JP7654477B2 - トナー - Google Patents
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Description
さらに、厚紙やコート紙などの各種メディアへの対応性が求められており、コート紙はその紙の光沢感等の観点から高級紙として扱われることが多く、画像品位も高いレベルが要求される。
一方、トナーの結着樹脂の主成分を、シャープメルト性を有する結晶性樹脂にすることで主成分が非晶性樹脂であるトナーに比べて優れた低温定着性を有することが知られている。例えば、特許文献1には、所定の融点範囲の結晶性樹脂を含むマトリクスと非晶性樹脂を含むドメインを有するマトリクスドメイン構造(海・島構造)を形成したトナーが記載されている。これにより、低エネルギーで定着が可能であり、こすりや引っ掻きなどの外力に強い画像が得られるトナーが得られる。
また、特許文献2には、結晶性樹脂および非晶質樹脂を含む結着樹脂と炭酸カルシウム粒子を含有させ、結晶性樹脂に特定の結晶性複合樹脂を用いたトナーが記載されている。これにより、低温定着性と転写性に優れたトナーが得られる。
しかしながら、高速印刷下で厚紙コート紙を用いた場合には、低温定着性に加え、こすりや引っ掻きなどの外力に強い画像を得る点で、改良の余地がある。
本発明は、優れた低温定着性を示した上で、厚紙コート紙などの無機微粒子の多いメディアへの定着画像においても優れた耐擦過性を示すトナーを提供するものである。
該第一の樹脂は結晶性樹脂であり、該第二の樹脂は非晶性樹脂であり、
該トナー粒子中の該炭酸カルシウム粒子の含有量が1質量%以上15質量%以下であり、
該第二の樹脂を構成するモノマーユニットは、ニトリル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基のいずれかを有し、それらの合計官能基濃度が0.8mmol/g以上10.0mmol/g以下有し、
透過型電子顕微鏡により観察される該トナー粒子の断面において、該第一の樹脂を含むマトリクスと、該第二の樹脂を含むドメインとで構成されるマトリクスドメイン構造が存在し、
該トナー粒子断面の全面積のうち、該第一の樹脂を含む該マトリクスの占める割合が35面積%以上70面積%以下であり、
該炭酸カルシウム粒子は該トナー粒子断面の輪郭から100nmの内側の領域に含有されていることを特徴とするトナーに関する。
該第一の樹脂は結晶性樹脂であり、該第二の樹脂は非晶性樹脂であり、
該トナー粒子中の該炭酸カルシウム粒子の含有量が1質量%以上15質量%以下であり、
該第二の樹脂を構成するモノマーユニットは、ニトリル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基のいずれかを有し、それらの合計官能基濃度が0.8mmol/g以上10.0mmol/g以下有し、
透過型電子顕微鏡により観察される該トナー粒子の断面において、該第一の樹脂を含むマトリクスと、該第二の樹脂を含むドメインとで構成されるマトリクスドメイン構造が存在し、
該トナー粒子断面の全面積のうち、該第一の樹脂を含む該マトリクスの占める割合が35面積%以上70面積%以下であり、
該炭酸カルシウム粒子は該トナー粒子断面の輪郭から100nmの内側の領域に含有されていることを特徴とするものである。
結着樹脂は、第一の樹脂を含有し、第一の樹脂は結晶性樹脂である。結晶性樹脂としては、公知の結晶性樹脂を用いることができる。例えば、結晶性ビニル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、及び結晶性ポリウレア樹脂が挙げられる。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体などのエチレン共重合体等も挙げられる。
21.00(J/cm3)0.5≦SP2 ・・・(4)
25.00(J/cm3)0.5≦SP2 ・・・(4’)
R3は、ニトリル基(-C≡N)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
アミド基(-C(=O)NHR10(R10は水素原子、若しくは炭素数1~4のアルキル基を表す。))、-COOR31(R31は水素原子、炭素数1~6(好ましくは1~4)のアルキル基若しくは炭素数1~6(好ましくは1~4)のヒドロキシアルキル基を表す。)、ウレア基(-NH-C(=O)-N(R33)2(2つのR33はそれぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1~6(好ましくは1~4)のアルキル基を表す。))、
-COO(CH2)2NHCOOR34(R34は炭素数1~4のアルキル基を表す。)、又は、-COO(CH2)2-NH-C(=O)-N(R35)2(2つのR35はそれぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1~6(好ましくは1~4)のアルキル基を表す。)である。
R4は、水素原子又はメチル基を表す。)
結着樹脂は、第二の樹脂を含有し、第二の樹脂は非晶性樹脂である。ドメインを形成する第二の樹脂は、公知の非晶性樹脂を用いることができ、低温定着性、耐擦過性の観点からポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、又はそれらのハイブリッド樹脂であることが好ましい。スチレンアクリル樹脂としては、通常トナーに使用されるスチレンアクリル樹脂が好適に用いることができる。
