JP6798207B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、及び非水系電解質二次電池 - Google Patents

非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、及び非水系電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、及び非水系電解質二次電池に関する。
近年、携帯電話やノート型パソコン等の携帯機器の普及にともない、高いエネルギー密度を有する小型かつ軽量な二次電池の開発が強く望まれている。また、XEVと呼ばれる環境対応自動車においても高容量化が求められており、高容量の二次電池の需要は、今後、大幅に増加することが予想されている。さらに、環境対応自動車における1回の充電当たりの走行距離の向上や小型化の必要性が増し、更なる高容量化が求められている。
このような高容量の二次電池として、非水系電解質二次電池がある。非水系電解質二次電池の代表的な電池としてはリチウムイオン二次電池があり、リチウムイオン二次電池の正極材料には、リチウム金属複合酸化物が正極活物質として使用される。リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)は、合成が比較的容易であり、かつ、リチウムコバルト複合酸化物を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池において、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する二次電池を実用化させるための材料として実用化されている。
しかしながら、リチウムコバルト複合酸化物は、高容量化の要求に十分に対応できているとは言い難く、より高容量の代替材料が検討されている。リチウムコバルト複合酸化物に代替できる正極活物質の中でも、近年、高容量であり、また、高価なコバルト含有量が少ないため、コスト的にも有利であるリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)が注目されている。
しかしながら、リチウムニッケル複合酸化物は、充電の際に結晶構造が崩れ、発熱や酸素放出が起こりやすく熱安定性が低いという問題がある。また、非水系電解質二次電池は、電解液として有機溶媒が用いられており、過度に発熱すると有機溶媒と反応してさらに発熱しやすくなるという問題があり、リチウムニッケル複合酸化物への添加元素や電池自体の改良で、これらの問題を防止している。このため、高容量で、コスト的にも安価であるというリチウムニッケル複合酸化物の長所が十分に活用されているとは言えない。
このような課題を解決するために、例えば、特許文献1には、化学組成式がA4−xB(POを主成分とする二次電池用正極材料であって、Aはアルカリ金属から選ばれる少なくとも一種類の元素であり、Bは2価以上の多価イオンとなりうる遷移金属から選ばれる少なくとも一種類の元素であり、xは0≦x≦4の範囲にある化合物を主成分とする二次電池用正極材料が提案されている。この提案によれば、高い安全性をもつリン酸骨格構造と、二次元以上のリチウム拡散ネットワークと、1電子反応以上の高い電気容量をあわせ持つ正極材料を提供することができるとしている。
また、特許文献2では、一般式:Li(Ni1−yCo1−z(0.98≦x≦1.1、0.05≦y≦0.4、0.01≦z≦0.2、MはAl、Mn、Ti及びMgから成る群から選択される一種又は二種以上)で示される組成のニッケル酸リチウムであり、少なくともSOCが50%の状態において、(1)a軸が2.8Å以上、(2)格子体積が99.6Å3以上、(3)Ni−O結合距離が1.8Å以上、(4)Ni−Ni結合距離が2.8Å以上、(5)Ni−Oのデバイ−ワーラー因子が0.065以上、及び(6)Ni−Niのデバイ−ワーラー因子が0.066以下、のうちの少なくとも一つの構造上の特性を有する正極活物質が提案されている。この提案によれば、構造安定性(熱安定性)に優れ、高い放電容量(高エネルギー密度)の正極活物質を提供することができるとしている。
国際公開WO2012/164751号 特開2005−332713号公報
しかしながら、特許文献1で開示されている正極材料は、ポリアニオン型の正極活物質であり、高い電気容量が期待されるものの、現実的に充放電可能な電気容量は少ないものとなっており、高容量の正極活物質とは言い難い。一方、特許文献2で開示されている正極活物質は、要求されている高容量化が十分に達成されているとは言い難く、高い熱安定性と更なる高容量化が要求されている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、非水系電解質二次電池の正極活物質として用いられた際に高容量の実現が可能で、かつ、熱安定性の高い非水系電解質二次電池用正極活物質を提供することの可能な、新規かつ改良された非水系電解質二次電池用正極活物質、非水系電解質二次電池、及び非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、一次粒子が凝集して形成した二次粒子から構成されたリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、リチウムと、金属元素と、添加元素とを含み、リチウム金属複合酸化物は、層状岩塩型構造の結晶構造を有し、金属元素としてニッケルを含み、該ニッケルの含有量が金属元素及び添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、かつ、添加元素は、少なくともホウ素であり、該ホウ素の含有量は、金属元素及び添加元素の合計に対して1.0原子%を超え6.0原子%以下であり、さらに、二次粒子の空隙率が8%以上20%以下であり、示差走査熱量計を用いて、熱安定性評価として温度に対する電池の発熱特性を測定した際の発熱ピークの半値幅が、20℃以上であることを特徴とする。
また、本発明の他の態様は、上述した非水系電解質二次電池用正極活物質を含む正極を備えることを特徴とする非水系電解質二次電池である。
また、本発明の他の態様は、リチウムと、金属元素と、添加元素とを含み、金属元素としてニッケルの含有量が金属元素及び添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、かつ、添加元素としてホウ素の含有量は、金属元素及び添加元素の合計に対して1.0原子%を超え6.0原子%以下であるリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、少なくともニッケル塩を含む金属元素塩と前記添加元素としてのホウ素の化合物を含む混合水溶液と、アンモニウムイオンを含む水溶液を混合して反応溶液とし、反応溶液の液温25℃基準のpH値が11.0〜12.5の範囲となるようにアルカリ性水溶液を用いて制御し、その際に、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を反応溶液の液中に供給してニッケル複合水酸化物の粒子を成長させる工程を含む晶析工程と、晶析した前記ニッケル複合水酸化物を洗浄した後、乾燥する乾燥工程と、乾燥後の前記ニッケル複合水酸化物とリチウム化合物を混合して得た混合物を酸素雰囲気下で焼成してリチウム金属複合酸化物を得る焼成工程とを含み、晶析工程において、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の供給位置は、垂直方向においては、反応溶液中の撹拌翼の最深部から、撹拌翼の最深部と反応溶液の液面との距離の3分の1の位置までの間とし、水平方向においては、撹拌翼の最外周と中心の中間位置から撹拌翼の最外周までの間とすることを特徴とする。