JP6798902B2 - 圧電磁器板および板状基体ならびに電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電磁器板および板状基体ならびに電子部品に関するものである。
圧電磁器板は、圧電現象を介して発生する変位や力を機械的駆動源として利用する圧電アクチュエータ等、種々の電子部品に用いられている。圧電アクチュエータは、その用途が拡大するに従い、より低電圧で、より大きな変位や発生力が得られる積層圧電アクチュエータが多く使われるようになってきた。
従来、焼成後における圧電磁器板の変形(収縮ばらつき)が大きかったため、圧電磁器板の形状、寸法を所定範囲内に制御すべく、焼成後に圧電磁器板の切断、研磨等の加工を行っていた(例えば、特許文献1を参照)。
特開平3−54878号公報
しかしながら、従来では、上記したように、圧電磁器板の形状や寸法を所定範囲内に制御すべく、焼成後に切断したり、研磨したりしていたため、工程が増加し、製造コストも高くなるという課題があった。
本発明は、焼き上げ状態における圧電磁器板の変形が少なく、焼成後の加工を低減できる圧電磁器板および板状基体ならびに電子部品を提供することを目的とする。
本発明の圧電磁器板は、複数の結晶粒子を有するとともに、一対の主面および該主面間に位置する側面を具備し、少なくとも一つの前記側面が焼き上げ面であり、前記主面の面重心近傍に位置する前記結晶粒子の平均粒径をD1とし、前記焼き上げ面である側面近傍に位置する前記結晶粒子の平均粒径をD2としたとき、D1に対するD2の比(D2/D1)が、0.9〜1.1の範囲である。
本発明の板状基体は、上記の圧電磁器板内に内部電極を有する。
本発明の電子部品は、上記の板状基体の表面に配置された表面電極と、前記内部電極に接続され、前記圧電磁器板の厚み方向に延びて前記板状基体の表面に引き出されたビアホール導体と、を具備する。
本発明の電子部品は、上記の板状基体と、前記内部電極に接続された外部電極とを具備するとともに、前記圧電磁器板が、加工面を有する前記側面を具備し、該加工面に前記外部電極が配置されている。
本発明の圧電磁器板によれば、圧電磁器板の変形が少なく、焼成後の加工を低減できる。また、本発明の板状基体、電子部品によれば、製造コストを低減できる。
圧電磁器板を示すもので、(a)は矩形状の主面を有する場合の斜視図、(b)は円形状の主面を有する場合の斜視図である。 (a)は圧電磁器の組織を示す説明図、(b)は側面から主面までの表面の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 結晶粒径の測定位置を説明するもので、(a)は主面が矩形状の圧電磁器板の平面図、(b)は主面が円形状の圧電磁器板の平面図である。 圧電磁器板の変形量について説明するもので、(a)は主面が略矩形状の圧電磁器板の平面図、(b)は主面が台形状の圧電磁器板の平面図である。 平面度に関する説明図である。 電子部品の第1の実施形態を模式的に示すもので、(a)は概略平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 電子部品の第2の実施形態を示すもので、(a)は概略縦断面図、(b)は概略横断面図である。
(圧電磁器板)
図1(a)に示す圧電磁器板1は、対向するほぼ平行な一対の辺1a、他の一対の辺1bを有する長方形状の一対の主面1cと、対向する一対の第1側面1dおよび対向する一対の第2側面1eを有している。一対の第1側面1dを構成する主面1c側の辺は、主面1cの辺1aである。これにより、一対の第1側面1dはほぼ平行となっている。
図1(b)に示す圧電磁器板1は、円形状の一対の主面1cと、一方の主面1cの外周1fともう一方の主面1cの外周1gとをつなぐ側面1hを有している。
そして、圧電磁器板1は、図2(a)に示すように、複数の結晶粒子2と、結晶粒子2間に存在する結晶粒界3と、を有するものである。
図1(a)の一対の主面1cと一対の第1側面1d、および図1(b)の一対の主面1cと側面1hは、図2(b)に示すように、焼き上げ面である。なお、図2(b)は、長方形状の主面1cと第1側面1dとが確認できるように、主面1cの斜め上から、図1(a)に示す圧電磁器板1の表面を観察した透過型電子顕微鏡(SEM)写真である。
焼き上げ面とは、図2(b)に示したように、焼成後に切断または研磨などの加工をしていない面である。また、図2(b)に示す形態では、一対の第2側面1e、一対の主面1cについても焼き上げ面であり、全周が焼き上げ面である。焼き上げ面である側面を単に焼き上げ側面という。
そして、図3(a)、(b)に示すように、主面1cの面重心G近傍(一点鎖線で囲まれた領域の内側)に位置する結晶粒子2の平均粒径をD1、焼き上げ側面(1d、1h)近傍(破線で囲まれた領域の外側)に位置する結晶粒子2の平均粒径をD2とする。本実施形態の圧電磁器板1では、D1に対するD2の比(D2/D1)が0.9〜1.1の範囲である。
ここで、主面1cの面重心G近傍とは、面重心Gからの距離Lgが、面重心Gと焼き上げ側面(1d、1h)との距離Loに対し、50%以内の領域とする。また、焼き上げ側面(1d、1h)近傍とは、面重心Gからの距離Lfが、面重心Gと焼き上げ側面(1d、1h)との距離Loに対し、90%以上の領域であるものとする。
結晶粒子2の平均粒径は、例えば圧電磁器板1の断面または表面を走査型電子顕微鏡(
SEM)でたとえば倍率3000倍で観察し、撮影した写真を画像処理して算出すればよい。なお、圧電磁器板1の断面または表面は、必要に応じ、研磨加工、および粒界エッチング加工(サーマルエッチング、ケミカルエッチング)などの処理を施してもよい。
なお、D1は主面1cの面重心G近傍の少なくとも一部の領域について測定すればよく、D2は焼き上げ側面近傍の少なくとも一部の領域について測定すればよい。なお、圧電磁器板1が複数の焼き上げ側面を有する場合は、それぞれの焼き上げ側面近傍の、少なくとも一部の領域について平均粒径を測定し、それをさらに平均したものをD2としてもよい。
