JP6803689B2 - D−アスパラギン酸及びd−アラニンを含有する乳酸菌培養物の製造方法 - Google Patents

D−アスパラギン酸及びd−アラニンを含有する乳酸菌培養物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、D−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物の製造方法に関する。
アミノ酸にはD型(D−アミノ酸)とL型(L−アミノ酸)の2種類が存在することが知られているが、生体中のタンパク質を構成するアミノ酸がL型であることや、L型とD型を精度良く分析する技術が確立されていなかったことから、D型は研究対象となっていなかった。しかし近年、分析技術の進歩により、いくつかのD―アミノ酸が生体内に存在することが明らかとなり、脳やホルモン分泌などで重要な生理機能を担っていることが報告されている。また、発酵食品などにも多く含まれていることが分かってきた。
D−アミノ酸は味の面からも注目を集めており、遊離のアミノ酸の味は、D型とL型で大きく異なることが知られている。また、D−アミノ酸やその塩が、味かどを緩和することが明らかとなっている(特許文献1)。そして、チーズ、ヨーグルト、黒酢又は日本酒等の発酵食品には、D−アミノ酸が豊富に含まれており、発酵食品の旨みの一役を担っていると考えられている。また、昔ながらの作り方(生もと造り)の日本酒は、含有されるD−アミノ酸濃度が高い傾向があり、それらD−アミノ酸は日本酒のうま味や総合評価を高める。(非特許文献1)
D−アミノ酸の中でも、D−アラニン及びD−アスパラギン酸は肌の老化を抑制する働きがあるといわれている。特に、D−アスパラギン酸は、ヒトの皮膚に存在するため、D−アスパラギン酸を摂取することでコラーゲンの産生を促し、美肌効果もあるとして期待されている。また、D−アラニンはヒトの皮膚(角層)に存在し、幼少期には多く存在するものの、加齢と共にD−アラニンが減少すること、皮膚に重要な基底膜の構成成分であるラミニン5の産生を促進する効果が知られる(非特許文献2)。
国際公開第2012/057084号公報
Trace Nutrients Research 29, 1-6 (2012) 資生堂ニュースリリース 2013−5
しかし、このような有用な効果が期待されているにもかかわらず、D−アスパラギン酸及びD−アラニンを高い効率で産生する方法は確立されていなかった。
そこで、上記課題を解決する手段である本発明に係るD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物の製造方法は、乳を含む培地に、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌、及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌を接種して混合培養し、培地を乳酸発酵させ、乳酸菌培養物を得ることを特徴とする。
また、前記乳を含む培地に、プロテアーゼを配合することを特徴とするD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物の製造方法であっても好ましい。
また、本発明は、前記乳酸発酵後、乳酸菌培養物の上清を抽出してD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する溶媒抽出物を得ることを特徴とする製造方法であっても好ましい。
さらに、本発明は、前記製造方法で得られたD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する前記乳酸菌培養物、若しくはD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する溶媒抽出物に由来のD−アスパラギン酸及びD−アラニンを混合して得られる飲料若しくは食品の製造方法であっても好ましい。
さらにまた、本発明は、前記製造方法で得られたD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する前記乳酸菌培養物、若しくはD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する溶媒抽出物に由来のD−アスパラギン酸及びD−アラニンを混合して得られる化粧料の製造方法であっても好ましい。
本発明によれば、単体の乳酸菌を用いて産生した場合と比較して、より多くのD−アスパラギン酸を豊富に含む乳酸菌培養物、若しくは溶媒抽出物を製造することができる。また、得られた乳酸菌培養物はD−アスパラギン酸と共に、豊富なD−アラニンをも含むので、D−アスパラギン酸を摂取することで得られるコラーゲンの産生による美肌効果と、ヒトの皮膚の角層を構成するために重要な成分であるD−アラニンを補給する効果という、二つの美肌効果の発揮が期待できる乳酸菌培養物、若しくは溶媒抽出物を製造することができる。
特に、培地にプロテアーゼを配合することで、プロテアーゼを配合しない場合に比べてさらに多くのD−アスパラギン酸を含む乳酸菌培養物、若しくは溶媒抽出物を製造することができるとともに、プロテアーゼを配合しない場合の本発明に係る製造方法だけでなく、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株単体から産生されるよりもさらに多くのD−アラニンを多く含む乳酸菌培養物、若しくは溶媒抽出物を製造することができる。
また、本発明によるD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物、若しくは溶媒抽出物を飲料、食品、若しくは化粧料に混合することで、D−アラニンと共に、現在はまだ食品添加物として認められていないD−アスパラギン酸をも豊富に含む飲料、食品、もしくは化粧料を得ることができる。これにより、D−アスパラギン酸を摂取することで得られるコラーゲンの産生による美肌効果と、ヒトの皮膚の角層を構成するために重要な成分であるD−アラニンを補給する効果という二つの美肌効果が期待できる飲料、食品、もしくは化粧料を得ることができる。