また、本発明の他の態様は、リチウムと、金属元素と、添加元素とを含み、金属元素としてニッケルの含有量が金属元素及び添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、かつ、添加元素としてホウ素の含有量は、金属元素及び添加元素の合計に対して1.0原子%を超え6.0原子%以下であるリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、少なくともニッケル塩を含む金属元素塩と添加元素としてのホウ素の化合物を含む混合水溶液と、アンモニウムイオンを含む水溶液を混合して反応溶液とし、反応溶液の液温25℃基準のpH値が11.0〜12.5の範囲となるようにアルカリ性水溶液を用いて制御し、その際に、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を反応溶液の液中に供給してニッケル複合水酸化物の粒子を成長させる工程を含む晶析工程と、晶析したニッケル複合水酸化物を洗浄した後、乾燥する乾燥工程と、乾燥後のニッケル複合水酸化物とリチウム化合物を混合して得た混合物を酸素雰囲気下で焼成して前記リチウム金属複合酸化物を得る焼成工程と、を含み、晶析工程において、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の供給位置は、反応溶液の液面の外周から、液面の外周と中心との距離の3分の1の位置までの間の液面に供給することを特徴とする。
以上説明したように本発明によれば、高容量の実現が可能で、かつ、熱安定性の高い非水系電解質二次電池用正極活物質が得られる。また、当該正極活物質を含む正極を備える非水系電解質二次電池は、高容量で、高温での安定性にも優れたものとなる。
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法の概略を示すフロー図である。 (A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法において、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の供給位置を説明するための図である。 (A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池の構成図である。 本発明の実施例および比較例におけるDSC測定結果である。 実施例1の正極活物質の前駆体の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1の正極活物質の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1の正極活物質の前駆体の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1の正極活物質の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
本発明者らは、非水系電解質二次電池用正極活物質の高容量化と熱安定性の向上について鋭意検討した結果、添加元素として1.0原子%を超えるホウ素を含有させることで、高容量と高い熱安定の両立が可能との知見を得て、本発明を完成した。以下、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の成分や構成、及びその製造方法について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.非水系電解質二次電池用正極活物質
2.非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
2−1.晶析工程
2−2.乾燥工程
2−3.焼成工程
3.非水系電解質二次電池
<1.非水系電解質二次電池用正極活物質>
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質は、一次粒子が凝集して形成した二次粒子から構成され、リチウムと、金属元素と、添加元素とを含むリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質である。本実施形態では、リチウム金属複合酸化物は、層状岩塩型構造の結晶構造を有し、金属元素としてニッケルを含み、ニッケルの含有量が金属元素及び添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、かつ、添加元素は、少なくともホウ素であり、ホウ素の含有量は、金属元素及び添加元素の合計に対して1.0原子%を超え6.0原子%以下であり、さらに、二次粒子の空隙率が8%以上20%以下であることを特徴とする。
非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、単に「正極活物質」ということがある。)を構成するリチウム金属複合酸化物は、一次粒子が凝集して形成した二次粒子から構成され、層状岩塩型構造の結晶構造を有し、金属元素としてニッケルを含み、ニッケルの含有量が金属元素及び添加元素の合計に対して60〜90原子%である。このような層状岩塩型構造の結晶構造を有し、高いニッケル含有量のリチウム金属複合酸化物は、非水系電解質二次電池(以下、単に「電池」ということがある。)に用いられた際に高い充放電容量(以下、「電池容量」ということがある。)を実現できる。一方で、結晶構造の安定性が高くないため、ある温度で結晶構造が不安定になり急激な発熱が起こりやすい。
本発明の一実施形態に係る正極活物質は、添加元素として前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して1.0原子%を超え6.0原子%以下のホウ素を含むものである。
高いニッケル含有量のリチウム金属複合酸化物は、1.0原子%を超えるホウ素を添加することで、結晶構造の安定性を向上させ、例えば、結晶構造が不安定になりやすい充電状態で温度が上昇した際においても、活物質自体の発熱が起きる温度帯が広がり特定の温度での急激な発熱が生じず、熱安定性が向上する。6.0原子%を超えるホウ素を添加すると、電池容量が低下する。熱安定性と電池容量を高い次元で両立させるためには、ホウ素の含有量を1.2原子%以上5原子%以下とすることが好ましく、1.5原子%以上3原子%以下とすることがより好ましい。
なお、金属元素及び添加元素は上述した元素以外の元素をさらに含んでいてもよい、例えば、Co、Mn、Al、Mg、Si、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Ca、V、Zr、Nb、Mo、Wから選択される少なくとも1種の元素を用いることができる。
また、リチウム金属複合酸化物の一次粒子は、ホウ素添加により構造が安定な結晶面の成長が優先されて成長するため、顕著な板状粒子が形成される。このため、リチウム金属複合酸化物は、結晶構造が安定化したものとなり、高い熱安定性が得られる。
