JP6800016B2 - 点火プラグ用絶縁体のための合成物、および、点火プラグ用絶縁体を製造する方法 - Google Patents

点火プラグ用絶縁体のための合成物、および、点火プラグ用絶縁体を製造する方法 Download PDF

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Description

[0001]本願は、2014年2月13日に出願された米国仮特許出願第61/939,425号のU.S.C. 119(e)の利益を主張し、その内容の全体は参照によって本明細書に組み入れられる。
[0002]本発明の例示的な実施形態は、内燃エンジン用の点火プラグすなわち点火装置に関し、より詳細には、点火プラグすなわち点火装置用の絶縁体のための合成物、および、当該絶縁体の製造方法に関する。
[0003]図1に示されるように、従来の点火プラグ10は、円筒状基部14を有する環状金属ケーシングすなわちシェル12を備え得る。円筒状基部14は、内燃エンジンのシリンダヘッド(図示せず)でのねじ係合のために形成された外ねじ部16を有している。点火プラグシェル12の円筒状基部14は、略平坦な下部面18を有し得る。グランドすなわちサイド電極20(例えば、貴金属から形成される)が、ねじ付基部14の下部面18に溶接されるか取り付けられ得る。電極チップ22が、サイド電極20の端部に溶接されるか取り付けられ得る。
[0004]点火プラグ10は、さらに、シェル12内に同軸に配置された中空のセラミック絶縁体24と、絶縁体24内に同軸に配置された中心電極26と、を備え得る。中心電極26は、熱伝導性および導電性を有する材料から形成された中央コア28と、外側被覆30と、を備え得る。
[0005]導電性を有するインサートすなわちロッド36は、中心電極26と反対側の絶縁体24の上部端38内に嵌め込まれている。点火プラグ10に内側抵抗40を提供するために、耐熱性ガラスカーボン複合材料が、インサート36の下部端39と中心電極26との間で絶縁体24内に配置される。
[0006]図1に示されるように、点火プラグシェル12は、実質的に円筒状のスリーブである。このスリーブは、スリーブを貫通して形成された中空穴42を有する。上述したように、点火プラグシェル12は、円筒状基部14を備えている。円筒状基部14は、その外面に形成されたねじ部16を全体的に有している。点火プラグシェル12は、シリンダヘッド(図示せず)に接触させるために、シール面44を備え得る。点火プラグシェル12は、さらに、シール面44の上方における点火プラグシェル12上に、点火プラグ10を把持可能とするとともに、それを設置または取り外しするための従来の点火プラグソケットレンチによって回転可能とするための略六角形のボス46を備え得る。
[0007]図2に示されるように、絶縁体24は、ブロック102において、絶縁体ブランクを形成するのに必要な原材料を収集し、ブロック104において、適切な割合の各々の原材料を混合して所望の粉末製剤を生成することによって原材料ベースの粉末を用意し、ブロック106において、粉末製剤を噴霧乾燥させることによって、従来から製造されてきたセラミック品である。その後、ブランクは、ブロック108において、噴霧乾燥された粉末をプレスすることによって成形され、ブロック110において、プレスされたブランクを砥石車上で研磨すなわちグリーン加工して絶縁体プレフォームを形成し、ブロック112において、プレフォームを高密度化するとともに粉末粒子を焼結して、完成品の絶縁体すなわちチョーク絶縁体を形成するのに十分な高温まで絶縁体プレフォームを焼成すなわち焼結することによって形成される。絶縁体プレフォームは、約1400〜1600℃までの温度で全体的に焼成される。従来技術の焼結プロファイルが図3に示されており、ここでは、1600℃よりも僅かに低いピーク温度に到達する。
