JP2017162790A - 非水系電解質二次電池用正極活物質、非水系電解質二次電池、及び非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

非水系電解質二次電池用正極活物質、非水系電解質二次電池、及び非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量で、かつ、安全性の高い非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法を提供する。【解決手段】リチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、リチウムと、金属元素と、及び添加元素とを含み、リチウム金属複合酸化物は、層状岩塩型構造の結晶構造を有し、金属元素としてニッケルを含み、当該ニッケルの含有量が金属元素及び添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、かつ、添加元素は、第一原理計算を用いて求めるニッケル原子と酸素原子との結合距離が、添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の3bサイトのニッケル原子を当該添加元素で置換することによって、置換前より短くなる元素であり、3bサイトのニッケル原子と置換していることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質、非水系電解質二次電池、及び非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法に関する。
近年、携帯電話やノート型パソコン等の携帯機器の普及にともない、高いエネルギー密度を有する小型かつ軽量な二次電池の開発が強く望まれている。また、XEVと呼ばれる環境対応自動車においても高容量化が求められており、高容量の二次電池の需要は、今後、大幅に増加することが予想されている。さらに、環境対応自動車における1回の充電当たりの走行距離の向上や小型化の必要性が増し、更なる高容量化が求められている。
このような高容量の二次電池として、非水系電解質二次電池がある。非水系電解質二次電池の代表的な電池としてはリチウムイオン二次電池があり、リチウムイオン二次電池の正極材料には、リチウム金属複合酸化物が正極活物質として使用される。リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)は、合成が比較的容易であり、かつ、リチウムコバルト複合酸化物を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池において、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する二次電池を実用化させるための材料として実用化されている。
しかしながら、リチウムコバルト複合酸化物は、高容量化の要求に十分に対応できているとは言い難く、より高容量の代替材料が検討されている。リチウムコバルト複合酸化物に代替できる正極活物質の中でも、近年、高容量であり、また、高価なコバルト含有量が少ないため、コスト的にも有利であるリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)が注目されている。
しかしながら、リチウムニッケル複合酸化物は、充電の際に結晶構造が崩れ、発熱や酸素放出が起こりやすく熱安定性が低いという問題がある。また、非水系電解質二次電池は、電解液として有機溶媒が用いられており、過度に発熱すると有機溶媒と反応してさらに発熱しやすくなるという問題があり、リチウムニッケル複合酸化物への添加元素や電池自体の改良で、これらの問題を防止している。このため、高容量で、コスト的にも安価であるというリチウムニッケル複合酸化物の長所が十分に活用されているとは言えない。
このような課題を解決するために、例えば、特許文献1には、化学組成式がA4−xB(POを主成分とする二次電池用正極材料であって、Aはアルカリ金属から選ばれる少なくとも一種類の元素であり、Bは2価以上の多価イオンとなりうる遷移金属から選ばれる少なくとも一種類の元素であり、xは0≦x≦4の範囲にある化合物を主成分とする二次電池用正極材料が提案されている。この提案によれば、高い安全性をもつリン酸骨格構造と、二次元以上のリチウム拡散ネットワークと、1電子反応以上の高い電気容量をあわせ持つ正極材料を提供することができるとしている。
また、特許文献2では、一般式:Lix(Ni1−yCoy)1−zMzO2(0.98≦x≦1.1、0.05≦y≦0.4、0.01≦z≦0.2、MはAl、Mn、Ti及びMgから成る群から選択される一種又は二種以上)で示される組成のニッケル酸リチウムであり、少なくともSOCが50%の状態において、(1)a軸が2.8Å以上、(2)格子体積が99.6Å3以上、(3)Ni−O結合距離が1.8Å以上、(4)Ni−Ni結合距離が2.8Å以上、(5)Ni−Oのデバイ−ワーラー因子が0.065以上、及び(6)Ni−Niのデバイ−ワーラー因子が0.066以下、のうちの少なくとも一つの構造上の特性を有する正極活物質が提案されている。この提案によれば、構造安定性(熱安定性)に優れ、高い放電容量(高エネルギー密度)の正極活物質を提供することができるとしている。
国際公開第2012/164751号 特開2005−332713号公報
しかしながら、特許文献1で開示されている正極材料は、ポリアニオン型の正極活物質であり、高い電気容量が期待されるものの、現実的に充放電可能な電気容量は少ないものとなっており、高容量の正極活物質とは言い難い。一方、特許文献2で開示されている正極活物質は、要求されている高容量化が十分に達成されているとは言い難く、高い熱安定性と更なる高容量化が要求されている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、非水系電解質二次電池の正極活物質として用いられた際に高容量の実現が可能で、かつ、熱安定性の高い非水系電解質二次電池用正極活物質を提供することの可能な、新規かつ改良された非水系電解質二次電池用正極活物質、非水系電解質二次電池、及び非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、リチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、リチウムと、金属元素と、添加元素とを含み、前記リチウム金属複合酸化物は、層状岩塩型構造の結晶構造を有し、前記金属元素としてニッケルを含み、該ニッケルの含有量が前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、かつ、前記添加元素は、第一原理計算を用いて求めるニッケル原子と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の3bサイトのニッケル原子を該添加元素で置換することにより、置換前より短くなる元素であり、前記3bサイトの前記ニッケル原子と置換していることを特徴とする。
このとき、本発明の一態様では、前記リチウム金属複合酸化物は、前記金属元素としてコバルトを更に含み、前記添加元素は、第一原理計算を用いて求めるコバルト原子と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の前記3bサイトの前記ニッケル原子を該添加元素で置換することにより、置換前より短くなる元素であることとしてもよい。
