JPH11140383A - 接着性組成物 - Google Patents

接着性組成物

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JPH11140383A
JPH11140383A JP9306184A JP30618497A JPH11140383A JP H11140383 A JPH11140383 A JP H11140383A JP 9306184 A JP9306184 A JP 9306184A JP 30618497 A JP30618497 A JP 30618497A JP H11140383 A JPH11140383 A JP H11140383A
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JP
Japan
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meth
acrylate
weight
adhesive
boron
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JP9306184A
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English (en)
Inventor
Takeshi Sato
猛 佐藤
Hideki Kazama
秀樹 風間
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 前処理材を用いることなく、特に歯質に対し
て高い接着性を有する、接着性組成物の開発を目的とす
る。 【解決手段】 カンファーキノン等の光重合開始剤、ジ
メタクリロイルオキシエチルリン酸等の酸性化合物、ソ
ディウムテトラフェニルボレート等のアリールボレート
化合物、並びにヒドロキシエチルメタクリレート等の
(メタ)アクリレート系重合性単量体を含有してなる接着
性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着材、特に歯科
用接着材の分野において好適に使用される接着性組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】接着材は、近年、自動車、電子産業、あ
るいは建築、医療などの様々な分野に広く用いられてい
る。中でも重合性単量体の重合硬化により接着する高分
子系接着材は、ウレタン系、アクリル系等の重合性単量
体と重合触媒の発展により、高い接着強度の他に耐久
性、耐熱性、耐水性、光硬化性、熱硬化性、様々な材料
との接着性等多くの特徴が見出された。これによって高
分子系接着材は様々な分野に於いて、その要求に応じた
特徴を持つ接着材を提供している。
【0003】光照射によりラジカルまたはイオンを発生
し、重合性の不飽和化合物または環状化合物を重合させ
る光重合開始剤は、特に歯科用接着材の分野において有
用に用いられ、当該光重合開始剤に関しては種々の提案
がなされている。
【0004】従来芳香族ケトン類やカンファーキノンに
代表されるα−ジケトン類からなる光重合開始剤とアミ
ン類からなる重合促進剤との組合せを用いるのが一般的
である。しかし、これらの光重合開始剤を用いた接着材
は歯質に対する接着力が不十分であるため、予めプライ
マー、コンディショナーと呼ばれる前処理材を用いて歯
面を処理することによって接着力を向上させている。こ
の接着力不足の要因の一つとして、光線が届かない部分
では重合が進まないため、接着界面の微細構造に入り込
んだ接着材が十分には硬化しないという問題が考えられ
る。また、機械的強度の向上を目的に、上記光触媒を用
いた接着材にフィラーを加えた場合、光重合が阻害され
接着力が低下する。
【0005】この問題を解決する方法として特開平9−
157126号公報では、光重合触媒に有機過酸化物及
び還元剤を組み合わせたデュアルキュア型の接着材が開
示されているが、接着力が未だ十分でなくその向上のた
めにプライマーを使用している。そこで、接着界面の重
合性が高く、前処理材を用いなくても歯面に強固に接着
する接着材が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、接着界面の
重合性を向上させることにより、特に歯質に対して高い
接着力を有する接着性組成物を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、上記光重合開始剤と酸性
化合物及びアリールボレート化合物とを含んでなる接着
性組成物が、前処理材を用いなくても歯質に対して高い
接着力を有することを見いだし、本発明を提案するに至
った。
【0008】即ち、本発明は(A)光重合開始剤、
(B)酸性化合物、(C)アリールボレート化合物、お
よび(D)(メタ)アクリレート系重合性単量体を含有し
てなる接着性組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の接着性組成物に用いる
(A)成分の光重合開始剤は、紫外線または可視光線照
射によりラジカルを発生する光重合開始剤が特に制限な
く用いることができる。
【0010】かかる光重合開始剤を具体的に例示する
と、紫外線域剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチ
ルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p−クロロベ
ンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、クロロチ
オキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェ
ノンジエチルケタール等が挙げられ、可視光線域剤とし
ては、カンファーキノン、α−ナフチル、アセトナフセ
ン、p,p−ジメトキシベンジルアセチル、ペンタンジ
