒および水のみからなる組成物であってもよいが、必要に応じてこれら以外のその他の成分(但し、酸成分に該当するものを除く)が適宜含まれていてもよい。その他の成分としては、たとえば、酸性基を有しない重合性単量体、フィラー、光重合開始剤、重合禁止剤などが挙げられる。
酸性基を有しない重合性単量体としては、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等の有機酸のエステル類、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ− N−ビニル誘導体、スチレン誘導体が例示される。中でも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。酸性基を有しない重合性単量体の具体例を以下に示す。以下の説明においてn 官能性の単量体とは、n個のオレフィン性二重結合(官能基)を有する単量体のことである。
・1官能性の重合性単量体
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1 0−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなど。
・2官能性の重合性単量体
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA ジグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3 −(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレートなど。
・3官能性以上の重合性単量体
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン) ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタンなど。
酸性基を有しない重合性単量体は1種類または複数種類の組み合わせで用いられる。
フィラーとしては、公知の有機フィラー、無機フィラーのうち、本発明の効果を阻害しない範囲で使用することができる。有機フィラーを具体的に例示すると、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルメタクリレート共重合体、エチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−トリメチロールプロパントリメタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、ナイロン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート等が挙げられる。無機フィラーを具体的に例示すると、石英、無定形シリカ、シリカジルコニア、フルオロアルミノシリケート、クレー、酸化アルミニウム、タルク、雲母、カオリン、ガラス、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム等が挙げられる。
さらに、その他の成分として酸性基を有しない重合性単量体を用いる場合、これら無機フィラーは、カップリング剤に代表される表面処理剤で処理することが好ましい。これにより、酸性基を有しない重合性単量体とのなじみをよくし、機械的強度や耐水性を向上させることが容易になる。表面処理の方法は公知の方法で行えばよく、カップリング剤としては、シランカップリング剤を使用することが好ましく、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好適に用いられる。
光重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生する光増感剤を用いることができる。紫外線に対する光増感剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン化合物系、アセトインべンゾフェノン、p−クロロべンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−メトキシチオキサントン、2−ヒドロキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド類、3,3'−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリンなどのクマリン類、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体などが挙げられる。また、可視光線で重合を開始する光増感剤は、人体に有害な紫外線を必要としないために好適に使用される。これらの例としては、ベンジル、カンファーキノン、α−ナフチル、アセトナフセン、p,p’−ジメトキシベンジル、p,p’−ジクトレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン 等のα−ジケトン類が挙げられる。好ましくは、カンファーキノンが用いられる。