また、本発明の一態様では、前記添加元素は、前記3bサイトの前記ニッケル原子を前記添加元素で置換した際の前記第一原理計算を用いて求めた該添加元素と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物のニッケル原子と酸素原子との結合距離より短いこととしてもよい。
また、本発明の一態様では、前記添加元素の含有量は、前記金属元素及び前記添加元素の合計の0.5〜3.0原子%であることとしてもよい。
また、本発明の一態様では、前記添加元素が、ホウ素であることとしてもよい。
また、本発明の一態様では、2032型コイン電池の正極活物質として用いた際の初期放電容量が195mAh/g以上であることとしてもよい。
また、本発明の他の態様は、非水系電解質二次電池であって、上記の何れかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を含む正極を備えることを特徴とする。
また、本発明の更に他の態様は、リチウムと、金属元素と、及び添加元素とを含むリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、第一原理計算を用いて求めたニッケル原子と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の3bサイトのニッケル原子を置換することにより、置換前より短くなる元素を前記添加元素として選択する選択工程と、少なくともニッケル塩を含む金属元素塩及び前記添加元素の化合物を含む混合水溶液と、アンモニウムイオンを含む水溶液を混合して反応溶液とし、該反応溶液の液温25℃基準のpH値が11.0〜12.5の範囲となるように制御してニッケル複合水酸化物を晶析させる晶析工程と、晶析した前記ニッケル複合水酸化物を洗浄した後、乾燥する乾燥工程と、乾燥後の前記ニッケル複合水酸化物とリチウム化合物を混合して得た混合物を酸素雰囲気下で焼成して前記リチウム金属複合酸化物を得る焼成工程と、を含むことを特徴とする。
このとき、本発明の更に他の態様では、前記晶析工程において、前記pH値の制御にアルカリ性水溶液を用い、その際に、前記アンモニウムイオンを含む水溶液と前記アルカリ性水溶液を前記反応溶液の液中に供給して、前記ニッケル複合水酸化物の粒子を成長させることとしてもよい。
また、本発明の更に他の態様では、前記アンモニウムイオンを含む水溶液と前記アルカリ性水溶液の供給位置は、垂直方向においては、反応溶液中の撹拌翼の最深部から、該撹拌翼の最深部と反応溶液の液面との距離の3分の1の位置までの間とし、水平方向においては、前記撹拌翼の最外周と中心の中間位置から該撹拌翼の最外周までの間とすることとしてもよい。
また、本発明の更に他の態様では、前記晶析工程において、前記pH値の制御にアルカリ性水溶液を用い、その際に、前記アンモニウムイオンを含む水溶液と前記アルカリ性水溶液を前記反応溶液の液面の外周から、該液面の外周と中心との距離の3分の1の位置までの間の液面に供給して、前記ニッケル複合水酸化物を成長させることとしてもよい。
また、本発明の更に他の態様では、前記リチウム金属複合酸化物は、前記金属元素としてコバルトをさらに含み、前記選択工程において、第一原理計算を用いて求めたコバルト原子と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の前記3bサイトの前記ニッケル原子を置換することにより、置換前より短くなる元素を、前記添加元素として選択することとしてもよい。
また、本発明の更に他の態様では、前記選択工程において、前記第一原理計算を用いて求めた前記3bサイトの前記ニッケル原子を前記添加元素で置換した際の該添加元素と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物のニッケル原子と酸素原子との結合距離より短い元素を、添加元素として選択することとしてもよい。
また、本発明の更に他の態様では、前記添加元素の含有量が前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して0.5〜3.0原子%であることとしてもよい。
また、本発明の更に他の態様では、前記添加元素がホウ素であることとしてもよい。
また、本発明の更に他の態様では、前記晶析工程において、前記混合水溶液中の前記金属元素及び前記添加元素の合計の濃度を1.5〜2.5mol/Lとすることとしてもよい。
また、本発明の更に他の態様では、前記焼成工程において、焼成温度を650〜950℃とすることとしてもよい。
また、本発明の更に他の態様では、前記焼成工程において、前記リチウム化合物として、水酸化リチウム、炭酸リチウム、又はこれらの混合物を用いることとしてもよい。
以上説明したように本発明によれば、高容量の実現が可能で、かつ、熱安定性の高い非水系電解質二次電池用正極活物質が得られる。また、当該正極活物質を含む正極を備える非水系電解質二次電池は、高容量で、高温での安定性にも優れたものとなる。さらに、本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、組成の選択が容易で、かつ工業規模での生産に適したものであり、その工業的価値は極めて大きい。
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法の概略を示すフロー図である。 (A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法において、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の供給位置を説明するための図である。 (A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池の構成図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
本発明者らは、非水系電解質二次電池用正極活物質の高容量化と熱安定性の向上について鋭意検討した結果、特定量のニッケルを含む層状構造を有するリチウム金属複合酸化物において、第一原理計算を用いて求められる3bサイトを構成する各元素と酸素原子との結合距離が短くなる元素を添加することで、酸素が放出しにくくなり、高容量と高い熱安定の両立が可能との知見を得て、本発明を完成した。以下、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の成分や構成、及びその製造方法について説明する。
(1)非水系電解質二次電池用正極活物質
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質は、リチウムと、金属元素と、及び添加元素とを含むリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質である。本実施形態では、リチウム金属複合酸化物は、層状岩塩型構造の結晶構造を有し、金属元素としてニッケルを含み、ニッケルの含有量が金属元素及び添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、かつ、添加元素は、第一原理計算を用いて求めるニッケル原子と酸素原子との結合距離が、添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の3bサイトのニッケル原子を該添加元素で置換することにより、置換前より短くなる元素であり、3bサイトのニッケル原子と置換していることを特徴とする。
