JP6811275B2 - 磁気記録媒体、磁気記録再生装置および磁気記録媒体用組成物 - Google Patents

磁気記録媒体、磁気記録再生装置および磁気記録媒体用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記録媒体、磁気記録再生装置および磁気記録媒体用組成物に関する。
塗布型磁気記録媒体(以下、単に「磁気記録媒体」とも記載する。)は、強磁性粉末および結合剤を含む組成物を、非磁性支持体上に直接または非磁性層等の他の層を介して塗布して磁性層を形成することにより製造される。
従来、塗布型磁気記録媒体の性能向上に関しては、結合剤が重要な役割を果たしてきた。そのため結合剤について様々な検討が行われてきた(例えば一例として、特許文献1参照)。
特開2004−67941号公報
強磁性粉末の分散性を高めることにより、磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させることができる。強磁性粉末の分散性向上に関しては、特許文献1に記載されているように、極性基を結合剤に導入することが行われている。結合剤への極性基導入は、結合剤を強磁性粉末の表面に効率的に吸着させることにより分散性を高めるために行われている。しかるに特許文献1の段落0026にも記載されているように、結合剤への極性基の過剰量の導入は、かえって強磁性粉末の分散性を低下させる傾向がある。したがって、結合剤への極性基導入では、強磁性粉末の分散性向上を十分に達成することは困難である。
また、磁気記録媒体の耐久性向上に関しては、従来、磁性層の結合剤として力学物性の高い樹脂を用いることが検討されてきた。この点に関し、特許文献1には、磁性層の結合剤として用いられるポリウレタン樹脂の力学物性向上のためにウレタン基濃度を高めるべく、芳香族ポリイソシアネート等の共重合成分を用いることが提案されている。しかるに、特許文献1の段落0025に記載されているように、結合剤として用いられる樹脂のウレタン基濃度を高めるほど、樹脂の力学物性を高めることはできるものの溶解性は低下する。その結果、強磁性粉末の分散性が低下する傾向がある。そのため、特許文献1の段落0025には、ウレタン基濃度は、強磁性粉末の分散性を良好に維持できる範囲内にすべきであることが記載されている。
以上の通り、従来行われてきたように結合剤によって対応することでは、磁気記録媒体の電磁変換特性の向上と耐久性の向上をともに十分に達成することは困難である。
本発明の目的は、電磁変換特性の向上と耐久性の向上が共に達成された磁気記録媒体を提供することにある。
本発明の一態様は、非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、上記磁性層はポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有する化合物を更に含む磁気記録媒体に関する。
また、本発明の一態様は、強磁性粉末、ならびに、ポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有する化合物を含む磁気記録媒体用組成物に関する。
一態様では、上記化合物は、上記ビニルポリマー鎖としてポリ(メタ)アクリラート鎖を含むことができる。
一態様では、上記化合物は、上記ビニルポリマー鎖としてポリスチレン鎖を含むことができる。
一態様では、上記化合物のガラス転移温度Tgは、50〜200℃の範囲であることができる。
一態様では、上記化合物のアミン価は、0.20mmol/g以上であることができる。
一態様では、上記化合物の重量平均分子量は、30,000以下であることができる。
一態様では、上記磁性層または上記磁気記録媒体用組成物は、上記化合物を上記強磁性粉末100.0質量部あたり0.5〜50.0質量部含むことができる。
一態様では、上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、5〜50nmの範囲であることができる。
一態様では、上記強磁性粉末は、六方晶バリウムフェライト粉末であることができる。
一態様では、上記強磁性粉末は、六方晶ストロンチウムフェライト粉末であることができる。
一態様では、上記強磁性粉末は、ε−酸化鉄粉末であることができる。
一態様では、上記磁気記録媒体用組成物は、結合剤を更に含むことができる。
本発明の一態様は、上記磁気記録媒体と、磁気ヘッドと、を含む磁気記録再生装置に関する。
一態様によれば、塗布型磁気記録媒体において、電磁変換特性の向上と耐久性の向上を、共に達成することが可能となる。
[磁気記録媒体]
本発明の一態様は、非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、上記磁性層はポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有する化合物を更に含む磁気記録媒体に関する。
上記磁気記録媒体は、磁性層にポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有する化合物を含む。本発明者らは、上記化合物がポリアルキレンイミン鎖を有することが、強磁性粉末の分散性向上に寄与し、その結果、磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させることができると推察している。更に本発明者らは、上記化合物がビニルポリマー鎖を有することが磁性層の強度を高めることに寄与し、その結果、上記磁気記録媒体の耐久性を向上させることができると推察している。ただし推察に過ぎず、かかる推察に本発明は限定されるものではない。
ポリアルキレンイミン鎖とは、同一または異なるアルキレンイミン鎖を2つ以上含むポリマー鎖を意味する。アルキレンイミン鎖の具体例としては、下記式1で表されるアルキレンイミン鎖および下記式2で表されるアルキレンイミン鎖を挙げることができる。
式1中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、n1は2以上の整数を表す。式2中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、n2は2以上の整数を表す。
ビニルポリマー鎖とは、下記式3で表されるポリマー鎖である。
式3において、Rは水素原子または置換基を表し、Rは置換基を表し、n3は2以上の整数を表す。
本発明および本明細書において、化合物の部分構造(例えばアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖)に関する「*」は、その部分構造と隣接する原子との結合位置を表す。なお式2中の窒素カチオン(N)に関する2つの結合位置の一方における結合は、通常、アニオンと窒素カチオンとのイオン結合(塩架橋基の形成)である。その他の「*」で表される結合位置の結合は、通常、共有結合である。
本発明および本明細書において、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。また、置換基を有する基について「炭素数」とは、特記しない限り、置換基の炭素数を含む炭素数を意味するものとする。本発明および本明細書において、置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えば炭素数1〜6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基、スルホン酸基の塩等を挙げることができる。式3に含まれ得る置換基については後述する。
以下、上記磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
<ポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有する化合物>
(ポリアルキレンイミン鎖)
上記の式1で表されるアルキレンイミン鎖中のRおよびR、ならびに式2で表されるアルキレンイミン鎖中のRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基またはエチル基であり、更に好ましくはメチル基である。上記アルキル基は、好ましくは無置換アルキル基である。式1中のRおよびRの組み合わせとしては、一方が水素原子であって他方がアルキル基である態様、両方が水素原子である態様および両方がアルキル基(同一または異なるアルキル基)である態様があり、好ましくは両方が水素原子である態様である。この点は、式2中のRおよびRについても同様である。
アルキレンイミンとして環を構成する炭素数が最小の構造はエチレンイミンであり、エチレンイミンの開環により得られたアルキレンイミン鎖(エチレンイミン鎖)の主鎖の炭素数は2である。したがって、式1中のn1および式2中のn2の下限は2である。即ち、式1中のn1および式2中のn2は、それぞれ独立に、2以上の整数を表す。電磁変換特性の更なる向上の観点からは、式1中のn1および式2中のn2は、それぞれ独立に、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、4以下であることが更に好ましく、2または3であることが一層好ましく、2であることがより一層好ましい。
(ビニルポリマー鎖)
ビニルポリマー鎖に関して、上記の式3中、Rは水素原子または置換基を表し、例えば水素原子またはメチル基を表す。Rは置換基を表す。Rで表される置換基としては、アルキルオキシカルボニル基、ヒドロキシアルキルオキシカルボニル基、アリール基等を挙げることができ、具体例としては後述の例示化合物が有する置換基を挙げることができる。アルキルオキシカルボニル基が有するアルキル基およびヒドロキシアルキルオキシカルボニル基が有するヒドロキシ基により置換されたアルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基または環状アルキル基であることができる。直鎖アルキル基および分岐アルキル基の炭素数は、例えば1〜20の範囲であることができる。環状アルキル基の炭素数は、例えば3〜20の範囲であることができる。環状アルキル基には、単環式アルキル基と多環式アルキル基(例えばビシクロアルキル基)が包含されるものとする。アリール基としては、炭素数が6〜20のアリール基を挙げることができ、具体例としてはフェニル基を挙げることができる。
上記化合物が有するビニルポリマー鎖の構造は、化合物の合成に用いたビニルモノマーの構造に由来する。ビニルモノマーとは、ビニル基および/またはビニリデン基を有する化合物である。ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。上記の「類」とは、その誘導体を含む意味で用いられる。例えば、スチレン類とは、スチレンとスチレン誘導体を包含する意味で用いられる。また、本発明および本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルを包含する意味で用いられる。例えば、ビニルモノマーとして(メタ)アクリル酸エステルを用いることにより、ビニルポリマー鎖としてポリ(メタ)アクリラート鎖を有する化合物を得ることができる。また、例えばビニルモノマーとしてスチレンを用いることにより、ビニルポリマー鎖としてポリスチレン鎖を有する化合物を得ることができる。
上記ビニルモノマーの中でも、磁気記録媒体の耐久性の更なる向上の観点から好ましいビニルポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル類およびスチレン類であり、より好ましいビニルポリマーは(メタ)アクリル酸エステル類である。(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としては、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、ラウリル(メタ)アクリラート、アミル(メタ)アクリラート、n−ヘキシル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、t−オクチル(メタ)アクリラート、ドデシル(メタ)アクリラート、オクタデシル(メタ)アクリラート、アセトキシエチル(メタ)アクリラート、フェニル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリラート、2−メトキシエチル(メタ)アクリラート、2−エトキシエチル(メタ)アクリラート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリラート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、2−クロロエチル(メタ)アクリラート、グリシジル(メタ)アクリラート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリラート、ビニル(メタ)アクリラート、2−フェニルビニル(メタ)アクリラート、1−プロペニル(メタ)アクリラート、アリル(メタ)アクリラート、2−アリロキシエチル(メタ)アクリラート、プロパルギル(メタ)アクリラート、ベンジル(メタ)アクリラート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリラート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリラート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリラート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリラート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリラート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリラート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリラート、β−フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリラート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリラート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリラート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリラート、トリフロロエチル(メタ)アクリラート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリラート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリラート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリラート、トリブロモフェニル(メタ)アクリラート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリラート、γ−ブチロラクトン(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、フルフリル(メタ)アクリラート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート等が挙げられる。
