JP2000272957A - スパークプラグ用絶縁体及びそれを用いたスパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ用絶縁体及びそれを用いたスパークプラグ

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JP2000272957A JP11269017A JP26901799A JP2000272957A JP 2000272957 A JP2000272957 A JP 2000272957A JP 11269017 A JP11269017 A JP 11269017A JP 26901799 A JP26901799 A JP 26901799A JP 2000272957 A JP2000272957 A JP 2000272957A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 700℃近傍といった高温下においても高耐
電圧特性を有するスパークプラグ用絶縁体及びそれを備
えるスパークプラグを提供する。 【解決手段】 スパークプラグ100に用いられるアル
ミナ(Al)を主成分とするスパークプラグ用絶
縁体2であって、少なくとも1種以上の希土類元素(以
下、RE.と表す)成分と、ナトリウム(Na)成分を
酸化物換算にて0.05重量%以下含有し、かつ、理論
密度比が95%以上であるアルミナ基焼結体により構成
する。かかる構成により、スパークプラグ用絶縁体2
は、アルミナ結晶粒界に存在する残留気孔や低融点ガラ
ス相の影響による絶縁破壊の発生を抑制し、700℃程
度の高温下における耐電圧特性に優れた絶縁体を有する
ものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関における
混合気への着火源として使用されるスパークプラグと、
それに使用されるスパークプラグ用絶縁体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジン等の内燃機関に使用され
るスパークプラグにおいては、スパークプラグ用絶縁体
(以下、単に「絶縁体」ともいう)として、従来より、
アルミナ(Al)系の材料を焼成したアルミナ基
焼結体により形成されている。その理由としては、アル
ミナが耐熱性及び機械的強度、さらには耐電圧特性に優
れていることが挙げられる。なお、従来より、この絶縁
体(アルミナ基焼結体)を形成するにあたっては、焼成
温度の低減を目的として、例えば酸化珪素(SiO
−酸化カルシウム(CaO)−酸化マグネシウム(Mg
O)からなる三成分系を焼結助剤として用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、スパークプ
ラグ用絶縁体は、内燃機関の燃焼室内にて生じる火花放
電による高温の燃焼ガス(約2000℃〜3000℃)
の影響により、500〜700℃程度の熱間に曝される
ものである。そのために、スパークプラグ用絶縁体にあ
っては、室温から前記高温にわたる範囲内で耐電圧特性
に優れることが重要となる。とりわけ、近年では、内燃
機関の高出力化やエンジンの小型化に伴い、燃焼室内に
おける吸気及び排気バルブの占有面積の大型化や4バル
ブ化が検討されてきており、スパークプラグ自体が小型
化(小径化)される傾向にある。そのために、絶縁体に
ついても肉厚を薄肉化することが要求されており、絶縁
体としては500℃〜700℃程度の熱間に曝されたと
きにも、耐電圧特性により一層優れるものが要求される
ようになってきている。
【0004】しかしながら、上述のように三成分系の焼
結助剤を用いて絶縁体(アルミナ基焼結体)を形成した
場合には、この三成分系の焼結助剤(主にSi成分)
が、焼結後にアルミナ結晶粒子の粒界に低融点ガラス相
として存在してしまうために、絶縁体が700℃程度の
熱間に曝されると、その温度の影響により該低融点ガラ
ス相が軟化して耐電圧特性の低下につながってしまう。
そこで、低融点ガラス相を減少させる目的として、単に
これらの焼結助剤の添加量を低減して絶縁体を形成する
ことも考えられるが、絶縁体の緻密化が進行しなかった
り、あるいは一見緻密化が進行していてもアルミナ結晶
粒子により構成される粒界に多数の気孔が残留してしま
い、これらが原因となって耐電圧特性の低下につながっ
てしまう。
【0005】即ち、アルミナ結晶粒子により構成される
粒界に気孔(残留気孔)が存在したり、あるいは粒界が
低融点の粒界相(低融点ガラス相)からなると、絶縁体
が700℃程度の熱間に曝され、かつ、スパークプラグ
を火花放電させるべく数十kVの高電圧が印加されたと
きに、粒界に存在する残留気孔に電界が集中してしまっ
たり、あるいは粒界相が軟化してしまったりして、絶縁
体の絶縁破壊(火花貫通)を起こすおそれがある。
【0006】一方、絶縁体の材料である原料アルミナ
は、一般にバイヤー(Bayer)法により製造された
もの(以下、バイヤーアルミナともいう)が使用されて
いる。バイヤー法は、アルミニウム原鉱石であるボーキ
サイトからアルミナを湿式抽出する方法であるが、抽出
媒として比較的濃度の高い苛性ソーダ(NaOH)水溶
液が使用されている。そのために、得られるバイヤーア
ルミナを主成分として絶縁体を構成した場合には、アル
カリ金属であるナトリウム(Na)成分(ソーダ成分)
がNaOHやNaOといった形態で不可避的にアルミ