また、上記光増感剤に光重合促進剤を組み合わせて用いることも好ましい。特に第三級アミン類を光重合促進剤として用いる場合には、芳香族基に直接窒素原子が置換した化合物を用いることがより好ましい。光重合促進剤としては、Ν,Ν−ジメチルアニリン、Ν,Ν−ジエチルアニリン、Ν,Ν−ジ−n−ブチルアニリン、Ν,Ν−ジベンジルアニリン、Ν,Ν−ジメチル−p−トルイジン、Ν,Ν−ジメチル−m−トルイジン、Ν,Ν−ジエチル−p−トルイジン、p−ブロモ−Ν,Νジメチルアニリン、m−クロロΝ,Ν−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノべンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノべンゾイックアシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノべンゾイックアシッドアミノエステル、Ν,Ν−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、Ν,Ν−ジヒドロキシエチルアニリン、Ν,Ν−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノスチレン、Ν,Ν−ジメチル−3,5−キシリジン、 4−ジメチル アミノピリジン、Ν,Ν−ジメチル−α−ナフチルアミン、Ν,Ν−ジメチル−β−ナフチルアミン等が挙げられる。これらの光重合促進剤のうち少なくとも一種を選んで用いることができ、さらに二種以上を混合して用いることもできる。上記光重合開始剤および光重合促進剤の添加量は適宜決定することができる。
重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドトキノンモノメチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
本実施形態の歯科用組成物は、ジルコニアセラミックスや、シリカ系セラミックス(ポーセレンなど)などのセラミックス、歯質(象牙質、エナメル質)、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、スズ、アルミニウム、銅、チタン等を主成分として含む卑金属、金、白金、パラジウム、銀等を主成分として含む貴金属、シリカ粒子あるいはシリカ−ジルコニア粒子などのフィラーを分散含有するレジン硬化体(硬質レジン歯、ハイブリッドレジン、CAD/CAMレジンブロック)等の各種歯科材料に対する接着に利用できる。しかしながら、本実施形態の歯科用組成物は、特にセラミックスやシリカ系粒子を含むレジン硬化体に対する接着性に優れることから、セラミックスプライマーとして利用することが好適である。
また、本実施形態の歯科用組成物は、その他の歯科用組成物と適宜組み合わせて歯科用接着材として用いることもできる。この場合、その他の歯科用組成物としては、歯科用レジンセメントや歯科用ボンディング材がある。中でも、本実施形態の歯科用組成物は、酸性基含有重合性単量体および光重合開始剤を含有する光重合型ボンディング材と組み合わせることでアクチベーターとしても機能も有することから特に好ましい。
光重合型ボンディング材は通常、充填用コンポジットレジンなどの光重合型の材料に使用される。一方で、歯科材料には光照射が出来ない部位などに使用される歯科用レジンセメントや支台築造用のレジコア等の材料がある。これらの歯科材料には、例えばベンゾイルパーオキシド(BPO)などの有機過酸化物と、N,N−ジメチルパラトルイジン(DMPT)あるいはp−トリルジエタノールアミン(DEPT)などのアミン化合物とを組み合わせた化学重合開始剤が含まれている場合がある。この様なレジンコアやレジンセメントに対する接着に光重合型ボンディング材を使用した場合、レジンコアやレジンセメントの硬化阻害を引き起こしてしまう。これは、光重合型ボンディング材に含まれる酸性基含有重合性単量体の酸性基がアミン化合物を中和してしまうことで、化学重合開始剤の重合活性を大幅に低下させてしまうためである。
しかしながら、本実施形態の歯科用組成物と光重合型ボンディング材とを混合した混合組成物を、上述したレジンコアやレジンセメントの接着に用いた場合、光重合型ボンディング材に含まれる酸性基含有重合性単量体は、本実施形態の歯科用組成物に含まれるテトラアリールボレートのアルカリ金属塩と反応してラジカルを発生させ、レジンコアやレジンセメントに含まれる化学重合開始剤の重合活性を阻害しなくなる。このため、本実施形態の歯科用組成物と光重合型ボンディング材とを組み合わせた歯科用接着材は、有機過酸化物とアミン化合物とを組み合わせた化学重合開始剤を含むレジンコアやレジンセメントに対する接着にも好適に使用できる。
なお、光重合型ボンディング材に用いられる酸性基含有重合性単量体の具体例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、ビス((メタ)アクリロイルオキシヘキシル)ハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートなどのリン酸基含有重合性単量体類;ビニルホスホン酸などのホスホン酸基含有重合性単量体類;2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、11−(メタ)アクロイルオキシエチル−1,1−ウンデカンジカルボン酸、2−(メタ)アクロイルオキシエチル−3’−メタクロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート、4−(2−(メタ)アクロイルオキシエチル)トリメリテートアンハイドライド、N−(メタ)アクロイルグリシン、N−(メタ)アクロイルアスパラギン酸などのカルボン酸基含有重合性単量体類;スチレンスルホン酸、3−スルホプロパン(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有重合性単量体類などが挙げられる。また、これら酸性基含有重合性単量体は、必要に応じて2種以上のものを併用しても良い。