ビニルポリマー鎖に関して、上記式3中のn3は、2以上の整数であり、磁気記録媒体の耐久性の更なる向上の観点からは、5以上の整数であることが好ましく、7以上の整数であることがより好ましい。また、n3は、例えば100以下の整数であることができ、電磁変換特性の更なる向上の観点からは、80以下の整数であることが好ましく、70以下の整数であることがより好ましい。上記式3においてn3は2以上の整数であるため、式3中には複数のRが含まれる。複数存在するRは同一である場合もあり異なる場合もある。この点はRについても同様である。
以下に、ビニルポリマー鎖の具体例を示す。ただし本発明は、下記具体例に限定されるものではない。上記化合物は、1種のビニルポリマー鎖のみ含むものであることができ、異なる構造の2種以上のビニルポリマー鎖を含むものであることもできる。以下のn3については、先に式3中のn3について記載した通りである。
(上記化合物の各種物性)
ガラス転移温度Tg
上記化合物の物性に関して、磁気記録媒体の耐久性の更なる向上の観点からは、ガラス転移温度Tgは50℃以上であることが好ましく、55℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることが更に好ましく、65℃以上であることが一層好ましく、70℃以上であることがより一層好ましく、80℃以上であることが更に一層好ましく、85℃以上であることが更により一層好ましく、90℃以上であることがなお一層好ましい。上記化合物のガラス転移温度Tgは、例えば化合物の構造においてビニルポリマー鎖が占める割合によって制御することができ、ビニルポリマー鎖が占める割合が高いほど化合物のガラス転移温度Tgは高くなる傾向がある。また、上記化合物のガラス転移温度Tgは、例えばビニルポリマー鎖の構造によって制御することもできる。ビニルポリマー鎖の主鎖の運動性を低下させる側鎖を導入することにより、ガラス転移温度Tgは高くなる傾向がある。上記化合物のガラス転移温度Tgは、例えば200℃以下であることができ、190℃以下、180℃以下、170℃以下または160℃以下であることもできる。
本発明および本明細書において、上記化合物のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量測定により求められる値である。測定条件については、JIS K7121−1987を参照できる。具体的な測定方法については、後述の実施例の記載を参照できる。測定用サンプルは、0.01mg単位まで秤量可能な秤量計(例えば化学天びん)を使用して5.00〜10.00mg秤量して測定用容器に充填し、測定に用いることが好ましい。測定用サンプルが粉末サンプルの場合、粉末を構成する粒子の粒子サイズは0.5mm以下であることが好ましい。
アミン価
上記化合物は、電磁変換特性の更なる向上の観点からは、アミン価が0.20mmol/g以上であることが好ましく、0.25mmol/g以上であることがより好ましく、0.30mmol/g以上であることが更に好ましく、0.35mmol/g以上であることが一層好ましく、0.40mmol/g以上であることがより一層好ましく、0.45mmol/g以上であることが更に一層好ましく、0.50mmol/g以上であることが更により一層好ましい。上記化合物のアミン価は、例えば化合物の構造においてポリアルキレンイミン鎖が占める割合によって制御することができる。ポリアルキレンイミン鎖が占める割合が高いほど化合物のアミン価は高くなる傾向がある。したがって、上記化合物のアミン価が高いほど、化合物の構造においてビニルポリマー鎖が占める割合は相対的に低下する傾向がある。上記の通りビニルポリマー鎖が占める割合が高いほどガラス転移温度Tgは高くなり、磁気記録媒体の耐久性の更なる向上の観点から好ましい。この点を考慮すると、上記化合物のアミン価は1.50mmol/g以下であることが好ましく、1.30mmol/g以下であることがより好ましく、1.20mmol/g以下であることが更に好ましい。
本発明および本明細書において、上記化合物のアミン価は、電位差法(溶媒:テトラヒドロフラン/水=100/10(体積比)、滴定液:0.01N (0.01mol/l)塩酸(アミン価))により測定される値であり、試料1g量を中和するために要する塩酸と当量の塩基のmmol数をいう。後述の実施例では、塩基として水酸化カリウム(KOH)を使用してアミン価を求めた。
重量平均分子量
上記化合物の重量平均分子量は、電磁変換特性の更なる向上の観点からは、一般的な塗布型磁気記録媒体の結合剤の重量平均分子量より小さいことが好ましい。この点から、上記化合物の重量平均分子量は、30,000以下であることが好ましく、25,000以下であることがより好ましく、20,000以下であることが更に好ましく、18,000以下であることがより好ましい。一方、磁気記録媒体の耐久性の更なる向上の観点からは、上記化合物の重量平均分子量は、1,000以上であることが好ましく、1,200以上であることがより好ましく、1,500以上であることが更に好ましい。
本発明および本明細書において、平均分子量(重量平均分子量および後述の数平均分子量)とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)により測定され、標準ポリスチレン換算により求められる値をいうものとする。後述の実施例に示す平均分子量は、GPCを用いて下記測定条件により測定された値を標準ポリスチレン換算して求めた値(ポリスチレン換算値)である。
GPC装置:HLC−8220(東ソー社製)
ガードカラム:TSKguardcolumn Super HZM−H
カラム:TSKgel Super HZ 2000、TSKgel Super HZ 4000、TSKgel Super HZ−M(東ソー社製、4.6mm(内径)×15.0cm、3種カラムを直列連結)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、安定剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)含有
溶離液流速:0.35mL/分
カラム温度:40℃
インレット温度:40℃
屈折率(Refractive Index:RI)測定温度:40℃
サンプル濃度:0.3質量%
サンプル注入量:10μL
(上記化合物の合成方法)
上記化合物は、ポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有するものであればよく、その合成方法は特に限定されるものではない。例えば、ポリアルキレンイミンと、一方の末端にアミノ基と反応可能な官能基を有するビニルポリマー(以下、「中間体」とも記載する。)とを反応させることにより、ポリアルキレンイミンが有するアミノ基と上記官能基により結合を形成させてポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有する化合物を得ることができる。上記結合は、先に記載したように、共有結合またはイオン結合(塩架橋基の形成)であることができる。上記中間体が有するアミノ基と反応可能な官能基としては、アミノ基と酸との縮合反応が可能な官能基、アミノ基と酸との塩形成反応が可能な官能基、およびアミノ基が付加反応可能な官能基を挙げることができ、具体例としては、カルボキシ基、アクリラート基、メタクリラート基、イソシアネート基等を挙げることができる。上記中間体は、一種以上のビニルモノマーとアミノ基と反応可能な官能基を有する化合物とを公知の反応溶媒中で反応させることにより、合成することができる。アミノ基と反応可能な官能基を有する化合物としては、1分子中にアミノ基と反応可能な官能基とチオール基とを1つずつ有するチオール化合物を挙げることができる。上記チオール化合物は、連鎖移動剤として機能することができる。上記チオール化合物としては、例えば、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオ乳酸、2−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸等を挙げることができる。また、上記中間体の合成反応は、公知の重合開始剤を用いて行うことができる。反応条件については、ビニルポリマーの重合反応に関する公知技術およびチオール化合物の反応に関する公知技術を適用することができる。上記化合物のガラス転移温度Tgは、主に上記中間体のガラス転移温度Tgによって調整することができる。上記中間体のガラス転移温度Tgの好ましい範囲については、上記化合物について先に記載した範囲と同様である。また、上記中間体の重量平均分子量は、例えば1,000〜30,000の範囲であることができ、1,500〜25,000の範囲であることが好ましい。
ポリアルキレンイミンは、アルキレンイミンの開環重合により得られるポリマーである。ポリアルキレンイミンは、公知の重合反応により合成することができ、市販品として入手することもできる。本発明および本明細書において、「ポリマー」は、ホモポリマーとコポリマーとを包含する意味で用いられる。ポリアルキレンイミンとしては、数平均分子量が200〜10,000のポリアルキレンイミンが好適である。
ポリアルキレンイミンと上記中間体とを反応させることにより、ポリアルキレンイミンが有するアミノ基と上記中間体が有する上記官能基により結合を形成させてポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有する化合物を得ることができる。上記化合物は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等であることができる。上記反応におけるポリアルキレンイミンと上記中間体との混合比については、アミン価および/またはガラス転移温度Tgを先に記載した好ましい範囲内に調整する観点からは、ポリアルキレンイミンが有するアミノ基1モルに対して上記中間体が有する上記官能基のモル数が、0.20〜1.20モルであることが好ましく、0.40〜1.10モルであることがより好ましい。上記反応の反応条件については、公知技術を適用することができる。
また、一態様では、ポリアルキレンイミンと上記中間体とを反応させることにより得られた化合物を、酸無水物と反応させることによって酸変性させることもできる。酸変性することは、電磁変換特性の更なる向上の観点から好ましい。酸無水物は、ポリアルキレンイミンと上記中間体とを反応させることにより得られた化合物のポリアルキレンイミン鎖の未反応アミノ基と反応することによって、上記化合物を酸変性させることができる。酸変性の反応条件については、公知技術を適用することができる。
酸変性に使用可能な酸無水物としては、例えば下記の酸無水物を挙げることができる。
酸変性によって、ポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖に加えて、下記式4により表される部分構造および下記式5により表される部分構造からなる群から選ばれる一種以上の部分構造を含む化合物を得ることができる。
式4中のLおよび式5中のLは、それぞれ独立に二価の連結基を表し、式4中のZおよび式5中のZは、それぞれ独立に−OMにより表される一価の基または−Oにより表される一価の基を表し、Mは水素原子またはアルカリ金属原子を表し、Aはアンモニウムカチオンを表す。
式4中のL1および式5中のLは、それぞれ独立に二価の連結基を表す。二価の連結基としては、例えば、直鎖、分岐または環構造を含んでもよいアルキレン基、直鎖、分岐または環構造を含んでもよいアルケニレン基、芳香族基、−C(=O)−、および−O−からなる群から選ばれる1つ、またはこれらの群から選ばれる2つ以上の組み合わせから構成される二価の連結基を挙げることができる。芳香族基は、ヘテロ原子を含んでもよく含まなくてもよく、含まないこと(即ちアリーレン基であること)が好ましい。好ましい二価の連結基としては、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、および炭素数6〜12の芳香族基を挙げることができる。より好ましい二価の連結基としては、炭素数1〜10のアルキレン基および炭素数6〜12の芳香族基を挙げることができる。更に好ましい二価の連結基としては、炭素数1〜5の直鎖アルキレン基、炭素数6〜10のシクロアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基を挙げることができる。
