JP6800737B2 - 画像形成方法、画像形成装置及びトナーキット - Google Patents

画像形成方法、画像形成装置及びトナーキット Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられる画像形成方法、画像形成装置及びトナーキットに関する。
従来、電子写真法を用いた画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の有色トナー(以下、カラートナーという)だけでなく、無色透明である透明トナーを用いて転写材にトナー像を形成する画像形成装置が提案されている。このように透明トナーを用いることで、様々な表現ができるようになる。例えば、透明トナーによって、シートの画像面全体に光沢を均一に付与する方法がある。この方法では、転写材の画像面、及びカラートナーの載っていない白地部を透明トナーで覆って光沢を付与する。
しかしながら、これら透明トナーを用いた画像形成方法は、転写材上にカラートナー像と透明トナー像を順次形成し、定着しなければならないため、一度に定着しなければならないトナー量が増えてしまう。そのため、定着装置としては多くの加熱温度、加圧圧力を必要とされ、それに伴い、オフセット現象や、定着後の定着部材と転写材との分離において不具合が発生し易かった。
これに対し、転写材上にまずカラートナー像だけを形成して定着してから、その上に透明トナー像を形成して定着し、透明トナーのみに必要な、定着温度、加圧に調整することにより耐オフセット性、分離性を改良する提案もされている。
しかしながら、どちらの方法においても、透明トナーの画像部と白地部とで転写材状へのトナー乗り量が変化することにより、トナーの受ける熱量が変化し定着後トナー表層状態に影響を及ぼす。それにより画像の光沢一様性を保つことが難しく、特に、トナーの乗り量が少なくなる白地部においては、透明トナーが転写材に過度に浸透し、転写材の地合いが透け出す「鬆」現象が発生し、光沢度の低下が著しかった。
また透明トナーを用いた画像形成方法として、透明トナーを用いて、シートに、グロスマーク、ウォーターマーク、セキュリィティマークなどのマークを形成する方法がある。具体的には、シートの白地部に、上記のロゴなどのマークを画像形成して、透かしのように用いる方法がある。或いは、シートの画像部のうち、カラートナーで画像形成した上に、上記のロゴなどのマークを画像形成して、光沢差によって前記マークを目立たせる方法がある。
このようなマークの形成に用いられる透明トナーは、上記した光沢付与に用いられる透明トナーとは異なり、カラートナーとの光沢度に差があることが好ましい。
例えば、特許文献1及び2においては、カラートナーと透明トナーの貯蔵弾性率を調整することにより光沢性の確保、トナーブリスター現象の抑制の提案がされている。しかしながら、白地部と画像部での光沢一様性の面で不十分であり、また一方で「透かし」マーク等の画像形成においては、カラー画像と透明画像の光沢差が不十分であり改良の余地があった。
特開2010−79106号公報 特開2010−237240号公報
本発明の目的は上記問題点を解消した、有色(カラー)トナーと透明トナーを用いた画像形成方法において、優れた定着性と耐高温オフセット性を有するとともに、光沢均一性に優れる画像形成方法、画像形成装置及びトナーキットを提供することである。
さらに、「透かし」マーク等の画像出力の際も十分な認識性能を満足する画像形成方法、画像形成装置及びトナーキットを提供することである。
上記の課題は、下記の構成のトナーにより解決することができる。
すなわち、本発明は、静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、
帯電された前記静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、
現像装置を用いて、トナーと磁性キャリアを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程、
中間転写体を介して又は介さずに前記トナー像を転写材に転写する転写工程、及び
転写されたトナー像を転写材に定着する定着工程
を有する画像形成方法において、
前記画像形成方法は、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーからなる群から選択される1種以上の有色トナーと透明トナーとを組み合わせてカラートナー画像を形成し、前記転写材上の最上層に透明トナー像を形成する画像形成方法であり、
前記有色トナー及び透明トナーは、結着樹脂、及び離型剤を含むトナーであり、
前記有色トナーの90℃における貯蔵弾性率G’Cl(90)と、前記透明トナーの90℃における貯蔵弾性率G’Tr(90)が、以下の式(1)〜(3)を満足する
ことを特徴とする画像形成方法に関する。
3.0×105 (Pa)≦G’Tr(90)≦1.0×107 (Pa) (1)
5.0×104 (Pa)≦G’Cl(90)≦1.0×106 (Pa) (2)
7.0≦G’Tr(90)/G’Cl(90)≦100.0 (3)
また、本発明は、静電潜像担持体を帯電するための帯電手段、
帯電された前記静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成するための露光手段、
トナーと磁性キャリアを含む現像剤を有し、前記現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成するための現像手段、
中間転写体を介して又は介さずに前記トナー像を転写材に転写するための転写手段、及び
転写されたトナー像を前記転写材に定着するための定着手段
を有する画像形成装置おいて、
前記画像形成装置は、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーからなる群から選択される1種以上の有色トナーと透明トナーとを組み合わせてカラートナー画像を形成し、前記転写材上の最上層に透明トナー像を形成する画像形成装置であり、
前記有色トナー及び透明トナーは、結着樹脂、及び離型剤を含むトナーであって、
前記有色トナーの90℃における貯蔵弾性率をG’Cl(90)と、前記透明トナーの90℃における貯蔵弾性率G’Tr(90)が、以下の式(1)〜(3)を満足する
ことを特徴とする画像形成装置に関する。
3.0×105 (Pa)≦G’Tr(90)≦1.0×107 (Pa) (1)
5.0×104 (Pa)≦G’Cl(90)≦1.0×106 (Pa) (2)
