JP2010059008A - 圧電セラミック組成物及びこれを用いたアクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電縦効果の圧電定数が大きい圧電セラミック組成物を提供する。
【解決手段】圧電セラミック組成物は、基本組成式:Pb1-aSra[Zn1/3Nb2/3b[Ni1/3Nb2/3cZrdTie3(但し、0.02≦a≦0.05、0.05≦b≦0.20、0.05≦c≦0.20、0.10≦b+c≦0.30、b+c+d+e=1)で表される主成分に対して、CuOをさらに0.06質量%以上(2a+0.07)質量%以下含有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、圧電縦効果の圧電定数が大きい圧電セラミック組成物と、これを用いたアクチュエータに関する。
圧電セラミック組成物は、圧電トランス、圧電発音体(圧電ブザー等)、圧電センサ(圧電ジャイロ、圧電トランスデューサ等)、圧電アクチュエータ、超音波モータ等の各種デバイスに用いられている。圧電セラミック組成物に要求される圧電特性は用途によって若干異なり、一般的に、共振駆動を行う圧電トランスや超音波モータ等では、機械的品質係数Qmの大きな材料が適しており、一方、非共振駆動を行う圧電センサや圧電アクチュエータ等では、圧電定数の大きな材料が適している。そこで、各種の用途に応じた圧電セラミック組成物の開発が鋭意行われており、例えば、積層型圧電アクチュエータのような伸縮変位を生じさせるデバイスに用いられる圧電セラミック組成物として、圧電縦効果の圧電定数d33と電気機械結合係数k33の大きな材料が求められている。
圧電定数d33の大きい材料として、Pb(Zr,Ti)O3系圧電材料と、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3等のリラクサ型強誘電材料との複合材料が知られており、その組成改良による特性改良が進められている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、基本組成式:[PbMe][(Zn1/3Nb2/3)TiZr]O3(Me;Ca,Sr,Ba)で表される主成分に対して、CuOを第1副成分として含有させ、さらに所定の第2副成分を含有させた圧電セラミック組成物が開示されており、その特徴として、圧電定数が大きく、低温での焼結が可能であること、高い機械的強度を有することが挙げられている。
特許文献2には、基本組成式:[PbMe][(Zn1/3Nb2/3)TiZr]O3と基本組成式:[PbMe][(Mg1/3Nb2/3)(Zn1/3Nb2/3)TiZr]O3(Me;Sr等)で表される主成分に対して、副成分としてCu等とWとを含有させた圧電セラミック組成物が開示されており、その特徴として、高い圧電特性が維持され、低温での焼結が可能であることが挙げられている。
特許文献3には、基本組成式:[PbA][(B1B2)TiZr]O3(A;Sr等、B1;Zn,Ni等、B2;Nb等)で表される主成分に対して、CuO等の金属又は酸化物を含有させた圧電セラミック組成物が開示されており、その特徴として、高い圧電特性が維持され、機械的強度が高められたことが挙げられている。
特開2004−137106号公報(段落[0013]等) 特開2006−282411号公報(段落[0016]、[0017]、[0022]等) 特開2001−181033号公報(段落[0007]、[0008]等)
しかしながら、特許文献1〜3に開示された圧電セラミック組成物の圧電縦効果の圧電定数は、種々のアクチュエータ用途において必ずしも十分とは言えず、さらに大きな圧電定数を有する圧電セラミック組成物が求められている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、圧電縦効果の圧電定数が大きい圧電セラミック組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、この圧電セラミック組成物を用いてなるアクチュエータを提供することを目的とする。
本発明に係る圧電セラミック組成物は、基本組成式:Pb1-aSra[Zn1/3Nb2/3b[Ni1/3Nb2/3cZrdTie3(但し、0.02≦a≦0.05、0.05≦b≦0.20、0.05≦c≦0.20、0.10≦b+c≦0.30、b+c+d+e=1)で表される主成分に対して、CuOをさらに0.06質量%以上(2a+0.07)質量%以下含有することを特徴とする。