式4中のZおよび式5中のZは、それぞれ独立に−OMで表される一価の基または−Oで表される一価の基を表す。
−OMにおいて、Mは水素原子またはアルカリ金属原子を表す。アルカリ金属原子は、例えば、ナトリウム原子またはカリウム原子である。−OMで表される一価の基は、−OH(即ちヒドロキシ基)、−ONaまたは−OKであることが好ましく、−OHまたは−ONaであることがより好ましい。
−Oにおいて、Aはアンモニウムカチオンを表す。−Oにおいて、酸素アニオンとAにより表されるアンモニウムカチオンは、イオン結合によって結合して塩を形成している。アンモニウムカチオンは、N(R11により表すことができる。N(R11において、4個存在するR11は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。アンモニウムカチオンが有機アンモニウムカチオンの場合、4個存在するR11の少なくとも1個は炭化水素基を表す。炭化水素基は好ましくはアルキル基である。アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれのアルキル基でもよく、直鎖アルキル基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、例えば1〜10であり、好ましくは1〜6である。4つ存在するR11は、同一であっても一部または全部が異なっていてもよい。N(R11において、4個存在するR11のすべてが水素原子であってもよく、すべてが炭化水素基であってもよい。N(R11において、1〜3個のR11が炭化水素基であり、炭化水素基以外のR11が水素原子であることが好ましい。
上記化合物が酸変性されたものである場合、上記化合物は、式4により表される部分構造および式5により表される部分構造からなる群から選ばれる部分構造を一種のみ含んでもよく、構造の異なる二種以上を含んでもよい。上記化合物が酸変性されたものである場合、式4により表される部分構造および式5により表される部分構造からなる群から選ばれる部分構造は、電磁変換特性の更なる向上の観点からは、1分子あたり1個以上含まれることが好ましく、1〜5個含まれることがより好ましく、2〜5個含まれることが更に好ましい。
(上記化合物の含有量)
上記化合物は、磁性層に、強磁性粉末100.0質量部あたり0.5質量部以上含まれることが、電磁変換特性の向上および耐久性の向上の観点から好ましく、1.0質量部以上含まれることがより好ましく、3.0質量部以上含まれることが更に好ましく、5.0質量部以上含まれることが一層好ましく、10.0質量部以上含まれることがより一層好ましく、15.0質量部以上含まれることが更により一層好ましく、20.0質量部以上含まれることがなお一層好ましい。一方、記録密度の向上のためには、磁性層における強磁性粉末の充填率を高くすることが好ましい。この点からは、相対的に強磁性粉末以外の成分の含有量は低くすることが好ましい。この点からは、上記化合物の磁性層における含有量は、強磁性粉末100.0質量部あたり50.0質量部以下とすることが好ましく、40.0質量部以下とすることがより好ましく、35.0質量部以下とすることが更に好ましい。本発明の一態様にかかる磁気記録媒体用組成物における強磁性粉末100.0質量部に対する上記化合物の含有量についても、上記と同様である。なお後述する非磁性層および/またはバックコート層に、例えば各層の強度向上のために、上記化合物が含まれていてもよい。その場合の上記化合物の各層における含有量については、上記の強磁性粉末100.0質量部あたりの含有量を、非磁性粉末100.0質量部あたりの含有量と読み替えて適用することができる。
<強磁性粉末>
上記磁気記録媒体は、以上説明した化合物とともに強磁性粉末および結合剤を磁性層に含む。磁性層に含まれる強磁性粉末としては、各種磁気記録媒体の磁性層において用いられる強磁性粉末として公知の強磁性粉末を一種または二種以上組み合わせて使用することができる。強磁性粉末として平均粒子サイズの小さいものを使用することは記録密度向上の観点から好ましい。この点から、強磁性粉末の平均粒子サイズは50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることが更に好ましく、35nm以下であることが一層好ましく、30nm以下であることがより一層好ましく、25nm以下であることが更に一層好ましく、20nm以下であることがなお一層好ましい。一方、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは5nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましく、15nm以上であることが一層好ましく、20nm以上であることがより一層好ましい。
六方晶フェライト粉末
強磁性粉末の好ましい具体例としては、六方晶フェライト粉末を挙げることができる。六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば、特開2011−225417号公報の段落0012〜0030、特開2011−216149号公報の段落0134〜0136、特開2012−204726号公報の段落0013〜0030および特開2015−127985号公報の段落0029〜0084を参照できる。
本発明および本明細書において、「六方晶フェライト粉末」とは、X線回折分析によって、主相として六方晶フェライト型の結晶構造が検出される強磁性粉末をいうものとする。主相とは、X線回折分析によって得られるX線回折スペクトルにおいて最も高強度の回折ピークが帰属する構造をいう。例えば、X線回折分析によって得られるX線回折スペクトルにおいて最も高強度の回折ピークが六方晶フェライト型の結晶構造に帰属される場合、六方晶フェライト型の結晶構造が主相として検出されたと判断するものとする。X線回折分析によって単一の構造のみが検出された場合には、この検出された構造を主相とする。六方晶フェライト型の結晶構造は、構成原子として、少なくとも鉄原子、二価金属原子および酸素原子を含む。二価金属原子とは、イオンとして二価のカチオンになり得る金属原子であり、ストロンチウム原子、バリウム原子、カルシウム原子等のアルカリ土類金属原子、鉛原子等を挙げることができる。本発明および本明細書において、六方晶ストロンチウムフェライト粉末とは、この粉末に含まれる主な二価金属原子がストロンチウム原子であるものをいい、六方晶バリウムフェライト粉末とは、この粉末に含まれる主な二価金属原子がバリウム原子であるものをいう。主な二価金属原子とは、この粉末に含まれる二価金属原子の中で、原子%基準で最も多くを占める二価金属原子をいうものとする。ただし、上記の二価金属原子には、希土類原子は包含されないものとする。本発明および本明細書における「希土類原子」は、スカンジウム原子(Sc)、イットリウム原子(Y)、およびランタノイド原子からなる群から選択される。ランタノイド原子は、ランタン原子(La)、セリウム原子(Ce)、プラセオジム原子(Pr)、ネオジム原子(Nd)、プロメチウム原子(Pm)、サマリウム原子(Sm)、ユウロピウム原子(Eu)、ガドリニウム原子(Gd)、テルビウム原子(Tb)、ジスプロシウム原子(Dy)、ホルミウム原子(Ho)、エルビウム原子(Er)、ツリウム原子(Tm)、イッテルビウム原子(Yb)、およびルテチウム原子(Lu)からなる群から選択される。
以下に、六方晶フェライト粉末の一態様である六方晶ストロンチウムフェライト粉末について、更に詳細に説明する。
六方晶ストロンチウムフェライト粉末の活性化体積は、好ましくは800〜1600nmの範囲である。上記範囲の活性化体積を示す微粒子化された六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、優れた電磁変換特性を発揮する磁気記録媒体の作製のために好適である。六方晶ストロンチウムフェライト粉末の活性化体積は、好ましくは800nm以上であり、例えば850nm以上であることもできる。また、電磁変換特性の更なる向上の観点から、六方晶ストロンチウムフェライト粉末の活性化体積は、1500nm以下であることがより好ましく、1400nm以下であることが更に好ましく、1300nm以下であることが一層好ましく、1200nm以下であることがより一層好ましく、1100nm以下であることが更により一層好ましい。六方晶バリウムフェライト粉末の活性化体積についても、同様である。
「活性化体積」とは、磁化反転の単位であって、粒子の磁気的な大きさを示す指標である。本発明および本明細書に記載の活性化体積および後述の異方性定数Kuは、振動試料型磁力計を用いて保磁力Hc測定部の磁場スイープ速度3分と30分とで測定し(測定温度:23℃±1℃)、以下のHcと活性化体積Vとの関係式から求められる値である。なお異方性定数Kuの単位に関して、1erg/cc=1.0×10−1J/mである。
Hc=2Ku/Ms{1−[(kT/KuV)ln(At/0.693)]1/2
[上記式中、Ku:異方性定数(単位:J/m)、Ms:飽和磁化(単位:kA/m)、k:ボルツマン定数、T:絶対温度(単位:K)、V:活性化体積(単位:cm)、A:スピン歳差周波数(単位:s−1)、t:磁界反転時間(単位:s)]
熱揺らぎの低減、換言すれば熱的安定性の向上の指標としては、異方性定数Kuを挙げることができる。六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、好ましくは1.8×10J/m以上のKuを有することができ、より好ましくは2.0×10J/m以上のKuを有することができる。また、六方晶ストロンチウムフェライト粉末のKuは、例えば2.5×10J/m以下であることができる。ただしKuが高いほど熱的安定性が高いことを意味し好ましいため、上記例示した値に限定されるものではない。
六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、希土類原子を含んでいてもよく、含まなくてもよい。六方晶ストロンチウムフェライト粉末が希土類原子を含む場合、鉄原子100原子%に対して、0.5〜5.0原子%の含有率(バルク含有率)で希土類原子を含むことが好ましい。希土類原子を含む六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、一態様では、希土類原子表層部偏在性を有することができる。本発明および本明細書における「希土類原子表層部偏在性」とは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を酸により部分溶解して得られた溶解液中の鉄原子100原子%に対する希土類原子含有率(以下、「希土類原子表層部含有率」または希土類原子に関して単に「表層部含有率」と記載する。)が、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を酸により全溶解して得られた溶解液中の鉄原子100原子%に対する希土類原子含有率(以下、「希土類原子バルク含有率」または希土類原子に関して単に「バルク含有率」と記載する。)と、
希土類原子表層部含有率/希土類原子バルク含有率>1.0
の比率を満たすことを意味する。後述の六方晶ストロンチウムフェライト粉末の希土類原子含有率とは、希土類原子バルク含有率と同義である。これに対し、酸を用いる部分溶解は六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部を溶解するため、部分溶解により得られる溶解液中の希土類原子含有率とは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部における希土類原子含有率である。希土類原子表層部含有率が、「希土類原子表層部含有率/希土類原子バルク含有率>1.0」の比率を満たすことは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子において、希土類原子が表層部に偏在(即ち内部より多く存在)していることを意味する。本発明および本明細書における表層部とは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表面から内部に向かう一部領域を意味する。
六方晶ストロンチウムフェライト粉末が希土類原子を含む場合、希土類原子含有率(バルク含有率)は、鉄原子100原子%に対して0.5〜5.0原子%の範囲であることが好ましい。上記範囲のバルク含有率で希土類原子を含み、かつ六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部に希土類原子が偏在していることは、繰り返し再生における再生出力の低下を抑制することに寄与すると考えられる。これは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末が上記範囲のバルク含有率で希土類原子を含み、かつ六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部に希土類原子が偏在していることにより、異方性定数Kuを高めることができるためと推察される。異方性定数Kuは、この値が高いほど、いわゆる熱揺らぎと呼ばれる現象の発生を抑制すること(換言すれば熱的安定性を向上させること)ができる。熱揺らぎの発生が抑制されることにより、繰り返し再生における再生出力の低下を抑制することができる。六方晶ストロンチウムフェライト粉末の粒子表層部に希土類原子が偏在することが、表層部の結晶格子内の鉄(Fe)のサイトのスピンを安定化することに寄与し、これにより異方性定数Kuが高まるのではないかと推察される。
