JP2023090233A - 圧電/誘電体セラミックス、圧電素子及び発音体 - Google Patents

圧電/誘電体セラミックス、圧電素子及び発音体 Download PDF

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Abstract

【課題】信頼性の高い圧電素子及び/又はセラミックコンデンサを得ることが可能で、簡便な方法にて製造できるアルカリニオブ酸系の圧電/誘電体セラミックス、圧電素子及び発音体を提供する。【解決手段】圧電/誘電体セラミックスは、ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩を主成分とし、カルシウム及びバリウムから選択される少なくとも1つのアルカリ土類金属元素を含有する結晶粒子41で構成され、結晶粒子41の少なくとも1つが、表面から中心部方向への距離が該粒子の直径の5%にある位置において、含有するニオブのモル数に対するカルシウム及びバリウムの合計モル数の比率が、中心部より高い。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電/誘電体セラミックス、圧電素子及び発音体に関する。
圧電素子は、圧電性を有するセラミックス(圧電セラミックス)を一対の電極で挟み込んだ構造の電子部品である。ここで、圧電性とは、電気エネルギーと機械エネルギーとを相互に変換可能な性質である。
圧電素子は、前述した圧電セラミックスの性質を利用して、一対の電極間に印加された電圧を、圧力や振動といった機械エネルギーに変換することで、他の物体を動かしたり、自身を動作させたりすることができる。他方、圧電素子は、振動や圧力といった機械エネルギーを電気エネルギーに変換し、当該電気エネルギーを一対の電極間の電圧として取り出すこともできる。
電極間に印加された電圧を機械的な振動に変換する場合、圧電素子は、幅広い周波数の振動を発生することができる。具体的には、一般的な生活環境に存在する、低周波音と呼ばれる100Hz以下の周波数帯、人間が音として感知することが可能な20Hz~20kHz程度の周波数帯、超音波と呼ばれる20kHz~数GHzの周波数帯、及び電磁波のような数~数十GHz程度の周波数帯等の振動が挙げられる。このため、圧電素子は、スピーカーや振動部品等に利用されている。他方、圧電素子は、前述のような種々の周波数帯の振動を感受することで、これに対応する幅広い周波数帯の電圧を発生することもできる。
圧電素子の構造としては、圧電セラミックスの表面にのみ電極を形成したものの他、積層型圧電素子と呼ばれる、積層された複数の圧電セラミックス層を内部電極で挟み込んだものが知られている。積層型圧電素子は、複数の圧電セラミックス層の積層方向において大きい変位が得られるため、例えばアクチュエータ等に利用可能である。積層型圧電素子は、典型的には、圧電セラミックス層と内部電極とを同時に焼成することにより製造される。
こうした圧電素子を構成する圧電セラミックスとしては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O、PZT)及びその固溶体を主成分とするものが広く用いられている。PZT系の圧電セラミックスは、高いキュリー温度を有することから、高温環境下でも使用可能な圧電素子を得ることができる。また、この圧電セラミックスは、高い電気機械結合係数を有することから、電気的エネルギーと機械的エネルギーとを効率良く変換可能な圧電素子を得ることができるという利点も有する。さらに、この圧電セラミックスは、適切な組成を選択することにより、1000℃を下回る温度で焼成できるため、圧電素子の製造コストを低減できる利点も有する。特に、前述した積層型圧電素子では、圧電セラミックスと同時焼成される内部電極に、白金やパラジウム等の高価な材料の含有量を減らした低融点の材料が使用できるようになることが、大きなコスト低減効果を生む。
しかし、PZT系の圧電セラミックスは、有害物質である鉛を含むことが問題視されており、これに代わる、鉛を含まない圧電セラミックスが求められている。鉛を含有しない無鉛圧電セラミックスに関する技術が、例えば、非特許文献1,2に開示されている。
これまでに報告されている無鉛圧電セラミックスのうち、アルカリニオブ酸系の圧電セラミックスは、キュリー点が高く、電気機械結合係数も比較的大きいことから、PZT系圧電セラミックスの代替候補として注目されている。
アルカリニオブ酸系の圧電セラミックスにおいては、その特性向上及び焼成温度の低温化のための種々の技術が報告されている(特許文献1~9)。
特許文献1には、アルカリニオブ酸系の圧電セラミックスに対して、AgOを添加してLi3NbO4を析出させることにより、1000℃前後での焼成が可能となることが開示されている。
特許文献2には、アルカリニオブ酸系圧電セラミックスを、粒界又は粒界三重点にSi及びKを含有する結晶相又は非結晶相が存在するものとすることで、1000℃前後で緻密に焼結可能となると共に、良好な電気機械結合係数と高い圧電特性とが保持された積層型圧電素子が得られることが開示されている。
特許文献3には、アルカリニオブ酸系圧電セラミックスを主相とし、該主相の間に形成される空孔を、A13系化合物(元素Aは1価の元素、元素Bは2~6価の一種以上の元素)を含む副相で充填することで、主相の構造を安定化させて圧電セラミックスの特性を改善することが開示されている。
特許文献4には、アルカリ含有ニオブ酸塩系ペロブスカイト組成物で形成された圧電セラミックスの空隙に銀を偏析させることで、抗電界を高めることができ、高温環境下での使用に好適な圧電デバイスが得られることが開示されている。
特許文献5には、アルカリニオブ酸系圧電セラミックス中にアルカリ土類金属と銀とを含有させることで、粒子径を均一且つ微細に制御して、高い信頼性及び良好な圧電特性を兼ね備える圧電素子を低コストで製造可能となることが開示されている。
特許文献6には、Li及びNbを含む非鉛系のペロブスカイト化合物、Zr及び2価の金属元素を含む複合酸化物圧電セラミックスの組成を最適化することで、Niを含む内部電極と共焼成しても圧電特性が向上することが開示されている。
特許文献7には、アルカリオブ酸系化合物を主相とする圧電セラミックスの微細構造を、コア粒子と、該コア粒子を取り囲むように配置され、該コア粒子とは組成が異なる複数のシェル粒子とで構成された擬コアシェル構造とすることで、優れた緻密性を有し、絶縁破壊が起こり難い圧電セラミックスとなることが開示されている。
特許文献8には、アルカリニオブ酸系化合物の母材とガラスとを基本成分として含み、K、Na及びNbを含む化合物で構成された核体が、該化合物の構成成分以外の成分からなる被膜体によって覆われた構造の焼結体からなる圧電材料が、高い信頼性を有することが開示されている。
特許文献9には、アルカリオブ酸系のセラミックにおいて、セラミック粒子を、反強誘電体から成るコアと、前記コアを取り囲み、前記コアよりもTaの含有比率が高く、強誘電体又は常誘電体から成るシェルとを備えるものとすることで、大きな圧電定数を有し、直流電圧印加時における実効の誘電率の低下が抑制されたものとなることが開示されている。
また、アルカリオブ酸系のセラミックスの誘電特性に関しては、前述の特許文献9における開示の他、アルカリニオブ酸系セラミックスを構成するセラミック粒子を、NaNbO3に富む第1領域と、その周囲に形成されたKNbO3に富む第2領域とを含むものとすることで、高温環境下における容量変化率が小さく、比誘電率や比抵抗が高い誘電体となることも、報告されている(特許文献10)。
国際公開第2012/086449号 特開2013-14470号公報 特開2015-202972号公報 特開2016-175824号公報 特開2017-163055号公報 国際公開第2017/006984号 特開2007-204336号公報 特開2012-20918号公報 特開2013-35746号公報 特開2016-160131号公報
Nature,432(4),2004,pp.84-87 Applied Physics Letters,85(18),2004,pp.4121-4123
近年の技術の進歩に伴い、圧電素子には更なる小型化と高性能化とが求められている。圧電素子を小型化すると、必然的に、素子中の圧電セラミックスの体積が減少すると共に電極間距離が狭まるため、その電気抵抗が低下する傾向にある。このため、圧電素子の電極間の絶縁性を保持して信頼性を確保することが難しくなる。
加えて、積層型圧電素子では、内部電極として、銀の含有割合の高い金属が利用されることが多い。この場合、焼成時に圧電セラミックス中に銀が拡散して圧電セラミックスの電気抵抗が低下することにより、積層型圧電素子の信頼性が損なわれることも懸念される。
銀の拡散による圧電セラミックスの信頼性低下を抑制する方法として、特許文献1及び4にそれぞれ記載されるように、圧電セラミックス中にAg2Oを先に混入させるものが知られている。しかし、この方法では、特許文献4に記載されているように、セラミックス粒子間に銀の偏析が生じてしまう。このような銀の偏析は、電極間距離、すなわち圧電セラミックスの厚さが50μm以下となる圧電素子において、電極間の導通の原因となりやすい。この偏析は、たとえ0.1μm程度の大きさであっても、積層型圧電素子における不良率の上昇の原因となってしまう。
他方、特許文献5においては、積層型圧電素子の製造時に、内部電極からの銀の拡散を積極的に利用して、セラミックスの粒子径を微細に制御することで、信頼性の高い積層型圧電素子を得ているが、さらなる信頼性の向上が求められている。
特許文献6に記載の積層型圧電素子は、銀を含まない内部電極が使用可能ではあるものの、その製造には、1100℃程度の高温にて、水素を含んだ窒素雰囲気中で行う還元雰囲気焼成が必要である。このため、焼成時に生じるアルカリ成分の揮発や酸素欠損の発生に起因して、電気抵抗が低下することが問題であった。
特許文献7から10ではそれぞれ、圧電セラミックスの粒子内又は粒子間のアルカリ成分濃度や、Nbに置換して含まれるTa成分濃度を制御して、焼結性や絶縁性、またさらに誘電体セラミックスとしての容量温度特性を改善する試みがなされている。しかし、これらの手法は、アルカリニオブ酸系圧電セラミックスの主成分の濃度勾配を設計するものであるため、その製造には、原料を複数回に分けて仮焼したり、液相焼結を行ったりすることが必要である。このため、各成分の分布状態や圧電セラミックスの形状を安定して制御することが難しく、量産性の点で劣ることが問題であった。
以上のような事情に鑑み、本発明では、信頼性の高い圧電素子及び/又はセラミックコンデンサを得ることが可能で、簡便な方法にて製造できるアルカリニオブ酸系の圧電/誘電体セラミックスを提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために種々の検討を行ったところ、アルカリニオブ酸系の圧電セラミックスを構成するセラミックス粒子を、アルカリ土類金属元素を含むものとし、かつ前記セラミックス粒子中の表面近傍における前記アルカリ土類金属元素の濃度が、中心部よりも高いものとすることで、当該課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記課題を解決するための本発明の一側面は、ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩を主成分とし、アルカリ土類金属元素を含有する結晶粒子で構成され、前記結晶粒子の少なくとも1つが、表面から中心部方向への距離が該粒子の直径の5%にある位置において、含有するニオブのモル数に対するアルカリ土類金属元素の合計モル数の比率が、前記中心部より高いものである圧電/誘電体セラミックスである。
