JP6803135B2 - 軽量盛土構造 - Google Patents

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本発明は、軽量盛土構造に関する。
道路の拡幅や急傾斜地への道路の建設などを行う場合には、近年、土を盛り上げる盛土に代わり、盛土材として発泡ポリスチレンブロックを積み重ねる工法や現場で硬質ポリウレタンフォームを発泡する軽量盛土工法が提案されている。
この軽量盛土工法では、発泡ポリスチレンブロックや現場発泡の硬質ポリウレタンフォームを紫外線などから保護したり、目隠しや見栄え(外観)のため盛土の外側面に沿って側壁体を設けている。
例えば特許文献1の軽量盛土用側壁では、合成樹脂発泡板を積み重ねた軽量盛土の側面に沿って支柱を配設し、支柱に連結したアンカーピンを合成樹脂発泡板に保持させて立設する。そして、立設した支柱間に壁パネルを差し込んで取り付けたものを側壁とする。
特開2013−49959号公報
ところが、支柱間に壁パネルを取り付ける側壁体の場合には、支柱の間隔に合わせて壁パネルの幅が定まり、壁パネルの幅が狭くなったり、支柱で断続し、連続した壁パネルを施工することができず、側壁体の構築に手間がかかり施工性に問題がある。
また、支柱の固定にアンカーピンが用いられ、積み重ねられる合成樹脂発泡板を利用して固定することから、支柱の立設と、積み重ねた合成樹脂発泡板へのアンカーピンの取り付けと、を交互に繰り返す必要があり、側壁体の構築に手間がかかるという問題がある。
また、側壁体には、支柱やアンカーピンなどの専用部品が用いられるため、構築のための準備に時間がかかると共に、コスト高という問題がある。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、専用部品を必要とせずに簡単に支柱などを立設することができ、連続した側壁体を効率よく構築することができる軽量盛土構造を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明にかかる軽量盛土構造は、発泡ポリスチレンブロックからなる軽量盛土と、前記軽量盛土の外側面に沿って立設される側壁体と、を備えた軽量盛土構造であって、前記側壁体は、基礎上に立設されるリップ溝型鋼で形成された支柱および前記支柱の前記軽量盛土側に取り付けられるリップ溝型鋼で形成された横梁でなる自立可能な支持枠体と、前記支持枠体の前記支柱の外側面に取り付けられる両面金属複合パネルと、が設けられている、ことを特徴とする。
本発明の軽量盛土構造によれば、専用部品を必要とせずに簡単に支柱などを立設することができ、連続した側壁体を効率よく構築することができる。
本発明の軽量盛土構造の一実施の形態にかかる側壁体部分の平面図である。 本発明の軽量盛土構造の一実施の形態にかかる図1中のA−A断面の下端部の断面図である。 本発明の軽量盛土構造の一実施の形態にかかる図1中のA−A断面の上端部の断面図である。 本発明の軽量盛土構造の一実施の形態にかかる概略断面図である。 本発明の軽量盛土構造の一実施の形態にかかる概略構造を説明する部分斜視図である。 本発明の軽量盛土構造の一実施の形態にかかる工程説明図である。 本発明の軽量盛土構造の軽量盛土の両側に側壁体を構築した場合の概略断面図である。
以下、本発明の軽量盛土構造の一実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
本発明の軽量盛土構造10は、軽量盛土20となる発泡ポリスチレンブロックと、軽量盛土20の外側面に沿って立設される側壁体30と、を備えている。
側壁体30は、例えば地山1の谷側に道路を拡幅する場合に、地山1の法面(傾斜面)と、これに続く地盤2上に設けた基礎31上に立設される。
これにより、軽量盛土構造10では、側壁体30が軽量盛土20の外側面に沿って基礎31上に立設されて自立した状態となっている。また、側壁体30によって、軽量盛土20の外側が覆われ、紫外線などからの保護と、目隠しとして外観の見栄えを良くするようになっている。
側壁体30は、基礎31上に立設されるリップ溝型鋼の支柱32および支柱32の軽量盛土20側に取り付けられるリップ溝型鋼の横梁33で自立可能に形成される支持枠体34と、支持枠体34の支柱32の外側面に取り付けられる両面金属複合パネル35と、で構成される。この側壁体30は、従来の重量構造物に対する大掛かりな基礎とこれに立設されるH型鋼などの強固な支柱と、これら支柱に設置される押出成形セメント板やPC板などの壁面材に比べ、比較的簡易で軽量な構造となっている。
