JP6814572B2 - 熱処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、不純物導入は半導体ウェハー内にpn接合を形成するための必須の工程である。現在、不純物導入は、イオン打ち込み法とその後のアニール法によってなされるのが一般的である。イオン打ち込み法は、ボロン(B)、ヒ素(As)、リン(P)といった不純物の元素をイオン化させて高加速電圧で半導体ウェハーに衝突させて物理的に不純物注入を行う技術である。注入された不純物はアニール処理によって活性化される。この際に、アニール時間が数秒程度以上であると、打ち込まれた不純物が熱によって深く拡散し、その結果接合深さが要求よりも深くなり過ぎて良好なデバイス形成に支障が生じるおそれがある。
そこで、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するアニール技術として、近年フラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、不純物が注入された半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、キセノンフラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
このようなキセノンフラッシュランプを使用した熱処理装置として、特許文献1には、石英製のサセプタの上面に複数のバンプ(支持ピン)を形成し、それら支持ピンによって点接触で支持した半導体ウェハーにフラッシュ加熱を行う技術が開示されている。特許文献1に開示の装置では、サセプタ上に載置した半導体ウェハーの下面からハロゲンランプが光照射を行って予備加熱した後、ウェハー表面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射してフラッシュ加熱を行う。
特許文献1に開示されるように、複数の支持ピンによって点接触で半導体ウェハーを支持すると、その接触箇所にて半導体ウェハーと支持ピンとの間に熱伝導が生じる。ハロゲンランプからの光照射によって予備加熱を行うときには、石英がほとんど光を吸収しないため、半導体ウェハーが石英のサセプタよりも高温となり、半導体ウェハーから支持ピンへの熱の移動が発生する。その結果、半導体ウェハー面内の複数の支持ピンとの接触箇所近傍において他の領域よりも相対的に温度が低くなっていた。
そこで、特許文献2には、レーザー光源から出射されたレーザー光を反射部によって支持ピンへと導き、温度低下が生じやすい支持ピンと半導体ウェハーとの接触箇所近傍を補助的に加熱して当該箇所の相対的な温度低下を防止することが提案されている。
特開2009−164451号公報 特開2015−18909号公報
しかしながら、特許文献2に開示される装置においては、複数(支持ピンと同数)のレーザー光源をチャンバー内に設置する必要があった。雰囲気ガスの消費量を抑制する観点からは、チャンバー内の容量をなるべく少なくすることが求められており、多数のレーザー光源をチャンバー内に設置することが困難なこともある。また、半導体ウェハーを収容するチャンバー内には、汚染源となるおそれのある機器の設置を最小限に留めることが好ましい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成にて光照射時の基板面内の温度分布を均一にすることができる熱処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて、上面に立設された複数の支持ピンを介して基板を支持する石英の平板形状の保持プレートと、前記保持プレートに支持された基板に前記保持プレートを透過して光を照射する光照射部と、を備え、前記複数の支持ピンの表面に前記光照射部から照射された光を吸収する光吸収材料にて形成された光吸収膜を設け、前記光吸収材料を水平面に投影した形状は直径4mm以下の円形であることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項1の発明に係る熱処理装置において、前記光吸収材料は不透明石英であることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項の発明に係る熱処理装置において、前記不透明石英は黒色合成石英であることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項1の発明に係る熱処理装置において、前記光吸収材料は炭化ケイ素であることを特徴とする。
請求項の発明によれば、光照射部による加熱時には、複数の支持ピンの表面に設けられた光吸収膜が光照射部からの光を吸収して昇温するため、支持ピンと基板との接触箇所近傍における温度低下を抑制して簡易な構成にて光照射時の基板面内の温度分布を均一にすることができる。また、光吸収材料を水平面に投影した形状は直径4mm以下の円形であるため、光吸収材料の遮光による影響を抑制しつつ、光吸収効果を得ることができる。
請求項の発明によれば、黒色合成石英は光の吸収率が高いため、支持ピンと基板との接触箇所近傍における温度低下をより効果的に抑制することができる。
本発明に係る熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 保持部の全体外観を示す斜視図である。 サセプタの平面図である。 サセプタの断面図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。 第1実施形態の基板支持ピンの近傍を拡大した図である。 第2実施形態の基板支持ピンの近傍を拡大した図である。 第3実施形態の基板支持ピンの近傍を拡大した図である。 第4実施形態の基板支持ピンの近傍を拡大した図である。 第5実施形態の基板支持ピンの近傍を拡大した図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。本実施形態の熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガスを供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は処理ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、処理ガス供給源85から緩衝空間82に処理ガスが送給される。緩衝空間82に流入した処理ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。処理ガスとしては、窒素(N)等の不活性ガス、または、水素(H)、アンモニア(NH)等の反応性ガスを用いることができる(本実施形態では窒素)。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、処理ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプタ74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプタ74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