7.0≦G’Tr(90)/G’Cl(90)≦100.0 (3)
さらに、本発明は、静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、
帯電された前記静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、
現像装置を用いて、トナーと磁性キャリアを含む現像剤により前記静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像工程、
中間転写体を介して又は介さずに前記トナー像を転写材に転写する転写工程、及び
転写されたトナー像を転写材に定着する定着工程
を有する画像形成方法に用いられるトナーキットおいて、
前記画像形成方法は、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーからなる群から選択される1種以上の有色トナーと透明トナーとを組み合わせてカラートナー画像を形成し、前記転写材上の最上層に透明トナー像を形成する画像形成方法であり、
前記有色トナー及び透明トナーは、結着樹脂、離型剤を含むトナーであって、
前記有色トナーの90℃における貯蔵弾性率をG’Cl(90)と、前記透明トナーの90℃における貯蔵弾性率G’Tr(90)が以下の式(1)〜(3)を満足することを特徴とする画像形成方法に用いられるトナーキットに関する。
3.0×105 (Pa)≦G’Tr(90)≦1.0×107 (Pa) (1)
5.0×104 (Pa)≦G’Cl(90)≦1.0×106 (Pa) (2)
7.0≦G’Tr(90)/G’Cl(90)≦100.0 (3)
本発明によれば、有色(カラー)トナーと透明トナーを用いた画像形成方法において、優れた定着性と耐高温オフセット性、光沢均一性、「透かし」マーク等の認識性を満足することができる。
本発明に用いられる評価用サンプル画像を示す図である。
以下、本発明の画像形成方法、画像形成装置及びトナーキットを実施するための形態を詳細に説明する。
本発明が前提とする画像形成方法の基本構成は、静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、帯電された前記静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、現像装置を用いて、トナーと磁性キャリアを含む現像剤により前記静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像工程、前記トナー像を、中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、及び転写されたトナー像を転写材に定着する定着工程を有しており、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーからなる群から選択される1種以上の有色トナーと透明トナーとを組み合わせてカラートナー画像を形成し、前記転写材上の最上層に透明トナー像を形成する画像形成方法である。そして、前記有色トナー及び透明トナーは、結着樹脂、離型剤を含むトナーであって、前記有色トナーの90℃における貯蔵弾性率をG’Cl(90)と、前記透明トナーの90℃における貯蔵弾性率G’Tr(90)が以下の式を満足することを特徴とするものである。
3.0×105≦G’Tr(90)≦1.0×107 (1)
5.0×104≦G’Cl(90)≦1.0×106 (2)
7.0≦G’Tr(90)/G’Cl(90)≦100.0 (3)
すなわち、本発明者らは、カラートナーと透明トナーとを用いた画像形成方法において、それぞれのトナーの貯蔵弾性率を制御することにより、トナー間の密着性を高め最上層の透明トナーの剥がれ等の定着不良を抑制することができるとともに、トナー乗り量の少ない白地部においても過度の転写材への浸み込みを抑制し光沢性を保つことを見出した。また、透明トナーとカラートナー間で十分な光沢差があるため透明トナーによる「透かし」画像においても、認識性に優れることを見出した。
このような構成を有する本発明のトナーを用いることによる作用効果について、本発明者らは以下のように考える。
本発明に係る透明トナーは、90℃における貯蔵弾性率をG’Tr(90)が、3.0×105(Pa)以上1.0×107(Pa)以下であることを特徴とする。上記範囲の貯蔵弾性率を有することにより、定着時において十分に溶融し、透明トナー表層の平滑性を保つとともに、過度に転写材に浸透することなく画像の光沢一様性を満足する。
透明トナーの、90℃における貯蔵弾性率G’Tr(90)が3.0×105(Pa)未満である場合、転写材への浸透が進み転写材の地合いが透け出し、光沢度の低下を引き起こす。G’Tr(90)が1.0×107(Pa)超である場合、カラートナー上層の透明トナーの剥がれが発生し、光沢度の低下が発生する。
また、本発明に係るカラートナーは、90℃における貯蔵弾性率がG’Cl(90)が5.0×104(Pa)以上1.0×106(Pa)以下であることを特徴とする。上記範囲の貯蔵弾性率を有することにより、十分な混色性が可能となると共に、耐高温オフセット性、分離性を満足うることができる。
カラートナーの、90℃における貯蔵弾性率がG’Cl(90)が5.0×104(Pa)未満である場合、カラートナーと透明トナーを別々に定着する際、高温オフセットが発生するとともに、定着部材への分離性が不十分となり巻き付き等の問題が発生する。G’Cl(90)が1.0×106(Pa)超である場合、透明トナーとの密着性が不十分となり、透明トナーの剥がれから光沢度の低下が発生するとともに、混色が不十分となり、十分な発色が困難となる。
また本発明の特徴の一つは、透明トナーの90℃における貯蔵弾性率G’Tr(90)とカラートナーの90℃における貯蔵弾性率がG’Cl(90)の比G’Tr(90)/G’Cl(90)が、7.0以上100.0以下であることである。透明トナーとカラートナーの貯蔵弾性率が上記関係を保つことにより、透明トナーとカラートナーの密着性を保つとともに、透明トナーによるマーク作成時においても、カラートナーとの十分な光沢差が得られ認識性に優れる。
G’Tr(90)/G’Cl(90)が7.0未満である場合、カラートナーと透明トナーの光沢差が得られにくく、カラー画像上へのロゴマーク等の「透かし」画像の印字の際に認識しずらくなる。G’Tr(90)/G’Cl(90)が100.0を超える場合、カラートナーと透明トナーの密着性が不十分となり、最上層である透明トナーが、カラートナーから剥がれ、画像の表面平滑性が乱れ、光沢度の低下が発生する。