オン、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナ
ントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,
10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のα−ジ
ケトン類、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホス
フィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフ
ェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾ
イルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6
−テトラメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキ
サイド等のアシルホスフィンオキサイド類が挙げられる
が、特に人体に有害な紫外線を必要としない可視光線域
剤、より好ましくはカンファーキノンが好適に用いられ
る。
【0011】さらに、上記光重合開始剤と重合促進剤を
組み合わせて用いることも好ましい。かかる重合促進剤
を具体的に例示すれば、N−(ヒドロキシエチル)アニ
リン、N−メチルアニリン、N−メチル−p−トルイジ
ン等の2級アミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,
N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリ
ン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−
p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、
N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,
N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチル
アニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−
ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベ
ンゾイックアシッド、p−ジメチルアミノベンゾイック
アシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイ
ックアシッドメチルエステル、N,N−ジメチルアンス
ラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロ
キシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p
−トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコー
ル、p−ジメチルアミノスチルペン、N,N−ジメチル
−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、
N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメ
チル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプ
ロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノ
ールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−
ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルア
ミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジ
メチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチル
アミノエチルメタクリレート、2,2′−(n−ブチル
イミノ)ジエタノール等の第三級アミン類、アリルチオ
尿素、S−ベンジルイソウロニウム−p−トルエンスル
フィネート等のスルホン類が挙げられるが、特に3級ア
ミン類が好適に用いられる。
【0012】光重合開始剤及び重合促進剤は必要に応じ
各々単独で、あるいは複数を組み合わせて用いることが
可能である。
【0013】上記光重合開始剤の添加量は、特に制限な
く用いることができるが、通常は、全(メタ)アクリレー
ト系重合性単量体に対して0.01〜10重量%、さら
に好ましくは0.1〜5重量%の範囲から選べば良い。
上記光重合開始剤の量が10重量%より多い場合には硬
化体の硬度等の諸物性の低下および硬化体の着色が起こ
り易く、0.01重量%より少ない場合には重合が十分
に進行しにくい。
【0014】本発明においては、(B)成分である酸性
化合物と(C)成分のアリールボレート化合物を用いる
ことにより歯質への接着力を向上させている。これは、
酸性化合物がアリールボレート化合物を分解させること
によりラジカルが発生し、これが化学重合触媒として働
き、接着界面付近の重合を促進させているためであると
推測している。
【0015】本発明の(B)成分である酸性化合物は、
通常の無機酸および有機酸が特に制限なく用いることが
できる。かかる酸性化合物を具体的に例示すると、無機
酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等が挙げられ、
有機酸としては、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、ギ
酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、フタル酸、安息香
