JP6808954B2 - 熱硬化膜形成用組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱硬化膜形成用組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、硬化膜形成用組成物及びその製造方法に関する。
樹脂を主成分とする基材は、寸法安定性、機械的強度、耐熱性、透明性、電気絶縁性等の諸特性を向上し易いことから、幅広い用途の基材フィルムとして使用されている。ここで、上記基材を例えばフラットパネルディスプレイの表面保護フィルム、太陽電池の保護フィルム等に適用する場合には、耐候性、耐擦傷性等を向上する目的で、上記基材の表面に硬化膜(ハードコート層)を積層した上で使用されることが一般的である。
この硬化膜を形成するための組成物として、既存設備を用いて、PETフィルム等の基材フィルムの製造と同時に硬化膜を形成できることから、分散媒として水を主成分とする水系のエマルジョン組成物が検討されている(特開平09−137081号公報参照)。このような水系の硬化膜形成用組成物によれば、乳化剤を用いることにより、エマルジョンの安定性を高めることができる一方、形成される硬化膜の湿熱耐性(耐水性)は低いものに留まる傾向にある。そのため、上記従来の硬化膜形成用組成物では、エマルジョン安定性と、基材と硬化膜との密着性及び硬化膜の硬度、耐擦傷性及び湿熱耐性とを両立させることが困難であるという不都合がある。
特開平09−137081号公報
本発明は、上述の事情に基づいてなされたものであり、その目的は、エマルジョン安定性に優れ、かつ硬度、耐擦傷性、密着性及び湿熱耐性に優れる硬化膜を形成できる硬化膜形成用組成物並びにその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、官能基数が2以上の(メタ)アクリルモノマー(以下、「[A]モノマー」ともいう)と、(メタ)アクリロイル基及びイオン性基を有する第1乳化剤(以下、「[B]乳化剤」ともいう)と、水を主成分とする分散媒(以下、「[C]分散媒」ともいう)とを含有し、上記[B]乳化剤の含有量が、固形分換算で0.2質量%超2質量%未満である硬化膜形成用組成物である。
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、水を主成分とする分散媒と、官能基数が2以上の(メタ)アクリルモノマーと、(メタ)アクリロイル基及びイオン性基を有する乳化剤とを混合する工程を備える硬化膜形成用組成物の製造方法である。
ここで「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が40質量%以上の成分を指す。
本発明の硬化膜形成用組成物によれば、エマルジョン安定性に優れ、かつ硬度、耐擦傷性、密着性及び湿熱耐性に優れる硬化膜を形成できる。本発明の硬化膜形成用組成物の製造方法によれば、そのような硬化膜形成用組成物を容易かつ確実に製造できる。
<硬化膜形成用組成物>
当該硬化膜形成用組成物は、[A]モノマー、[B]乳化剤及び[C]分散媒を含有し、上記[B]乳化剤の含有量が、固形分換算で0.2質量%超2質量%未満である。当該硬化膜形成用組成物は、例えば基材の形成材料である樹脂フィルムの少なくとも一方の面に塗布されて硬化膜(ハードコート層)を形成するために用いられる。
当該硬化膜形成用組成物は、上記構成を有することにより、エマルジョン安定性に優れ、かつ硬度、耐擦傷性、密着性及び湿熱耐性に優れる硬化膜を形成できる。当該硬化膜形成用組成物が上記構成を有することで上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察される。すなわち、当該硬化膜形成用組成物は[A]モノマー及び[B]乳化剤を含有し、この[B]乳化剤の含有量が上記特定範囲である。当該硬化膜形成用組成物は、[B]乳化剤がイオン性基を有することによりエマルジョン安定性に優れ、また、反応性が高い(メタ)アクリロイル基を有することにより、硬化膜中で[B]乳化剤が架橋構造に容易に組み込まれるので、硬度、耐擦傷性及び密着性を高めつつ、湿熱耐性を向上させることができる。加えて、[B]乳化剤の含有量を上記特定範囲とすることにより、エマルジョン安定性と、硬化膜の硬度、耐擦傷性、密着性及び湿熱耐性とを両立させることができると考えられる。
以下、当該硬化膜形成用組成物の各成分について詳細に説明する。なお、以下において例示される各成分は、特に記載がない限り、1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
[[A]モノマー]
[A]モノマーは、官能基数が2以上の(メタ)アクリルモノマーである。すなわち、[A]モノマーは、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する。[A]モノマーは、加熱により自発的に重合し、得られる重合体が、当該硬化膜形成用組成物により形成される硬化膜の母材となる。
[A]モノマーの有する(メタ)アクリロイル基の数は、2以上であり、3以上が好ましく、3を超えることがさらに好ましい。一方、上記基の数は、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。
2つの(メタ)アクリロイル基を有する[A]モノマーとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3つの(メタ)アクリロイル基を有する[A]モノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する[A]モノマーとしては、例えばペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、4つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴエポキシ(メタ)アクリレート類、ジペンタエリスリトール等の水酸基へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加物のポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
[A]モノマーとしては、上記化合物以外に、ウレタン基と、2つ以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能ウレタンアクリレートを用いることもできる。上記多官能ウレタンアクリレートとしては、例えばジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの2:1付加体(10官能ウレタンアクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートとの2:1付加体(6官能ウレタンアクリレート)等が挙げられる。上記多官能ウレタンアクリレートの市販品としては、例えば新中村化学工業社のUA−W2A(2官能ウレタンアクリレート)、U−6LPA(6官能ウレタンアクリレート)、日本化薬社のKAYARAD DPHA−40H(10官能ウレタンアクリレート)等が挙げられる。
[A]モノマーのアクリル当量の下限としては、50g/eqが好ましく、70g/eqがより好ましく、90g/eqがさらに好ましい。一方、[A]モノマーのアクリル当量の上限としては、2,000g/eqが好ましく、1,000g/eqがより好ましく、300g/eqがさらに好ましく、140g/eqが特に好ましい。[A]モノマーのアクリル当量を上記範囲とすることで、硬化膜の耐擦傷性及び硬度を向上できる。ここで「アクリル当量」とは、化合物の分子量をその化合物の有する(メタ)アクリロイル基の数で除した値であり、(メタ)アクリロイル基1モル当たりの分子量を示す。
[A]モノマーとしては、アクリル当量1,000g/eq以下のものが特に好ましい。このように、当該硬化膜形成用組成物がアクリル当量1,000g/eq以下の[A]モノマーを含有することで、形成される硬化膜の硬度を顕著に向上できる。当該硬化膜形成用組成物が含有する[A]モノマーの全量に対するアクリル当量1,000g/eq以下の[A]モノマーの割合の下限としては、50質量%が好ましい。