また、本発明は有色トナーの130℃における貯蔵弾性率G’Cl(130)が1.0×103以上1.0×105以下であることが、より高温/高圧力条件下での定着が必要とされる高速プリント系での、透明トナーとカラートナーを一括定着する際に好ましい。
G’Cl(130)が1.0×103以上であると、カラートナーを単独使用する際に、高温オフセットが発生し難く、画像の乱れや定着部材の汚れを引き起こし難い。G’Cl(130)が1.0×105以下であると、カラートナーと透明トナーの密着性が強まり、透明トナーの剥がれによる光沢度の低下が発生し難い。
また本発明は、透明トナーの130℃における貯蔵弾性率G’Tr(130)とカラートナーの130℃における貯蔵弾性率G’Cl(130)の比G’Tr(130)/G’Cl(130)が、0.5以上5.0以下であることが、同様に、より高温/高圧条件での定着が必要とされる透明トナーとカラートナーを一括定着する際に好ましい。
G’Tr(130)/G’Cl(130)が、0.5以上であると、透明トナーの貯蔵弾性率が大きくなり高温オフセットが発生し難くなるとともに、転写材へのトナーの過度の浸透による地合いの露出による画像の光沢度低下が発生し難い。G’Tr(130)/G’Cl(130)が5.0以下であると、カラートナーと透明トナーの密着性が強まり、透明トナーの剥がれによる光沢度の低下が発生し難い。
本発明のカラートナ及び透明トナーに含有される成分について詳細を説明する。
[結着樹脂]
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、特に限定されず、下記の重合体又は樹脂を用いることが可能である。
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
これらの中で、低温定着性、帯電性制御の観点で、ポリエステル樹脂或いは、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリエステル樹脂としては、「ポリエステルユニット」を結着樹脂鎖中に有している樹脂であり、該ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分とが挙げられる。
例えば、該2価以上のアルコールモノマー成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられるアルコールモノマー成分としては、芳香族ジオールであり、ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマー成分において、芳香族ジオールは、80モル%以上の割合で含有することが好ましい。
一方、該2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられる酸モノマー成分としては、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸である。
また、該ポリエステル樹脂の酸価は、1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることがより摩擦帯電量の安定性の観点で好ましい。
なお、該酸価は、樹脂に用いるモノマーの種類や配合量を調整することにより、上記範囲とすることができる。具体的には、樹脂製造時のアルコールモノマー成分比/酸モノマー成分比、分子量を調整することにより制御できる。また、エステル縮重合後、末端アルコールを多価酸モノマー(例えば、トリメリット酸)で反応させることに制御できる。
また、ポリエステル樹脂を主成分とする他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であっても良い。例えば、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂が挙げられる。ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニットとポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニット及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行う方法が好ましい。
[離型剤(ワックス)]
本発明のトナーに用いられる離型剤としてのワックスとしては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐定着巻きつき性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。
該ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。また、トナーの保存性と耐高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
[着色剤]
本発明の有色トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
[荷電制御剤]
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
[外添剤]
本発明では、必要に応じて流動性向上や摩擦帯電量調整のために、更に外添剤が添加されていてもよい。
当該外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムの如き無機微粒子が好ましい。該無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。
用いられる外添剤の比表面積としては、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粒子が、外添剤の埋め込み抑制の観点で好ましい。
また、該外添剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下使用されることが好ましい。
[キャリア]
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
[製造方法]
本発明のトナーの製造方法は、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知のトナー製造方法であれば特に限定されないが、原材料の分散性の観点から溶融混練法が好ましい。