また、本発明の他の一側面は、前記圧電/誘電体セラミックスで構成され、厚さが1μm以上25μm以下である圧電セラミックス層と、前記圧電セラミックス層の表面に設けられた少なくとも1対の電極とを備える圧電素子である。この圧電素子は、複数の前記圧電セラミックス層と、該圧電セラミックス層間に配置された内部電極とを備える積層型圧電素子であってもよい。
さらに、本発明の他の一側面は、前記圧電素子を備える発音体である。
本発明によれば、信頼性の高い圧電素子及び/又はセラミックコンデンサを得ることが可能で、簡便な方法にて製造できるアルカリニオブ酸系の圧電/誘電体セラミックスを提供することができる。
本発明の一側面に係る圧電/誘電体セラミックスの微細構造を示す断面図 ペロブスカイト型構造の単位格子モデルを示す斜視図 結晶粒子における、表面から中心部方向への距離が該粒子の直径の5%にある位置、及び中心部の位置を示す断面図 本発明の一側面に係る積層型圧電素子の構造を示す断面図(X-Z面) 本発明の一側面に係る積層型圧電素子の構造を示す断面図(Y-Z面) 本発明の一側面に係る発音体の構造を示す平面図 本発明の実施例及び比較例に係る各発音体における、駆動周波数と音圧との関係を示すグラフ
以下、図面を参照しながら、本発明の構成及び作用効果について、技術的思想を交えて説明する。但し、作用機構については推定を含んでおり、その正否は、本発明を制限するものではない。
[圧電/誘電体セラミックス]
本発明の一側面に係る圧電/誘電体セラミックス(以下、単に「第1側面に係るセラミックス」と記載することがある。)は、ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩を主成分とし、アルカリ土類金属元素を含有する結晶粒子で構成され、前記結晶粒子の少なくとも1つが、表面から中心部方向への距離が該粒子の直径の5%にある位置において、含有するニオブのモル数に対するアルカリ土類金属元素の合計モル数の比率が、前記中心部より高いものである。
第1側面に係るセラミックスは、図1に模式的に示すように、ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩を主成分とし、アルカリ土類金属元素を含有する結晶粒子41で構成される。なお、第1側面に係るセラミックスは、前記結晶粒子41以外に、これとは組成又は結晶構造の異なる副結晶粒子42、ガラス相43及び空隙44等を含んでもよい。
結晶粒子41の主成分である、ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩は、図2に示す構造の単位格子を有する。この単位格子には、格子の頂点に位置するAサイト、格子の面心に位置するOサイト、及び前記Oサイトを頂点とする八面体内に位置するBサイトがそれぞれ存在する。アルカリニオブ酸塩では、Aサイトにカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)といったアルカリ金属原子が配座し、Bサイトにニオブ(Nb)が配座する。また、Bサイトには、アンチモン(Sb)やタンタル(Ta)といった元素が配座することもある。
ペロブスカイト型構造を有する化合物の組成式は、前述した各サイトに位置する元素により、ABO3で表される。圧電セラミックスの主成分となる、一般的なアルカリニオブ酸塩の組成式は、例えば、以下のように表される。

(K1-w-xNawLix)(SbyTazNb1-y-z)O3

ただし、式中のw、x、y、zはそれぞれ、各元素のモル割合を示しており、0≦w≦0.2、0≦x≦0.2、0≦y<1、0≦z≦0.4、y+z<1で表される各不等式を満たす数値である。
第1側面に係るセラミックスは、結晶粒子41中に、アルカリ土類金属元素を含む。このことにより、結晶粒子41が微細なものとなり、高い絶縁抵抗が得られる。
上記組成式で表される一般的なアルカリニオブ酸塩では、積層型圧電素子や積層セラミックコンデンサとした際に、焼成時に内部電極から拡散してくる銀の影響で、結晶粒子径が大きくなり、絶縁抵抗が低下することが問題であった。具体的には、10μm以上の大きな結晶粒子が存在するようになる。これに対し、第1側面に係るセラミックスでは、結晶粒子41がアルカリ土類金属元素を含むことで、結晶粒子41の粗大化が抑制される。
結晶粒子41は、アルカリ土類金属元素として、カルシウム又はバリウムの少なくともいずれかを含むことが好ましい。このことにより、他のアルカリ土類金属元素のみを含む場合に比べて焼結性が向上し、各種特性に優れたセラミックスが得られる。また、積層型圧電素子や積層セラミックコンデンサの製造時に、内部電極として、銀の含有割合が高く低融点の金属を用いることができるため、製造コストの削減も可能となる。こうした作用を十分に発揮させる点からは、アルカリ土類金属元素の総モル数に占めるカルシウム及びバリウムの合計モル数の百分率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、100%、すなわち結晶粒子41が含有するアルカリ土類金属元素が、カルシウム又はバリウムから実質的になることが最も好ましい。ここで、「実質的になる」とは、通常採用される製造工程において、原料中に不純物として含まれる量や、中間生成物を取り扱う際に混入してしまう量等の、不可避的に混入する量を超えて、他の成分を含まないことを意味する。
第1側面に係るセラミックスは、ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩中に、銀を含んでもよい。このことにより、アルカリ土類金属元素と銀との相互作用が生じ、結晶粒子41をより微細なものとすることができる。
第1側面に係るセラミックスは、ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩中に、ジルコニウムを含んでもよい。このことにより、圧電素子を形成した際に、優れた圧電性が得られる。具体的には、高い圧電d定数が得られる。
また、アルカリニオブ酸塩がジルコニウムを含むことで、圧電素子を形成した際の信頼性の低下も抑制される。これは、以下の作用機序によるものと推定される。ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩では、通常、Aサイトに1価の陽イオンが、Bサイトに5価の陽イオンがそれぞれ配座しており、Oサイトに配座する2価の陰イオンとの間で電荷の中性が保たれている。他方、結晶粒子41中にアルカリ土類金属元素を含む第1側面に係るセラミックスでは、2価の陽イオンであるアルカリ土類金属イオンもAサイトに配座することとなる。これにより、結晶構造中の正電荷が負電荷に比べて過剰となる。この状態では、電荷の中性を保つために、Bサイトの5価の陽イオン、すなわち主にニオブイオン(Nb5+)が4価に還元されやすい。この状態においては、最外殻の電子により、電子伝導性を有しやすく、絶縁性が低下しやすい。格子間に位置する酸化物イオンは、容易に移動して導電性の発現に寄与することとなる。ところが、アルカリニオブ酸塩がジルコニウムを含む場合には、これが4価の陽イオンとしてBサイトに配座することで、結晶構造中の正電荷量を減少させ、前述した格子間の酸化物イオンの生成が抑制される。このことにより、導電性の発現が抑制される。こうした作用機序を考慮すると、圧電素子の信頼性低下を抑制するために好適なジルコニウムの含有量は、カルシウム及びバリウムの合計モル数と同程度といえる。
結晶粒子41の粗大化と、これに起因する絶縁抵抗の低下とをより効果的に抑制する点からは、第1側面に係るセラミックスは、結晶粒子41の主成分であるアルカリニオブ酸塩が、下記組成式(1)で表されるものであることが好ましい。

(AgtM2u(K1-v-wNavLiw1-t-ua
(SbxTayNb1-x-y-zZrz)O3…(1)

(組成式(1)中、M2はアルカリ土類金属元素を示す。また、t,u,v,w,x,y,z,aは、0≦t≦0.05、0.002≦u<0.02、0.007<t+u<0.07、0≦v≦1、0.02<w≦0.1、0.02<v+w≦1、0≦x≦0.1、0≦y≦0.4、0≦z≦0.02、0.99≦a≦1.1で表される各不等式を満たす数値である。)
なお、アルカリニオブ酸塩が、上述したように銀を含む場合には、前記組成式(1)における前記tは、必然的に0<t≦0.05を満たす数値となる。また、アルカリニオブ酸塩が、上述したようにジルコニウムを含む場合には、前記組成式(1)における前記zは、必然的に0<z≦0.02を満たす数値となる。
前記組成式(1)で表されるアルカリニオブ酸塩は、前記アルカリ土類金属元素(M2)の含有割合である「u」の値が0.02未満、すなわちペロブスカイト型構造のAサイトに占めるアルカリ土類金属元素(M2)のモル百分率が2.0%未満であることで、高い圧電性を発揮することができる。
また、前記組成式(1)で表されるアルカリニオブ酸塩は、ジルコニウム(Zr)の含有割合である「z」の値が0.02以下、すなわちペロブスカイト型構造のBサイトに占めるジルコニウム(Zr)のモル百分率が2.0%以下であることで、信頼性の高い圧電素子を得ることができる。
ここで、第1側面に係るセラミックスが、ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩を主成分とし、アルカリ土類金属元素を含有する結晶粒子で構成されること、並びに前記アルカリニオブ酸塩が前記組成式(1)で表されることは、以下の手順で確認する。
まず、確認対象とするセラミックスの表面、又は該セラミックスを粉砕して得た粉末について、Cu-Kα線を用いたX線回折装置(XRD)で回折線プロファイルを測定する。セラミックスの粉末を得るための粉砕手段は特に限定されず、ハンドミル(乳鉢・乳棒)等を利用できる。また、圧電素子やセラミックコンデンサを構成しているセラミックスの表面について回折線プロファイルの測定を行う際には、素子の表面に形成された電極や被覆を除去してセラミックスの表面を露出させる。この露出方法は特に限定されず、素子を切断ないし研磨する方法等を採用できる。また、圧電素子やセラミックコンデンサを構成しているセラミックスの粉末について回折線プロファイルの測定を行う際には、素子に形成された電極や被覆を除去した後にセラミックスを粉砕してもよく、これらを除去せずにそのまま粉砕してもよい。
次いで、得られた回折線プロファイルにおいて、ペロブスカイト型構造由来のプロファイルにおける最強回折線強度に対する、他の構造由来の回折プロファイルにおける最強回折線強度の百分率を算出する。そして、この割合が10%以下であることをもって、確認対象としたセラミックスが、ペロブスカイト型構造を有する結晶粒子で構成されたものと判定する。なお、圧電素子やセラミックコンデンサをそのまま粉砕した粉末についてXRD測定を行った場合には、電極や被覆を構成する材料のピークも検出されることがあるため、これを除外した上で、前述した回折線強度の割合の算出を行う。