また、光重合型ボンディング材に用いられる光重含開始剤として、たとえば、α−ケトカルボニル化合物、あるいはアシルホスフィンオキサイド化合物などが挙げられる。
α−ケトカルボニル化合物としては、たとえば、α−ジケトン、α−ケトアルデヒド、あるいはα−ケトカルボン酸エステルなどが挙げられる。具体的には、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3−ヘキサジオン、ベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジエトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、4,4’−ジクロルベンジル、4,4’−ニトロベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、カンファーキノンスルホン酸エステル、カンファーキノンカルボン酸エステルあるいは2,2’−シクロヘキサンジオンなどのα−ジケトン、メチルグリオキザールあるいはフェニルグリオキザールなどのα−ケトアルデヒド、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチルあるいはフェニルピルビン酸ブチルなどのα−ケトカルボン酸エステルなどが挙げられる。
これらα−ケトカルボニル化合物のなかでは、安定性などの面からα−ジケトンを使用することが好ましく、α−ジケトンのなかではジアセチル、ベンジルあるいはカンファーキノンがより好ましく、カンファーキノンが特に好ましい。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、たとえば、ベンゾイルジメトキシホスフィンオキサイド、ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
なお、光重合型ボンディング材には、その他の成分としてさらに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、Bis−GMA:2,2’−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、トリエチレングリコールジメタクリレートなどの非酸性基含有重合性単量体や、シリカ粒子、シリカ−ジルコニア粒子などのフィラーなども適宜含まれていてもよい。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものでは無い。
1.物質の略称
以下に、実施例および比較例において使用した物質の略称について説明する。
<シランカップリング剤>
・MPS:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
・MPTES:γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシシラン
・MPTIPS:γ−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン
・MPTPS:γ−メタクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン
<ボレート化合物>
・PhB−TEOA:テトラフェニルホウ素のトリエタノールアミン塩
・PhB−Na:テトラフェニルホウ素のナトリウム塩
・PhB−K:テトラフェニルホウ素のカリウム塩
・Cl−PhB−K:PhB−Kのフェニル基の水素を塩素に置換した下記に示す化合物
<酸成分>
・MDP:10−メタアクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート
・6−MHPA:6−(メタ)アクリロキシヘキシルホスホノアセテート
<有機溶媒>
・EtOH:エタノール
2.接着強度評価(その1)
被着体として、シリカ系結晶化ガラスを材質とする歯科用セラミックス(いわゆるポーセレン)である「ノリタケスーパーポーセレンAAA」(クラレノリタケ製、縦15mm×横15mm×厚さ3mm)を用い、この被着体の片面を#800の耐水研磨紙で研磨した。その後、被着体の研磨面に、直径3mmの穴を開けた両面テープを貼り付けた。続いて、研磨面のうち両面テープの穴から露出している接着面に表1に示す各実施例および比較例の歯科用組成物をそれぞれ筆で塗布し、接着面に塗布された歯科用組成物を10秒間エアブローすることにより乾燥させた。
歯科用組成物の塗布に際しては、液状の歯科用組成物を筆先に過不足なく浸み込ませた状態(塗布量通常)、および、液状の歯科用組成物が筆先から滴り落ちる程度に筆先に過剰に浸み込ませた状態(塗布量多)の2水準で実施した。なお、塗布量多の場合における接着面に付与された歯科用組成物のエアブロー前の膜厚は、塗布量通常の場合の膜厚と比べて、数倍程度である。また、塗布量多の場合は、接着面に歯科用組成物を塗布後、エアブローにより過剰な膜厚を持つ歯科用組成物が吹き飛ばされないように、しばらく自然乾燥させて膜厚が十分に薄くなった時点でエアブローを実施した。
続いて、歯科用組成物が付与された接着面に、さらに歯科用接着性レジンセメント(エステセム、トクヤマデンタル製)を用いてあらかじめ研磨したSUS304製丸棒(直径8mm、高さ18mm)を接着した。なお、使用した歯科用接着性レジンセメントは、光重合開始剤およびベンゾイルパーオキシド−アミン化合物系の化学重合開始剤を含むものであり、重合硬化に際しては、光重合および化学重合のいずれも可能である。