[A]モノマーの分子量の下限としては、200が好ましく、500がより好ましい。一方、[A]モノマーの分子量の上限としては、5,000が好ましく、3,000がより好ましく、2,000がさらに好ましく、1,500が特に好ましい。[A]モノマーの分子量を上記範囲とすることでエマルジョン安定性と硬化膜の湿熱耐性とをより向上できる。
[A]モノマーとしては、上述で例示したもの以外に、例えば特開2001−233928号公報、特開2002−012651号公報、特開2009−297271号公報、特開2015−054461号公報、特開2015−146243号公報、特開2015−147828号公報、特開2015−147952号公報等に記載の2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物なども挙げられる。
[A]モノマーとしては、これらの中で、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキシド付加物のヘキサアクリレート、変性ヘキサアクリレート、ウレタン基と2つ以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能ウレタンアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート及びポリテトラメチレングリコールジアクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの2:1付加体及びペンタエリスリトールトリアクリレートとイソホロンジイソシアネートとの2:1付加体がより好ましい。
[A]モノマーの官能基数としては、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、3を超えることがさらに好ましい。一方、上記官能基数としては、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。
当該硬化膜形成用組成物中の[A]モノマーの含有量の下限としては、固形分換算で、40質量%が好ましく、51質量%がより好ましく、70質量%がさらに好ましく、85質量%が特に好ましい。一方、上記含有量の上限としては、99質量%が好ましく、97質量%がより好ましい。[A]モノマーの含有量を上記範囲とすることで、硬化膜の硬度及び耐擦傷性をより向上できる。「固形分換算」とは、[C]分散媒以外の成分の総和に対する含有量比を意味する。
当該硬化膜形成用組成物中の[A]モノマーの[B]乳化剤100質量部に対する含有量としては、2,000質量部超が好ましく、2,500質量部超がより好ましく、3,500質量部超がさらに好ましく、4,500質量部超が特に好ましい。一方、上記含有量としては、50,000質量部未満が好ましく、35,000質量部未満がより好ましく、20,000質量部未満がさらに好ましく、10,000質量部未満が特に好ましい。[A]モノマーの含有量を上記範囲とすることで、硬化膜の硬度及び耐擦傷性をより向上できる。
当該硬化膜形成用組成物中の3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する[A]モノマーの含有量の下限としては、固形分換算で、30質量%が好ましく、35質量%がより好ましく、40質量%がさらに好ましく、45質量部が特に好ましい。一方、上記含有量の上限としては、99質量%が好ましく、97質量%がより好ましい。3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する[A]モノマーの含有量を上記範囲とすることで、硬化膜の硬度及び耐擦傷性をより向上できる。
[[B]乳化剤]
[B]乳化剤は、(メタ)アクリロイル基及びイオン性基を有する乳化剤である。
(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基(CH=CH−CO−)又はメタクリロイル基(CH=C(CH)−CO−)を意味する。これらのうち、より重合反応性に優れ、硬化膜の湿熱耐性をより向上できる観点から、アクリロイル基が好ましい。
[B]乳化剤中の(メタ)アクリロイル基の数は特に限定されないが、1個又は2個が好ましく、1個がより好ましい。
イオン性基としては、例えば
硫酸エステル塩基(−OSOX)、スルホン酸塩基(−SOX)、リン酸エステル塩基(−OPO(OX))、ホスホン酸塩基(−PO(OX))、カルボン酸塩基(−COOX)、ボロン酸塩基(−B(OX))等のアニオン性基(Xは、カチオン基である。);
4級アンモニウム基(−NRY)(Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Yは、1価のアニオン基である。)等のカチオン性基などが挙げられる。
上記Xで表されるカチオン基としては、例えばアンモニウム基(NH )、金属原子、N (Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。)等が挙げられる。
金属原子としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等が挙げられる。
におけるRで表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基等があげられる。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
におけるRで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の炭化水素基、(メタ)アクリロイル基を含む1価の基等が挙げられる。
上記Yで表される1価のアニオン基としては、例えばハロゲン原子、スルホン酸基、カルボン酸基、PF 、SbF 、AsF 、BF 、ClO 、NO 等が挙げられる。
[B]乳化剤は、ポリオキシアルキレン基を有することが好ましい。[B]乳化剤がポリオキシアルキレン基を有することで、当該硬化膜形成用組成物のエマルジョン安定性をより高めることができる。
[B]乳化剤は、芳香環を有することが好ましく、複数の芳香環を有することがより好ましい。[B]乳化剤が1又は複数の芳香環を有することで、硬化膜の硬度、耐擦傷性及び湿熱耐性をより向上させることができる。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。この芳香環は非置換でもよく、アルキル基、アリール基、これらの組み合わせ等で置換されていてもよい。
[B]乳化剤としては、(メタ)アクリロイル基、イオン性基、芳香環及びポリオキシアルキレン基を有する化合物が好ましい。
[B]乳化剤としては、例えば下記式(1)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006808954
上記式(1)中、Xは、芳香環、エチレン性二重結合又はこれらの組み合わせを有する1価の基である。Rは、炭素数2〜4のアルキレン基である。nは、5〜150の整数である。複数のRは、同一でも異なっていてもよい。Rは、−SO 又は−PO(O である。M は、それぞれ独立して、アンモニウム基、金属イオン又はN −R−O−Rである。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは、炭素数1〜20の2価の有機基である。Rは、(メタ)アクリロイル基である。
Xで表される1価の基が有する芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。なお、上記Xが芳香環を有する場合、この芳香環は非置換でもよく、アルキル基、アリール基、これらの組み合わせ等で置換されていてもよい。
Xで表される1価の基としては、下記式(2)で表される基、ビニル基、アリル基、3−ペンテニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、アリルエーテル基が挙げられる。上記Xとしては、これらの中で、下記式(2)で表される基が好ましい。