[0008]エンジンの小型化の傾向に続き、点火プラグは、薄く、長くなってきている。より小さな包装に入れるために、そのような点火プラグのセラミック絶縁体は、著しく小型化されているが、これは、点火プラグが耐え得る最大点火電圧の低下につながる。しかしながら、エンジンの小型化、および、ターボ過給が広く使用されることの結果として、将来の燃焼エンジンについて、シリンダ圧がより高くなることが予想される。このことは、より高い点火電圧およびより高い作動温度を必要とする。これらの課題は、将来の燃焼エンジンのための点火プラグの絶縁体が、今日使用されているものよりも非常に高い誘電強度を有することを求めている。
[0009]非限定的な実例的実施形態によれば、点火プラグ用の絶縁体の製造方法は、少なくとも2つの原材料を混合して、粉末状絶縁体合成物すなわち粉末状絶縁体製剤を形成する工程と、粉末状絶縁体製剤を噴霧乾燥する工程と、粉末状絶縁体製剤をプレスして、絶縁体ブランクを生成する工程と、を備えていてもよい。この方法は、さらに、絶縁体ブランクを締焼する工程と、締焼された絶縁体ブランクを研磨して絶縁体を形成する工程と、絶縁体を焼結する工程と、を備えていてもよい。
[0010]実例的実施形態では、締焼工程は、約450℃〜約1200℃のピーク温度まで粉末状絶縁体を加熱する工程を備えていてもよい。他の実例的実施形態では、締焼工程は、約750℃〜約1000℃のピーク温度まで粉末状絶縁体を加熱する工程を備えていてもよい。
[0011]実例的実施形態では、焼結工程は、約1400℃〜約1700℃のピーク温度まで絶縁体を加熱する工程を備えていてもよい。
[0012]実例的実施形態では、粉末状絶縁体製剤は、酸化アルミニウムと、少なくとも1つのバインダと、を含有していてもよい。締焼工程中において、バインダの少なくとも60%が取り除かれる。他の実例的実施形態では、締焼工程中において、バインダのすべてが取り除かれる。
[0013]実例的実施形態では、絶縁体ブランクの平均粒径は、約2ミクロン以下であってもよい。
[0014]実例的実施形態では、この方法は、さらに、締焼工程中に絶縁体ブランクの粒子を融合させる工程を備えていてもよい。
[0015]他の非限定的な実例的実施形態によれば、点火プラグ用の絶縁体の製造方法は、少なくとも酸化アルミニウムと少なくとも1つのバインダとを混合して、約2ミクロン以下の平均粒径を有する粉末状絶縁体製剤を形成する工程と、粉末状絶縁体製剤を噴霧乾燥する工程と、を備えていてもよい。この方法は、さらに、粉末状絶縁体製剤をプレスして絶縁体ブランクを生成する工程と、約450℃〜約1200℃のピーク温度まで絶縁体ブランクを締焼する工程と、締焼された絶縁体ブランクを研磨して絶縁体を形成する工程と、絶縁体を焼結する工程と、を備えていてもよい。
[0016]実例的実施形態では、締焼工程は、約750℃〜約1000℃のピーク温度まで粉末状絶縁体を加熱する工程を備えていてもよい。
[0017]実例的実施形態では、締焼工程中において、バインダの少なくとも60%が取り除かれてもよい。他の実例的実施形態では、締焼工程中において、バインダのすべてが取り除かれてもよい。
[0018]実例的実施形態では、焼結工程は、約1400℃〜約1700℃のピーク温度まで絶縁体を加熱する工程を備えていてもよい。
[0019]実例的実施形態では、この方法は、さらに、締焼工程中に絶縁体ブランクの粒子を融合させる工程を備えていてもよい。
[0020]さらなる実例的実施形態では、点火プラグは、約2ミクロン以下の大きさを有する酸化アルミニウム粒子と、絶縁体の形成前に酸化アルミニウム粒子同士を結合させるバインダと、を含有していてもよい。
[0021]実例的実施形態では、絶縁体は、約2ミクロン以下の大きさを有する酸化アルミニウム粒子と、絶縁体の形成後の絶縁体における約40%以下のバインダ残部と、を含有している。
[0022]図2に関して説明した方法を使用して製造することができる絶縁体を有する従来技術の点火プラグの断面図である。 [0023]点火プラグ用の絶縁体の従来技術の製造方法を示すフローチャートである。 [0024]例示的な先行技術の焼結温度プロファイルである。 [0025]点火プラグ用の絶縁体を製造するための本開示の方法を示すフローチャートである。 [0026]絶縁体ブランクを研磨する前のもとの砥石車を示している。 [0027]絶縁体ブランクの研磨からセラミック材料が付着された後の図5の砥石車を示している。 [0028]例示的な締焼温度プロファイルを示している。 [0029]微粒子を有するとともに締焼なしの場合と、様々な温度での締焼の場合と、で(横軸)絶縁体ブランクについてのドレッシング間隔(縦軸)を比較する棒グラフである。 [0030]締焼温度の関数としての生強度(ポンド)を比較する図表である。 [0031]様々な締焼温度での、プレスされたアルミナブランクの誘電強度および密度を示す図表である。