本発明に係るD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物の製造方法は、乳を含む培地に、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌、及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌を接種して混合培養し、培地を乳酸発酵させる。
また、前記乳酸発酵後、乳酸菌培養物の上清を抽出することで、飲料や化粧料に添加しやすい形態のD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する溶媒抽出物を得ることができる。
乳酸菌としてはストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌、及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌の2種の乳酸菌が使用される。いずれか一方の乳酸菌を単独培養しても、D−アスパラギン酸は生産されないか、又は少量しか生産されない。
培地に用いられる乳としては、例えば牛乳、山羊乳等の獣乳の生乳、これら獣乳の脱脂乳、粉乳、若しくは脱脂粉乳からの還元乳、或いは豆乳、アーモンド乳、ココナッツミルク等の植物乳の各種乳蛋白含有物を用いることができる。特に、乳酸発酵を行った後の処理が容易であること、管理が容易であること等から脱脂乳、若しくは脱脂粉乳が好ましい。
本発明の製造方法で得られるD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物は、乳酸飲料、清涼飲料などに配合することで、D−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する飲料とすることもできる。特に本発明によればD−アスパラギン酸を豊富に含む飲料を提供することができる。乳酸飲料には、本発明で得た乳酸菌培養物若しくはその上清を添加することができる。また、清涼飲料には前記上清を添加することで、風味の変化を抑制しつつD−アスパラギン酸及びD−アラニンを豊富に含む飲料とすることができる。
また、本発明の製造方法で得られるD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物は、冷菓、焼菓子などに配合することで、D−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する食品とすることもできる。特に本発明によればD−アスパラギン酸を豊富に含む食品を提供することができる。冷菓には、本発明で得た乳酸菌培養物若しくはその上清を添加することができる。また、焼菓子には前記上清を乾燥させて得た粉末を原料に添加することもできる。
また、本発明の製造方法で得られるD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物若しくはD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する溶媒抽出物は、乳液、化粧液、ファンデーション、フェイスクリーム、ハンドクリーム、ローション、エッセンス、シャンプー、リンスなどに配合することで、D−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する化粧料とすることもできる。特に本発明によればD−アスパラギン酸を豊富に含む化粧料を提供することができる。これらの化粧料は、常法に従って製造すればよく、本発明の方法で得られるD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物若しくはその上清を抽出することで得られる溶媒抽出物を適宜配合すればよい。なお、これらの化粧料には、必要に応じて、化粧料製造に通常使用される成分、例えば、界面活性剤、油分、アルコール類、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、ビタミン類、アミノ酸などを配合することができる。
以下、実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。なお、実施例に記載の%は、特にことわりのない限り重量パーセント(%(w/w))を示す。
スクリーニング:
本発明に係るD−アミノ酸生産株(ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌、及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌)のスクリーニングは、MRS(de Man、Rogosa、Sharpe)培地を使用し、37℃で24時間培養し、培養液は80℃で5分間加熱し、培養を停止することによって行った。なお、スクリーニング時の培養温度は25℃〜40℃から適宜選択することができる。
さらに、前記スクリーニングにおいて、前記MRS培地で培養されたストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌、及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌のうち、培養停止後の培養液から得られたD−アミノ酸含有量のうちD−アスパラギン酸が100nmol/ml以上もしくはD−アラニンを800nmol/ml以上検出した菌株を選別することが好ましい。この選別によって得られたストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌、及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌を乳培地で混合培養することで、より豊富なD−アスパラギン酸、及びD−アラニンを含む乳酸菌培養物が得られる確率を高めることができるからである。
当該スクリーニングにおけるD−アミノ酸含有量の定量は、まず、前記「スクリーニング:」で得られた培養停止後の培養液に対し2倍量のメタノールを加え撹拌後、遠心分離機にかけて得られる上清を更に蒸留水を用い、4倍に希釈した試料をキラル誘導体化用試料とし、次に、後述の「キラル誘導体化手順:」に従ってキラル誘導体化処理液を調製し、得られたキラル誘導体化処理用試料からHPLCによって表1の条件でD−アミノ酸の含有量を取得して行うことができる。