次いで、ペロブスカイト型構造を有する結晶粒子で構成されたものと判定されたセラミックスについて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析、イオンクロマトグラフィー装置ないしは、蛍光X線(XRF)分析装置によって、銀(Ag)、アルカリ土類金属元素、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)及びジルコニウム(Zr)の含有量を測定する。
次いで、Sb、Ta、Nb及びZrの合計モル数を算出し、これに対する前記各元素のモル数の割合を算出する。そして、得られた前記各元素の割合が上記組成式(1)の範囲内となったことをもって、アルカリニオブ酸塩が上記組成式(1)で表されるものと判定する。ただし、前記算出の結果、上記組成式(1)における「a」の値が1.1を超えた場合には、Liの含有割合である「w」の値を0.02<w≦0.1の範囲内で減少させることで前記「a」の値を1.1以下にできたことをもって、アルカリニオブ酸塩が上記組成式(1)で表されるものと判定する。これは、後述するように、ペロブスカイト構造中に固溶しきれなかったリチウムが、上記結晶粒子以外の異相中に存在することがあるためである。
第1側面に係るセラミックスは、結晶粒子41の少なくとも1つが、表面から中心部方向への距離が該粒子41の直径の5%にある位置(以下、「表層部」と記載することがある)において、含有するニオブのモル数に対するアルカリ土類金属元素の合計モル数の比率(以下、「アルカリ土類金属の比率」と記載することがある)が、前記中心部より高いものである。このような、表面近傍での特定元素の含有比率が内部に比べて高い構造の粒子は、「コアシェル粒子」と呼ばれることがある。こうしたコアシェル粒子の存在により、アルカリニオブ酸系圧電/誘電体セラミックスを備える素子を連続駆動した際に、絶縁破壊が起こりにくくなる。なお、含有する結晶粒子の粒子径及び組成の分布が比較的狭い範囲内に収まるというセラミックスの一般的な特性から見て、所期の構造を有するコアシェル粒子が1つ確認されたセラミックスには、同様の構造を有するコアシェル粒子が多数含まれることがほとんどである。このため、結晶粒子41の少なくとも1つが前述したものであることが確認できれば、同様の構造を有する多数の結晶粒子41の存在により、圧電素子の信頼性に好影響を及ぼすものといえる。
結晶粒子41が前述したコアシェル粒子となることで、これを含むセラミックスで形成した素子の絶縁破壊が抑制される理由は、現時点では明らかでないが、結晶粒子41の表面近傍におけるアルカリ土類金属元素濃度が中心部より高いことで、表面近傍でのアルカリ金属元素の濃度が相対的に低くなり、駆動時に印加される電界によるアルカリ金属元素の移動が抑制されるためと推定される。
ここで、圧電/誘電体セラミックス中に、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子41が存在することは、以下の手順で確認する。
まず、確認対象とする圧電/誘電体セラミックスから、透過型電子顕微鏡(TEM)観察用の試料を切り出す。この切り出しは、収束イオンビーム(FIB)装置等により行うことができる。
次いで、切り出したTEM観察用の試料を、エネルギー分散型X線分光器(EDS)又は波長分散型X線分光器(WDS)を搭載したTEMにて観察し、測定対象とする結晶粒子を決定すると共に、該粒子の外周形状を特定する。測定対象とする結晶粒子としては、後述する累積頻度で表示した粒度分布における10%径以上、90%径以下の粒子径のものを選択する。
次いで、図3に示すように、測定対象とする結晶粒子の外周上に位置する任意の2点を結ぶ線分のうち、長さが最大のものを決定し、該線分の長さLを測定する。そして、この長さLを、測定対象とする結晶粒子の直径とする。また、得られた線分の長さから、該線分の中点Mを決定する。
次いで、前記線分の両端からの距離が結晶粒子の直径の5%、すなわち5L/100である該線分上の2点について、EDS又はWDSにより組成分析を行って、アルカリ土類金属の比率をそれぞれ算出し、これらの平均値を表層部のアルカリ土類金属の比率とする。組成分析においては、例えばEDS測定においては、バリウムのK線ないしL線やカルシウムのK線、又はストロンチウムのK線ないしL線に対するニオブのK線ないしL線の強度比で特定すればよく、より詳細には、それらの強度から、原子番号効果、吸収効果、蛍光励起効果を勘案した補正(ZAF補正)を行い、それぞれの質量含有量の比で特定してもよい。また、前記線分の中点Mについても、同様に組成分析を行って、アルカリ土類金属の比率を算出し、これを中心部のアルカリ土類金属比率とする。
次いで、表層部のアルカリ土類金属の比率と中心部のアルカリ土類金属の比率とを比較し、前者が高いことをもって、測定対象とした結晶粒子を、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高いものと判定する。そして、確認対象とした圧電/誘電体セラミックス中に、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子41が存在すると判断する。
第1側面に係るセラミックスは、結晶粒子41に加えて、アルカリニオブ酸塩以外の副結晶粒子42及び/又はガラス相43としてのリチウム含有相をさらに含んでもよい。このことにより、セラミックスが緻密なものとなる。リチウム含有相を含むことでセラミックスが緻密化する理由は、現時点では明らかでないが、リチウムはアルカリニオブ酸塩のAサイトに固溶し得る元素であるから、これがアルカリニオブ酸塩とは異なる相に含まれることは、前記Aサイトに位置するイオンないし原子が過剰であることを意味するものといえる。そしてこのことが、セラミックスの緻密化に何らかの寄与をしているものと推定される。なお、このように、第1側面に係るセラミックス中のリチウムは、アルカリニオブ酸塩及びリチウム含有相の両者に含まれ得る成分であるため、上述したアルカリニオブ酸塩の組成式の決定方法において、各元素の分析結果から算出される「a」の値が1.1を超える場合も生じ得る。
リチウム含有相に含まれるLiの量は、前述したセラミックスの緻密化作用を十分に発揮させる点からは、アルカリニオブ酸塩に対して0.1モル%以上であることが好ましく、0.3モル%以上であることがより好ましく、0.5モル%以上であることがさらに好ましい。他方、Li3NbO4をはじめとする導電性を有する化合物の生成を抑制し、電気的絶縁性及び耐久性に優れたセラミックスを得る点からは、アルカリニオブ酸塩に対するLiの含有量は、3.0モル%以下であることが好ましく、2.0モル%以下であることがより好ましく、1.5モル%以下であることがさらに好ましい。
ここで、第1側面に係るセラミックス中の、リチウム含有相に含まれるLiの量は、前述したアルカリニオブ酸塩の組成式の決定方法において、組成分析の結果得られたLiの総量からアルカリニオブ酸塩中に固溶し得るLi量を除いた残部として算出される。
第1側面に係るセラミックスは、リチウム含有相と共に、アルカリニオブ酸塩の構成元素以外にケイ素(Si)をさらに含んでもよい。このことにより、セラミックスがより緻密なものとなる。また、Liがペロブスカイト型構造に固溶しきれずに余剰となった際に、Liとの反応性に富むSiの存在により、余剰のLiがSiと反応し、Li2Si25、Li2SiO3やLi4SiO4等の化合物又はLiとSiとを含むガラス相といった、Siを含むリチウム含有相を生成する。これにより、Li3NbO4をはじめとする導電性を有する化合物の生成を抑制し、セラミックスの電気抵抗率の低下抑制に寄与する。この作用を高める点からは、Siに対するLiのモル比(Li/Si)は1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。
第1側面に係るセラミックスは、含有するSiが、リチウム含有相以外の副結晶粒子42及び/又はガラス相43を形成するものであってもよい。このことにより、セラミックスがさらに緻密なものとなる。Siが形成するリチウム含有相以外の副結晶粒子42及び/又はガラス相43としては、K3Nb36Si27やKNbSi27などのアルカリ金属元素、ニオブ、ケイ素及び酸素を含有する化合物及びこれらの元素を含有する非晶質相、並びにアルカリ金属元素、ケイ素及び酸素を含有する化合物及びこれらの元素を含有する非晶質相が例示される。
第1側面に係るセラミックス中のSiの総量は、前述したセラミックスの緻密化作用及び電気抵抗率の低下抑制作用を十分に発揮させる点からは、アルカリニオブ酸塩に対して0.1モル%以上であることが好ましく、0.5モル%以上であることがより好ましく、1.0モル%以上であることがさらに好ましい。他方、圧電性又は誘電性に劣る異相の生成量を抑え、優れた特性を有するセラミックスを得る点からは、アルカリニオブ酸塩に対するSiの含有量は、3.0モル%以下であることが好ましく、2.5モル%以下であることがより好ましく、2.0モル%以下とすることがさらに好ましい。
第1側面に係るセラミックスは、アルカリニオブ酸塩の構成元素以外にさらにマンガン(Mn)を含み、アルカリニオブ酸塩に対するMnの含有量が2.0モル%以下であってもよい。このことにより、セラミックスの電気抵抗が向上する。Mn含有量の下限は特に限定されないが、前述の作用を十分に発揮させる点からは、0.2モル%以上とすることが好ましい。他方、Mn含有量を2.0モル%以下とすることで、高い圧電性能又は誘電性能を保持することができる。前記Mnの含有量は、1.5モル以下とすることが好ましく、1.0モル以下とすることがより好ましい。
第1側面に係るセラミックスがMnを含有することで電気抵抗が向上するメカニズムは、以下のように考えられる。まず、Mnは、結晶粒子41間の三重点や、素子を形成した際の電極の近傍に、電気抵抗の高い酸化物を生成しやすい。こうした高抵抗の酸化物の存在により、セラミックスの電気抵抗が向上すると推測される。このような高抵抗の酸化物としては、MnO、Mn34及びMnO2等のマンガン酸化物、Li2MnO3、LiMnO4、LiMn24及びKMnO4等のアルカリ金属元素とマンガンとの複合化合物、MnSiO3、Mn2SiO4及びMn7SiO12等のシリコンとマンガンとの複合化合物、並びにこれらの複合酸化物として、Li2MnSiO4及びNaMnSi26等が例示される。加えて、Mnは、上述したペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩のBサイトに固溶したり、格子間に位置したりすることで、Bサイトの価数の揺動を抑制して電荷の中性を保持するように作用すると推考される。すなわち、上述したように、アルカリ土類金属元素が、ペロブスカイト型構造のAサイトに位置するアルカリ金属と置換固溶した場合、両者の価数の相違により、Bサイトに位置するNb、Ta及びSb等の価数が揺動し、電気抵抗が低下することがある。この場合に、Mnが2価カチオンとしてBサイトに固溶することで、Ca(Mn1/3Nb2/3)O3やBa(Mn1/3Nb2/3)O3等を生成し、電荷を均衡させることで、電気抵抗の低下が抑制されるということである。