次に、塗布量通常の場合については以下の(1)〜(4)に説明する接着強度評価用のサンプルを作製し、塗布量多の場合については以下の(5)に説明する接着強度評価用のサンプルを作製し、各々のサンプルについて接着強度を評価した。
(1)接着面に、調整直後の歯科用組成物が付与された歯科用セラミックスと、SUS304製丸棒とを歯科用接着性レジンセメントにより接着後、温度37℃湿度100%に保たれた恒温槽に約1時間放置して歯科用接着性レジンセメントを化学重合させた。その後、37℃の水中に浸漬し、24時間後に水中より取り出した試験片をサンプル(初期サンプル(塗布量通常))とした。
(2)接着面に、恒温槽中にて50℃で10週間保管された後の歯科用組成物が付与された歯科用セラミックスと、SUS304製丸棒とを歯科用接着性レジンセメントにより接着後、温度37℃湿度100%に保たれた恒温槽に約1時間放置して歯科用接着性レジンセメントを化学重合させた。その後、37℃の水中に浸漬し、24時間後に水中より取り出した試験片をサンプル(50℃10週間保管後サンプル(塗布量通常))とした。
(3)接着面に、恒温槽中にて50℃で40週間保管された後の歯科用組成物が付与された歯科用セラミックスと、SUS304製丸棒とを歯科用接着性レジンセメントにより接着後、温度37℃湿度100%に保たれた恒温槽に約1時間放置して歯科用接着性レジンセメントを化学重合させた。その後、37℃の水中に浸漬し、24時間後に水中より取り出した試験片をサンプル(50℃40週間保管後サンプル(塗布量通常))とした。
(4)接着面に、調整直後の歯科用組成物が付与された歯科用セラミックスと、SUS304製丸棒とを歯科用接着性レジンセメントにより接着後、温度37℃湿度100%に保たれた恒温槽に約1時間放置して歯科用接着性レジンセメントを化学重合させた。その後、37℃の水中に浸漬し、24時間後に水中より取り出した試験片を、水温5度の水槽と、水温55度の水槽とに、それぞれ30秒間ずつ交互に浸漬する浸漬処理を1セットとし、これを3000回繰り返し実施したものをサンプル(耐久試験後サンプル(塗布量通常))とした。
(5)接着面に、調製直後の歯科用組成物が付与された歯科用セラミックスと、SUS304製丸棒とを歯科用接着性レジンセメントにより接着後、温度37℃湿度100%に保たれた恒温槽に約1時間放置して歯科用接着性レジンセメントを化学重合させた。その後、37℃の水中に浸漬し、24時間後に水中より取り出した試験片をサンプル(初期サンプル(塗布量多))とした。
これらサンプルについて、島津製作所製オートグラフ(クロスヘッドスピード2mm/分)を用いて引張接着強度を測定した。各実施例および比較例について、6個のサンプルの測定値を平均し、測定結果とした。
3.高速液体クロマトグラフィー分析
表1に示す実施例A1、比較例A1および比較例A2の歯科用組成物を調製した後、4度で160日間保管し、その後に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を以下の条件で実施した。なお、HPLC分析に際しては、保管後の歯科用組成物をアセトニトリルで10倍に希釈した測定用サンプルを作製して分析した。また、標準物質として0.05%のナフタレンを添加した。
−測定条件−
装置:高速液体クロマトグラフ装置(島津製作所)
検出器:紫外吸光光度検出器(島津製作所)
測定波長:210nm
カラム:Unisil(GLサイエンス社製)
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:アセトニトリル/2%Tris−HCl水溶液(体積比:50/50)
流速:毎分1.0mL
測定時間:60分
なお、上記の測定条件において、ナフタレン(標準物質)は54分に、PhB−Naは48分に、MPSは31分に、MPSに由来する加水分解物は5分に、MPSに由来する縮合物は7分に観察される。比較例A1のHPLC分析結果を図1に、比較例A2のHPLC分析結果を図2に、実施例A1のHPLC分析結果を図3にそれぞれ示す。なお、これら図中、縦軸はピーク強度、横軸は測定時間である。
4.接着強度評価(その2)
被着体として、以下の2種類を準備した。
(1)被着体として、シリカ系結晶化ガラスを材質とする歯科用セラミックス(いわゆるポーセレン)である「ノリタケスーパーポーセレンAAA」(クラレノリタケ製、縦15mm×横15mm×厚さ3mm)を用い、この被着体の片面を#800の耐水研磨紙で研磨したものを準備した。
(2)被着体として、屠殺後24時間以内に抜去した牛前歯を、注水下、耐水研磨紙P600で研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、エナメル質および象牙質平面を削り出したものを準備した。
次に、これら2種類の被着体のそれぞれの研磨面に、直径3mmの穴を開けた両面テープを貼り付けた。続いて、研磨面のうち両面テープの穴から露出している接着面に下記(A)または(B)に示す接着材を塗布し、5秒間エアブローして乾燥させた後、直ぐに可視光線照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマ製)により可視光を10秒間照射した。
(A)ボンドフォースII(トクヤマデンタル製)と実施例A2の歯科用組成物とを、体積比で1:1の割合で混合した接着材として用いた。