溶融混練法は、トナー粒子の原材料であるトナー組成物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕することを特徴とする。製造方法の例を挙げて説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂、ワックス、着色剤、荷電制御剤等の成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に他原材料等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
その後、必要に応じ選択された無機微粉体や樹脂粒子などの外部添加剤を加えて混合他の無機微粒子を外添し、流動性付与、帯電安定性を向上させてもよい。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、本発明に関わる各物性の測定方法について記載する。
<トナーの粘弾性の測定方法>
測定装置としては、回転平板型レオメーター「ARES」(TA INSTRUMENTS社製)を用いる。測定試料としては、25℃の環境下で、錠剤成型器を用いて、トナーを直径7.9mm、厚さ2.0±0.3mmの円板状に加圧成型した試料を用いる。該試料をパラレルプレートに装着し、室温(25℃)から100℃に15分間で昇温して、試料の形を整えた後、粘弾性の測定開始温度まで冷却し、測定を開始する。この際、初期のノーマルフォースが0になるようにサンプルをセットすることが、重要である。また、以下に述べるように、その後の測定においては、自動テンション調整(Auto Tension Adjustment ON)にすることで、ノーマルフォースの影響をキャンセルできる。
測定は、以下の条件(1)〜(10)で行う。
(1)直径7.9mmのパラレルプレートを用いる。
(2)周波数(Frequency)は6.28rad/sec(1.0Hz)とする。
(3)印加歪初期値(Strain)を0.1%に設定する。
(4)30乃至200℃の間を、昇温速度(Ramp Rate)2.0℃/minで測定を行う。尚、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。自動歪み調整モード(Auto Strain)で測定を行う。
(5)最大歪(Max Applied Strain)を20.0%に設定する。
(6)最大トルク(Max Allowed Torque)200.0g・cmとし、最低トルク(Min Allowed Torque)0.2g・cmと設定する。
(7)歪み調整(Strain Adjustment)を「20.0% of Current Strain」と設定する。測定においては、自動テンション調整モード(Auto Tension)を採用する。
(8)自動テンションディレクション(Auto Tension Direction)をコンプレッション(Compression)と設定する。
(9)初期スタティックフォース(Initial Static Force)を10.0g、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を40.0gと設定する。
(10)自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus)が1.0×103Pa以上である。
<結着樹脂の軟化点(Tm)の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<結着樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、樹脂約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30乃至100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
<結着樹脂の重量平均分子量の測定>
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流量で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば以下の組み合わせが挙げられる。昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せ。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料50mgをTHF10ml中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。尚、THF中における放置時間の合計が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。
<ワックスの融点の測定>
ワックスの融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピーク温度を融点とする。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出する。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なう。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の(1)〜(7)の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mlの丸底ビーカー内に前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100mlの平底ビーカー内に前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液中に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、製造例及び実施例により本発明を説明する。
<カラートナー用ポリエステル樹脂の製造例>
(低分子量ポリエステル樹脂Lの製造例1)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部
・テレフタル酸:28.0質量部
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:3質量部