また、希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末を磁性層の強磁性粉末として用いることは、磁気ヘッドとの摺動によって磁性層表面が削れることを抑制することにも寄与すると推察される。即ち、磁気記録媒体の走行耐久性の向上にも、希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末が寄与し得ると推察される。これは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表面に希土類原子が偏在することが、粒子表面と磁性層に含まれる有機物質(例えば、結合剤および/または添加剤)との相互作用の向上に寄与し、その結果、磁性層の強度が向上するためではないかと推察される。
繰り返し再生における再生出力の低下をより一層抑制する観点および/または走行耐久性の更なる向上の観点からは、希土類原子含有率(バルク含有率)は、0.5〜4.5原子%の範囲であることがより好ましく、1.0〜4.5原子%の範囲であることが更に好ましく、1.5〜4.5原子%の範囲であることが一層好ましい。
上記バルク含有率は、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を全溶解して求められる含有率である。なお本発明および本明細書において、特記しない限り、原子について含有率とは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を全溶解して求められるバルク含有率をいうものとする。希土類原子を含む六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、希土類原子として一種の希土類原子のみ含んでもよく、二種以上の希土類原子を含んでもよい。二種以上の希土類原子を含む場合の上記バルク含有率とは、二種以上の希土類原子の合計について求められる。この点は、本発明および本明細書における他の成分についても同様である。即ち、特記しない限り、ある成分は、一種のみ用いてもよく、二種以上用いてもよい。二種以上用いられる場合の含有量または含有率とは、二種以上の合計についていうものとする。
六方晶ストロンチウムフェライト粉末が希土類原子を含む場合、含まれる希土類原子は、希土類原子のいずれか一種以上であればよい。繰り返し再生における再生出力の低下をより一層抑制する観点から好ましい希土類原子としては、ネオジム原子、サマリウム原子、イットリウム原子およびジスプロシウム原子を挙げることができ、ネオジム原子、サマリウム原子およびイットリウム原子がより好ましく、ネオジム原子が更に好ましい。
希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末において、希土類原子は六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部に偏在していればよく、偏在の程度は限定されるものではない。例えば、希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末について、後述する溶解条件で部分溶解して求められた希土類原子の表層部含有率と後述する溶解条件で全溶解して求められた希土類原子のバルク含有率との比率、「表層部含有率/バルク含有率」は1.0超であり、1.5以上であることができる。「表層部含有率/バルク含有率」が1.0より大きいことは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子において、希土類原子が表層部に偏在(即ち内部より多く存在)していることを意味する。また、後述する溶解条件で部分溶解して求められた希土類原子の表層部含有率と後述する溶解条件で全溶解して求められた希土類原子のバルク含有率との比率、「表層部含有率/バルク含有率」は、例えば、10.0以下、9.0以下、8.0以下、7.0以下、6.0以下、5.0以下、または4.0以下であることができる。ただし、希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末において、希土類原子は六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部に偏在していればよく、上記の「表層部含有率/バルク含有率」は、例示した上限または下限に限定されるものではない。
六方晶ストロンチウムフェライト粉末の部分溶解および全溶解について、以下に説明する。粉末として存在している六方晶ストロンチウムフェライト粉末については、部分溶解および全溶解する試料粉末は、同一ロットの粉末から採取する。一方、磁気記録媒体の磁性層に含まれている六方晶ストロンチウムフェライト粉末については、磁性層から取り出した六方晶ストロンチウムフェライト粉末の一部を部分溶解に付し、他の一部を全溶解に付す。磁性層からの六方晶ストロンチウムフェライト粉末の取り出しは、例えば、特開2015−91747号公報の段落0032に記載の方法によって行うことができる。
上記部分溶解とは、溶解終了時に液中に六方晶ストロンチウムフェライト粉末の残留が目視で確認できる程度に溶解することをいう。例えば、部分溶解により、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子について、粒子全体を100質量%として10〜20質量%の領域を溶解することができる。一方、上記全溶解とは、溶解終了時に液中に六方晶ストロンチウムフェライト粉末の残留が目視で確認されない状態まで溶解することをいう。
上記部分溶解および表層部含有率の測定は、例えば、以下の方法により行われる。ただし、下記の試料粉末量等の溶解条件は例示であって、部分溶解および全溶解が可能な溶解条件を任意に採用できる。
試料粉末12mgおよび1mol/L塩酸10mLを入れた容器(例えばビーカー)を、設定温度70℃のホットプレート上で1時間保持する。得られた溶解液を0.1μmのメンブレンフィルタでろ過する。こうして得られたろ液の元素分析を誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)分析装置によって行う。こうして、鉄原子100原子%に対する希土類原子の表層部含有率を求めることができる。元素分析により複数種の希土類原子が検出された場合には、全希土類原子の合計含有率を、表層部含有率とする。この点は、バルク含有率の測定においても、同様である。
一方、上記全溶解およびバルク含有率の測定は、例えば、以下の方法により行われる。
試料粉末12mgおよび4mol/L塩酸10mLを入れた容器(例えばビーカー)を、設定温度80℃のホットプレート上で3時間保持する。その後は上記の部分溶解および表層部含有率の測定と同様に行い、鉄原子100原子%に対するバルク含有率を求めることができる。
磁気記録媒体に記録されたデータを再生する際の再生出力を高める観点から、磁気記録媒体に含まれる強磁性粉末の質量磁化σsが高いことは望ましい。この点に関して、希土類原子を含むものの希土類原子表層部偏在性を持たない六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、希土類原子を含まない六方晶ストロンチウムフェライト粉末と比べてσsが大きく低下する傾向が見られた。これに対し、そのようなσsの大きな低下を抑制するうえでも、希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末は好ましいと考えられる。一態様では、六方晶ストロンチウムフェライト粉末のσsは、45A・m/kg以上であることができ、47A・m/kg以上であることもできる。一方、σsは、ノイズ低減の観点からは、80A・m/kg以下であることが好ましく、60A・m/kg以下であることがより好ましい。σsは、振動試料型磁力計等の磁気特性を測定可能な公知の測定装置を用いて測定することができる。本発明および本明細書において、特記しない限り、質量磁化σsは、磁場強度15kOeで測定される値とする。1[kOe]=10/4π[A/m]である。
六方晶ストロンチウムフェライト粉末の構成原子の含有率(バルク含有率)に関して、ストロンチウム原子含有率は、鉄原子100原子%に対して、例えば2.0〜15.0原子%の範囲であることができる。一態様では、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、この粉末に含まれる二価金属原子がストロンチウム原子のみであることができる。また他の一態様では、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、ストロンチウム原子に加えて一種以上の他の二価金属原子を含むこともできる。例えば、バリウム原子および/またはカルシウム原子を含むことができる。ストロンチウム原子以外の他の二価金属原子が含まれる場合、六方晶ストロンチウムフェライト粉末におけるバリウム原子含有率およびカルシウム原子含有率は、それぞれ、例えば、鉄原子100原子%に対して、0.05〜5.0原子%の範囲であることができる。
六方晶フェライトの結晶構造としては、マグネトプランバイト型(「M型」とも呼ばれる。)、W型、Y型およびZ型が知られている。六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、いずれの結晶構造を取るものであってもよい。結晶構造は、X線回折分析によって確認することができる。六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、X線回折分析によって、単一の結晶構造または二種以上の結晶構造が検出されるものであることができる。例えば一態様では、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、X線回折分析によってM型の結晶構造のみが検出されるものであることができる。例えば、M型の六方晶フェライトは、AFe1219の組成式で表される。ここでAは二価金属原子を表し、六方晶ストロンチウムフェライト粉末がM型である場合、Aはストロンチウム原子(Sr)のみであるか、またはAとして複数の二価金属原子が含まれる場合には、上記の通り原子%基準で最も多くをストロンチウム原子(Sr)が占める。六方晶ストロンチウムフェライト粉末の二価金属原子含有率は、通常、六方晶フェライトの結晶構造の種類により定まるものであり、特に限定されるものではない。鉄原子含有率および酸素原子含有率についても、同様である。六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、少なくとも、鉄原子、ストロンチウム原子および酸素原子を含み、更に希土類原子を含むこともできる。更に、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、これら原子以外の原子を含んでもよく、含まなくてもよい。一例として、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、アルミニウム原子(Al)を含むものであってもよい。アルミニウム原子の含有率は、鉄原子100原子%に対して、例えば0.5〜10.0原子%であることができる。繰り返し再生における再生出力低下をより一層抑制する観点からは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、鉄原子、ストロンチウム原子、酸素原子および希土類原子を含み、これら原子以外の原子の含有率が、鉄原子100原子%に対して、10.0原子%以下であることが好ましく、0〜5.0原子%の範囲であることがより好ましく、0原子%であってもよい。即ち、一態様では、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、鉄原子、ストロンチウム原子、酸素原子および希土類原子以外の原子を含まなくてもよい。上記の原子%で表示される含有率は、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を全溶解して求められる各原子の含有率(単位:質量%)を、各原子の原子量を用いて原子%表示の値に換算して求められる。また、本発明および本明細書において、ある原子について「含まない」とは、全溶解してICP分析装置により測定される含有率が0質量%であることをいう。ICP分析装置の検出限界は、通常、質量基準で0.01ppm(parts per million)以下である。上記の「含まない」とは、ICP分析装置の検出限界未満の量で含まれることを包含する意味で用いるものとする。六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、一態様では、ビスマス原子(Bi)を含まないものであることができる。
金属粉末
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141および特開2005−251351号公報の段落0009〜0023を参照できる。
ε−酸化鉄粉末
強磁性粉末の好ましい具体例としては、ε−酸化鉄粉末を挙げることもできる。本発明および本明細書において、「ε−酸化鉄粉末」とは、X線回折分析によって、主相としてε−酸化鉄型の結晶構造が検出される強磁性粉末をいうものとする。例えば、X線回折分析によって得られるX線回折スペクトルにおいて最も高強度の回折ピークがε−酸化鉄型の結晶構造に帰属される場合、ε−酸化鉄型の結晶構造が主相として検出されたと判断するものとする。ε−酸化鉄粉末の製造方法としては、ゲーサイトから作製する方法、逆ミセル法等が知られている。上記製造方法は、いずれも公知である。また、Feの一部がGa、Co、Ti、Al、Rh等の置換原子によって置換されたε−酸化鉄粉末を製造する方法については、例えば、J. Jpn. Soc. Powder Metallurgy Vol. 61 Supplement, No. S1, pp. S280−S284、J. Mater. Chem. C, 2013, 1, pp.5200−5206等を参照できる。ただし、上記磁気記録媒体の磁性層において強磁性粉末として使用可能なε−酸化鉄粉末の製造方法は、ここで挙げた方法に限定されない。