前記スクリーニング及びD−アミノ酸含有量の定量結果により選択されたストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株(NITE AP−02245)として、また、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株は、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株(NITE AP−02246)としてそれぞれ独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託されている。
(実施例1)
スタータの調製:
脱脂粉乳((株)明治製)を水に溶解し、9%脱脂粉乳培地100mlを調製。これを121℃で15分間殺菌し、冷却後37℃に保温する。これにストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株(NITE AP−02245)のスタータを1ml接種し、37℃で20時間培養してストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株スタータを調製した。
脱脂粉乳((株)明治製)を水に溶解し、9%脱脂粉乳培地100mlを調製。これを121℃で15分間殺菌し、冷却後37℃に保温する。これにラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株(NITE AP−02246)のスタータを1ml接種し、37℃で20時間培養してラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株スタータを調製した。
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株発酵乳の調製:
脱脂粉乳((株)明治製)を水に溶解し、20%脱脂粉乳培地1000mlを調製。これを90℃で5分間殺菌し、冷却後37℃に保温する。前記ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株スタータを10ml接種し、37℃で24時間培養後、80℃で1分間加熱し、発酵を停止した。この培養液を比較培養液1とする。
ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株発酵乳の調製:
脱脂粉乳((株)明治製)を水に溶解し、20%脱脂粉乳培地1000mlを調製。これを90℃で5分間殺菌し、冷却後37℃に保温する。前記ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株スタータを10ml接種し、37℃で24時間培養後、80℃で1分間加熱し、発酵を停止した。この培養液を比較培養液2とする。
混合培養発酵乳の調製:
脱脂粉乳(明治社製)を水に溶解し、20%脱脂粉乳培地1000mlを調製。これを90℃で5分間殺菌し、冷却後37℃に保温する。前記脱脂粉乳培地に、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株スタータを5ml、及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株スタータを5ml接種し、37℃で24時間培養後、80℃で1分間加熱し、発酵を停止した。この培養液を実施培養液1とする。
L,D−アミノ酸の含有量の測定:
実施培養液1、比較培養液1、及び比較培養液2中のアミノ酸の含有量は、次に示すオルトフタルアルデヒド・N−アセチルーL−システインキラル誘導体化法(OPA−NACキラル誘導体化法)を用いたアミノ酸定量分析により測定した。
まず、それぞれの培養液に対し、2倍量のメタノールを加え撹拌後、遠心分離器にかけて得られる上清を蒸留水で3倍に希釈したものをキラル誘導体化用試料とした。なお、培養液に含まれるアミノ酸量に応じ、上清を直接もしくは、蒸留水にて2倍から5倍に希釈したものをキラル誘導体化用試料とすることができる。
キラル誘導体化手順:
キラル誘導体化用試料60μlに1%四ホウ酸ナトリウム水溶液40μl、1%N−アセチルーL−システイン水溶液20μl、1.6%オルト−フタルアルデヒドメタノール溶液20μlを添加し、0.45μmセルロースアセテート製メンブレンフィルター(アドバンテック製)でろ過したものをキラル誘導体化処理液とした。
キラル誘導体化処理液を分析用試料として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC,(株)島津製作所製)によるアミノ酸分析を行った。
また、キラル誘導体化処理液を分析用試料としたHPLCによるアミノ酸分析にあたり、分析条件としては、次の表1に示す条件を選択した。また、分析の結果を表2に示す。
Figure 0006803689
Figure 0006803689
表2中、D−AspはD−アスパラギン酸を、L−AspはL−アスパラギン酸を、D−GluはD−グルタミン酸を、L−GluはL−グルタミン酸を、D−AlaはD−アラニンを、L−AlaはL−アラニンを示す。また後に示す表3においても同様とする。表2より、実施培養液1中のD−アスパラギン酸の含有量は、比較培養液1、及び比較培養液2におけるD−アスパラギン酸の含有量を合わせた量よりも多いことが分かった。この結果は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株とラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株を混合培養することによって、それぞれを単独で培養した場合よりも、D−アスパラギン酸の生産能力を向上させることができたことによるものと考えられる。
また、D−アラニンについても、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株の単体培養よりは僅かに少ないものの、2000nmol/ml以上の含有量を得ることができた。