ナに含有されることが多い。
【0007】しかしながら、ナトリウム成分は高いイオ
ン伝導性を示すものであり、アルミナ中に含有されるナ
トリウム成分の含有量が過剰であると、そのようなアル
ミナにより形成される絶縁体は、耐電圧特性、とりわけ
500℃以上の熱間に曝された際の耐電圧特性を低下さ
せたり、あるいは機械的強度を損ねたりするといった不
具合を生ずる。
【0008】そこで、本発明は、絶縁体(アルミナ基焼
結体)中の粒界に存在する残留気孔や粒界における低融
点ガラス相の影響による絶縁破壊の発生を抑え、500
〜700℃程度の熱間に曝されたときにも、耐電圧特性
に一層優れると共に緻密化された絶縁体と、それを用い
たスパークプラグとを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】前記課題
を解決するための本発明の請求項1に記載のスパークプ
ラグ用絶縁体は、アルミナ(Al)を主成分とす
るスパークプラグ用絶縁体であって、少なくとも1種以
上の希土類元素(以下、RE.と表す)成分と、ナトリ
ウム(Na)成分を酸化物換算にて0.05重量%以下
含有し、かつ、理論密度比が95%以上であるアルミナ
基焼結体からなることを特徴とする。
【0010】本発明によれば、アルミナ基焼結体からな
る絶縁体中に、少なくとも1種以上のRE.成分が含有
されることにより、700℃程度の高温下において優れ
た耐電圧特性を得ることができる。ここでいうRE.成
分としては、周期律表第3a族のSc(スカンジウ
ム)、Y(イットリウム)、及び、La(ランタン)か
らLu(ルテチウム)までのランタノイド元素が挙げら
れ、いずれの成分についても絶縁体(アルミナ基焼結
体)中に含有されることにより、耐電圧特性の向上の効
果を得ることができる。なお、RE.成分を含有させる
ことにより絶縁体の耐電圧特性が向上する理由として
は、アルミナ結晶粒子により構成される粒界に、RE.
成分を有する粒界相が生成されることで、粒界相の融点
が向上するものと考えられる。
【0011】また、本発明によれば、アルミナ基焼結体
からなる絶縁体中に含有されるRE.成分が含有される
と共に、含有されるナトリウム成分を酸化物換算にて
0.05重量%以下に設定することが重要となる。絶縁
体(アルミナ基焼結体)中に含有されるナトリウム成分
の含有量(酸化物換算した含有量)が0.05重量%を
超えると、ナトリウムイオンによるイオン伝導性が発生
し、その影響により絶縁体の耐電圧特性、とりわけ50
0℃以上の高温下における耐電圧特性が低下してしま
う。従って、ナトリウム成分の含有量を上記範囲に制限
することで、RE.成分含有による耐電圧特性の向上の
効果を維持することができる。他方、ナトリウム成分は
理論的には0重量%が望ましいが、上述したように、ア
ルミナは一般にバイヤー法により形成される関係上、極
微量(ナノオーダー)のナトリウム成分がアルミナに不
可避的に含有されてしまうものである。
【0012】さらに、本発明によれば、絶縁体(アルミ
ナ基焼結体)の理論密度比を95%以上としている。そ
れにより、アルミナ結晶粒界に存在する電界が集中し易
い残留気孔が少ない、即ち緻密化された絶縁体とするこ
とができる。なお、「理論密度」とは、焼結体を構成す
る各元素成分の含有量を酸化物に換算し、各酸化物の含
有量から混合則によって計算される密度のことをいう。
ここでいう「理論密度比」とは、アルキメデス法によっ
て測定された焼結体密度の前記理論密度に対する割合を
示すものである。
【0013】即ち、本発明では、スパークプラグ用絶縁
体を構成するアルミナ基焼結体中に、少なくとも1種以
上のRE.成分を含有させると共に、アルミナに不可避
的に含有されるナトリウム成分を0.05重量%以下に
設定し、焼結体の理論密度比を95%以上とすることに
より、従来のスパークプラグと比較して、500〜70
0℃程度の高温下における絶縁体の耐電圧特性に優れ、
ひいては小型で絶縁体の厚みが薄いスパークプラグに適
用した場合や、あるいは燃焼室内の温度が高い高出力内
燃機関用のスパークプラグに適用した場合に、絶縁破壊
(火花貫通)等のトラブルを効果的に防止できるように
なる。
【0014】また、本発明のスパークプラグ用絶縁体に
あっては、RE.成分を、請求項2に記載のように、酸
化物換算にて0.01〜18重量%の範囲内で含有する
が、700℃程度の高温下における耐電圧特性の向上を
より効果的に得る上で好ましい。
【0015】また、RE.成分については、請求項3に
記載のように、ランタン(La)、プラセオジム(P
r)、ネオジム(Nd)成分から選ばれる1種または2
種以上からなり、絶縁体を構成するアルミナ基焼結体の
結晶相としてRE.−β−アルミナ(組成式:RE.A
1118)構造の結晶相を少なくとも有することが
好ましい。
【0016】RE.成分として、La、Pr、Ndに限
定する理由としては、これら以外のRE.元素では3価
のイオンのイオン半径が小さいために、RE.−β−ア
ルミナ構造の結晶相(以下、単に「RE.−β−アルミ
ナ結晶相」ともいう)が絶縁体(アルミナ基焼結体)中
に生成されないからである。このRE.−β−アルミナ
結晶相は、融点が2000℃近傍といった高融点の結晶
相であり、該結晶相の生成により700℃程度の高温下
における絶縁体の耐電圧特性を向上させることができ
る。絶縁体におけるRE.−β−アルミナ結晶相の存在