本実施形態の圧電磁器板1は、換言すれば、結晶粒子2の平均粒径が測定位置によらず均一である。すなわち、圧電磁器板1全体が均等に焼結しているため、焼結状態(焼成収縮)の差に起因する変形が小さい。したがって、切断や研磨等の加工をせずとも、所定の形状、寸法に制御でき、簡単に正確な形状、寸法の圧電磁器板1が得られる。その結果、製造コストも低減できる。また、焼成後に加工を必要としないため、薄い圧電磁器板1の欠け、割れ等の破損を低減できる。
<面方向の変形>
本実施形態の圧電磁器板1は、主面1cの面方向(xy方向)の変形が小さいものとなる。例えば、図4(a)に示すように、主面1cが四角形状の圧電磁器板1の、焼き上げ側面である第1側面1dの長さ方向(x軸方向)の中央における一対の第1側面1d間の長さをLcとし、第1側面1dの長さ方向(x軸方向)の端における一対の第1側面1d間の長さをLeとし、LeとLcとの差をΔLとする。このとき、本実施形態の圧電磁器板1では、Lcに対するΔLの比率(ΔL/Lc)を1.0%以下、0.2%以下、特には0.1%以下とすることができる。
なお、差ΔLは正の値になるように、長い方から短い方を差し引いた値、すなわちLeとLcとの差の絶対値である。第1側面1d間の長さは、例えばノギスまたは画像寸法測定器(CNC画像測定器など)で測定できる。
具体的には、図4(a)に二点鎖線で示すように、圧電磁器板1の主面1cにおける一方の辺1aの両端間を結ぶ直線を引き、この直線上における辺1aの両端の中点に対して垂線C(一点鎖線)を引き、この垂線Cと、主面1cにおける一対の辺1aとが交差する点を求め、これらの交差する点の間の長さをLcとする。また、一方の辺1aの両端のいずれかに位置し、垂線Cに平行な線Eを引き、この線Eと一対の辺1aとが交差する点を求め、これらの交差する点の間の長さをLeとする。
<厚さ方向の変形>
また、本実施形態の圧電磁器板1は、反りが小さく、平面度に優れたもの、すなわち厚さ方向(z方向)の変形が小さいものとなる。平面度は、主面1c全面の形状(凹凸)を測定し、その最大値と最小値との差をΔFとし、ΔFを主面の最大長さLmaxで規格化した数値(ΔF/Lmax)とする(図5を参照)。本実施形態の圧電磁器板1では、平面度を0.2%以下、特には0.1%以下とすることができる。なお、差ΔFは、凹凸の最大値から最小値を差し引いた値である。主面1c全面の形状(凹凸)は、例えば、レーザー三次元測定器で測定できる。
D1に対するD2の比(D2/D1)が0.9より小さい、または1.1より大きい場合は、圧電磁器板1の焼結状態が均等ではなく、変形が大きくなりやすい。従来の圧電磁器板1では、主面1cの中央が焼結しやすく、外側が焼結しにくいという傾向があった。すなわち、従来の圧電磁器板1は、主面1cの中央すなわち面重心G近傍の粒径が大きく
、外側すなわち焼き上げ側面近傍の粒径が小さいものとなり、D2/D1が0.9より小さくなる傾向があった。
これは、従来の圧電磁器板1に含まれている焼結を促進する成分の蒸気圧が高く、焼結過程でこれらの成分が圧電磁器板1の表面から脱離しやすいためである。特に、主面1c以外にも側面1d、1e、1hに隣接するこれらの側面近傍では、主面1cだけでなくこれらの側面からも焼結を促進する成分が脱離するため、焼結が進みにくく、結果として面重心Gの近傍では焼結が進んで粒成長が生じ、側面近傍では粒成長が生じず、D2/D1が0.9より小さくなっていた。これは、上記の焼結を促進する成分が、組成の微妙な違いにより液相生成温度がずれて焼結に時間を要し、液相の分布に上記のような分布が生じることに起因すると考えられる。
このような従来の圧電磁器板1は、四角形状であれば、例えばΔL/Lcが1%よりも大きく、変形が大きく、側面加工により形状を調整する必要がある。
また、このような従来の圧電磁器板1は、例えば平面度ΔF/Lmaxが0.2%よりも大きく、他の部材と接合する際に破損したり、接合により生じた応力により所望の特性が得られないことがある。
なお、図1(a)は、長方形状の一対の主面1cを有する圧電磁器板1について説明したが、図4(b)に示すように、台形状の一対の主面1cを有する圧電磁器板1や、その他の多角形状の一対の主面1cを有する圧電磁器板1であってもよいことは勿論である。また、図1(b)は、円形状の一対の主面1cを有する圧電磁器板1について説明したが、例えば楕円形状、半円形状、不定形状の一対の主面1cを有する圧電磁器板1であってもよいことは勿論である。
また、図1では、一対の主面1cが焼き上げ面である場合について説明したが、焼き上げ面でなくても良い。一対の主面1cを焼き上げ面とすることで、焼成後における圧電磁器板1の主面1cの加工を不要とできる。
また、圧電磁器板1は、主面1cの面積が360mm以上である場合でも、(D2/D1)が0.9〜1.1の範囲であり、さらには、主面1cの面積が1000mm以上である場合でも、(D2/D1)が0.9〜1.1の範囲であるものがよい。さらに、圧電磁器板1は、内部電極を有しない場合には、上記のように主面1cの面積が360mm以上、さらには1000mm以上であるとともに、厚みが50μm以下、さらには30μm以下の場合でも、(D2/D1)が0.9〜1.1の範囲であるものがよい。
(板状基体、電子部品)
図6は、電子部品の第1の実施形態を示すもので、この電子部品は、圧電磁器板1内に内部電極5を有する板状基体8を具備している。そして、板状基体8表面に形成された複数の表面電極10と、ビアホール導体11とを具備している。ビアホール導体11は、内部電極5に接続され、圧電磁器板1の厚み方向(z軸方向)に延びて板状基体8表面に引き出されている。そして、圧電磁器板1は、一対の第1側面1d、および一対の第2側面1eが、それぞれ焼き上げ面である。
すなわち、第1の実施形態では、圧電磁器板1の第1側面1d、第2側面1eが焼き上げ面であり、さらに、圧電磁器板1の主面1cも焼き上げ面とされている。なお、圧電磁器板1の側面1d、1eは、2層の圧電磁器層9の側面で構成されているが、外見からは確認できず、一体となって圧電磁器板1の側面1d、1eを構成している。圧電磁器層9の境界は、内部電極5が境界となるため、内部電極5の積層数で圧電磁器層9の積層数を
