JP6811581B2 - 人血検査方法及び人血検査用キット - Google Patents

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Description

本発明は、人血検査方法に関する。本発明はまた人血検査用キットにも関する。
現在、高い精度で個人を特定できるDNA型鑑定が犯罪捜査には活用されているが、人血証明など、検出されるDNA型の由来を明らかにしておくことが、犯罪を立証する上で不可欠である。
犯罪現場において、ヒト血液は、その視認性から採取されやすい試料の一つであり、犯罪捜査上、個人を決定付ける貴重な証拠である。そのため、試料がヒト血液であると疑われる場合、ヒトヘモグロビンを検出する方法で人血の証明を行っている(非特許文献1〜3)。しかしながら、例えば、陳旧血痕や加熱血液、薬剤に晒された血液等、ヒトヘモグロビンが変性した場合には、人血の証明が困難な場合があった(非特許文献4)。
法科学技術,2014年,19巻(2号),pp.103−110 法科学技術,2006年,11巻(1号),pp.9−18 鑑識科学,2004年,9巻(2号),pp.143−149 鑑識科学,2003年,7巻(2号),pp.159−165
本発明は、高感度な人血検査方法を提供することを目的とする。また、本発明は、高感度な人血検査用キットを提供することを目的とする。
本発明は、被験試料を前処理して前処理試料を得る前処理工程と、上記前処理試料中のヒトヘモグロビンを検出する検出工程と、ヒトヘモグロビンが検出された場合に、被験試料が人血であると判定する判定工程と、を備え、上記前処理が、上記被験試料に第3級ホスフィンを含む前処理液を添加するステップと、前処理液を添加した被験試料にリン酸又はその塩を含む希釈液を添加して前処理試料を得るステップと、を含む、人血検査方法を提供する。
本発明に係る人血検査方法は、第3級ホスフィンを含む前処理液を添加するステップと、前処理液を添加した被験試料にリン酸又はその塩を含む希釈液を添加して前処理試料を得るステップと、を含むため、ヒトヘモグロビンの検出感度が高い。そのため、高感度な人血検査が可能になる。
上記第3級ホスフィンは、公知のものから適宜選択することができる。その具体例としては、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン)、トリス(2−ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン及びこれらの塩等が挙げられ、特にトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン又はその塩が好ましい。これにより、ヒトヘモグロビンの検出感度がより高くなる。
上記前処理液は、更にアミノ酸又はその塩を含むものであってもよい。これにより、被験試料に汗等の血液以外の体液が混在することによるヒトヘモグロビンの検出感度の低下を防止することができる。
上記アミノ酸又はその塩は、公知のものから適宜選択することができる。その具体例としては、アルギニン、リジン又はこれらの塩等が挙げられ、特にアルギニン又はその塩が好ましい。
また、上記前処理液は、更にカオトロピック剤を含むものであってもよい。これにより、変性した人血であっても、ヒトヘモグロビンの検出感度が高くなる。
上記カオトロピック剤は、公知のものから適宜選択することができる。その具体例としては、グアニジン塩、尿素、チオシアン酸塩等が挙げられ、特にグアニジン塩が好ましい。
本発明は、第3級ホスフィンを含む前処理液と、リン酸又はその塩を含む希釈液と、を含む人血検査用キットを提供する。
本発明に係る人血検査用キットによれば、高感度な人血検査が可能になる。
本発明に係る人血検査用キットに含まれる第3級ホスフィンは、公知のものから適宜選択することができる。その具体例としては、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン)、トリス(2−ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン等が挙げられ、特にトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン又はその塩であることが好ましい。これにより、ヒトヘモグロビンの検出感度がより高くなる。
本発明に係る人血検査用キットに含まれる前処理液は、アミノ酸又はその塩を含むものであってもよい。これにより、被験試料に汗等の血液以外の体液が混在することによるヒトヘモグロビンの検出感度の低下を防止することができる。