箇所は特には限定されるものではないが、絶縁体(アル
ミナ基焼結体)の内部にまで存在することが好ましく、
さらにはアルミナの二粒子粒界及び/又は三重点に存在
することがより好ましい。
【0017】Pr及びNdに関しては、Laとは異なり
RE.−β−アルミナのJCPDSカードが存在しない
ために、X線回折による同定は直接的には不可能であ
る。しかしながら、Pr3+及びNd3+のイオン半径
がLa3+とほぼ同等であることから、Pr及びNdに
ついては、La−β−アルミナのJCPDSカード(N
o.33−699)と類似したX線回折スペクトルを示
すものである。なお、RE.−β−アルミナ結晶相は、
RE.−β−アルミナを原料粉末として予め添加するこ
ともできるが、この場合には焼成時に粒成長の異方性が
大きいことから焼結体の緻密化が阻害されるおそれがあ
る。このため、前記結晶相は焼成時に生成させることが
好ましい。
【0018】さらに、本発明のスパークプラグ用絶縁体
は、請求項4に記載のように、ケイ素(Si)成分と、
カルシウム(Ca)成分若しくはマグネシウム(Mg)
成分のうち少なくともいずれかを含有してもよい。そし
て、その場合にはケイ素成分(S:単位は重量%)、カ
ルシウム成分(C:単位は重量%)、マグネシウム成分
(M:単位は重量%)の酸化物換算した各成分の総計に
対するケイ素成分の割合を重量基準で、S/(S+C+
M)≧0.7の関係式を満たすことが好ましい。
【0019】前記三成分系の各成分は、絶縁体中に含有
されることにより焼成時に各成分が溶融して液相を生
じ、絶縁体(アルミナ基焼結体)の緻密化を促進する焼
結助剤として機能することから、絶縁体の緻密化を図る
上で効果的である。ただし、前記Si成分は緻密化を促
進する焼結助剤として機能する一方で、アルミナ結晶相
粒子の粒界にて低融点ガラス相として存在するものであ
る。しかしながら本発明では、前記三成分系の各成分が
含有されるときにも、Si成分の割合を前記関係式のよ
うに調整することにより、絶縁体の700℃程度の高温
下における耐電圧特性の向上の効果を得ることができ
る。この理由としては、絶縁体(アルミナ基焼結体)中
のアルミナ結晶粒子の粒界における低融点ガラス相を構
成するSi成分が、本発明の必須成分であるRE.成分
と相俟ってRE.−Siからなるガラス相といった高融
点相を生成することで、粒界相の融点を向上させるもの
と考えられる。
【0020】さらに、前記関係式にあっては、請求項5
に記載のように、0.95≧S/(S+C+M)≧0.
75の関係式を満たすことにより、結晶相としてムライ
ト(AlSi13)結晶相を少なくとも有するス
パークプラグ用絶縁体を構成することが好ましい。この
発明において、前記三成分系の各成分が含有されるとき
に、Si成分の割合を前記関係式の範囲内で調整するこ
とにより、Si成分がRE.成分と相俟って高融点結晶
相を生成すると共に、融点が1900℃近傍といったム
ライト結晶相を生成させることが可能となり、700℃
程度の高温下における絶縁体の耐電圧特性の向上を図る
ことができる。
【0021】前記関係式において、Si成分の割合が
0.75より少ない場合には、または0.95を超える
場合には、ムライト結晶相の生成がほとんどみられな
い。特に、前記関係式において0.92≧S/(S+C
+M)≧0.78を満たすように調整すれば、絶縁体
(アルミナ基焼結体)中にムライト結晶相がより効果的
に生成されることが可能となる。なお、絶縁体における
ムライト結晶相の存在箇所は特には限定されるものでは
なく、絶縁体(アルミナ基焼結体)の内部に存在するこ
とが好ましく、さらにはアルミナの二粒子粒界及び/又
は三重点に存在することがより好ましい。
【0022】また、本発明のスパークプラグは、請求項
6に記載のように、軸状の中心電極と、その中心電極の
径方向周囲に配置される主体金具と、その主体金具の一
端に固着されて前記中心電極と対向するように配置され
た接地電極と、中心電極と主体金具との間において前記
中心電極の径方向周囲を覆うように配置されると共に、
請求項1ないし5のいずれかに記載のスパークプラグ用
絶縁体を備えることによって、700℃程度の高温下に
おいて耐電圧特性に優れ、絶縁破壊(火花貫通)を起し
にくい絶縁体を有するスパークプラグを構成することが
できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の幾つかの実施の形
態を図面を用いて説明する。図1に示す本発明の一例た
るスパークプラグ100は、軸状に延びる中心電極3
と、この中心電極3の径方向周囲を覆うように配置され
た絶縁体2と、その絶縁体2を保持する主体金具4とを
有する。この主体金具4は例えば炭素鋼(JIS−G3
507)により形成され、先端側4aの一端に接地電極
5の一端5aが溶接等により固着されている。そして、
この接地電極5の他端側は、先端側中心電極4aに向か
って延び、略L字状に曲げ返され、中心電極3(先端側
中心電極3a)と所定の火花放電ギャップgを形成して
いる。
【0024】本発明の主要部である絶縁体2には、自身
の中心軸線O方向に沿って貫通孔6が形成されており、
その一方の端部側に端子電極7が挿入・固定され、同じ
く他方の端部側に中心電極3が挿入・固定されている。
また、この貫通孔6内において端子電極7と中心電極3
との間に抵抗体8が配置されている。この抵抗体8の両
端部は、導電性ガラス層9、10を介して中心電極3と