ε−酸化鉄粉末の活性化体積は、好ましくは300〜1500nmの範囲である。上記範囲の活性化体積を示す微粒子化されたε−酸化鉄粉末は、優れた電磁変換特性を発揮する磁気記録媒体の作製のために好適である。ε−酸化鉄粉末の活性化体積は、好ましくは300nm以上であり、例えば500nm以上であることもできる。また、電磁変換特性の更なる向上の観点から、ε−酸化鉄粉末の活性化体積は、1400nm以下であることがより好ましく、1300nm以下であることが更に好ましく、1200nm以下であることが一層好ましく、1100nm以下であることがより一層好ましい。
熱揺らぎの低減、換言すれば熱的安定性の向上の指標としては、異方性定数Kuを挙げることができる。ε−酸化鉄粉末は、好ましくは3.0×10J/m以上のKuを有することができ、より好ましくは8.0×10J/m以上のKuを有することができる。また、ε−酸化鉄粉末のKuは、例えば3.0×10J/m以下であることができる。ただしKuが高いほど熱的安定性が高いことを意味し、好ましいため、上記例示した値に限定されるものではない。
磁気記録媒体に記録されたデータを再生する際の再生出力を高める観点から、磁気記録媒体に含まれる強磁性粉末の質量磁化σsが高いことは望ましい。この点に関して、一態様では、ε−酸化鉄粉末のσsは、8A・m/kg以上であることができ、12A・m/kg以上であることもできる。一方、ε−酸化鉄粉末のσsは、ノイズ低減の観点からは、40A・m/kg以下であることが好ましく、35A・m/kg以下であることがより好ましい。
本発明および本明細書において、特記しない限り、強磁性粉末等の各種粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定される値とする。
粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントするか、ディスプレイに表示する等して、粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。後述の実施例に示す平均粒子サイズは、特記しない限り、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて測定された値である。本発明および本明細書において、粉末とは、複数の粒子の集合を意味する。例えば、強磁性粉末とは、複数の強磁性粒子の集合を意味する。また、複数の粒子の集合とは、集合を構成する粒子が直接接触している態様に限定されず、後述する結合剤、添加剤等が、粒子同士の間に介在している態様も包含される。粒子との語が、粉末を表すために用いられることもある。
粒子サイズ測定のために磁気テープから試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明および本明細書において、特記しない限り、粉末を構成する粒子のサイズ(粒子サイズ)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚みまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)の場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、特記しない限り、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚みまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、特記しない限り、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
磁性層における強磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。磁性層の強磁性粉末以外の成分は、少なくとも結合剤および上記化合物であり、任意に一種以上の更なる添加剤が含まれ得る。磁性層において強磁性粉末の充填率が高いことは、記録密度向上の観点から好ましい。
<結合剤、硬化剤>
上記磁気記録媒体は塗布型磁気記録媒体であって、磁性層に結合剤を含む。結合剤とは、一種以上の樹脂である。結合剤としては、塗布型磁気記録媒体の結合剤として通常使用される各種樹脂を用いることができる。例えば、結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリラート等を共重合したアクリル樹脂、ニトロセルロース等のセルロース樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルキラール樹脂等から選ばれる樹脂を単独で用いるか、または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、および塩化ビニル樹脂である。これらの樹脂は、ホモポリマーでもよく、コポリマーでもよい。これらの樹脂は、後述する非磁性層および/またはバックコート層においても結合剤として使用することができる。
以上の結合剤については、特開2010−24113号公報の段落0028〜0031を参照できる。また、結合剤として使用される樹脂の平均分子量は、重量平均分子量として、例えば35,000以上200,000以下であることができる。磁性層における結合剤の含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対し、例えば5.0〜50.0質量部であることができ、10.0〜30.0質量部の範囲であることが好ましい。なお本発明および本明細書において、特記しない限り、ある成分は一種のみ用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。二種以上が用いられる場合、本発明および本明細書において、ある成分に関する含有量とはそれら二種以上の合計含有量をいうものとする。
また、結合剤として使用可能な樹脂とともに硬化剤を使用することもできる。硬化剤は、一態様では加熱により硬化反応(架橋反応)が進行する化合物である熱硬化性化合物であることができ、他の一態様では光照射により硬化反応(架橋反応)が進行する光硬化性化合物であることができる。硬化剤は、磁性層形成工程の中で硬化反応が進行することにより、少なくとも一部は、結合剤等の他の成分と反応(架橋)した状態で磁性層に含まれ得る。この点は、他の層を形成するために用いられる組成物が硬化剤を含む場合に、この組成物を用いて形成される層についても同様である。好ましい硬化剤は、熱硬化性化合物であり、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報の段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、磁性層形成用組成物中に、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、磁性層の強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で使用することができる。
<添加剤>
磁性層には、上記化合物、強磁性粉末および結合剤が含まれ、必要に応じて一種以上の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、一例として、上記の硬化剤が挙げられる。また、磁性層に含まれる添加剤としては、非磁性粉末(例えば無機粉末、カーボンブラック等)、潤滑剤、分散剤、分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤等を挙げることができる。また、非磁性粉末としては、研磨剤として機能することができる非磁性粉末、磁性層表面に適度に突出する突起を形成する突起形成剤として機能することができる非磁性粉末等が挙げられる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して、または公知の方法で製造して、任意の量で使用することができる。例えば、潤滑剤については、特開2016−126817号公報の段落0030〜0033、0035および0036を参照できる。非磁性層に潤滑剤が含まれていてもよい。非磁性層に含まれ得る潤滑剤については、特開2016−126817号公報の段落0030〜0031、0034、0035および0036を参照できる。分散剤については、特開2012−133837号公報の段落0061および0071を参照できる。分散剤は、非磁性層に含まれていてもよい。非磁性層に含まれ得る分散剤については、特開2012−133837号公報の段落0061を参照できる。
<磁性層形成用組成物の調製>
上記磁性層は、以上説明した各種成分を含む磁性層形成用組成物を用いて形成することができる。磁性層形成用組成物には、通常、溶媒が含まれる。溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。中でも、磁気記録媒体に通常使用される結合剤の溶解性および強磁性粉末の表面への結合剤の吸着の点からは、ケトン類を含有する有機溶媒(ケトン系有機溶媒)を用いることが好ましい。磁性層形成用組成物における溶媒量は、通常の塗布型磁気記録媒体の磁性層形成用組成物と同様にすればよい。
磁性層形成用組成物は、以上説明した各種成分を同時にまたは任意の順序で添加し混合することにより、調製することができる。組成物の調製方法は特に限定されるものではなく、塗布型磁気記録媒体の磁性層形成用組成物の調製に関する公知技術を適用することができる。
以上説明した磁性層は、非磁性支持体表面上に直接、または非磁性層を介して間接的に、設けることができる。
<非磁性層>
次に非磁性層について説明する。上記磁気記録媒体は、非磁性支持体表面上に直接磁性層を有していてもよく、非磁性支持体表面上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を介して磁性層を有していてもよい。非磁性層に使用される非磁性粉末は、無機粉末でも有機粉末でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機粉末としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の粉末が挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報の段落0146〜0150を参照できる。非磁性層に使用可能なカーボンブラックについては、特開2010−24113号公報の段落0040〜0041も参照できる。非磁性層における非磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
非磁性層の結合剤、添加剤等のその他詳細は、非磁性層に関する公知技術が適用できる。また、例えば、結合剤の種類および含有量、添加剤の種類および含有量等に関しては、磁性層に関する公知技術も適用できる。
本発明および本明細書において、非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および保磁力を持たないことが好ましい。
<非磁性支持体>
次に、非磁性支持体(以下、単に「支持体」とも記載する。)について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリアミドが好ましい。これらの支持体には、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理等を行ってもよい。
<バックコート層>
上記磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層を有する表面側とは反対の表面側に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有することもできる。バックコート層には、カーボンブラックおよび無機粉末の一方または両方が含有されていることが好ましい。バックコート層に含まれる結合剤、任意に含まれ得る各種添加剤については、バックコート層に関する公知技術を適用することができ、磁性層および/または非磁性層の処方に関する公知技術を適用することもできる。例えば、特開2006−331625号公報の段落0018〜0020および米国特許第7,029,774号明細書の第4欄65行目〜第5欄38行目の記載を、バックコート層について参照できる。
<各種厚み>
非磁性支持体の厚みは、好ましくは3.0〜20.0μm、より好ましくは3.0〜10.0μm、更に好ましくは3.0〜6.0μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量、ヘッドギャップ長、記録信号の帯域等に応じて最適化することができる。磁性層の厚みは、高密度記録化の観点から、好ましくは10nm〜150nmであり、より好ましくは20nm〜120nmであり、更に好ましくは30nm〜100nmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する二層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。二層以上に分離する場合の磁性層の厚みとは、これらの層の合計厚みとする。
非磁性層の厚みは、例えば0.1〜1.5μmであり、0.1〜1.0μmであることが好ましい。
バックコート層の厚みは、0.9μm以下であることが好ましく、0.1〜0.7μmの範囲であることが更に好ましい。
磁気記録媒体の各層および非磁性支持体の厚みは、公知の膜厚測定法により求めることができる。一例として、例えば、磁気記録媒体の厚み方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡によって断面観察を行う。断面観察において任意の1箇所において求められた厚み、または無作為に抽出した2箇所以上の複数箇所、例えば2箇所、において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めることができる。または、各層の厚みは、製造条件から算出される設計厚みとして求めてもよい。
