JPH10115616A - 人血検査装置 - Google Patents

人血検査装置

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JPH10115616A
JPH10115616A JP27216696A JP27216696A JPH10115616A JP H10115616 A JPH10115616 A JP H10115616A JP 27216696 A JP27216696 A JP 27216696A JP 27216696 A JP27216696 A JP 27216696A JP H10115616 A JPH10115616 A JP H10115616A
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human
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antibody
hemoglobin
blood
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JP27216696A
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Inventor
Koichiro Kojima
浩一郎 児島
Kiju Nishimoto
喜重 西本
Yoshihiko Fujita
義彦 藤田
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Rohto Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Rohto Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 事件や事故の現場において、血痕中のヒトH
bを特異的に短時間で容易に検査できるような検査装置
を提供すること。 【解決手段】 着色粒子により標識化された、試料中の
ヒトヘモグロビンと結合する抗体が含浸された第1反応
部位及び試料中のヒトヘモグロビンと結合する抗体が固
定化された第2反応部位を有するクロマトグラフ媒体か
らなる検査装置であって、ヒトヘモグロビンであるか他
の動物ヘモグロビンであるかを検査する検査装置。 【効果】 現場で迅速に検査結果が得られることで、従
来現場で行われていたルミノール法、ロイコマラカイト
法の限界を超えて、ヒトHbを検査することができる。
本発明の装置によれば、不必要な試料までも持ち帰る手
間が省け、作業者の負担は大幅に軽減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、事件や事故で凶器や道
路や衣服に付着した血痕中のヒトヘモグロビン(以下、
「ヒトHb」ということもある。)を検出するのに好適
な検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】法医学的物体検査のうち、最も重要なも
のが血液検査であり、犯罪捜査及び裁判上きわめて重要
な役割をもつ。問題となる血液は、凶器、着衣、現場の
器物等に付着して血痕として発見される例がほとんどで
ある。血痕を法医学的に判断する場合、血痕が古いうえ
に微量しか存在していないこともあって、検査が困難で
あることが多い。血痕検査を実施する際には、斑痕が血
痕であるかどうか、血痕が人血かどうかがまず、問題と
なる。従来より一般的に行われている事件の捜査や事故
の検証のための血痕の検査においては、事件や事故の現
場において、はっきりと血液と認識できる血痕がある場
合は、その血痕から証拠として、血液を採取する。これ
に対して、食品類、果汁、染料等は、肉眼的に血痕と区
別し難い斑痕を作るし、また、黒や紺等の濃い色の着衣
等に付着した血痕は見落としやすい。さらに、時間の経
過、雨天、侵害者による隠匿行為等によりほとんど消失
している場合や、広範囲に飛び散っている場合もある。
このような場合は、問題としている斑痕が血痕であるか
どうか、見落とした血痕はないかどうか、およその見当
をつけるために血痕予備試験を行う。この試験に陽性の
斑痕、若しくは陽性の位置から、微量の試料を採取す
る。この血痕予備試験は、証拠の確保のために有用なも
のである。
【0003】このような血痕予備試験として、ルミノー
