JP6559461B2 - 軽量盛土構造 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1の軽量盛土用側壁では、合成樹脂発泡板を積み重ねた軽量盛土の側面に沿って支柱を配設し、支柱に連結したアンカーピンを合成樹脂発泡板に保持させて立設する。そして、立設した支柱間に壁パネルを差し込んで取り付けたものを側壁とする。
また、支柱の固定にアンカーピンが用いられ、積み重ねられる合成樹脂発泡板を利用して固定することから、支柱の立設と、積み重ねた合成樹脂発泡板へのアンカーピンの取り付けと、を交互に繰り返す必要があり、側壁体の構築に手間がかかるという問題がある。
また、側壁体には、支柱やアンカーピンなどの専用部品が用いられるため、構築のための準備に時間がかかると共に、コスト高という問題がある。
現場発泡ウレタンからなる軽量盛土と、前記軽量盛土の外側面に沿って立設される側壁体と、を備えた軽量盛土構造であって、
前記側壁体は、基礎上に立設されるリップ溝型鋼で形成された支柱および前記支柱の前記軽量盛土側に取り付けられるリップ溝型鋼で形成された横梁でなる自立可能な支持枠体と、前記支持枠体の前記支柱の外側面に取り付けられる両面金属複合パネルと、を備え、
前記支持枠体は、前記支柱の前記軽量盛土側に前記横梁が連結されて格子状に枠組みされ、
前記支持枠体の前記横梁の前記軽量盛土側には、固定仕切り部材と、可動仕切り部材と、が設けられ、前記固定仕切り部材と前記支柱との間に前記横梁の厚さ分の空間が確保されている、
ことを特徴とする。
本発明の軽量盛土構造10は、軽量盛土20となる現場発泡ウレタンと、軽量盛土20の外側面に沿って立設される側壁体30と、を備えている。
側壁体30は、例えば地山1の谷側に道路を拡幅する場合に、地山1の法面(傾斜面)と、これに続く地盤2上に設けた基礎31上に立設される。そして、側壁体30の軽量盛土20側には、現場発泡ウレタンの収縮にともなう力の側壁体30への伝達を防止する固定仕切り部材36と、現場発泡ウレタンと接して収縮にともなう力により移動可能な可動仕切り部材37と、が設けられる。
そして、可動仕切り部材37の内側に軽量盛土20となる現場発泡ウレタンが発泡充填され、現場発泡ウレタンの収縮にともなう力が側壁体30に及ばないようにして軽量盛土構造10が構成されている。
これにより、軽量盛土構造10では、側壁体30が軽量盛土20の外側面に沿って基礎31上に立設されて自立した状態となっている。また、側壁体30の軽量盛土20側(内側)には、固定仕切り部材36と可動仕切り部材37が設けられて現場発泡ウレタンによる軽量盛土20の収縮による影響が及ばないようになっている。また、側壁体30によって、軽量盛土20の外側が覆われ、紫外線などからの保護と、目隠しとして外観の見栄えを良くするようになっている。
支持枠体34は、リップ溝型鋼を用いた支柱32が、一定の間隔で基礎31上に立設され、例えば650mm程度の間隔とされる。支柱32の内側(軽量盛土20側)にリップ溝型鋼を用いた横梁33が各支柱32を連結するように横方向(左右方向)に配置され、上下方向に一定の間隔で固定され、例えば横梁33の上下方向の間隔が1500mm程度とされる。
支持枠体34は、支柱32と、横梁33とを連結して格子状に枠組されることで、簡易な軽構造でありながら自立性を有している。
このように構成された両面金属複合パネル35は、総厚さが10〜50mmとされ、硬質ウレタンフォームを芯材35dとし、表裏両面が金属鋼板35a,35eの複合パネルとなる。なお、表裏面材35a,35eと芯材35dの材質は、上記のものに限定するものではない。
両面金属複合パネル35は、支持枠体34の外側、すなわち軽量盛土20側とは反対側の支柱32の表面にビスなどで取り付けられ、凸状連結部35bと凹状連結部35cを互いに嵌合連結して所定の高さまで構築される。
両面金属複合パネル35は、支柱32の外側に取り付けられることから、従来の支柱間に挿し込む壁面材のように、その横幅が支柱32間の距離に制約されることがない。両面金属複合パネル35は、例えば横幅が4000mm程度とされ、高さが400mm程度のものが使用されるが、これら寸法に限定するものではない。
また、側壁体30の最上端部は、コ字状もしくはL字状に曲げられた上端プレートが取り付けられる。側壁体30の最側端部にもL字状に曲げられた側面プレートが取り付けられている。
これら側面連結部材や上端プレートおよび側面プレートにより、両面金属複合パネルの芯材35dが露出しないようにしている。
