JP6836847B2 - 香気性微生物培養物 - Google Patents

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Description

本発明は、バラの香気を有する微生物培養物及びその利用に関する。
2-フェニルエタノール(2PE)や酢酸フェニルエチル(PEAc)は、代表的なバラ(薔薇)の香気成分として知られている。斯かる化合物は、一般的には化学合成され、化粧品を始め様々な商品の着香に使用されている。
しかしながら、これらの化学合成品は香りが単調であり、また、香りの刺激が強いため、よりマイルドで自然な香りが求められていた。また、合成時に使用される溶媒の残留も懸念される。
また、サッカロマイセス・セレビシエ等のある種の酵母が香気成分を生産することが知られ、その培養物は香気性を有する培養物として飲食品等に利用されている(特許文献1〜3)。
クリベロマイセス・マキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)は、2-フェニルエタノールを生産する酵母として知られ、前駆体であるL−フェニルアラニンを添加した培地で培養することにより、2-フェニルエタノールを効率よく生産できることが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、一般的な酵母用培地を用いて培養を行った場合、培地に含まれる酵母エキスやペプトン等の匂いが強いため、培養物をそのまま化粧品等に使用することは難しく、蒸留処理を施す、あるいは2-フェニルエタノールを単離精製する必要があった。
一方、チーズホエイをクリベロマイセス・マキシアヌスATCC10022株で発酵させた発酵液を蒸留することによりアルコール飲料を製造できることが報告され、当該蒸留物にはイソアミルアルコール、イソブチルアルコール、1-プロパノール、イソペンチルアルコール等のアルコール類の他、酢酸エチル等の揮発性成分が含まれることが記載されている(非特許文献2)。
特開平5−49465号公報 特開2001−103959号公報 特開2012−55286号公報
CE Fabre et al., Biotechnol. Prog. 14, 270-274 (1998). G. Dragone et al., Food Chemistry 112, 929-935(2009)
本発明は、マイルドなバラの香りを有し、化粧品、飲食品および医薬品等へのバラの香りの付与に適する微生物培養物を提供することに関する。
本発明者は、良好なバラの香気を有する組成物を開発すべく種々検討したところ、乳成分含有培地の乳酸菌培養物をクリベロマイセス・マキシアヌスで発酵させて得られる培養物が、アルコール臭ではなく華やかで且つマイルドなバラの香りを呈し、化粧品、飲食品、医薬品等の着香に有用であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔14〕に係るものである。
〔1〕乳成分含有培地の乳酸菌培養物をクリベロマイセス・マキシアヌスで発酵させた培養物であって、酢酸フェニルエチル1質量部に対してイソアミルアルコールを0.3〜5質量部の比率で含有する培養物。
〔2〕L−フェニルアラニンの存在下で発酵が行われる〔1〕の培養物。
〔3〕乳成分が脱脂粉乳である〔1〕又は〔2〕の培養物。
〔4〕乳酸菌培養物が乳酸菌培養物である〔1〕〜〔3〕のいずれかの培養物。
〔5〕クリベロマイセス・マキシアヌスがクリベロマイセス・マキシアヌス YIT12612(NBRC0260)である〔1〕〜〔4〕のいずれかの培養物。
〔6〕乳酸菌がストレプトコッカス・サーモフィルス YIT2084(FERM BP−10879)である〔1〕〜〔5〕のいずれかの培養物。
〔7〕発酵が乳成分含有培地の乳酸菌培養物にクリベロマイセス・マキシアヌスを添加し、15〜45℃で15〜54時間培養することにより行われる〔1〕〜〔6〕のいずれかの培養物。
〔8〕培養物が蒸留処理した蒸留物である〔1〕〜〔7〕のいずれかの培養物。
〔9〕〔1〕〜〔8〕のいずれかの培養物を含有する香料用組成物。
〔10〕〔1〕〜〔8〕のいずれかの培養物を含有する化粧品。