上記アミノ酸又はその塩は、公知のものから適宜選択することができる。その具体例としては、アルギニン、リジン又はこれらの塩等が挙げられ、特にアルギニン又はその塩が好ましい。
また、本発明に係る人血検査用キットに含まれる前処理液は、更にカオトロピック剤を含むものであることが好ましい。これにより、変性した人血であっても、ヒトヘモグロビンの検出感度が高くなる。
上記カオトロピック剤は、公知のものから適宜選択することができる。その具体例としては、グアニジン塩、尿素、チオシアン酸塩等が挙げられ、特にグアニジン塩が好ましい。
本発明によれば、高感度な人血検査方法が提供される。また、本発明によれば、高感度な人血検査用キットが提供される。本発明の人血検査方法及び人血検査用キットは、DNA型鑑定の予備検査である人獣鑑別に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
〔人血検査方法〕
本実施形態に係る人血検査方法は、被験試料を前処理して前処理試料を得る前処理工程と、前処理試料中のヒトヘモグロビンを検出する検出工程と、ヒトヘモグロビンが検出された場合に、被験試料が人血であると判定する判定工程と、を備え、前処理が、被験試料に第3級ホスフィンを含む前処理液を添加するステップと、前処理液を添加した被験試料にリン酸又はその塩を含む希釈液を添加して前処理試料を得るステップと、を含む、人血検査方法である。
本明細書において、「人血検査」は、被験試料中に人に由来する血液が含まれるか否かを検査することを意味する。被験試料から、ヒトヘモグロビンが検出された場合、被験試料が人血であると判断される。
人血検査方法の感度が高いとは、被験試料に含まれるヒトヘモグロビンをより実際の濃度に近い濃度で検出できることを意味する。例えば、同じ被験試料に対して、複数の人血検査方法を実施し、より高濃度にヒトヘモグロビンが検出された人血検査方法をより感度が高い人血検査方法であると判断することができる。
被験試料は、例えば、血液又は血液と疑われる試料、血痕又は血痕と疑われる試料が挙げられる。本実施形態に係る人血検査方法を適用し得る人血は、出血部位に影響するものではなく、例えば、喀血、吐血、下血、鼻血、月経血、分娩血、胎児血、生体血等が挙げられる。
また、本実施形態に係る人血検査方法は、乾燥血痕、覚せい剤処理血痕、陳旧血痕、加熱処理血液等の従来の方法では、ヒトヘモグロビンの検出が困難であった被験試料においても、充分な感度でヒトヘモグロビンの検出が可能である。したがって、被験試料としては、乾燥血痕、覚せい剤処理血痕、陳旧血痕、加熱処理血液等の血痕、又はそれと疑われる試料が好ましい。
本明細書において、「覚せい剤処理血痕」とは、覚せい剤(メタンフェタミン塩酸塩)と混和した血液に由来する血痕を意味する。血液は覚せい剤の影響により、変性することが知られている。また、本明細書における覚せい剤処理血痕には、例えばメトキシフェナミン塩酸塩等、メタンフェタミン類縁体によって変性を受けた血痕も含まれる。
本実施形態に係る人血検査方法は、以下、「前処理希釈法」ともいう。
〔前処理工程〕
前処理工程は、被験試料を前処理して前処理試料を得る工程である。
前処理工程は、被験試料に第3級ホスフィンを含む前処理液を添加するステップと、前処理液を添加した被験試料にリン酸又はその塩を含む希釈液を添加して前処理試料を得るステップと、を含む。
(前処理液)
前処理液は、第3級ホスフィンを含むものである。第3級ホスフィンを含む前処理液を添加することにより、変性したヒトヘモグロビンを前処理液に溶解することができる。
第3級ホスフィンとしては、例えば、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(以下、「TCEP」ともいう。)、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン)、トリス(2−ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン、及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、一種を単独であってもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
TCEPの塩としては、例えば、無機若しくは有機酸(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等)との塩並びに、無機若しくは有機塩基[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等]との塩が挙げられる。