ここで、第1側面に係るセラミックスにおける、アルカリニオブ酸塩に対するSi及びMnの含有量は、以下の手順で確認する。
まず、上述したアルカリニオブ酸塩の組成式の確認手順において、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析、イオンクロマトグラフィー装置ないしは、蛍光X線(XRF)分析装置によって、セラミックスの組成分析を行う際に、Si及びMnの含有量についても測定を行う。
次いで、アンチモン、タンタル、ニオブ及びジルコニウムの合計モル数を算出し、これに対するSi及びMnのモル数の百分率をそれぞれ算出する。そして、得られた各百分率を、アルカリニオブ酸塩に対するSi及びMnの含有量とする。
また、前述した、アルカリ金属元素、ニオブ、ケイ素及び酸素を含有する化合物、アルカリ金属元素、ケイ素及び酸素を含有する化合物、並びにマンガン化合物の存在形態については、セラミックス中のLi、Mn及びSiの分布を測定することで確認できる。該分布の測定機器としては、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)又は透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)に装着したエネルギー分散型X線分光器(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectrometry)又は波長分散型X線分光器(WDS:Wavelength Dispersive X-ray Spectrometry)、電子線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)及びレーザー照射型誘導結合プラズマ質量分析(LA-ICP-MS)等が例示される。
第1側面に係るセラミックスは、アルカリニオブ酸塩の構成元素以外にさらにフッ素を含み、その含有量が、質量基準で100ppm以上1000ppm未満であってもよい。フッ素の含有量が100ppm以上であることで、セラミックスが緻密なものになる。セラミックスの緻密化作用を十分に発揮させる点からは、前記フッ素の含有量は200ppm以上であることがより好ましく、300ppm以上であることがさらに好ましい。また、第1側面に係るセラミックスを圧電セラミックスとする場合には、前記フッ素の含有量が400ppm以上であることが、大きな電気機械結合係数が得られる点で好ましい。他方、セラミックスから飛散ないし溶出するフッ素の量を低減する点からは、前記フッ素の含有量は800ppm以下であることがより好ましく、700ppm以下であることがさらに好ましい。
ここで、セラミックスのフッ素含有量は、セラミックスを粉砕した粉末を燃焼ボートに約30mg程度量り取り、添加剤として酸化タングステンを試料の5倍量添加して、1000℃にて燃焼させて、発生ガスを吸収液にて回収し、該吸収液をイオンクロマトグラフィー装置に導入し、検量線法でフッ素の定量分析を行うことで決定する。測定に使用する標準液はその際、あらかじめフッ素含有量を規定した複数の試料から得られたフッ素含有量の検量線より、そのフッ素含有量を規定することが好ましい。
使用可能な装置の制約等により、前述したフッ素含有量の決定方法が採用できない場合には、数十mgのセラミックスを、フッ化水素酸及び硝酸10mL程度に溶解した溶液を、ICP-AES装置にて測定することで決定してもよい。その際、あらかじめフッ素含有量を規定した複数の試料から得られたフッ素含有量の検量線より、そのフッ素含有量を規定することが好ましい。
第1側面に係るセラミックスは、必要に応じて、第一遷移元素であるSc、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu及びZnから選択される少なくとも1つを含んでもよい。これらの元素を適当な量で含むことで、焼成温度の調整や、粒成長の制御や、高電界における長寿命化が可能である。
また、第1側面に係るセラミックスは、必要に応じて、第二遷移元素であるY、Mo、Ru、Rh及びPdから選択される少なくとも1つを含んでもよい。これらの元素を適当な量で含むことで、焼成温度の調整や、粒成長の制御や、高電界における長寿命化が可能である。
さらに、第1側面に係るセラミックスは、必要に応じて、第三遷移元素であるLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、W、Re、Os、Ir、Pt及びAuから選択される少なくとも1つを含んでもよい。これらの元素を適当な量で含むことで、焼成温度の調整や、粒成長の制御や、高電界における長寿命化が可能である。
勿論、第1側面に係るセラミックスは、前述の第一遷移元素、第二遷移元素、及び第三遷移元素のうちの複数種類を含有してもよい。
第1側面に係るセラミックスは、結晶粒子41が、累積頻度で表示した粒度分布における10%径をD10、50%径をD50、90%径をD90としたときに、100nm≦D50≦800nm及び(D90-D10)/D50≦2.0を満たすものであってもよい。D50が100nm以上であることで、焼結粒子の界面の総面積が小さくなり、該界面に発生する応力の影響による圧電性の低下を抑制できる。この点からは、D50は150nm以上とすることがより好ましく、200nm以上とすることがさらに好ましい。他方、D50が800nm以下であることで、高い電気抵抗を発現する。この点からは、D50は700nm以下とすることがより好ましく、600nm以下とすることがさらに好ましい。また、(D90-D10)/D50≦2.0を満たすことで、圧電セラミックス層40の電気抵抗がさらに向上するとともに、その薄層化が容易となる。
ここで、第1側面に係るセラミックスにおける結晶粒子41の粒度分布は、以下の手順で測定する。まず、セラミックスの表面に、導電性を付与するために白金を蒸着して測定用試料とする。セラミックスが圧電素子やセラミックコンデンサを構成している場合には、素子の表面に形成された電極や被覆を除去してセラミックスの表面を露出させる。次いで、測定用試料を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、結晶粒子41の写真を撮影する。次いで、撮影した写真中に相互に平行な直線を複数本引き、該各直線を各結晶粒子41の周縁で切り取った線分の長さ(各直線が結晶粒子41の周縁と交わる2点間の距離)を、結晶粒子41の粒径(粒度)とする。この方法で、結晶粒子41の粒度を400個以上の粒子について測定し、得られた結果から個数基準の粒度分布を求める。最後に、得られた粒度分布からD10、D50及びD90をそれぞれ算出する。
なお、セラミックスの表面を露出させる方法は特に限定されず、素子を切断ないし研磨する方法等を採用できる。また、このようにして露出させたセラミックスが、表面の一部が除去されることにより、結晶粒子41の輪郭が見えにくいものとなっている場合には、白金の蒸着に先立って、セラミックスを焼成した温度よりも50℃程度低い温度にて、5分程度の熱処理(サーマルエッチング)を行うとよい。この熱処理に代えて、弗酸、塩酸、硫酸、硝酸など、またそれらを混合した酸をエッチングに適切な濃度として用いて、化学的にエッチングすることも可能である。
[圧電素子]
本発明の他の一側面に係る圧電素子(以下、単に「第2側面に係る圧電素子」と記載することがある。)は、第1側面に係るセラミックスで構成され、厚さが1μm以上25μm以下である圧電セラミックス層と、前記圧電セラミックス層の表面に設けられた少なくとも1対の電極とを備える。
第2側面に係る圧電素子は、第1側面に係るセラミックスで構成され、厚さが1μm以上25μm以下である圧電セラミックス層を備える。圧電セラミックス層を第1側面に係るセラミックスで構成することで、駆動時の電界に起因するアルカリ金属元素や銀の拡散が抑制される。このため、1層の厚みを25μm以下と薄くした場合でも、高い電気的絶縁性を保つことができ、連続駆動時の素子寿命を長くすることができる。また、圧電セラミックス層の薄層化が可能となることで、素子設計の自由度が増す。圧電セラミックス層の組成及び微細構造を適切に選択することで、圧電セラミックス層の厚さは、20μm以下とすることも可能である。
ここで、圧電素子を構成する圧電セラミックス層の厚さは、以下の方法にて決定する。
まず、圧電素子を、電極に垂直な方向に切断する。切断方法は特に限定されず、回転砥石による切断、レーザーによる切断、高圧水による切断等が採用できる。
次いで、切断面を顕微鏡で観察し、電極に挟まれた領域として確認される圧電セラミックス層の厚さを、任意の異なる3箇所について測定する。測定値は、顕微鏡像に対して画像解析ソフトウェアを適用して得てもよく、顕微鏡像における実測値を拡大倍率で割って求めてもよい。
次いで、得られた3個の測定値の平均値を算出し、これを圧電セラミックス層の厚さとする。
圧電セラミックス層の表面に設ける少なくとも1対の電極は、圧電セラミックス層に電圧を印加したり、圧電セラミックス層の表面に生じる電荷を集めて外部に取り出したりする機能を有する。電極の形状及び配置は、圧電素子に要求される特性に応じて適宜決定すればよい。また、電極を構成する材料は、導電性が高く、圧電素子の製造、輸送、他の部材への組付け及び使用等の各環境下で物理的及び化学的に安定なものであれば特に限定されない。使用可能な電極材料の例としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タングステン(W)、白金(Pt)、金(Au)、及びビスマス(Bi)、並びにこれらの合金等が挙げられる。
第2側面に係る圧電素子は、圧電セラミックス層を複数備えると共に、圧電セラミックス層間に配置された内部電極を備える、いわゆる「積層型圧電素子」であってもよい。以下、積層型圧電素子の構造の例を、図4及び図5を参酌しながら説明する。
積層型圧電素子100は、圧電セラミックス層40、該圧電セラミックス層40の間に配置された内部電極10及び該内部電極10を1層おきに電気的に接続する接続導体11を備える。なお、図4及び図5に示される内部電極10及び図4に示される接続導体11のうち、同じアルファベット(「a」又は「b」)が付されたものは、同一極性(「+」又は「-」)を有するものを意味する。また、図4に示される積層型圧電素子100では、その表面に接続導体11が形成されているが、接続導体11は、積層型圧電素子100の内部に、圧電セラミックス層40を貫通して形成されていてもよい。
積層型圧電素子には、図5に示すように、Y軸方向両側面と内部電極10との間に位置するサイドマージン部20、及びZ軸方向上下面に位置するカバー部30が形成されていてもよい。
以下、積層型圧電素子100を構成する各部分について詳述する。
(圧電セラミックス層)
圧電セラミックス層40は、第1側面に係るセラミックスで構成され、1μm以上25μm以下の厚さを有する。圧電セラミックス層の特徴については、上述した、積層構造を有さない圧電素子と共通するため、詳細な説明は省略する。
(内部電極)