酸メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエ
ンスルホン酸等が挙げられる。
【0016】該酸性化合物として、歯質への接着力向上
および硬化体からの低分子化合物の溶出を抑える理由か
ら、酸性基含有(メタ)アクリレート系重合性単量体を用
いることが好ましい。
【0017】酸性基含有(メタ)アクリレート系重合性単
量体としては、分子内にカルボキシル基またはその無水
物、あるいはリン酸基、スルホン酸基等の酸性基を有す
る(メタ)アクリレート系重合性単量体であれば特に限定
されず公知の化合物を使用することができる。代表的な
酸性基含有(メタ)アクリレート系重合性単量体として、
アクリル酸、メタクリル酸及び下記一般式(1)で示さ
れる化合物等が挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】(上記一般式中、R1は水素原子またはメ
チル基、R2はエーテル結合および/またはエステル結
合を有していてもよい2〜6個の炭素数1〜20の有機
残基、Xはカルボン酸基、無水カルボン酸基、リン酸
基、リン酸エステル基またはスルホン酸基を含有する基
を表す。) 上記一般式(1)中、Xはカルボン酸基、無水カルボン
酸基、リン酸基、リン酸エステル基またはスルホン酸基
を含有する基であり、その構造は特に限定されることは
ないが、好ましい具体例は次の通りである。
【0020】
【化2】
【0021】上記一般式(1)中、R2の構造は特に制
限されることはなく、公知のエーテル結合および/また
はエステル結合を有する2〜6価の炭素数1〜20の有
機残基が採用され得るが、具体的に例示すると下記の通
りである。
【0022】
【化3】
【0023】上記一般式(1)で表される酸性基含有
(メタ)アクリレート系重合性単量体の好ましい具体例を
挙げると次の通りである。
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】(但し、R1は水素原子またはメチル基で
ある。) 上記具体的に例示した酸性基含有(メタ)アクリレート系
重合性単量体の中でも、、カルボキシル基及びリン酸基
を有する(メタ)アクリレート系重合性単量体が、歯質と
の高い接着力を発現させる点で最も好適に使用される。
尚、本発明において、酸性化合物として酸性基含有(メ
タ)アクリレート系重合性単量体を使用した場合、原則
として当該酸性基含有(メタ)アクリレート系重合性単量
体は(D)成分の(メタ)アクリレート系重合性単量体と
しても取り扱うが、特に断り書きがしてある場合はこの
限りではない。
【0029】上記酸性化合物の添加量は、その効果を発
現する範囲であれば特に制限されない。また、添加量の
有効な範囲は酸性化合物の種類によって大きく異なるの
で、適宜決定する必要がある。例えば、塩酸、リン酸、
マレイン酸等の酸性化合物を用いる場合はアリールボレ
ート化合物1重量部に対して0.01〜50重量部、酸
性基含有(メタ)アクリレート系重合性単量体等を用いる
場合はアリールボレート化合物1重量部に対して5〜1
0000重量部の範囲である。酸性化合物の添加量が上
記範囲より多い場合は、重合の進行が速く操作余裕時間
が短くなる傾向にあり、少ない場合には歯質に対する接
着力が低下する傾向にある。
【0030】本発明に用いる(C)成分のアリールボレ
ート化合物は下記一般式(2)
【0031】
【化8】
【0032】(式中、R3、R4およびR5の各々は、そ
れぞれ同一でも異なっていてもよく、置換あるいは未置
換のアルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、置
換あるいは未置換のアラルキル基または置換あるいは未
置換のアルケニル基であり、R6及びR7は水素原子、ハ
ロゲン原子、ニトロ基、または置換あるいは未置換のア
ルキル基、置換あるいは未置換のアルコキシ基もしくは
置換または未置換のフェニル基であり、L+は金属イオ
ン、または有機塩基イオンである。)で表され、1分子
中に少なくとも1個はホウ素−アリール結合を有するも
のが挙げられる。
【0033】ホウ素−アリール結合をまったく有しない
ボレート化合物は保存安定性が極めて悪く、空気中の酸
素と容易に反応して分解するため好ましくない。
【0034】好適に使用されるアリールボレート化合物
を具体的に例示すると、1分子中に1個のアリール基を
有するボレート化合物として、トリアルキルフェニルホ
ウ素、トリアルキルホウ素、トリアルキル(p−クロロ
フェニル)ホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニ
ル)ホウ素、トリアルキル(3,5−ビストリフロロメ
チル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5−ビス
(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキ
シ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル
(p−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ニ
トロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルフェ
ニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルフェニル)ホ
ウ素、トリアルキル(m−ブチルオキシフェニル)ホウ
素、トリアルキル(m−オクチルオキシフェニル)ホウ
素、トリアルキル(p−オクチルオキシフェニル)ホウ
素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−
ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム
塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テ
トラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム
塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブ
チルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキ
ノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等を挙げることが
できる。
【0035】また、1分子中に2個のアリール基を有す
るボレート化合物としては、ジアルキルジフェニルホウ
素、ジアルキルジ(p−クロロフェニル)ホウ素、ジア
ルキルジ(p−フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ
(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジ
アルキルジ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−
ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニ
ル]ホウ素、ジアルキルジ(p−ニトロフェニル)ホウ
素、ジアルキルジ(m−ニトロフェニル)ホウ素、ジア
ルキルジ(p−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ
(m−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブ
チルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−オク
チルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−オク
チルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基は上記と同
様)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネ
シウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチル
アンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチル
ピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジ
ニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム
塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
【0036】さらに、1分子中に3個のアリール基を有
するボレート化合物としては、モノアルキルトリフェニ
ルホウ素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホ
ウ素、モノアルキルトリ(p−フロロフェニル)ホウ
素、モノアルキルトリ(3,5−ビストリフロロメチ
ル)フェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス
(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキ
シ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルト
リ(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ
(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p
−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブ
チルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチル
オキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−オク
チルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−
オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基は上記と
同様)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグ
ネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチ
ルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチ
ルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリ
ジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウ
ム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
【0037】1分子中に4個のアリール基を有するボレ
ート化合物としては、テトラフェニルホウ素、テトラキ
ス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フ
ロロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリ
フロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−
ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メ
トキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス
(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニト
ロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニ
ル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ
素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、
テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テ
トラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p
−フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5−ビ
ストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、
(p−ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m−ブ
チルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−ブチ
ルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m−オクチ
ルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−オクチ
ルオキシフェニル)トリフェニルホウ素のナトリウム
塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラ
ブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、
テトラエチルアンモニウム塩、トリヒドロキシエチアン
モニウム塩、ジヒドロキシエチルメチルアンモニウム
塩、メタクリロイルオキシエチルジメチルアンモニウム
塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブ
チルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキ
ノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
【0038】上記した、アリールボレート化合物の中で
も接着性組成物の保存安定性と接着性組成物の混合から
使用までの余裕時間の点から3個以上のアリール基、特
に4個のアリール基を有するアリールボレート化合物が
好適に使用される。
【0039】また、上記一般式(2)中のL+がトリヒ
ドロキシルエチアンモニウム塩、ジヒドロキシエチルメ
チルアンモニウム塩、メタクリロイルオキシエチルジメ
チルアンモニウム塩等の水素付加した3級アミン塩を用
いた場合、前記重合促進剤を加えなくても高い歯質接着
力が得られる。
【0040】当該アリールボレート化合物は1種または
2種以上を混合して用いることも可能である。また、添
加量は重合性単量体の種類や量および他成分の配合割合
によって一概には決められないが、通常は下記(D)成
分の(メタ)アクリレート系重合性単量体100重量部に
対して、0.01〜50重量部の範囲、より好ましくは
0.05〜10重量部の範囲である。従って、アリール
ボレート化合物の添加量を決定する時は、酸性化合物が
酸性基含有(メタ)アクリレート系重合性単量体であって
も、当該重合性単量体は(D)(メタ)アクリレート系重
合性単量体には含まないものとする。アリールボレート
化合物の添加量が50重量部より多いと硬化体の諸物
性、例えば硬化体の硬度が低下する傾向にあり、0.0
1重量部より少ないと重合が十分に進行しない傾向にあ
る。
【0041】本発明の(D)成分である(メタ)アクリレ
ート系重合性単量体とはアクリレート系重合性単量体及
びメタクリレート系重合性単量体であり、公知のものが
特に限定されることなく使用できる。
【0042】一般に好適に使用される(メタ)アクリレー
ト系重合性単量体を例示すれば、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)ア
クリレート、2−シアノメチル(メタ)アクリレート、ベ
ンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)
アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート系重合性単量
体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイル
オキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス
[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェ
ニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロ
イルオキシエトキシエトキシエトキシエトキシエトキシ
エトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス
{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキ
シプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4−ブタンジ
オールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポ
キシ(メタ)アクリレート、等の多官能(メタ)アクリレー
ト系重合性単量体等が挙げられる。これらの(メタ)アク
リレート重合性単量体は単独でまたは二種以上を混合し
て用いることができる。
【0043】上記(メタ)アクリレート系重合性単量体の