第3級ホスフィンは、検出感度及び水溶性の点から、TCEP又はその塩であることが好ましく、TCEP塩酸塩であることがより好ましい。
前処理液に含まれる第3級ホスフィンの濃度は、前処理液中における濃度として、特に制限されないが、1mmol/L以上であることが好ましく、1mmol/L〜200mmol/Lであることがより好ましく、2mmol/L〜100mmol/Lであることがさらに好ましく、5mmol/L〜50mmol/Lであることがさらにより好ましく、15mmol/L〜30mmol/Lであることがさらによりまた好ましい。
前処理液は、更にアミノ酸又はその塩含むものであってもよい。これにより、被験試料に汗等の血液以外の体液が混在することによるヒトヘモグロビンの検出感度の低下を防止することができる。
上記アミノ酸又はその塩は、公知のものから適宜選択することができる。その具体例としては、アルギニン、リジン又はこれらの塩等が挙げられ、特にアルギニン又はその塩が好ましい。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ酸の塩として、具体的には、例えば、塩酸塩等の無機酸塩等が挙げられる。なお、アミノ酸及びその塩は、D体、L体、DL体のいずれであってもよい。
前処理液に含まれるアミノ酸又はその塩は、前処理液中における濃度としては、特に制限されないが、1mmol/L以上であることが好ましく、1mmol/L〜1000mmol/Lであることがより好ましく、10mmol/L〜500mmol/Lであることがさらに好ましく、20mmol/L〜200mmol/Lであることがさらにより好ましく、40mmol/L〜200mmol/Lであることがさらによりまた好ましい。
また、前処理液は、更にカオトロピック剤を含むものであってもよい。これにより、変性した人血であっても、ヒトヘモグロビンの検出感度が高くなる。
上記カオトロピック剤は、公知のものから適宜選択することができる。その具体例としては、グアニジン塩、尿素、チオシアン酸塩等が挙げられ、特にグアニジン塩が好ましい。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
グアニジン塩として、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、チオシアン酸との塩が挙げられる。グアニジン塩としては、検出感度向上の点から、グアニジン塩酸塩であることが好ましい。
チオシアン酸塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
前処理液に含まれるグアニジン塩は、前処理液中における濃度としては、特に制限されないが、0.1mol/L以上であることが好ましく、0.1mol/L〜50mol/Lであることがより好ましく、0.5mol/L〜20mol/Lであることがさらに好ましく、1mol/L〜10mol/Lであることがさらにより好ましい。
前処理液は、緩衝剤を含む緩衝液であることが好ましい。緩衝剤としては例えば、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤、グッド緩衝剤が挙げられる。グッド緩衝剤としては、例えば、2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)等が挙げられる。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
前処理液は、リン酸又はその塩を含まないことが好ましい。リン酸塩としては、リン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
前処理液のpHは2〜11であればよく、好ましくはpH5〜10、より好ましくは、pH6〜8である。
(希釈液)
希釈液はリン酸又はその塩を含むものである。リン酸塩としては、リン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。リン酸又はその塩を含む希釈液は、前処理試料を希釈する他、前処理試料中の未反応の第3級ホスフィンを不活性化するためにも用いられる。
希釈液のpHは2〜11であればよく、好ましくはpH5〜10、より好ましくは、pH6〜8である。
希釈液は、更に公知の防腐剤及び安定化剤を含むことができる。