内部電極10は、圧電セラミックス層40の間にこれと接して配置され、該圧電セラミックス層40に電圧を印加したり、圧電セラミックス層40の表面に生じる電荷を集めて外部に取り出したりする機能を有する。電極の形状及び配置は、圧電素子に要求される特性に応じて適宜決定すればよい。また、電極を構成する材料は、導電性が高く、圧電セラミックスの焼成条件下で酸化したり溶融したりしないものであれば限定されない。好ましい電極材料としては、銀の含有量が50質量%以上の金属が挙げられる。内部電極を50質量%以上の銀を含む金属で構成することで、圧電セラミックスと共に空気中で焼成した場合でも酸化が抑制される。また、白金やパラジウム等の高価な金属の使用量を減らして、積層型圧電素子100の材料コストを抑えることもできる。さらに、導電性に優れる銀の割合が高いことから、電気抵抗率が減少し、積層型圧電素子100を駆動する際の電気的損失が低減される。銀の含有量が50質量%以上の金属としては、銀-パラジウム合金が例示される。内部電極を構成する金属中の銀の含有量は、70質量%以上とすることが好ましく、80質量%以上とすることがより好ましい。
圧電セラミックス層40を構成する第1側面に係るセラミックスが、アルカリ土類金属元素としてカルシウム及びバリウムから選択される少なくとも一種を含む場合には、内部電極10を、銀の含有量が80質量%以上である金属で形成することができる。このことにより、素子の材料コストを顕著に抑制することができ、また内部電極の電気抵抗率も顕著に低減できる。この場合には、アルカリ土類金属元素の総モル数に占めるカルシウム及びバリウムの合計モル数の百分率を高めることで、内部電極10を構成する金属中の銀の含有量を85質量%以上とすることもでき、90質量%以上とすることもできる。
内部電極10を構成する金属中の銀の含有量は、各種測定機器を用いて内部電極10の元素分析を行い、検出された全元素に対する銀の質量割合を算出することで確認できる。使用する測定機器としては、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)又は透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)に装着したエネルギー分散型X線分光器(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectrometry)又は波長分散型X線分光器(WDS:Wavelength Dispersive X-ray Spectrometry)、電子線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)及びレーザー照射型誘導結合プラズマ質量分析装置(LA-ICP-MS)等が例示される。
(接続導体)
接続導体11は、内部電極10を1層おきに電気的に接続する。接続導体11の材質としては、これが積層型圧電素子100の表面に形成される場合には、導電性が高く、圧電素子の製造、輸送、他の部材への組付け及び使用等の各環境下で物理的及び化学的に安定なものであれば特に限定されない。一例として、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タングステン(W)、白金(Pt)、金(Au)、及びビスマス(Bi)、並びにこれらの合金等が挙げられる。他方、接続導体11が積層型圧電素子100の内部に、圧電セラミックス層40を貫通して形成される場合には、上述した内部電極10と同様に、銀の含有量が50質量%以上の金属とすることが好ましい。
(サイドマージン部及びカバー部)
サイドマージン部20及びカバー部30は、圧電セラミックス層40及び内部電極10を保護する保護部として機能する。
サイドマージン部20及びカバー部30は、積層型圧電素子100の焼成時の収縮率や、積層型圧電素子100内における内部応力の緩和等の観点から、圧電セラミックス層40と同様に、アルカリニオブ酸塩を主成分とする焼結体で形成されていることが好ましい。しかし、サイドマージン部20及びカバー部30を形成する材料は、高い絶縁性を有する材料であれば、アルカリニオブ酸塩を主成分とするものでなくともよい。
サイドマージン部20及びカバー部30が圧電セラミックス層40と同様のアルカリニオブ酸系焼結体で形成されている場合には、圧電セラミックス層40と同様に、銀を含むものであることが好ましい。これにより、サイドマージン部20及びカバー部30における高い電気抵抗が担保されるとともに、積層型圧電素子100における内部応力を抑制することができる。
(外部電極)
外部電極は、接続導体11と駆動回路とを電気的に接続する機能を有する。また、これが圧電セラミックス層40上に形成される場合には、これに電圧を印可する機能も有する。外部電極に要求される特性及び好ましい材質は、上述した、圧電セラミックス層の表面に設ける電極と同様である。
[圧電/誘電体セラミックス及び圧電素子の製造方法]
第1側面に係るセラミックスは、例えば、原料粉末を所定の割合で混合して原料混合粉末を得ること、該原料混合粉末を仮焼してペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩を主成分とする仮焼粉末を得ること、該仮焼粉末とアルカリ土類金属元素を含む粉末とを混合して成形用粉末を得ること、該成形用粉末を所定の形状に成形して成形体を得ること、並びに該成形体を焼成して焼成体を得ること、を経て製造することができる。
また、第2側面に係る圧電素子は、例えば、第1側面に係るセラミックスで形成されたセラミックス層の表面に、少なくとも1対の電極及び/又は接続導体を形成すること、並びに前記電極及び/又は接続導体間に高電圧を印可して分極処理を行うことを経て製造することができる。
以下、これらの製造方法における各処理操作について詳述する。
(原料混合粉末の作製)
まず、原料粉末を所定の割合で混合して原料混合粉末を得る。使用する原料粉末の一例としては、リチウム化合物としての炭酸リチウム(Li2CO3)、ナトリウム化合物としての炭酸ナトリウム(Na2CO3)及び炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、カリウム化合物としての炭酸カリウム(K2CO3)及び炭酸水素カリウム(KHCO3)、並びにニオブ化合物としての五酸化ニオブ(Nb25)が挙げられる。また、任意成分ではあるものの、よく使用される化合物としては、タンタル化合物としての五酸化タンタル(Ta25)、及びアンチモン化合物としての三酸化アンチモン(Sb23)等が挙げられる。
原料粉末を混合する方法は、不純物の混入を抑えつつ各粉末が均一に混合されるものであれば特に限定されず、乾式混合、湿式混合のいずれを採用してもよい。混合方法としてボールミルを用いた湿式混合を採用する場合には、例えば、部分安定化ジルコニア(PSZ)ボールを用い、エタノール等の有機溶媒を分散媒とするボールミルによって8~60時間程度撹拌した後、有機溶媒を揮発乾燥すればよい。
(仮焼粉末の作製)
次いで、原料混合粉末を仮焼し、仮焼粉末を得る。仮焼は、原料粉末同士が反応し、所定の組成を有するアルカリニオブ酸塩が得られる条件にて行う。一例として、大気中、700~1000℃の温度で、1~10時間焼成することが挙げられる。仮焼後の粉末は、そのままスラリーの調製に供してもよいが、これに先立ってボールミルやスタンプミル等によって解砕することが、後述するアルカリ土類金属化合物との混合性を高める点で、また積層型圧電素子を製造する場合に、均一なスラリーを経て平滑なグリーンシートが得られる点で、それぞれ好ましい。
なお、市販のアルカリニオブ酸塩粉末が利用できる場合は、前述した原料混合粉末の作製及び仮焼粉末の作製を行わず、この粉末に対して以後の操作を行ってもよい。
(成形用粉末の作製)
次いで、得られた仮焼粉末とアルカリ土類金属元素を含む粉末とを混合して成形用粉末を得る。アルカリ土類金属元素を含む粉末を、仮焼粉末に対して別途添加・混合することで、後述する焼成時にアルカリニオブ酸塩粒子の表面から内部へとアルカリ土類金属元素が拡散し、コアシェル粒子が得られやすくなる。アルカリ土類金属元素を含む粉末としては、炭酸カルシウム(CaCO3)、メタケイ酸カルシウム(CaSiO3)、オルトケイ酸カルシウム(Ca2SiO4)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)及び炭酸バリウム(BaCO3)等が例示される。
成形用粉末を作製する際には、アルカリ土類金属元素を含む粉末と共に、各種添加元素を含む粉末を混合してもよい。このような粉末としては、酸化銀(AgO)等の銀含有化合物、炭酸リチウム(Li2CO3)、フッ化リチウム(LiF)、メタケイ酸リチウム(Li2SiO3)、オルトケイ酸リチウム(Li4SiO4)及びマンガン酸リチウム等のリチウム含有化合物、炭酸マンガン(MnCO3)、一酸化マンガン(MnO)、二酸化マンガン(MnO2)、四三酸化マンガン(Mn34)、酢酸マンガン(Mn(OCOCH32)及びマンガン酸リチウム等のマンガン含有化合物、二酸化ケイ素(SiO2)、ケイ酸リチウム(Li2Si25)、メタケイ酸リチウム(Li2SiO3)、オルトケイ酸リチウム(Li4SiO4)メタケイ酸カルシウム(CaSiO3)及びオルトケイ酸カルシウム(Ca2SiO4)等のケイ素含有化合物、酸化ジルコニウム(ZrO2)等のジルコニウム含有化合物、並びにフッ化リチウム(LiF)等のフッ素含有化合物が例示される。また、添加元素としてフッ素を用いる場合には、前記各化合物の粉末をフッ化水素酸(HF)等のフッ化物イオンを含む溶液に接触させた後、乾燥したものを用いてもよい。
これらの添加元素のうち、Siについては、焼成時に、アルカリニオブ酸塩に含まれる元素又は別途添加した元素と反応して、Li2Si25、LiSiO、LiSiO、KNbSi、KNbSi、KLiSiO若しくはKLiSiO等の結晶相、又はこれらの元素を含む非結晶相を析出することで、アルカリ金属の揮発及び焼結粒子間への析出を抑制することができる点で有用である。
また、Siは、Liと併用することで焼結助剤としての機能も発現し、焼成温度を顕著に低下させる作用も有する。この場合のSi及びLiの添加量は、第1側面に係るセラミックスについて説明した範囲内とすることが好ましい。
成形用粉末を得るための混合方法は、不純物の混入を防ぎつつ各成分が均一に混合されるものであれば特に限定されない。一例として、ボールミル混合が挙げられる。
(成形体の作製)
次いで、得られた成形用粉末を所定の形状に成形して成形体を得る。成形方法としては、成形用粉末を一軸加圧成形する方法や、成形用粉末を含む坏土を押出成形する方法、及び成形用粉末を分散したスラリーを鋳込成形する方法等の、セラミックス粉末の成形に通常用いられる方法を採用することができる。
ここで、圧電素子を、図4及び図5に示す積層型圧電素子100とする場合には、成形方法として以下のものを採用できる。
まず、成形用粉末をバインダ等と混合し、スラリー又は坏土を形成する。
バインダとしては、後述するグリーンシートの形状を保持できると共に、焼成ないしこれに先立つバインダ除去処理により、炭素等を残存させることなく揮発するものを用いる。使用できるバインダの例としては、ポリビニルアルコール系、ポリビニルブチラール系、セルロース系、ウレタン系及び酢酸ビニル系のものが挙げられる。バインダの使用量も特に限定されないが、後工程で除去されるものであるため、所期の成形性・保形性が得られる範囲内で極力少なくすることが、原料コストを低減する点で好ましい。