〔11〕〔1〕〜〔8〕のいずれかの培養物を含有する飲食品。
〔12〕〔1〕〜〔8〕のいずれかの培養物を含有する医薬品。
〔13〕〔1〕〜〔8〕のいずれかの培養物を配合することを特徴とする化粧品、飲食品又は医薬品へのバラの香り付与方法。
〔14〕 乳成分含有培地の乳酸菌培養物をクリベロマイセス・マキシアヌスで発酵させることを特徴とする、酢酸フェニルエチル1質量部に対してイソアミルアルコールを0.3〜5質量部の比率で含有する培養物の製造方法。
本発明の培養物は、化学合成品よりもマイルドなバラの香りを呈し、化粧品、飲食品、医薬品等に、上質で仄かなバラの香りを付与するための香料用組成物として有用である。
本発明の培養物は、乳成分含有培地の乳酸菌培養物をクリベロマイセス・マキシアヌスで発酵させた培養物であって、酢酸フェニルエチル1質量部に対してイソアミルアルコールを0.3〜5質量部の比率で含有するものである。
本発明において、「乳成分」とは、牛乳、山羊乳、羊乳などの獣乳の生乳、加熱乳、脱脂粉乳、全脂粉乳或いは生クリーム、ホエイ等の乳由来の成分を含有する物を意味する。このうち、好ましくは脱脂粉乳が挙げられる。なお、「ホエイ」とは、乳成分から脂肪分及びカゼインを除いたものである。
本発明において、乳成分含有培地の乳酸菌培養物としては、例えば、上記乳成分を含有する培地(乳成分含有培地)で乳酸菌を培養した培養物が挙げられ、好適には当該培養物の培養上清物が挙げられる。乳成分含有培地を微生物で発酵することにより、乳成分由来の匂いが抑えられ、マイルドなバラの香りに影響を与えにくくなるだけでなく、pHが低下するため乳成分由来の不溶性成分が沈殿し、培養上清物を得る場合には、作業効率があがるというメリットもある。
尚、乳成分含有培地には、さらに糖、ビタミン類、タンパク分解物、アミノ酸類、ミネラル類、塩類、界面活性剤、脂肪酸、金属類等の他の成分を含有していてもよい。また、当該他の成分としては、特に限定されるものではないが、グルコース、ガラクトース、ラクトース、フルクトースなどの糖が好ましい。糖としては、微生物に資化される点でグルコースが特に好ましい。なお、酵母エキスやペプトンなどは、本発明の培養物の匂いに影響を加える可能性があることから使用しないほうが好ましい。
培地中の乳成分の含有量は、特に限定されないが、固形分換算で、1〜50質量%(以下、単に「%」と表記した場合には質量%を意味する)が好ましく、2〜10%がより好ましい。また、グルコースの含有量は、微生物の増殖能の点から、0.1〜10%が好ましく、1〜5%がより好ましい。
ここで、乳酸菌としては、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・マリ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・デルブルッキィサブスピーシーズ.ブルガリカス、ラクトバチルス・ヘルベティカス等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチスサブスピーシーズ.ラクチス、ラクトコッカス・ラクチスサブスピーシーズ.クレモリス等のラクトコッカス属細菌、エンテロコッカス・フェカーリス等のエンテロコッカス属細菌、あるいは、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロンガム等のビフィドバクテリウム属細菌を挙げることができる。このうち、好ましくはストレプトコッカス属細菌であり、より好ましくはストレプトコッカス・サーモフィルスであり、さらに好ましくはストレプトコッカス・サーモフィルス YIT2084(FERM BP−10879)が挙げられる。
上記した乳成分含有培地を乳酸菌で発酵させる条件も特に限定されず、例えば、前記培地に対して乳酸菌を0.01〜10%、好ましくは0.1〜5%植菌し、これを20〜45℃、好ましくは37〜42℃で、1〜48時間、好ましくは4〜30時間培養すればよい。なお、この時の他の培養条件としては、静置、攪拌、振盪、通気等が挙げられ、これらから培養に適した方法を適宜選択して行えばよい。