非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、単に「正極活物質」ということがある。)を構成するリチウム金属複合酸化物は、層状岩塩型構造の結晶構造を有し、金属元素としてニッケルを含み、ニッケルの含有量が金属元素及び添加元素の合計に対して60〜90原子%である。このような層状岩塩型構造の結晶構造を有し、高いニッケル含有量のリチウム金属複合酸化物は、非水系電解質二次電池(以下、単に「電池」ということがある。)に用いられた際に高い充放電容量(以下、「電池容量」ということがある。)を実現できる。一方で、結晶構造の安定性が高くないため、結晶からの酸素放出が起こりやすくなる。
本発明の一実施形態に係る正極活物質は、第一原理計算を用いて求めるニッケル原子と酸素原子との結合距離が、添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の3bサイトのニッケル原子を当該添加元素で置換することにより、置換前、すなわち添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物より短くなる元素を、添加元素として含むものである。
ニッケル原子と酸素原子との結合距離が短くなることは、ニッケル原子と酸素原子の結合力が増して、結晶構造の安定性を向上させ、例えば、結晶構造が不安定になりやすい充電状態で高温保存された際においても、酸素放出が抑制され、熱安定性が向上する。また、第一原理計算によって結合距離を算出することによって、当該結合距離の変化を容易に見積もることができる。
しかしながら、第一原理計算による結合距離は、添加元素が3bサイトのニッケル原子と置換していることを前提としたものであり、実際に3bサイトのニッケル原子と置換していることが必要である。このような3bサイトにおけるニッケル原子との置換は、格子定数の変化として確認することができ、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質においては、格子定数が増加することが確認されている。
また、リチウム金属複合酸化物は、金属元素としてコバルトをさらに含み、添加元素は、第一原理計算を用いて求めるコバルト原子と酸素原子との結合距離が、添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の3bサイトのニッケル原子を該添加元素で置換することにより、置換前より短くなるものであることが好ましい。
このように、金属元素としてコバルトを含むことによって、リチウム金属複合酸化物の熱安定性がより向上する。電池容量と熱安定性を高い次元で両立させる観点から、コバルトの含有量は、リチウム金属複合酸化物に含まれる金属元素と添加元素の合計に対して3〜20原子%であることが好ましい。また、ニッケル原子と酸素原子との結合距離に加え、コバルト原子と酸素原子との結合距離が短くなることにより、結晶構造の安定性が増加し、熱安定性がさらに改善される。ニッケル酸リチウム等のリチウム金属複合酸化物は、エネルギー密度が高いが、熱安定性が高いと言えないため、本実施形態では、コバルトを加えることによって、結晶構造を安定化させ、熱安定性を向上させている。
さらに、添加元素は、3bサイトのニッケル原子を添加元素で置換した際の第一原理計算を用いて求めた当該添加元素と酸素原子との結合距離が、添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物のニッケル原子と酸素原子との結合距離より短いことが好ましい。このように、添加元素の酸素原子との結合距離がニッケル原子と酸素原子との結合距離より短いことは、添加元素自体の酸素放出抑制の効果が高いことを示すものであり、熱安定を向上させるために好ましい。
添加元素の含有量は、リチウム金属複合酸化物に含まれる金属元素及び添加元素の合計に対して0.5〜3.0原子%であることが好ましい。これにより、結晶性の高い状態を維持しながら3bサイトで置換が可能となり、リチウム金属複合酸化物のニッケル原子と酸素原子との結合距離を短くすることにより得られる熱安定性を向上させる効果が、より一層高くなるため、好ましい。また、添加元素の含有量をこのような数値範囲とすることによって、電池容量もより高く維持できるため、好ましい。さらに、本実施形態では、結合距離を短くして熱安定性を向上させる効果が大きく、かつ熱安定性以外の電池特性に及ぼす悪影響も少ない観点から、添加元素としては、ホウ素(B)が好ましい。
本発明の一実施形態に係る正極活物質は、高いニッケル含有量のリチウム金属複合酸化物が有する高い電池容量の低下を抑制し、かつ熱安定性を向上させることにより、電池容量と熱安定性を高い次元で両立させたものであり、非水系電解質二次電池、例えば、2032型コイン電池の正極活物質として用いた際の初期放電容量が195mAh/g以上であり、電池の高容量化が可能となる。このように、本発明の一実施形態に係る正極活物質は、上述したように、添加元素により高い電池容量と熱安定性を両立させるものであり、その他の粉体特性は、一般的な非水系電解質二次電池用正極活物質の特性を適用することができる。
(2)非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
図1は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法の概略を示すフロー図である。本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、リチウムと、金属元素及び添加元素を含むリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。本実施形態の正極活物質の製造方法では、図1に示すように、選択工程S11と、晶析工程S12と、乾燥工程S13と、焼成工程S14とを有する。以下、各工程について詳細に説明する。
選択工程S11は、第一原理計算を用いて添加元素を選択する工程である。本実施形態では、選択工程S11では、第一原理計算を用いて求めたニッケル原子と酸素原子との結合距離が、添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の3bサイトのニッケル原子を置換することにより、置換前より短くなる元素を添加元素として選択する。
このように第一原理計算をすることにより、層状構造を有するリチウム金属複合酸化物におけるニッケル原子と酸素原子との結合距離を見積もることができる。また、添加元素がリチウム金属複合酸化物の3bサイトのニッケル原子と置換されることにより、ニッケル原子と酸素原子との結合距離に変化が生じ、置換された場合と置換されていない場合の前記結合距離を求める。この際、ニッケル原子が添加元素の原子と置換されることで結合距離が減少すると、ニッケル原子と酸素原子の結合力が強くなり、酸素放出が抑制される。このため、本実施形態では、ニッケル原子と置換されることで前記結合距離が減少する元素を、添加元素として選択する。
リチウム金属複合酸化物には、添加元素以外にも、例えば、コバルトが含有されて3bサイトのニッケル原子と置換されている場合がある。このような場合は、添加元素以外に含有される元素を、予め3bサイトとのニッケル原子と置換して前記結合距離を見積もっておき、添加元素を置換した際の前記結合距離と比較すればよい。