これら固定仕切り部材36と可動仕切り部材37は、図5〜図7に示すように、重ね合わせるように支柱32の軽量盛土20側に設けるほか、固定仕切り部材36と可動仕切り部材37との2枚のウレタンボードを棒状のスペーサー38を介して設置しても良い(図8参照)。
このように固定仕切り部材36と可動仕切り部材37との2枚のウレタンボードを棒状のスペーサー38を介して設置するようにすれば、可動仕切り部材37と地山1までの距離が短い場合等、現場発泡ウレタンである硬質ポリウレタンフォームの収縮が少なく、固定仕切り部材36と可動仕切り部材37との隙間が狭いことによる、軽量盛土20となる硬質ポリウレタンフォームの未充填を防止することができる。なお、後述するようにスペーサー38は、可動仕切り部材37が自立できる状態となった時点で取り外すものである。
現場発泡ウレタンによる収縮で移動した可動仕切り部材37と固定仕切り部材36との間にも現場発泡ウレタンが充填されて軽量盛土構造10が構成される。
A 側壁体30の構築
1)地盤2に設置したコンクリートの基礎31上にリップ溝型鋼の支柱32を、例えば650mmの間隔で必要な長さに渡って設置する。
なお、例えば橋桁下などの空間に軽量盛土20を充填する場合には、リップ溝型鋼の支柱32の上端部と予め躯体に設置したアンカーとを接続する。
2)次に、リップ溝型鋼の支柱32を横に連結するようにリップ溝型鋼の横梁33を、例えば上下に1500mmの間隔で側壁体30の必要な高さまで取り付ける。
これにより、支持枠体34が支柱32と横梁33で格子状に組み立てられて基礎31上に立設した状態となる。
地山1の法面の外側を拡幅する場合には、支柱32または横梁33の上端部付近に上下方向に移動可能となるようにタイロッド3を連結し、タイロッド3と予め設置しておいたグラウンドアンカー5のコンクリート受圧板4とを接続する。
3)次に、支持枠体34の外側である支柱32の表面に、両面金属複合パネル35をビスなどで取り付ける。
両面金属複合パネル35は、上下方向には、凸状連結部35bと凹状連結部35cとを嵌合して連結するとともに、幅方向(横方向)の連結部は、図示しない側面連結部材とクリップで接続する。また、側壁体30では、最側端部に側面プレートを取り付け、上端部に上端プレートを取り付けることで、両面金属複合パネル35の芯材35dが露出しない状態で覆うようにしておく。
なお、両面金属複合パネル35の連結部などに形成される隙間には、水密性を確保するため、例えば変性シリコンシーリング材などのシール材でコーキング処理を行う。
こうして軽量盛土構造10の側壁体30の構築が完成する。
1)支持枠体34の内側(軽量盛土20側)に、図6に示すように、一段目の現場発泡ウレタンを吹き付けて発泡させる高さ分の固定仕切り部材36と可動仕切り部材37を設置する。
固定仕切り部材36と可動仕切り部材37の設置高さは、軽量盛土20とする硬質ポリウレタンフォームの一工程分の充填高さ、例えば1日分の盛土高さ、例えば1m程度を施工の目途とする。
なお、図示例の硬質ポリウレタンフォームによる軽量盛土20の充填高さと固定仕切り部材36および可動仕切り部材37の設置高さは、概念を示すもので、寸法そのものを表すものではない。
可動仕切り部材37は、図5に示すように、固定仕切り部材36に重ねて設置する。
こうして一段目の固定仕切り部材36と可動仕切り部材37の設置が完了する。
軽量盛土20となる硬質ポリウレタンフォームは、水平方向に移動しながら1回に数十〜100mm程度の発泡厚さとなるように吹き付けて層状に発泡させ、これを繰り返して1日分の盛土高さを形成する。
翌日以降では、前工程で発泡充填させた硬質ポリウレタンフォームが内部温度の低下により収縮し、可動仕切り部材37が追随して移動することになり、支持枠体34に固定状態の固定仕切り部材36との間に隙間が形成される。
この隙間は、可動仕切り部材37と地山1までの距離や硬質ポリウレタンフォームの積層状態などにより可動仕切り部材37が斜めの形状となる。
なお、この1段目の隙間への軽量盛土20となる硬質ポリウレタンフォームの充填後に、次段の固定仕切り部材36と可動仕切り部材37の設置を開始する。
さらに、このように施工された硬質ポリウレタンフォームの軽量盛土20には、図示省略したが、これまでと同様に、溶接鉄筋が入れられたコンクリート床版が形成され、路盤、表層などが形成されて道路の拡幅が完成する。