端子電極7とにそれぞれ電気的に接続されている。な
お、抵抗体8は、ガラス粉末と導電材料粉末(及び必要
に応じてガラス粉末以外のセラミック粉末)とを混合し
て、ホットプレス等により焼結して得られる抵抗体組成
物により形成される。また、この抵抗体8を省略して、
一層の導電性ガラスシール層により中心電極3と端子電
極7とを一体化した構成としてもよい。
【0025】絶縁体2は、内部に自身の中心軸線O方向
に沿って中心電極3を嵌め込むための貫通孔6を有し、
全体が本発明の絶縁材料により構成されている。即ち、
該絶縁材料はアルミナ(Al)を主成分として構
成されており、少なくとも1種以上のRE.成分を酸化
物換算にて0.01〜18重量%含有し、さらにはナト
リウム(Na)成分を酸化物換算にて0.05重量%以
下含有するアルミナ基焼結体から構成される。
【0026】さらに、絶縁体2を詳細にみると、図1に
示すように、絶縁体2の軸方向中間には、周方向外向き
に突出する突出部2eが例えばフランジ状に形成されて
いる。そして、絶縁体2には、中心電極3の先端に向か
う側を前方側として、その突出部2eよりも後方側がこ
れよりも細形に形成された本体部2bとされている。一
方、突出部2eの前方側にはこれよりも細径の第一軸部
2gと、その第一軸部2gよりもさらに細径の第二軸部
2iがこの順序で形成されている。なお、本体部2bの
外周面には釉薬2dが施され、当該外周面の後端部には
コルゲーション2cが形成されている。また、第一軸部
2gの外周面は略円筒状とされ、第二軸部2iの外周面
は先端に向かうほど縮径する略円錐状とされている。
【0027】ついで、絶縁体2の貫通孔6は、中心電極
3を挿通させる略円筒状の第一部分6aと、その第一部
分6aの後方側(図中上方側)においてこれよりも大径
に形成される略円筒状の第二部分6bとを有する。図1
に示すように、端子電極7と抵抗体8は第二部分6b内
に収容され、中心電極3は第一部分6a内に挿通され
る。中心電極3の後端部には、その外周面から外向きに
突出して電極固定用凸部3aが形成されている。そし
て、この貫通孔6の第一部分6aと第二部分6bとは、
第一軸部内において互いに接続しており、その接続位置
には、中心電極3の電極固定用凸状部3bを受けるため
の凸部受け面6cがテーパ面あるいはR面状に形成され
ている。
【0028】また、第一軸部2gと第二軸部2iとの接
続部2hの外周面は段付部とされ、これが主体金具4の
内面に形成された主体金具側係合部としての凸状部4c
と環状の板パッキン11を介して係合することにより、
絶縁体2の軸方向の抜止めがなされている。他方、主体
金具4の後方側開口部内面と、絶縁体2の外面との間に
は、フランジ状の突出部2eの後方側周縁と係合する環
状の線パッキン12が配置され、そのさらに後方側には
粉末滑石13を介して環状の線パッキン14が配置され
ている。そして、絶縁体2を主体金具4に向けて前方側
に押し込み、その状態で主体金具4の開口縁を線パッキ
ン14に向けて内側にR状にカシメることにより、カシ
メ部4bが形成され、主体金具4が絶縁体2に対して固
定されることになる。
【0029】図2(a)及び図2(b)は、絶縁体2の
幾つかの例を示すものである。その各部の寸法は、以下
に例示する。 ・全長L1:30〜75mm。 ・第一軸部2gの長さL2:0〜30mm(但し、突出
部2eとの接続部2fを含まず、第二軸部2iとの接続
部2hを含む)。 ・第二軸部2iの長さL3:2〜27mm。 ・本体部2bの外径D1:9〜13mm。 ・突出部2eの外径D2:11〜16mm。 ・第一軸部2gの外径D3:5〜11mm。 ・第二軸部2iの基端側外径D4:3〜8mm。 ・第二軸部2iの先端部外径D5(但し、先端面外周縁
にRないし面取りが施される場合は、中心軸線Oを含む
断面において、そのR部ないし面取り部の基端位置にお
ける外径を指す):2.5〜7mm。 ・貫通孔6の第二部分6bの内径D6:2〜5mm。 ・貫通孔6の第一部分6aの内径D7:1〜3.5m
m。 ・第一軸部2gの肉厚t1:0.5〜4.5mm。 ・第二軸部2iの基端部肉厚t2(中心軸線Oと直交す
る向きにおける値):0.3〜3.5mm。 ・第二軸部2iの先端部肉厚3t(中心軸線Oと直交す
る向きにおける値;但し、先端面外周縁にRないし面取
りが施される場合は、中心軸線Oを含む断面において、
該R部ないし面取り部の基端位置における肉厚を指
す):0.2〜3mm。 ・第二軸部2iの平均肉厚tA((t1+t2)/
2):0.25〜3.25mm。
【0030】なお、図2(a)に示す絶縁体2における
前記各部の寸法は、例えば以下の通りである:L1=約
60mm、L2=約10mm、L3=約14mm、D1
=約11mm、D2=約13mm、D3=約7.3m
m、D4=5.3mm、D5=約4.3mm、D6=
3.9mm、D7=2.6mm、t1=1.7mm、t
2=1.3mm、t3=0.9mm、tA=1.5m
m。
【0031】また、図2(b)に示す絶縁体2は、第一
軸部2g及び第二軸部2iがそれぞれ、図2(a)に示
すものと比較してやや大きい外径を有している。各部の
寸法としては、例えば以下の通りである:L1=約60
mm、L2=約10mm、L3=約14mm、D1=約
11mm、D2=約13mm、D3=約9.2mm、D
4=6.9mm、D5=約5.1mm、D6=3.9m
m、D7=2.7mm、t1=3.3mm、t2=2.