また、本発明に係るアクチュエータは、この圧電セラミック組成物を用いてなることを特徴とする。
本発明によれば、圧電縦効果の圧電定数d33が大きい圧電セラミック組成物が得られる。この圧電セラミック組成物をアクチュエータに用いることにより、アクチュエータを小型化したり、より大きな変位を発生させたりすることができる。これにより、アクチュエータ及びアクチュエータを用いた各種デバイスの構造設計の自由度が大きくなる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
<圧電セラミック組成物の組成>
本発明に係る圧電セラミック組成物は、基本組成式が“Pb1-aSra[Zn1/3Nb2/3b[Ni1/3Nb2/3cZrdTie3(但し、0.02≦a≦0.05、0.05≦b≦0.20、0.05≦c≦0.20、0.10≦b+c≦0.30、b+c+d+e=1)”で表される主成分に対して、CuOをさらに0.06質量%以上(2a+0.07)質量%以下含有する。
この圧電セラミック組成物は、前記した基本組成式から明らかなように、圧電定数d33の大きな材料であるジルコン酸チタン酸鉛(Pb[Zr,Ti]O3)と、一般的にリラクサと呼ばれる強誘電材料であるPb[Zn1/3Nb2/3]O3及びPb[Ni1/3Nb2/3]O3とを主成分とした複合酸化物セラミックスであり、一般式がABO3で表されるペロブスカイト型結晶構造を有している。ここで、《Pb1-aSra》がAサイトを占有し、《[Zn1/3Nb2/3b[Ni1/3Nb2/3cZrdTie》がBサイトを占有する。ペロブスカイト型結晶構造物の化学量論組成では、Aサイトの《Pb1-aSra》が1モル、かつ、Bサイトの《[Zn1/3Nb2/3b[Ni1/3Nb2/3cZrdTie》が1モルのときに、O(酸素)は3モルであるが、このO量については若干の偏倚があってもよい。
Aサイトを占有する《Pb1-aSra》について、Pbを置換するSrの量(以下「Sr置換量a」という)は、“0.02≦a≦0.05”の関係を満たしている。このSr置換量aの範囲内でPbをSrで置換することによって、圧電縦効果の圧電定数d33が大きくなる。Sr置換量aが0.02未満では、この圧電特性向上の効果が小さく、一方、Sr置換量aが0.05を超えると、圧電セラミック組成物が焼結し難くなるという問題が生じる。ここで、焼結温度を高くすることによって焼結性を高めることは可能であるが、焼結温度を高めると、Pb成分の蒸発等によって組成ずれが生じ、所望する圧電特性が得られなくなるおそれがあるという問題や、後記する積層型圧電アクチュエータ(図1参照)等の製造に際して、高融点の貴金属(例えば、Pd含有量の多いAg−Pd電極ペーストやPtペースト等)を内部電極材として用いる必要が生じる等の問題が新たに生じる。
Bサイトを占有する《[Zn1/3Nb2/3b[Ni1/3Nb2/3cZrdTie》について、各成分量b,c,d,eは、“0.05≦b≦0.20”、“0.05≦c≦0.20”、“0.10≦b+c≦0.30”及び“b+c+d+e=1”の関係を満たしており、ペロブスカイト型結晶構造物の化学量論組成にしたがって、Aサイト1モルに対してBサイトも1モル(b+c+d+e=1)となっている。
《[Zn1/3Nb2/3b[Ni1/3Nb2/3c》は、焼成温度を下げる効果、抗電界を下げる効果、圧電定数d33を大きくする効果、電気機械結合係数k33を大きくする効果及び圧電変位(歪み)のヒステリシスを小さくする効果等に寄与する。ここで、“0.05≦b≦0.20、0.05≦c≦0.20、0.10≦b+c≦0.30”とするのは、これらの成分量が少ない場合には、前記した各効果が小さく、一方、これらの成分量が多い場合には、成分数が多いことから純粋組成物が得られ難くなって、圧電定数d33が低下するおそれがあるからである。
《ZrdTie》は、大きな圧電定数d33の発現に寄与し、好ましくは、“0.38≦d≦0.42”、“0.40≦e≦0.44”とする。これにより、モルフォトロピック相境界(MPB)付近において、大きな圧電定数d33が得られる。