斯くして得られる、乳成分含有培地の乳酸菌培養物はそのまま使用することができるが、公知のろ過、透析、沈殿、遠心分離等の精製、分離処理を施すこともできる。
本発明において用いられる、乳成分含有培地の乳酸菌培養物としては、好適には脱脂粉乳を含有する培地をストレプトコッカス・サーモフィルス YIT2084で発酵させ菌体を除去した培養上清物が好ましく、さらに当該培養上清物を、限外ろ過、ゲルろ過、透析等の処理をして得られる分子量2万以下の画分であるのがより好ましい。また、乳成分含有培地の乳酸菌培養物としては、ラクトース、ガラクトース等の糖、アミノ酸、乳酸、タンパク質等を含有するものが好ましい。
本発明の培養物は、上記の乳成分含有培地の乳酸菌培養物をクリベロマイセス・マキシアヌスで発酵させて調製される。
ここで、クリベロマイセス・マキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)としては酢酸フェニルエチル及びイソアミルアルコールを産生するものであれば、特に限定されないが、クリベロマイセス・マキシアヌスYIT12612(NBRC 0260)を用いるのが好ましい。
クリベロマイセス・マキシアヌスは、乳酸菌培養物に対して、好ましくは0.1〜3.0%、より好ましくは0.2〜1.0%植菌される。
また、この際に、L−フェニルアラニン(L−phe)を添加することが好ましい。L−フェニルアラニンを添加することにより、酢酸フェニルエチルや2-フェニルエタノールの生成量を増加させることができる。この場合、L−フェニルアラニンは、乳酸菌培養物に対して、0.3〜10g/Lとなるように添加するのが好ましく、さらに0.5〜5g/L、さらに2〜4g/Lとなるように添加するのが好ましい。
培養条件は、酢酸フェニルエチルや2-フェニルエタノールの生成量を増加させる点から、嫌気条件とならないような条件で行われるのが好ましい。
培養温度は、酢酸フェニルエチルとイソアミルアルコールの産生量、及び香りの点から、15〜45℃が好ましく、20〜40℃がより好ましく、30〜35℃がさらに好ましい。培養時間は、好ましくは1〜72時間、より好ましくは15〜54時間、さらに好ましくは15〜48時間、特に好ましくは20〜30時間である。より好適には、30〜35℃で20〜30時間の培養が挙げられる。
また、培養方法としては、特に限定されず、撹拌培養、静置培養、振盪培養、中和培養等の何れでもよい。
斯くして得られる培養物は、様々な香気成分を含むため、化学合成された酢酸フェニルエチルに比べてマイルドなバラの香気を呈する。当該培養物は、そのまま着香のための香料用組成物として使用することができるが、ろ過や遠心分離等により菌体を除去したものを使用することが好ましく、常圧蒸留法又は減圧蒸留法等により蒸留・濃縮した蒸留物とするのがより好ましい。
本発明の培養物中には、バラの香り成分である酢酸フェニルエチル及び2−フェニルエタノールの他、イソアミルアルコール等が含まれるが、華やかで且つマイルドなバラの香気を有する点から、培養物中の酢酸フェニルエチルとイソアミルアルコールの含有割合が、酢酸フェニルエチル1質量部に対してイソアミルアルコール0.3〜5質量部、好ましくは0.3〜3質量部、より好ましくは0.3〜1.5質量部である。
酢酸フェニルエチルは、2−フェニルエタノールよりもより華やかなバラの香気を有している。本発明培養物のバラの香気は、酢酸フェニルエチルによるバラの香気を基調とし、酢酸フェニルエチル自体よりマイルドである。
また、本発明の培養物中(蒸留前)には、酢酸フェニルエチルが10〜100ppm、2−フェニルエタノール100〜1500ppm、イソアミルアルコール5〜50ppmを含むのが好ましく、蒸留物には、酢酸フェニルエチルが30〜500ppm、2−フェニルエタノール20〜1200ppm、イソアミルアルコール20〜300ppmを含むのが好ましい。
本発明の培養物は、華やかで且つマイルドなバラの香気を有するため、香料用組成物、化粧品、飲食品および医薬品等に利用することができる。化粧品分野では工業的に利用可能な生物由来の香料は少なく、合成香料よりも天然香料の需要が高いため、化粧品に好適に利用することができる。