確認できる。
このような電子部品では、板状基体8の表面に引き出されたビアホール導体11と表面電極10とを介して、表面電極10と内部電極5との間に電圧が印加される。なお、図6(a)ではビアホール導体11の記載を省略した。
圧電磁器板1の主面1cの面積は、360mm以上、さらには1000mm以上であり、また、内部電極5を有する、圧電磁器板1の厚さは、150μm以下、100μm以下、60μm以下、さらには50μm以下である。また、平面視したときの内部電極5の面積は、圧電磁器板1の主面1cの面積と同等であってもよい。なお、ここでいう内部電極5の面積とは、内部電極の専有面積ではなく、内部電極が存在する領域の輪郭内部の面積であり、内部電極内部に存在する空洞などを含む面積である。また、内部電極が存在する領域の周りに内部電極が存在しない領域(いわゆるマージン部)が存在してもよい。
第1の実施形態でも、図3に示したように、主面1cの面重心G近傍に位置する結晶粒子2の平均粒径D1と、焼き上げ側面(1d、1e)近傍に位置する結晶粒子2の平均粒径D2とが、D1に対するD2の比(D2/D1)にして0.9〜1.1の範囲である。
従来の圧電磁器板1を用いて、例えば40mm×30mm、厚さ40μmの電子部品を作製すると、D2/D1が、0.9よりも小さく、例えば0.87以下となり、焼き上げでΔLが200μmより大きく、またはΔFが100μmより大きくなり、焼成後に加工が必要であった。
一方、本実施形態の圧電磁器板1を用いた電子部品の場合は、D2/D1が、0.9〜1.1の範囲である。その結果、圧電磁器板1の焼成後におけるΔLが200μm以下となってΔL/Lcが1.0%以下となり、主面1cの面方向(xy方向)の変形が小さくなる。また、圧電磁器板1の焼成後におけるΔFが100μm以下となってΔF/Lmaxが0.2%以下となり、厚さ方向(z方向)の変形が小さく、反りの小さい平面度に優れたものとなる。したがって、第1の実施形態の電子部品は、焼成後に加工する必要がない。このように、本実施形態の電子部品は、焼成後の変形が少ないため、焼成後に加工することなく所望の形状・寸法の電子部品が得られ、製造コストも低減できる。また、加工による割れ、欠け等も低減できる。
電子部品は、3層以上の圧電磁器層9および2層以上の内部電極5を備えていてもよい。
図7は、電子部品の第2の実施形態を示すもので、板状基体8と、内部電極5に交互に接続する一対の外部電極17とを具備する。一対の外部電極17は、圧電磁器板1の対向する第2側面1eに配置されている。圧電磁器板1の、外部電極17が配置される一対の第2側面1eは、加工面とされている。これらの加工面には、外部電極17が配置され、内部電極5と外部電極17とが接続されている。加工面とは、焼き上げ面を加工した面であり、切断面、研磨面等である。
加工面は、圧電磁器板1の一対の第2側面1e全体であっても良いが、第2側面1eの一部であっても良い。例えば、第2側面1eのうち、外部電極17が配置される部分を加工面としてもよい。
一方、外部電極17が配置されていない、圧電磁器板1の一対の第1側面1dは焼き上げ面とされている。
内部電極5は、図7(b)に示すように、圧電磁器層9上の一部に形成された部分電極とされており、内部電極5の一部が圧電磁器板1の第2側面1eに露出し、外部電極17と接続している。
そして、図6の電子部品と同様、第2の実施形態でも、圧電磁器板1の主面1cの面重心G近傍に位置する結晶粒子2の平均粒径D1と、焼き上げ側面(1d)近傍に位置する結晶粒子2の平均粒径D2とが、D1に対するD2の比(D2/D1)にして0.9〜1.1の範囲である。
第2の実施形態の電子部品においても、圧電磁器板1の焼成後におけるΔL/Lcが1.0%以下となり、主面1cの面方向(xy方向)の変形が小さくなる。また、圧電磁器板1の焼成後におけるΔF/Lmaxが0.2%以下となり、厚さ方向(z方向)の変形が小さく、反りの小さい平面度に優れたものとなる。これにより、圧電磁器板1の第1側面1dの加工を不要とすることができ、容易に正確な形状、寸法の電子部品が得られ、製造コストも低減できる。
図6、7の電子部品では、内部電極5がAgを主成分としており、AgのほかにPdを40質量%以下、35質量%以下、さらには30質量%以下の範囲で含有していてもよい。
(圧電磁器板材料)
本実施形態の圧電磁器板1は、緻密性という点から、気孔率が0.6%以下であることが好ましい。このように緻密な圧電磁器板1とすることで、機械的損失を小さくすることができ、圧電特性の劣化やばらつきの少ない圧電磁器板1となる。
圧電磁器板1(圧電磁器層9)を構成する圧電材料としては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛等(以下、単にPZT系ともいう)の鉛系圧電材料、ビスマス層状構造を有するもの(SrBiTi15など、SBT系)、ペロブスカイト構造を有するチタン酸バリウム系(BaTiOなど、BT系)、ニオブ酸アルカリ系((KNa)NbO、KNN系)などの非鉛系圧電材料などが挙げられる。
特に、ZnおよびCuのうちいずれか1種と、Biとを含むチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT系)の圧電材料、およびLi、Ta、およびBiを含むニオブ酸アルカリ系((KNa)NbO、KNN系)の圧電材料は、比較的低い焼成温度で均等に焼結させることができ、優れた圧電特性を示す。換言すれば、本実施形態の圧電磁器板1を構成する結晶粒子2を、ZnおよびCuのうちいずれか1種と、Biとを含むチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT系)の結晶粒子2、またはLi、Ta、およびBiを含むニオブ酸アルカリ系((KNa)NbO、KNN系)の結晶粒子2とすることでD1に対するD2の比(D2/D1)を0.9〜1.1の範囲とすることができる。