中でも、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、トリエチレングリコールジメタクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート、2,2’−ビス[4−(メタクリロ
イルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビ
ス[4−メタクリロイルオキシエトキシエトキシフェニ
ル]プロパン、2,2’−ビス{4−[3−メタクリロ
イルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プ
ロパンが好適に用いられる。
【0044】本発明において、組成物の重合の容易さ、
粘度の調節、あるいはその他の物性の調節のために、上
記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外の他の重合性
単量体を混合して重合することも可能である。これらの
重合性単量体を例示すると、フマル酸モノメチル、フマ
ル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステ
ル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルス
チレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレンある
いはα−メチルスチレン誘導体;ジアリルフタレート、
ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリ
ルジグリコールカーボネート等のアリル化合物等を挙げ
ることができる。これらの他の重合性単量体は単独でま
たは二種以上を一緒に使用することができる。
【0045】これら他の重合性単量体の配合量は目的に
応じて選択すればよいが、全(メタ)アクリレート系重合
性単量体100重量部に対して0〜200重量部の範囲
で用いることが好ましい。
【0046】本発明の接着性組成物のうち(A)成分を
除いた系すなわち光重合開始剤が無い場合には、硬化ま
でに長時間を必要とするばかりでなく、重合硬化体の十
分な硬さが得られない。また、(B)成分または(C)
成分を除いた系では、接着界面付近での重合が促進され
ないため高い歯質接着強度が得られない。
【0047】本発明の接着性組成物においては、更に水
を添加することが歯質との接着力を一層向上させる点で
有効である。水を添加することによって歯質中のヒドロ
キシアパタイトの脱灰を促進し、接着力のさらなる向上
が達成される。水の添加量は組成物の種類及び重合開始
剤の種類によって適宜決定すれば良いが、通常は、全
(メタ)アクリレート系重合性単量体100重量部に対し
て2〜30重量部の範囲で、より好ましくは4〜25重
量部の範囲が好適である。水の添加量が2重量部よりも
少ない場合には、脱灰向上の効果が小さく、また30重
量部よりも多い場合には、硬化体の強度が低下するため
好ましくない。
【0048】本発明の接着性組成物には、更にフィラー
を混合することによって、接着材としての使用のみなら
ず、機械的強度及び耐摩耗性を向上させた接着性の充填
材料とすることができる。使用されるフィラーは特に制
限されず、一般に高分子材料の充填剤として使用される
無機系充填剤や有機系充填剤が単独または混合して使用
される。
【0049】一般に好適に使用されるものを具体的に例
示すれば、有機充填剤としては、アクリル酸エステル又
はメタクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体、ポ
リ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミ
ド等が挙げられる。無機系充填剤としては例えばアルミ
ノシリケートガラス、石英、無定形シリカ、シリカ−チ
タニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ケイ
酸塩ガラス、チタニア、ジルコニア、アルミナ等が挙げ
られる。無機充填剤は通常シランカップリング剤、チタ
ネートカップリング剤、ジルコアルミネートカップリン
グ剤等で処理したものを使用する事が好ましい。上記フ
ィラーの中でも、特に硬化体の強度を向上させる目的で
カチオン放出性フィラーを用いることが好ましい。本発
明で用いるカチオン溶出性フィラーとしては、公知のカ
チオン溶出性フィラーを限定なく使用することができ
る。この内、好ましいカチオン溶出性フィラーとして
は、フィラー1gを温度37℃、pH2.2のアクリル
酸水溶液50ml中に24時間浸漬した時、溶出した多
価金属イオンの量が2mgeq/g〜60mgeq/g
の範囲にあるカチオン溶出性フィラーが挙げられる。前
記の溶出した多価金属イオンの量のより好ましい範囲
は、5mgeq/g〜30mgeq/gである。溶出し
た多価金属イオンの量が2mgeq/g〜60mgeq
/gの範囲内にあると、溶出しないフィラーが適度に存
在し硬化体の強度が向上し、かつ硬化体の表面に着色物
質が吸着されにくくなる。尚、多価金属イオンとは、前
記酸性基含有(メタ)アクリレート重合性単量体の酸性基
と結合可能な2価以上の金属イオンであり、代表的なも
のを例示すれば、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ム、アルミニウム、亜鉛、ランタノイド等の金属イオン
である。
【0050】該カチオン溶出性フィラーは、特に限定さ
れないが、好ましいものを例示すると、水酸化カルシウ
ム、水酸化ストロンチウム等の水酸化物、酸化亜鉛、ケ
イ酸塩ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等の
酸化物がある。中でも、硬化体の耐着色性の点でフルオ
ロアルミノシリケートガラスが最も優れており、好適で
ある。
【0051】上記フルオロアルミノシリケートガラスは
歯科用セメント、例えば、グラスアイオノマーセメント