[0032]本開示の他の態様および利点は、次の詳細な説明を考慮すれば明らかになるであろう。詳細な説明では、同一の構造は、同様または同一の参照符号を有している。
[0033]本開示は、スパークプラグ用の絶縁体のための合成物すなわち製剤、および、当該絶縁体の製造方法を対象としている。本開示の製剤および方法は、多くの様々な形態で実施することができるが、本明細書では、本開示は、本開示の原理の単なる例示として捉えられるべきであり、本開示を図示される実施形態に制限する意図ではないとの理解のもと、いくつかの特定の実施形態について説明される。
[0034]図4を参照すると、点火プラグ10用の絶縁体を製造するための本開示の方法が示されている。この絶縁体は、図1に関して記載されているような絶縁体24であってもよく、あるいは、点火プラグ用の他の任意の絶縁体であってもよい。この方法は、ブロック202において、絶縁体を形成するのに必要な原材料を収集する工程と、ブロック204において、適切な割合の各々の原材料を混合して所望の粉末製剤を生成することによって、原材料ベースの粉末を用意する工程と、ブロック206において、粉末製剤を噴霧乾燥する工程と、を備えている。その後、ブロック208において、噴霧乾燥された粉末をプレスすることによってブランクが形成され、その後、プレスされたブランクは、ブロック210において、予備焼結状態まで締焼される。締焼工程後に、ブロック212において、プレスされ締焼されたブランクは、砥石車上で所望の形状に研磨すなわちグリーン加工されて、絶縁体プレフォームが形成され、ブロック214において、絶縁体プレフォームは、プレフォームを高密度化するとともに粉末粒子を焼結して完成品の絶縁体すなわちチョーク絶縁体を形成するのに十分なピーク温度まで焼成される。
[0035]図4のブロック202で使用される原材料は、酸化アルミニウムすなわちアルミナ(Al)、水、1つ以上のバインダ、および、他の適切な任意の成分を含有していてもよい。実例的実施形態では、絶縁体は、約85重量%〜約99.5重量%の酸化アルミニウムから製造されてもよい。他の実例的実施形態では、絶縁体は、約90重量%〜約97重量%の酸化アルミニウムから製造されてもよい。さらなる実例的実施形態では、絶縁体は、約95重量%の酸化アルミニウムから製造されてもよい。実例的実施形態では、絶縁体の最終的な製剤は、約85重量%〜99.5重量%の酸化アルミニウムの酸化アルミニウム含有量を有していてもよい。さらなる実例的実施形態では、絶縁体の最終的な製剤は、約90重量%〜97重量%の酸化アルミニウム含有量を有していてもよい。代替的な実例的実施形態では、絶縁体の最終的な製剤は、約95重量%の酸化アルミニウム含有量を有していてもよい。さらなる実例的実施形態では、もとの製剤または最終的な製剤の酸化アルミニウム含有量は、それぞれ、もとのおよび/または最終的な製剤の適切な任意の重量パーセントであってもよい。
[0036]実例的実施形態では、原材料は、1つ以上のバインダを含有していてもよい。バインダは、ポリビニルアルコール(PVA)、ワックス(パラフィンおよび/または微結晶ワックス)、Methocel(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、アクリル系バインダ、および/または、他の任意の適切なバインダからなる群から選択されてもよい。任意の数の同一または異なるバインダが利用されてもよい。実例的実施形態では、もとの絶縁体製剤は、約0.5重量(乾燥重量)%〜約4.0重量(乾燥重量)%のバインダから製造されてもよい。他の実例的実施形態では、もとの絶縁体製剤は、約1.5重量(乾燥重量)%〜約3.0重量(乾燥重量)%のバインダから製造されてもよい。さらに別の実例的実施形態では、もとの絶縁体製剤は、約2.0重量(乾燥重量)%〜約2.5重量(乾燥重量)%のバインダから製造されてもよい。