このようなPZT系の結晶粒子2、またはKNN系の結晶粒子2は、いずれも複合ペロブスカイト型化合物である。結晶粒子2がPZT系の場合であれば、金属成分としてPb、Zr、Ti、Zn、CuおよびBiのほか、Sb、Ni、Nbを含んでいてもよい。また、さらに必要に応じSrおよびBaのうち少なくともいずれか一種を含んでいてもよい。結晶粒子2がKNN系の場合であれば、金属成分としてK、Na、Nb、Li、Ta、およびBiのほか、Mg、Cu、Fe、Zn、Ti、Zr、Hf、Ge、Sn、およびCeのうち少なくともいずれか一種を含んでいてもよい。また、さらに必要に応じSb、Mnを含んでいてもよい。
(PZT系圧電材料)
上述のPZT系の圧電材料について、詳細に説明する。上述のPZT系の圧電材料は、LiやB等を含む非晶質相やPZT系結晶以外の結晶相(異相)が結晶粒界3に実質的に存在しない。そのため、これらの残留に起因する絶縁抵抗の経時的変化や圧電特性の低下が小さいものとなる。
PZT系の圧電材料は、安定した絶縁抵抗や圧電特性を維持するという点から、PZT系の結晶粒子2からなり、PZT系結晶以外の結晶相、すなわち圧電特性や絶縁抵抗の低い結晶相を実質的に含まないことが好ましい。PZT系結晶以外の結晶相(以下、異相という)を実質的に含まないとは、透過型電子顕微鏡(TEM)にて格子像に異相が見られない、または、断面のCukα線を用いたX線回折(XRD)測定において、PZT系結晶に由来するピークのみが認められ、それ以外の異相に由来するピークが実質的に存在しないことをいう。
なお、Cukα線を用いたX線回折測定において、PZT系結晶以外の異相に由来するピークが実質的に存在しないとは、PZT系結晶の(111)の回折ピーク強度を100とした場合、異相の回折ピーク強度が3以下であることをいう。回折ピーク強度は、X線回折(XRD)測定で得られた回折プロファイルにおいて、回折ピークの両側に接線を引き、この接線に対して垂直方向のピークまでの長さで表される。PZT系結晶の(111)の回折ピーク強度を100としたとき、圧電特性や絶縁抵抗の低いPZT系結晶相以外の結晶相(異相)のピーク強度が、PZT系結晶の(111)の回折ピーク強度に対して3以下であれば、圧電磁器板1の圧電特性に大きな影響を及ぼすことなく好適に使用できる。
また、PZT系の圧電材料は、Li、Naなどのアルカリ金属元素及びB(ホウ素)を実質的に含まないことが好ましい。PZT系の圧電材料を低温焼成する際に、Li、Naなどのアルカリ金属元素及びB(ホウ素)を添加すると、液相が形成され焼結性が向上するが、PZT系結晶の結晶粒子2の結晶粒界3に非晶質相やPZT系結晶以外の結晶相が残留し、絶縁抵抗が経時的に低下したり、圧電特性が低下する懸念がある。なお、Li、Naなどのアルカリ金属元素及びB(ホウ素)は、不純物として不可避的に含まれる場合もある。したがって、Li、Naなどのアルカリ金属元素及びB(ホウ素)を実質的に含まないとは、圧電磁器板1の製造過程においてこれらの元素を積極的に添加しないことを意味する。
PZT系の圧電材料を用いた場合、圧電磁器板1における結晶粒子2の平均粒径は、1.0〜4.0μmであることが好ましい。結晶粒子2の平均粒径が小さすぎると圧電特性が低下し、大きすぎるとヒステリシスが大きくなって電子部品として駆動した際に発熱しやすくなる。結晶粒子2の平均粒径を1.0〜4.0μmの範囲とすることで、必要な圧電特性を維持するとともに電子部品として駆動した際の発熱が抑制できる。
PZT系圧電材料の組成は、たとえば、以下のような組成式(1)で表されるPZT系第1成分、および、Bi酸化物と、必要に応じZn酸化物およびCu酸化物のうち少なくともいずれか1種とを含むPZT系第2成分により表される。PZT系第1成分の組成式において、M1はCuおよびNiのうち少なくともいずれか一方の元素を示す。
PZT系第1成分:
Pb1−x−ySrBaTi1−a−b−c(Zn1/3Sb2/3(M11/3Nb2/3Zr・・・(1)
なお、PZT系第1成分の組成式(1)において、x、y、a、b、cは、以下の関係式を満たす。
0≦x≦0.14、
0≦y≦0.14(ただし、x+y≧0.04)、
0.01≦a≦0.12、
0≦b≦0.015
0.42≦c≦0.58、
ここで、PbのSrによる置換量xを0≦x≦0.14としたのは、Pbの一部をSrで置換することによりキュリー温度を高く維持できるからである。また、PbのBaによる置換量yを0≦y≦0.14としたのは、Pbの一部をBaで置換することによりキュリー温度を高く維持でき、高い圧電歪定数d31を得ることができるからである。
また、Tiの(Zn1/3Sb2/3)による置換量aを0.01≦a≦0.12としたのは、大きな圧電歪定数d31および圧電出力定数g31が得られ、キュリー温度を高く維持し、誘電損失を小さく維持できるからである。本実施形態の圧電磁器板1を圧電アクチュエータとして用いる場合には、0.05≦a≦0.12とすることにより大きな圧電歪定数を得ることができ、圧電センサとして用いる場合には0.01≦a≦0.05とすることにより大きな圧電出力定数g31を得ることができる。
Tiの(M11/3Nb2/3)による置換量bを0≦b≦0.015とすることで、圧電d定数の低下を抑制しながら抗電界を大きくすることができる。M1としてはNi、Cuを用いるが、Cuを用いた場合、特に高い圧電d定数を維持しつつ、抗電界の大きな圧電磁器板1とすることができ、変位の劣化を抑制することができる。bは0.002≦b≦0.01とすることが特に好ましい。
PZTには、PbZrOとPbTiOとの固溶比率により結晶構造が変化する境界を含む領域、いわゆるMPB(Morphotropic phase boundary、組成相境界)が存在する
。MPBでは圧電歪定数が極大値を示す。本実施形態の圧電磁器板1を圧電アクチュエータとして用いる場合には、このMPB及びその近傍の組成を用いることになる。このMPBはx、y、a、bの値により変化するため、cの値はx、y、a、bの組成範囲内でMPBを捉えうる組成範囲である。