さらに、二次粒子の空隙率が8%以上20%以下、好ましくは8%以上15%以下(以下、特に記載がない場合、数値範囲は「下限値以上、上限値以下」を意味する。)である。一次粒子は、顕著な板状粒子であるため、一次粒子が凝集して形成された二次粒子は、空隙に富む構造となる。空隙率が8%以上であることにより、二次粒子内部まで電解液が十分に浸透するため、リチウムとリチウム金属複合酸化物の間の移動が促進され、移動の抵抗等による電池容量の損失が抑制され、リチウム金属複合酸化物が本来有する電池容量が十分に発揮される。このため、通常はホウ素添加によって電池容量が減少するが、本発明においては高い電池容量が維持され、高い熱安定性と両立することが可能となる。
ここで、正極活物質の内部の空隙率は、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ということがある。)によって観察される画像(SEM像)を解析することにより求めることができる。たとえば、正極活物質粒子(二次粒子)を樹脂などに埋め込み、クロスセクションポリッシャ加工などにより断面観察が可能な状態でSEM像を撮影し、WinRoof6.1.1(商品名)などの画像解析ソフトを用いて、空隙を黒色部として検出し、二次粒子の全体の断面積に対する黒色部の面積の割合を算出することにより求めることができる。
前記リチウム金属複合酸化物は、平均粒径が5〜20μmであることが好ましい。この平均粒径を上記範囲とすることで、電池容量を維持しながら正極活物質の充填性を向上させ、電池の正極に用いた際により高い体積エネルギー密度が得られる。ここで、平均粒径は、D50であり、各粒径における粒子数を粒径の小さい側から累積し、その累積体積が全粒子の合計体積の50%となる粒径を意味し、レーザー光回折散乱式粒度分析計を用いて測定することができる。
また、金属元素としてコバルトを含むことによって、リチウム金属複合酸化物の構造が安定化し、熱安定性がより向上する。電池容量と熱安定性を高い次元で両立させる観点から、コバルトの含有量は、リチウム金属複合酸化物に含まれる金属元素と添加元素の合計に対して3〜20原子%であることが好ましい。ニッケル酸リチウム等のリチウム金属複合酸化物は、エネルギー密度が高いが、熱安定性が高いとは言えないため、本実施形態では、コバルトを加えることによって、結晶構造を安定化させ、熱安定性を向上させている。
さらに、正極活物質は、示差走査熱量計(以下、「DSC」ということがある。)を用いて、熱安定性評価として温度に対する電池の発熱特性を測定した際の発熱ピークの半値幅が、20℃以上であることが好ましい。発熱ピークの半値幅が狭いことは急激な発熱が生じることを示し、半値幅が広いことは、急激な発熱が起こりにくく、結晶構造が安定していることを示す。
DSCによる熱安定性評価は、例えば、電池特性評価後の2032型コイン電池から正極活物質を採取し、洗浄して乾燥させたものを、DSCを用いて測定することで行うことができる。
本発明の一実施形態に係る正極活物質は、高いニッケル含有量のリチウム金属複合酸化物が有する高い電池容量の低下を抑制し、かつ熱安定性を向上させることにより、電池容量と熱安定性を高い次元で両立させたものであり、非水系電解質二次電池、例えば、2032型コイン電池の正極活物質として用いた際の初期放電容量が195mAh/g以上であり、電池の高容量化が可能となる。
このように、本発明の一実施形態に係る正極活物質は、上述したように、添加元素により高い電池容量と熱安定性を両立させるものであり、その他の粉体特性は、一般的な非水系電解質二次電池用正極活物質の特性を適用することができる。
<2.非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法>
図1は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法の概略を示すフロー図である。本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、リチウムと、金属元素及び添加元素を含むリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。本実施形態の正極活物質の製造方法では、図1に示すように、晶析工程S11と、乾燥工程S12と、焼成工程S13とを有する。以下、各工程について詳細に説明する。
(2−1.晶析工程)
晶析工程S11は、少なくともニッケル塩を含む金属元素塩及び添加元素の化合物を含む混合水溶液と、アンモニウムイオンを含む水溶液を混合して反応溶液とし、反応水溶液の液温25℃基準のpH値が11.0〜12.5の範囲となるようにアルカリ性水溶液を用いて制御してニッケル複合水酸化物を成長させる工程を含むものである。晶析工程S11によって、リチウム金属複合酸化物の前駆体となるニッケル複合水酸化物(以下、単に「複合水酸化物」ということがある。)が得られる。
本発明の一実施形態に係る正極活物質は、添加元素が3bサイトのニッケル原子と置換しているものであるため、複合水酸化物の状態において、添加元素が複合水酸化物に固溶、又は複合水酸化物の粒子内に分散した状態として均一に含有させることが好ましい。このため、晶析工程S11において、添加元素を金属塩から生成される水酸化物と共沈殿させることが好ましい。本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質では、添加元素として少なくともホウ素の化合物を用いる。ホウ素の化合物としては、例えば、ホウ酸が好ましい。
複合水酸化物の組成は、得られる正極活物質に継承される。従って、複合水酸化物を晶析する際に用いる混合水溶液中の金属元素塩及び添加元素の組成を、得ようとする正極活物質と同様にする。複合水酸化物の組成によっては、混合すると混合液中で反応して固体を生成する場合がある。このような場合は、個別に金属元素塩及び添加元素を含む水溶液を供給し、反応液中での組成が複合水酸化物の組成となるようにすればよい。なお、晶析した水酸化物に複合水酸化物を構成する金属塩を被覆して組成を調整する場合には、被覆する金属塩に相当する量を混合水溶液から差し引いて調整すればよい。
混合水溶液中の金属元素及び添加元素の合計の濃度は、1.5〜2.5mol/Lとすることが好ましい。これにより、混合水溶液中での金属元素塩や添加元素の化合物の析出を防止して組成の均一な複合水酸化物を得ることができる。また、粒径を十分に成長させて高い充填性が得られると共に粒径を安定させることができる。
反応水溶液は、液温25℃基準のpH値が11.0〜12.5の範囲となるように制御される。これにより、複合水酸化物の粒径を適度な大きさに成長させることができ、得られる正極活物質の充填性を向上させることができる。pH値が11未満、又は12.5を超えると、複合水酸化物の粒径が小さくなり過ぎて正極活物質の充填性が低下したり、組成が不安定になることがあり、添加元素が共沈殿しない場合があるので好ましくない。
反応水溶液の温度は、45〜55℃の範囲で一定、例えば、温度の上下限を5℃以内に制御することが好ましい。これにより、複合水酸化物の粒径制御が容易になる。反応水溶液の温度が上記温度範囲外では、組成が不安定になることや、酸化が進行しやすくなることがある。また、45℃未満では、粒径が大きくなり過ぎることがあり、55℃を超えると粒径が小さくなり過ぎることがある。このため、本実施形態では、反応水溶液の温度をかかる温度範囲となるように制御している。