Figure 0006808954
上記式(2)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。mは、1〜3の整数である。mが2又は3の場合、複数のRは、同一でも異なっていてもよい。*は、上記式(1)における酸素原子に結合する部位を示す。
及びRで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基などが挙げられる。
mとしては、1及び2が好ましい。
で表される炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えばエチレン基(−CHCH−)、n−プロピレン基(−CHCHCH−)、i−プロピレン基(−CH(CH)CH−)、n−ブチレン基(−CHCHCHCH−)、i−ブチレン基(−CH(CH)CHCH−)等が挙げられる。これらの中で、エマルジョン安定性を高める観点から、エチレン基及びi−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
の−PO(O 及び−SO におけるM で表される金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属のイオンなどが挙げられる。
におけるN −R−O−RのRで表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えば上記N のRの炭素数1〜10の1価の炭化水素基として例示したものと同様の基等が挙げられる。Rで表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば置換若しくは非置換の2価の炭化水素基等が挙げられる。
としては、水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子及びエチル基がより好ましい。Rとしては、炭素数2〜10の2価の炭化水素基が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基がより好ましく、エチレン基がさらに好ましい。Rとしては、[B]乳化剤の反応性がより高くなり、その結果、硬化膜の湿熱耐性がより高まる観点から、アクリロイル基が好ましい。
nの下限としては、10が好ましく、20がより好ましい。nの上限としては、130が好ましく、100がより好ましい。
Figure 0006808954
上記式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数2〜4のアルキレン基である。i及びjは、それぞれ独立して、0〜200の整数である。iが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。jが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Rは、単結合又は炭素数1〜30の2価の有機基である。Zは、−SO 又は−PO(O である。Q は、それぞれ独立して、金属イオン又はアンモニウム基である。
としては、[B]乳化剤の反応性がより高くなり、その結果、硬化膜の湿熱耐性がより高まる観点から、水素原子が好ましい。
及びRで表される炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば上記式(1)のRとして例示した炭素数2〜4のアルキレン基と同様の基等が挙げられる。これらの中で、エマルジョン安定性を高める観点から、エチレン基及びi−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
iの下限としては、5が好ましく、10がより好ましい。iの上限としては、150が好ましく、100がより好ましい。jの下限としては、5が好ましく、10がより好ましい。jの上限としては、150が好ましく、100がより好ましい。
で表される炭素数1〜30の2価の有機基としては、例えば置換若しくは非置換の炭素数1〜20の2価のオキシ炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜20の2価のオキシ炭化水素基としては、例えば
メチレンオキシ基、エチレンオキシ基等の2価のオキシ鎖状炭化水素基;
シクロペンチレンオキシ基、シクロヘキシレンオキシ基等の2価のオキシ脂環式炭化水素基;
フェニレンオキシ基、ナフチレンオキシ基、ビフェニレンオキシ基、フェニレンメチレンフェニレンオキシ基等の2価のオキシ芳香族炭化水素基などが挙げられる。
上記2価の炭化水素基の置換基としては、例えばメチル基等のアルキル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
としては、芳香環を有することが好ましく、複数の芳香環を有することがより好ましい。Rが芳香環を有することで、硬化膜の硬度、耐擦傷性及び湿熱耐性をより高めることができる。
としては、単結合及び置換若しくは非置換の2価のオキシ炭化水素基が好ましく、置換若しくは非置換の2価のオキシ炭化水素基がより好ましく、置換若しくは非置換の2価のオキシ芳香族炭化水素基がさらに好ましく、置換若しくは非置換のフェニレンメチレンフェニレンオキシ基が特に好ましい。
Zとしては、エマルジョン安定性をより高める観点から、−SO が好ましく、−SO Na 及び−SO NH がより好ましい。
[B]乳化剤の市販品としては、例えばRE1000、アントックスMS60(以上、日本乳化剤社)等が挙げられる。
[B]乳化剤としては上記式(1)で表される化合物及び上記式(3)で表される化合物が好ましく、(メタ)アクリロイル基、ポリオキシエチレン基及び硫酸エステル塩基を有する化合物がより好ましく、メタクリロイル基を有するポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルメタクリレート硫酸エステル塩)及びアクリル基を有するポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩がさらに好ましい。
当該硬化膜形成用組成物中の[B]乳化剤の含有量としては、固形分換算で、0.2質量%超であり、0.4質量%以上が好ましく、0.6質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上がさらに好ましく、1.1質量%以上が特に好ましい。また、上記含有量としては、2質量%未満であり、1.9質量%以下が好ましく、1.8質量%以下がより好ましく、1.6質量%以下がさらに好ましい。[B]乳化剤の含有量を上記範囲とすることで、エマルジョン安定性と、硬化膜の硬度、耐擦傷性及び湿熱耐性とをより向上させることができる。
当該硬化膜形成用組成物中の[B]乳化剤の含有量の下限としては、[A]モノマー及び乳化剤の合計に対して、0.3質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、0.7質量%がさらに好ましく、0.9質量%が特に好ましく、1.2質量%がさらに特に好ましい。上記含有量の上限としては、2.9質量%が好ましく、2.0質量%がより好ましく、1.9質量%がさらに好ましく、1.8質量%が特に好ましい。乳化剤は、[B]乳化剤及び[D]他の乳化剤との総和である。
[[C]分散媒]
[C]分散媒は、水を主成分する。[C]分散媒としては、水のみを含有する分散媒でも、水及び有機溶媒を含有する混合分散媒でもよい。[C]分散媒としては、環境負荷等の観点から、水のみを含有する分散媒が好ましい。
上記有機溶媒としては、水に可溶な有機媒体であれば特に限定されないが、例えばアルコール類、エーテル類等が挙げられる。上記アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。上記エーテル類としては、例えばエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