CuO含有量は、基本組成式の“Pb1-aSra[Zn1/3Nb2/3b[Ni1/3Nb2/3cZrdTie3”の質量を100としたときに、0.06質量%以上(2a+0.07)質量%以下とする。CuO含有量の下限値はSr置換量aには依存しない。これは、CuOは1000℃〜1200℃における焼結性の向上に寄与する成分であるが、CuO含有量が0.06質量%未満の場合には、Sr置換量に関係なく、焼結性向上の効果が小さく、そのため、圧電定数d33を向上させる効果が小さいからである。一方、CuO含有量の上限値はSr置換量aに依存し、CuO含有量が(2a+0.07)質量%を超えた場合には、前記した適切なCuO含有量の場合と比較して、圧電定数d33が低下する。これは、過剰なCuOと、基本組成式を構成する陽イオン成分(Zn,Nb,Ni,Zr,Ti)の一部とが反応し、その反応生成物が粒界に析出することによって、基本組成式で表される組成にずれが生じてしまうことに起因するものと考えられる。
本発明に係る圧電セラミック組成物は、前記した組成条件を満たすことにより、後記する実施例に示されるように、圧電縦効果の圧電定数d33が600pm/V以上という大きな値を示す。
<圧電セラミック組成物の製造方法>
本発明に係る圧電セラミック組成物の製造においては、出発原料として、Pb,Sr,Zn,Nb,Ni,Zr,Tiの酸化物又は炭酸塩等が好適に用いられる。各出発原料を目的組成となるように秤量し、混合する。この混合処理は、湿式と乾式のいずれの方法を用いて行ってもよく、例えば、ボールミルやアトライタミル、振動ミル等の各種の混合装置(粉砕混合装置)を用いることができる。次いで、得られた混合原料を所定温度で仮焼するこの仮焼温度は、組成にも依存するが、Pbの蒸発を抑制するために800℃〜950℃とすることが好ましく、仮焼雰囲気は、通常、大気雰囲気とする。
続いて、仮焼処理によって得られた粉末(仮焼粉末)に、必要量のCuOを添加して、均一に混合する。ここでの混合方法には、前記した各出発原料の混合方法と同様の方法を用いることができる。こうして作製した混合粉末を、圧電セラミック組成物の用途に応じて成形し、必要に応じて各種加工を施した後、脱脂し、焼成する。焼成温度は組成にも依存するが、1050℃〜1150℃で行うことができる。得られた焼結体には、電圧印加(駆動)のための電極が設けられ、分極処理後にアクチュエータやセンサ等として用いられる。なお、駆動電極は、成形体に予め設けておいて、圧電セラミック組成物の焼成時に同時形成してもよい。
前記の通り、本発明に係る圧電セラミック組成物は、大きな圧電定数d33を有することから、圧電縦効果を利用するアクチュエータに好適である。そこで、その一例として、一体焼成型(同時焼成型)の積層型圧電アクチュエータを取り上げ、その構造等について説明した後、この圧電アクチュエータを備えた燃料噴射用インジェクタについて以下に説明する。
<積層型圧電アクチュエータ>
図1に、積層型圧電アクチュエータの概略断面図を示す。積層型圧電アクチュエータ20は、内部電極21と圧電層22とが交互に積層され、内部電極21が一層おきに一対の外部電極23a,23bに接続された構造(所謂、積層コンデンサ型構造)を有している。内部電極21には、一般的にAg−Pd合金が用いられ、Pd含有量は圧電セラミック組成物の焼成温度に応じて、適宜、決定される。圧電層22は圧電セラミック組成物からなる。圧電層22は、外部電極23aを正極とし、外部電極23bを負極(グランド電極)として分極処理が施されている。そのため、外部電極23aを正電位とし、外部電極23bをグランド電位として、外部電極23a,23b間に所定の電圧を印加すると、圧電層22は圧電効果により積層方向に伸長する変位を生じる。
積層型圧電アクチュエータ20の製造は、周知の方法を用いて行うことができる。例えば、前記した本発明に係る圧電セラミック組成物の製造方法にしたがって作製された混合粉末(CuOが添加、混合され、全ての組成成分を含む粉末)を帯状にシート成形し、得られたグリーンシートを打ち抜き加工(パンチング)等して、一定形状の印刷用シートを得る。なお、グリーンシートの作製には、ドクターブレード法や押出成形法、カレンダロール法等を用いることができるが、このようなシート成形では、前記した混合粉末はスラリー状又は粘土状に調製されて、成形に供される。そこで、スラリー又は粘土の作製において、仮焼粉末(CuOを含まない)とCuO原料とを均一に混合するようにしてもよい。