1mm、t3=1.2mm、tA=2.7mm。
【0032】ついで、この絶縁体2は、例えば下記のよ
うな方法で製造される。まず、原料粉末として、バイヤ
ー法により得られたバイヤーアルミナ粉末(なお、バイ
ヤーアルミナ粉末100重量%中に含有されるNa成分
含有量が酸化物換算で0.07重量%以下、平均粒径
2.0μm以下)と、ケイ素(Si)成分、カルシウム
(Ca)成分、マグネシウム(Mg)成分の各無機系粉
末と、さらにRE.成分系粉末を添加した上で配合し、
親水性結合剤(例えば、ポリビニルアルコール)と溶媒
としての水とを添加・混合して成形用素地スラリーを調
製する。
【0033】ここで、その絶縁体2は、原料のアルミナ
(バイヤーアルミナ)粉末として、Na成分の含有量が
酸化物換算にて0.07重量%以下のものを使用するこ
とが重要である。これにより、得られる絶縁体2に、
0.05重量%(ナトリウム成分の一部は焼成時に焼失
することがある)以下のNa成分が含有されることとな
る。なお、アルミナ粉末中のNa成分の含有量を酸化物
換算にて0.07重量%以下とするには、例えばバイヤ
ー法により製造されたバイヤーアルミナが所定のNa成
分の含有量となるまで、脱ソーダ処理を施すことにより
調整可能である。
【0034】原料粉末の主成分であるアルミナ粉末は、
その平均粒径が2μm以下のものを使用するのがよい。
平均粒径が2μmを超えると、焼結体自体の緻密化を十
分に進行させることが困難となりがちで、絶縁体の耐電
圧特性の低下につながってしまうことがある。なお、原
料粉末を構成するアルミナ粉末は、焼成後のアルミナ基
焼結体100重量%中に、Al成分の酸化物換算にて、
75.0〜99.7%の範囲内となるように適宜調製さ
れることが良好な耐電圧特性を得る上で好ましい。
【0035】RE.成分系粉末としては、焼成によりR
E.成分の酸化物に転化できる物質である限りその種類
に特に制限はなく、例えばRE.成分の酸化物、及びそ
の複合酸化物等の粉末を挙げることができる。なお、添
加されるRE.成分系粉末は、焼成後のアルミナ基焼結
体100重量%中に、RE.成分の酸化物換算にて0.
01〜18重量%の範囲内となるように適宜調整され、
添加される必要がある。また、ここでいうRE.成分と
しては、周期律表第3a族のSc(スカンジウム)、Y
(イットリウム)、及び、La(ランタン)からLu
(ルテチウム)までのランタノイド元素の各成分が挙げ
られる。
【0036】さらに、Si成分はSiO粉末、Ca成
分はCaCO粉末、Mg成分はMgO粉末の形でアル
ミナ粉末に添加することができる。なお、Si、Ca、
Mgの各成分については、各成分の酸化物(複合酸化物
でもよい)の他、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、
硝酸塩等、リン酸塩等の各種無機系粉末を使用してもよ
い。但し、これら無機系粉末は、いずれも大気中高温の
焼成により酸化されて酸化物に転化できるものを使用す
る必要がある。
【0037】添加される各無機系粉末は、Si成分
(S:単位は重量%)、Ca成分(C:単位は重量
%)、Mg成分(M:単位は重量%)の酸化物換算した
各成分の総計に対するSi成分の割合を重量基準で、S
/(S+C+M)≧0.7を満たすように、より好まし
くは0.95≧S/(S+C+M)≧0.75の関係式
を満たすように適宜調整され、添加される必要がある。
また、各無機系粉末の好適な平均粒径としては、各無機
系粉末とも平均粒径1μm以下とするとよい。各無機系
粉末の平均粒径が前記範囲内にあると、前記平均粒径の
範囲にあるアルミナ粉末及びRE.成分系粉末との焼結
過程での反応(接触)が良くなるものと考えられ、更に
は焼成収縮を高め、緻密化した絶縁体を構成することが
できる。
【0038】成形用素地スラリーを調整する際の溶媒と
しての水には特に制限がなく、従来の絶縁体を製造する
場合と同様の水を使用することができる。また、バイン
ダーには、例えば親水性有機化合物を使用することがで
き、例えばポリビニルアルコール(PVA)、水溶性ア
クリル樹脂、アラビアゴム、デキストリン等を挙げるこ
とができる。これの中でもPVAが最も好ましい。ま
た、成形用素地スラリーを調整する方法には、特に制限
がなく、原料粉末、バインダー及び水を混合して成形用
素地スラリーを形成することができればどのような混合
方法であってもよい。バインダー及び水の配合量は、原
料粉末を100重量部とした場合に、バインダーは0.