成形用粉末のスラリーを作製する場合には、バインダに加えて分散媒を添加する。分散媒としては、仮焼粉末及びバインダの凝集を生じることがなく、後述するグリーンシート成形後に揮発等により容易に除去できるものを用いる。使用できる分散媒の例としては、水及びアルコール系溶媒等が挙げられる。
成形用粉末のスラリーには、分散剤、可塑剤及び増粘剤等のスラリーの性状を調節する成分をさらに添加してもよい。
次いで、得られたスラリー又は坏土をシート状に成形して、成形用粉末を含むグリーンシートを得る。シートの成形方法としては、ドクターブレード法、押出成形法等の慣用されている方法を採用できる。
次いで、成形用粉末を含むグリーンシート上に、焼成後に内部電極10となる電極パターンを形成する。電極パターンは慣用されている方法で形成すればよく、電極材料を含むペーストを印刷又は塗布する方法がコストの点で好ましい。印刷又は塗布により電極パターンを形成する際には、焼成後の圧電セラミックスへの付着強度を向上させるため、焼成後の圧電セラミックスと同様の組成及び結晶構造を有する粉末(共材)やガラスフリットをペースト中に含有させてもよい。
なお、図4及び図5に示すものとは異なる構造を有する積層型圧電素子として、圧電セラミックス層内を貫通するスルーホール(ビア)内に、内部電極同士を電気的に接続する接続導体を配置したものも挙げられる。こうした構造の積層型圧電素子を製造する場合には、電極パターンの形成に先立ち、得られたグリーンシートに、パンチングやレーザー光の照射等により貫通孔を形成すると共に、電極パターンの形成に前後して、該貫通孔に電極材料を充填する。充填方法は特に限定されないが、電極材料を含むペーストを印刷する方法が、コストの点で好ましい。
次いで、電極パターンを形成したグリーンシートを所定の枚数積層し、シート同士を接着して成形体を得る。積層及び接着は慣用されている方法で行えば良く、グリーンシート同士をバインダの作用で熱圧着する方法がコストの点で好ましい。
積層及び圧着に際しては、積層方向の両端部に、積層型圧電素子とした際にカバー部となる生シートを追加してもよい。この場合、追加する生シートは、前述の内部電極前駆体が配置された生シートと同一の組成であっても、これとは異なる組成であってもよい。焼成時の収縮率を揃える観点からは、追加する生シートの組成は、前述の内部電極前駆体が配置された生シートと同一又は類似の組成であることが好ましい。
なお、1つの成形体から複数のセラミックスを得る場合には、後述する焼成に先立って、成形体を幾つかのブロックに分割してもよい。
(成形体の焼成)
以上の手順で得られた成形体は、必要に応じてバインダが除去された後、焼成されて焼成体となる。これにより、圧電/誘電体セラミックスが生成する。このとき、成形体が内部に電極パターンを含まない場合には、焼成体自体が、圧電/誘電体セラミックス及びこれにより形成された圧電/誘電体セラミックス層となる。他方、成形体が内部に電極パターンを含む場合には、焼成体は、複数の圧電/誘電体セラミックス層とその層間に設けられた内部電極とを含むものとなる。焼成に先立ってバインダの除去を行う場合、バインダの除去と焼成とは同じ焼成装置を用いて連続して行ってもよい。バインダの除去及び焼成の条件は、バインダの揮発温度及び含有量、並びに成形用粉末の焼結性及び内部電極材料の耐久性等を考慮して適宜設定すればよい。バインダを除去する条件の例としては、大気雰囲気中、300~500℃の温度で1~5時間が挙げられる。焼成条件の例としては、大気雰囲気中、800℃~1100℃で1時間~5時間が挙げられる。
成形体の焼成時には、仮焼粉末を構成するアルカリニオブ酸塩の結晶粒子が焼結すると共に、仮焼粉末に混合したアルカリ土類金属元素を含む粉末からアルカリニオブ酸塩の結晶粒子中にアルカリ土類金属元素が拡散する。このとき、焼成条件を適切に制御することで、アルカリニオブ酸塩の結晶粒子の表面近傍のアルカリ土類金属元素濃度を内部(中心部)に比べて高くすることができる。このことにより、圧電素子やセラミックコンデンサとした際に、信頼性の高い素子となる圧電/誘電体セラミックスが得られる。
(電極及び/又は接続導体の形成)
次いで、得られた焼成体の表面に、電極及び/又は接続導体を形成する。電極及び/又は接続導体の形成には、電極材料を含むペーストを焼結体表面に塗布ないし印刷して焼き付ける方法や、焼結体表面に電極材料を蒸着する方法等の、慣用されている方法を採用できる。
(分極処理)
最後に、圧電/誘電体セラミックスの表面に形成された、電極及び/又は接続導体間に高電圧を印加して、セラミックス層の分極処理を行う。分極処理の条件は、焼成体に亀裂等の損傷を生じることなく、各焼結体層中の自発分極の向きを揃えられるものであれば特に限定されない。一例として、50℃~150℃の温度にて1kV/mm~6kV/mmの電界を印加することが挙げられる
[発音体]
本発明のさらに他の一側面に係る発音体(以下、単に「第3側面に係る発音体」と記載することがある。)は、第2側面に係る圧電素子と、これに接する振動体とを備える。その構造の例としては、図6に示すように、積層型圧電素子100が、振動体200に接着されたものが挙げられる。
振動体200の材質及び形状は、積層型圧電素子100の振動を受けることで音波を発するものであれば特に限定されない。一例として、金属箔、金属薄板等が挙げられる。
積層型圧電素子100と振動体200との接触態様も特に限定されず、有機接着剤やろう材を用いて接着する方法などが採用できる。
第3側面に係る発音体は、第2側面に係る圧電素子を備えるものであるため、高い信頼性を有する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は該実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[積層型圧電素子の製造]
ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩の粉末として、組成式Li0.064Na0.520.42NbO3で表される仮焼粉を準備した。この仮焼粉100モル%に対し、0.2モル%のBaCO3、0.65モル%のLi2CO3、1.3モル%のSiO2及び0.5モル%のMnO、並びにポリビニルブチラール系のバインダをそれぞれ添加して、湿式ボールミル混合した。得られた混合スラリーをドクターブレードにて成形し、生シートを得た。この生シート上に、Ag-Pd合金ペースト(Ag/Pd質量比=90/10)をスクリーン印刷し、電極パターンを形成した後、該生シートを20層、カバー層と同時に積層し、加熱しながら50MPa程度の圧力で加圧することで圧着して積層成形体を得た。この積層成形体を個片化した後、大気中で脱バインダ処理を行い、これに引き続いて大気中、930℃で2時間の焼成を行って、焼成体を得た。この焼成体の表面に、Agを含む導電性ペーストを、該表面に1層おきに露出した内部電極に対して接触するように塗布し、600℃まで昇温して焼き付けることで、一対の外部電極を形成した。最後に、100℃の恒温槽中で、前記一対の外部電極間に3.0kV/mmの電界を3分間印加して分極処理を行い、実施例1に係る積層型圧電素子を得た。この積層型圧電素子は、外形が3.2mm×1.6mm×0.4mmの直方体であった。また、上述した方法で決定した圧電セラミックス層の厚みは16μmであった。
[コアシェル粒子の有無の確認]
得られた積層型圧電素子について、圧電セラミックス層中に、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子が存在するか否かを、上述した方法で確認したところ、前記結晶粒子の存在が確認された。
[圧電セラミックス層における結晶粒子の粒度分布測定]
得られた積層型圧電素子中の圧電セラミックス層について、焼結粒子の粒度分布測定を、上述した方法で行ったところ、D50=2300nm、(D90―D10)/D50=2.5となった。
[電気的信頼性試験]
得られた積層型圧電素子の電気的信頼性を、平均駆動回数により評価した。積層型圧電素子を60℃の恒温槽内に配置し、外部電極間に、電界が0から6kV/mmの間で周期的に変動する三角波を、1kHzの周波数で印加して、外部電極間に流れる電流値が1mA以上となるまでに印加した三角波の数を、駆動回数として測定した。そして、この駆動回数の10個の素子についての平均値を、平均駆動回数とした。測定の結果得られた平均駆動回数は、600回であった。
[圧電特性の評価]
得られた積層型圧電素子の圧電特性を、変位量に基づく圧電定数d* 33により評価した。積層型圧電素子の変位量は、該素子に、100Hz程度で最大電界8kV/mmとなる単極性のサイン波形を打ち込み、レーザードップラー変位計を用いて測定した。得られた変位量を、積層型圧電素子の積層数、1層あたりの厚さ及び前記最大電界の積で割ることで、d* 33を算出した。得られたd* 33は、195pm/Vであった。
(比較例1)
[積層型圧電素子の製造]
仮焼粉に対してBaCO3の添加を行わなかったこと、及び積層成形体の焼成温度を1020℃としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る積層型圧電素子を製造した。
[コアシェル粒子の有無の確認]
得られた積層型圧電素子について、圧電セラミックス層中に、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子が存在するか否かを、実施例1と同様の方法で確認したところ、前記結晶粒子の存在は確認されなかった。
[圧電セラミックス層における焼結粒子の粒度分布測定]
得られた積層型圧電素子中の圧電セラミックス層について、焼結粒子の粒度分布測定を、実施例1と同様の方法で行ったところ、D50=6500nm、(D90―D10)/D50=3.1となった。
[電気的信頼性試験]
得られた積層型圧電素子の電気的信頼性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、初回駆動時から1mA以上の電流が流れ、平均駆動回数は0回となった。
[圧電特性の評価]
得られた積層型圧電素子の圧電特性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、d* 33は、180pm/Vであった。
(比較例2及び実施例2、3)
[積層型圧電素子の製造]
仮焼粉に対して添加するBaCO3の量を変更し、仮焼粉100モル%に対して0.5モル%としたこと、及び積層成形体の焼成温度を変更し、900℃(比較例2)、940℃(実施例2)及び980℃(実施例3)としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2、実施例2及び実施例3に係る積層型圧電素子をそれぞれ製造した。
[コアシェル粒子の有無の確認]
得られた各積層型圧電素子について、圧電セラミックス層中に、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子が存在するか否かを、実施例1と同様の方法で確認した。その結果、比較例2に係る積層型圧電素子については、前記結晶粒子の存在は確認されなかった。他方、実施例2及び実施例3に係る積層型圧電素子については、前記結晶粒子の存在が確認された。
[圧電セラミックス層における焼結粒子の粒度分布測定]