支持枠体34と両面金属複合パネル35による側壁体30は、軽量盛土20と同じ高さと幅に構築される。
支持枠体34は、リップ溝型鋼を用いた支柱32が、一定の間隔で基礎31上に立設され、例えば650mm程度の間隔とされる。支柱32の内側(軽量盛土20側)にリップ溝型鋼を用いた横梁33が各支柱32を連結するように横方向(左右方向)に配置され、上下方向に一定の間隔で固定され、例えば横梁33の上下方向の間隔が1500mm程度とされる。
支持枠体34は、支柱32と、横梁33とを連結して格子状に枠組されることで、簡易な軽構造でありながら自立性を有している。
両面金属複合パネル35は、例えば、図5中の拡大部分に示すように、ガルバリウム鋼板に代表される厚さ約0.1〜0.5mmの金属鋼板を表面材35aとし、フォーミングにより一端に凸状連結部35bを形成するとともに、他端に凹状連結部35cを形成して互いを嵌合連結できるようにしてある。さらに、表面材35aは、中間に必要に応じて形成される意匠とともに、樋状に成形される。表面材35aには、反転状態の樋状の部分に芯材35dとなる発泡性液状硬質ウレタン材料が注入される。芯材35d上には、フォーミングした裏面の金属鋼板の裏面材35eと、発泡する芯材35dの形状を保持する紙などの押え材とを発泡と同時に貼り合せることにより両面金属複合パネル35が構成される。
このように構成された両面金属複合パネル35は、総厚さが10〜50mmとされ、硬質ウレタンフォームを芯材35dとし、表裏両面が金属鋼板35a、35eの複合パネルとなる。なお、表裏面材35a,35eと芯材35dの材質は、上記のものに限定するものではない。
両面金属複合パネル35は、支持枠体34の外側、すなわち軽量盛土20側とは反対側の支柱32の表面にビスなどで取り付けられ、凸状連結部35bと凹状連結部35cを互いに嵌合連結して所定の高さまで構築される。
両面金属複合パネル35は、支柱32の外側に取り付けられることから、従来の支柱間に挿し込む壁面材のように、その横幅が支柱32間の距離に制約されることがない。両面金属複合パネル35は、例えば横幅が4000mm程度とされ、高さが400mm程度のものが使用されるが、これら寸法に限定するものではない。
両面金属複合パネル35は、上下方向は、凸状連結部35bと凹状連結部35cを互いに嵌合連結して水密状態で連結されるが、幅方向の連結部は、表裏面材35a,35eと芯材35dとが露出した状態となることから、図示省略したが、横断面形状がコ字状の側面連結部材で覆い、背中合わせの側面連結部材同士をクリップで固定するようにする。必要に応じて側面連結部材に変性シリコンシーリング材などのシール材が介装される。
また、側壁体30の最上端部は、コ字状もしくはL字状に曲げられた上端プレートが取り付けられる。側壁体30の最側端部にもL字状に曲げられた側面プレートが取り付けられている。
これら側面連結部材や上端プレートおよび側面プレートにより、両面金属複合パネルの芯材35dが露出しないようにしている。
このような軽量盛土構造10では、支持枠体34と両面金属複合パネル35による側壁体30は、比較的簡易で軽量な構造となるが、自立性を備えるとともに、必要な強度を確保することができる。
また、軽量盛土構造10では、必要に応じて、地山1の法面の外側を拡幅する場合には、図4に示すように、支柱32もしくは横梁33に上下方向に移動可能となるように連結した振れ止めアンカー3が設置され、該振れ止めアンカーはコンクリート床版4に接続される。
次に、軽量盛土構造10の施工方法について、簡単に説明する。
A 側壁体30の構築
1)地盤2に設置したコンクリートの基礎31上にリップ溝型鋼の支柱32を、例えば650mmの間隔で必要な長さに渡って設置する。
2)次に、リップ溝型鋼の支柱32を横に連結するようにリップ溝型鋼の横梁33を、例えば上下に1500mmの間隔で側壁体30の必要な高さまで取り付ける。
これにより、支持枠体34が支柱32と横梁33で格子状に組み立てられて基礎31上に立設した状態となる。
また、地山1の法面の外側を拡幅する場合には、支柱32または横梁33のコンクリート床版4が配置される高さに上下方向に移動可能となるように振れ止めアンカー3を連結し、該振れ止めアンカー3は後述するように最終的にコンクリート床版4に接続する。なお、この振れ止めアンカー3を連結する作業は、発泡ポリスチレンブロックを所定高さに設置後、連結してもよい。