また、PZT系第1成分100質量%に対するPZT系第2成分の質量比をα%と表したとき、αは0.1以上2.0以下である。なお、αはPZT系第2成分である、Bi、ZnおよびCuをそれぞれ酸化物換算(Bi、ZnOおよびCuO)した合量とするが、ZnとBiの複合酸化物(たとえばBi38ZnO58、Bi38ZnO60、Bi48ZnO73およびBiZnOなど)やCuとBiの複合酸化物(例えばCuBi、Cu21Bi52100、Cu0.62Bi7.3811.69およびBiCuOなど)に換算した量であってもよい。
PZT系第1成分に対するPZT系第2成分(Zn酸化物、Cu酸化物およびBi酸化物)の質量比α(%)を、0.1≦α≦2.0の範囲とすることで、PZT系第2成分が焼成時に液相を形成してPZT系結晶である結晶粒子2を濡らす。このとき、PZT系第2成分は、組成が微妙に異なっても液相生成温度の差が小さく、短時間で液相が生成され、焼結性が向上して磁器全体が均一に焼結する。その結果、D2/D1が0.9〜1.1の範囲となる、すなわち結晶粒子2の平均粒径が測定位置によらず均一となり、肉厚が薄く面積の大きい板状の圧電磁器板1でも変形を少なくできる。これは、圧電磁器板1が焼結した後、液相を形成したPZT系第2成分(Zn、CuおよびBi)が、PZT系結晶内に固溶するからである。
(KNN系圧電材料)
上述のKNN系の圧電材料について、詳細に説明する。上述のKNN系の圧電材料を用いた場合、圧電磁器板1における結晶粒子の平均粒径は、0.3〜2.0μmであること
が好ましい。結晶粒子の平均粒径が小さすぎると圧電特性が低下し、大きすぎるとヒステリシスが大きくなって電子部品として駆動した際に発熱しやすくなる。結晶粒子の平均粒径を0.3〜2.0μmの範囲とすることで、必要な圧電特性を維持するとともに電子部品として駆動した際の発熱が抑制できる。
KNN系圧電材料の組成は、たとえば、以下のような組成式(2)で表されるKNN系第1成分、および、Bi酸化物、M2の酸化物と、必要に応じM3の酸化物とを含むKNN系第2成分により表される。
KNN系第1成分:
{(K1−dNa1−eLi(Nb1−g−hTaSb)O・・・(2)
なお、KNN系第1成分の組成式(2)において、d、e、f、g、hは、以下の関係式を満たす。
0.50≦d≦0.54、
0.02≦e≦0.06、
0.980≦f≦1.005
0.04≦g≦0.15
0≦h≦0.10、
KNNは、ペロブスカイト構造を有し、KNbOとNaNbOとの固溶比率により結晶構造が変化する境界を含む領域、いわゆるMPB(Morphotoropic Phase Boundary)が存在する。MPBでは圧電歪定数が極大値を示す。
すなわち、KNN系第1成分の組成式(2)において、dを0.50≦d≦0.54の範囲とし、Kの一部をNaで置換することにより、圧電定数を高くすることができる。
また、eを0.02以上とし、LiをAサイトに導入することにより、圧電磁器板1の焼結性を高めることができ、eを0.02≦e≦0.06の範囲とすることにより、圧電定数を高くすることができる。
gを0.04≦g≦0.15の範囲としたのは、Nbの一部をTaで置換することにより圧電定数を高くすることができるためである。なお、gが0.15を超えると圧電定数が低下し、さらにキュリー温度が低下する懸念がある。
hを0≦h≦0.10の範囲としたのは、必要に応じてNbの一部をSbで置換することにより焼結性を向上することができるためである。なお、hが0.10を超えると焼結性が低下するおそれがある。
fは、0.980≦f≦1.005の範囲とする。これは、ペロブスカイト構造のAサイト原子がBサイト原子に対して、0.980よりも少い、または1.005を超えて過剰に含まれると、圧電特性が低下する懸念があるからである。
KNN系第2成分は、以下の組成式(3)で表される。
KNN系第2成分:
Bi(M21−jM3)O・・・(3)
なお、KNN系第2成分の組成式(3)において、i、jは以下の関係式を満たす。
2/3≦i≦1、
1/3≦j≦2/3、
また、KNN系第1成分とKNN第2成分との合量に対する、KNN系第2成分のモル
比率をβとしたとき、βは0.001以上0.005以下である。
KNN系第2成分は、複合ペロブスカイト構造を有するBi複合酸化物を構成する。Biは6s2孤立電子対を持つため、結晶構造に大きな歪を有する。このBi複合酸化物をKNN系第1成分に所定量導入することにより、ニオブ酸カリウム・ナトリウムの結晶構造に歪みが導入されて分極が大きくなり、圧電特性が向上する。また、同時に、圧電特性の温度依存性を小さくすることが可能となる。なお、Biを含有する化合物は比較的低温で液相を生成するため、KNN系第1成分の合成粉末に、Bi複合酸化物を形成するKNN系第2成分となる酸化物を助剤として導入することにより、圧電磁器の焼成温度が低下し、また焼結性が向上して、磁器全体を均一に焼結することができる。
KNN系第2成分におけるM2は、Mg、Cu、FeおよびZnからなる元素群のから選ばれる少なくとも1種、M3は、Nb、Ta、Sb、Ti、Zr、Hf、Ge、SnおよびCeからなる元素群から選ばれる少なくとも1種である。M2、M3をこのような元素群から選択することにより、圧電定数が大きくても圧電特性の温度依存性が小さく、広い温度範囲にわたって高く安定した圧電特性を得ることができる。
ここで、iは、2/3≦i≦1の範囲である。iをこのような範囲とすることにより、KNN結晶粒子にBi複合酸化物を過不足なく取り込むことができる。なお、iが2/3よりも小さくなると、圧電特性が低下するおそれがあり、iが1よりも大きくなると、過剰なBiが粒界に残存し、圧電磁器板1の絶縁性が劣化するおそれがある。
M2はMg、Cu、FeおよびZnからなる元素群から選ばれる少なくとも1種であり、M3は、Nb、Ta、Sb、Ti、Zr、Hf、Ge、SnおよびCeからなる元素群から選ばれる少なくとも1種である。これらは、酸素との6配位状態において、Nbと同程度のイオン半径を有している。
jは1/3≦j≦2/3の範囲である。jをこのような範囲とすることにより、M2とM3の比率を化学量論比の範囲内とすることができる。なお、M2とM3の比率が化学量論比から著しくずれると、酸素空孔が形成され、圧電特性が低下するおそれがある。