続いて、この印刷用シートにスクリーン印刷法等で内部電極用の電極ペーストを所定パターンで印刷する。そして、電極ペーストが印刷された印刷用シートを積み重ねて熱プレス等により一体化してモノリシックとし、このモノリシックを脱脂(脱バインダ)、焼成する。その後、必要に応じて切断、研削、研磨等の加工を行って形状を整えると共に、外部電極23a,23bを形成する面に確実に内部電極21を露出させる。内部電極21の露出面に銀ペースト等を塗布、焼成して、外部電極23a,23bを形成する。こうして、積層型圧電アクチュエータ20を製造することができる。なお、外部電極23a,23bには、必要に応じて、リード線がハンダ付け等により取り付けられる。
本発明に係る圧電セラミック組成物を用いて製造された積層型圧電アクチュエータ20は、大きな圧電定数d33を有することから、従来の圧電セラミック組成物を用いて製造された積層型圧電アクチュエータと対比して同等変位量を得たい場合には、同形状で駆動電圧を下げることができ、又は、積層数を減らして同電圧で駆動することができる。
<積層型圧電アクチュエータを用いたインジェクタ>
図2に積層型圧電アクチュエータを用いた燃料噴射用インジェクタの概略断面図を示す。このインジェクタ30では、高圧通路31にコモンレール(図示せず)から高圧燃料が供給されている。図2に示される状態では、バルブ32が高圧通路31と低圧通路36とをシールドし、ノズルニードル33が燃料噴射室38と燃料噴射口37とを隔離している。積層型圧電アクチュエータ20を伸長させてピストン35をバルブ32側に押すと、ピストン35がバルブ32を背圧室34側に押してバルブ32が開き、高圧通路31と低圧通路36とが連通する。
積層型圧電アクチュエータ20を伸長させる時間は短時間である。これに対応して、バルブ32が開く時間も短時間であるため、燃料は圧力の下がった低圧燃料として低圧通路36から抜け、このとき、背圧室34の圧力も抜けて、背圧室34と燃料噴射室38との間の圧力差によりノズルニードル33が背圧室34側に動く。こうして、燃料噴射室38と燃料噴射口37とが連通し、高圧燃料が燃料噴射口37から噴射される。
積層型圧電アクチュエータ20が元の長さに戻ると、バルブ32が高圧通路31と低圧通路36とをシールドするために、背圧室34の圧力が上昇して燃料噴射室38の圧力と同じになり、背圧室34に設けられたバネ39が伸びて、燃料噴射室38と燃料噴射口37とが再び隔離される。このような動作から明らかなように、積層型圧電アクチュエータ20の駆動(変位発生)を制御することにより、燃料の噴射を制御することができる。
そして、本発明に係る圧電セラミック組成物を用いてなる積層型圧電アクチュエータ20を用いることにより、インジェクタ30を小型化したり、又は、駆動電圧を小さくしたりすることができる等、インジェクタ30の設計自由度が大きくなる。なお、図示はしないが、従来は変位拡大機構が必要であったインジェクタの場合にはこれが不要となり、又は、変位拡大機構を小型化することができる等の設計変更が可能になる。
次に、本発明に係る実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
出発原料として、PbO(純度:3N(99.9%)以上)、SrCO3(純度:3N以上)、ZnO(純度:3N5(99.95%)以上)、NiO(純度:3N以上)、ZrO2(純度:3N以上)、TiO2(純度:3N以上)、Nb25(純度:3N5以上)(以上、関東化学株式会社製)の各粉末を用い、これを表1に示す組成(Pb1-aSra[Zn1/3Nb2/30.06[Ni1/3Nb2/30.12Zr0.42Ti0.403)となるように秤量した。秤量した各出発原料と、所定量の水と、所定量のZrO2ボールとをボールミル用ポットに充填し、ボールミル装置を用いて、24時間の混合粉砕処理を行った。
この混合粉砕処理によって得られたスラリーを乾燥して、混合原料を得た。この混合原料を坩堝に充填し、大気中、900℃で2時間、仮焼することにより、仮焼粉末を得た。一定量の仮焼粉末に対して、表1に示すCuO含有量となるように、所定量のCuO粉末(純度:4N(99.99%)以上、和光純薬工業株式会社製)を添加し、先に行った出発原料の混合方法と同じ方法によって均一に粉砕混合した後、得られたスラリーを乾燥して、成形用の混合粉末を得た。この混合粉末に所定量のポリビニルアルコール(PVA)を添加して造粒した後、1gの造粒粉末をφ14mmの円板状にプレス成形した。この成形体を、大気雰囲気で、600℃で2時間保持して脱脂した後、1100℃で2時間保持して焼成した。