ル法とロイコマラカイト法がある。ルミノール法とロイ
コマラカイト法は、ヘモグロビンがもつ酸化力によっ
て、ルミノールやロイコマラカイトを酸化した場合の色
の変化を利用した方法であり、感度がよく、一般的に用
いられている。ルミノール法は、散布できるので、広範
囲に散在する血痕を探す場合に好都合である。また、陽
性反応の場合に発光するので、肉眼的に血痕の検出や識
別が困難な場合にも対応できるとか夜の捜査を容易にす
るとかの利点がある。その反面、ルミノールは、ヘモグ
ロビンだけではなくて、多くの化学薬品、金属、鉱物
類、油類にも反応してしまうという欠点がある。一方、
ロイコマラカイト法は、ルミノール法よりもヘモグロビ
ンに特異的に反応するために、血痕予備試験に最もよく
使われるが、その特異性は完全ではなく、金属、植物汁
には陽性を示し、また、反応の結果を色の変化(無色か
ら緑色)によってみるので、日中の捜査にしか利用でき
ないうえに、試料に直接この試薬を滴下すると、試料が
汚染され、その後の検査の障害となるため、通常、肉眼
的に検出可能な斑痕から試料を採取した後、その試料の
一部を用いて検査することが行われている。
【0004】ところで、血痕予備試験に陽性の試料は、
乾燥していたり着衣や路面等に付着していたりすること
が多く、ふつうは生理食塩水等による抽出作業を必要と
する。現場での作業は現在のところ、ここまでが限界で
あり、血痕予備試験の結果をみて採取された試料は、研
究室等の実験設備の整った場所に持ち帰り、血痕実性試
験を行う。血痕実性試験に際しては、結晶学的証明又は
分光学的証明を行い、ヘモグロビンであることを確認し
た後、人血証明試験を行う。ヒトHbの検査方法として
は、重曹沈降反応、抗ヒトグロブリン阻止試験、顕微沈
降反応、向流免疫電気泳動、ラテックス凝集、DNA等
多種多様な方法がある。特に、免疫法の一つであるEL
ISA法によるとかあるいはDNA法によるとかした場
合には、微量の血液試料であっても測定することが可能
である。しかしながら、上記のような試験を行う場合、
操作が煩雑であるために、熟練した技術者を必要とし、
かつ、設備の整った検査室を必要とするところ、現場に
おける血痕予備試験に限界があり、人血であるかどうか
を確認するために多数の試料を持ち帰ることによって、
確認試験等の作業負担が甚大になり、また、検査結果が
出るまでに往々にして数日を要するという問題点があっ
た。そのため、被疑者を発見しても、その場で示すこと
のできる証拠がなくて証拠不十分となり、人権尊重の観
点から被疑者の身柄拘束や尋問が難しくなる。その結
果、検査結果が出るまでの間、被疑者に証拠隠滅の機会
を与えてしまうことにもなりかねない。そこで、事件や
事故の現場において人血であるかどうかを直ちに確認で
きれば、そのような作業負担をなくすることができ、か
つ、迅速な事件解決に役立つであろう。
【0005】現在、病院等の検査室若しくは家庭で使用
することを前提として、大腸癌の早期発見をめざし、便
中のヒトヘモグロビンを検査するための種々の方法が提
案されている。本願出願人も、先にイムノクロマトグラ
フ媒体を利用した便中のヒトヘモグロビンを特異的に検
出するための検査装置を提案した(特開平5−3128
06号公報参照)。これらのものはいずれも、ヒトヘモ
グロビンと特異的に結合する抗体を使用している。それ
は、検査前の厳しい食事制限から被検者を解放するため
に、食肉中のヘモグロビンに対して反応した場合の偽陽
性を防止することを目的としている。しかしながら、事
件や事故の現場において人血と区別することが要求され
る動物は、食用動物に限られるものではなくて、犬や猫
といった愛玩動物等をはじめとして、あらゆる種類の動
物が考えられる。つまり、検査装置に極めて厳しいヒト
ヘモグロビンに対する特異性が要求され、現在の便中の
ヒトヘモグロビンを検査するための装置では、到底その
要求は満たされない。
【0006】一方、ニホンザルヘモグロビンに対しても
交差反応しない、ヒトヘモグロビンに特異的な抗体を使
用して、ELISA法により高感度の測定が可能となる
ことが提案されている(特開平3−78655号公報参
照)。しかしながら、この方法によるときは、確かに特
異性の点では申し分ないといえるが、事件や事故の現場
において採取した試料が、検出に用いたルミノール試薬
のように当然予期できるものの混入物のほかに、凶器や