防腐剤としては、例えば、アジ化ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等のパラベン等が挙げられる。防腐剤としては、アジ化ナトリウムが好ましい。希釈液がアジ化ナトリウムを含むと、本来の防腐作用のみならず、ヒトヘモグロビンの検出感度がより高くなる効果を奏する。
安定化剤としては、例えば、グルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸、ウシ血清アルブミン(BSA)等のタンパク質、スクロース、マルトース等の糖類、グルタチオン、ジチオスレイトール、メルカプトエタノール等の還元剤、グリセロール、ソルビトール等の多価アルコール、Tween80、Brij35等の界面活性剤、遷移金属のエチレンジアミン四酢酸錯体等の水溶性金属錯体、モリブデン等の遷移金属類、3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸等のイミノカルボン酸等が挙げられる。
希釈液は、更に、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)モノマーを構造単位の1成分として有する共重合体[Lipidure(登録商標)シリーズ、日油株式会社製]を含むものであることが好ましい。Lipidureシリーズを含むことにより高感度にヘモグロビンを検出できることができる。Lipidureシリーズは、Lipidure BL1201(商品名)、Lipidure BL203(商品名)またはLipidure BL206(商品名)等が好ましい。
希釈液に含まれるLipidureシリーズは、希釈液中における濃度として、0.0001〜1%であることが好ましく、0.0005〜0.1%であることがより好ましく、0.001〜0.01%であることがさらにより好ましい。
希釈液は、前処理液の使用量に対して、1〜500倍量用いることが好ましく、2〜100倍量用いることがより好ましく、3〜50倍量用いることが更に好ましく、3〜10倍量用いることが更により好ましい。希釈液が前処理液の使用量に対して、上記範囲の量であることにより、人血の検出感度がより高くなる。
〔検出工程〕
検出工程は、前処理試料中のヒトヘモグロビンを検出する工程である。
ヒトヘモグロビンの検出には、抗ヒトヘモグロビン抗体を用いることができる。抗ヒトヘモグロビン抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。また、ヒトヘモグロビン抗体は、キメラ抗体及びヒト化抗体等の遺伝子工学的に改変された抗体であってもよい。ヒトヘモグロビンの検出に用いられる抗ヒトヘモグロビン抗体は、2種以上が同時に用いられていてもよい。
検出工程には、公知のヒトヘモグロビン検出方法を用いることができる。例えば、イムノクロマトグラフィー法、ラテックス凝集法、金コロイド凝集法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)等を用いたヒトヘモグロビンの検出方法が挙げられる。特に、ヒトヘモグロビンの検出には、イムノクロマトグラフィー法を用いたOC−ヘモキャッチS‘栄研’(栄研化学社製、商品名)が好適に用いられる。
〔判定工程〕
判定工程は、検出工程においてヒトヘモグロビンが検出された場合に、被験試料が人血であると判定される。
〔人血検査用キット〕
本実施形態に係る人血検査方法に必要な各溶液は、予めパッケージングして、人血検査用キットとして利用できる。すなわち、人血検査用キットは、第3級ホスフィンを含む前処理液と、リン酸又はその塩を含む希釈液と、を含むものである。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
〔人血検査方法〕
(前処理希釈法:条件1)
被験試料を下記組成の前処理液A中、室温で30分反応させた。その後、下記組成の希釈液を添加し、室温で30分静置後、免疫学的便ヘモグロビン検出試薬であるOC−ヘモキャッチS‘栄研’(栄研化学社製、商品名)(以下、「HC−S」ともいう。)により、ヒトヘモグロビンの検出を行った。以下、「M」は、「mol/L」と同義であり、「mM」は、「mmol/L」と同義である。
前処理液A
50mM HEPES
20mM TCEP塩酸塩
希釈液
50mM リン酸緩衝液
0.095% NaN
0.30% BSA
0.005% Lipidure BL1201
(前処理希釈法:条件2)
前処理液Aの代わりに下記組成の前処理液Bを用いること以外は、条件1と同様に、被験試料について、ヒトヘモグロビンの検出を行った。
前処理液B
50mM HEPES