3)次に、支持枠体34の外側である支柱32の表面に、両面金属複合パネル35をビスなどで取り付ける。
両面金属複合パネル35は、上下方向には、凸状連結部35bと凹状連結部35cとを嵌合して連結するとともに、幅方向(横方向)の連結部は、図示しない側面連結部材とクリップで接続する。また、側壁体30では、最側端部に側面プレートを取り付け、上端部に上端プレートを取り付けることで、両面金属複合パネル35の芯材35dが露出しない状態で覆うようにしておく。
なお、両面金属複合パネル35の連結部などに形成される隙間には、水密性を確保するため、例えば変性シリコンシーリング材などのシール材でコーキング処理を行う。
こうして軽量盛土構造10の側壁体30の構築が完成する。
B 軽量盛土20の構築
1)支持枠体34の内側(軽量盛土20側)に、図6に示すように、発泡ポリスチレンブロックを設置していき、振れ止めアンカー3が支柱32または横梁33に連結された部位にコンクリート床版4を打設する。
さらに、このように施工された軽量盛土20には、図示省略したが、これまでと同様に、路盤、表層などが形成されて道路の拡幅が完成する。
このような軽量盛土構造10によれば、専用部品を必要とせずに簡単にリップ溝型鋼の支柱32とリップ溝型鋼の横梁33を組み合わせて支持枠体34を自立性を持たせて立設することができ、支持枠体34に両面金属複合パネル35を取り付けることで連続した側壁体30を効率よく構築でき、側壁体30の内側に軽量盛土20を構築することができる。
以上、実施の形態とともに、説明したように、軽量盛土構造10によれば、発泡ポリスチレンブロックからなる軽量盛土20と、軽量盛土20の外側面に沿って立設される側壁体30と、を備えた軽量盛土構造10であって、側壁体30は、基礎31上に立設されるリップ溝型鋼で形成された支柱32および支柱32の軽量盛土20側に取り付けられるリップ溝型鋼で形成された横梁33でなる自立可能な支持枠体34と、支持枠体34の支柱32の外側面に取り付けられる両面金属複合パネル35と、が設けてあるので、専用部品などを必要とせず、リップ溝型鋼の支柱32と横梁33とで自立する支持枠体34を構築することができ、支持枠体34に両面金属複合パネル35を取り付けることで、側壁体30を短時間に構築することができる。
また、リップ溝型鋼の支柱32の間隔とは、関係なく両面金属複合パネル35の長さを設定することができ、両面金属複合パネル35を連続して取り付けることで、短時間に効率よく施工することができる。
また、これら軽量盛土構造10によれば、側壁体30をリップ溝型鋼の支柱32や横梁33、両面金属複合パネル35を用いて構築することができ、重機などを用いることなく、簡単に施工することができる。
なお、上記実施の形態では、軽量盛土20の一方側のみに支柱、横梁および両面金属複合パネル35で構築される側壁体30を設ける場合で説明したが、これに限らず、例えば図7に示すように軽量盛土20の両側や3方などに側壁体30を構築する場合にも同様に適用することができる。
1 地山
2 地盤
3 振れ止めアンカー
4 コンクリート床板
10 軽量盛土構造
20 軽量盛土(発泡ポリスチレンブロック)
30 側壁体
31 基礎
32 支柱(リップ溝型鋼)
33 横梁(リップ溝型鋼)
34 支持枠体
35 両面金属複合パネル
35a 表面材
35b 凸状連結部
35c 凹状連結部
35d 芯材
35e 裏面材

Claims (1)

  1. 発泡ポリスチレンブロックからなる軽量盛土と、前記軽量盛土の外側面に沿って立設される側壁体と、を備えた軽量盛土構造であって、
    前記側壁体は、基礎上に立設されるリップ溝型鋼で形成された支柱および前記支柱の前記軽量盛土側に取り付けられるリップ溝型鋼で形成された横梁でなる自立可能な支持枠体と、前記支持枠体の前記支柱の外側面に取り付けられる両面金属複合パネルと、が設けられており、
    前記両面金属複合パネルは、硬質ポリウレタンフォームからなる芯材と、当該芯材の両面に金属鋼板からなる表面材及び裏面材を備え
    前記表面材は、一端に凸状連結部、他端に凹状連結部を有するとともに、互いを嵌合連結できるようにしてあることを特徴とする軽量盛土構造。
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