基台リング71は円環形状から一部が欠落した円弧形状の石英部材である。この欠落部分は、後述する移載機構10の移載アーム11と基台リング71との干渉を防ぐために設けられている。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。基台リング71の上面に、その円環形状の周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。
サセプタ74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。図3は、サセプタ74の平面図である。また、図4は、サセプタ74の断面図である。サセプタ74は、保持プレート75、ガイドリング76および複数の基板支持ピン77を備える。保持プレート75は、石英にて形成された略円形の平板状部材である。保持プレート75の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、保持プレート75は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。
保持プレート75の上面周縁部にガイドリング76が設置されている。ガイドリング76は、半導体ウェハーWの直径よりも大きな内径を有する円環形状の部材である。例えば、半導体ウェハーWの直径がφ300mmの場合、ガイドリング76の内径はφ320mmである。ガイドリング76の内周は、保持プレート75から上方に向けて広くなるようなテーパ面とされている。ガイドリング76は、保持プレート75と同様の石英にて形成される。ガイドリング76は、保持プレート75の上面に溶着するようにしても良いし、別途加工したピンなどによって保持プレート75に固定するようにしても良い。或いは、保持プレート75とガイドリング76とを一体の部材として加工するようにしても良い。
保持プレート75の上面のうちガイドリング76よりも内側の領域が半導体ウェハーWを保持する平面状の保持面75aとされる。保持プレート75の保持面75aには、複数の基板支持ピン77が立設されている。本実施形態においては、保持面75aの外周円(ガイドリング76の内周円)と同心円の周上に沿って30°毎に計12個の基板支持ピン77が立設されている。12個の基板支持ピン77を配置した円の径(対向する基板支持ピン77間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さく、半導体ウェハーWの径がφ300mmであればφ270mm〜φ280mm(本実施形態ではφ280mm)である。第1実施形態においては、それぞれの基板支持ピン77は不透明石英にて形成されている。不透明石英は、例えば、石英材料内に多数の微細な気泡を含有させることによって得られる。不透明石英としては、例えば、信越石英株式会社製のOM−100、東ソー・クォーツ株式会社製のOP−3等を用いることができる。
図2に戻り、基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプタ74の保持プレート75の周縁部とが溶接によって固着される。すなわち、サセプタ74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されている。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、サセプタ74の保持プレート75は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。すなわち、保持プレート75の保持面75aは水平面となる。また、保持プレート75の上面に立設された12本の基板支持ピン77のそれぞれを水平面に投影した形状は直径4mm以下の円形である。
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプタ74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。このとき、半導体ウェハーWは保持プレート75上に立設された12個の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。より厳密には、12個の基板支持ピン77の上端部が半導体ウェハーWの下面に接触して当該半導体ウェハーWを支持する。12個の基板支持ピン77の高さ(基板支持ピン77の上端から保持プレート75の保持面75aまでの距離)は均一であるため、12個の基板支持ピン77によって半導体ウェハーWを水平姿勢に支持することができる。
また、半導体ウェハーWは複数の基板支持ピン77によって保持プレート75の保持面75aから所定の間隔を隔てて支持されることとなる。基板支持ピン77の高さよりもガイドリング76の厚さの方が大きい。従って、複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれはガイドリング76によって防止される。