得られた各積層型圧電素子中の圧電セラミックス層について、焼結粒子の粒度分布測定を、実施例1と同様の方法で行った。その結果、比較例2に係る積層型圧電素子では、D50=350nm、(D90―D10)/D50=0.80となり、実施例2に係る積層型圧電素子では、D50=450nm、(D90―D10)/D50=0.95となり、実施例3に係る積層型圧電素子では、D50=580nm、(D90―D10)/D50=1.3となった。
[電気的信頼性試験]
得られた各積層型圧電素子の電気的信頼性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、比較例2に係る積層型圧電素子では、比較例1と同様に、初回駆動時から1mA以上の電流が流れ、平均駆動回数は0回となった。他方、実施例2及び実施例3に係る積層型圧電素子では、108回を超える平均駆動回数が得られた。
[圧電特性の評価]
得られた各積層型圧電素子の圧電特性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、比較例2ではd* 33=280pm/Vであり、実施例2ではd* 33=220pm/Vであり、実施例3ではd* 33=190pm/Vであった。
(実施例4)
[積層型圧電素子の製造]
仮焼粉に対して添加するBaCO3の量を変更し、仮焼粉100モル%に対して1.0モル%としたこと以外は実施例3と同様にして、実施例4に係る積層型圧電素子を製造した。
[表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子の有無の確認]
得られた積層型圧電素子について、圧電セラミックス層中に、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子が存在するか否かを、実施例1と同様の方法で確認したところ、前記結晶粒子の存在が確認された。
[圧電セラミックス層における焼結粒子の粒度分布測定]
得られた積層型圧電素子中の圧電セラミックス層について、焼結粒子の粒度分布測定を、実施例1と同様の方法で行ったところ、D50=430nm、(D90―D10)/D50=0.81となった。
[電気的信頼性試験]
得られた積層型圧電素子の電気的信頼性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、108回を超える平均駆動回数が得られた。
[圧電特性の評価]
得られた積層型圧電素子の圧電特性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、d 33は、210pm/Vであった。
(実施例5、6及び比較例3、4)
[積層型圧電素子の製造]
アルカリニオブ酸塩の仮焼粉に添加するアルカリ土類金属元素を含む化合物を、BaCO3から変更し、CaCO3(実施例5)及びSrCO3(比較例3)としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例5及び比較例3に係る積層型圧電素子をそれぞれ製造した。その結果、比較例3では、圧電セラミックス層の焼結が不十分となり、緻密な焼成体が得られなかったため、以後の評価は行わなかった。
比較例3の結果を受けて、Srを含む緻密な焼成体を得るために、焼成温度を1100℃に変更した以外は比較例3と同様にして、比較例4に係る積層型圧電素子の製造を試みた。しかしながら、焼成中に内部電極が溶融し、積層構造が保持できなかった。
比較例4で採用した焼成温度での内部電極の溶融を防ぐために、電極パターンの形成に用いるAg-Pd合金ペーストを、Ag/Pd質量比=70/30のものに変更した以外は比較例4と同様にして、実施例6に係る積層型圧電素子を製造した。
[コアシェル粒子の有無の確認]
実施例5及び実施例6に係る各積層型圧電素子について、圧電セラミックス層中に、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子が存在するか否かを、実施例1と同様の方法で確認したところ、いずれの素子についても前記結晶粒子の存在が確認された。
[圧電セラミックス層における焼結粒子の粒度分布測定]
得られた各積層型圧電素子中の圧電セラミックス層について、焼結粒子の粒度分布測定を、実施例1と同様の方法で行った。その結果、実施例5に係る積層型圧電素子では、D50=410nm、(D90―D10)/D50=0.90となり、実施例6に係る積層型圧電素子では、D50=490nm、(D90―D10)/D50=1.0となった。
[電気的信頼性試験]
得られた各積層型圧電素子の電気的信頼性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、いずれの素子についても、108回を超える平均駆動回数が得られた。
[圧電特性の評価]
得られた各積層型圧電素子の圧電特性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例5ではd* 33=210pm/Vであり、実施例6ではd* 33=215pm/Vであった。
(実施例7から9)
[積層型圧電素子の製造]
アルカリニオブ酸塩の仮焼粉に対し、さらにZrO2を添加し、その量を仮焼粉100モル%に対して0.2モル%(実施例7)及び0.5モル%(実施例8)とした以外は実施例2と同様にして、実施例7及び実施例8に係る積層型圧電素子をそれぞれ製造した。また、ZrO2の添加量を、仮焼粉100モル%に対して1.0モル%に変更するとともに、焼成温度を980℃に変更した以外は実施例7と同様にして、実施例9に係る積層型圧電素子を製造した。
[コアシェル粒子の有無の確認]
得られた各積層型圧電素子について、圧電セラミックス層中に、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子が存在するか否かを、実施例1と同様の方法で確認したところ、いずれの素子についても前記結晶粒子の存在が確認された。
[圧電セラミックス層における焼結粒子の粒度分布測定]
得られた各積層型圧電素子中の圧電セラミックス層について、焼結粒子の粒度分布測定を、実施例1と同様の方法で行った。その結果、実施例7に係る積層型圧電素子では、D50=560nm、(D90―D10)/D50=1.2となり、実施例8に係る積層型圧電素子では、D50=650nm、(D90―D10)/D50=1.3となり、実施例9に係る積層型圧電素子では、D50=910nm、(D90―D10)/D50=1.9となった。
[電気的信頼性試験]
得られた各積層型圧電素子の電気的信頼性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例7に係る積層型圧電素子では、108回を超える平均駆動回数が得られ、実施例8に係る積層型圧電素子では、平均駆動回数が4.5×106回となり、実施例9に係る積層型圧電素子では、平均駆動回数が2.0×104回となった。
[圧電特性の評価]
得られた各積層型圧電素子の圧電特性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例7ではd* 33=225pm/Vであり、実施例8ではd* 33=230pm/Vであり、実施例9ではd* 33=234pm/Vであった。
(実施例10、11)
[積層型圧電素子の製造]
仮焼粉に対して添加するLi2CO3及びSiO2の量を変更し、仮焼粉100モル%に対して0.4モル%のLi2CO3及び0.8モル%のSiO2とした以外は実施例2と同様にして、実施例10に係る積層型圧電素子を製造した。また、仮焼粉に対して添加するLi2CO3及びSiO2の量を変更し、仮焼粉100モル%に対して1.5モル%のLi2CO3及び3.0モル%のSiO2としたこと、並びに積層成形体の焼成温度を変更し、930℃としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例11に係る積層型圧電素子を製造した。
[コアシェル粒子の有無の確認]
得られた各積層型圧電素子について、圧電セラミックス層中に、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子が存在するか否かを、実施例1と同様の方法で確認したところ、いずれの素子についても前記結晶粒子の存在が確認された。
[圧電セラミックス層における焼結粒子の粒度分布測定]
得られた各積層型圧電素子中の圧電セラミックス層について、焼結粒子の粒度分布測定を、実施例1と同様の方法で行った。その結果、実施例10に係る積層型圧電素子では、D50=750nm、(D90―D10)/D50=1.4となり、実施例11に係る積層型圧電素子では、D50=380nm、(D90―D10)/D50=0.90となった。
[電気的信頼性試験]
得られた各積層型圧電素子の電気的信頼性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例10に係る積層型圧電素子では、平均駆動回数が3.1×105回となり、実施例11に係る積層型圧電素子では、108回を超える平均駆動回数が得られた。
[圧電特性の評価]
得られた各積層型圧電素子の圧電特性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例10ではd* 33=225pm/Vであり、実施例11ではd* 33=175pm/Vであった。
(実施例12、13)
[積層型圧電素子の製造]
仮焼粉に対して添加するMnOの量を変更し、仮焼粉100モル%に対して0.2モル%(実施例12)及び2.0モル%(実施例13)とした以外は実施例2と同様にして、実施例12及び実施例13に係る積層型圧電素子をそれぞれ製造した。
[コアシェル粒子の有無の確認]
得られた各積層型圧電素子について、圧電セラミックス層中に、表層部におけるアルカリ土類金属の比率が中心部よりも高い結晶粒子が存在するか否かを、実施例1と同様の方法で確認したところ、いずれの素子についても前記結晶粒子の存在が確認された。
[圧電セラミックス層における焼結粒子の粒度分布測定]
得られた各積層型圧電素子中の圧電セラミックス層について、焼結粒子の粒度分布測定を、実施例1と同様の方法で行った。その結果、実施例12に係る積層型圧電素子では、D50=510nm、(D90―D10)/D50=1.1となり、実施例13に係る積層型圧電素子では、D50=410nm、(D90―D10)/D50=0.80となった。
[電気的信頼性試験]
得られた各積層型圧電素子の電気的信頼性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例12に係る積層型圧電素子では、平均駆動回数が8.1×106回となり、実施例13に係る積層型圧電素子では、108回を超える平均駆動回数が得られた。
[圧電特性の評価]
得られた各積層型圧電素子の圧電特性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例12ではd* 33=230pm/Vであり、実施例13ではd* 33=190pm/Vであった。
ここまで説明した実施例1から13及び比較例1から4について、圧電セラミックス層の組成、内部電極の組成及び焼成温度を表1に示す。また、実施例1から13及び比較例1、2について、特性確認結果を表2に示す。
Figure 2023090233000002
Figure 2023090233000003