反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度は、5〜25mg/Lとすることが好ましく、5〜15mg/Lとすることがより好ましい。これにより、pH値の変動による粒径変動を抑制して粒径制御を容易にすることができる。また、複合水酸化物の球形度を向上させることができ、正極活物質の充填性を向上させることができる。
晶析工程S11においては、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を、直接反応溶液の液中に供給する。例えば供給管を反応溶液中に挿入してアルカリ性水溶液を反応溶液に供給する。これにより局部的なpH値やアンモニウムイオン濃度の変動が抑制され、ホウ素の分布が均一になるとともに粒子の成長が安定化する。これにより、ホウ素の添加による複合水酸化物の一次粒子の板状化が促進され、複合水酸化物を前駆体として得た正極活物質も板状粒子が発達した粒子構造とすることができる。
図2(A)は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法において、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の(例えば供給管13からの)供給位置Pの一態様を説明するための図である。局所的な高濃度部をできるだけ生じないようにするためには、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の供給位置Pは、垂直方向においては、反応溶液中の撹拌翼11の最深部Dから、撹拌翼11の最深部Dと反応溶液の液面Dとの距離Lの3分の1の位置Dまでの間(すなわち図2(A)におけるDからDまでの間)とし、水平方向においては、撹拌翼11の最外周Bと中心Cの中間位置Bから撹拌翼11の最外周Bまでの間(すなわち図2(A)におけるBからBまでの間)とすることが好ましい。これにより、反応溶液の流速の早い撹拌翼11近傍の中で最も流速の早い位置にアンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を供給することが可能であり、局所的な高濃度領域の形成を抑制して良好な複合水酸化物を得ることができる。
また、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を、反応溶液の流速の早い液面に供給することでも局部的なpH値やアンモニウムイオン濃度の変動が抑制される。図2(B)は、本発明の他の実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法において、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の(例えば供給管13からの)供給位置Pの一態様を説明するための図である。本発明の他の実施形態では、反応溶液の液面の外周12(B)から、液面の外周12(B)と中心Cとの距離の3分の1の位置Bまでの間(すなわち図2(B)におけるBからBまでの間)の液面に供給することで、ホウ素の分布が均一になるとともに粒子の成長が安定化する。
局部的なpH値やアンモニウムイオン濃度の変動をより抑制するためには、晶析に用いる反応槽10の中心軸Cに、反応溶液を撹拌する撹拌翼11とそのシャフト14を設置することが好ましい。これにより、反応槽中の反応溶液が均一に撹拌され、濃度の変動がより抑制される。
また、添加元素の酸化を抑制することで、複合水酸化物中により均一に含有させることができるため、反応水溶液中の酸素濃度を低く保つことが好ましい。例えば、反応槽内の反応水溶液の液面に不活性ガスを導入して反応槽を密封するか正圧とすることで、槽外からの酸素の侵入を防いで酸化を抑制することができる。さらに、酸化を抑制することで、複合水酸化物の粒子密度が向上し、高エネルギー密度の正極活物質が得られるため好ましい。
(2−2.乾燥工程)
乾燥工程S12は、晶析したニッケル複合水酸化物を洗浄した後、乾燥する工程である。得られた複合水酸化物は、不純物が含まれるため、固液分離し、水、好ましくはイオン交換水で洗浄して、複合水酸化物に含まれるナトリウムや硫酸イオン等の不純物を取り除く。硫酸イオン等のオキソ酸イオンの不純物を除去するため、アルカリ性水溶液で洗浄してもよい。その後、好ましくは110〜150℃の範囲の温度で乾燥する。乾燥温度及び時間は、水分が除去できる程度とすればよい。
また、乾燥工程S12による乾燥後の複合水酸化物を600〜800℃の範囲の温度に加熱してニッケル複合酸化物(以下、単に「複合酸化物」ということがある。)へ変換させる熱処理工程を更に有することが好ましい。この熱処理より、後工程である焼成工程S13での水蒸気の発生を抑制してリチウム化合物との反応を促進すると共に、正極活物質における金属元素と添加元素の合計と、リチウムとの比を安定させることができる。さらに、添加元素を複合酸化物中に均一に拡散させ、正極活物質を得た際に3bサイトのニッケル原子と十分に置換している状態とすることができる。
熱処理工程での熱処理温度が600℃未満では、複合酸化物への変換が不十分となり、また、添加元素が複合酸化物中に均一に拡散した状態にならないことがある。一方、熱処理温度が800℃を超えると、複合酸化物の粒子同士が焼結して粗大粒子が生成されることがある。また、多くのエネルギーが必要となるため、工業的に適当でない。なお、熱処理を行う雰囲気は、特に制限されるものではなく、酸素を含む非還元性雰囲気であればよいが、簡易的に行える大気雰囲気中において行うことが好ましい。
また、熱処理時間は、複合酸化物への変換が十分に可能な時間とすればよく、1〜12時間が好ましい。さらに、熱処理に用いられる設備は、特に限定されるものではなく、複合水酸化物を、酸素を含む非還元性雰囲気中、好ましくは、大気雰囲気中で加熱できるものであればよく、ガス発生がない電気炉等が好適に用いられる。
(2−3.焼成工程)
焼成工程S13は、乾燥後のニッケル複合水酸化物とリチウム化合物を混合して得た混合物を酸素雰囲気下で焼成してリチウム金属複合酸化物を得る工程である。本実施形態では、複合水酸化物又は複合酸化物とリチウム化合物とは、混合物中の金属元素と添加元素の合計の原子数の和(Me)と、リチウムの原子数(Li)との比(Li/Me)が好ましくは0.98〜1.15、より好ましくは1.01〜1.09となるように、混合される。すなわち、焼成工程前後でLi/Meは変化しないので、この混合工程で混合するLi/Meが正極活物質におけるLi/Meとなるため、混合物におけるLi/Meが、得ようとする正極活物質におけるLi/Meと同じになるように混合される。
Li/Me比を1.01〜1.09となるように混合することで、結晶化が促進され、3bサイトのニッケル原子と添加元素の置換がさらに促進される。このLi/Me比が1.01より小さいとリチウムが一部の酸化物と反応せずに残存して十分な電池性能が得られないことがある。一方、Li/Me比が1.09より大きいと焼結が促進され、粒径や結晶子径が大きくなり十分な電池性能が得られないことがある。