道路や衣服等採取する場所が多種多様にわたるため、そ
れに由来する混入物が夾雑物として存在することを覚悟
しなければならず、測定感度の著しい低下が避けられな
い。このような感度の低下は、十分な量の試料を採取で
きた場合には特に問題ないであろうが、微量の血痕から
抽出採取した試料では、ヘモグロビンが抽出液で希釈さ
れているため、ことさら問題となる。なぜなら、ELI
SA法においては、ヘモグロビンを含む試料は、夾雑物
とともに反応に供され、1つの反応槽でインキュベート
され、また、反応槽の容量は限られているため、反応に
供されるヘモグロビン量が必ずしも十分な量にならない
からである。このように、ELISA法の場合には、微
量の試料からの検出には多大の問題がある。または、煩
雑な測定操作と高価な測定試薬、測定設備を必要とする
ため、簡便性や迅速性に欠けるという致命的な欠点を伴
い、実用に供することは非常に困難であり、現場での使
用は不可能に近い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、事件
や事故の現場において、人血であるかどうかを確認する
ために、血痕中のヒトHbを特異的に検査できるよう、
操作、判定の簡便性及び検査精度の高さを兼ね備え、そ
のために作業者が短時間で容易に操作できるような検査
装置を提供することを解決課題とする。いいかえると、
本発明の解決課題は、作業者が短時間で容易に操作でき
る上記のような検査装置を使用して、事件や事故の現場
で予め持ち帰るべき試料のセレクトをすることで、精査
のために持ち帰るべき試料の数を減らし、かつ、操作が
煩雑であるために熟練した技術者と設備の整った実験室
を必要とする確認試験等の作業負担を大幅に軽減するこ
とである。また、事件現場若しくは被疑者を発見した場
所で人血であることを証明し、事件の早期解決に役立て
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この欠点
を克服するために種々検討を重ねた結果、本発明に到達
したものである。すなわち本発明者等は、ヒトHb検出
のために、試料中のヒトHbと結合する抗体をクロマト
グラフ媒体に組み込んだ、サンドイッチイムノアッセイ
と反応未反応成分の分離のためのクロマトグラフ法を組
み合わせた装置により、上記の課題を解決できることを
見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明
は、着色粒子により標識化された、試料中のヒトヘモグ
ロビンと結合する抗体が含浸された第1反応部位(1)
及び試料中のヒトヘモグロビンと結合する抗体が固定化
された第2反応部位(2)を有する多孔性マトリックス
よりなるクロマトグラフ媒体(3)からなり、かつヒト
ヘモグロビンとは反応し、他の動物ヘモグロビンとは交
差性を有しないように抗体を組み合わせてなる、試料中
のヒトヘモグロビンの有無を判定するための検査装置で
あって、ヒトヘモグロビンであるか他の動物ヘモグロビ
ンであるかを検査することを特徴とする検査装置を提供
するものである。
【0009】次に、本発明の装置について、より詳細に
説明する。本発明の装置は、着色粒子により標識化され
た、試料中のヒトヘモグロビンと結合する抗体が含浸さ
れた第1反応部位(1)及び試料中のヒトヘモグロビン
と結合する抗体が固定化された第2反応部位(2)を有
する多孔性マトリックスよりなるクロマトグラフ媒体
(3)からなり、かつヒトヘモグロビンとは反応し、他
の動物ヘモグロビンとは交差性を有しないように抗体を
組み合わせてなる、試料中のヒトヘモグロビンの有無を
判定するための検査装置であって、ヒトヘモグロビンで
あるか他の動物ヘモグロビンであるかを検査することを
特徴とする検査装置である。本発明の検査装置は、ヒト
Hbと結合する抗体を使用し、ヒトHbに対し極めて厳
しい特異性をもつ。したがって、本発明における検査装
置の特異性とは、ヒトHbに反応し、日常的に食用に供
する豚、牛、馬、羊、鶏、七面鳥、魚等のみならず、愛
玩動物を始めとしておよそ普段の生活環境に存在する動
物のHbに対しては交差して反応しないものをさしてい
る。例えば、犬、猫、鼠、ハツカネズミ、モルモット、
ハムスターのような哺乳類、蛇、トカゲ、亀のような爬
虫類、蛙のような両生類、金魚、鯉のような魚類、鳩、
燕、雀、鴎、鸚鵡のような鳥類のHbにも、交差して反