ここで、化粧品としては、香水、オーデコロン、オードトワレ等の芳香化粧品、化粧水、乳液、ローション、クリーム、パック、美容液等の基礎化粧品、シャンプーやリンス等の頭髪用化粧品、入浴剤等の浴用化粧品、ファンデーション等のメイクアップ化粧料、日焼け止め等の特殊化粧品等が挙げられる。飲食品としては、各種清涼飲料、発泡酒、ビール、清酒、菓子類、氷菓類、アイスクリーム、はっ酵乳等の乳製品等が挙げられる。また医薬品としては、クリーム、軟膏、ゲル等の外用剤等が挙げられる。
これらの化粧品、飲食品、医薬品中の本発明培養物の含有量は、酢酸フェニルエチル換算で、0.1〜50ppmが好ましく、0.1〜10ppmがより好ましい。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
実施例1
(1)乳酸菌培養物の調製
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) YIT2084(FERM BP−10879)を3%脱脂粉乳培地に1%で植菌し、40℃、で24時間静置培養した。得られた培養物を4℃、8,000×gで15分間遠心分離した。得られた上清を分画分子量20,000Daの遠心分離方式限外濾過フィルター(セントリカットミニV−20:倉敷紡績社製)を用い、4℃、3,000×gで1時間限外濾過処理し、乳酸菌培養物の上清の低分子画分(分子量2万以下)を得た。
この低分子画分を分析した結果、1.1%のラクトース、0.4%のガラクトース、0.4%の乳酸を含み、pHは4.0であった。
(2)クリベロマイセス・マキシアヌス培養物の調製
(a)使用菌株
クリベロマイセス・マキシアヌス(Kluyveromyces marxianus) YIT12612(NBRC 0260)
(b)前々培養
2mLのYeast and Mold(YM)培地(1%グルコース、0.5%ペプトン、0.3%酵母エキス、0.3%麦芽エキス)に20%グリセロールで凍結保存したYIT12612株を20μL接種し、35℃、160rpmで24時間振盪培養した。
(c)前培養
上記(1)で調製した乳酸菌培養物を50mL容三角フラスコに10mL用意し、(b)の前々培養で得られた培養液を1%植菌し、35℃、160rpmで24時間振盪培養した。
(d)培養
上記(1)で調製した乳酸菌培養物に、(c)の前培養で得られた培養液を0.3%植菌して35℃、200rpmで48時間振盪培養した。また、上記(1)で調製した乳酸菌培養物に、3g/LとなるようにL−フェニルアラニンを加えてろ過滅菌し、オートクレーブした8連ミニジャーファーメンター(Bio Jr.8)に100mL加えた後、同様に、(c)の前培養で得られた培養液を0.3%植菌して、35℃、200rpmで24時間又は48時間振盪培養した。
培養終了後、以下の操作を行い、香気成分の分析のための試料(A及びB)を調製した。
試料A:培養物を、15000rpmで10分間遠心分離し、上清を得た。
試料B:培養物を、エバポレーターを用い、加熱温度40℃、冷却温度0℃で減圧を開始し、50〜60mbarで、培養液の約6分の1が回収されるまで蒸留を行い、蒸留物を得た。
(e)香気成分の分析及び香りの評価
上記(d)で調製した試料A及びBを20mLのバイアルに2mLとり、試料中の香気成分を、HS−GC-Flame Ionization Detector (FID)により定量した(表1、表2)。
また、専門パネラーにより、試料の香りの官能評価を行った。結果を表3に併せて示す。
Figure 0006836847
Figure 0006836847
Figure 0006836847
蒸留により、酢酸フェニルエチルとイソアミルアルコールは増え2−フェニルエタノールは減少したが、酢酸フェニルエチルとイソアミルアルコールの比は、蒸留前、蒸留後に関わらずおおよそ1:0.4〜3程度であった。試料A(培養物)及び試料B(蒸留物)は、マイルドなバラの匂いを呈しており、発酵臭も化粧品にそのまま使用できる程度であった。また、24時間培養の方がより、発酵臭が抑えられることが確認された。また、フェニルアラニンを添加することにより、酢酸フェニルエチルの産生量が増えることが確認された。
実施例2