また、コバルト原子と酸素原子の結合距離が減少することで酸素放出が抑制されるため、前記結合距離の変化を見積もって添加元素を選択することが好ましい。さらに、添加元素と酸素原子との結合距離が、ニッケル原子と酸素原子との結合距離より短いことも酸素放出の抑制に有用であり、前記結合距離の変化を見積もって添加元素を選択することが好ましい。
第一原理計算は、原子番号と結晶構造からその系の物性を計算するものであり、シュレディンガー方程式を解くことで、結合エネルギーや結合距離を見積もることができる。第一原理計算を用いた計算に関しては、種々のプログラムが存在するが、結晶構造と原子配置により結合距離が見積もれればよく、例えば、Materials Design社製のMeDeA-VASPを用いることができる。
添加元素によるニッケル原子又はコバルト原子と酸素原子との結合距離の変化、及び添加元素と酸素原子との結合距離に関しては、計算条件によらず同様の結果が得られるが、計算を容易にすると共に前記結合距離をより明確に見積もるため、例えば、平面の打ち切りエネルギーを650eV、k点サンプリングを6×6×2(conventional cell)、電子相関効果を考慮してGGA+U法で近似することが好ましい。
また、添加元素のニッケル原子との置換量は、3bサイトのニッケル原子の4〜16%と置換して導入し、3aサイトのリチウム原子の30〜80%が引き抜かれて欠損した状態(SOC30〜80%)とすることが、結晶が不安定になる充電状態での酸素放出に影響する前記結合距離をより明確に見積もることができるため、好ましい。
晶析工程S12は、少なくともニッケル塩を含む金属元素塩及び添加元素の化合物を含む混合水溶液と、アンモニウムイオンを含む水溶液を混合して反応溶液とし、反応水溶液の液温25℃基準のpH値が11.0〜12.5の範囲となるように制御してニッケル複合水酸化物を晶析させる工程である。晶析工程S12によって、リチウム金属複合酸化物の前駆体となるニッケル複合水酸化物(以下、単に「複合水酸化物」ということがある。)が得られる。
本発明の一実施形態に係る正極活物質は、添加元素が3bサイトのニッケル原子と置換しているものであるため、複合水酸化物の状態において、添加元素が複合水酸化物に固溶、又は複合水酸化物の粒子内に分散した状態として均一に含有させることが好ましい。このため、晶析工程S12において、添加元素を金属塩から生成される水酸化物と共沈殿させることが好ましい。
複合水酸化物の組成は、得られる正極活物質に継承される。従って、複合水酸化物を晶析する際に用いる混合水溶液中の金属元素塩及び前記添加元素の組成を、得ようとする正極活物質と同様にする。複合水酸化物の組成によっては、混合すると混合液中で反応して固体を生成する場合がある。このような場合は、個別に金属元素塩及び前記添加元素を含む水溶液を供給し、反応液中での組成が複合水酸化物の組成となるようにすればよい。なお、晶析した水酸化物に複合水酸化物を構成する金属塩を被覆して組成を調整する場合には、被覆する金属塩に相当する量を混合水溶液から差し引いて調整すればよい。
混合水溶液中の金属元素及び添加元素の合計の濃度は、1.5〜2.5mol/Lとすることが好ましい。これにより、混合水溶液中での金属元素塩や添加元素の化合物の析出を防止して組成の均一な複合水酸化物得ることができる。また、粒径を十分に成長させて高い充填性が得られると共に粒径を安定させることができる。
反応水溶液は、液温25℃基準のpH値が11.0〜12.5の範囲となるように制御される。これにより、複合水酸化物の粒径を適度な大きさに制御することができ、得られる正極活物質の充填性を向上させることができる。pH値が11未満、又は12.5を超えると、複合水酸化物の粒径が小さくなり過ぎて正極活物質の充填性が低下したり、組成が不安定になることがあり、添加元素が共沈殿しない場合があるので好ましくない。
反応水溶液の温度は、45〜55℃の範囲で一定、例えば、温度の上下限を5℃以内に制御することが好ましい。これにより、複合水酸化物の粒径制御が容易になる。反応水溶液の温度が上記温度範囲外では、組成が不安定になることや、酸化が進行しやすくなることがある。また、45℃未満では、粒径が大きくなり過ぎることがあり、55℃を超えると粒径が小さくなり過ぎることがある。このため、本実施形態では、反応水溶液の温度をかかる温度範囲となるように制御している。
反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度は、5〜25mg/Lとすることが好ましく、5〜15mg/Lとすることがより好ましい。これにより、pH値の変動による粒径変動を抑制して粒径制御を容易にすることができる。また、複合水酸化物の球形度を向上させることができ、正極活物質の充填性を向上させることができる。
本実施形態では、晶析工程S12において、pH値の制御にアルカリ性水溶液を用い、その際に、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を直接反応溶液の液中に供給することが好ましい。例えば、供給管を反応溶液中に挿入してアルカリ性水溶液を反応溶液に供給する。これにより局部的なpH値やアンモニウムイオン濃度の変動が抑制され、添加元素の分布が均一になると共に形成される一次粒子内の添加元素の分布も均一になる。そして、複合水酸化物の添加元素の分布の均一化により、焼成工程S14において、複合酸化物における添加元素の分布が均一化し、熱安定性のより高い正極活物質を得ることができるようになる。
図2(A)及び図2(B)は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法において、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の供給位置を説明するための図である。局所的な高濃度部をできるだけ生じないようにするためには、例えば、図2(A)に示すように、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の供給位置Pは、垂直方向においては、反応溶液中の撹拌翼11の最深部Dから、撹拌翼11の最深部Dと反応溶液の液面Dとの距離Lの3分の1の位置Dまでの間とし、水平方向においては、撹拌翼11の最外周Bと中心Cの中間位置Bから撹拌翼11の最外周Bまでの間とすることが好ましい。これにより、反応溶液の流速の早い撹拌翼11近傍の中で最も流速の早い位置にアンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を供給できるようになるので、局所的な高濃度領域の形成を抑制して良好な複合水酸化物を得られる。なお、ここで言及する「撹拌翼の最深部」とは、反応槽10における反応溶液中の撹拌翼11が到達する最深部分を示す。
また、例えば、図2(B)に示すように、晶析工程S13において、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を反応溶液の流速の早い液面に供給することによっても、局部的なpH値やアンモニウムイオン濃度の変動が抑制される。アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液を反応溶液の液面の外周12(B)から、当該液面の外周12(B)と中心Cとの距離W’の3分の1の位置Bまでの間の液面に供給することによって、添加元素の分布が均一になると共に粒子の成長が安定化させることができる。
また、局部的なpH値やアンモニウムイオン濃度の変動をより抑制するためには、晶析に用いる反応槽10の中心軸Cに、反応溶液を撹拌する撹拌翼11とそのシャフト14を設置することが好ましい。これにより、反応槽中の反応溶液が均一に撹拌され、濃度の変動がより抑制されるようになる。