応してはならない。使用される抗体は、ヒトHbと結合
する抗体であって、モノクローナル抗体、ポリクローナ
ル抗体のいずれであっても使用できる。検査装置の特異
性を達成するためには、第1反応部位の抗体と第2反応
部位の抗体のうち少なくとも一方の抗体が、ヒトヘモグ
ロビンと結合するが他の動物ヘモグロビンとは結合しな
い抗体であればよい。また、本発明によって要求される
ヒトHbに対する厳しい特異性は、2つの抗体がヘモグ
ロビンに対して異なる交差性をもち、一方の抗体が反応
する動物Hbに対して、他方の抗体が反応しないという
ようにして、両方の抗体の共同により達成することもで
きる。要するに、本発明におけるヒトHbに対する特異
性は、2つの抗体を用いた装置全体として達成できれば
よいのである。
【0010】第1反応部位の標識された抗体は、着色粒
子により標識化される。この標識化に用いられる着色粒
子は、肉眼により検出し得る粒子であれば特に限定され
ないが、金属コロイドが好ましい。中でも金コロイド
は、肉眼による検出が容易であるという利点があり、特
に好ましい。着色粒子の粒子径は、特に限定されない
が、約5〜300nmのものが好ましい。特に好ましい
のは、10〜50nmである。
【0011】第1反応部位の抗体の標識化は、着色粒子
表面への抗体の吸着により行うことができる。例えば、
着色粒子として金コロイドを用いる場合、抗体と金コロ
イドを速やかに混合して1〜2分インキュベーション
し、そこへ非特異的な凝集を防ぐためにポリエチレング
リコール又は牛血清アルブミン等を加える。次いで、高
速で遠心分離して上清を吸引除去する。得られた沈殿を
ポリエチレングリコール又は牛血清アルブミン等を含有
する緩衝液に再懸濁して、遠心処理によって残っている
標識化されていない抗体を除くことにより、着色粒子に
より標識化された抗体が得られる(ジョージガン(Ge
oghegan)等、ジャーナル オブイムノロジカル
メソッズ(J. of Immunological
Methods)34、11−21、1980等参
照)。
【0012】着色粒子により標識化された第1反応部位
の抗体は、クロマトグラフ媒体の一部分に含浸、乾燥さ
れていてもよいし、又はクロマトグラフ媒体とは別の繊
維の多孔性マトリックスに含浸、乾燥され、該マトリッ
クスがクロマトグラフ媒体と接触させられていてもよ
い。マトリックスとしては、不織布又はフェルトが好ま
しいが、それに限定されるものではない。。
【0013】第2反応部位に固定化される抗体は、クロ
マトグラフ媒体の一定の部位に固定化される。固定化の
方法は、クロマトグラフ媒体の種類によって異なるが、
抗体溶液をそのまま、又は通常の方法により抗体をラテ
ックス等の微粒子に結合させたものを、スポッティング
又は直接噴射印刷することにより固定化することができ
る。
【0014】本発明の検査装置においてクロマトグラフ
媒体としては、血痕懸濁試料を展開でき、試料の吸着が
なく、均一で速い展開速度が得られるものであれば特に
限定されないが、例えば、濾紙、ガラスフィルター、ナ
イロンメンブレン、ニトロセルロースメンブレン、活性
化メンブレン等を用いることができる。
【0015】クロマトグラフ媒体上の抗体が固定化され
る第2反応部位は、標識された抗体が含浸される第1反
応部位から下流方向に0.5cm以上4cm以下が好ま
しく、0.5cm以上2cm以下がさらに好ましい。す
なわち、ヒトHbはα及びβ各2つのサブユニットから
なる4量体であるという特殊構造を有するため、1つの
ヘモグロビン当たり同一の抗原決定基を2つずつ有する
こととなり、第1反応部位の抗体としてモノクローナル
抗体を用いても、クロマトグラフ媒体中で、ヒトHbと
標識化抗体との結合物がだんだんと凝集塊を形成してつ
いには展開不能になってしまう。しかし、第1反応部位
と第2反応部位との距離が4cm以下であれば、ヒトH
bと標識化抗体との凝集塊の成長により展開が不能にな
る前に展開されて、固定化抗体に捕捉されることがわか
った。第1反応部位と第2反応部位との距離が2cm以
下であれば、より確実に固定化抗体に捕捉される。一
方、第1反応部位と第2反応部位との距離が0.5cm
よりも短いと、第1反応部位の抗体とヒトHbとの接触
が十分でないうちに第2反応部位に達してしまうため、
十分な感度が得られない。
【0016】本発明の検査装置においては、血痕懸濁試