[C]分散媒が有機溶媒を含有する場合、有機溶媒の含有量の上限としては、例えば10質量%である。
[任意成分]
当該硬化膜形成用組成物は、任意成分として、[B]乳化剤以外の(メタ)アクリロイル基を有さない第2乳化剤(以下、「[D]他の乳化剤」ともいう)、[E]重合体、[F]濡れ剤、[G]粒子及び/又は[H]重合開始剤をさらに含有するとよい。また、当該硬化膜形成用組成物は、消泡剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、可塑剤、紫外線吸収剤、色剤等のその他の成分をさらに含有してもよい。
[[D]他の乳化剤]
[D]他の乳化剤は、[B]乳化剤以外の乳化剤である。当該硬化膜形成用組成物は、[B]乳化剤に加えて、[D]他の乳化剤をさらに含有することで、エマルジョン安定性をより高めることができる。
[D]他の乳化剤としては、例えばノニオン系乳化剤、[B]乳化剤以外のアニオン系乳化剤等が挙げられる。
ノニオン系乳化剤としては、例えばポリアルキレングリコールのアルキルエステル等のポリオキシアルキレン基を有する化合物、脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
アニオン系乳化剤としては、例えばポリオキシアルキレン基と硫酸エステル塩基等のイオン性基とを有する化合物、この化合物にさらにフェニレンメチレンフェニレンオキシ基等の置換若しくは非置換の2価のオキシ芳香族炭化水素基、及び/又はビニル基、アリル基等のアルケニル基を有する化合物、ロジン酸カリウム、ロジン酸ナトリウム等のロジン酸塩、オレイン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩などが挙げられる。
[D]他の乳化剤としては、例えばポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム等が挙げられる。[D]他の乳化剤の市販品としては、例えばニューコール707(日本乳化剤社)、アクアロンKH10(第一工業製薬社)、ラテムルPD−104(以上、花王社)等が挙げられる。
[D]他の乳化剤としては、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム及びポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウムが好ましい。
当該硬化膜形成用組成物中の[D]他の乳化剤の含有量の下限としては、固形分換算で、0.5質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、1.3質量%がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、10質量%が好ましく、7質量%がより好ましく、5質量%がさらに好ましい。
当該硬化膜形成用組成物中の[D]他の乳化剤の含有量の下限としては、[B]乳化剤100質量部に対して、50質量部が好ましく、80質量部がより好ましく、100質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、1,000質量部が好ましく、600質量部がより好ましく、400質量部がさらに好ましい。
[D]他の乳化剤の含有量を上記範囲とすることで、エマルジョン安定性をさらに高めることができる。
[[E]重合体]
[E]重合体は、硬化膜と基材との密着性を向上することができる成分である。[E]重合体は、ポリマー(例えば数平均分子量が10,000超)の他、オリゴマー(例えば数平均分子量が10,000以下)も含まれる。
[E]重合体としては、例えばPET、PEN等のポリエステルのポリマー又はオリゴマー、架橋性基を有するポリマー又はオリゴマー等が挙げられる。
上記ポリエステルとしては、例えば多塩基酸と多価アルコールとの縮合物等が挙げられる。上記多塩基酸としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、無水コハク酸等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
上記ポリエステルの市販品としては、例えばKA−5071S、KZT−8803、KT−8701、KZT−9204(以上、ユニチカ社)、バイロナールMD1200、MD1245、MD1480,MD1930,MD2000、MD1500(以上、東洋紡社)、PES−H001等のハイテックPEシリーズ(東邦化学工業社)、ニュートラック2010(花王社)、スーパーフレックス210(第一工業製薬社)、プラスコートZ730、Z760、Z592、Z687、Z690(以上、互応化学工業社)等が挙げられる。
上記ポリエステルは、カルボキシ基を有することが好ましい。ポリエステルがカルボキシ基を有することで、例えば架橋性基を有するポリマー又はオリゴマー等によって架橋構造を形成することができ、その結果、硬化膜と基材との密着性をより向上できる。ポリエステルがカルボキシ基を有する場合、ポリエステルにおけるカルボキシ基の含有割合は、ポリエステルの酸価として表すことができ、例えば1KOHmg/g以上30KOHmg/g以下である。
上記架橋性基としては、例えばアミノ基(特にメラミン性のアミノ基)、オキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、イソシアネート基(ブロックイソシアネートを含む)等が挙げられる。上記架橋性基は、例えば基材フィルム等が有するカルボキシ基などと反応して、結合基を生ずる。
上記架橋性基を有するポリマー又はオリゴマーの市販品としては、例えばエポクロスWS−300、WS−500、WS−700、K−2000(以上、日本触媒社)、カルボジライトV−02、SV−02、V−02−L2、V−04、E−01、E−02、E−05(以上、日清紡ケミカル社)、ニカラックMW−30M、MW−30、MW−11、MX−035、MX−45、BX−4000(以上、三和ケミカル社)、H−3、MF−9等のエラストロンシリーズ(以上、第一工業製薬社)などが挙げられる。
[E]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)の下限としては、1,000が好ましく、1,200がより好ましく、1,500がさらに好ましい。一方、[E]重合体のMnの上限としては、100,000が好ましく、90,000がより好ましく、80,000がさらに好ましい。[E]重合体のMnを上記範囲とすることで、当該硬化膜形成用組成物の塗布性を維持しつつ、形成される硬化膜と基材との密着性をより向上できる。
当該硬化膜形成用組成物が[E]重合体を含有する場合、当該硬化膜形成用組成物中の[E]重合体の含有量の下限としては、固形分換算で、0.1質量%が好ましく、1質量%がより好ましい。上記含有量の上限としては、15質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、7.5質量部がさらに好ましい。[E]重合体の含有量を上記範囲とすることで、硬化膜の硬度をより維持しつつ、基材との密着性をさらに向上できる。
[[F]濡れ剤]
[F]濡れ剤は、当該硬化膜形成用組成物を塗布する際のハジキ等を抑制し、硬化膜の均一性をより向上させることができる成分である。[F]濡れ剤は、上述の[B]乳化剤及び[D]他の乳化剤とは、機能の点で異なる。[F]濡れ剤としては、例えばポリオルガノシロキサン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、アクリルポリマー系界面活性剤等が挙げられる。
[F]濡れ剤としては、例えば特開2013−18921号公報、特開2014−133807号公報、特開2014−162889号公報等に記載の濡れ剤等が挙げられる。[F]濡れ剤は、これらの濡れ剤をそのまま用いてもよく、縮合させて用いてもよい。