なお、M3が5価のイオンとなる元素、すなわちNb、TaおよびSbのうち少なくともいずれか1種の元素である場合は、i+jを4/3とすることにより、M2とM3とを化学量論比の範囲内とすることができ、好ましい。また、M3が4価のイオンとなる元素、すなわちTi、Zr、Hf、Ge、SnおよびCeのうち少なくともいずれか1種である場合は、jを1/2とすることにより、M2とM3とを化学量論比の範囲内とすることができ、好ましい。
このように、KNN系第1成分のペロブスカイト構造に、KNN系第2成分であるBi複合酸化物の歪みの大きい複合ペロブスカイト構造を導入することで、圧電定数を高めるとともに圧電特性の温度依存性を小さくすることができる。また同時に、圧電磁器の焼成温度が低下し、焼結性が向上して、磁器全体を均一に焼結させることができる。その結果、D2/D1が0.9〜1.1の範囲となる、すなわち結晶粒子2の平均粒径が測定位置によらず均一となり、肉厚が薄く面積の大きい板状の圧電磁器板1でも変形を少なくできる。これは、圧電磁器板1が焼結した後、液相を形成したKNN系第2成分(Bi複合酸化物を形成する成分)が、KNN系結晶内に固溶するからである。
KNN系第1成分とKNN系第2成分との合量に対する、KNN系第2成分のモル比率βは、0.001≦β≦0.005である。βをこのような範囲とすることで、ニオブ酸カリウム・ナトリウムのペロブスカイト構造に適度な歪みが導入され、圧電定数を高める
ことができる。なお、βが0.001より小さいと所望の効果が得られず、βが0.005より大きいと導入された歪が大きくなりすぎて圧電特性が低下する。
さらに、KNN系圧電材料は、KNN系第1成分およびKNN系第2成分の合量100質量部に対して、MnO換算で0.50質量部以下のMnを含有していてもよい。これにより圧電磁器板1をより緻密なものとすることができ、さらに圧電定数を高めることができる。
(製法)
本実施形態の圧電磁器板1は、以下のようにして作製することができる。例えば、PZT系圧電材料を用いた場合、PZT系第1成分を含む仮焼粉末と、PZT系第2成分(Zn酸化物、Cu酸化物およびBi酸化物)を含む粉末との混合原料を、周知のシート成形法で成形し、グリーンシートを得る。KNN系圧電材料を用いた場合、KNN系第1成分を含む仮焼粉末と、KNN系第2成分(Bi酸化物、M2の酸化物、および必要に応じM3の酸化物)を含む粉末との混合原料を、周知のシート成形法で成形し、グリーンシートを得る。
電子部品を作製する場合は、上記グリーンシートに内部電極ペーストを塗布して内部電極パターンを形成する。内部電極パターンが形成されたグリーンシートを複数積層し、最後に内部電極パターンが形成されていないグリーンシートを積層して板状基体成形体を作製し、この板状基体成形体を、PZT系材料の場合大気中で900〜1050℃、KNN系材料の場合大気中で1000〜1150℃で焼成する。
このような製法では、PZT系圧電材料の場合、900〜1050℃の低温で焼成したとしても、PZT系第2成分(Zn酸化物、Cu酸化物およびBi酸化物)が、例えば750℃程度の低温で液相を形成し、焼成温度よりも低い温度でPZT系結晶の結晶粒子2を十分に濡らすことができる。また、KNN系圧電材料の場合も1000〜1150℃で焼成することで、Biを含むKNN系第2成分が低い温度で液相を形成し、焼成温度よりも低い温度でKNN系の結晶粒子を十分に濡らすことができる。これにより、圧電磁器板1の焼結性を向上できるとともに、圧電磁器板1全体がほぼ均一に収縮し、焼結後には各第1成分の結晶内に各第2成分の元素が固溶する。
焼結後の圧電体磁器板1は、図2に示したように、主として結晶粒子2からなり、D2/D1が0.9〜1.1の範囲となる。
より具体的な製法について説明する。先ず、PZT系圧電材料ではPZT系1成分を含む仮焼粉末、KNN系圧電材料ではKNN系第1成分を含む仮焼粉末を作製する。
具体的には、例えば、PZT系圧電材料の場合、原料としてPbO、ZrO、TiO、ZnOの各粉末、および必要に応じてSb、CuO、NiO、Nb、SrCOおよびBaCOの各粉末を秤量混合する。KNN系圧電材料の場合、原料としてNaCO、KCO、LiCO、Nb、Taの各粉末、および必要に応じてSb粉末を秤量混合する。
次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、PZT系圧電材料は850〜950℃、KNN系圧電材料は900〜1000℃の最高温度にて1〜3時間仮焼する。このようにしてPZT系の第1成分からなる仮焼粉末、KNN系の第1成分からなる仮焼粉末を得る。得られた仮焼粉末を、再びボールミル等で粉砕し、例えば、平均粒径D50が0.3〜0.7μmの範囲になるようにする。
次に、PZT系の仮焼粉末には、PZT系の第2成分(Zn酸化物、Cu酸化物およびBi酸化物、例えばZnO、CuOおよびBi)の粉末を秤量して混合する。KNN系の仮焼粉末には、KNN系の第2成分(Bi酸化物、M2の酸化物、および必要に応じM3の酸化物)の粉末を秤量して混合する。これらの第2成分は、各々の粉末を仮焼粉末にそれぞれ添加してもよいし、第2成分のみをあらかじめ混合した混合粉末を、仮焼粉末に添加してもよい。
また、第2成分を仮焼して第2成分の複合酸化物(以下、第2複合酸化物という)を合成し、仮焼粉末に添加してもよい。PZT系の第2複合酸化物を合成する場合は、所定量のZn酸化物、Cu酸化物およびBi酸化物を混合し、得られた混合物を脱水、乾燥した後、たとえば空気中において600〜720℃で1〜3時間仮焼すればよい。なお、第2成分の平均粒径D50は0.3〜0.7μmの範囲とすればよく、特に仮焼粉末の平均粒径(D50)よりも小さくなるようにボールミル等を用いて調整することが好ましい。
第2成分を添加した仮焼粉末は、バインダを混合した後、周知の成形法、例えばプレス成形や、ドクターブレード法などのシート成形法などを用いて所望の形状に成形する。
板状基体8や電子部品は、以下のように作製する。成形したグリーンシートに、内部電極ペーストを塗布して内部電極パターンを形成する。内部電極パターンが形成されたグリーンシートを必要数積層し、最後に内部電極パターンが形成されていないグリーンシートを積層して板状基体成形体を作製する。