結着樹脂は、顔料分散性を向上させるなどの目的により、本発明の効果を損なわない程度に、第一の樹脂、第二の樹脂以外の第三の樹脂を含有してもよい。該樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂。
本発明のトナー粒子は、トナー粒子内部に炭酸カルシウム粒子を1質量%以上15質量%以下含有する。具体的には、トナー粒子断面観察において、トナー粒子の断面の輪郭から100nmの内側の領域に存在させる。炭酸カルシウム粒子は、分極成分があるため、トナー粒子内部に含有させることで、ドメインの官能基と相互作用して厚紙コート紙などのメディアへのトナー層の凝集力が向上して、耐擦過性が向上すると考えられる。また、炭酸カルシウム粒子は、トナーに用いられる一般的な樹脂と屈折率が近いので、光散乱に影響を小さくできる。そのため、炭酸カルシウムを比較的多く含有させても色への影響を小さくできる。なお、1質量%より含有量が低い場合、ドメインとの相互作用に寄与する炭酸カルシウム粒子が少ないため、耐擦過性に対して十分な効果が得られない。15質量%より多い場合、炭酸カルシウム粒子が多すぎるため、逆に耐擦過性が悪化してしまう場合があった。
トナーは離型剤を含む。離型剤は、第一の樹脂及び第二の樹脂との組み合わせで最適なものを選択して使用するとよい。定着時に離型剤が第一の樹脂を介してトナー粒子表面に移行していると考えられる。そのため、離型剤の融点は、第一の樹脂の融点Tp以上、第二の樹脂の軟化店温度Tm以下が好ましい。離型剤としては以下のものが挙げられる。なお、ワックスは離型剤と同義である。
トナー粒子は、必要に応じて着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
トナー粒子は、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く、且つ一定の帯電量を安定して保持できる、芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
トナーは、必要に応じて無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子は、トナー粒子に内添してもよいし、外添剤としてトナーと混合してもよい。無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複酸化物微粒子のような微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が、流動性改良及び帯電均一化のために好ましい。無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることがより好ましい。
トナーの製造方法は特に制限されず、公知の製造方法を採用できる。好ましくは、溶融混練粉砕法である。溶融混練粉砕法は、例えば、結着樹脂及び離型剤を含有する組成物を溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程、及び溶融混練物を冷却固化し、得られた冷却固化物を粉砕して粉砕物を得る粉砕工程を有する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、炭酸カルシウム粒子及び離型剤、並びに必要に応じて着色剤、及び荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に離型剤等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級する。
得られたトナー粒子は、そのままトナーとして用いてもよい。必要に応じて、トナー粒子の表面に外添剤を外添処理し、トナーとしてもよい。外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
まず、存在量の基準サンプルとなる薄片を作製する。可視光硬化性樹脂(アロニックス LCRシリーズ D800)中に結晶性樹脂である第一の樹脂を十分に分散させた後、短波長光を照射し硬化させる。得られた硬化物を、ダイアモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで切り出し、250nmの薄片状サンプルを作製する。同様にして非晶性樹脂である第二の樹脂についても薄片状サンプルを作製する。
加速電圧:200kV
電子線照射サイズ:1.5nm
ライブタイムリミット:600sec
デッドタイム:20~30
マッピング分解能:256×256
トナーに含まれる各材料の溶剤への溶解度の差を利用して、トナーから各材料を分離することができる。
第一分離:23℃のメチルエチルケトン(MEK)にトナーを溶解させ、可溶分(第二の樹脂、第三の樹脂)と不溶分(第一の樹脂、離型剤、着色剤、無機微粒子など)を分離する。
上述の方法でトナー粒子から分離した炭酸カルシウム粒子の量から、炭酸カルシウム粒子の含有量を算出する。
炭酸カルシウムの粒子の個数平均粒子径は、トナー粒子断面を走査型電子顕微鏡(S-4800、(株)日立ハイテクノロジーズ)にて観察し、粒子100個についての長径を計測し、平均値を求めることで算出する。
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC・MS)により、以下のようにして構造を解析した。上述の方法でトナー粒子から分離した炭酸カルシウム300μgを下記パイロフォイルF590に包埋して熱分解炉に導入し、不活性(ヘリウム)雰囲気の中590℃-5秒間加熱し発生した分解ガスをガスクロの注入口に導入し、下記オーブンプロファイルを実施した。カラム出口はトランスファーラインでMS分析装置に繋ぎ、イオン電流を縦軸に横軸にリテンション時間をプロットしたトータルイオンクロマトグラム(TIC)を得る。次いで、得られたクロマトグラムにおいて、検出された全ピークについて、付属のソフトでマススペクトルを抽出して、NIST-2017データベースで元図いて化合物を帰属させた。