用として使用される公知のものが使用できる。一般に知
られているフルオロアルミノシリケートガラスの組成
は、イオン重量パーセントで、ケイ素、10〜33;ア
ルミニウム、4〜30;アルカリ土類金属、5〜36;
アルカリ金属、0〜10;リン、0.2〜16;フッ
素、2〜40及び残量酸素のものが好適に使用される。
より好ましい組成範囲を例示すると、ケイ素、15〜2
5;アルミニウム、7〜20;アルカリ土類金属、8〜
28;アルカリ金属、0〜10;リン、0.5〜8;フ
ッ素、4〜40及び残量酸素である。上記アルカリ土類
金属の一部又は全部をマグネシウム、ストロンチウム、
バリウムで置き換えたものも好ましく、特にストロンチ
ウムは硬化体にx線不透過性と高い強度を与えるためし
ばしば好適に使用される。また上記アルカリ金属はナト
リウムが最も一般的であるがその一部又は全部をリチウ
ム、カリウム等で置き換えたものも好適である。更に必
要に応じて、上記アルミニウムの一部をチタン、イット
リウム、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ランタ
ン等で置き換えることも可能である。その他必要に応じ
て、上記成分を他の成分に置き換えることは、得られる
硬化体の物性に著しく害を与えない限り、選択すること
ができる。
【0052】本発明に用いられるカチオン溶出性フィラ
ーの形状は特に限定されず、通常の粉砕により得られる
ような粉砕系粒子、あるいは球状粒子でもよく、必要に
応じて板状、繊維状等の粒子を混ぜることもできる。
【0053】又上記カチオン溶出性フィラーの粒子径
は、特に限定されるものではないが、通常500μm以
下、好ましくは20μm以下のものが好適に使用され
る。
【0054】上記フィラーの添加量は用途に応じて適宜
変更しうる。接着材として使用する場合は、通常全(メ
タ)アクリレート系重合性単量体100重量部に対して
3〜30重量部、好ましくは5〜25重量部である。充
填材料として使用する場合は、通常全(メタ)アクリレー
ト系重合性単量体100重量部に対して30〜900重
量部、好ましくは50〜500重量部である。
【0055】本発明の接着性組成物にはその性能を低下
させない範囲で、有機溶媒および増粘剤等を更に添加す
ることが可能である。当該有機溶媒としては、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、トルエン、ジクロロメタン、
クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘ
キサノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、ジメチルスルホ
キシド等があり、増粘剤としてはポリビニルピロリド
ン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル等の高分子化合物や高分散性シリカが例示される。ま
た、重合に際し、充填材、紫外線吸収材、染料、帯電防
止材、顔料、香料等の各種添加剤は必要に応じて選択し
て使用することができる。
【0056】本発明の接着性組成物を重合硬化させる際
には、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライ
ドランプ、タングステンランプ、蛍光灯、太陽光、ヘリ
ウムカドミウムレーザー、アルゴンレーザー等の紫外線
及び可視光線の光源が何等制限なく使用される。照射時
間は、光源の波長、強度、硬化体の形状や材質によって
異なるため、予備的な実験等によって予め決定しておけ
ばよい。本発明の接着性組成物は最終的には全成分を混
合して使用に供されるが、保存中における劣化を防止す
るため必要に応じて安定な2包に分けて包装することが
できる。例えば、酸性化合物及び(メタ)アクリレート系
重合性単量体の一部からなる包装(甲)と光重合開始
剤、アリールボレート化合物及び酸性基含有(メタ)アク
リレート系重合性単量体を含まない(メタ)アクリレート
系重合性単量体の一部からなる包装(乙)の組み合せ等
が一般的である。
【0057】
【発明の効果】本発明の接着性組成物は、アリールボレ
ート化合物と酸性化合物を化学重合触媒とすることによ
り接着界面での重合が促進されるため、歯科用の接着性
組成物として特に好適に使用でき、前処理材を用いなく
ても歯質との優れた接着性を達成できる。しかも、該化
学重合触媒と光重合触媒を併用しているため該接着性組
成物にフィラーを加えても重合が阻害されることなく接
着力の低下を抑えることができる。
【0058】接着材を歯質とコンポジットレジンと呼ば
れる充填材料との接着材として用いる場合には、コンポ
ジットレジンの硬化に際して発生する内部応力、即ちコ
ンポジットレジンと歯質との界面に生じる引っ張り応力
に打ち勝つだけの接着強度が要求される。さもないと過
酷な口腔環境下での長期使用により脱落する可能性があ
るのみならず、コンポジットレジンと歯質との界面で間
隙を生じ、そこから細菌が侵入して歯髄に悪影響を与え
る恐れがある。本発明の新規な接着性組成物を用いる
と、通常、一般的に用いられている光重合開始剤のみを
重合開始剤とする接着材と比較して、コンポジットレジ
ンの歯質への接着性が格段に向上する。従って、従来歯
科用の接着材分野において使用されていた歯牙表面用の
前処理剤を用いなくとも歯質、即ち、象牙質及びエナメ
ル質に対して十分な接着強度を発現することができる。
その結果、臨床において治療時間の短縮化、及び誤操作
による接着力不足の症例を減少させることができる。
【0059】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に示す
が、本発明はこの実施例によって何等限定されるもので
はない。尚、本文中、並びに実施例中に使用した化合物
とその略称を下に示す。
【0060】MA;マレイン酸 PA;リン酸
【0061】
【化9】
【0062】
【化10】
【0063】
【化11】
【0064】
【化12】