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させた。ASTM D36−86に従って測定した軟化点が94℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、低分子量ポリエステル樹脂L−1を得た。得られた低分子量ポリエステル樹脂L−1の軟化点(Tm)は96℃、ガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
(低分子量ポリエステル樹脂Lの製造例2乃至8)
低分子量ポリエステル樹脂Lの製造例1において、反応条件を調整しながら、表1に示す分子量、ガラス転移点、軟化点になるように反応条件を調整しながら、低分子量ポリエステル樹脂L−2乃至L−8を製造した。得られた低分子量ポリエステル樹脂Lの物性を表1に示す。
Figure 0006800737
(高分子量ポリエステル樹脂Hの製造例1)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部
・テレフタル酸:18.3質量部
・フマル酸:2.9質量部
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:6.5質量部
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させた。ASTM D36−86に従って測定した軟化点が132℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、高分子量ポリエステル樹脂A(H)−1を得た。得られた高分子量ポリエステル樹脂A(H)−1の軟化点(Tm)は132℃、ガラス転移温度(Tg)は61℃であった。
(高分子量ポリエステル樹脂Hの製造例2乃至7)
高分子量ポリエステル樹脂Hの製造例1において、反応条件を調整しながら、表2に示す分子量、ガラス転移点、軟化点になるように反応条件を調整しながら、、高分子量ポリエステル樹脂H−2乃至H−7を製造した。得られた高分子量ポリエステル樹脂Hの物性を表2に示す。
Figure 0006800737
<透明トナー用ハイブリット樹脂の製造例>
(ハイブリット樹脂Mの製造例1)
・スチレン10質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート5質量部
・フマル酸2質量部
・α−メチルスチレンの2量体5質量部
にジクミルパーオキサイドを滴下ロートに入れた。
また、ポリエステル樹脂ユニットの材料として、
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン25質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン15質量部、テレフタル酸9質量部
無水トリメリット酸5質量部
フマル酸24質量部と、更に、
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を四つ口フラスコに取りつけ、この四つ口フラスコをマントルヒーター内に設置した。次に四つ口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、130℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートより、ビニル系共重合体の単量体及び重合開始剤を約4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、約4時間反応させてハイブリッド樹脂を得た。
得られたハイブリッド樹脂のGPCによるTHF可溶分の分子量測定結果は、Mwが8.9×104、Mnは3.8×103であった。また、ガラス転移点は62℃であった。
(ハイブリット樹脂Mの製造例2乃至16)
ハイブリット樹脂Mの製造例1において、反応条件を調整しながら、表3に示す分子量、ガラス転移点、軟化点になるように反応条件を調整しながら、ハイブリット樹脂M−2乃至M−16を製造した。得られたハイブリット樹脂Mの物性を表3に示す。
Figure 0006800737
<カラートナーの製造例1>
・低分子量ポリエステル樹脂L−1 75.00質量部
・高分子量ポリエステル樹脂H−1 25.00質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)5.00質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.00質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.50質量部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s-1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が6.8μmであった。
得られたトナー粒子100.0質量部に、イソブチルトリメトキシシラン15.0質量%で表面処理した一次平均粒子径50nmの酸化チタン微粒子0.5質量部、及びヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次平均粒子径15nmの疎水性シリカ微粒子1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−75型)で混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させカラートナー1を得た。
<カラートナーの製造例2乃至18>
低分子量ポリエステル樹脂L−1及び高分子量ポリエステル樹脂H−1をそれぞれ表4に示す樹脂に変更する以外はカラートナーの製造例1と同様にして、カラートナー2乃至18を得た。得られたカラートナーの物性を表4に示す。
Figure 0006800737
<透明トナーの製造例1>
・ハイブリット樹脂M−1 100.00質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度75℃)5.00質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.50質量部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s-1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が5.8μmであった。