(B)ボンドフォースIIを接着材として用いた。
なお、ボンドフォースIIは、酸性基としてリン酸二水素モノエステル基{−O−P(=O)(OH)}を有する酸性基含有重合性単量体と光重合開始剤とを含む光重合型ボンディング材であり、歯質に対する高い接着性を確保するために組成設計された接着材である。
続いて、歯科用組成物が付与された接着面に、さらに歯科用接着性レジンセメント(エステセム、トクヤマデンタル製)を用いてあらかじめ研磨したSUS304製丸棒(直径8mm、高さ18mm)を接着した。続いて、以下の(ア)または(イ)に示す手順にて、歯科用接着性レジンセメントを重合硬化させて、接着強度評価用のサンプルを作製し、各々のサンプルについて接着強度を評価した。
(ア)接着面に接着材が付与された上記2種類の被着体と、SUS304製丸棒とを歯科用接着性レジンセメントにより接着後、温度37℃湿度100%に保たれた恒温槽中に約1時間放置して歯科用接着性レジンセメントを化学重合させた。その後、37℃の水中に浸漬し、24時間後に水中より取り出した試験片をサンプルとした。
(イ)接着面に接着材が付与された上記2種類の被着体と、SUS304製丸棒とを歯科用接着性レジンセメントにより接着後、マージン部に可視光線照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマ製)により可視光を10秒間照射して歯科用接着性レジンセメントを十分に光重合させた。その後、37℃の水中に浸漬し、24時間後に水中より取り出した試験片をサンプルとした。
これらサンプルを島津製作所製オートグラフ(クロスヘッドスピード2mm/分)を用いて引張接着強度を測定した。各実施例および参考例について、6個のサンプルの測定値を平均し、測定結果とした。接着強度の測定結果を各実施例および参考例の接着材の構成材料、被着体の種類、および、レジンセメントの重合方法と共に表2に示す。
<表1および図1〜図3に示す評価結果について>
比較例A1の歯科用組成物はMPSおよびアセトンのみからなり、水を全く含まないため、図1に示すようにMPSの分解が生じず保存安定性には優れるが、表1に示すように初期から接着強度が低かった。一方、比較例A2の歯科用組成物はMPS、アセトンおよび水のみからなる。このため、比較例A1に対して比較例A2では、表1に示すように初期の接着強度は大幅に向上するものの、50℃10週保管後では、急激に接着強度が低下した。これに加えて、図2に示すように、保存中にMPSが分解消失して加水分解物や縮合物が生成してしまい、保存安定性も劣悪であった。
これに対して、実施例A1の歯科用組成物は、MPS、アセトン、水およびPhB−Naのみからなる。このため初期(塗布量通常)および50℃10週保管後においても高い接着強度を維持し続け、また、図3に示すように保存中に実質的にMPSが分解消失することも無く、優れた保存安定性が得られることが判った。また、実施例A1で用いたPhB−Naをその他のテトラアリールボレートのアルカリ金属塩に置き換えた場合、すなわち、PhB−Kに置き換えた実施例A15およびCl−PhB−Kに置き換えた実施例A16においても同様の効果が得られた。しかし、実施例A1の歯科用組成物に含まれるPhB−Naをその他のボレート化合物(PhB−TEOA)に置き換えた比較例A6では、初期(塗布量通常)に対して50℃10週保管後および50℃40週保管後の接着強度は大幅に低下した。これらのことから、PhB−Naなどのテトラアリールボレートのアルカリ金属塩の代わりにその他のボレート化合物を用いても、保存安定性の向上は図れないものと考えられる。
また、PhB−Naなどのテトラアリールボレートのアルカリ金属塩を含まない組成に対してさらに酸成分を添加した比較例A3〜A5の歯科用組成物では、初期(塗布量通常)は優れた接着強度を示したものの、50℃10週保管後および50℃40週保管後では、保管時間の経過と共に接着強度は大幅に低下した。これは、酸成分の酸触媒作用によりシランカップリング剤が加水分解及び脱水縮合したためであると考えられる。一方、PhB−Naなどのテトラアリールボレートのアルカリ金属塩も含む組成に対してさらに酸成分(MDP)を添加した比較例A7の歯科用組成物では、初期は優れた接着強度を示したものの、50℃10週保管後および50℃40週保管後においては歯科用組成物が白濁・ゲル化して接着強度試験に使用できない状態となっていた。これは、PhB−Naなどのテトラアリールボレートのアルカリ金属塩と共に酸成分も併存する場合は、テトラアリールボレートのアルカリ金属塩と酸成分との反応によりラジカルが発生し、歯科用組成物の調製後、直ぐに白濁・ゲル化が進行してしまうためであると考えられる。
これらの比較例の結果に対して、実施例A1〜A16のいずれにおいても、初期(塗布量通常)の接着強度が、50℃10週保管後および50℃40週保管後においても大幅に低下することなく維持されていた。但し、歯科用組成物中に含まれる水の量やテトラアリールボレートのアルカリ金属塩の量によっては、経時的な接着強度の顕著な低下はないものの、初期からやや低めの接着強度を示す場合もあった(比較例A8実施例A14)。なお、シランカップリング剤の種類のみが互いに異なる実施例A1〜A4の歯科用組成物のうち、初期の接着強度の点では、MPTIPSに対してMPSおよびMPTESが大幅に優れており、MPTPSはやや優れていた。さらに、50℃40週保管後の接着強度については、MPSよりもMPTESの方がやや優れていると共に、経時的な接着強度の低下も抑制される傾向にあった。なお、この傾向は、実施例A1、A2の歯科用組成物に対して、歯科用組成物中の水の配合割合をより高めた実施例A9、A10においてより顕著になっていることも判った。したがって、接着強度の絶対値、長期保管後の接着強度、および、水の配合割合の高い歯科用接着材における接着強度という観点からは、加水性分解基(アルコキシル基)の種類のみが異なる4種類のシランカップリング剤:MPS、MPTES、MPTPS、MPTIPSのうち、加水分解性基がエトキシ基のみからなるMPTESが最も好ましいと言える。