当該硬化膜形成用組成物が[F]濡れ剤を含有する場合、当該硬化膜形成用組成物中の[F]濡れ剤の含有量の下限としては、固形分換算で、0.01質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、0.2質量%がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、10質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましい。[F]濡れ剤の含有量を上記範囲とすることで、当該硬化膜形成用組成物を塗布する際のハジキ等をより抑制できる。
[[G]粒子]
[G]粒子は、当該硬化膜形成用組成物の貯蔵安定性と、硬化膜の硬度とを向上することができる成分である。[G]粒子としては例えば無機粒子、有機粒子等が挙げられる。
無機粒子の主成分としては、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化セリウム等が挙げられる。無機粒子の主成分としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン及びこれらの組み合わせが好ましく、酸化ケイ素がより好ましい。なお、無機粒子は、アルコキシ基、カルボキシ基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基等を有する化合物で表面処理されたものであってもよい。上記化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物が好ましく、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。無機粒子としては、酸化ケイ素を主成分とする粒子をメタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理したものが特に好ましい。この場合、無機粒子のアクリル当量としては、特に限定されないが、例えば3,000g/eq以上8,000g/eq以下である。
有機粒子としては、例えばアクリル系微粒子等の固体状のもの、中空状のものなどが挙げられる。アクリル系微粒子の主成分としては、例えばメタクリル酸メチル重合体、メタクリル酸とアルキル化合物の共重合体等が挙げられる。
[G]粒子の体積平均粒子径の下限としては、1nmが好ましく、5nmがより好ましく、15nmがさらに好ましく、20nmが特に好ましい。上記体積平均粒子径の上限としては、2,000nmが好ましく、1,500nmがより好ましく、1,200nmがさらに好ましく、1,000nmが特に好ましい。[G]粒子の体積平均粒子径を上記範囲とすることで、当該硬化膜形成用組成物の貯蔵安定性と硬化膜の硬度とをより向上できる。また、硬化膜の透明性も向上できる。ここで「[G]粒子の体積平均粒子径」とは、動的光散乱式粒子径分布測定装置(大凡200nm以下の粒径の場合に適用)、またはレーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(大凡200nm以上の粒径の場合に適用)により測定した粒子径をいう。
当該硬化膜形成用組成物が[G]粒子を含有する場合、当該硬化膜形成用組成物中の[G]粒子の含有量の下限としては、固形分換算で、0.5質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、1.5質量%がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、60質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、40質量%がさらに好ましい。[G]粒子の含有量を上記範囲とすることで、当該硬化膜形成用組成物の塗布性を維持しつつ、貯蔵安定性と硬化膜の硬度とをより向上できる。
[[H]重合開始剤]
[H]重合開始剤は、光照射又は加熱によって活性種を発生し、[A]モノマーの重合を促進することで、硬化膜の硬度を向上させることができる。[H]重合開始剤は、水溶性化合物であっても油溶性化合物であってもよい。
光照射によって活性種を発生する[H]重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、3−メチルアセトフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等が挙げられる。
光照射によって活性種を発生する[H]重合開始剤の市販品としては、例えばIrgacure184(以上、BASF社)等が挙げられる。
加熱によって活性種を発生する[H]重合開始剤としては、例えば
ハイドロパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物;
過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;
1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオアミド]、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド等のアゾ化合物などが挙げられる。
加熱によって活性種を発生する[H]重合開始剤の市販品としては、例えばV−601、V−59、VF−096、VA−067、VE−073、VPS−1001、VPE−0201、VAm110(以上、和光純薬工業社)等が挙げられる。
[H]重合開始剤としては、上述で例示したもの以外に、例えば特開2014−806号公報、特開2014−52493号公報、特開2014−199320号公報、特開2015−071741号公報等に記載の重合開始剤なども挙げられる。
[H]重合開始剤の10時間半減期温度としては、65℃超が好ましい。[H]重合開始剤の10時間半減期温度の下限としては、75℃がより好ましく、80℃がさらに好ましく、85℃が特に好ましい。一方、[H]重合開始剤の10時間半減期温度の上限としては、特に限定されないが、例えば140℃である。[H]重合開始剤の10時間半減期温度を上記範囲とすることで、当該硬化膜形成用組成物により硬化膜を形成する際に[A]モノマーの重合をより効果的に促進し、その結果、硬化膜の硬度をより向上できる。ここで、「10時間半減期温度」とは、半減期が10時間となる温度のことをいう。
[H]重合開始剤としては、これらの中で、加熱によって活性種を発生する重合開始剤が好ましく、アゾ系重合開始剤がより好ましく、10時間半減期温度が65℃超のアゾ系重合開始剤がさらに好ましい。
当該硬化膜形成用組成物が[H]重合開始剤を含有する場合、当該硬化膜形成用組成物中の[H]重合開始剤の含有量の下限としては、固形分換算で、0.01質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましく、1.5質量%が特に好ましい。上記含有量の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましい。[H]重合開始剤の含有量を上記範囲とすることで、硬化膜の硬度をより向上できる。
[重合禁止剤]
重合禁止剤は、保管時等の[A]モノマーの重合を抑制することで当該硬化膜形成用組成物の貯蔵安定性を向上することができる。上記重合禁止剤の市販品としては、例えばp−メトキシフェノール、フェノチアジン、BHT(以上、和光純薬工業社)、IRGANOX1010、IRGANOX1035(以上、BASF社)、SumilizerGA−80(住友化学社)、キノパワーQS−30、キノパワーQS−W10(以上、川崎化成工業社)等が挙げられる。当該硬化膜形成用組成物が上記重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量の上限としては、固形分換算で、1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましい。上記重合禁止剤の含有量を上記範囲とすることで、[A]モノマーの重合性と、当該硬化膜形成用組成物の貯蔵安定性とをバランスよく向上できる。
当該硬化膜形成用組成物の固形分濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。一方、当該硬化膜形成用組成物の固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましい。当該硬化膜形成用組成物の固形分濃度を上記範囲とすることで、塗布性を向上できる。