続いて、図8(a)に示すように、軽量盛土20とする硬質ポリウレタンフォームを発泡充填させ、可動仕切り部材37が自立できる状態となった時点でスペーサー38を取り外す。その結果、スペーサー38を取り外してできた空間により、可動仕切り部材37と地山1までの距離が短い場合等、硬質ポリウレタンフォームの収縮が少なく、固定仕切り部材36と可動仕切り部材37との空間が狭いことによる、軽量盛土20とする硬質ポリウレタンフォームの未充填を防止することができる。
続いて、図8(b)に示すように、1段目の固定仕切り部材36と可動仕切り部材37との空間へ、軽量盛土20となる硬質ポリウレタンフォームを充填し、その後、次段の固定仕切り部材36と可動仕切り部材37の設置を、スペーサー38を介して行う。
続いて、2段目以降の施工についても、同様の方法を繰り返し、所定高さの軽量盛土構造10を完成することができる。
また、ポリオールはエステル型とエーテル型があるが、耐久性、特に耐加水分解性の点からポリエーテルポリオールが好適に用いられる。ポリイソシアネート成分としては特に制限されないが、一般にはクルードMDI等の有機ジイソシアネートが用いられる。発泡剤としては、特に制限されないが、水、炭酸ガス、炭化水素などのノンフロン系発泡剤が環境対策上好ましい。
リップ溝型鋼の支柱32は、図示例のように、基礎31と橋桁7との間に両端を取り付けて固定している。この支柱32にリップ溝型鋼の横梁33を取り付けて支持枠体34を構築するなど他の構成は、既に説明した軽量盛土構造10の場合と同一である。
このような軽量盛土構造40を設けることで、橋桁7に加わる荷重を分散して支持することができ、特に既設の橋桁7の補強などに用いることができる。
このような橋桁7に適用する場合も専用部品を必要とせずに簡単にリップ溝型鋼の支柱32とリップ溝型鋼の横梁33を組み合わせて支持枠体34の自立性を持たせて立設することができ、支持枠体34に両面金属複合パネル35を取り付けることで連続した側壁体30を効率よく構築でき、側壁体30の内側に軽量盛土50を構築することができる。
また、軽量盛土構造40によっても既に説明した軽量盛土構造10と同様の効果を奏する。
また、側壁体30の内側に固定仕切り部材36と可動仕切り部材37を介して軽量盛土20を現場発泡で構築するので、軽量盛土20の収縮にともなう力を側壁体30に伝えることがなく、簡単な構造の側壁体30で軽量盛土構造10を構築することができる。
また、リップ溝型鋼の支柱32の間隔とは、関係なく両面金属複合パネル35の長さを設定することができ、両面金属複合パネル35を連続して取り付けることで、短時間に効率よく施工することができる。
2 地盤
3 タイロッド
4 コンクリート受圧板
5 グラウンドアンカー
7 橋桁
10 軽量盛土構造
20 軽量盛土(現場発泡ウレタン)
30 側壁体
31 基礎
32 支柱(リップ溝型鋼)
33 横梁(リップ溝型鋼)
34 支持枠体
35 両面金属複合パネル
35a 表面材
35b 凸状連結部
35c 凹状連結部
35d 芯材
35e 裏面材
36 固定仕切り部材
37 可動仕切り部材
38 スペーサー
40 軽量盛土構造
50 軽量盛土(現場発泡ウレタン)
Claims (3)
- 現場発泡ウレタンからなる軽量盛土と、前記軽量盛土の外側面に沿って立設される側壁体と、を備えた軽量盛土構造であって、
前記側壁体は、基礎上に立設されるリップ溝型鋼で形成された支柱および前記支柱の前記軽量盛土側に取り付けられるリップ溝型鋼で形成された横梁でなる自立可能な支持枠体と、前記支持枠体の前記支柱の外側面に取り付けられる両面金属複合パネルと、を備え、
前記支持枠体は、前記支柱の前記軽量盛土側に前記横梁が連結されて格子状に枠組みされ、
前記支持枠体の前記横梁の前記軽量盛土側には、固定仕切り部材と、可動仕切り部材と、が設けられ、前記固定仕切り部材と前記支柱との間に前記横梁の厚さ分の空間が確保されている、
ことを特徴とする軽量盛土構造。 - 前記現場発泡ウレタンの収縮により移動した前記可動仕切り部材と、前記固定仕切り部材との隙間に現場発泡ウレタンが充填されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の軽量盛土構造。 - 前記固定仕切り部材と前記可動仕切り部材との間に空間を空けるスペーサーを設けた、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の軽量盛土構造。
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