リチウム混合物を形成するために使用されるリチウム化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、又はこれらの混合物が入手が容易であるという点で好ましい。特に、取り扱いの容易さ、品質の安定性を考慮すると、水酸化リチウム又は炭酸リチウムを用いることがより好ましい。水酸化リチウムは、複合酸化物と反応性が高く、結晶化が促進され、3bサイトのニッケル原子と添加元素の置換がさらに促進される。
なお、リチウム混合物は、焼成前に十分混合しておくことが好ましい。混合が十分でない場合には、個々の粒子間でLi/Meがばらつき、十分な電池特性が得られない間等の問題が生じる可能性があるため、焼成前に十分混合する必要がある。
また、混合には、一般的な混合機を使用することができ、例えば、シェーカーミキサ、レーディゲミキサ、ジュリアミキサ、Vブレンダ等を用いることができ、熱処理粒子等の形骸が破壊されない程度に、複合酸化物粒子とリチウムを含有する物質とが十分に混合されればよい。
次に、混合物を酸素雰囲気下、すなわち酸素を含む雰囲気で焼成してリチウム金属複合酸化物を得る。このときの焼成温度は、650〜950℃とすることが好ましく、700〜800℃とすることがより好ましい。これにより、結晶性が高くなり、置換が促進される。特に、700〜800℃とすることで、カチオンミキシングを抑制して結晶性をより高いものとすることができるので好ましい。
焼成温度が650℃未満であると、熱処理粒子中へのリチウムの拡散が十分に行われず、余剰のリチウムや未反応の粒子が残ったり、結晶構造が十分整わなくなったりして、電池に用いられた場合に十分な電池特性が得られないことがある。一方、焼成温度が950℃を超えると、複合酸化物粒子間で激しく焼結が生じると共に、異常粒成長を生じる可能性がある。異常粒成長を生じると、焼成後の粒子が粗大となって、比表面積が低下するため、電池に用いた場合、正極の抵抗が上昇して電池容量が低下するという問題が生じる。
また、焼成時間は、少なくとも4時間以上とすることが好ましく、より好ましくは6〜10時間である。4時間未満では、リチウム金属複合酸化物の生成が十分に行われないことがある。
リチウム化合物として、水酸化リチウムを使用した場合には、リチウム混合物を焼成する前に、焼成温度より低く、かつ、350〜800℃、好ましくは450〜780℃の温度で1〜10時間程度、好ましくは3〜6時間、保持して仮焼することが好ましい。すなわち、水酸化リチウムや炭酸リチウムと複合酸化物の反応温度において仮焼することが好ましい。この場合、水酸化リチウムや炭酸リチウムの上記反応温度付近で保持すれば、水酸化リチウムが溶融して複合酸化物内部までリチウムの拡散が十分に行われ、均一で結晶性が高いリチウム金属複合酸化物を得ることができ、添加元素の置換を促進することができる。
焼成時の雰囲気は、酸素を含む雰囲気、すなわち、酸化性雰囲気とする。酸素濃度は、好ましくは18〜100容量%の酸素と不活性ガスの混合雰囲気とする。すなわち、焼成は、大気又は酸素気流中で行うことが好ましい。酸素濃度が18容量%未満であると、リチウム金属複合酸化物の結晶性が十分でない状態になる可能性がある。このため、大気雰囲気中での焼成が容易であり、より好ましい。
なお、焼成に用いられる炉は、特に限定されるものではなく、大気ないしは酸素気流中で混合物を加熱できるものであればよいが、炉内の雰囲気を均一に保つ観点から、ガス発生がない電気炉が好ましく、バッチ式又は連続式の炉を何れも用いることができる。
また、焼成によって得られたリチウム金属複合酸化物は、凝集又は軽度の焼結が生じている場合がある。この場合には、解砕してもよく、これにより、リチウム金属複合酸化物、つまり、本発明の一実施形態に係る正極活物質を得ることができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキング等により生じた複数の二次粒子からなる凝集体に機械的エネルギーを投入して、二次粒子自体を殆ど破壊することなく二次粒子を分離させて、凝集体を解す操作をいうものとする。
<3.非水系電解質二次電池>
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池は、上述した本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質を含む正極と、負極及び非水系電解液等からなり、電池の構成自体は一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素により構成される。以下、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池の各構成要素について、詳細に説明する。
(a)正極
前述した本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて、例えば、以下のようにして、非水系電解質二次電池の正極を作製する。
まず、粉末状の正極活物質、導電材、結着剤を混合し、必要に応じて活性炭、粘度調整等の目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。その正極合材ペースト中のそれぞれの混合比も、非水系電解質二次電池の性能を決定する重要な要素となる。溶剤を除いた正極合材の固形分の全質量を100質量部とした場合、一般の非水系電解質二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を60〜95質量部とし、導電材の含有量を1〜20質量部とし、結着剤の含有量を1〜20質量部とすることが望ましい。
得られた正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して、溶剤を飛散させる。必要に応じ、電極密度を高めるべく、ロールプレス等により加圧することもある。このようにして、シート状の正極を作製することができる。シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断等をして、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
正極の作製にあたって、導電剤としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等)や、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)等のカーボンブラック系材料等を用いることができる。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸等を用いることができる。
なお、必要に応じ、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することができる。
(b)負極
負極には、金属リチウムやリチウム合金等、あるいは、リチウムイオンを吸蔵及び脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、PVDF等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これらの活物質及び結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
(c)セパレータ
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
(d)非水系電解液