当該硬化膜形成用組成物中のアルカリ金属イオンの合計含有量の上限としては、1,000ppmが好ましく、500ppmがより好ましく、300ppmがさらに好ましく、100ppmが特に好ましい。一方、上記含有量の下限としては、例えば10ppmである。上記当該硬化膜形成用組成物中のアルカリ金属イオンの合計含有量を上記範囲内とすることで、塗布性を向上できる。また、当該硬化膜形成用組成物から形成される硬化膜を例えば電極形成用基材等に用いる場合の絶縁性能を向上できる。
<硬化膜形成用組成物の製造方法>
当該硬化膜形成用組成物の製造方法は、[C]分散媒、[A]モノマー及びラジカル反応性不飽和結合を有する乳化剤(以下、「[α]乳化剤」ともいう)とを混合する工程(混合工程)を備える。当該硬化膜形成用組成物の製造方法によれば、硬化膜形成用組成物を容易かつ確実に製造できる。
当該硬化膜形成用組成物の製造方法は、上記混合工程により得られた混合物に応力を付与する処理する工程(応力付与工程)をさらに備えることが好ましい。当該硬化膜形成用組成物の製造方法は、上記応力付与工程をさらに備えることで、硬化膜形成用組成物のエマルジョン安定性をより高めることができる。なお、混合工程及び応力付与工程は、同時に行ってもよい。すなわち、[C]分散媒、[A]モノマー及び[α]乳化剤を混合しながら、得られた混合物に適宜応力を付与してもよい。以下、各工程について説明する。
[混合工程]
本工程では、[A]モノマー、[α]乳化剤及び[C]分散媒と、必要に応じて任意成分とを混合し、混合物を得る。混合方法としては、特に限定されず、攪拌混合法等の一般的な方法を採用できる。[α]乳化剤は、上述の当該硬化膜形成用組成物の[B]乳化剤を含むことが好ましい。
[応力付与工程]
本工程では、上記混合工程により得られた混合物に応力を付与する処理を行う。これにより、エマルジョンを調製する。具体的には、エマルジョンの調製は、乳化剤を用いた界面化学的手法と、プロペラミキサー、タービンミキサー、ホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、超音波処理等を用いた機械的手法とを併用して応力を加えることで行う。その調製方法としては、乳化剤を水相に溶解・分散させ、撹拌下で油相を注いでいくAgent−in−water法、乳化剤を油相に溶解・分散させ、撹拌下で水相を注いでいき、途中で連続相が油相から水相に転送する転送乳化法、脂肪酸を油相に、アルカリを水相にそれぞれ溶解しておき、乳化時に水/油の界面で石鹸を生成させるNascent−soap法、乳化剤に対して、水と油を少量ずつ交互に添加する交互添加法等を採用することができる。なお、高圧ホモジナイザー処理とは、固体と液体との混合流体や2種以上液体の混合流体等を超高圧ポンプにて加圧することにより、混合、乳化及び/又は分散させる処理をいう。混合物に応力を付与する方法としては、上記油滴の油滴径を適切な範囲に調節する観点から、高圧ホモジナイザー処理が好ましい。この場合、上記油滴の油滴径をより適切な範囲に調節する観点から、高圧ホモジナイザー処理の前には超音波照射等の他の処理によって上記混合物の乳化及び分散を行わないことが好ましい。以下に、高圧ホモジナイザーを用いるエマルジョン調製方法を説明する。
高圧ホモジナイザー処理における加圧圧力の下限としては、10MPaが好ましく、20MPaがより好ましく、30MPaがさらに好ましい。上記加圧圧力の上限としては、300MPaが好ましく、270MPaがより好ましく、250MPaがさらに好ましい。また、高圧ホモジナイザー処理における処理時間の下限としては、10分が好ましく、30分がより好ましい。上記処理時間の上限としては、180分が好ましく、120分がより好ましい。高圧ホモジナイザー処理における加圧圧力及び処理時間を上記範囲とすることで、硬化膜形成用組成物のエマルジョン安定性をより向上できる。
高圧ホモジナイザー処理における処理温度としては、各成分の変性を抑制する観点から、例えば5℃以上50℃以下である。
<積層体>
基材の少なくとも一方の面に、当該硬化膜形成用組成物を塗布し、硬化膜を積層することにより、積層体を得ることができる。すなわち、この積層体は、基材と、この基材の少なくとも一方の面に積層される硬化膜とを備え、この硬化膜が当該硬化膜形成用組成物により形成される。上記積層体の平均総厚みとしては、例えば10μm以上1,000μm以下である。
[基材]
当該積層体の有する基材の形状としては、通常フィルム状である。上記基材の形状がフィルム状である場合、その平均厚みとしては、例えば5μm以上800μm以下とすることができる。
上記基材の主成分としては、樹脂であれば特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート及びポリスルホンが好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
[硬化膜]
当該積層体の有する硬化膜は、上述の当該硬化膜形成用組成物を用いて形成されるので、上記基材との密着性に優れ、かつ硬度、耐擦傷性及び湿熱耐性に優れる。
上記硬化膜の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.5μmがより好ましい。上記平均厚みの上限としては、30μmが好ましく、10μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。上記硬化膜の平均厚みを上記範囲とすることで、硬度及び耐擦傷性を十分に発現することができる。
硬化膜を形成した積層体は、表面の硬度、耐擦傷性、湿熱耐性等に優れるため、フラットパネルディスプレイ、太陽電池、タッチパネル等の表面保護フィルムや、反射防止フィルムなどとして好適に用いることができる。また、硬化膜を形成した積層体は、上述の用途以外にも、建材、車両等の様々な材料として幅広い用途で用いることができる。
<積層体の製造方法>
当該積層体の製造方法は、基材又はこの基材の形成材料である樹脂フィルムの少なくとも一方の面に当該硬化膜形成用組成物を塗布する工程(塗布工程)と、上記塗布工程により得られた塗膜を加熱する工程(加熱工程)とを備える。上記塗布工程において上記樹脂フィルムの少なくとも一方の面に上記硬化膜形成用組成物を塗布する場合、当該積層体の製造方法は、上記塗布工程後に上記樹脂フィルムを延伸する工程(延伸工程)をさらに備えるとよい。当該積層体の製造方法によれば、当該積層体を容易かつ確実に製造できる。以下、各工程について説明する。
[塗布工程]
本工程では、基材又はこの基材の形成材料である樹脂フィルムの少なくとも一方の面に当該硬化膜形成用組成物を塗布する。
基材の形成材料である樹脂フィルムとしては、例えば樹脂材料をシート状に成形した未延伸樹脂フィルムや、この未延伸樹脂フィルムを延伸した延伸樹脂フィルム等を用いることができる。
上記未延伸樹脂フィルムは、例えば溶融押出法、溶融流涎法、カレンダー法等により樹脂材料をシート状に成形することにより得られる。上記樹脂材料の成形方法としては、溶融押出法が好ましい。溶融押出法に使用される成形装置としては、例えば一軸押出機、二軸押出機等が挙げられる。また、溶融押出法における溶融温度としては、例えば200℃以上300℃以下である。上記樹脂材料としては、ペレット状の熱可塑性樹脂が好ましい。この場合、ペレット状の熱可塑性樹脂は、予め十分に乾燥させておくとよい。シート状に成形した未延伸樹脂フィルムは、静電印加キャスト法により例えば0℃以上50℃以下の冷却ロールに巻き付けて冷却固化させることが好ましい。