得られたトナー粒子100.0質量部に、イソブチルトリメトキシシラン15.0質量%で表面処理した一次平均粒子径50nmの酸化チタン微粒子0.5質量部、及びヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次平均粒子径15nmの疎水性シリカ微粒子1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−75型)で混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させカラートナー1を得た。
<透明トナーの製造例2乃至16>
ハイブリット樹脂M−1を、ハイブリット樹脂M−2乃至16に変更する以外は、透明トナーの製造例1と同様にして、透明トナー2乃至16を得た。得られた透明トナーの物性を表5に示す。
Figure 0006800737
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe23 62.0質量部
MnCO3 30.0質量部
Mg(OH)2 7.0質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe23d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.5質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.5質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.0質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 30.0質量%
メチルエチルケトン 30.0質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して窒素ガスで系内を置換した。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.5質量%
トルエン 66.0質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.5質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を、充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<カラートナー用二成分現像剤1の製造例>
カラートナー1と磁性キャリア1とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合し、カラートナー用二成分系現像剤1を得た。
<カラートナー用二成分現像剤2乃至18の製造例>
カラートナー1を、カラートナー2乃至18に変更する以外は、カラートナー用二成分現像剤1の製造例と同様にして、カラートナー用二成分現像剤2乃至18を得た。
<透明トナー用二成分現像剤1の製造例>
透明トナー1と磁性キャリア1とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合し、透明トナー用二成分系現像剤1を得た。
<透明トナー用二成分現像剤2乃至16の製造例>
透明トナー1を、透明トナー2乃至16に変更する以外は、透明トナー用二成分現像剤1の製造例と同様にして、透明トナー用二成分現像剤2乃至16を得た。
[実施例1]
以下の方法(1)〜(4)に従って、トナーの性能評価を行った。
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800のシアンステーションに上記カラートナー用二成分系現像剤1を入れ、FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cm2となるように現像条件を適宜調整し、A4評価紙先端から3cm、評価紙中心の位置に4cm×15cmのベタ画像を形成した定着画像を出力した。この時の定着スピードは、400mm/secに調整した。
続いて、キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C1+のクリアステーションに、上記クリアトナー用二成分系現像剤1を入れ、FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.45mg/cm2となるように現像条件を適宜調整し、上記シアン出力画像を用いて、クリアトナーでA4評価紙先端から5cm、評価紙中心の位置に4cm×15cmの透明トナーのベタ画像を形成し定着画像を出力した。この時の定着スピードは、200mm/secに調整した。
出力された画像は、図1に示すにように、シアントナー単色画像部1(2cm×15cm)、シアントナーと透明トナーにより形成した画像部2(2cm×15cm)、透明トナーにより形成した白地部(2cm×15cm)が形成されていた。
評価紙としては、コート紙:OKトップコート+(A4 127.9g/m2)(王子製紙)を用いた。
(1)画像部―白地部 光沢一様性評価
上記画像サンプルにおいて、シアントナーと透明トナーで形成した画像部2及び透明トナーで形成した白地部のそれぞれの画像上10点の光沢度(グロス)を測定し、その平均値を画像部及び白地部の光沢度(%)とし、その差分Δ(画像部光沢度(%)―白地部光沢度(%))により光沢一様性を評価した。評価結果を表7に示す。
画像光沢度(グロス)の測定は、ハンディ型グロスメーターPG−1M(日本電色工業株式会社製)を用いて、投稿角度、受光角度をそれぞれ60°に合わせて行った。
評価基準は以下の様にした。
A:1.0%未満 (非常に優れている)
B:1.0%以上3.0%未満 (優れている)
C:3.0%以上5.0%未満 (やや優れている)
D:5.0%以上7.0%未満 (従来技術レベル;本発明において許容レベル)
E:7.0%以上 (従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
(2)「透かし」画像認知性評価
上記評価サンプルにおいて、シアントナーのみで形成した画像部1と、シアントナーと透明トナーで形成した画像部2のそれぞれの画像上10点の光沢度(グロス)を測定し、その平均値を画像部1及び画像部2の光沢度(%)とし、その差分Δ(画像部1の光沢度(%)―画像部2の光沢度(%))により「透かし」画像に認知性を評価した。評価結果を表7に示す。
評価基準は以下の様にした。