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiN(CFSO等、及びそれらの複合塩を用いることができる。さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤及び難燃剤等を含んでいてもよい。
(e)電池の形状、構成
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータ及び非水系電解液で構成される本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。何れの形状を採る場合であっても、正極及び負極はセパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、及び負極集電体と外部に通ずる負極端子との間は集電用リード等を用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
(f)特性
本発明の一実施形態に係る正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、高容量で熱安定に優れたものである。特により好ましい形態で得られた本発明の一実施形態に係る正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、例えば、2032型コイン電池の正極に用いた場合、195mAh/g以上の高い初期放電容量が得られ、さらに高容量である。また、正極活物質からの酸素放出が抑制され、熱安定性が高く、安全性においても優れているものとなる。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質について、実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)組成の分析:ICP発光分析法で測定した。
(2)平均粒径D50:レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)により行なった。
(3)空隙率:正極活物質(二次粒子)を樹脂に埋め込み、クロスセクションポリッシャ加工により走査型電子顕微鏡(SEM)で断面観察が可能な状態とした。空隙率は、断面のSEM像を撮影し、WinRoof6.1.1(商品名)などの画像解析ソフトを用いて、空隙を黒色部として検出し、二次粒子の全体の断面積に対する黒色部の面積の割合を算出することにより求めた。さらに、正極活物質の空隙率は、平均粒径D50の80%以上となる二次粒子の断面を無作為に20個選択し、それらの二次粒子の断面の空隙率をそれぞれ計測して、その平均値である平均空隙率を用いた。
(4)初期放電容量:以下の電池容量評価法により行なった。
(電池容量評価)
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池を2032型コイン電池に適用した例について、図面を使用しながら説明する。図3(A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池の構成図であり、(A)は、斜視図、(B)は、図3(A)のA−A線断面図である。実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた正極活物質を用いて、図3に示すような2032型コイン電池1を作製した。
この2032型コイン電池1は、ケース2と、ケース2内に収容された電極3とから構成される。ケース2は、中空かつ一端が開口された正極缶2aと、この正極缶2aの開口部に配置される負極缶2bとを有しており、負極缶2bを正極缶2aの開口部に配置すると、負極缶2bと正極缶2aとの間に電極3を収容する空間が形成されるように構成される。電極3は、正極3a、セパレータ3c、及び負極3bとからなり、この順で並ぶように積層されており、正極3aが正極缶2aの内面に接触し、負極3bが負極缶2bの内面に接触するようにケース2に収容される。
なお、ケース2は、ガスケット2cを備えており、このガスケット2cによって、正極缶2aと負極缶2bとの間が電気的に絶縁状態を維持するように固定される。また、ガスケット2cは、正極缶2aと負極缶2bとの隙間を密封して、ケース2内と外部との間を気密液密に遮断する機能も有している。
この2032型コイン電池1を以下のようにして作製した。最初に、正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、及びポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形して、正極3aを作製した。作製した正極3aを、真空乾燥機中、120℃で12時間乾燥した。この正極3aと、負極3b、セパレータ3c、及び電解液とを用いて、コイン型電池1を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。
なお、負極3bには、直径14mmの円盤状に打ち抜かれた平均粒径20μm程度の黒鉛粉末と、ポリフッ化ビニリデンが銅箔に塗布された負極シートを用いた。また、セパレータ3cには、膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。電解液には、1MのLiClOを支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。
2032型コイン電池1を作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cmとして、カットオフ電圧が4.8Vとなるまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧が2.5Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行い、電池容量として初期放電容量を求めた。この際、充放電容量の測定には、マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
(5)熱安定性評価:電池特性評価後の2032型コイン電池から正極活物質を採取し、採取した正極活物質を洗浄して電解質を除去し、乾燥させたものを、示差走査熱量計(DSC)を用いて、熱安定性評価として温度に対する電池の発熱特性を測定した。
DSC測定には、示差走査熱量計(NETZSCH JAPAN(株)社製、DSC3100SA)を用いた。試料容器は、その材質がアルミニウム製あり、受け皿は直径5mm、高さ2.5mmであり、蓋体は厚さが200μmで、蓋体中央に直径400μmの穴を1個有するものを用いた。試料受け皿内部に充電後の電池を分解して取り出した正極の構成材料を試料容器の内容積の50%充填し、蓋体の外周部を圧着して受け皿と密着させた。測定雰囲気は大気中とし、昇温を10℃/分とし、室温から400℃まで測定を行った。熱安定性は、DSCの最大値と半価幅(DSCの値がバックグラウンドと最大値の中間の値のピーク幅)で評価した。図4は、後述する実施例および比較例におけるDSC測定結果である。
(実施例1)