上記延伸樹脂フィルムは、上記未延伸樹脂フィルムを長手方向(流れ方向)又は短手方向に延伸することにより得られる。上記延伸樹脂フィルムとしては、上記未延伸樹脂フィルムを長手方向(流れ方向)に延伸したものが好ましい。未延伸樹脂フィルムを長手方向に延伸する方法としては、例えば加熱したロールによって2倍以上5倍以下に延伸する方法等が挙げられる。上記ロール温度の下限としては、80℃が好ましい。一方、上記ロール温度の上限としては、120℃が好ましく、100℃がより好ましい。未延伸樹脂フィルムを短手方向に延伸する方法としては、例えばクリップ止め等の適宜の方法によって端部を把持し、熱風ゾーンに導いて2.5倍以上5倍以下に延伸する方法などがあげられる。熱風ゾーンの温度の下限としては、70℃が好ましく、80℃がより好ましい。一方、熱風ゾーンの温度の上限としては、140℃が好ましく、120℃がより好ましい。
基材又はこの基材の形成材料である樹脂フィルムに当該硬化膜形成用組成物を塗布する方法としては、特に限定されないが、グラビアコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ワイヤーバーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、ディップコート法等が挙げられる。
(延伸工程)
本工程では、少なくとも一方の面に上記硬化膜形成用組成物を塗布した上記樹脂フィルムを延伸する。上記樹脂フィルムを延伸する方向としては、長手方向(流れ方向)でもよく、短手方向でもよく、長手方向及び短手方向の両方でもよいが、上記樹脂フィルムが延伸樹脂フィルムである場合、この延伸樹脂フィルムの製造時には延伸しなかった方向が好ましい。上記樹脂フィルムを延伸する方法としては、例えば未延伸樹脂フィルムを延伸する方法として上述で例示した方法と同様の方法等が挙げられる。
[加熱工程]
本工程では、塗布工程により得られた塗膜を加熱する。本工程により、当該硬化膜形成用組成物の[A]モノマーが重合し、その結果、上記塗膜が硬化して硬化膜が形成される。また、延伸工程で上記樹脂フィルムを延伸している場合、上記樹脂フィルムの結晶配向を促進できる。上記加熱温度としては、例えば160℃以上240℃以下である。また、上記加熱時間としては、例えば1秒以上60秒以下である。
当該硬化膜形成用組成物が光照射によって活性種を発生する[H]重合開始剤を含有する場合、上記加熱工程の前に、上記塗布工程により得られた塗膜に光照射するとよい。このように、上記加熱工程の前に、上記塗膜に光照射することで、当該硬化膜形成用組成物の含有する[H]重合開始剤からの活性種の発生を促進できる。上記光照射の方法としては、高圧水銀灯を用いた紫外線照射等が挙げられる。上記光照射の照射量としては、例えば1,000J/m以上5,000J/m以下である。
<他の実施形態>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば上記好適な実施形態では、本発明の硬化膜形成用組成物を主成分が樹脂である基材を有する積層体の製造に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されず、金属、ガラス、セラミックス等の樹脂以外の材料を主成分とする基材を有する積層体の製造にも適用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
重合体のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー社の「HLC−8020」)を使用し、GPCカラム(東ソー社の「ガードカラムHXL−H」、「TSKgelG7000HXL」、「TSKgelGMHXL」2本及び「TSKgelG2000HXL」を順次連結したもの)を用い、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1mL/分、カラム温度:40℃、サンプル濃度:0.7質量%、注入量:70μLの分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した。
<硬化膜形成用組成物の調製>
各硬化膜形成用組成物の調製に用いた各成分を下記に示す。なお、表1〜3に記載した使用量は、各成分の固形分の質量部を示す。
[[A]モノマー]
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社の「NKエステルA9530」):主成分の分子量579、主成分の官能基数6
DPPA(新中村化学工業社の「NKエステルA9570W」):ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:主成分の分子量525、官能基数5
PETEA:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学社の「ライトアクリレートPE−4A」):分子量352、官能基数4
UA1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの2:1付加体(日本化薬社の「KAYARAD DPHA−40H」、DPHAも含む):主成分の分子量1,215、官能基数10
UA2:ペンタエリスリトールトリアクリレートとイソホロンジイソシアネートとの2:1付加体(新中村化学工業社の「NKオリゴU−6LPA」、ペンタエリスリトールテトラアクリレートも含む):主成分の分子量1,008、官能基数6
[[B]乳化剤]
乳化剤(B−1):メタクリル基を有するポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩(日本乳化剤社の「RE1000」)
乳化剤(B−2):ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルメタクリレート硫酸エステル塩(日本乳化剤社の「アントックスMS60」)
乳化剤(B−3):アクリル基を有するポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩(特許文献WO2013/129492に従い、日本乳化剤社の「ニューコール707SF」とN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートとから合成)
[[C]分散媒]
[[D]他の乳化剤]
乳化剤(D−1):ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(日本乳化剤社の「ニューコール707)
乳化剤(D−2):ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム(第一工業製薬社の「アクアロンKH10」)
乳化剤(D−3):ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(花王社の「ラテムルPD−104」)
[[E]重合体]
PE1:PET系オリゴマー(東洋紡社の「バイロナールMD1500」)
PE2:PET系オリゴマー(東洋紡社の「バイロナールMD2000)
PE3:PEN系オリゴマー(互応化学社の「プラスコートZ−592」)
PE4:PEN系オリゴマー(互応化学社の「プラスコートZ−687」)
OP:架橋剤(オキサゾリン基含有ポリマー、日本触媒社の「エポクロスWS−300」、オキサゾリン基当量:7.7mmol/g)
CIP:架橋剤(カルボジイミド基含有ポリマー、日清紡ケミカル社の「カルボジライトE−05」、カルボジイミド基当量:310g/mol(カルボジイミド基1molあたりの化学式量))
[[F]濡れ剤]
F−1:フッ素系界面活性剤(共栄社化学社の「フタージェント212M)
F−2:アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業社の「オルフィンEXP4123」)
F−3:アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業社の「オルフィンD−10PG」)
[[G]粒子]
(シリカ)
コロイダルシリカ分散液(扶桑化学工業社)を3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで変性した体積平均粒子径35nmのコロイダルシリカ(固形分濃度20質量%の水分散液、アクリル当量5,000g/eq)
(有機粒子)
特公平3−9124記載のアルカリ膨潤法を応用して外径0.6μm及び内径0.4μmに設計した高架橋ポリマー中空粒子の水分散液を合成した。