作製した成形体を、大気中で、PZT系の材料は900〜1050℃、KNN系の材料は1000〜1150℃で焼成することで、圧電磁器板1、板状基体8が得られる。
本実施形態の圧電磁器板1は、900〜1050℃(PZT系材料)や1000〜1150℃(KNN系材料)の低温で焼成したとしても、第2成分が液相を形成して結晶粒子2を濡らすことから、焼結性が高く、気孔率が0.6%以下の緻密なものとなる。
また、第2成分が、焼成温度よりも十分低温(PZT系第2成分の場合、750℃程度)で液相を生成し、焼成時に磁器全体が均一に焼結を開始する。したがって、結晶粒子2の平均粒径が測定位置によらず均一、すなわち主面1cの面重心G近傍に位置する結晶粒子2の平均粒径D1に対する、焼き上げ側面近傍に位置する結晶粒子2の平均粒径D2の比(D2/D1)が0.9〜1.1の範囲となり、肉厚が薄い形状でも焼結過程での圧電磁器板1の変形が生じにくくなる。
一方、たとえばPZT系結晶を低温焼成するために、液相を形成するLiやB等を添加した場合、低温焼成はできるものの、磁器全体を均一に焼結させるのは難しく、特に薄い板状の圧電磁器板1では反りや変形が発生しやすい。
本実施形態の圧電磁器板1は、特に厚さが150μm以下、特には50μm以下の電子部品に好適に用いられる。
圧電磁器板1は、セラミックフィルタ、超音波応用振動子、圧電ブザー、圧電点火ユニット、超音波モータ、圧電ファン、圧電センサ、圧電アクチュエータ等、種々の電子部品として用いることができる。例えば、圧電アクチュエータは、圧電現象を介して発生する変位や力を機械的駆動源として利用するものであり、特に最近、メカトロニクスの分野において注目されているものの一つである。圧電アクチュエータは、圧電効果を利用した固体素子であり、磁性体にコイルを巻いた構成を有する従来の電磁式アクチュエータと比較して、消費電力が少ない、応答速度が速い、変位量が大きい、発熱が少ない、寸法および
重量が小さい等の優れた特徴を有している。特に、より低電圧で、より大きな変位や発生力が得られる積層圧電アクチュエータは、車載インジェクタの燃料噴射弁の開閉用カメラのオートフォーカス用、圧電スピーカ等の音響部品として実用化されている。
PZT系の原料粉末として純度99.5%のPbO、ZrO、TiO、ZnO、Sb、SrCO、BaCO、CuO、Nbの各粉末を用いた。PZT系第1成分を、組成式(1)(Pb1−x−ySrBaTi1−a−b−c(Zn1/3Sb2/3(M11/3Nb2/3Zr)において表1の組成となるように秤量し、ボールミルにて24時間湿式混合した。なお、M1はCuまたはNiである。次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、920℃で3時間仮焼し、当該仮焼物を再びボールミルで24時間湿式粉砕し、D50が0.5〜0.7μmの仮焼粉末を得た。
その後、D50が0.5〜0.7μmの表1に示す添加物を、PZT系第1成分100質量%に対する比率にして表1に示す量(質量%)だけ添加し、これに有機バインダを混合した。
KNN系の原料粉末として、純度99.9%のNaCO、KCO、LiCO、Nb、Ta、Sbの各粉末用いて、KNN系第1成分が組成式(2)({(K1−dNa1−eLi(Nb1−g−hTaSb)O)において表2、3の組成となるように秤量し、ボールミルにて16時間湿式混合した。次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、1000℃で3時間仮焼し、当該仮焼物を再びボールミルで16時間湿式粉砕し、D50が0.3〜0.7μmの仮焼粉末を得た。
その後、D50が0.3〜0.7μmの表2、3に示す添加物(Bi、MgCO、ZnO、CuO、Fe、TiO、SnO、ZrO、HfO、Ce、GeOおよびMnOの各粉末)を、KNN系第1成分とKNN系第2成分との合量に対するモル比率にして表2、3に示す量だけ添加し、これに有機バインダを混合した。
得られた混合原料を用いて、ドクターブレード法により厚さ25μmのグリーンシートを作製した。作製したグリーンシートの全面に、AgとPdを含む内部電極ペーストをスクリーン印刷し、内部電極ペーストが印刷されたグリーンシートの印刷面側に、内部電極ペーストを印刷していないグリーンシートを重ねて積層し、板状基体成形体を作製した。なお、内部電極ペーストの金属成分の質量比は、Ag:Pd=7:3とした。
作製した板状基体成形体の脱バインダを行った後、表1〜3に示す焼成条件にて大気中で焼成し、冷却して、板状基体を得た。
得られた板状基体の厚さは42μm(圧電磁器層の厚みが20μm)であり、主面が120mm×40mm(面積4800mm)の矩形板状であった。
得られた板状基体の一方の表面(主面)に、Agペーストを焼き付けることにより外部電極を形成し、分極処理を行うことで、圧電特性評価用の電子部品である積層圧電アクチュエータを得た。
圧電磁器層の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて焼き上げ面である主面の写真を撮影し、その写真を画像処理することにより求めた。画像処理では、結晶粒子の輪郭から求めた断面積の円相当径を結晶粒子の直径とみなした。D1の測定位置は板状基体の主面の面重心とした。D2の測定位置は、主面の対角線上において、面重心からの距
離Lfが、面重心から焼き上げ側面までの距離Loに対し95%の位置とした。また、SEM写真の倍率は3000倍とした。算出したD1、D2およびD2/D1を表1〜3に示す。
圧電磁器層の気孔率は、板状基体の断面を鏡面研磨し、その研磨面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、圧電磁器層を撮影した写真を画像処理することにより求めた。圧電磁器層の密度は、板状基体の嵩密度をアルキメデス法により求め、その嵩密度を圧電磁器層の密度とみなした。密度および気孔率を表1〜3に示す。