原子比で、ニッケル:コバルト:ホウ素=82.3:15.7:2.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルト、ホウ酸をイオン交換水に溶解して、2mol/Lの混合水溶液3Lを作製した。50℃に保たれた反応槽に、液温25℃基準のpH値が13の水酸化ナトリウム水溶液1Lを入れ、アンモニア濃度が10mg/Lになるようアンモニア水を加えた。温度、pH値、アンモニア濃度を維持しながら、原料溶液40mlとアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液を反応槽内に供給し、成長して粒子を形成する核を生成させた。
その後、液温25℃基準のpH値を11.3にし、温度、pH値、アンモニア濃度を維持しながら、残りの原料溶液とアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液を4時間かけて供給し、ニッケル複合水酸化物を晶析させた。晶析したニッケル複合水酸化物をろ過により固液分離した後、水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水で洗浄し、乾燥して正極活物質の前駆体となるニッケル複合水酸化物を得た。晶析を通じてアンモニア水および水酸化ナトリウム水溶液の供給位置は、垂直方向において、反応溶液中の撹拌翼最深部から、撹拌翼最深部と反応溶液の液面との距離の5分の1の位置とし、水平方向において、撹拌翼の最外周と中心の中間位置とした。
次に、前駆体を大気雰囲気中で700℃に加熱し、6時間保持して熱処理し、ニッケル複合酸化物に変換した。ニッケル、コバルト、ホウ素の原子数の合計に対するリチウムの原子数の比(Li/Me比)が1.02となるように、ニッケル複合酸化物と水酸化リチウムを混合して混合物とした。得られた混合物を大気雰囲気中で、500℃で4時間仮焼した後、760℃で12時間焼成し、正極活物質を得た。得られた正極活物質の初期放電容量及びDSCの評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
核を生成した後の原料溶液とアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液の供給時間を2時間とし投入する原料の量を半分にした以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表1に示す
(実施例3)
原子比で、ニッケル:コバルト:ホウ素=82.7:15.8:1.5となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルト、ホウ酸をイオン交換水に溶解した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
原子比で、ニッケル:コバルト:ホウ素=82.7:15.8:1.5となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルト、ホウ酸をイオン交換水に溶解した以外は、実施例2と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
アンモニア水および水酸化ナトリウム水溶液の供給位置を、垂直方向において、反応溶液中の撹拌翼最深部から、撹拌翼最深部と反応溶液の液面との距離の3分の1の位置とした以外は実施例1同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
アンモニア水および水酸化ナトリウム水溶液を、反応溶液の液面の外周から中心までの距離の4分の1の位置の液面に供給した以外は実施例1同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
添加元素を加えない従来技術として、原子比で、ニッケル:コバルト=84.0:16.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルトをイオン交換水に溶解した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
添加元素を加えない従来技術として、原子比で、ニッケル:コバルト=84.0:16.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルトをイオン交換水に溶解した以外は、実施例2と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
原子比で、ニッケル:コバルト:ホウ素=83.2:15.8:1.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルト、ホウ酸をイオン交換水に溶解した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
原子比で、ニッケル:コバルト:ホウ素=83.2:15.8:1.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルト、ホウ酸をイオン交換水に溶解した以外は、実施例2と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表1に示す。
図4に、実施例1、2および比較例1、2におけるDSC測定結果を示す。添加元素としてホウ素を1.5原子%以上添加した実施例1〜6では、粒径によらず初期放電容量を195mAh/g以上の高い値を維持したまま、DSC最大値を0.8mW未満、DSC半価幅が20℃以上であり、発熱が緩やかで熱安定性が高いことが確認された。さらに、実施例1〜6はDSC最大値が0.6mW未満とホウ素を添加していない比較例1および2に比べ約半分の値となっており、熱安定性が大幅に向上したことがわかる。
一方、ホウ素の添加量を1.0原子%とした比較例3および4は、ホウ素を添加していない比較例1および2に比べDSC最大値が10〜25%程度低下したが、DSC半価幅が6℃程度でありで温度の上昇に対して短時間で発熱すると考えられ、熱安定性の改善が不十分である。
また、図5、図6は実施例1の正極活物質の前駆体と正極活物質の走査型電子顕微鏡写真であり、図7、図8は比較例1の正極活物質の前駆体と正極活物質の走査型電子顕微鏡写真である。これらの図からも分かるように、ホウ素の添加量を金属元素及び添加元素の合計に対して1.0原子%を超え6.0原子%以下とした、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質は、ホウ素を添加していない比較例1の場合と比較して、空隙に富んだ構造となっていることが分かる。
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質は、電池容量を維持しながら短時間の大きな発熱を抑制できるため、高容量で高い安全性が求められる車載用非水系電解質二次電池に適している。また、高容量であることから、携帯用小型機器の電源として用いられる非水系電解質二次電池の正極活物質としても有用である。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、非水系電解質二次電池用正極活物質の構成、動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