1〜5重量部、特に0.5〜3重量部の割合で、水は4
0〜120重量部、特に50〜100重量部の割合で配
合される。
【0039】成形用素地スラリーは、スプレードライ法
等により噴霧乾燥されて球状の成形用素地造粒物に調製
される。この造粒物の平均粒径としては、30〜200
μmがよく、特に好ましくは50〜150μmである。
そして、得られた成形用素地造粒物をラバープレス成形
することにより、絶縁体の原形となるプレス成形体を作
る。得られたプレス成形体は、その外側をレジノイド砥
石等にて切削加工されて、図2に対応した外形形状に仕
上げられ、ついで大気雰囲気下において焼成温度145
0℃〜1650℃の範囲内で、かつ1〜8時間の焼成時
間の焼成時間により成形体を焼成し、その後、釉薬をか
けて仕上焼成されて、絶縁体2が完成される。
【0040】前記成形体の焼成温度に関しては、その焼
成温度が1450℃よりも低い場合には、十分に緻密化
した絶縁体が得られない場合がある。他方、焼成温度が
1650℃を超える場合には、アルミナ結晶粒子が焼成
中に異常粒成長してしまうために、絶縁体の機械的強度
が低下し易く、かつ、粒界に粗大な気孔が生じ易く耐電
圧特性の低下につながってしまう。
【0041】また、前記焼成温度の条件における前記成
形体の焼成時間に関しては、1時間〜8時間保持させる
ことが好ましい。この焼成時間が、1時間より短い場合
には、十分に緻密化した絶縁体(アルミナ基焼結体)が
得られない場合がある。一方、8時間よりも焼成時間が
長い場合には、アルミナ結晶粒子が焼成中に異常粒成長
してしまうために、焼成温度が高過ぎる(1650℃以
上)時と同様に、耐電圧特性の低下につながってしま
う。なお、成形体を前記焼成温度範囲内にて成形体を保
持するにあたり、前記温度範囲内の任意の温度を一定に
維持させながら所定時間保持させてもよいし、前記温度
範囲内において所定の加熱パターンに従って温度を変動
させつつ所定時間保持させてもよい。
【0042】以下、スパークプラグ100の作用につい
て説明する。即ち、スパークプラグ100は、主体金具
4に形成されたネジ部4dによりエンジンブロックに取
り付けられ、燃焼室内に導入される混合気への着火源と
して使用される。ここで、スパークプラグ100に使用
されている絶縁体2は本発明の絶縁体で構成されている
ことで、700℃程度の高温下での耐電圧特性が向上
し、燃焼室内が高温となる高出力エンジンに使用された
場合でも、絶縁破壊(火花貫通)を起こしにくく、高い
信頼性を確保することができる。
【0043】例えば、図2(a)及び(b)に示すよう
に、絶縁体2において、係合用突出部2eよりも前方側
に、これよりも小径で径方向の厚さが薄肉である軸部
(この場合、第一軸部2gと第二軸部2iとを合わせた
部分)が形成される場合、その軸部、例えば第二軸部2
iにおいて絶縁破壊(火花貫通)が生じ易くなる。従っ
て、このような絶縁体2においては、本発明の絶縁体が
特に有用となる。例えば、図4(a)の絶縁体では、第
二軸部2iの平均肉厚tAが1.5mmとされている
が、中心電極3の周囲にこのような肉厚の薄い部分が形
成されていても、本発明の絶縁体を適用することによ
り、絶縁破壊(火花貫通)等のトラブルの発生を効果的
に防止ないし抑制することができる。
【0044】本発明の絶縁体が適用可能なスパークプラ
グは図1に示すタイプのものに限らず、例えば、複数の
接地電極の先端を中心電極の側面と対向させてそれらの
間に火花放電ギャップを形成したものであってもよい。
この場合には、絶縁体の先端部を中心電極の側面と接地
電極の先端面との間に進入させたセミ沿面タイプのスパ
ークプラグとして構成してもよい。この構成では、絶縁
体の先端部の表面を沿う形態の火花放電がなされるの
で、気中放電タイプのスパークプラグと比べて燻り等に
対する耐汚損性が向上する。
【0045】
【実施例】本発明の効果を確認するために、以下の実験
を行った。まず、表1に示すアルミナ(Al)粉
末(いずれも純度99.8%以上)のうち、平均粒径が
0.1〜2.2μmにあたる番号のアルミナ粉末〜
の中からそれぞれ1種を選択し、各アルミナ粉末に平均
粒径0.6μmのSiO粉末(純度99.9%)と、
平均粒径0.8μmのCaCO粉末(純度99.9
%)と、平均粒径0.3μmのMgO粉末(純度99.
9%)とを添加して、さらには表2に示す平均粒径1.