また、図2および図3に示すように、サセプタ74の保持プレート75には、上下に貫通して開口部78が形成されている。開口部78は、放射温度計120(図1参照)がサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。すなわち、放射温度計120が開口部78を介してサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射された光を受光し、別置のディテクタによってその半導体ウェハーWの温度が測定される。さらに、サセプタ74の保持プレート75には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプタ74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプタ74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4は、筐体41の内側に複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLを内蔵している。ハロゲン加熱部4は、複数のハロゲンランプHLによってチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行って半導体ウェハーWを加熱する光照射部である。
図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。40本のハロゲンランプHLは上下2段に分けて配置されている。保持部7に近い上段に20本のハロゲンランプHLが配設されるとともに、上段よりも保持部7から遠い下段にも20本のハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向と下段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向とが互いに直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、ハロゲン加熱部4の筐体41内にも、2段のハロゲンランプHLの下側にリフレクタ43が設けられている(図1)。リフレクタ43は、複数のハロゲンランプHLから出射された光を熱処理空間65の側に反射する。
制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
次に、熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について説明する。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板である。その不純物の活性化が熱処理装置1によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプタ74の保持プレート75の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12は基板支持ピン77の上端よりも上方にまで上昇する。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプタ74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。半導体ウェハーWは、保持プレート75上に立設された複数の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。また、半導体ウェハーWは、パターン形成がなされて不純物が注入された表面を上面として保持部7に保持される。複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの裏面(表面とは反対側の主面)と保持プレート75の保持面75aとの間には所定の間隔が形成される。サセプタ74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
また、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖されて熱処理空間65が密閉空間とされた後、チャンバー6内の雰囲気調整が行われる。具体的にはバルブ84が開放されてガス供給孔81から熱処理空間65に処理ガスが供給される。本実施形態では、処理ガスとして窒素がチャンバー6内の熱処理空間65に供給される。また、バルブ89が開放されてガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された処理ガスが下方へと流れて熱処理空間65の下部から排気され、熱処理空間65が窒素雰囲気に置換される。また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。
チャンバー6内が窒素雰囲気に置換され、半導体ウェハーWが保持部7のサセプタ74によって水平姿勢にて下方より保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプタ74を透過して半導体ウェハーWの裏面から照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体ウェハーWの温度が放射温度計120によって測定されている。すなわち、サセプタ74に保持された半導体ウェハーWの裏面から開口部78を介して放射された赤外光を放射温度計120が受光して昇温中のウェハー温度を測定する。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、放射温度計120による測定値に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにハロゲンランプHLの出力をフィードバック制御する。予備加熱温度T1は、200℃ないし800℃程度、好ましくは350℃ないし600℃程度とされる(本実施の形態では600℃)。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、放射温度計120によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を調整し、半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。
ところで、上述の如く、ハロゲンランプHLによる予備加熱は、半導体ウェハーWを12本の基板支持ピン77によって支持した状態で行われる。従来のように、基板支持ピン77が石英にて形成されていた場合には、基板支持ピン77はハロゲンランプHLから照射された光をほとんど吸収せずに透過する。このため、予備加熱時には、半導体ウェハーWがハロゲンランプHLからの光を吸収して昇温する一方で基板支持ピン77を含むサセプタ74はあまり昇温せず、相対的に半導体ウェハーWよりも低温となる。よって、半導体ウェハーWから直接に接触する基板支持ピン77への熱伝導が生じ、12本の基板支持ピン77による接触箇所近傍のウェハー温度が他の領域よりも相対的に低下することとなる。その結果、半導体ウェハーWの面内温度分布が不均一となる傾向が生じる。