<製造工程>
磁性層、ならびに任意に設けられる非磁性層およびバックコート層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程を含む。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる全ての原料は、どの工程の最初または途中で添加してもよい。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもよい。各層形成用組成物を調製するためには、公知技術を用いることができる。混練工程では、オープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダ等の強い混練力をもつニーダを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については、特開平1−106338号公報および特開平1−79274号公報に記載されている。また、各層形成用組成物を分散させるためには、分散メディアとして、ガラスビーズおよびその他の分散ビーズからなる群から選ばれる一種以上の分散ビーズを用いることができる。このような分散ビーズとしては、高比重の分散ビーズであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、およびスチールビーズが好適である。これら分散ビーズの粒径(ビーズ径)および充填率は最適化して用いることができる。分散機は公知のものを使用することができる。各層形成用組成物を、塗布工程に付す前に公知の方法によってろ過してもよい。ろ過は、例えばフィルタろ過によって行うことができる。ろ過に用いるフィルタとしては、例えば孔径0.01〜3μmのフィルタ(例えばガラス繊維製フィルタ、ポリプロピレン製フィルタ等)を用いることができる。
磁性層は、磁性層形成用組成物を、非磁性支持体表面上に直接塗布するか、または非磁性層形成用組成物と逐次もしくは同時に重層塗布する工程を経て形成することができる。バックコート層は、非磁性支持体の磁性層が設けられた(または追って設けられる)表面とは反対側の表面上にバックコート層形成用組成物を塗布する工程を経て形成することができる。
塗布工程後には、乾燥処理、磁性層の配向処理、表面平滑化処理(カレンダ処理)等の各種処理を行うことができる。塗布工程および各種処理については、公知技術を適用することができ、例えば特開2010−24113号公報の段落0051〜0057を参照できる。
本発明の一態様にかかる磁気記録媒体は、一態様ではテープ状の磁気記録媒体(磁気テープ)であることができ、他の一態様ではディスク状の磁気記録媒体(磁気ディスク)であることができる。
上記のように製造された磁気記録媒体には、磁気記録再生装置における磁気ヘッドのトラッキング制御、磁気記録媒体の走行速度の制御等を可能とするために、公知の方法によってサーボパターンを形成することができる。「サーボパターンの形成」は、「サーボ信号の記録」ということもできる。上記磁気記録媒体は、テープ状の磁気記録媒体(磁気テープ)であってもよく、ディスク状の磁気記録媒体(磁気ディスク)であってもよい。以下では、磁気テープを例にサーボパターンの形成について説明する。
サーボパターンは、通常、磁気テープの長手方向に沿って形成される。サーボ信号を利用する制御(サーボ制御)の方式としては、タイミングベースサーボ(TBS)、アンプリチュードサーボ、周波数サーボ等が挙げられる。
ECMA(European Computer Manufacturers Association)―319に示される通り、LTO(Linear Tape−Open)規格に準拠した磁気テープ(一般に「LTOテープ」と呼ばれる。)では、タイミングベースサーボ方式が採用されている。このタイミングベースサーボ方式において、サーボパターンは、互いに非平行な一対の磁気ストライプ(「サーボストライプ」とも呼ばれる。)が、磁気テープの長手方向に連続的に複数配置されることによって構成されている。上記のように、サーボパターンが互いに非平行な一対の磁気ストライプにより構成される理由は、サーボパターン上を通過するサーボ信号読み取り素子に、その通過位置を教えるためである。具体的には、上記の一対の磁気ストライプは、その間隔が磁気テープの幅方向に沿って連続的に変化するように形成されており、サーボ信号読み取り素子がその間隔を読み取ることによって、サーボパターンとサーボ信号読み取り素子との相対位置を知ることができる。この相対位置の情報が、データトラックのトラッキングを可能にする。そのために、サーボパターン上には、通常、磁気テープの幅方向に沿って、複数のサーボトラックが設定されている。
サーボバンドは、磁気テープの長手方向に連続するサーボ信号により構成される。このサーボバンドは、通常、磁気テープに複数本設けられる。例えば、LTOテープにおいて、その数は5本である。隣接する2本のサーボバンドに挟まれた領域は、データバンドと呼ばれる。データバンドは、複数のデータトラックで構成されており、各データトラックは、各サーボトラックに対応している。
また、一態様では、特開2004−318983号公報に示されているように、各サーボバンドには、サーボバンドの番号を示す情報(「サーボバンドID(identification)」または「UDIM(Unique DataBand Identification Method)情報」とも呼ばれる。)が埋め込まれている。このサーボバンドIDは、サーボバンド中に複数ある一対のサーボストライプのうちの特定のものを、その位置が磁気テープの長手方向に相対的に変位するように、ずらすことによって記録されている。具体的には、複数ある一対のサーボストライプのうちの特定のもののずらし方を、サーボバンド毎に変えている。これにより、記録されたサーボバンドIDはサーボバンド毎にユニークなものとなるため、一つのサーボバンドをサーボ信号読み取り素子で読み取るだけで、そのサーボバンドを一意に(uniquely)特定することができる。
なお、サーボバンドを一意に特定する方法には、ECMA―319に示されているようなスタッガード方式を用いたものもある。このスタッガード方式では、磁気テープの長手方向に連続的に複数配置された、互いに非平行な一対の磁気ストライプ(サーボストライプ)の群を、サーボバンド毎に磁気テープの長手方向にずらすように記録する。隣接するサーボバンド間における、このずらし方の組み合わせは、磁気テープ全体においてユニークなものとされているため、2つのサーボ信号読み取り素子によりサーボパターンを読み取る際に、サーボバンドを一意に特定することも可能となっている。
また、各サーボバンドには、ECMA―319に示されている通り、通常、磁気テープの長手方向の位置を示す情報(「LPOS(Longitudinal Position)情報」とも呼ばれる。)も埋め込まれている。このLPOS情報も、UDIM情報と同様に、一対のサーボストライプの位置を、磁気テープの長手方向にずらすことによって記録されている。ただし、UDIM情報とは異なり、このLPOS情報では、各サーボバンドに同じ信号が記録されている。
上記のUDIM情報およびLPOS情報とは異なる他の情報を、サーボバンドに埋め込むことも可能である。この場合、埋め込まれる情報は、UDIM情報のようにサーボバンド毎に異なるものであってもよいし、LPOS情報のようにすべてのサーボバンドに共通のものであってもよい。
また、サーボバンドに情報を埋め込む方法としては、上記以外の方法を採用することも可能である。例えば、一対のサーボストライプの群の中から、所定の対を間引くことによって、所定のコードを記録するようにしてもよい。
サーボパターン形成用ヘッドは、サーボライトヘッドと呼ばれる。サーボライトヘッドは、上記一対の磁気ストライプに対応した一対のギャップを、サーボバンドの数だけ有する。通常、各一対のギャップには、それぞれコアとコイルが接続されており、コイルに電流パルスを供給することによって、コアに発生した磁界が、一対のギャップに漏れ磁界を生じさせることができる。サーボパターンの形成の際には、サーボライトヘッド上に磁気テープを走行させながら電流パルスを入力することによって、一対のギャップに対応した磁気パターンを磁気テープに転写させて、サーボパターンを形成することができる。各ギャップの幅は、形成されるサーボパターンの密度に応じて適宜設定することができる。各ギャップの幅は、例えば、1μm以下、1〜10μm、10μm以上等に設定可能である。
磁気テープにサーボパターンを形成する前には、磁気テープに対して、通常、消磁(イレース)処理が施される。このイレース処理は、直流磁石または交流磁石を用いて、磁気テープに一様な磁界を加えることによって行うことができる。イレース処理には、DC(Direct Current)イレースとAC(Alternating Current)イレースとがある。ACイレースは、磁気テープに印加する磁界の方向を反転させながら、その磁界の強度を徐々に下げることによって行われる。一方、DCイレースは、磁気テープに一方向の磁界を加えることによって行われる。DCイレースには、更に2つの方法がある。第一の方法は、磁気テープの長手方向に沿って一方向の磁界を加える、水平DCイレースである。第二の方法は、磁気テープの厚み方向に沿って一方向の磁界を加える、垂直DCイレースである。イレース処理は、磁気テープ全体に対して行ってもよいし、磁気テープのサーボバンド毎に行ってもよい。
形成されるサーボパターンの磁界の向きは、イレースの向きに応じて決まる。例えば、磁気テープに水平DCイレースが施されている場合、サーボパターンの形成は、磁界の向きがイレースの向きと反対になるように行われる。これにより、サーボパターンが読み取られて得られるサーボ信号の出力を、大きくすることができる。なお、特開2012−53940号公報に示されている通り、垂直DCイレースされた磁気テープに、上記ギャップを用いた磁気パターンの転写を行った場合、形成されたサーボパターンが読み取られて得られるサーボ信号は、単極パルス形状となる。一方、水平DCイレースされた磁気テープに、上記ギャップを用いた磁気パターンの転写を行った場合、形成されたサーボパターンが読み取られて得られるサーボ信号は、双極パルス形状となる。
[磁気記録媒体用組成物]
本発明の一態様は、強磁性粉末、ならびに、ポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有する化合物、を含む磁気記録媒体用組成物に関する。かかる磁気記録媒体用組成物の詳細は、先に本発明の一態様にかかる磁気記録媒体およびその形成のために用いる磁性層形成用組成物について記載した通りである。
上記磁気記録媒体用組成物は、全成分が混合された一液型の組成物であってもよく、または磁性層の形成のために複数の液が混合して用いられる二液型以上の多液型の組成物であってもよい。
以上説明した本発明の一態様にかかる磁気記録媒体は、電磁変換特性の向上と耐久性の向上を共に達成することができる。また、本発明の一態様にかかる磁気記録媒体用組成物は、そのような磁気記録媒体の磁性層形成用組成物として用いることができる。
[磁気記録再生装置]
本発明の一態様は、上記磁気記録媒体と、磁気ヘッドと、を含む磁気記録再生装置に関する。
本発明および本明細書において、「磁気記録再生装置」とは、磁気記録媒体へのデータの記録および磁気記録媒体に記録されたデータの再生の少なくとも一方を行うことができる装置を意味するものとする。かかる装置は、一般にドライブと呼ばれる。上記磁気記録再生装置は、摺動型の磁気記録再生装置であることができる。摺動型の磁気記録再生装置とは、磁気記録媒体へのデータの記録および/または記録されたデータの再生を行う際に磁性層表面と磁気ヘッドとが接触し摺動する装置をいう。
上記磁気記録再生装置に含まれる磁気ヘッドは、磁気記録媒体へのデータの記録を行うことができる記録ヘッドであることができ、磁気記録媒体に記録されたデータの再生を行うことができる再生ヘッドであることもできる。また、上記磁気記録再生装置は、一態様では、別々の磁気ヘッドとして、記録ヘッドと再生ヘッドの両方を含むことができる。他の一態様では、上記磁気記録再生装置に含まれる磁気ヘッドは、データの記録のための素子(記録素子)とデータの再生のための素子(再生素子)の両方を1つの磁気ヘッドに備えた構成を有することもできる。以下において、データの記録のための素子および再生のための素子を、「データ用素子」と総称する。再生ヘッドとしては、磁気記録媒体に記録されたデータを感度よく読み取ることができる磁気抵抗効果型(MR;Magnetoresistive)素子を再生素子として含む磁気ヘッド(MRヘッド)が好ましい。MRヘッドとしては、AMR(Anisotropic Magnetoresistive)ヘッド、GMR(Giant Magnetoresistive)ヘッド、TMR(Tunnel Magnetoresistive)ヘッド等の公知の各種MRヘッドを用いることができる。また、データの記録および/またはデータの再生を行う磁気ヘッドには、サーボ信号読み取り素子が含まれていてもよい。または、データの記録および/またはデータの再生を行う磁気ヘッドとは別のヘッドとして、サーボ信号読み取り素子を備えた磁気ヘッド(サーボヘッド)が上記磁気記録再生装置に含まれていてもよい。例えば、データの記録および/または記録されたデータの再生を行う磁気ヘッド(以下、「記録再生ヘッド」とも呼ぶ。)は、サーボ信号読み取り素子を2つ含むことができ、2つのサーボ信号読み取り素子のそれぞれが、隣接する2つのサーボバンドを同時に読み取ることができる。2つのサーボ信号読み取り素子の間に、1つまたは複数のデータ用素子を配置することができる。
上記磁気記録再生装置において、磁気記録媒体へのデータの記録および/または磁気記録媒体に記録されたデータの再生は、磁気記録媒体の磁性層表面と磁気ヘッドとを接触させて摺動させることにより行うことができる。上記磁気記録再生装置は、本発明の一態様にかかる磁気記録媒体を含むものであればよく、その他については公知技術を適用することができる。