S11 晶析工程、S12 乾燥工程、S13 焼成工程、1 非水系電解質二次電池(2032型コイン電池)、2 ケース、2a 正極缶、2b 負極缶、2c ガスケット、3 電極、3a 正極、3b 負極、3c セパレータ、10 反応槽、11 撹拌翼、12 外周、13 供給管、14 シャフト、B 撹拌翼の最外周、B 撹拌翼の最外周と中心の中間位置、B 液面の外周、B 液面の外周から液面の外周と中心との距離の3分の1の位置、C 中心(中心軸)、D 撹拌翼の最深部、D 液面、D 撹拌翼の最深部から撹拌翼の最深部と反応溶液の液面との距離の3分の1の位置、P 供給位置、W 撹拌翼の長さ、W’ 液面の外周から中心までの距離、L 撹拌翼の最深部から液面までの距離

Claims (11)

  1. 一次粒子が凝集して形成した二次粒子から構成されたリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、
    リチウムと、
    金属元素と、
    添加元素とを含み、
    前記リチウム金属複合酸化物は、層状岩塩型構造の結晶構造を有し、前記金属元素としてニッケルを含み、該ニッケルの含有量が前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、
    かつ、前記添加元素は、少なくともホウ素であり、該ホウ素の含有量は、前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して1.0原子%を超え6.0原子%以下であり、
    さらに、前記二次粒子の空隙率が8%以上20%以下であり、
    示差走査熱量計を用いて、熱安定性評価として温度に対する電池の発熱特性を測定した際の発熱ピークの半値幅が、20℃以上であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。
  2. 前記金属元素としてコバルトを含み、該コバルトの含有量が前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して3〜20原子%であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  3. 2032型コイン電池の正極活物質として用いた際の初期放電容量が195mAh/g以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を含む正極を備えることを特徴とする非水系電解質二次電池。
  5. リチウムと、金属元素と、添加元素とを含み、前記金属元素としてニッケルの含有量が前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、かつ、前記添加元素としてホウ素の含有量は、前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して1.0原子%を超え6.0原子%以下であるリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    少なくともニッケル塩を含む金属元素塩と前記添加元素としてのホウ素の化合物を含む混合水溶液と、アンモニウムイオンを含む水溶液を混合して反応溶液とし、該反応溶液の液温25℃基準のpH値が11.0〜12.5の範囲となるようにアルカリ性水溶液を用いて制御し、その際に、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を前記反応溶液の液中に供給してニッケル複合水酸化物の粒子を成長させる工程を含む晶析工程と、
    晶析した前記ニッケル複合水酸化物を洗浄した後、乾燥する乾燥工程と、
    乾燥後の前記ニッケル複合水酸化物とリチウム化合物を混合して得た混合物を酸素雰囲気下で焼成して前記リチウム金属複合酸化物を得る焼成工程と、
    含み、
    前記晶析工程において、前記アンモニウムイオンを含む水溶液と前記アルカリ性水溶液の供給位置は、垂直方向においては、前記反応溶液中の撹拌翼の最深部から、該撹拌翼の最深部と前記反応溶液の液面との距離の3分の1の位置までの間とし、水平方向においては、前記撹拌翼の最外周と中心の中間位置から前記撹拌翼の最外周までの間とすることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. リチウムと、金属元素と、添加元素とを含み、前記金属元素としてニッケルの含有量が前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、かつ、前記添加元素としてホウ素の含有量は、前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して1.0原子%を超え6.0原子%以下であるリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    少なくともニッケル塩を含む金属元素塩と前記添加元素としてのホウ素の化合物を含む混合水溶液と、アンモニウムイオンを含む水溶液を混合して反応溶液とし、該反応溶液の液温25℃基準のpH値が11.0〜12.5の範囲となるようにアルカリ性水溶液を用いて制御し、その際に、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を前記反応溶液の液中に供給してニッケル複合水酸化物の粒子を成長させる工程を含む晶析工程と、
    晶析した前記ニッケル複合水酸化物を洗浄した後、乾燥する乾燥工程と、
    乾燥後の前記ニッケル複合水酸化物とリチウム化合物を混合して得た混合物を酸素雰囲気下で焼成して前記リチウム金属複合酸化物を得る焼成工程と、
    を含み、
    前記晶析工程において、前記アンモニウムイオンを含む水溶液と前記アルカリ性水溶液の供給位置は、前記反応溶液の液面の外周から、該液面の外周と中心との距離の3分の1の位置までの間の液面に供給することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 前記混合水溶液は、前記金属元素としてコバルトをさらに含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 前記ホウ素の含有量が前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して1.5〜5原子%であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 前記晶析工程において、前記混合水溶液中の前記金属元素及び前記添加元素の合計の濃度を1.5〜2.5mol/Lとすることを特徴とする請求項〜8のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 前記焼成工程において、焼成温度を650〜950℃とすることを特徴とする請求項のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用活物質の製造方法。
  11. 前記焼成工程において、前記リチウム化合物として、水酸化リチウム、炭酸リチウム、又はこれらの混合物を用いることを特徴とする請求項10のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用活物質の製造方法。
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