なお、板状基体の組成をICP発光分光分析により確認したところ、圧電体層の組成は、誤差の範囲内で調合時の組成と一致していた。
圧電体層の絶縁抵抗の劣化試験では、85℃の恒温槽の中で、電子部品に2kV/mmの直流電界を付与した。85℃における電子部品の絶縁抵抗を測定して体積抵抗率に換算し、試験初期および100時間後における体積抵抗率を表1〜3に記載した。
圧電特性については、分極した電子部品に120℃でエージング処理をした後、12×3mmの試験片を切り出して、試験片の上下面に構成された2つの表面電極にDC電圧を印加して分極処理を行い、長さ方向の振動モードを測定することで電子部品の圧電歪定数d31を求め表1〜3に記載した。
圧電磁器板の変形を比率(ΔL/Lc)として評価した。圧電磁器板の長さの測定はCNC画像測定器を用いて行った。また、レーザー三次元測定器(キーエンス社製)で平面度を測定し、ΔFを算出した。また、Lmaxを主面の対角線の長さとしてΔF/Lmaxを求めた。圧電磁器板のΔL/Lc、ΔF、およびΔF/Lmaxを表1〜3に示す。
表1〜3から、試料No.1〜6、9〜24では、D2/D1が0.9〜1.1の範囲内で、焼き肌側面近傍と面重心近傍とは、結晶粒子の平均粒径にほとんど差がなかった。また、変形も小さく、ΔL/Lcが1%以下、ΔF/Lmaxが0.2%以下であり、焼成後における加工を不要、もしくは低減できることがわかる。
1・・・圧電磁器板
1c・・・主面
1d・・・第1側面
1e・・・第2側面
2・・・結晶粒子
5・・・内部電極
7・・・外部電極
8・・・板状基体
9・・・圧電磁器層
10・・・表面電極
11・・・ビアホール導体
17・・・外部電極

Claims (9)

  1. 複数の結晶粒子を有するとともに、
    一対の主面および該主面間に位置する側面を具備し、
    少なくとも一つの前記側面が焼き上げ面であり、
    前記主面の面重心近傍に位置する前記結晶粒子の平均粒径をD1とし、前記焼き上げ面である前記側面の近傍に位置する前記結晶粒子の平均粒径をD2としたとき、前記D1に対する前記D2の比(D2/D1)が、0.9〜1.1の範囲である、圧電磁器板であって、
    前記圧電磁器板を構成する圧電材料の組成は、以下に示す組成式(1)で表される第1成分と、ZnおよびCuのうちいずれか1種とBiとを含む第2成分と、を含み、
    Pb 1−x−y Sr Ba Ti 1−a−b−c (Zn 1/3 Sb 2/3 (M1 1/3 Nb 2/3 Zr ・・・(1)
    但し、M1はCuおよびNiのうち少なくともいずれか一方の元素であり、x、y、a、b、cは、以下の関係式を満たす。
    0≦x≦0.14
    0≦y≦0.14(ただし、x+y≧0.04)
    0.01≦a≦0.12
    0≦b≦0.015
    0.42≦c≦0.58
    前記第1成分100質量%に対する酸化物換算による前記第2成分の質量比をα%と表したとき、αは0.1以上2.0以下であり、
    前記主面の面積が、360mm 以上であり、厚さが150μm以下である、圧電磁器板。
  2. 複数の結晶粒子を有するとともに、
    一対の主面および該主面間に位置する側面を具備し、
    少なくとも一つの前記側面が焼き上げ面であり、
    前記主面の面重心近傍に位置する前記結晶粒子の平均粒径をD1とし、前記焼き上げ面である前記側面の近傍に位置する前記結晶粒子の平均粒径をD2としたとき、前記D1に対する前記D2の比(D2/D1)が、0.9〜1.1の範囲である、圧電磁器板であって、
    前記圧電磁器板を構成する圧電材料の組成は、以下に示す組成式(2)で表される第1成分と、以下に示す組成式(3)で表される第2成分と、を含み、
    {(K 1−d Na 1−e Li (Nb 1−g−h Ta Sb )O ・・・(2)
    但し、d、e、f、g、hは、以下の関係式を満たす。
    0.50≦d≦0.54、
    0.02≦e≦0.06、
    0.980≦f≦1.005
    0.04≦g≦0.15
    0≦h≦0.10、
    Bi (M2 1−j M3 )O ・・・(3)
    但し、M2は、Mg、Cu、FeおよびZnからなる元素群から選ばれる少なくとも1種、M3は、Nb、Ta、Sb、Ti、Zr、Hf、Ge、SnおよびCeからなる元素群から選ばれる少なくとも1種であり、i、jは以下の関係式を満たす。
    2/3≦i≦1、
    1/3≦j≦2/3、
    前記第1成分と前記第2成分との合量に対する、第2成分のモル比率をβとしたとき、βは0.001以上0.005以下であって、
    前記主面の面積が、360mm 以上であり、厚さが150μm以下である、圧電磁器板。
  3. 前記一対の主面のうち少なくとも一方が、焼き上げ面である、請求項1または2に記載の圧電磁器板。
  4. 前記D1および前記D2が、0.3〜4.0μmの範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載の圧電磁器板。
  5. 前記主面の面積が、1000mm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の圧電磁器板。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の圧電磁器板内に内部電極を有する、板状基体。
  7. 請求項に記載の板状基体の表面に配置された表面電極と、
    前記内部電極に接続され、前記圧電磁器板の厚み方向に延びて前記板状基体の表面に引き出されたビアホール導体と、を具備する、電子部品。
  8. 前記側面の全てが焼き上げ面である、請求項に記載の電子部品。
  9. 請求項に記載の板状基体と、前記内部電極に接続された外部電極とを具備するとともに、
    前記圧電磁器板が、加工面を有する前記側面を具備し、該加工面に前記外部電極が配置されている、電子部品。
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