[0037]より大きな誘電強度を達成するために、より細かい粒子を有するアルミナ粉末製剤が使用される。より細かい粒子によって、より細かい粒径と、改善された微細構造と、を有する焼結セラミックが提供され、それは、誘電強度の著しい増加につながる。実例的実施形態では、プレスされたブランクを形成する粒子の平均径は、例えば、約1ミクロン〜約3ミクロンである。他の実例的実施形態では、プレスされたブランクを形成する粒子の平均径は、約1.5ミクロン〜約2ミクロン、または、約1.5ミクロンである。さらに別の実例的実施形態では、プレスされたブランクを形成する粒子の平均径は、約2ミクロン未満、または、約1.5ミクロン未満である。これと比較して、従来のプレスされたブランクを形成する典型的な粒子は、約5〜約6ミクロンの平均径を有している。
[0038]図4の研磨工程(ブロック212)は、砥石車を使用して実施される。この砥石車は、研磨材料でコーティングされるとともに研磨材料の粒子間に間隙または孔を有する研磨面を備えている。図4の研磨工程(ブロック212)の間、プレスされ締焼されたブランクの小さな粒子と、プレスされたブランクの部分的な焼結と、バインダの少なくとも一部の除去と、によって、研磨性が増大し、強度が増大し、研磨によって生じる欠点が低減される。より具体的には、部分的な焼結によって、粗研磨プロセス中に容易には崩壊しない、粒子間のより強い結合が提供される。
[0039]微細な粒子サイズによって、したがって、大きい表面積によって、噴霧乾燥された粉末の圧縮が課題となる。後段での工程について適切な生強度を維持するとともに良好な圧縮を得るために、高有機バインダが本明細書で説明される製剤で使用される。これは、プレスされたブランクを成形して絶縁体にするのに使用される研磨工程における困難さにつながっていた。研磨プロセス中において、プレスされ締焼されたブランクから取り除かれた粒子は、砥石車の表面内の孔を満たし始める。粒子が小さくなるほど、砥石車の表面内の孔が容易に満たされ、それによって、砥石車の再ドレッシングを頻繁に(例えば、10〜20の個体の研磨の後)行うことが必要になる。砥石車の再ドレッシングは、本明細書で開示される方法から製造された絶縁体ブランクを研磨した後も依然として必要であるが、プレスされ締焼されたブランクの強度が増大することによって、ブランクから取り除かれて孔を満たす粒子が少なくなり、それによって、再ドレッシングの頻度が少なくて(例えば、200〜300の個体の研磨の後)済む。
[0040]理解されたように、微粒子を有するプレスされたブランクのグリーン加工についての主な課題は、砥石車のドレッシング間隔(これは、砥石車の必要な再ドレッシング間の時間である)の低減である。同じバインダ系および締焼工程について、微粒子を有するプレスされたブランクについての砥石車ドレッシング間隔は、粗粒子を有するプレスされたブランクについてのドレッシング間隔の約1/10まで低減され得ることが観察された。例えば、上述したように、微粒子を有する約20〜約30のプレスされたブランクを研磨した後に砥石車が再ドレッシングされなければならないことが観察されている。これとは対照的に、粗粒子を有する約200〜300のプレスされたブランクを研磨した後に、砥石車は再ドレッシングされなければならない。ドレッシング間隔が短くなることによって、微粒子を使用した粉末で絶縁体を製造する生産性が著しく低下し、これまでは、セラミック絶縁体の大量生産において微粒子セラミックを採用する技術的なハードルとなっていた。
[0041]図5は、砥石車を使用して絶縁体ブランクを研磨する前のもとの砥石車を示している。図6は、絶縁体ブランクからのセラミック材料が付着された後の図5の砥石車を示している。図6から分かるように、付着のある砥石車の表面は、粒子で満たされている。この粒子は、砥石車の研磨性に影響を与え、したがって、ある時点より後には、砥石車が再び図5のもとの砥石車のように見えるとともに動作するように、再ドレッシングされなければならない。