得られた焼結体を、厚さが1mmとなるように表面研磨した後、両面にAgペーストを塗布し、700℃で焼き付け処理を行うことにより、駆動電極を形成した。大気雰囲気、室温において、駆動電極間に2kVの直流電圧を5分間印加して分極処理を行い、その後、駆動電極間に2kVの電圧を印加して、焼結体の厚み方向の変位量(歪み量)をレーザ変位計で計測し、得られた変位量から圧電定数d33を求めた。その結果を表1に併記する。
Figure 2010059008
図3にSr置換量aと圧電定数d33との関係を表したグラフを示し、図4にCuO含有量と圧電定数d33との関係を表したグラフを示す。なお、作製した各試料の組成は、試料作製条件からPbの蒸発等を無視することができると考えられることから、出発原料の秤量組成に等しいとする。また、各試料におけるCuO含有量は、試料作製時に仮焼粉末に添加したCuOの量に等しいとした。
図3に示されるように、Sr置換量aが0以上0.06の範囲では、Sr置換量aが約0.032のときに極大値を取る傾向が確認され、Sr置換量aが0.02〜0.05の範囲において、圧電定数d33が約680pm/V以上という大きな値を示すことが確認された。
また、図4に示されるように、Sr置換量aが0.02と0.03のいずれの場合でも、CuO含有量が0.06質量%以上のときに圧電定数d33が大きくなることがわかる。Sr置換量aが0.02の場合には、CuO含有量が0.06質量%のときに圧電定数d33が605pm/Vとなり、CuO含有量が0.11(=2×0.02+0.07)質量%のときに圧電定数d33が600pm/V以上となり、これらの圧電定数d33はほぼ等しい。また、同様に、Sr置換量aが0.03の場合には、CuO含有量が0.06質量%のときに圧電定数d33が674pm/Vとなり、CuO含有量が0.13(=2×0.03+0.07)質量%のときに圧電定数d33が690pm/V以上となり、これらの圧電定数d33はほぼ等しい。これらのことから、CuO含有量は、0.06質量%以上(2a+0.07)質量%以下と規定することができるものと判断した。
なお、CuO含有量が0.06質量%以上(2a+0.07)質量%以下の範囲における圧電定数d33の上昇は、CuOの含有によって焼結性がよくなることに起因し、逆に、圧電定数d33の低下は、CuOと他の成分とが粒界で化合物を形成することによって、基本組成式にずれが生じたためと考えられる。
以上、本発明の実施の形態及び実施例について説明したが、本発明は上記実施の形態及び実施例に限定されるものではない。例えば、圧電縦効果の圧電定数d33が大きい材料は、圧電横効果の圧電定数d31も大きいことから、本発明に係る圧電セラミック組成物は、バイモルフ素子等の屈曲変位を生じさせる圧電アクチュエータにも好適に用いることができる。
また、圧電セラミック組成物の用途として、積層型圧電アクチュエータを取り上げたが、これに限定されず、加重センサや加速度センサ(ジャイロ)、ソナー等のセンサ用途や、表面波デバイス、振動子等に用いることができる。さらに、積層型圧電アクチュエータの使用例としてインジェクタを取り上げたが、これに限定されず、X−Yステージ等の精密位置決め装置の駆動部品や精密流量計のバルブとしても用いることができる。
積層型圧電アクチュエータの概略断面図である。 積層型圧電アクチュエータを用いた燃料噴射用インジェクタの概略断面図である。 Sr置換量と圧電定数との関係を示すグラフである。 CuO含有量と圧電定数との関係を示すグラフである
符号の説明
20 積層型圧電アクチュエータ
21 内部電極
22 圧電層
23a,23b 外部電極
30 インジェクタ
31 高圧通路
32 バルブ
33 ノズルニードル
34 背圧室
35 ピストン
36 低圧通路
37 燃料噴射口
38 燃料噴射室
39 バネ

Claims (2)

  1. 基本組成式:Pb1-aSra[Zn1/3Nb2/3b[Ni1/3Nb2/3cZrdTie3(但し、0.02≦a≦0.05、0.05≦b≦0.20、0.05≦c≦0.20、0.10≦b+c≦0.30、b+c+d+e=1)で表される主成分に対して、CuOをさらに0.06質量%以上(2a+0.07)質量%以下含有することを特徴とする圧電セラミック組成物。
  2. 請求項1に記載の圧電セラミック組成物を用いてなることを特徴とするアクチュエータ。
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