例えば、サーボパターンが形成された磁気記録媒体へのデータの記録および/または記録されたデータの再生の際には、まず、サーボパターンを読み取って得られるサーボ信号を用いたトラッキングが行われる。すなわち、サーボ信号読み取り素子を所定のサーボトラックに追従させることによって、データ用素子が、目的とするデータトラック上を通過するように制御される。データトラックの移動は、サーボ信号読み取り素子が読み取るサーボトラックを、テープ幅方向に変更することにより行われる。
また、記録再生ヘッドは、他のデータバンドに対する記録および/または再生を行うことも可能である。その際には、先に記載したUDIM情報を利用してサーボ信号読み取り素子を所定のサーボバンドに移動させ、そのサーボバンドに対するトラッキングを開始すればよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。特記しない限り、以下に記載の「部」および「%」は質量基準である。以下に記載の「eq」は、当量( equivalent)であり、SI単位に換算不可の単位である。また、特記しない限り、各工程および各操作は、大気圧下で室温(雰囲気温度20〜25℃)において行った。
下記の重量平均分子量および数平均分子量は、GPCにより先に記載した測定条件下で測定しポリスチレン換算値として求められた値である。また、下記のアミン価は、先に記載した測定方法により求められた値である。
最終的に合成された化合物に、各合成原料が仕込み量から算出される割合で導入されたことは、H−NMR(nuclear magnetic resonance
)ならびに重量平均分子量およびアミン価の測定値によって確認した。
下記の中間体および化合物のガラス転移温度Tgは、以下に記載の動的粘弾性測定によって求められた値である。
ガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments社製の示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry;DSC)Q2000を用いて、合成後の反応溶液の一部を採取し真空乾燥させて得たサンプルまたは再沈殿させた後に真空乾燥させて得たサンプル約6mgを0.01mg単位まで秤量可能な化学天びんを用いてアルミニウムパン上で秤量し、このアルミニウムパンをDSC測定ホルダーにセットし、10℃〜300℃まで2℃/minで昇温したときの変曲点から求めた。上記サンプルは粉末サンプルとして得られ、粉末を構成する粒子の粒子サイズは0.5mm以下であった。
下記の略称は、それぞれ以下の名称を示す。
MPA:メルカプトプロピオン酸
MGA:チオグリコール酸
MMA:メチルメタクリラート
St:スチレン
BzMA:ベンジルメタクリラート
IBOMA:イソボロニルメタクリラート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリラート
PrMA:n−プロピルメタクリラート
LMA:ラウリルメタクリラート
EHMA:2−エチルヘキシルメタクリラート
EHA:2−エチルヘキシルアクリラート
BMA:n−ブチルアクリラート
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
V−601:ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(富士フイルム和光純薬社製)
SP−006:日本触媒製ポリエチレンイミンSP−006、数平均分子量600
SP−003:日本触媒製ポリエチレンイミンSP−003、数平均分子量300
SP−012:日本触媒製ポリエチレンイミンSP−012、数平均分子量1200
SP−018:日本触媒製ポリエチレンイミンSP−018、数平均分子量1800
SP−200:日本触媒製ポリエチレンイミンSP−200、数平均分子量10000
[化合物Q−1の合成]
<中間体P−1の合成>
500mL三口フラスコに、窒素雰囲気下、PGMEA(反応溶媒)45.0gを添加した。液温75℃に加熱した後、MPA(チオール化合物)6.4g、MMA(ビニルモノマー)90.1g、PGMEA(反応溶媒)180.1gおよびV−601(重合開始剤)0.14gを予め混合しておき、2時間かけて滴下した。滴下後、V-601を0.14g添加し2時間撹拌した。更に液温を90℃に昇温し、2時間撹拌して中間体P−1のPGMEA溶液を得た。下記の表1中、ビニルモノマーに関して記載されているモル数は、中間体の合成に使用したチオール化合物1モルに対するモル数を示す。
<化合物Q−1の合成>
ポリエチレンイミン(日本触媒製SP−006)4.8gおよび中間体P−1の50%PGMEA溶液144.8gを混合し、液温110℃で3時間加熱して、化合物Q−1(ランダム共重合体)を得た。
以上の合成スキームを以下に示す。以下の合成スキーム中、a、bおよびcはそれぞれ独立に繰り返し単位の重合モル比を示し、0〜50の範囲であり、a+b+c=100である。k、l、m1およびm2はそれぞれ独立に繰り返し単位の重合モル比を示し、kは10〜90の範囲、lは0〜80の範囲、m1およびm2はそれぞれ独立に0〜70の範囲であり、かつk+l+m1+m2=100である。nは繰り返し単位を表し、2〜100の範囲である。
[化合物Q−2〜Q−29の合成]
<中間体P−2〜P−18の合成>
中間体の合成のために下記の表1に示すビニルモノマーおよびチオール化合物を使用した点以外は中間体P−1の合成と同様の方法により、中間体P−2〜P−18をそれぞれ合成した。
<化合物Q−2〜Q−29の合成>
ポリエチレンイミンの使用量ならびに中間体の種類および使用量を表3に示すように変更した点以外、化合物Q−1の合成と同様の方法により、化合物Q−2〜Q−29(ランダム共重合体)をそれぞれ合成した。
[酸変性化合物30〜33の合成]
表4に示す酸無水物を、表4に示す化合物1モルあたり表4に示すモル数で添加し、表4に示す酸変性化合物を合成した。具体的には、表4に示す化合物の30%PGMEA溶液を液温70℃まで昇温し、酸無水物を添加し1時間攪拌することにより、酸変性化合物Q−30〜33を合成した。上記の酸変性により、酸変性化合物Q−30〜Q−32には式4で表される部分構造が1分子あたり1個導入され、酸変性化合物Q−33には1分子あたり2個導入される。
[比較化合物1の合成]
<比較中間体1の合成>
500mL三口フラスコにて、窒素雰囲気下、カルボン酸としてn−オクタン酸(富士フイルム和光純薬社製)6.3g、ラクトンとしてε−カプロラクトン(ダイセル工業化学社製プラクセルM)50g、モノブチルすずオキシド(開環重合触媒)(CSn(O)OH)1.1gを混合し、液温160℃に加熱し、1時間撹拌した。反応溶液へε−カプロラクトン50gを5時間かけて滴下し更に2時間攪拌した。その後、液温70℃にしPGMEA(溶媒)248.0gを添加し、比較中間体1の50%PGMEA溶液を得た。オクタン酸1モルに対するカプロラクトンの使用量(モル数)は、20モルである。比較中間体1のガラス転移温度Tgは−60℃、重量平均分子量は8,200であった。
<比較化合物1の合成>
ポリエチレンイミン(日本触媒製SP−018)4.8gおよび比較中間体1の50%PGMEA溶液70gを混合し、液温110℃で3時間加熱して、比較化合物1を得た。比較化合物1は、ポリアルキレンイミン鎖を有し、ビニルポリマー鎖を有さない化合物である。比較化合物1のガラス転移温度は100℃、重量平均分子量は8,900、アミン価は0.89mmol/gであった。
[磁気記録媒体の作製]
<実施例1>
(磁性層形成用組成物の処方)
強磁性粉末(表5参照):100.0部
表5に記載の化合物:33.3部(上記化合物の合成後に得られた反応溶液量;表5に記載の化合物量としては10.0部)
ポリウレタン樹脂:(東洋紡績株式会社製バイロン(登録商標)UR4800、官能基:SONa、官能基濃度:70eq/ton):5.0部
塩化ビニル樹脂(カネカ社製MR104):10.0部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
α−Al(平均粒子サイズ0.1μm):8.0部
カーボンブラック(平均粒子サイズ:20nm):0.5部
(磁性層形成用組成物の調製)
上記の成分をオープンニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、超音波処理し、1μmの平均孔径を有するフィルタを用いて濾過し、磁性層形成用組成物を調製した。
ブチルステアレート:2.0部
ステアリン酸:0.5部
メチルエチルケトン:50.0部
シクロヘキサノン:50.0部
トルエン:3.0部
ポリイソシアネート化合物(東ソー社製コロネート3041):5.0部
(非磁性層形成用組成物の処方)
カーボンブラック:100.0部
DBP(Dibutyl phthalate)吸油量:100ml/100g
pH:8
BET比表面積:250m/g
揮発分:1.5%
ポリウレタン樹脂 (東洋紡績社製バイロンUR4800、官能基:SONa、官能基濃度:70eq/ton):20.0部
塩化ビニル樹脂(官能基:OSOK、官能基濃度:70eq/ton):30.0部
トリオクチルアミン:4.0部
シクロヘキサノン:140.0部
メチルエチルケトン:170.0部
ブチルステアレート:2.0部
ステアリン酸:2.0部
ステアリン酸アミド:0.1部
(非磁性層形成用組成物の調製)
上記の成分をオープンニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、1μmの平均孔径を有するフィルタを用いて濾過し、非磁性層形成用組成物を調製した。
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:1.0部
メチルエチルケトン:50.0部
シクロヘキサノン:50.0部
トルエン:3.0部
ポリイソシアネート化合物(東ソー社製コロネート3041):5.0部
(バックコート層形成用組成物の処方)
カーボンブラック(平均粒子サイズ40nm):85.0部
カーボンブラック(平均粒子サイズ100nm):3.0部
ニトロセルロース:28.0部
ポリウレタン樹脂:58.0部
銅フタロシアニン系分散剤:2.5部
ニッポラン2301(東ソー社製):0.5部
メチルイソブチルケトン:0.3部
メチルエチルケトン:860.0部
トルエン:240.0部
(バックコート層形成用組成物の調製)
上記の成分をロールミルで予備混練したのち、サンドミルで分散した。得られた分散液に、ポリエステル樹脂(東洋紡績社製バイロン500)4.0部、ポリイソシアネート化合物(東ソー社製コロネート3041)14.0部およびα−Al(住友化学社製)5.0部を添加し、攪拌した後に濾過してバックコート層形成用組成物を調製した。
(磁気記録媒体の作製)
厚み5.0μmのポリエチレンナフタレート支持体の両表面にコロナ放電処理を施した。
上記ポリエチレンナフタレート支持体の一方の表面上に、上記の非磁性層形成用組成物を非磁性層の乾燥後の厚みが1.0μmになるように塗布し、更にその直後にその上に磁性層の乾燥後の厚みが100nmになるように磁性層形成用組成物を同時重層塗布した。両層が湿潤状態にあるうちに0.5T(5000G)の磁力をもつコバルト磁石と0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより垂直配向処理を施した後に乾燥処理を施した。その後、上記ポリエチレンナフタレート支持体のもう一方の表面上に上記のバックコート層形成用組成物を、バックコート層の乾燥後の厚みが0.5μmとなるように塗布した後、金属ロールから構成される7段のカレンダでカレンダロールの表面温度100℃にて速度80m/minでカレンダ処理を行った。その後、1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットして磁気テープを作製した。
<実施例2〜33>
化合物Q−1に代えて表5に示す化合物を使用した点以外、実施例1と同様の方法により磁気テープを作製した。
<実施例34〜78>
六方晶バリウムフェライト粉末に代えて表5に示す強磁性粉末を使用し、かつ化合物Q−1に代えて表5に示す化合物を使用した点以外、実施例1と同様の方法により磁気テープを作製した。
<比較例1>
化合物Q−1に代えて比較化合物1を使用した点以外、実施例1と同様の方法により磁気テープを作製した。
<比較例2>
化合物Q−1に代えて比較化合物2として中間体P−3を使用した点以外、実施例1と同様の方法により磁気テープを作製した。
表5中、「BaFe」は、下記の六方晶バリウムフェライト粉末である。
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Ti=1/11.7/0.2/0.1
保磁力Hc:183kA/m(2300Oe)
平均粒子サイズ(平均板径):20nm
平均板状比:4.0
BET(Brunauer−Emmett− Teller)比表面積:100m/g
飽和磁化:43A・m/kg(43emu/g)
表5中、「SrFe1」は、以下の方法により作製された六方晶ストロンチウムフェライト粉末である。
SrCOを1707g、HBOを687g、Feを1120g、Al(OH)を45g、BaCOを24g、CaCOを13g、およびNdを235g秤量し、ミキサーにて混合し原料混合物を得た。
得られた原料混合物を、白金ルツボで溶融温度1390℃で溶融し、融液を撹拌しつつ白金ルツボの底に設けた出湯口を加熱し、融液を約6g/秒で棒状に出湯させた。出湯液を水冷双ローラーで圧延急冷して非晶質体を作製した。
作製した非晶質体280gを電気炉に仕込み、昇温速度3.5℃/分にて635℃(結晶化温度)まで昇温し、同温度で5時間保持して六方晶ストロンチウムフェライト粒子を析出(結晶化)させた。