熱分解炉:日本分析工業 JSP900(日本分析工業社製)
パイロフォイル:F590(日本分析工業社製)
GC:Agilent Technologies 7890A GC
MS: Agilent Technologies 5975C
カラム:HP-5ms 30m、内径0.25mm、移動相厚0.25μm(アジレント社製)
キャリアーガス:He(純度99.9995%以上)
オーブンプロファイル:(1)温度40℃で3分ホールド、(2)10℃/分で温度320℃まで昇温、(3)温度320℃で20分ホールド
注入口温度:280℃
スプリット比:50:1
カラム流量:1mL/min(定量)
トランスファーライン温度:280℃
観測MS範囲:30-600Da
イオン化:EI 70eV
イオン源温度:280℃
四重極温度:150℃
上述の方法でトナー粒子から分離した炭酸カルシウム粒子を、熱重量・示差熱分析装置(リガク社製、示差熱天秤TG-DTA、ThermoPlusTG8120)を用いて測定し、25℃から400℃まで10℃/minの速度で昇温を行い、その重量変化から表面処理剤の量を測定した。
SP値は、Fedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求める。それぞれの重合性単量体について、分子構造中の原子又は原子団に対して、「Polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974)」に記載の表から蒸発エネルギー(Δei)(cal/mol)及びモル体積(Δvi)(cm3/mol)を求め、(4.184×ΣΔei/ΣΔvi)0.5をSP値(J/cm3)0.5とする。なお、モノマーユニットのSP値は、重合性単量体の二重結合が重合によって開裂した状態の分子構造の原子又は原子団に対して、上記と同様の算出方法によって算出する。
(サンプル調整)
NMRのサンプルチューブに上述の方法で分離した結着樹脂サンプルを100mg、内部標準物質としてトリメチルシリルプロパンスルホン酸ナトリウムを10mg、緩和試薬としてCr(AcAc)3を10mgはかりとり、重水素化溶媒(例えば重ピリジン)を0.45ml添加して、サンプルを十分に溶解させる。
装置:ブルカーバイオスピン社製「AVANCE III HD400」
積算回数:24000回
結着樹脂サンプルのニトリル基、カルボキシ基、および、ヒドロキシ基由来のカーボンのピーク面積とメチル基由来のカーボンのピークの面積比から官能基濃度(mmo1/g)を算出する。
樹脂などのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。まず、室温で24時間かけて、樹脂などの試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
樹脂などの融点、並びに、吸熱ピーク及び吸熱量の測定は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。また、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf/cm2(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
・溶媒:トルエン 100.0部
・単量体組成物 100.0部
(単量体組成物は、以下のアクリル酸ベヘニル及びスチレンを以下に示す割合で混合したものである)
(アクリル酸ベヘニル 60.0部)
(スチレン 30.0部)
・重合開始剤 0.5部
[t-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)]
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、上記材料を投入した。反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、さらにメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して第一の樹脂1(結晶性樹脂1)を得た。第一の樹脂1(結晶性樹脂1)の重量平均分子量(Mw)は34000、融点(Tp)は61℃であった。
第一の樹脂1(結晶性樹脂1)の製造例において、それぞれの重合性単量体及び質量部数を表1のように変更した以外は同様にして反応を行い、第一の樹脂2~9(結晶性樹脂2~9)を得た。
BEA:アクリル酸ベヘニル(SP値:18.3)
St:スチレン(SP値:20.1)
AN:アクリロニトリル(SP値:29.4)
AA:アクリル酸(SP値:28.7)
2-HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル(SP値:29.6)
・1,12-ドデカンジオール:46.5部
・ドデカン二酸:53.3部
・2-エチルヘキサン酸錫:0.5部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。次に、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた。その後、反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより、結晶性樹脂10を得た。該第一の樹脂10(結晶性樹脂10)の重量平均分子量(Mw)は20000で、融点(Tp)は71℃であった。