0〜19.0μmの各種RE.酸化物(RE.成分系粉
末)を表3に示す量比となるように秤量した上で添加し
て、原料粉末を調製した。なお、各種RE.酸化物は、
アルミナ粉末、SiO粉末、CaCO 粉末及びMg
O粉末の合計添加量に対して外配合にて添加した。
【0046】そして、これらの原料粉末総量を100重
量部として、親水性結合剤としてPVA2重量部と、溶
媒としての水70重量部を配合し、アルミナ製ボールを
用いたボールミルにて湿式混合することにより、成形用
素地スラリーを調製する。ついで、この成形用素地スラ
リーをスプレードライ法等により噴霧乾燥して球状の成
形用素地造粒物を調製し、篩により粒径10〜355μ
mに整粒する。そして得られた成形用素地造粒物をラバ
ープレス型内に投入し、貫通孔6形成用ラバープレスピ
ンを挿入しつつ約100MPaの圧力にてラバープレス
成形を行い、得られたプレス成形体の外側をレジノイド
砥石にて切削加工して、所定の絶縁体形状の成形体に成
形する。その後、大気雰囲気下において表3に示す焼成
温度(最高焼成保持温度)で2時間の保持時間をもって
各成形体を焼成し、その後、釉薬をかけて仕上焼成し、
図2(a)に示すような絶縁体2をそれぞれ製造した。
【0047】そして、以下の方法によって、焼成して得
られた絶縁体の理論密度比、絶縁体に含有されるRE.
成分の酸化物換算値、絶縁体に含有されるNa成分の酸
化物換算値、上述したS/(S+C+M)の関係式の
値、絶縁体中のRE.−β−アルミナ構造の結晶相及び
ムライト結晶相の有無、700℃における耐電圧値及び
実機耐電圧テストの各試験並びに各分析を行った。な
お、それらの結果を表4に示した。
【0048】理論密度比:アルキメデス法により各絶
縁体の密度(相対密度)の測定を行い、混合則による理
論密度に対する比で示した。
【0049】絶縁体に含有されるRE.成分及びNa
成分の酸化物換算値:絶縁体中のRE.成分の酸化物換
算値は、各絶縁体を蛍光X線にて分析し、それより検出
されたRE.成分の量を酸化物換算した値で示した。こ
こで、表4に示すRe.成分のうち、La、Nd、Dy
(ジスプロシウム)、Er(エルビウム)、Sc及びY
に関しては、それぞれLa、Nd、Dy
、Er、Sc、Yとして換算
し、Prに関してはPr11として換算するものと
する。また、絶縁体中のNa成分の酸化物換算値は、各
絶縁体を化学分析し、それより得られた値を酸化物換算
した値で示した。ここで、表4に示すNa成分に関して
は、NaOとして換算するものとする。
【0050】S/(S+C+M)の関係式の値:各絶
縁体を化学分析して、それより得られたSi成分、Ca
成分、Mg成分の値をそれぞれ酸化物換算し、上記関係
式により算出した。
【0051】RE.−β−アルミナ結晶相及びムライ
ト結晶相の有無:各絶縁体において、自身の軸線との直
交断面をとり、その断面組織のX線回折を行い、JCP
DSカードNo.33−699、No.15−776に
相当するスペクトルが存在するか否かにより判断した。
図3には、Nd−β−アルミナ結晶相(Al11NdO
18)を有する実施例である試料番号10のX線回折チ
ャートを示した。図4には、ムライト結晶相(Si
13)を有する実施例である試料番号8のX線回
折チャートを示した。なお、各結晶相が存在したときに
も、例えば極少量の存在割合のために、X線回折にて明
確にスペクトルとして現れない場合があり、その場合に
は本実施例では無として判断した。
【0052】700℃における耐電圧値:本試験にあ
たっては、上述した同様の成形用素地造粒物を用いて、
耐電圧値測定用のテストピースをそれぞれ作製した。詳
細には、金型プレス成形(加圧力100MPa)により
成形用素地造粒物を成形し、これを前記絶縁体と同じ条
件にて焼成すると共に、Φ25mm×t(厚さ)=0.