[0042]詳細に上述した締焼工程によって、微粒子と共に使用するための砥石車のドレッシング間隔が増大する。特に、締焼工程中において、高有機バインダが取り除かれる。このようにして、プレスされ締焼されたブランクが研磨処理を受けると、砥石車の孔内に圧縮状態で詰まる研磨工程からの粒子が少なくなり、それによって、縁部を切断してより長期間の間露出することができ、再ドレッシングの頻度が少なくて済む。一方、高有機バインダ材料のロスによって、締焼工程中の焼成温度は、プレスされ締焼されたブランクが粗研磨工程を無事に済ますための適切な結合強度を有するように、「肉やせ」(necking)すなわちアルミナ粉末同士間の融合を形成するのに十分に高くなる必要がある。
[0043]締焼工程中のピーク温度は、高有機バインダ材料を取り除くとともにアルミナ粉末同士間の肉やせを成し遂げて強度を付与するのに十分な高温でなければならない。逆に、締焼工程中のピーク温度は、アルミナ粉末の焼結を生じさせないのに十分な低温でなければならない。アルミナ粉末が焼結すると、研磨プロセスには硬すぎる絶縁体ブランクが生成されることがある。実例的実施形態では、アルミナ粉末の大きさおよび使用される焼結助剤(例えば、粘土材料)に応じて、締焼ピーク温度は、約450℃〜約1200℃であってもよい。他の実例的実施形態では、締焼ピーク温度は、約650℃〜約1100℃であってもよい。さらなる実例的実施形態では、締焼ピーク温度は、約750℃〜約1000℃であってもよい。さらなる実例的実施形態では、締焼ピーク温度は、約750℃〜約850℃であってもよく、約850℃であってもよい。
[0044]例示的な締焼温度プロファイルが図7に示されている。図7では、温度は、最初の3時間にわたって0℃から約400℃まで上昇され、約2時間の間、約400℃で安定した状態に維持され、約3〜約4時間の間、約400℃からピーク温度である約850℃まで再び上昇される。温度は、約1時間の間、約850℃で安定した状態に維持され、約1時間の期間にわたって700℃まで低下される。締焼は、例えば、バッチ式窯、トンネル窯または他の適切な装置内で成し遂げられてもよい。図7に示されるプロファイルが完了すると、締焼されたブランクは、研磨の前に、例えば締焼に使用された装置内で、室温まで冷却される。
[0045]特定の締焼プロファイルが図7に示されているものの、当業者は、他の適切な締焼プロファイルも可能であることを理解するであろう。安定した温度を維持する滞留時間、および、温度を上昇および低下させるための時間は、使用される1つ以上の温度に応じて変わるであろう。
[0046]図8は、締焼なしの細粒、および、様々な温度での締焼有りの細粒(横軸)についてのドレッシング間隔(縦軸)を示す棒グラフである。締焼なしの細粒では、標準的なバインダで約100のドレッシング間隔であり、調製されたバインダおよび締焼なしで約400のドレッシング間隔である。750℃、850℃および950℃の締焼温度は、それぞれ約600,5000および約1800のドレッシング間隔になる。上述したように、締焼温度は、高くなり過ぎることがあり、その結果、アルミナ粉末が焼結し、研磨プロセスには硬くなり過ぎる。950℃についての結果は、より高い温度が、絶縁体の研磨性ひいてはドレッシング間隔に悪影響を与え始めることを示している。図9の表は、様々な締焼温度についての生強度(ポンド)を示している。参照群が、締焼なしで粗粒(5〜6ミクロン)の場合の標準的な絶縁体についての生強度の比較を提供している。図9の表から分かるように、650℃に向かう締焼ピーク温度は、参照群に近く、1200℃に向かう締焼ピーク温度は、潜在的に高すぎ、研磨についての問題を引き起こす場合がある。研磨のための生強度は、約2.5ポンド〜約25ポンドであってもよい。より最適な範囲は、約3ポンド〜約15ポンドであってもよい。図9によって示されるように、約950℃での生強度は、最適範囲から外れており、したがって、図8に関して説明したように、研磨性に悪影響を与え始める。