オートクレーブにキシレン50.0部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下、密閉状態で185℃まで昇温した。ここに、スチレン80.0部、アクリル酸-n-ブチル19.0部、ジビニルベンゼン1.0部、並びに、ジ-tert-ブチルパーオキサイド1.5部及びキシレン20.0部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を185℃にコントロールしながら、3時間連続的に滴下し重合させた。さらに同温度で1時間保ち重合を完了させ、溶媒を除去し、第二の樹脂1(非晶性樹脂1)を得た。該第二の樹脂1(非晶性樹脂1)の重量平均分子量(Mw)は45000で、軟化点(Tm)は103℃であった。
第二の樹脂1(結晶性樹脂1)の製造例において、それぞれの重合性単量体及び質量部数を表2のように変更した以外は同様にして反応を行い、第二の樹脂2~7(非晶性樹脂2~7)を得た。
St:スチレン(SP値:20.1)
n-BA:アクリル酸n-ブチル(SP値:20.0)
DVB:ジビニルベンゼン(SP値:24.3)
AN:アクリロニトリル(SP値:29.4)
AA:アクリル酸(SP値:28.7)
2-HEA:アクリル酸-2-ヒドロキシエチル(SP値:29.6)
(ポリエステル樹脂1の処方)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2mol付加物) 50.0mol部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2mol付加物) 50.0mol部
・テレフタル酸 65.0mol部
・無水トリメリット酸 25.0mol部
・アクリル酸 10.0mol部
上記ポリエステル樹脂1を生成するモノマーの混合物60部を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で撹拌した。そこに、ビニル系樹脂を生成するビニル系重合性単量体(スチレン80.0部、アクリル酸-n-ブチル19.0部、アクリル酸30.0部、ジビニルベンゼン1.0部)40部及び重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1部を滴下ロートから4時間かけて滴下し、160℃で5時間反応させた。その後、230℃に昇温して、ポリエステル樹脂を生成するモノマーの総量に対して0.2部のチタンテトラブトキシドを添加し、軟化点が115℃になるまで重合を行った。反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して第二の樹脂8(非晶性樹脂8)を得た。該第二の樹脂8(非晶性樹脂8)の重量平均分子量(Mw)は25000で、軟化点(Tm)は115℃であった。
ヘンシェルミキサーに以下材料を投入し、
・軽質炭酸カルシウム粒子(個数平均粒子径200nm) 100部
・ステアリン酸 2部
2000rpmにて2分撹拌した後、120℃に昇温しながら100rpmで10分撹拌し、炭酸カルシウム1を得た。
表3に示す個数平均径の軽質炭酸カルシウム粒子に材料に変更し、かつ表面処理材料を変更して炭酸カルシウム1の製造方法と同様にし、炭酸カルシウム2~7を得た。
・結晶性樹脂3 50.0部
・非晶性樹脂3 50.0部
・ワックス1 5.0部
(フィッシャートロプシュワックス;融点90℃)
・着色剤1 9.0部
(シアン顔料 大日精化製:Pigment Blue 15:3)
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にてスクリュー回転数250rpm、吐出温度130℃にて混練した。
トナー粒子1の製造例において、結晶性樹脂、非晶性樹脂、炭酸カルシウム粒子、離型剤の種類および部数、および混練時の回転数を、表4に記載した条件に変更した以外は同様にして製造を行い、トナー粒子2~39を得た。更にそれぞれトナー1と同様の外添剤を添加してトナー2~39を得た。
・個数平均粒径0.30μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am2/kg)のマグネタイト1
・個数平均粒径0.50μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am2/kg)のマグネタイト2
上記の材料それぞれ100部に対し、4.0部のシラン化合物(3-(2-アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・ホルムアルデヒド溶液:6質量%(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水50質量%)
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト1:58質量%
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト2:26質量%
上記材料100部と、28質量%アンモニア水溶液5部、水20部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温及び保持し、3時間重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体分散型の球状の磁性キャリア1を得た。磁性キャリア1の体積基準の50%粒径(D50)は、34.2μmであった。
92.0部の磁性キャリア1に対して、8.0部のトナー1を加え、V型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