A:8.0%以上 (非常に優れている)
B:6.0%以上8.0%未満 (優れている)
C:4.0%以上6.0%未満 (やや優れている)
D:2.0%以上4.0%未満 (従来技術レベル;本発明において許容レベル)
E:2.0%未満 (従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
(3)定着性評価
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800のシアンステーションにカラートナー用二成分系現像剤1を入れた現像器を搭載し、ブラックステーションに透明トナー用二成分系現像剤1を入れた現像器を搭載し、定着温度を取り外した状態で画像形成できるように改造し、未定着画像を形成した。評価には、普通紙:OSE TOP COLOR PAPER(A4 100.0g/m2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
カラートナー画像のFFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cm2、透明トナー画像のFFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.45mg/cm2となるように現像条件を適宜調整し、A4評価紙先端から3cm、評価紙中心の位置に2cm×10cmのベタ未定着画像を形成した。未定着画像は常温低湿環境下(25℃/5%RH)に24時間調湿した。
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800から定着器を取り出し、プロセススピード、上下の定着部材温度を独立に制御できるように改造した定着試験用治具を用い低温低湿環境下(15℃/10%RH)準備した。定着スピードを400mm/secに調整し、下ベルト温度は90℃に固定した状態で、前記定着試験用治具の上ベルト温度を100〜200℃の範囲で5℃おきに調整した。前記の調湿済み未定着画像を通紙した。定着器を通過させた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたレンズクリーニングワイパー(ダスパー 小津産業株式会社製)で5往復摺擦し、摺擦前後の光沢度の低下率が5%以下になる点を定着温度とした。5%以下の光沢度低下がおこると定着できていないとの判定基準のもと、光沢度低下率5%を超えない最も低い上ベルト設定温度を定着開始温度とし、下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表7に示す。
(評価基準:低温定着性)
A:110℃未満 (非常に優れている)
B:110℃以上140℃未満 (優れている)
C:140℃以上155℃未満 (やや優れている)
D:155℃以上180℃未満 (従来技術レベル;本発明において許容レベル)
E:180℃以上 (従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
(4)耐ホットオフセット性
評価には、普通紙:CS−680(A4;68.0g/m2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
カラー画像のFFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.10mg/cm2、透明トナー画像のFFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.04mg/cm2となるように現像条件を調整し、未定着のFFH画像を得た。
その後、低温定着性評価と同様に、キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800から取り外した定着器を改造した定着評価治具を用いて常温低湿環境(23℃/10%RH)にて評価を行った。定着スピードを200mm/secに調整し、下ベルト温度は90℃に固定した状態で、定着温度を100〜200℃の範囲で5℃おきに調整し、各定着温度における定着画像の白地部について反射率を測定し、最大値をDB(%)とした。
画出し前の評価紙での反射率の5箇所での平均値をDA(%)とし、DA(%)とDB(%)の差が0.5%を超えない、最も高い定着温度を定着上限温度(ホットオフセット開始温度)とし、下記の基準にて耐ホットオフセット性を評価した。評価結果を表7に示す。
反射率は、リフレクトメータ(「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」、東京電色株式会社製)によって測定した。
(評価基準:耐ホットオフセット性)
A:220℃以上 (非常に優れている)
B:205℃以上220℃未満 (優れている)
C:190℃以上205℃未満 (やや優れている)
D:175℃以上190℃未満 (従来技術レベル;本発明において許容レベル)
E:175℃未満 (従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
[実施例2]
実施例1において、光沢一様性、「透かし」画像認知性の評価用サンプル作製するための、キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800の定着スピードを、350mm/sec、キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C1+のの定着スピードを175mm/secに変更する以外は同様にして評価を行った。評価結果を表7に示す。
[実施例3]
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800のシアンステーションに上記カラートナー用二成分系現像剤1を入れ、ブラックステーションに透明トナー用二成分現像剤1を入れ、透明トナーを用い、FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.45mg/cm2となるように現像条件を適宜調整して、A4評価紙先端から5cm、評価紙中心の位置に4cm×15cmの透明トナーのベタ画像ができるように画像形成し、一次転写体に転写した。
その後、シアントナーを用い、FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cm2となるように現像条件を適宜調整して、A4評価紙先端から3cm、評価紙中心の位置に4cm×15cmのベタ画像ができるように画像形成し、一次転写体に転写した。その後形成された複合画像を評価紙へ2次転写し、一括定着して、定着画像を出力した。この時、定着スピードは325mm/secとした。