料をクロマトグラフ媒体に適用する前に、試料を一時的
に吸収、濾過するためのサンプルパッド(4)を配置し
てもよい。このようなサンプルパッドとしては、不織布
又はフェルト等の多孔性マトリックスを、クロマト展開
に必要なサンプル量を保持できる程度の大きさにしたも
のが用いられる。該サンプルパッドは、第1反応部位に
試料を適用できるように位置する。このサンプルパッド
により血痕懸濁試料が濾過されるため、血痕中に含まれ
る繊維、砂、埃等の不溶物を事前に除く操作が不要にな
る。イムノクロマト法はELISA法と比較して簡便で
あるが、サンプルパッドを用いるとこのようにさらに簡
便になることがわかる。予期しない多くの夾雑物によ
り、反応の低下が避けられないELISA法と違って、
イムノクロマト法による本発明の検査装置を用いる場合
には、反応体、未反応体、夾雑物が常に空間的に十分な
距離をもって接触できるという、優れた結果を得られる
のであるが、サンプルパッドを用いることにより、その
利点はさらに増大することとなる。また、サンプルパッ
ドは、たくさんの試料を保持することができるため、E
LISA法により検査可能な試料の量に比較し、たくさ
んの試料量を適用することができる。
【0017】本発明の検査装置においては、展開し終え
た試料を保持するための吸収パッドを配置してもよい。
この吸収パッドは、吸収性の高い多孔性マトリックスか
らなる。該吸収パッドは、展開し終えた試料をすべて保
持するのに十分な大きさを有することが好ましく、クロ
マトグラフ媒体の下流末端からの試料が適用されるよう
に位置する。また、吸収パッドの存在は、サンプルパッ
ドの存在とともに、イムノクロマト媒体に大量の試料を
適用することを可能にする。
【0018】本発明の検査装置においては、ハウジング
を配置してもよい。ハウジングは、非浸水性の成形可能
な材質、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ
エチレン、カルプ又はポリプロピレン等、又は、非浸水
性の処理を施した浸水性材料も使用できる。検査装置を
覆い、試料適用及び第2反応部位観察を可能にする手段
を設けることが望ましい。このハウジングを設けること
により、血痕から採取した試料の漏出を防ぐことができ
る。また、屋外等の事件や事故の現場における人血検査
に際して、取扱いを容易にし、かつまた運搬にも好都合
である。
【0019】次に、本発明の検査装置を用いて血痕懸濁
試料中のヒトHbを検出する操作を説明する。標識抗体
が含浸された第1反応部位(1)に血痕懸濁試料を適用
して血痕懸濁試料と標識抗体とを接触、反応させ、形成
されたヒトHb・抗体・着色粒子を、クロマトグラフ媒
体(3)中を移動させ、第2反応部位(2)で固定化抗
体と反応させて捕捉し、試料中のヒトHbの有無を判定
する。血痕を懸濁させるための溶媒は、特に限定されな
いが、例えば、0.1%牛血清アルブミン含有リン酸緩
衝生理食塩水、生理食塩水等が用いられる。ルミノール
試薬を混入した溶媒が用いられることもある。
【0020】
【実施例】以下、本発明の検査装置を用いて血痕懸濁試
料中のヒトHbを検出する操作について、実施例により
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何等限
定されるものではない。なお実施例において、特にこと
わりのない限り、%は全て重量基準である。
【0021】(a) 抗体溶液の調製 兎抗ヒトHb抗体を、リン酸緩衝生理食塩水(以下、
「PBS」という。)に溶解し、濃度1mg/mlとし
て抗体溶液を調製した。
【0022】(b) 金コロイド粒子の調製 金コロイド粒子は、ジー フレンス(G.Frens)
の方法にしたがって次のようにして調製した(ネイチャ
ー フィジカル サイエンス(NATUREPHYSI
CAL SCIENCE)241、20−22、Ja
n.,1973参照)。濃度0.01%の塩化金水溶液
200mlを沸騰させ、これに濃度1%のクエン酸ナト
リウム水溶液2mlを加えた。溶液の色が薄い黄色から
紫色あるいは赤色に変わるまで加熱沸騰をさせることに
より、平均粒子径が0.04μmの金コロイド分散液を
調製した。
【0023】(c) 金コロイド粒子標識抗体の調製 金濃度が0.01%である前記の金コロイド分散液を、
1M炭酸カリウム溶液を用いて、pH7.0に調製し
た。これにヒトHbに対するモノクローナル抗体を、金