なお、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の供給位置は、上述のようなものが挙げられるが、添加元素分布の均一化を促進するためには、アンモニウムイオンを含む水溶液とアルカリ性水溶液の供給と同様に、添加元素を含む水溶液を供給することが好ましい。
また、添加元素の酸化を抑制することで、複合水酸化物中により均一に含有させることができるため、反応水溶液中の酸素濃度を低く保つことが好ましい。例えば、反応槽内の反応水溶液の液面に不活性ガスを導入して反応槽を密封するか正圧とすることで、槽外からの酸素に侵入を防いで酸化を抑制することができる。さらに、酸化を抑制することによって、複合水酸化物の粒子密度が向上して、高エネルギー密度の正極活物質が得られるため好ましい。
乾燥工程S13は、晶析したニッケル複合水酸化物を洗浄した後、乾燥する工程である。得られた複合水酸化物は、不純物が含まれるため、固液分離し、水、好ましくはイオン交換水で洗浄して、複合水酸化物に含まれるナトリウムや硫酸イオン等の不純物を取り除く。硫酸イオン等のオキソ酸イオンの不純物を除去するため、アルカリ性水溶液で洗浄してもよい。その後、好ましくは110〜150℃の範囲の温度で乾燥する。乾燥温度及び時間は、水分が除去できる程度とすればよい。
また、乾燥工程S13による乾燥後の複合水酸化物を600〜800℃の範囲の温度に加熱してニッケル複合酸化物(以下、単に「複合酸化物」ということがある。)へ変換させる熱処理工程を更に有することが好ましい。この熱処理より、後工程である焼成工程S14での水蒸気の発生を抑制してリチウム化合物との反応を促進すると共に、正極活物質における金属元素と添加元素の合計と、リチウムとの比を安定させることができる。さらに、添加元素を複合酸化物中に均一に拡散させ、正極活物質を得た際に3bサイトのニッケル原子と十分に置換している状態とすることができる。
熱処理工程での熱処理温度が600℃未満では、複合酸化物への変換が不十分となり、また、添加元素が複合酸化物中に均一に拡散した状態にならないことがある。一方、熱処理温度が800℃を超えると、複合酸化物の粒子同士が焼結して粗大粒子が生成されることがある。また、多くのエネルギーが必要となるため、工業的に適当でない。なお、熱処理を行う雰囲気は、特に制限されるものではなく、酸素を含む非還元性雰囲気であればよいが、簡易的に行える大気雰囲気中において行うことが好ましい。
また、熱処理時間は、複合酸化物への変換が十分に可能な時間とすればよく、1〜12時間が好ましい。さらに、熱処理に用いられる設備は、特に限定されるものではなく、複合水酸化物を、酸素を含む非還元性雰囲気中、好ましくは、大気雰囲気中で加熱できるものであればよく、ガス発生がない電気炉等が好適に用いられる。
焼成工程S14は、乾燥後のニッケル複合水酸化物とリチウム化合物を混合して得た混合物を酸素雰囲気下で焼成してリチウム金属複合酸化物を得る工程である。本実施形態では、複合水酸化物又は複合酸化物とリチウム化合物とは、混合物中の金属元素と添加元素の合計の原子数の和(Me)と、リチウムの原子数(Li)との比(Li/Me)が好ましくは0.98〜1.15、より好ましくは1.01〜1.09となるように、混合される。すなわち、焼成工程前後でLi/Meは変化しないので、この混合工程で混合するLi/Meが正極活物質におけるLi/Meとなるため、混合物におけるLi/Meが、得ようとする正極活物質におけるLi/Meと同じになるように混合される。
Li/Me比を1.01〜1.09となるように混合することで、結晶化が促進され、3bサイトのニッケル原子と添加元素の置換がさらに促進される。このLi/Me比が1.01より小さいとリチウムが一部の酸化物と反応せずに残存して十分な電池性能が得られないことがある。一方、Li/Me比が1.09より大きいと焼結が促進され、粒径や結晶子径が大きくなり十分な電池性能が得られないことがある。
リチウム混合物を形成するために使用されるリチウム化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、又はこれらの混合物が入手が容易であるという点で好ましい。特に、取り扱いの容易さ、品質の安定性を考慮すると、水酸化リチウム又は炭酸リチウムを用いることがより好ましい。水酸化リチウムは、複合酸化物と反応性が高く、結晶化が促進され、3bサイトのニッケル原子と添加元素の置換がさらに促進される。
なお、リチウム混合物は、焼成前に十分混合しておくことが好ましい。混合が十分でない場合には、個々の粒子間でLi/Meがばらつき、十分な電池特性が得られない間等の問題が生じる可能性があるため、焼成前に十分混合する必要がある。
また、混合には、一般的な混合機を使用することができ、例えば、シェーカーミキサ、レーディゲミキサ、ジュリアミキサ、Vブレンダ等を用いることができ、熱処理粒子等の形骸が破壊されない程度に、複合酸化物粒子とリチウムを含有する物質とが十分に混合されればよい。
次に、混合物を酸素雰囲気下、すなわち酸素を含む雰囲気で焼成してリチウム金属複合酸化物を得る。このときの焼成温度は、650〜950℃とすることが好ましく、700〜800℃とすることがより好ましい。これにより、結晶性が高くなり、置換が促進される。特に、700〜800℃とすることで、カチオンミキシングを抑制して結晶性をより高いものとすることができるので好ましい。
焼成温度が650℃未満であると、熱処理粒子中へのリチウムの拡散が十分に行われず、余剰のリチウムや未反応の粒子が残ったり、結晶構造が十分整わなくなったりして、電池に用いられた場合に十分な電池特性が得られないことがある。一方、焼成温度が950℃を超えると、複合酸化物粒子間で激しく焼結が生じると共に、異常粒成長を生じる可能性がある。異常粒成長を生じると、焼成後の粒子が粗大となって、比表面積が低下するため、電池に用いた場合、正極の抵抗が上昇して電池容量が低下するという問題が生じる。
また、焼成時間は、少なくとも4時間以上とすることが好ましく、より好ましくは6〜10時間である。4時間未満では、リチウム金属複合酸化物の生成が十分に行われないことがある。
リチウム化合物として、水酸化リチウムを使用した場合には、焼成する前に、焼成温度より低く、かつ、350〜800℃、好ましくは450〜780℃の温度で1〜10時間程度、好ましくは3〜6時間、保持して仮焼することが好ましい。すなわち、水酸化リチウムや炭酸リチウムと複合酸化物の反応温度において仮焼することが好ましい。この場合、水酸化リチウムや炭酸リチウムの上記反応温度付近で保持すれば、水酸化リチウが溶融して複合酸化物内部までリチウムの拡散が十分に行われ、均一で結晶性が高いリチウム金属複合酸化物を得ることができ、添加元素の置換を促進することができる。
焼成時の雰囲気は、酸素を含む雰囲気、すなわち、酸化性雰囲気とする。酸素濃度は、好ましくは18〜100容量%の酸素と不活性ガスの混合雰囲気とする。すなわち、焼成は、大気又は酸素気流中で行うことが好ましい。酸素濃度が18容量%未満であると、リチウム金属複合酸化物の結晶性が十分でない状態になる可能性がある。このため、大気雰囲気中での焼成が容易であり、より好ましい。
なお、焼成に用いられる炉は、特に限定されるものではなく、大気ないしは酸素気流中で混合物を加熱できるものであればよいが、炉内の雰囲気を均一に保つ観点から、ガス発生がない電気炉が好ましく、バッチ式又は連続式の炉を何れも用いることができる。