実施例と比較例との対比から、圧電セラミックス層が、ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩を主成分とし、アルカリ土類金属元素を含有する結晶粒子で構成され、前記結晶粒子の少なくとも1つが、表面から中心部方向への距離が該粒子の直径の5%にある位置において、含有するニオブのモル数に対するアルカリ土類金属元素の合計モル数の比率が、前記中心部より高いものである圧電/誘電体セラミックスで構成された圧電素子は、圧電セラミックス層の厚みが25μm以下と薄い場合でも、電気的信頼性の高いものとなることが分かる。なお、比較例2では、実施例と同様に、積層型圧電素子の製造時に、仮焼粉に対してアルカリ土類金属元素を含む化合物を添加しているにもかかわらず、圧電セラミックス層が、表面から中心部方向への距離が該粒子の直径の5%にある位置において、含有するニオブのモル数に対するアルカリ土類金属元素の合計モル数の比率が、前記中心部より高い結晶粒子を含まないものとなった。これは、焼成温度が900℃と低温であったため、結晶粒子中へのアルカリ土類金属元素の拡散が起こりにくく、表面から中心部方向への距離が該粒子の直径の5%にある位置までアルカリ土類金属元素が到達しなかったためと推定される。
また、実施例2、5、6及び比較例3、4の結果からは、結晶粒子がアルカリ土類金属元素としてカルシウム又はバリウムの少なくともいずれかを含む場合には、より低い焼成温度で緻密な圧電セラミックス層が得られるため、積層型圧電素子の内部電極として銀の含有割合のより高い金属が使用可能となることが分かる。
また、実施例2と実施例7、8との対比、及び実施例3と実施例9との対比から、結晶粒子がジルコニウムを含む場合には、圧電特性により優れた積層型圧電素子が得られることが分かる。
また、実施例2、10、11の結果からは、仮焼粉に対するLi2CO3及びSiO2の添加量を増すことで、焼成温度のさらなる低温化と電気的信頼性のさらなる向上が可能になることが分かる。これは、Li及びSiを含む電気的絶縁性の高い化合物の生成と、焼成温度の低温化による焼結粒子の微細化とが相俟って、圧電セラミックス層の電気的絶縁性が向上したことによるものと推定される。
さらに、実施例2、12、13の結果からは、仮焼粉に対するMnOの添加量を増すことで、電気的信頼性をさらに高めることができるといえる。これは、Mnが焼結体層中で電気抵抗の高い酸化物を生成することで、圧電セラミックス層の電気抵抗を向上させたことによると推定される。
(実施例14から16、比較例5)
実施例14から16及び比較例5では、積層型圧電素子を備える発音体を製造し、その周波数特性を確認した。
[積層型圧電素子の製造]
生シートの積層数を変更し、7層としたこと、素子の形状を変更し、積層方向に垂直な面を1辺が7mmの正方形としたこと、及び圧電セラミックス層の厚みを16μmから変更し、25μm(実施例14)、11μm(実施例15)及び6.8μm(実施例16)としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例14、実施例15及び実施例16に係る積層型圧電素子をそれぞれ製造した。他方、0.80Pb(Zr0.49Ti0.51)O3-0.05Pb(Ni1/3Nb2/3)O3-0.15Pb(Zn1/3Nb2/3)O3の組成を有する、厚み34μmの圧電セラミックス層を5層積層した、積層方向に垂直な面が1辺7mmの正方形である積層型圧電素子を比較例5に係る積層型圧電素子として準備した。各積層型圧電素子における、圧電セラミックス層の組成、内部電極の組成、焼成温度、圧電セラミックス層の厚み及び積層数を、表3にまとめて示す。
Figure 2023090233000004
[発音体の製造]
得られた各積層型圧電素子を、直径12mm、厚み100μmのステンレス箔(SUS304製)の中央部に、樹脂製ボンドにて貼付けて、実施例14、実施例15、実施例16及び比較例5に係る発音体をそれぞれ製造した。
[発音体の周波数特性]
得られた各発音体について、駆動周波数と音圧との関係を測定した。まず、集音マイクを、発音体から1cmの距離に、ステンレス箔に対して垂直になるように設置した。次いで、発音体を構成する圧電素子に対して、電圧5mVの正弦波を、1kHzから20kHzまでの各周波数で印加し、集音マイクで検出される各周波数での音圧を測定した。得られた結果を図7に示す。
図7からは、実施例に係る各発音体では、積層型圧電素子の1層の厚みが薄くなり、素子全体の厚みが薄くなるほど、共振周波数が低下することが分かる。1層の厚みが6.8μmの実施例16に係る発音体では、周波数に対する音圧の変化が比較例5とほぼ一致した。このことは、圧電セラミックス層が第1側面に係るセラミックスで構成された圧電素子は、PZT系のセラミックスで構成されたものよりも1層の厚み及び素子全体の厚みが共に薄い状態で、PZT系のものと同等の性能を有する発音体を構成可能であることを意味する。したがって、第3側面に係る発音体では、圧電セラミックス層を構成する材料の使用量を削減することで、材料コストの低減が可能となる。また、第3側面に係る発音体では、圧電素子全体の厚みを抑えることができるため、薄型化及び/又は小型化の点でも有利である。
本発明によれば、信頼性の高い圧電素子及び/又はセラミックコンデンサを得ることが可能で、簡便な方法にて製造できるアルカリニオブ酸系の圧電/誘電体セラミックスを提供することができる。このようなセラミックスによれば、連続駆動した際に電気的絶縁性が低下しにくい圧電素子及び/又はセラミックコンデンサが得られる点で有用である。また、前記セラミックスは、構成成分に鉛を含まないために、そのライフサイクルにおいて環境への負荷を低減できる点で有用である。さらに、本発明の好ましい態様によれば、セラミックスが低温で焼成可能となるため、圧電素子及び/又はセラミックコンデンサの製造コストが低減できる点でも有用である。特に、積層型の圧電素子及び/又はセラミックコンデンサでは、銀の含有割合の高い内部電極を用いることができるため、製造コストの低減効果が顕著である。
100 積層型圧電素子
10 内部電極
11 接続導体
20 サイドマージン部
30 カバー部
40 圧電セラミックス層
41 結晶粒子
42 副結晶粒子
43 ガラス相
44 空隙
200 振動体
L 結晶粒子の直径
M 中心部

Claims (17)

  1. ペロブスカイト型構造を有するアルカリニオブ酸塩を主成分とし、アルカリ土類金属元素を含有する結晶粒子で構成され、
    前記結晶粒子の少なくとも1つが、表面から中心部方向への距離が該粒子の直径の5%にある位置において、含有するニオブのモル数に対するアルカリ土類金属元素の合計モル数の比率が、前記中心部より高いものである
    圧電/誘電体セラミックス。
  2. 前記アルカリ土類金属元素が、カルシウム又はバリウムの少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  3. 前記アルカリニオブ酸塩がさらに銀を含有する、請求項1又は2に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  4. 前記アルカリニオブ酸塩がさらにジルコニウムを含有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  5. 前記アルカリニオブ酸塩が、以下の組成式(1)で表される、請求項1から4のいずれか1項に記載の圧電/誘電体セラミックス。

    (AgtM2u(K1-v-wNavLiw1-t-ua
    (SbxTayNb1-x-y-zZrz)O3…(1)

    (組成式(1)中、M2はアルカリ土類金属元素を示す。また、t,u,v,w,x,y,z,aは、0≦t≦0.05、0.002≦u<0.02、0.007<t+u<0.07、0≦v≦1、0.02<w≦0.1、0.02<v+w≦1、0≦x≦0.1、0≦y≦0.4、0≦z≦0.02、0.99≦a≦1.1で表される各不等式を満たす数値である。)
  6. 前記結晶粒子に加えてリチウム含有相をさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  7. 前記リチウム含有相中のLiの量が、アルカリニオブ酸塩に対して0.1モル%以上3.0モル%以下である、請求項6に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  8. 前記アルカリニオブ酸塩の構成元素以外にさらにSiを含み、アルカリニオブ酸塩に対するSiの含有量が、0.1モル%以上3.0モル%以下である、請求項6又は7に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  9. 前記結晶粒子及び前記リチウム含有相に加えて、アルカリ金属元素、ケイ素及び酸素を含有する相、又はアルカリ金属元素、ニオブ、ケイ素及び酸素を含有する相をさらに含む、請求項8に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  10. 前記アルカリニオブ酸塩の構成元素以外にさらにMnを含み、アルカリニオブ酸塩に対するMnの含有量が2.0モル%以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  11. 前記結晶粒子に加えてマンガン含有酸化物をさらに含む、請求項10に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  12. 前記アルカリニオブ酸塩の構成元素以外にさらにフッ素を含み、その含有量が、質量基準で100ppm以上1000ppm未満である、請求項1から11のいずれか1項に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  13. 前記結晶粒子が、累積頻度で表示した粒度分布における10%径をD10、50%径をD50、90%径をD90としたときに、
    100nm≦D50≦800nm及び
    (D90-D10)/D50≦2.0
    を満たす、請求項1から12のいずれか1項に記載の圧電/誘電体セラミックス。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の圧電/誘電体セラミックスで構成され、厚さが1μm以上25μm以下である圧電セラミックス層と、
    前記圧電セラミックス層の表面に設けられた少なくとも1対の電極と
    を備える圧電素子。
  15. 前記圧電/誘電体セラミックスが、アルカリ土類金属元素として、カルシウム及びバリウムから選択される少なくとも一種を含み、
    前記圧電セラミックス層を複数備えると共に、
    前記複数の圧電セラミックス層間に配置され、銀の含有量が80質量%以上である金属で形成された内部電極を備える、
    請求項14に記載の圧電素子。
  16. 前記圧電セラミックス層及び/又は前記内部電極を被覆する保護部をさらに備える、請求項15に記載の圧電素子。
  17. 請求項14から16のいずれか1項に記載の圧電素子と、該圧電素子に接する振動体とを備える発音体。
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