得られた定着画像は、シアントナー上層に透明トナーが配置されており、図1に示すにように、シアントナー単色画像部1(2cm×15cm)、シアントナーと透明トナーにより形成した画像部2(2cm×15cm)、透明トナーにより形成した白地部(2cm×15cm)が形成されていた。
評価紙としては、コート紙:OKトップコート+(A4;127.9g/m2)(王子製紙)を用いた。
[実施例4乃至27、比較例1乃至5]
実施例3において、表6に示すように、カラートナー用二成分現像剤2乃至18、透明トナー用二成分現像剤2乃至16に変更する以外は同様にして評価した。評価結果を表7に示す。
Figure 0006800737
Figure 0006800737

Claims (4)

  1. 静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、
    帯電された前記静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、
    現像装置を用いて、トナーと磁性キャリアを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程、
    中間転写体を介して又は介さずに前記トナー像を転写材に転写する転写工程、及び
    転写されたトナー像を転写材に定着する定着工程
    を有する画像形成方法において、
    前記画像形成方法は、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーからなる群から選択される1種以上の有色トナーと透明トナーとを組み合わせてカラートナー画像を形成し、前記転写材上の最上層に透明トナー像を形成する画像形成方法であり、
    前記有色トナー及び透明トナーは、結着樹脂、及び離型剤を含むトナーであり、
    前記有色トナーの90℃における貯蔵弾性率G’Cl(90)と、前記透明トナーの90℃における貯蔵弾性率G’Tr(90)が、以下の式(1)〜(3)を満足する
    ことを特徴とする画像形成方法。
    3.0×105 (Pa)≦G’Tr(90)≦1.0×107 (Pa) (1)
    5.0×104 (Pa)≦G’Cl(90)≦1.0×106 (Pa) (2)
    7.0≦G’Tr(90)/G’Cl(90)≦100.0 (3)
  2. 前記有色トナーの130℃における貯蔵弾性率G’Cl(130)と、前記透明トナーの130℃における貯蔵弾性率G’Tr(130)が、以下の式(4)及び(5)を満足することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
    1.0×103 (Pa)≦G’Cl(130)≦1.0×105 (Pa) (4)
    0.5≦G’Tr(130)/G’Cl(130)≦5.0 (5)
  3. 静電潜像担持体を帯電するための帯電手段、
    帯電された前記静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成するための露光手段、
    トナーと磁性キャリアを含む現像剤を有し、前記現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成するための現像手段、
    中間転写体を介して又は介さずに前記トナー像を転写材に転写するための転写手段、及び
    転写されたトナー像を前記転写材に定着するための定着手段
    を有する画像形成装置おいて、
    前記画像形成装置は、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーからなる群から選択される1種以上の有色トナーと透明トナーとを組み合わせてカラートナー画像を形成し、前記転写材上の最上層に透明トナー像を形成する画像形成装置であり、
    前記有色トナー及び透明トナーは、結着樹脂、及び離型剤を含むトナーであって、
    前記有色トナーの90℃における貯蔵弾性率をG’Cl(90)と、前記透明トナーの90℃における貯蔵弾性率G’Tr(90)が、以下の式(1)〜(3)を満足する
    ことを特徴とする画像形成装置。
    3.0×105 (Pa)≦G’Tr(90)≦1.0×107 (Pa) (1)
    5.0×104 (Pa)≦G’Cl(90)≦1.0×106 (Pa) (2)
    7.0≦G’Tr(90)/G’Cl(90)≦100.0 (3)
  4. 静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、
    帯電された前記静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、
    現像装置を用いて、トナーと磁性キャリアを含む現像剤により前記静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像工程、
    中間転写体を介して又は介さずに前記トナー像を転写材に転写する転写工程、及び
    転写されたトナー像を転写材に定着する定着工程
    を有する画像形成方法に用いられるトナーキットおいて、
    前記画像形成方法は、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーからなる群から選択される1種以上の有色トナーと透明トナーとを組み合わせてカラートナー画像を形成し、前記転写材上の最上層に透明トナー像を形成する画像形成方法であり、
    前記有色トナー及び透明トナーは、結着樹脂、離型剤を含むトナーであって、
    前記有色トナーの90℃における貯蔵弾性率をG’Cl(90)と、前記透明トナーの90℃における貯蔵弾性率G’Tr(90)が以下の式(1)〜(3)を満足することを特徴とする画像形成方法に用いられるトナーキット。
    3.0×105 (Pa)≦G’Tr(90)≦1.0×107 (Pa) (1)
    5.0×104 (Pa)≦G’Cl(90)≦1.0×106 (Pa) (2)
    7.0≦G’Tr(90)/G’Cl(90)≦100.0 (3)
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