二成分系現像剤1の製造例において、トナー1をそれぞれトナー2~39に変更する以外は同様にして製造を行い、二成分系現像剤2~39を得た。
上記二成分系現像剤2を用いて、評価を行った。画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C5560改造機を用い、シアン用現像器に二成分系現像剤2を入れた。装置の改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及び、レーザーパワーを自由に設定できるように変更した。
・紙:GFC-081(81.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
・紙上のトナーの載り量:0.70mg/cm2
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
・評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
・試験環境:低温低湿環境(温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」))
・定着温度:140℃
・プロセススピード:400mm/sec
画像濃度の低下率=(摩擦前の画像濃度-摩擦後の画像濃度)/(摩擦前の画像濃度)×100
AA:画像濃度の低下率1.0%未満
A:画像濃度の低下率1.0%以上3.0%未満
B:画像濃度の低下率3.0%以上5.0%未満
C:画像濃度の低下率5.0%以上8.0%未満
D:画像濃度の低下率8.0%以上
紙:OKトップコートマットN157(157.0g/m2)
(王子製紙(株)より販売の厚紙コート紙、コート材料に炭酸カルシウムを使用)
紙上のトナーの載り量:0.05mg/cm2(2Fh画像)
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に3cm×15cmの画像を配置
定着試験環境:常温常湿環境(温度23℃/相対湿度50%(以下N/N))
定着温度:180℃
プロセススピード:348mm/sec
反射率の差分=摩擦を行っていない部分の反射率-摩擦を行った部分の反射率
AA:1.0%未満
A:1.0%以上、5.0%未満
B:5.0%以上、10.0%未満
C:10.0%以上、15.0%未満
D:15.0%以上
二成分系現像剤2の代わりに二成分系現像剤1、3~39を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表6に示す。
Claims (10)
- 第一の樹脂及び第二の樹脂を有する結着樹脂および炭酸カルシウム粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該第一の樹脂は結晶性樹脂であり、該第二の樹脂は非晶性樹脂であり、
該トナー粒子中の該炭酸カルシウム粒子の含有量が1質量%以上15質量%以下であり、
該第二の樹脂を構成するモノマーユニットは、ニトリル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基のいずれかを有し、それらの合計官能基濃度が0.8mmol/g以上10.0mmol/g以下有し、
透過型電子顕微鏡により観察される該トナー粒子の断面において、該第一の樹脂を含むマトリクスと、該第二の樹脂を含むドメインとで構成されるマトリクスドメイン構造が存在し、
該トナー粒子断面の全面積のうち、該第一の樹脂を含む該マトリクスの占める割合が35面積%以上70面積%以下であり、
該炭酸カルシウム粒子は該トナー粒子断面の輪郭から100nmの内側の領域に含有されていることを特徴とするトナー。 - 前記トナー粒子断面において、前記炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径Daが100nm以上500nm以下である請求項1に記載のトナー。
- 前記トナー粒子断面において、前記ドメインの個数平均粒径Dbが50nm以上500nm以下である請求項1または2に記載のトナー。
- 前記第二の樹脂がビニル系樹脂である請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記トナー粒子断面において、前記炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径Daと、前記ドメインの個数平均粒径Dbとが0.25≦Da/Db≦2.00の関係を満たす請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記第一の樹脂を構成するモノマーユニットが、ニトリル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基を有するモノマーユニットを有し、それらの合計官能基濃度が0.8mmol/g以上10.0mmol/g以下有する請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記炭酸カルシウム粒子の表面が脂肪酸で被覆されている請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記第一の樹脂および前記第二の樹脂がニトリル基を有する請求項1~8のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記トナーはさらに、炭化水素系ワックスを含有する請求項1~9のいずれか一項に記載のトナー。
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