実施例1の実施品4と、酢酸フェニルエチルおよびイソアミルアルコールの合成品について専門パネラー3名により、試料の香りの官能評価を行った。結果を表4に併せて示す。
<評価>
5:マイルドなバラの匂いを有する
4:マイルドなバラの匂いを有するが、5と比較してやや刺激がある、あるいはやや匂いが弱い
3:バラの匂いを有するが、5と比較して刺激が強い、あるいは匂いが弱い
2:バラの匂いを有するが、5と比較して非常に刺激が強い、あるいは匂いが弱い
1:バラの匂いを有しない
Figure 0006836847
実施品4と比較して、合成品の酢酸フェニルエチルは刺激が強いバラの香りであることが確認された。また、酢酸フェニルエチルとイソアミルアルコールの比が1:0.3〜5を外れるとバラの匂いが弱い、あるいはアルコール臭が強いという結果になった。更に、合成品の酢酸フェニルエチルとイソアミルアルコールを1:1.3で配合した場合でも、実施品4と比較して刺激があり、発酵によって得られるその他の成分もマイルドなバラの匂いに寄与していることが確認された。
製造例1
下記組成で、化粧水を調製した。なお、調製方法は、(5)と(6)を混合して、これに(1)〜(4)を加えて十分に攪拌して化粧水を得た。この化粧水は、華やかで且つマイルドなバラの匂いを有していた。
Figure 0006836847
製造例2
下記組成で、乳液を調製した。なお、調製方法は、(10)に(7)〜(8)を加えて加温し、80℃で(1)〜(6)を加えて乳化し、室温まで冷却したのち(9)を加え、乳液を得た。この乳液は、華やかで且つマイルドなバラの匂いを有していた。
Figure 0006836847
製造例3
下記組成で、クリームを調製した。なお、調製方法は、(12)に(9)〜(10)を加えて加温し、80℃で(1)〜(8)を加えて乳化し、室温まで冷却したのち、(11)を加え、クリームを得た。このクリームは、華やかで且つマイルドなバラの匂いを有していた。
Figure 0006836847

Claims (11)

  1. 脱脂粉乳含有培地のストレプトコッカス・サーモフィルス培養物をクリベロマイセス・マキシアヌスで20〜40℃、20〜30時間発酵させた培養物であって、酢酸フェニルエチル1質量部に対してイソアミルアルコールを0.3〜5質量部の比率で含有する培養物。
  2. L−フェニルアラニンの存在下で発酵が行われる請求項1に記載の培養物。
  3. クリベロマイセス・マキシアヌスがクリベロマイセス・マキシアヌス YIT12612(NBRC0260)である請求項1又は2に記載の培養物。
  4. ストレプトコッカス・サーモフィルスがストレプトコッカス・サーモフィルス YIT2084(FERM BP−10879)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の培養物。
  5. 培養物が蒸留処理した蒸留物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の培養物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の培養物を含有する香料用組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の培養物を含有する化粧品。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の培養物を含有する飲食品。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の培養物を含有する医薬品。
  10. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の培養物を配合することを特徴とする化粧品、飲食品又は医薬品へのバラの香り付与方法。
  11. 脱脂粉乳含有培地のストレプトコッカス・サーモフィルス培養物をクリベロマイセス・マキシアヌスで20〜40℃、20〜30時間発酵させることを特徴とする、酢酸フェニルエチル1質量部に対してイソアミルアルコールを0.3〜5質量部の比率で含有する培養物の製造方法。
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