65mmの円板状試験片を得た。そして、この各試験片
20を、図5に示すように、電極21a、21b間に挟
み、さらにアルミナ製碍筒22a、22b及び封着ガラ
ス23により固定して、電熱ヒータ24にて加熱用ボッ
クス25内を700℃に加熱し、数十kV程度の高電圧
を各試験片20に印加するための高電圧発生装置(CD
I電源)26を使用して一定の高電圧を印加すること
で、各試験片20の耐電圧値を測定した。
【0053】実機耐電圧テスト:各絶縁体を用いて、
図1に示すスパークプラグをそれぞれ形成する。ここ
で、本実施例におけるスパークプラグの主体金具のねじ
径は12mmとした。そして、そのスパークプラグを4
気筒エンジン(排気量2000cc)に取付け、スロッ
トル全開状態、エンジン回転数6000rpmにて、放
電電圧を35kV及び38kVにて制御しつつ、絶縁体
の先端(図中下方)温度を700℃程度に設定した上で
連続運転を行い、50時間経過後に絶縁体に火花貫通が
生じたか否かを評価した。なお、50時間経過後に絶縁
体に異常がみられなかったものについては○印、逆に5
0時間未満にて絶縁体に絶縁破壊(火花貫通)がみられ
たものについては×印で示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】表4の結果より、絶縁体中のNa成分の酸
化物換算での含有量(NaO含有量)が0.05重量
%以下で、S/(S+C+M)の関係式が0.7以上を
満たし、RE.成分が含有され、さらに理論密度比が9
5%以上である試料番号4〜17のものにおいて、70
0℃の耐電圧値がいずれも60kV/mm以上と良好な
値を示すことがわかる。また、S/(S+C+M)の関
係式の値が0であるが、絶縁体中のNa成分の酸化物換
算での含有量が0.05重量%以下で、RE.成分が含
有され、さらに理論密度比が95%以上である試料番号
1〜3のものについても、700℃の耐電圧値がいずれ
も60kV/mm以上と良好な値を示すことがわかる。
【0059】特に、絶縁体中における、Na成分の酸化
物換算にて表した含有量が0.02重量%以下で、R
E.成分の酸化物換算にて表した含有量が1.95〜1
5.24重量%で、S/(S+C+M)>0.7の関係
式を満たし、理論密度比が95.4以上である試料番号
9、10、12、13、14、15及び16の耐電圧値
は、それぞれ75kV/mm、78kV/mm、75k
V/mm、80kV/mm、82kV/mm、80kV
/mm及び78kV/mmと非常に良好な耐電圧値を示
した。
【0060】一方、絶縁体中にRE.成分を含有しない
比較例である試料番号18のものでは、700℃の耐電
圧値が47kV/mmと劣る結果であった。また、絶縁
体中のNa成分の酸化物換算での含有量が0.25重量
%以上と多い比較例である試料番号19及び20は、7
00℃の耐電圧値がそれぞれ36kV/mm及び41k
V/mmと劣る結果であった。また、RE.成分の酸化
物換算での含有量が所定の範囲内で、かつ、Na成分の
含有量が所定量以下に設定し、理論密度比を93.0%
として比較例である試料番号21では、700℃の耐電
圧値が32kV/mmと本実施例中で最も劣る結果とな
った。これにより、理論密度比が95.0%より低い場
合では耐電圧値の向上の効果が得られないことがわか
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一例を示す全体正面
断面図である。
【図2】スパークプラグ用絶縁体の幾つかの実施形態を
示す縦断面図である。
【図3】Nd−β−アルミナ結晶相(Al11NdO
18)を有する実施例である試料番号10のX線回折チ
ャートである。
【図4】ムライト結晶相(SiAl13)を有す
る実施例である試料番号8のX線回折チャートである。
【図5】700℃における実施例の各試験片の耐電圧値
を測定するために用いた装置を示す模式図である。
【符号の説明】
100 スパークプラグ 2 スパークプラグ用絶縁体(絶縁体) 3 中心電極 4 主体金具 5 接地電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山元 禎広 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 松原 桂 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 田中 邦治 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 島森 融 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 伊藤 正也 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA07 AA08 AA36 AA37 BA12 CA01 GA22 GA25 GA27 5G059 AA03 AA05 CC01 FF01 FF02 5G303 AA10 AB02 BA12 CA01 CB01 CB06 CB15 CB17 CB20 CB22 CB26 CB30 CB40 CB41 CB43

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナ(Al)を主成分とする
    スパークプラグ用絶縁体であって、 少なくとも1種以上の希土類元素(以下、RE.と表
    す)成分と、ナトリウム(Na)成分を酸化物換算にて
    0.05重量%以下含有し、かつ、理論密度比が95%
    以上であるアルミナ基焼結体からなることを特徴とする
    スパークプラグ用絶縁体。
  2. 【請求項2】 前記RE.成分を、酸化物換算にて0.
    01〜18重量%の範囲内で含有する請求項1に記載の
    スパークプラグ用絶縁体。
  3. 【請求項3】 前記RE.成分は、ランタン(La)、
    プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)成分から選ば
    れる1種または2種以上からなり、結晶相としてRE.
    −β−アルミナ(組成式:RE.Al1118)構造
    の結晶相を少なくとも有する請求項1または2に記載の
    スパークプラグ用絶縁体。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載のス
    パークプラグ用絶縁体であって、 ケイ素(Si)成分と、カルシウム(Ca)成分若しく
    はマグネシウム(Mg)成分のうち少なくとも一方を含
    有すると共に、 前記ケイ素成分、前記カルシウム成分及び前記マグネシ
    ウム成分の各成分の含有量を酸化物換算で、それぞれS
    (単位:重量%)、C(単位:重量%)及びM(単位:
    重量%)としたときに、 S/(S+C+M)≧0.7 の関係式を満たすスパークプラグ用絶縁体。
  5. 【請求項5】 前記ケイ素成分、前記カルシウム成分及
    び前記マグネシウム成分の各成分の含有量を酸化物換算
    で、それぞれS(単位:重量%)、C(単位:重量%)
    及びM(単位:重量%)としたときに、 0.95≧S/(S+C+M)≧0.75 の関係式を満たすと共に、結晶相としてムライト(Al
    Si13)結晶相を少なくとも有する請求項4に
    記載のスパークプラグ用絶縁体。
  6. 【請求項6】 軸状の中心電極と、 前記中心電極の径方向周囲に配置される主体金具と、 前記主体金具の一端に固着されて前記中心電極と対向す
    るように配置された接地電極と、 前記中心電極と前記主体金具との間において該中心電極
    の径方向周囲を覆うように配置されると共に、請求項1
    ないし5のいずれかに記載のスパークプラグ用絶縁体
    と、を備えたことを特徴とするスパークプラグ。
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