このため、第1実施形態においては、保持プレート75の上面に立設された12本の基板支持ピン77を不透明石英にて形成している。不透明石英は、ハロゲンランプHLから照射された光を吸収して昇温する光吸収材料である。すなわち、第1実施形態では、12本の基板支持ピン77がハロゲンランプHLから照射された光を吸収して昇温する光吸収材料にて形成されている。
図8は、第1実施形態の基板支持ピン77の近傍を拡大した図である。ハロゲンランプHLから出射された光は保持プレート75の下面から照射される。保持プレート75は、通常の透明な石英にて形成されているため、ハロゲンランプHLから出射された光を透過する。保持プレート75を透過した光は半導体ウェハーWの裏面に照射される。また、保持プレート75を透過した光の一部は基板支持ピン77にも照射される。基板支持ピン77は不透明石英にて形成されているため、保持プレート75を透過した光を吸収して昇温する。このため、上述した半導体ウェハーWの基板支持ピン77との接触箇所近傍における相対的な温度低下が抑制されることとなり、その結果、当該接触箇所近傍と周辺領域との温度差を最小にすることができ、予備加熱時における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。
また、基板支持ピン77を水平面に投影した形状は円形であり、その直径dは4mm以下である。基板支持ピン77を水平面に投影した円形の直径dが4mmより大きいと、基板支持ピン77による光吸収効果よりも遮光効果が大きくなり、基板支持ピン77によって半導体ウェハーWの裏面に影が形成されることとなり、却って半導体ウェハーWの基板支持ピン77との接触箇所近傍における温度低下が大きくなる。このため、基板支持ピン77を水平面に投影した円形の直径dは4mm以下に限定される。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点にてフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLが半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
本実施形態では、ハロゲンランプHLから照射された光を吸収して昇温する不透明石英にて12本の基板支持ピン77を形成し、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所近傍における温度低下を抑制して予備加熱段階での半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にしている。その結果、フラッシュ光照射時における半導体ウェハーW表面の面内温度分布も均一にすることができる。
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度は放射温度計120によって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、放射温度計120の測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプタ74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプタ74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
第1実施形態においては、保持プレート75の上面に立設された12本の基板支持ピン77がハロゲンランプHLから照射された光を吸収して昇温する光吸収材料にて形成されている。これにより、ハロゲンランプHLによる予備加熱時には、12本の基板支持ピン77がハロゲンランプHLからの光を吸収して昇温するため、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所近傍における温度低下を抑制して予備加熱時における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。その結果、フラッシュ加熱時における半導体ウェハーW表面の面内温度分布も均一にすることができる。
また、第1実施形態においては、12本の基板支持ピン77を光吸収材料で形成するだけで半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にしている。すなわち、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所を加熱するための特別な機構や設計変更は不要であり、簡易な構成にて光照射時の半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の熱処理装置1の全体構成は第1実施形態と概ね同じである。また、第2実施形態の熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第2実施形態が第1実施形態と相違するのは、光吸収材料を設ける形態である。
図9は、第2実施形態の基板支持ピン77の近傍を拡大した図である。第2実施形態においては、保持プレート75の上面に立設された12本の基板支持ピン77の表面に、ハロゲンランプHLから照射された光を吸収する光吸収材料にて形成された光吸収膜21を設けている。第2実施形態では、基板支持ピン77自体は石英にて形成されている。その石英の基板支持ピン77の表面に光吸収材料にて形成された光吸収膜21を成膜しているのである。
また、第2実施形態では、光吸収材料として炭化ケイ素(SiC)を用いている。炭化ケイ素をスパッタリング、蒸着、塗布等の手法によって石英の基板支持ピン77の表面にコーティングすることにより光吸収膜21を成膜する。また、光吸収膜21を水平面に投影した形状は直径4mm以下の円形である。