次いで六方晶ストロンチウムフェライト粒子を含む上記で得られた結晶化物を乳鉢で粗粉砕し、ガラス瓶に粒径1mmのジルコニアビーズ1000gおよび濃度1%の酢酸水溶液800mlを加えてペイントシェーカーにて3時間分散処理を行った。その後、得られた分散液をビーズと分離させステンレスビーカーに入れた。分散液を液温100℃で3時間静置させてガラス成分の溶解処理を行った後、遠心分離器で沈澱させてデカンテーションを繰り返して洗浄し、炉内温度110℃の加熱炉内で6時間乾燥させて六方晶ストロンチウムフェライト粉末を得た。
上記で得られた六方晶ストロンチウムフェライト粉末の平均粒子サイズは18nm、活性化体積は902nm、異方性定数Kuは2.2×10J/m、質量磁化σsは49A・m/kgであった。
上記で得られた六方晶ストロンチウムフェライト粉末から試料粉末を12mg採取し、この試料粉末を先に例示した溶解条件によって部分溶解して得られたろ液の元素分析をICP分析装置によって行い、ネオジム原子の表層部含有率を求めた。
別途、上記で得られた六方晶ストロンチウムフェライト粉末から試料粉末を12mg採取し、この試料粉末を先に例示した溶解条件によって全溶解して得られたろ液の元素分析をICP分析装置によって行い、ネオジム原子のバルク含有率を求めた。
上記で得られた六方晶ストロンチウムフェライト粉末の鉄原子100原子%に対するネオジム原子の含有率(バルク含有率)は、2.9原子%であった。また、ネオジム原子の表層部含有率は8.0原子%であった。表層部含有率とバルク含有率との比率、「表層部含有率/バルク含有率」は2.8であり、ネオジム原子が粒子の表層に偏在していることが確認された。
上記で得られた粉末が六方晶フェライトの結晶構造を示すことは、CuKα線を電圧45kVかつ強度40mAの条件で走査し、下記条件でX線回折パターンを測定すること(X線回折分析)により確認した。上記で得られた粉末は、マグネトプランバイト型(M型)の六方晶フェライトの結晶構造を示した。また、X線回折分析により検出された結晶相は、マグネトプランバイト型の単一相であった。
PANalytical X’Pert Pro回折計、PIXcel検出器
入射ビームおよび回折ビームのSollerスリット:0.017ラジアン
分散スリットの固定角:1/4度
マスク:10mm
散乱防止スリット:1/4度
測定モード:連続
1段階あたりの測定時間:3秒
測定速度:毎秒0.017度
測定ステップ:0.05度
表5中、「SrFe2」は、以下の方法により作製された六方晶ストロンチウムフェライト粉末である。
SrCOを1725g、HBOを666g、Feを1332g、Al(OH)を52g、CaCOを34g、BaCOを141g秤量し、ミキサーにて混合し原料混合物を得た。
得られた原料混合物を、白金ルツボで溶融温度1380℃で溶融し、融液を撹拌しつつ白金ルツボの底に設けた出湯口を加熱し、融液を約6g/秒で棒状に出湯させた。出湯液を水冷双ロールで急冷圧延して非晶質体を作製した。
得られた非晶質体280gを電気炉に仕込み、645℃(結晶化温度)まで昇温し、同温度で5時間保持し六方晶ストロンチウムフェライト粒子を析出(結晶化)させた。
次いで六方晶ストロンチウムフェライト粒子を含む上記で得られた結晶化物を乳鉢で粗粉砕し、ガラス瓶に粒径1mmのジルコニアビーズ1000gおよび濃度1%の酢酸水溶液800mlを加えてペイントシェーカーにて3時間分散処理を行った。その後、得られた分散液をビーズと分離させステンレスビーカーに入れた。分散液を液温100℃で3時間静置させてガラス成分の溶解処理を行った後、遠心分離器で沈澱させてデカンテーションを繰り返して洗浄し、炉内温度110℃の加熱炉内で6時間乾燥させて六方晶ストロンチウムフェライト粉末を得た。
得られた六方晶ストロンチウムフェライト粉末の平均粒子サイズは19nm、活性化体積は1102nm、異方性定数Kuは2.0×10J/m、質量磁化σsは50A・m/kgであった。
表5中、「ε−酸化鉄」は、以下の方法により作製されたε−酸化鉄粉末である。
純水90gに、硝酸鉄(III)9水和物8.3g、硝酸ガリウム(III)8水和物1.3g、硝酸コバルト(II)6水和物190mg、硫酸チタン(IV)150mg、およびポリビニルピロリドン(PVP)1.5gを溶解させたものを、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、大気雰囲気中、雰囲気温度25℃の条件下で、濃度25%のアンモニア水溶液4.0gを添加し、雰囲気温度25℃の温度条件のまま2時間撹拌した。得られた溶液に、クエン酸1gを純水9gに溶解させて得たクエン酸溶液を加え、1時間撹拌した。撹拌後に沈殿した粉末を遠心分離によって採集し、純水で洗浄し、炉内温度80℃の加熱炉内で乾燥させた。
乾燥させた粉末に純水800gを加えて再度粉末を水に分散させて分散液を得た。得られた分散液を液温50℃に昇温し、撹拌しながら濃度25%アンモニア水溶液を40g滴下した。50℃の温度を保ったまま1時間撹拌した後、テトラエトキシシラン(TEOS)14mLを滴下し、24時間撹拌した。得られた反応溶液に、硫酸アンモニウム50gを加え、沈殿した粉末を遠心分離によって採集し、純水で洗浄し、炉内温度80℃の加熱炉内で24時間乾燥させ、強磁性粉末の前駆体を得た。
得られた強磁性粉末の前駆体を、大気雰囲気下、炉内温度1000℃の加熱炉内に装填し、4時間の加熱処理を施した。
加熱処理した強磁性粉末の前駆体を、4mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液中に投入し、液温を70℃に維持して24時間撹拌することにより、加熱処理した強磁性粉末の前駆体から不純物であるケイ酸化合物を除去した。
その後、遠心分離処理により、ケイ酸化合物を除去した強磁性粉末を採集し、純水で洗浄を行い、強磁性粉末を得た。
得られた強磁性粉末の組成を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−OES;Inductively Coupled Plasma−Optical Emission Spectrometry)により確認したところ、Ga、CoおよびTi置換型ε−酸化鉄(ε−Ga0.58Fe1.42)であった。また、先にSrFe1について記載した条件と同様の条件でX線回折分析を行い、X線回折パターンのピークから、得られた強磁性粉末が、α相およびγ相の結晶構造を含まない、ε相の単相の結晶構造(ε−酸化鉄型の結晶構造)を有することを確認した。
得られたε−酸化鉄粉末の平均粒子サイズは12nm、活性化体積は746nm、異方性定数Kuは1.2×10J/m、質量磁化σsは16A・m/kgであった。
上記の六方晶ストロンチウムフェライト粉末およびε−酸化鉄粉末の活性化体積および異方性定数Kuは、各強磁性粉末について、振動試料型磁力計(東英工業社製)を用いて、先に記載の方法により求められた値である。
また、質量磁化σsは、振動試料型磁力計(東英工業社製)を用いて磁場強度15kOeで測定された値である。
[磁気記録媒体の評価]
<電磁変換特性:SN比(Signal−to−Noise Ratio)>
LTO(Linear Tape−Open)−Gen4(Generation 4)ドライブを用いて、記録トラック幅を11.5μm、再生トラック幅を5.3μmとして、線記録密度172kfciおよび86kfciの信号を記録し、再生信号をスペクトラムアナライザーで周波数分析し、172kfci信号記録時のキャリア信号の出力と、86kfci信号記録時のスペクトル全帯域の積分ノイズとの比をS/N比とした。レファレンス値として比較例2のS/N比を0dBとし、各磁気テープのS/N比を相対値として示した。S/N比が0dB超であれば高密度記録用磁気記録媒体として良好な電磁変換特性を有すると判断することができ、0.5dB以上であれば高密度記録用磁気記録媒体として優れた電磁変換特性を有すると判断することができ、1.0dB以上であれば高密度記録用磁気記録媒体として特に優れた電磁変換特性を有すると判断することができる。
<磁気記録媒体の耐久性(磁性層表面の削れ)>
Al/TiC製の7mm×7mmの断面を有する角柱バーのエッジに磁性層表面を接触させるように150度の角度で磁気テープを渡し、荷重100g、秒速6mの条件で100mの長さの磁気テープを1パス摺動させて、角柱バーのエッジを光学顕微鏡にて観察し、汚れの付着状態を評価した。評価は官能評価とし、10段階評価した。10は最も汚れが少なく、1は最も汚れが多い。
上記方法により評価される汚れは、主に磁性層表面の削れに起因して発生し、評価結果の値が小さいほど磁性層表面が削れ、磁気記録媒体の耐久性が低いことを意味する。評価値5以上であれば、汚れ(磁性層表面の削れ)が少なく磁気記録媒体の耐久性が良好と判断することができ、評価結果7以上であれば耐久性に優れると判断することができ、評価結果8以上であれば耐久性に特に優れると判断することができる。
以上の結果を、先に記載した各化合物の物性値とともに下記表5に示す。
表5に示す結果から、実施例1〜78の磁気記録媒体において、電磁変換特性の向上と耐久性の向上が共に達成されていることが確認できる。
本発明の一態様は、高密度記録用磁気記録媒体の技術分野において有用である。

Claims (24)

  1. 非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    前記磁性層は、ポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有する化合物を更に含む磁気記録媒体。
  2. 前記化合物は、前記ビニルポリマー鎖としてポリ(メタ)アクリラート鎖を含む、請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記化合物は、前記ビニルポリマー鎖としてポリスチレン鎖を含む、請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記化合物のガラス転移温度Tgは、50〜200℃の範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記化合物のアミン価は、0.20mmol/g以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記化合物の重量平均分子量は、30,000以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記磁性層は、前記化合物を前記強磁性粉末100.0質量部あたり0.5〜50.0質量部含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記強磁性粉末の平均粒子サイズは、5〜50nmの範囲である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記強磁性粉末は、六方晶バリウムフェライト粉末である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  10. 前記強磁性粉末は、六方晶ストロンチウムフェライト粉末である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  11. 前記強磁性粉末は、ε−酸化鉄粉末である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、磁気ヘッドと、を含む磁気記録再生装置。
  13. 強磁性粉末、ならびに、
    ポリアルキレンイミン鎖およびビニルポリマー鎖を有する化合物、
    を含む磁気記録媒体用組成物。
  14. 前記化合物は、前記ビニルポリマー鎖としてポリ(メタ)アクリラート鎖を含む、請求項13に記載の磁気記録媒体用組成物。
  15. 前記化合物は、前記ビニルポリマー鎖としてポリスチレン鎖を含む、請求項13または14に記載の磁気記録媒体用組成物。
  16. 前記化合物のガラス転移温度Tgは、50〜200℃の範囲である、請求項13〜15のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用組成物。
  17. 前記化合物のアミン価は、0.20mmol/g以上である、請求項13〜16のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用組成物。
  18. 前記化合物の重量平均分子量は、30,000以下である、請求項13〜17のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用組成物。
  19. 結合剤を更に含む、請求項13〜18のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用組成物。
  20. 前記化合物を、前記強磁性粉末100.0質量部あたり0.5〜50.0質量部含む、請求項13〜19のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用組成物。
  21. 前記強磁性粉末の平均粒子サイズは、5〜50nmの範囲である、請求項13〜20のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用組成物。
  22. 前記強磁性粉末は、六方晶バリウムフェライト粉末である、請求項13〜21のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用組成物。
  23. 前記強磁性粉末は、六方晶ストロンチウムフェライト粉末である、請求項13〜21のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用組成物。
  24. 前記強磁性粉末は、ε−酸化鉄粉末である、請求項13〜21のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用組成物。
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