[0047]図8〜10の試験は、表示された絶縁体を形成することによって行われた。図8の「細粒」によって参照される絶縁体、および、図9,10の「参照群」によって参照される絶縁体は、締焼を受けていない。残りの絶縁体は、ピーク温度が変わっていることを別にすれば、図7のグラフにしたがって締焼された。
[0048]最終的な焼結材料の性能に与える締焼の影響を理解するために、サンプルが様々な締焼ピーク温度で用意され(図4のステップ410参照)、次いで、標準的な研磨および焼結が行われた(図4のステップ412,414参照)。図10の表は、様々な温度で締焼された、プレスされたアルミナブランクの誘電強度および密度を示している。試験データから、締焼中の高すぎるピーク温度が最終的な絶縁体の誘電強度を潜在的に低減し得ることが分かる。これは、いくつかのアルミナ粒子の過剰な成長に起因している可能性がある。
[0049]もとの絶縁体製剤におけるバインダは、約1〜約2重量%の1つ以上のバインダを含み得る。上述したように、締焼工程中の温度は、プレスされたブランクからバインダのうちの(仮に全てでなくても)少なくとも一部を取り除くのに十分に高温でなければならない。実例的実施形態では、約60%〜約100%のバインダが、焼け切るか、あるいは、プレスされたブランクから取り除かれてもよい。さらなる実例的実施形態では、約80%〜約100%のバインダが、焼け切るか、あるいは、プレスされたブランクから取り除かれてもよい。実例的実施形態では、100%のバインダが締焼工程中に取り除かれる。また、締焼工程は、プレスされたブランクを部分的に焼結する。この焼結によって、プレスされたブランクからバインダの一部または全てを取り除いた後に、粒子が一緒に融合され、それによって、粒子間が肉やせ、すなわち、融合される。
[0050]本明細書で説明される製剤および方法によって、絶縁体製剤における微粒子の使用が可能になり、より大きな誘電強度を有する絶縁体が提供される。より詳細には、絶縁体ブランクの締焼によって、予備焼結工程が提供される。この予備焼結工程は、絶縁体ブランク内のバインダの少なくとも一部を取り除き、絶縁体ブランクの粒子を一緒に肉やせすなわち融合させる。
[0051]本明細書で開示される方法および製剤は、特定の点火プラグ(図1)に関して説明されているが、本開示の原理、すなわち、本明細書で開示される方法および製剤は、適切な任意の点火プラグに適用可能である。特に、例えば、Belowの米国特許第8,350,456号、Passmanらの米国特許第8,348,709号、Belowの米国特許第8,568,181号、Belowらの米国特許第8,035,286号、Belowの米国特許第8,058,786号、Belowらの米国特許第8,337,268号、Belowの米国特許第8,030,831号、Belowの米国特許第8,552,628号、Ungerらの米国特許第8,558,439号、Belowの米国特許第8,216,015号またはBelowの米国特許第7,977,857号に開示された点火プラグの絶縁体が、本明細書で開示される方法によって製造されてもよく、および/または、本明細書で開示される製剤を使用して製造されてもよい。このような特許の全ての開示は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
[0052]本明細書で説明される任意の実施形態は、他の実施形態に関連して開示される任意の構造または方法を含むように修正され得る。
[0053]さらに、方向用語(例えば、前、後、頂部、底部、上、下など)が、本明細書を通じて使用され得るが、そのような用語は、限定するものではなく、本明細書において、様々な要素の互いに対する向きを伝えるために単に使用されていることを理解すべきである。
[0054]上述の説明を考慮すれば、本開示に対する多数の変形が当業者には明らかであろう。したがって、この説明は、単に例示として解釈されるべきであり、当業者が本開示を製造し使用することができるようにするとともに、それを実施するベストモードを教示する目的で提示されるものである。添付の特許請求の範囲の範囲内のある全ての変形形態に対する独占権が保護される。
10…点火プラグ
12…シェル
14…円筒状基部
16…外ねじ部
18…下部面