また、実施例A1、A2の歯科用組成物では、初期(塗布量通常)の接着強度と、耐久試験後の接着強度および初期(塗布量多)の接着強度とは概ね同程度であるのに対して、酸成分を添加した比較例A3〜A5の歯科用組成物では、初期(塗布量通常)の接着強度と比較して、耐久試験後の接着強度が大幅に低下している。これは、組成中の酸成分がレジンセメントに含まれるベンゾイルパーオキシド−アミン化合物系の化学重合開始剤の重合活性を阻害して、レジンセメントの硬化性を低下させているからであると考えられる。また、初期(塗布量多)においても接着強度が大幅に低下しているが、これはレジンセメントに対する酸成分の増加によりレジンセメントの硬化性が顕著に低下し、初期から接着強さが低下したものと考えられる。
<表2に示す評価結果について>
ボンドフォースIIと実施例A2の歯科用組成物との混合物からなる接着材を用いた実施例B1〜B4のいずれにおいても、被着体の種類およびレジンセメントの重合方法を問わずに、高い接着強度が得られた。一方、ボンドフォースIIのみを接着材として用いた参考例B1〜B4において、被着体として歯質を用いかつレジンセメントを光重合させた参考例B1では、実施例B1〜B4と同程度の高い接着強度が得られたものの、被着体として歯質を用いかつレジンセメントを化学重合させた参考例B2、被着体としてポーセレンを用いかつレジンセメントを光重合させた参考例B3、および、被着体としてポーセレンを用いかつレジンセメントを化学重合させた参考例B4では、接着強度は大幅に低下した。
このような接着強度の大幅な低下を招いた理由は、参考例B2については、接着材(ボンドフォースII)に含まれる酸成分が、レジンセメントに含まれるベンゾイルパーオキシド−アミン化合物系の化学重合開始剤の重合活性を阻害して、レジンセメントの硬化障害を引き起こしているためであると考えられる。また、参考例B3については、接着材中にポーセレン等のセラミックスに対する接着性に優れたシランカップリング剤が含まれていないためであると考えられる。さらに、参考例B4については、参考例B2および参考例B3について説明した双方の理由に起因すると考えられる。これらの結果より、光重合型ボンディング材にアクチベーターとして実施例A2の歯科用接着性組成物を添加することで、歯質及びポーセレンの前処理剤として光重合型ボンディング材をレジンセメントによる接着に使用することができる。


Claims (6)

  1. (A)重合性基としてメタクリロキシ基を有するシランカップリング剤と、(B)テトラアリールボレートのアルカリ金属塩と、(C)有機溶媒と、(D)水とを含み、かつ、酸成分を含まず、
    前記(A)シランカップリング剤100質量部に対する前記(D)水の含有量が20質量部〜1500質量部であることを特徴とする歯科用接着性組成物。
  2. 酸性基を含有しない重合性単量体、フィラー、光重合開始剤および重合禁止剤より選ばれる少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性組成物。
  3. 前記(A)シランカップリング剤として、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科用接着性組成物。
  4. 前記(A)シランカップリング剤100質量部に対する前記(B)テトラアリールボレートのアルカリ金属塩の配合量が1質量部〜300質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の歯科用接着性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の歯科用接着性組成物からなることを特徴とするセラミックスプライマー。
  6. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の歯科用接着性組成物と、酸性基含有重合性単量体および光重合開始剤を含有する光重合型ボンディング材とからなることを特徴とする歯科用接着材。
JP2016113528A 2016-06-07 2016-06-07 歯科用接着性組成物、セラミックスプライマーおよび歯科用接着材 Active JP6815621B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016113528A JP6815621B2 (ja) 2016-06-07 2016-06-07 歯科用接着性組成物、セラミックスプライマーおよび歯科用接着材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016113528A JP6815621B2 (ja) 2016-06-07 2016-06-07 歯科用接着性組成物、セラミックスプライマーおよび歯科用接着材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017218407A JP2017218407A (ja) 2017-12-14