第2実施形態においては、ハロゲンランプHLによる予備加熱時に、12本の基板支持ピン77の表面に設けられた光吸収膜21がハロゲンランプHLからの光を吸収して昇温するため、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所近傍(厳密には、光吸収膜21と半導体ウェハーWとの接触箇所近傍)における温度低下を抑制して予備加熱時における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。その結果、第1実施形態と同様に、フラッシュ加熱時における半導体ウェハーW表面の面内温度分布も均一にすることができる。
また、第2実施形態においては、12本の基板支持ピン77の表面に光吸収膜21を設けるだけで半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にしている。すなわち、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所を加熱するための特別な機構や設計変更は不要であり、簡易な構成にて光照射時の半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の熱処理装置1の全体構成は第1実施形態と概ね同じである。また、第3実施形態の熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第3実施形態が第1実施形態と相違するのは、光吸収材料を設ける形態である。
図10は、第3実施形態の基板支持ピン77の近傍を拡大した図である。第3実施形態においては、12本の基板支持ピン77と保持プレート75との間にハロゲンランプHLから照射された光を吸収する光吸収材料にて形成された光吸収膜21を挟み込んで設けている。第3実施形態においても、保持プレート75の上面に立設された12本の基板支持ピン77自体は石英にて形成されている。また、光吸収材料としては第2実施形態と同様に炭化ケイ素を用いている。
第3実施形態においては、保持プレート75の上面のうち、12本の基板支持ピン77が立設されるべき領域にスパッタリング、蒸着、塗布等の手法によって炭化ケイ素をコーティングして光吸収膜21を成膜している。そして、その光吸収膜21の上に基板支持ピン77を立設することにより、基板支持ピン77と保持プレート75との間に光吸収膜21を挟み込んでいる。光吸収膜21の膜厚は0.1mm〜0.5mmである。また、光吸収膜21を水平面に投影した形状は直径4mm以下の円形である(つまり、円板形状の光吸収膜21の直径は4mm以下)。
第3実施形態においては、ハロゲンランプHLによる予備加熱時に、12本の基板支持ピン77と保持プレート75との間に挟み込んで設けられた光吸収膜21がハロゲンランプHLからの光を吸収して昇温する。昇温した光吸収膜21から基板支持ピン77に熱が伝わって基板支持ピン77自体も昇温するため、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所近傍における温度低下を抑制して予備加熱時における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。その結果、第1実施形態と同様に、フラッシュ加熱時における半導体ウェハーW表面の面内温度分布も均一にすることができる。
また、第3実施形態においては、12本の基板支持ピン77と保持プレート75との間に光吸収膜21を設けるだけで半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にしている。すなわち、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所を加熱するための特別な機構や設計変更は不要であり、簡易な構成にて光照射時の半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態の熱処理装置1の全体構成は第1実施形態と概ね同じである。また、第4実施形態の熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第4実施形態が第1実施形態と相違するのは、光吸収材料を設ける形態である。
図11は、第4実施形態の基板支持ピン77の近傍を拡大した図である。第4実施形態においては、保持プレート75の下面のうち12本の基板支持ピン77と対向する領域にハロゲンランプHLから照射された光を吸収する光吸収材料にて形成された光吸収膜21を設けている。第4実施形態においても、保持プレート75の上面に立設された12本の基板支持ピン77自体は石英にて形成されている。また、光吸収材料としては第2実施形態と同様に炭化ケイ素を用いている。
第4実施形態においては、保持プレート75の下面のうち、上面に立設された12本の基板支持ピン77と対向する領域にスパッタリング、蒸着、塗布等の手法によって炭化ケイ素をコーティングして光吸収膜21を成膜している。光吸収膜21の膜厚は0.1mm〜0.5mmである。また、光吸収膜21を水平面に投影した形状は直径4mm以下の円形である(つまり、円板形状の光吸収膜21の直径は4mm以下)。
第4実施形態においては、ハロゲンランプHLによる予備加熱時に、保持プレート75の下面のうち12本の基板支持ピン77と対向する領域に設けられた光吸収膜21がハロゲンランプHLからの光を吸収して昇温する。昇温した光吸収膜21から上方の保持プレート75および基板支持ピン77に熱が伝わって基板支持ピン77自体も昇温するため、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所近傍における温度低下を抑制して予備加熱時における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。その結果、第1実施形態と同様に、フラッシュ加熱時における半導体ウェハーW表面の面内温度分布も均一にすることができる。
また、第4実施形態においては、保持プレート75の下面に光吸収膜21を設けるだけで半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にしている。すなわち、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所を加熱するための特別な機構や設計変更は不要であり、簡易な構成にて光照射時の半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態の熱処理装置1の全体構成は第1実施形態と概ね同じである。また、第5実施形態の熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第5実施形態が第1実施形態と相違するのは、光吸収材料を設ける形態である。