また、焼成によって得られたリチウム金属複合酸化物は、凝集又は軽度の焼結が生じている場合がある。この場合には、解砕してもよく、これにより、リチウム金属複合酸化物、つまり、本発明の一実施形態に係る正極活物質を得ることができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキング等により生じた複数の二次粒子からなる凝集体に機械的エネルギーを投入して、二次粒子自体を殆ど破壊することなく二次粒子を分離させて、凝集体を解す操作をいうものとする。
(3)非水系電解質二次電池
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池は、正極、負極及び非水系電解液等からなり、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素により構成される。本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池を2032型コイン電池に適用した例について、図面を使用しながら説明する。図3(A)及び図3(B)は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池の構成図であり、図3(A)は、斜視図、図3(B)は、図3(A)のA−A線断面図である。
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池1は、2032型コイン電池であり、ケース2と、ケース2内に収容された電極3とから構成される。ケース2は、図3(B)に示すように、中空かつ一端が開口された正極缶2aと、この正極缶2aの開口部に配置される負極缶2bとを有しており、負極缶2bを正極缶2aの開口部に配置すると、負極缶2bと正極缶2aとの間に電極3を収容する空間が形成されるように構成される。電極3は、正極3a、セパレータ3c、及び負極3bとからなり、この順で並ぶように積層されており、正極3aが正極缶2aの内面に接触し、負極3bが負極缶2bの内面に接触するようにケース2に収容される。
なお、ケース2は、図3(A)及び図3(B)に示すように、ガスケット2cを備えており、このガスケット2cによって、正極缶2aと負極缶2bとの間が電気的に絶縁状態を維持するように固定される。また、ガスケット2cは、正極缶2aと負極缶2bとの隙間を密封して、ケース2内と外部との間を気密液密に遮断する機能も有している。以下、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池1の各構成要素について、詳細に説明する。
(a)正極
前述した本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて、例えば、以下のようにして、非水系電解質二次電池の正極を作製する。
まず、粉末状の正極活物質、導電材、結着剤を混合し、必要に応じて活性炭、粘度調整等の目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。その正極合材ペースト中のそれぞれの混合比も、非水系電解質二次電池の性能を決定する重要な要素となる。溶剤を除いた正極合材の固形分の全質量を100質量部とした場合、一般の非水系電解質二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を60〜95質量部とし、導電材の含有量を1〜20質量部とし、結着剤の含有量を1〜20質量部とすることが望ましい。
得られた正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して、溶剤を飛散させる。必要に応じ、電極密度を高めるべく、ロールプレス等により加圧することもある。このようにして、シート状の正極を作製することができる。シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断等をして、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
正極の作製にあたって、導電剤としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等)や、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)等のカーボンブラック系材料等を用いることができる。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸等を用いることができる。
なお、必要に応じ、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することができる。
(b)負極
負極には、金属リチウムやリチウム合金等、あるいは、リチウムイオンを吸蔵及び脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、PVDF等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これらの活物質及び結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
(c)セパレータ
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
(d)非水系電解液
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiN(CFSO等、及びそれらの複合塩を用いることができる。さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤及び難燃剤等を含んでいてもよい。
(e)電池の形状、構成
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータ及び非水系電解液で構成される本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。何れの形状を採る場合であっても、正極及び負極をセパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、及び負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を集電用リード等を用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
(f)特性
本発明の一実施形態に係る正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、高容量で熱安定に優れたものである。特により好ましい形態で得られた本発明の一実施形態に係る正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、例えば、2032型コイン電池の正極に用いた場合、195mAh/g以上の高い初期放電容量が得られ、さらに高容量である。また、正極活物質からの酸素放出が抑制され、熱安定性が高く、安全性においても優れているものとなる。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質について、実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(添加元素の選択)