コロイド分散液1ml当たり15μgとなる割合で加え
た。1〜2分後、その10mlに濃度10%のBSAを
0.1ml加え、10,200Gで1時間遠心沈降処理
して上清を除去し、BSAを濃度0.01%含有するP
BSを用いて3回、10,200Gにて1時間遠心沈降
処理により洗浄し、金コロイド粒子標識された抗体を調
製した。これをBSAを濃度0.01%含有するPBS
10mlに再分散させ、0.1mlを6mm×8mmの
ベンリーゼ不織布(商品名、旭化成工業株式会社製)に
含浸させ凍結乾燥した。
【0024】(d) クロマトグラフ媒体の調製 市販ニトロセルロース(ミリポア製、STHF)より、
8mm×30mmの膜ストリップを裁断する。ストリッ
プの端から1.5cmの位置に液体噴射装置(CAMA
G性 LINOMAT IV)を用いて、展開方向と垂直
に、すなわちストリップの短辺と平行に、抗体溶液2μ
lを8mmの長さに噴射印刷した。
【0025】(e) 装置の組立 8mm×85mmの粘着シート上に、前記クロマトグラ
フストリップを、短辺の端を揃えて置き、さらにその上
に三方の端を揃えて8mm×40mmの濾紙(What
mann製、17chr)を重ね、固定した。前記クロ
マトグラフストリップのもう一方の端に、前記金コロイ
ド粒子標識抗体含浸不織布を2mm重なるように置い
た。さらに前記金コロイド粒子標識抗体含浸不織布に4
mm重なるように、サンプルパッドとして8mm×20
mmのベンリーゼ不織布を置いた。
【0026】(f) ヒトHbをはじめとする各種Hb
を含有する試料の調製 ヒトHb、豚Hb、馬Hb、羊Hb、山羊Hb、鼠H
b、犬Hb、猫Hb、ハツカネズミHb、七面鳥Hb、
鳩Hb、蛇Hb(シグマ製)、鶏Hb及び鮪Hb(自家
調製)を、濃度0.1%のBSAを含有するPBSによ
り希釈して、Hb濃度がそれぞれ0、10-2、10-1
1.0、10、102 及び103 μg/mlのHb含有
試料を調製した。
【0027】(g) アッセイ 前記の各Hb含有試料200μlを前記(e)において
得られた装置のサンプルパッドに滴下し、展開させた。
10分経過後、反応部位におけるラインの有無を観察し
た。反応部位に何も現れなかった場合を−、わずかにラ
インが認められる場合を±、ラインが認められる場合を
+と評価した。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1からわかるように、ヒトHbでは10
-1〜103 μg/mlの範囲内でいずれも陽性を示し、
現在現場で汎用されているロイコマラカイト法では、血
液の1万倍希釈が検出限界であり、それに比べて本発明
の装置は、現場で簡便かつ高感度でヒトHb以外のHb
では同じ範囲内ですべて陰性で、交差反応は全く認めら
れなかった。
【0030】(h) 各種濃度のヒト血液の調製 成人男子の耳朶から採取した血液を精製水で102 〜1
8 倍に希釈し、精製水希釈血液試料を調製する。次い
で、BSAを濃度0.1%含有するPBSにより最終的
に105 〜1011倍に希釈する。
【0031】(i) アッセイ 前記の試料200μlを前記(e)において得られた装
置のサンプルパッドに滴下し、展開させた。10分経過
後、反応部位におけるラインの有無を観察した。反応部
位に何も現れなかった場合を−、わずかにラインが認め
られる場合を±、ラインが認められる場合を+と評価し
た。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】表2からわかるように、ヒトHbでは50
0万倍の希釈サンプルまでいずれも陽性を示し、現在現
場で汎用されているロイコマラカイト法では、血液の1
万倍希釈が検出限界であり、それに比べて本発明の装置
は、現場で簡便かつ高感度でヒトHbを測定することが
できることがわかる。
【0034】(j) 陳旧血痕の調製 1970年から1993年の間にヒト血液を濾紙(TO
YO、5A)に付着させ、室温で乾燥、保存した血痕を
サンプルとする。次いで、血痕の付着した濾紙を広さ2
mm2 に切り取り、BSAを濃度0.1%含有するPB
Sに入れ、直ちにかき混ぜてヒト血液を溶出させ、試験
サンプルとする。
【0035】(k) アッセイ 前記の試料200μlを前記(e)において得られた装
置のサンプルパッドに滴下し、展開させた。10分経過
後、反応部位におけるラインの有無を観察した。反応部