20mM TCEP塩酸塩
3M グアニジン塩酸塩
(対照)
被験試料にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加し、室温で30分静置した後、HC−Sにより、被験試料についてヒトヘモグロビンの検出を行った。
以下に、乾燥血痕、覚せい剤処理血痕、陳旧血痕、熱処理血痕、及び汗と混合した血痕について前処理希釈法を適用した結果を示した。
〔実施例1:乾燥血痕の検出〕
ヒト血液1μLと精製水9μLとを混合し、37℃で3日間静置後、0〜60日間乾燥させた。乾燥期間0日、3日、7日、30日、60日の試料を被験試料とし、前処理希釈法及び対照で人血検査を実施した。
HC−Sは、ヒトヘモグロビンが検出された場合、テストラインを形成する。ヒトヘモグロビン検出は、HC−Sに試料50μLを滴下して5分後に、イムノクロマトリーダーC10066−10(浜松ホトニクス社製)を用いてテストラインを定量測定することにより評価した。表1は、被検試料を前処理液及び希釈液で10万倍に希釈した場合の各検査方法でのヒトヘモグロビン測定値(ng/mL)を示した。
Figure 0006811581
前処理希釈法では、対照と比べて、より高感度にヒトヘモグロビンが検出された。また、被験試料として乾燥血痕を用いた場合であっても、対照と比べて、前処理希釈法がより高感度であった。
〔実施例2:覚せい剤処理血痕の検出〕
ヒト血液1μLと333mg/mLの覚せい剤溶液(メタンフェタミン塩酸塩、以下、「MA」ともいう。)9μLとを混合し、37℃で3日間静置後、0〜60日間乾燥させた。乾燥期間0日、3日、7日、30日、60日のMA処理血痕を、前処理希釈法及び対照で人血検査を実施した。
ヒトヘモグロビンは、実施例1と同様に、HC−Sに試料50μLを滴下して5分後に、イムノクロマトリーダーC10066−10(浜松ホトニクス社製)を用いてテストラインを定量測定することにより評価した。表2は、被検試料を前処理液及び希釈液で10万倍に希釈した場合のMA処理血痕中の各検査方法でのヒトヘモグロビン測定値(ng/mL)を示した。
Figure 0006811581
MA処理した場合、前処理希釈法では、対照と比べて、より高感度にヒトヘモグロビンが検出された。また、前処理希釈法では前処理液にグアニジン塩酸塩を含むことにより、MA処理乾燥血痕においてさらに高感度にヒトヘモグロビンが検出された。
〔実施例3:陳旧血痕の検出〕
経過年数4年、16年、26年の陳旧血痕を被験試料として、前処理希釈法及び対照で人血検査を実施した。また、陳旧血痕である被験試料を5%アンモニア水で浸出、蒸発乾固させてPBSに再懸濁させた後、対照と同様の手順でヒトヘモグロビンの検出を行った(この方法を「対照+5%アンモニア水」ともいう。)。
ヒトヘモグロビン検出は、HC−Sに試料50μLを滴下して5分後にテストラインの有無を肉眼で観察することにより判定した。テストラインが形成した場合、ヒトヘモグロビンが検出されたことを意味し、テストラインが形成していない場合は、ヒトヘモグロビンが検出されなかったことを意味する。表中、「+」はヒトヘモグロビンが検出されたことを示し、「−」はヒトヘモグロビンが検出されていないことを示す。表3は、同希釈率における陳旧血痕中のヒトヘモグロビン検出の可否を示した。
Figure 0006811581
前処理希釈法では、経過年数26年の陳旧血痕についてもヒトヘモグロビンが検出された。一方、対照では、経過年数16年及び26年の陳旧血痕ではヒトヘモグロビンは検出されず、アンモニア水を添加した場合であっても、経過年数26年の陳旧血痕ではヒトヘモグロビンは検出されなかった。
〔実施例4:熱処理血液の検出〕
PBSにて100倍に希釈した後、所定温度(25℃、37℃、55℃、70℃、85℃、100℃)で、30分間熱処理した血液を被験試料とし、前処理希釈法と対照で人血検査を実施した。
ヒトヘモグロビンの検出は実施例3と同様に行った。表4は、5万倍希釈時の各種血液試料中のヒトヘモグロビン検出の可否を示した。
Figure 0006811581
前処理希釈法では、熱処理温度が70℃以上であっても、人血検査が可能であった。一方、対照では、70℃以上の場合、ヒトヘモグロビンは検出されなかった。
〔実施例5:汗と混合した血痕の検出〕