【0065】CRF;フルオロアルミノシリケートガラ
ス(トクヤマ社製) SZF;シリカ/ジルコニアフィラー(トクヤマ社製) 尚、本文中並びに実施例中に示した材料の物性評価は、
以下に示す歯質への引っ張り接着強度測定にて評価し
た。
【0066】[引っ張り接着強度測定方法] (a)接着材の試験方法 屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、注水下、#80
0のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメ
ル質、象牙質平面をそれぞれ削り出した。次にこれらの
面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、この
平面に直径4mmの孔の開いた両面テープを固定し、つ
いで厚さ1.5mm直径6mmの孔の開いたパラフィン
ワックスを上記円孔上に同一中心となるように固定して
模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞内に接着性組成物を
直接塗布し、30秒間放置した後、可視光線照射器(ホ
ワイトライト、タカラベルモント社製)にて30秒間光
照射し硬化させた。その上に歯科用コンポジットレジン
(パルフィークポステリア、(株)トクヤマ社製)を充
填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、試験
片を作製した。
【0067】この接着試験片を37℃の水中に24時間
浸漬した後、引っ張り試験機(オートグラフ、島津製作
所製)を用いてクロスヘッドスピード10mm/min
にて歯牙との接着強度を測定した。
【0068】(b)充填材の試験方法 上記模擬窩洞に接着性組成物を充填し、30秒間放置し
た後可視光線照射器にて30秒間光照射して試験片を作
製した。
【0069】この接着試験片を37℃の水中に24時間
浸漬した後、引っ張り試験機を用いてクロスヘッドスピ
ード10mm/minにて歯牙との接着強度を測定し
た。
【0070】実施例1 酸性化合物として酸性基含有(メタ)アクリレート系重合
性単量体であるPM(20重量部)およびMAC−10
(30重量部)、(メタ)アクリレート系重合性単量体と
して、bis−GMA(20重量部)およびHEMA
(30重量部)を用い、これを混合し均一溶液とした。
この均一溶液に、全重合性単量体100重量部当たり
0.5重量部の光重合開始剤CQ、0.5重量部の重合
促進剤DMBEおよび1重量部のアリールボレートPB
Naを溶解して接着性組成物とした。該接着性組成物を
接着材として用い、上記接着材の試験方法に従って歯質
に対する接着試験を行った。結果を表1に示す。
【0071】実施例2〜23、比較例1〜3 表1に示す組成の接着性組成物を接着材として用い、実
施例1と同様にして歯質に対する接着試験を行った。測
定結果を表1に示す。
【0072】比較例1は従来の接着材として用いられて
いる光重合開始剤のみを重合開始剤とする系、比較例2
は本発明の接着材組成物から光重合開始剤を除いた系、
比較例3は同じく酸性化合物を除いた系である。いずれ
の場合にも、実施例と比較して接着強度の低下が認めら
れた。
【0073】
【表1】
【0074】実施例24〜38 (メタ)アクリレート系重合性単量体、酸性化合物、水、
及びフィラーを表2に示した割合で均一に混合し、この
均一溶液に全重合性単量体100重量部当たりCQを
0.5重量部、DMBEを0.5重量部およびPBNa
を1重量部溶解して本発明の接着性組成物を得た。
【0075】該接着性組成物を接着材として用い、実施
例1と同様にして歯質に対する接着試験を行った。測定
結果を表2に示した。
【0076】実施例39〜42 (メタ)アクリレート系重合性単量体、酸性化合物、水、
及びフィラーを表2に示した割合で均一に混合し、この
均一溶液に全重合性単量体100重量部当たりCQを
0.5重量部、DMBEを0.5重量部およびPBNa
を1重量部溶解して本発明の接着性組成物を得た。
【0077】該接着性組成物を充填材として用い、前記
充填材の試験方法に従って歯質に対する接着試験を行っ
た。測定結果を表2に示した。
【0078】比較例4〜5 表2に示した組成からなる混合溶液に、全(メタ)アクリ
レート系重合性単量体100重量部当たり1重量部のC
Qおよび1重量部のDMBEをを溶解して接着性組成物
を得た。
【0079】該接着性組成物を接着材として用い、実施
例1と同様にして歯質に対する接着試験を行った。測定
結果を表2に示した。
【0080】比較例6 表2に示した組成からなる混合溶液に、全(メタ)アクリ
レート系重合性単量体100重量部当たり1重量部のC
Qおよび1重量部のDMBEをを溶解して接着性組成物
を得た。
【0081】該接着性組成物を充填材として用い、実施
例39と同様にして歯質に対する接着試験を行った。測
定結果を表2に示した。
【0082】いずれの場合にも、実施例と比較して接着
強度の低下が認められた。
【0083】
【表2】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)光重合開始剤、(B)酸性化合
    物、(C)アリールボレート化合物、および(D)(メ
    タ)アクリレート系重合性単量体を含有してなる接着性
    組成物。
  2. 【請求項2】 全(メタ)アクリレート系重合性単量体1
    00重量部当り3〜900重量部のフィラーをさらに含
    んでなる請求項1記載の接着性組成物。
  3. 【請求項3】 全(メタ)アクリレート系重合性単量体1
    00重量部当り2〜30重量部の水をさらに含んでなる
    請求項1または2記載の接着性組成物。
  4. 【請求項4】 酸性化合物が酸性基含有(メタ)アクリレ
    ート系重合性単量体であることを特徴とする請求項1〜
    3記載の接着性組成物。
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