添加元素の選択には、第一原理計算により算出されるニッケル原子、コバルト原子または添加元素と酸素の結合距離を用いた。ニッケル原子、コバルト原子または添加元素と酸素原子の結合距離は短いほど結合が強く、非水系電解質二次電池の熱安定性低下の原因である酸素が放出されにくくなる。第一原理計算のプログラムには、Materials Design社製のMeDeA−VASPを用い、平面波の打ち切りエネルギーを650eV、k点サンプリングを6×6×2(conventional cell)、電子相関効果を考慮してGGA+U法で近似した。3bサイトのニッケル原子とコバルト原子の比率が84:16を基本とし、添加元素は3bサイトのニッケル原子の8%を置換して、3aサイトのリチウムが3分の2欠損した状態(SOC66%)で計算を実施した。第一原理計算で求めた各元素の酸素との結合距離を表1に示す。無添加の状態に比べて、ニッケル原子と酸素の距離が短くなるホウ素(B)を添加元素として選定した。
(組成の分析)
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた非水系電解質二次電池用の正極活物質の組成の分析は、ICP発光分析法で測定した。
(電池容量評価)
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた正極活物質を用いて、図3(A)及び図3(B)に示すような2032型コイン電池1を作製した。この2032型コイン電池1は、ケース2と、ケース2内に収容された電極3とから構成される。
ケース2は、中空かつ一端が開口された正極缶2aと、この正極缶2aの開口部に配置される負極缶2bとを有しており、負極缶2bを正極缶2aの開口部に配置すると、負極缶2bと正極缶2aとの間に電極3を収容する空間が形成されるように構成される。電極3は、正極3a、セパレータ3c、及び負極3bとからなり、この順で並ぶように積層されており、正極3aが正極缶2aの内面に接触し、負極3bが負極缶2bの内面に接触するようにケース2に収容される。
なお、ケース2は、ガスケット2cを備えており、このガスケット2cによって、正極缶2aと負極缶2bとの間が電気的に絶縁状態を維持するように固定される。また、ガスケット2cは、正極缶2aと負極缶2bとの隙間を密封して、ケース2内と外部との間を気密液密に遮断する機能も有している。
この2032型コイン電池1を以下のようにして作製した。最初に、正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、及びポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形して、正極3aを作製した。作製した正極3aを、真空乾燥機中、120℃で12時間乾燥した。この正極3aと、負極3b、セパレータ3c、及び電解液とを用いて、コイン型電池1を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。
なお、負極3bには、直径14mmの円盤状に打ち抜かれた平均粒径20μm程度の黒鉛粉末と、ポリフッ化ビニリデンが銅箔に塗布された負極シートを用いた。また、セパレータ3cには、膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。電解液には、1MのLiClO4を支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。
2032型コイン電池1を作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cmとして、カットオフ電圧が4.8Vとなるまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧が2.5Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行い、電池容量として初期放電容量を求めた。この際、充放電容量の測定には、マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
(熱安定性評価)
電池特性評価後の2032型コイン電池から正極活物質を採取し、採取した正極活物質を洗浄して電解質を除去し、乾燥させたものを、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用いて、熱安定性評価として酸素放出温度を測定した。GC−MSの熱分解部は、フロンティアラボ製PY−2020iDを用い、昇温速度10℃/minで、100℃から450℃まで昇温した。ガスクロマトグラフ部は、島津製作所製GC−2010を用い、カラムにはフロンティアラボ製ウルトラアロイ、キャリアガスにはヘリウム(140kPa)を用いた。オーブン温度は200℃一定とした。質量分析部は、島津製作所製QP−2010plusを用いた。
(実施例1)
原子比で、ニッケル:コバルト:ホウ素=83.2:15.8:1.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルト、ホウ酸をイオン交換水に溶解して、2mol/Lの混合水溶液3Lを作製した。50℃に保たれた反応槽に、液温25℃基準のpH値が13の水酸化ナトリウム水溶液1Lを入れ、アンモニア濃度が10mg/Lになるようアンモニア水を加えた。温度、pH値、アンモニア濃度を維持しながら、原料溶液40mlとアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液を反応槽内に供給し、成長して粒子を形成する核を生成させた。
その後、液温25℃基準のpH値を11.3にし、温度、pH値、アンモニア濃度を維持しながら、残りの原料溶液とアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液を4時間かけて供給し、ニッケル複合水酸化物を晶析させた。晶析したニッケル複合水酸化物をろ過により固液分離した後、水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水で洗浄し、乾燥して正極活物質の前駆体となるニッケル複合水酸化物を得た。晶析を通じてアンモニア水及び水酸化ナトリウム水溶液の供給位置は、垂直方向において、反応溶液中の撹拌翼最深部から、撹拌翼最深部と反応溶液の液面との距離の5分の1の位置とし、水平方向において、撹拌翼の最外周と中心の中間位置とした。
次に、前駆体を大気雰囲気中で700℃に加熱し、6時間保持して熱処理し、ニッケル複合酸化物に変換した。ニッケル、コバルト、ホウ素の原子数の合計に対するリチウムの原子数の比(Li/Me比)が1.02となるように、ニッケル複合酸化物と水酸化リチウムを混合して混合物とした。得られた混合物を大気雰囲気中で、500℃で4時間仮焼した後、760℃で12時間焼成し、正極活物質を得た。得られた正極活物質を評価して初期放電容量及び酸素放出温度を求めた。評価結果を表2に示す。
(実施例2)
原子比で、ニッケル:コバルト:ホウ素=82.3:15.7:2.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルト、ホウ酸をイオン交換水に溶解した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例3)
アンモニア水及び水酸化ナトリウム水溶液の供給口の位置を、垂直方向において、反応溶液中の撹拌翼最深部から、撹拌翼最深部と反応溶液の液面との距離の3分の1の位置に供給した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例4)