20…サイド電極
22…電極チップ
24…絶縁体
26…中心電極
28…中央コア
30…外側被覆
36…インサート
38…上部端
39…下部端
40…内側抵抗
42…中空穴
44…シール面
46…ボス

Claims (12)

  1. 点火プラグ用の絶縁体を製造する方法であって、
    少なくとも2つの原材料を混合して粉末状絶縁体製剤を形成する工程と、
    前記粉末状絶縁体製剤を噴霧乾燥する工程と、
    前記粉末状絶縁体製剤をプレスして絶縁体ブランクを生成する工程と、
    前記絶縁体ブランクを締焼する工程と、
    前記締焼された絶縁体ブランクを研磨して前記絶縁体を形成する工程と、
    前記絶縁体を焼結する工程と
    を備え
    前記粉末状絶縁体製剤は、酸化アルミニウムと、少なくとも1つのバインダと、を含有しており、前記締焼する工程の間に前記バインダの少なくとも60%が取り除かれ、
    前記絶縁体を製造する方法は更に、前記締焼する工程の間に前記絶縁体ブランクの粒子を融合する工程を備える、
    製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法であって、
    前記締焼工程は、約450℃以上、約1200℃以下のピーク温度まで前記粉末状絶縁体を加熱する工程を備える
    製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法であって、
    前記締焼工程は、約750℃以上、約1000℃以下のピーク温度まで前記粉末状絶縁体を加熱する工程を備える
    製造方法。
  4. 請求項3に記載の製造方法であって、
    前記焼結工程は、約1400℃以上、約1700℃以下のピーク温度まで前記絶縁体を加熱する工程を備える
    製造方法。
  5. 請求項に記載の製造方法であって、
    前記締焼工程中に、前記バインダの全てが取り除かれる
    製造方法。
  6. 請求項1に記載の製造方法であって、
    前記絶縁体ブランクの粒子の平均サイズは、約2ミクロン以下である
    製造方法。
  7. 請求項1に記載の製造方法であって、
    前記焼結工程は、約1400℃以上、約1700℃以下のピーク温度まで前記絶縁体を加熱する工程を備える
    製造方法。
  8. 請求項1に記載の製造方法であって、
    前記少なくとも2つの原材料は、酸化アルミニウムと、少なくとも1つのバインダと、を含む
    製造方法。
  9. 点火プラグ用の絶縁体を製造する方法であって、
    少なくとも、酸化アルミニウムと、少なくとも1つのバインダと、を混合して粉末状絶縁体製剤を形成する工程を備え、
    前記粉末状絶縁体製剤の平均粒径は、約2ミクロン以下であり、
    前記製造方法は、さらに、
    前記粉末状絶縁体製剤を噴霧乾燥する工程と、
    前記粉末状絶縁体製剤をプレスして絶縁体ブランクを生成する工程と、
    約450℃以上、約1200℃以下のピーク温度まで前記絶縁体ブランクを締焼する工程と、
    前記締焼された絶縁体ブランクを研磨して前記絶縁体を形成する工程と、
    前記絶縁体を焼結する工程と
    を備え
    前記締焼する工程の間に前記バインダの少なくとも60%が取り除かれ、
    前記絶縁体を製造する方法は更に、前記締焼する工程の間に前記絶縁体ブランクの粒子を融合する工程を備える、
    製造方法。
  10. 請求項に記載の製造方法であって、
    前記締焼工程は、約750℃以上、約1000℃以下のピーク温度まで前記粉末状絶縁体を加熱する工程を備える
    製造方法。
  11. 請求項に記載の製造方法であって、
    前記締焼工程中に、前記バインダの全てが取り除かれる
    製造方法。
  12. 請求項に記載の製造方法であって、
    前記焼結工程は、約1400℃以上、約1700℃以下のピーク温度まで前記絶縁体を加熱する工程を備える
    製造方法。
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