[[H]重合開始剤]
TI:和光純薬社の「VAm110」(2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、10時間半減期温度:110℃)
PI:BASF社の「Irgacure184」(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
[実施例1〜31及び比較例1〜5]
表1〜3に記載した種類及び量の各成分と水とを混合し、高圧ホモジナイザー(吉田機械興業社の「C−ES008C」)を用い、加圧圧力200MPa、処理時間60分及び処理温度25℃の条件で高圧ホモジナイザー処理することにより、固形分濃度30質量%の硬化膜形成用組成物を調製した。
<評価>
[エマルジョン安定性]
上記得られた硬化膜形成用組成物について、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(日機装社の「MT3000II」)を用いて油滴径を測定し、硬化膜形成用組成物調製後24時間以内の粒径と、40℃、1週間保管したエマルジョンの粒径の値を比較し、変動が3%以下の場合は○、3%超5%以下の場合は○△、5%超10%以下の場合は△、10%超の場合は×、相分離したものは××とした。
<積層体の製造>
上記得られた硬化膜形成用組成物について、下記の方法に従い製造した積層体を用いて評価した。評価結果を表1〜3に示す。積層体の製造に用いた硬化膜形成用組成物以外の材料について以下に示す。
[樹脂フィルム]
PETペレット(ホモポリマー)を十分に乾燥した後、一軸押出機に供給し、250℃で溶融してT−ダイからシート状に押し出し、次いで静電印加キャスト法によって45℃の冷却ロールに巻き付けて冷却固化させることにより、PETの未延伸フィルムを得た。このPETの未延伸フィルムを90℃に加熱し、長手方向に3.0倍に延伸することでPETの一軸延伸フィルムを得た。このPETの一軸延伸フィルムを基材の形成材料である樹脂フィルムとした。
[積層体の製造]
上記樹脂フィルムの一方の面に、実施例1〜24及び比較例1〜11の硬化膜形成用組成物をリバースロールコート法によって塗布した。次に、硬化膜形成用組成物を塗布した樹脂フィルムを予熱ゾーンに導いて130℃で1分間加熱乾燥した後、90℃で短手方向に3.0倍に延伸した。なお、上記樹脂フィルムは、長手方向に3.0倍、横手方向に3.0倍延伸しているため、合計延伸倍率は9.0倍となる。その後、上記樹脂フィルムを熱硬化ゾーンに導き、230℃で30秒間加熱して塗膜の熱硬化を行うことにより、平均厚み50μmの基材と、この基材の一方の面に積層される平均厚み約1μmの被膜とを有する積層体を得た。
なお、光照射によって活性種を発生する重合開始剤を含有する実施例22の硬化膜形成用組成物を用いて上記積層体を製造する際には、硬化膜形成用組成物を塗布した樹脂フィルムを熱硬化ゾーンに導入する前に、高圧水銀灯を用いて3,00mJ/mの照射量にて紫外線照射処理を行った。
<評価>
上記製造した積層体について、下記項目を下記方法により評価した。評価結果を表1〜3に示す。
[鉛筆硬度]
得られた積層体をガラス基板に固定させて、「JIS K5600−5−4」に準拠して評価した。
[耐擦傷性]
得られた積層体をスチールウール(日本スチールウール社の「ボンスターNo.0000」)を学振型摩耗堅牢度試験機(テスター産業社の「AB−301」)に取り付け、硬化膜表面を各荷重にて20回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で確認した。100g、200g、300g、400gと荷重を変更し、傷の無い最大の荷重を耐擦傷性とした。
[基材及び硬化膜の密着性]
JIS−K5600−5−6:1999に従い、クロスカット法により測定を行い、全数100に対するテープ剥離後の残枡数を求め、これを基材及び硬化膜の密着性の指標とした。
[湿熱耐性]
上記積層体のHazeをJIS−K7136:2000に従い測定した。次に、上記積層体に85℃、95%RH、168時間の加熱加湿処理を行った。処理後、上記積層体の非コート面にブリードアウトした成分をイソプロパノールを染み込ませたガーゼで拭取った。その後、積層体のHazeを再度測定し、処理前後のHaze差(ΔHaze:処理後のHaze−処理前のHaze)を求めた。ここで、上記積層体の基材は、不可避的不純物としてポリエステルオリゴマーを含み、このポリエステルオリゴマーが加熱加湿処理によって上記硬化膜を透過して上記積層体の硬化膜側の面にブリードアウトした場合、ΔHazeの値が増大する。そのため、ΔHazeは、上記硬化膜がポリエステルオリゴマーの透過を抑制する性能(オリゴマーブロック性)の程度を示し、硬化膜の湿熱耐性の指標となる。
Figure 0006808954
Figure 0006808954
Figure 0006808954
表1〜3の結果から明らかなように、実施例の硬化膜形成用組成物は、エマルジョン安定性に優れ、かつ形成された硬化膜の硬度、耐擦傷性、密着性及び湿熱耐性にも優れていた。一方、比較例の硬化膜形成用組成物から形成された硬化膜は、湿熱耐性が劣っており、又は硬度、耐擦傷性及び密着性のうちの少なくともいずれかが不十分なものに留まっていた。
本発明の硬化膜形成用組成物によれば、エマルジョン安定性に優れ、かつ硬度、耐擦傷性、密着性及び湿熱耐性に優れる硬化膜を形成できる。本発明の硬化膜形成用組成物の製造方法によれば、そのような硬化膜形成用組成物を容易かつ確実に製造できる。

Claims (7)

  1. 官能基数が2以上の(メタ)アクリルモノマーと、
    下記式(1)で表される第1乳化剤と、
    水を主成分とする分散媒と
    を含有し、
    上記第1乳化剤の含有量が、固形分換算で0.2質量%超2質量%未満である硬化膜形成用組成物。
    Figure 0006808954
    (式(1)中、Xは、下記式(2)で表される基である。Rは、炭素数2〜4のアルキレン基である。nは、5〜150の整数である。複数のRは、同一でも異なっていてもよい。Rは、−SO である。Mは、N −R−O−Rである。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは、炭素数1〜20の2価の有機基である。Rは、(メタ)アクリロイル基である。)
    Figure 0006808954
    (式(2)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。mは、1〜3の整数である。mが2又は3の場合、複数のRは、同一でも異なっていてもよい。*は、上記式(1)における酸素原子に結合する部位を示す。)
  2. 上記(メタ)アクリルモノマーの官能基数が3を超える請求項1に記載の硬化膜形成用組成物。
  3. 上記(メタ)アクリルモノマーの含有量が、固形分換算で51質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の硬化膜形成用組成物。
  4. 上記(メタ)アクリルモノマーの含有量が、上記第1乳化剤100質量部に対して2,500質量部超35,000質量部未満である請求項1又は請求項2に記載の硬化膜形成用組成物。
  5. 上記第1乳化剤以外の第2乳化剤をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の硬化膜形成用組成物。
  6. 重合体をさらに含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の硬化膜形成用組成物。
  7. 水を主成分とする分散媒と、官能基数が2以上の(メタ)アクリルモノマーと、ラジカル反応性不飽和結合を有する乳化剤とを混合する工程
    を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の硬化膜形成用組成物の製造方法。
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