汗10μLと、PBSにて100倍に希釈したヒト血液0.1μLとを混合して得られた試料を被験試料とし、前処理希釈法及び対照で、人血検査を実施した。また、前処理液に表5に示す所定の添加剤を添加すること以外は、前処理希釈法の条件1と同様の手順で、人血検査を実施した。添加剤としては、界面活性剤(Brij35、CHAPS、TritonX−100、Tween20)、アミノ酸であるL−アルギニン(L−Arg)、タンパク質であるウシ血清アルブミン(BSA)、及びLipidure BL206を用いた。表5は、被験試料を前処理液及び希釈液で10万倍希釈して測定した場合のヒトヘモグロビン測定値(ng/mL)を示した。
Figure 0006811581
添加剤なし及びCHAPSを含む前処理液を用いた場合では汗と混合した血液からヒトヘモグロビンは検出されなかった。一方、L−Arg、Lipidure BL206、TritonX−100、Tween20を含む前処理液では、汗と混合した血液から30ng/mL以上のヒトヘモグロビンが検出された。L−Argを含む前処理液を使用した場合では、より顕著にヒトヘモグロビンの検出が可能であった。
次に、L−Arg含有量の異なる前処理液を使用して、上記同様に汗と混合した血液について人血検査を実施した。表6は、被験試料を前処理液及び希釈液で10万倍に希釈した場合の汗と混合した血痕中のヒトヘモグロビン測定値(ng/mL)を示した。
Figure 0006811581
表6に示すとおり、前処理液中にL−Argを含まない場合、ヒトヘモグロビンは検出されなかった。これに対し、L−Argを25〜200mM含む場合、ヒトヘモグロビンが検出され、L−Argを50〜200mM含む場合、より高感度に検出された。
〔実施例7:変性剤の効果〕
グアニジン塩酸塩等の各種変性剤を含む場合の効果について調べるため、被験試料として26年間室温保存された陳旧血痕が付着したガーゼ糸1cmを1本使用し、前処理希釈法の条件1で人血検査を実施した。表7は、前処理後、希釈液で10倍希釈又は100倍希釈した場合の被験試料中のヒトヘモグロビン測定値(ng/mL)を示した。
Figure 0006811581
表7に示すとおり、グアニジン塩を含む場合、ヒトヘモグロビン検出がより高感度となった。
〔実施例7:希釈液成分の効果〕
実施例2と同様の手順で調製したMA処理試料(90日間乾燥)を前処理希釈法及び対照で人血検査を実施した。また、希釈液にLipidure BL1201を含まないこと以外は、前処理希釈法の条件1と同様の手順で、MA処理試料の人血検査を実施した。表8は、被験試料を前処理液及び希釈液で10万倍に希釈した場合のMA処理試料中のヒトヘモグロビン測定値(ng/mL)を示した。Lipidure BL1201を希釈液中に含む場合をLipidure BL1201(+)、希釈液中に含まない場合をLipidure BL1201(−)と記した。
Figure 0006811581
表8に示すとおり、前処理希釈法では、希釈液にLipidure BL1201を含むことより、ヒトヘモグロビンの検出感度が向上することが示された。

Claims (8)

  1. 被験試料を前処理して前処理試料を得る前処理工程と、
    前記前処理試料中のヒトヘモグロビンを検出する検出工程と、
    ヒトヘモグロビンが検出された場合に、被験試料が人血であると判定する判定工程と、を備え、
    前記前処理が、
    前記被験試料に第3級ホスフィンを含む前処理液を添加するステップと、
    前処理液を添加した被験試料にリン酸又はその塩を含む希釈液を添加して前処理試料を得るステップと、を含む、人血検査方法。
  2. 前記第3級ホスフィンがトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン又はその塩である請求項1に記載の方法。
  3. 前記前処理液が、更にアルギニン又はその塩を含むものである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記前処理液が、更にグアニジン塩を含むものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 第3級ホスフィンを含む前処理液と、
    リン酸又はその塩を含む希釈液と、を含む人血検査用キット。
  6. 前記第3級ホスフィンがトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン又はその塩である請求項5に記載のキット。
  7. 前記前処理液が、更にアルギニン又はその塩を含むものである、請求項5又は6に記載のキット。
  8. 前記前処理液が、更にグアニジン塩を含むものである、請求項5〜7のいずれか一項に記載のキット。
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