なお、飲料、食品、若しくは化粧料に添加して用いるための本発明に係るD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する溶媒抽出物も、実施培養液1を遠心分離器にかけて得られる上清を抽出することによって得ることが好ましい。乳酸菌が産生したD−アミノ酸は培養液の溶媒成分中に溶解して含まれるため、培養液の上清を抽出することで、培養液におけるたんぱく質などの溶質成分を除去し、乳培地の溶質に由来する特有の匂い等を軽減したD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する上清を得ることができる。
(実施例2)
プロテアーゼ併用発酵乳の調製:
脱脂粉乳((株)明治製)を水に溶解し、20%脱脂粉乳培地1000mlを調製。これを90℃で5分間殺菌し、冷却後37℃に保温する。プロテアーゼM「アマノ」SD(天野エンザイム(株)製)を、前記20%脱脂粉乳培地1000mlの重量に対して0.05%(w/w)添加した後、実施例1で調製したストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株(NITE AP−02245)スタータを5ml、及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株(NITE AP−02246)スタータを5ml接種し、37℃で24時間培養後80℃で1分間加熱し、発酵を停止した。この培養液を実施培養液2とする。
実施培養液2中のアミノ酸の含有量を、実施例1におけるアミノ酸の含有量の測定方法を用いて測定した。得られたアミノ酸の含有量を表3に示す。また、実施例1における実施培養液1のアミノ酸含有量も合わせて表3に示した。
Figure 0006803689
表3より、培地中にプロテアーゼを配合することによって、プロテアーゼが配合されていない培地で混合培養した場合よりもさらに多くのD−アスパラギン酸が培養液中に含まれることがわかった。また、L−アスパラギン酸、D−グルタミン酸、L−グルタミン酸、D−アラニン、及びL−アラニンの全ての含有量がプロテアーゼ配合されていない培地と比較して増加しており、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)とラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)との混合培養に加え、培地にプロテアーゼを添加することによって、D−アミノ酸を豊富に含む乳酸菌培養物を製造することができた。特に、実施例1ではラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株の単体培養よりは僅かに少くなっていたD−アラニンの含有量も、本実施例2によればラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株の単体培養よりさらに増加させることができた。
このD−アミノ酸の増産効果は、乳酸菌が有するラセマーゼにより、L-アミノ酸からD-アミノ酸へ変換する効果を促進させることができたことによるものと考えられる。なお、本実施例2によればプロテアーゼなし実施例1の場合に比べて約16倍のD−グルタミン酸を含む乳酸菌培養物を製造することもできた。
(実施例3)
本発明に係るD−アスパラギン酸を含有する乳酸菌培養物を含有する飲料、食品、及び化粧料の配合処方を以下に示す。
(乳清入り清涼飲料水の配合処方)
D−アスパラギン酸を含有する発酵乳の上清 1.00 重量%
ヨーグルト香料 0.08
果糖ブドウ糖液糖 11.50
50%クエン酸溶液 0.28
20%クエン酸Na溶液 0.25
精製水 残部
上記清涼飲料水の配合原料を全て混合し、均一になるまで混ぜ合わせて乳清入り清涼飲料水とする。
(氷菓(シャーベット)の配合方処方)
D−アスパラギン酸を含有する発酵乳の上清 0.50 重量%
砂糖 20.00
水飴 6.00
乳化安定剤 0.40
50%クエン酸溶液 0.44
アップル香料 0.10
精製水 残部
上記氷菓の配合原料を全て混ぜ合わせ、冷凍した後に細かく粉砕することによってシャーベットとする。
(化粧水の配合処方)
D−アスパラギン酸を含有する発酵乳の上清 0.50 重量%
ヒアルロン酸(0.1重量%水溶液) 2.00
グリセリン 5.00
エタノール 5.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
精製水 残部
上記化粧水の配合原料を全て混合し、均一になるまで混ぜ合わせて化粧水とする。

Claims (3)

  1. 乳を含む培地にプロテアーゼを配合し、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株(NITE P−02245)、及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株(NITE P−02246)を接種して混合培養し、培地を乳酸発酵させ、乳酸菌培養物を得ることを特徴とするD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物の製造方法。
  2. 乳を含む培地に、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)FL−176株(NITE P−02245)、及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)FL−65株(NITE P−02246)を接種して混合培養し、培地を乳酸発酵させ、乳酸菌培養物を得ることを特徴とするD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する乳酸菌培養物の製造方法。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の乳酸菌培養物から上清を抽出することを特徴とするD−アスパラギン酸及びD−アラニンを含有する溶媒抽出物の製造方法。
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