図12は、第5実施形態の基板支持ピン77の近傍を拡大した図である。第5実施形態においては、保持プレート75のうち12本の基板支持ピン77が立設された部位をハロゲンランプHLから照射された光を吸収する光吸収材料にて形成している。第5実施形態においても、保持プレート75の上面に立設された12本の基板支持ピン77自体は石英にて形成されている。また、光吸収材料としては第1実施形態と同様に不透明石英を用いている。
第5実施形態においては、保持プレート75のうち12本の基板支持ピン77が立設されるべき部位に上下に貫通して孔を穿設し、その孔に溶接等によって不透明石英の円柱部22を埋め込んでいる。そして、その円柱部22の上に基板支持ピン77を立設している。不透明石英の円柱部22の高さは保持プレート75の厚さと同じである。また、不透明石英の円柱部22を水平面に投影した形状は直径4mm以下の円形である(つまり、円柱部22の直径は4mm以下)。
第5実施形態においては、ハロゲンランプHLによる予備加熱時に、12本の基板支持ピン77の下に設けられた不透明石英の円柱部22がハロゲンランプHLからの光を吸収して昇温する。昇温した円柱部22から基板支持ピン77に熱が伝わって基板支持ピン77自体も昇温するため、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所近傍における温度低下を抑制して予備加熱時における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。その結果、第1実施形態と同様に、フラッシュ加熱時における半導体ウェハーW表面の面内温度分布も均一にすることができる。
また、第5実施形態においては、保持プレート75の一部を光吸収材料にて形成するだけで半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にしている。すなわち、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所を加熱するための特別な機構や設計変更は不要であり、簡易な構成にて光照射時の半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、第1,5実施形態の光吸収材料として炭化ケイ素を用い、第2〜4実施形態の光吸収材料として不透明石英を採用するようにしても良い。また、各実施形態にて光吸収材料として用いる不透明石英を黒色合成石英としても良い。黒色合成石英は白色の不透明石英に比較して高い光吸収率を有しているため、ハロゲンランプHLからの光を吸収してより高温に昇温し、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所近傍における温度低下をより効果的に抑制することができる。
また、第1〜5実施形態の光吸収材料を設ける形態の2つ以上を適宜に組み合わせるようにしても良い。例えば、第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせ、不透明石英の基板支持ピン77と保持プレート75との間に光吸収膜21を挟み込んで設けるようにしても良い。或いは、第1実施形態と第5実施形態とを組み合わせ、不透明石英の円柱部22の上に不透明石英の基板支持ピン77を設けるようにしても良い。
また、石英の基板支持ピン77の表面をサンドブラスト等の粗面化処理によって不透明とするようにしても良い。このようにすれば、基板支持ピン77を不透明石英にて形成したのと同様に、基板支持ピン77の表面がハロゲンランプHLからの光を吸収して昇温するため、基板支持ピン77と半導体ウェハーWとの接触箇所近傍における温度低下を抑制することができる。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、本発明に係る熱処理装置によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。また、本発明に係る技術は、金属とシリコンとの接合、或いはポリシリコンの結晶化に適用するようにしても良い。
また、本発明に係る熱処理技術は、フラッシュランプアニール装置に限定されるものではなく、ハロゲンランプを使用した枚葉式のランプアニール装置やCVD装置などのフラッシュランプ以外の熱源の装置にも適用することができる。特に、チャンバーの下方にハロゲンランプを配置し、石英のサセプタ上に複数の基板支持ピンで支持した半導体ウェハーの裏面から光照射を行って熱処理を行うバックサイドアニール装置に本発明に係る技術は好適に適用することができる。
1 熱処理装置
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
21 光吸収膜
22 円柱部
65 熱処理空間
74 サセプタ
75 保持プレート
77 基板支持ピン
120 放射温度計
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー

Claims (4)

  1. 基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内にて、上面に立設された複数の支持ピンを介して基板を支持する石英の平板形状の保持プレートと、
    前記保持プレートに支持された基板に前記保持プレートを透過して光を照射する光照射部と、
    を備え、
    前記複数の支持ピンの表面に前記光照射部から照射された光を吸収する光吸収材料にて形成された光吸収膜を設け
    前記光吸収材料を水平面に投影した形状は直径4mm以下の円形であることを特徴とする熱処理装置。
  2. 請求項1記載の熱処理装置において、
    前記光吸収材料は不透明石英であることを特徴とする熱処理装置。
  3. 請求項2記載の熱処理装置において、
    前記不透明石英は黒色合成石英であることを特徴とする熱処理装置。
  4. 請求項1記載の熱処理装置において、
    前記光吸収材料は炭化ケイ素であることを特徴とする熱処理装置。
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