JP6815621B2 true JP6815621B2 (ja) 2021-01-20

Family

ID=60656839

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016113528A Active JP6815621B2 (ja) 2016-06-07 2016-06-07 歯科用接着性組成物、セラミックスプライマーおよび歯科用接着材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6815621B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3501482B1 (en) 2016-08-18 2021-03-17 Tokuyama Dental Corporation Two-package dental adhesive composition
KR101873570B1 (ko) 2018-01-06 2018-07-02 대흥치재 주식회사 치과용 보철수복재 제조방법

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4671208B2 (ja) * 2000-09-26 2011-04-13 株式会社トクヤマ 歯科用化学重合触媒
JP4726026B2 (ja) * 2001-03-13 2011-07-20 株式会社トクヤマ 歯科用プライマー組成物
JP4641754B2 (ja) * 2004-08-03 2011-03-02 株式会社トクヤマ 歯科用複合材料の硬化体からなる補綴物用のプライマー組成物
JP2008056649A (ja) * 2006-09-04 2008-03-13 Tokuyama Dental Corp 金属用プライマー
JP5110982B2 (ja) * 2007-06-27 2012-12-26 株式会社トクヤマデンタル 歯科補綴物用2液型プライマー
JP2009067746A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Shiyoufuu:Kk 一液型歯科用接着性組成物
JP5379563B2 (ja) * 2009-06-01 2013-12-25 株式会社トクヤマデンタル 歯のコーティング用キット

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017218407A (ja) 2017-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA3008362C (en) Dental adhesive material kit comprising an aqueous adhesive composition and a curable composition
JP4305594B2 (ja) 歯科用接着キット
TWI305149B (en) Dental antibacterial composition for curing decayed tooth
JP6462685B2 (ja) 自己接着性歯科用コンポジットレジン
JP2003096122A (ja) ラジカル重合触媒
JP6534611B2 (ja) 自己接着性歯科用コンポジットレジン
KR980008204A (ko) 금속 플루오르화물 입자들 및 이 금속 플루오르화물 입자들을 함유한 치아용 조성물
JP6815621B2 (ja) 歯科用接着性組成物、セラミックスプライマーおよび歯科用接着材
JP2008056649A (ja) 金属用プライマー
JPS62288675A (ja) セラミックス用接着剤
JP2014152107A (ja) 歯科用硬化性組成物
JP6923237B2 (ja) 歯科用組成物包装体、その製造方法及び歯科用組成物
JP2000204010A (ja) 歯科用接着キット
JP2000248201A (ja) 金属・セラミックス兼用プライマー組成物
JPS63230611A (ja) 歯科用接着組成物
JP6945819B2 (ja) 歯科用組成物
JP5110982B2 (ja) 歯科補綴物用2液型プライマー
JPH11209213A (ja) フッ素徐放性歯科用接着性組成物
JP7313626B2 (ja) 歯科用接着性組成物
JP2000178113A (ja) 歯質用接着キット
JPS62175412A (ja) 歯科用修復材組成物
JPH11140383A (ja) 接着性組成物
JP2016145327A (ja) ポリアリールエーテルケトン樹脂複合体材料用接着性組成物
JP6894682B2 (ja) レジン硬化体に接着可能な歯科用プライマー組成物
US10420711B2 (en) Dental adhesive with polymerizable basic monomers

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200623

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201201

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6815621

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250