位に何も現れなかった場合を−、わずかにラインが認め
られる場合を±、ラインが認められる場合を+と評価し
た。結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】表3からわかるように、約3.5年前のヒ
ト血痕より、ヒトの血液が証明でき、事件の捜査や事故
の検証のための血痕の検査において有用であることがわ
かる。また、事件の捜査や事故の検証のためには、長い
年月の経過した試料であるとか保存状態のよくない試料
であるとかで分析が困難になったものでも、それが人血
であるかどうかを検出できれば更なる追跡の足がかりと
なることから、非常に精度の高い本発明の検査装置が、
重要な意義をもってくる。
【0038】(l) 溶出時間の測定 表3のNo.5、6、7及び8の血痕サンプルを広さ2
mm2 に切り取り、BSAを濃度0.1%含有するPB
Sに入れ、直ちにかき混ぜてヒト血液を0.5〜72時
間で溶出させ、試験サンプルとする。
【0039】(m) アッセイ 前記の試料200μlを前記(e)において得られた装
置のサンプルパッドに滴下し、展開させた。10分経過
後、反応部位におけるラインの有無を観察した。反応部
位に何も現れなかった場合を−、わずかにラインが認め
られる場合を±、ラインが認められる場合を+と評価し
た。結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】表4からわかるように、溶出時間を24時
間間で延ばすことにより、約15.5年前のヒト血痕よ
り、ヒトHbを検査することができ、事件の捜査や事故
の検証のための血痕の検査において有用であることがわ
かる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の装置によ
れば、現場で迅速に検査結果が得られることで、従来現
場で行われていたルミノール法、ロイコマラカイト法の
限界を超えて、ヒトHbを検査することができる。つま
りこれまで、現場での血痕予備試験の後、持ち帰った試
料は、血痕実性試験でヘモグロビンであることを確認
し、さらに人血試験を行っていたのに、本発明の装置に
よれば、現場で血痕実性試験を行えるため、不必要な試
料までも持ち帰る手間が省け、作業者の負担は大幅に軽
減される。また、精度の高い本発明の装置は、微量の血
痕・陳旧血痕も検出可能であり、さらに、現場で人血で
あることを証明できるため、被疑者や加害者を発見した
とき、被疑者の身柄拘束を行い易くなり、事件の早期解
決やその手掛かりの取得にも資することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の平面図である。
【図2】サンプルパッドと吸水パッドとを備えた本発明
の装置の平面図である。
【図3】図2の装置の側面図である。
【図4】ハウジングを備えた本発明の装置の平面図であ
る。
【図5】図4の装置の側面の断面図である。
【符号の説明】
1 標識化抗体含浸部位 2 反応部位 3 クロマトグラフ媒体 4 サンプルパッド 5 ハウジング 6 吸水パッド 7 粘着シート

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色粒子により標識化された、試料中の
    ヒトヘモグロビンと結合する抗体が含浸された第1反応
    部位(1)及び試料中のヒトヘモグロビンと結合する抗
    体が固定化された第2反応部位(2)を有する多孔性マ
    トリックスよりなるクロマトグラフ媒体(3)からな
    り、かつヒトヘモグロビンとは反応し、他の動物ヘモグ
    ロビンとは交差性を有しないように抗体を組み合わせて
    なる、試料中のヒトヘモグロビンの有無を判定するため
    の検査装置であって、ヒトヘモグロビンであるか他の動
    物ヘモグロビンであるかを検査することを特徴とする検
    査装置。
  2. 【請求項2】 着色粒子により標識化された、試料中の
    ヒトヘモグロビンと結合する抗体が含浸された第1反応
    部位(1)と試料中のヒトヘモグロビンと結合する抗体
    が固定化された第2反応部位(2)との距離が0.5c
    m以上4cm以下である請求項1に記載の検査装置。
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