アンモニア水及び水酸化ナトリウム水溶液の供給を、反応溶液の液面の外周から中心までの距離の3分の1の位置の液面に供給した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例1)
添加元素を加えない従来技術として、原子比で、ニッケル:コバルト=84.0:16.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルトをイオン交換水に溶解した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
原子比で、ニッケル:コバルト:ケイ素=83.2:15.8:1.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルトをイオン交換水に溶解した混合水溶液とケイ酸ナトリウム水溶液を反応槽に供給した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
原子比で、ニッケル:コバルト:ケイ素=82.3:15.7:2.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルトをイオン交換水に溶解した混合水溶液とケイ酸ナトリウム水溶液を反応槽に供給した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例4)
原子比で、ニッケル:コバルト:ケイ素=81.5:15.5:3.0となるよう硫酸ニッケル、硫酸コバルトをイオン交換水に溶解した混合水溶液とケイ酸ナトリウム水溶液を反応槽に供給した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得ると共に評価した。評価結果を表2に示す。
第一原理計算でニッケル原子と酸素原子の結合距離が短くなる添加元素としてホウ素を添加した実施例1乃至4では、初期放電容量を195mAh/g以上の高い値を維持したまま、添加元素がない比較例1と比べて酸素放出温度が上昇している。特に、実施例2では、酸素放出温度が220℃以上と大きく上昇していることが分かる。このことから、添加元素としてホウ素を選択することによって、高い電池容量を維持したまま、酸素放出温度が上昇して熱安定性が改善されていることがわかる。
一方、比較例2乃至4は、ニッケル原子と酸素原子の結合距離が長くなる元素としてケイ素を添加したものであり、実施例1乃至4と比べて、酸素放出温度が低下して熱安定性が悪化している。また、実施例1、3及び4と比べると電池容量の指標となる初期放電容量も低下している。このことから、高い電池容量を維持したまま、酸素放出温度が上昇して熱安定性を改善するためには、添加元素としてホウ素を添加することが好ましいことが分かる。
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質は、電池容量を維持しながら酸素放出温度を上げることができるため、高容量で高い安全性が求められる車載用非水系電解質二次電池に適している。また、高容量であることから、携帯用小型機器の電源として用いられる非水系電解質二次電池の正極活物質としても有用である。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、非水系電解質二次電池用正極活物質の構成、動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
S11 選択工程、S12 晶析工程、S13 乾燥工程、S14 焼成工程、1 非水系電解質二次電池(2032型コイン電池)、2 ケース、2a 正極缶、2b 負極缶、2c ガスケット、3 電極、3a 正極、3b 負極、3c セパレータ、10 反応槽、11 撹拌翼、12 外周、13 供給管、14 シャフト、B 撹拌翼の最外周、B 撹拌翼の最外周と中心の中間位置、B 液面の外周、B 液面の外周から液面の外周と中心との距離の3分の1の地点、C 中心(中心軸)、D 撹拌翼の最深部、D 液面、D 撹拌翼の最深部から撹拌翼の最深部と反応溶液の液面との距離の3分の1の地点、P 供給位置

Claims (18)

  1. リチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、
    リチウムと、
    金属元素と、
    添加元素とを含み、
    前記リチウム金属複合酸化物は、層状岩塩型構造の結晶構造を有し、前記金属元素としてニッケルを含み、該ニッケルの含有量が前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して60〜90原子%であり、
    かつ、前記添加元素は、第一原理計算を用いて求めるニッケル原子と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の3bサイトのニッケル原子を該添加元素で置換することにより、置換前より短くなる元素であり、前記3bサイトの前記ニッケル原子と置換していることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。
  2. 前記リチウム金属複合酸化物は、前記金属元素としてコバルトを更に含み、前記添加元素は、第一原理計算を用いて求めるコバルト原子と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の前記3bサイトの前記ニッケル原子を該添加元素で置換することにより、置換前より短くなる元素であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  3. 前記添加元素は、前記3bサイトの前記ニッケル原子を前記添加元素で置換した際の前記第一原理計算を用いて求めた該添加元素と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物のニッケル原子と酸素原子との結合距離より短いことを特徴とする請求項1又は2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  4. 前記添加元素の含有量は、前記金属元素及び前記添加元素の合計の0.5〜3.0原子%であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  5. 前記添加元素が、ホウ素であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  6. 2032型コイン電池の正極活物質として用いた際の初期放電容量が195mAh/g以上であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を含む正極を備えることを特徴とする非水系電解質二次電池。
  8. リチウムと、金属元素と、及び添加元素とを含むリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    第一原理計算を用いて求めたニッケル原子と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の3bサイトのニッケル原子を置換することにより、置換前より短くなる元素を、前記添加元素として選択する選択工程と、
    少なくともニッケル塩を含む金属元素塩及び前記添加元素の化合物を含む混合水溶液と、アンモニウムイオンを含む水溶液を混合して反応溶液とし、該反応溶液の液温25℃基準のpH値が11.0〜12.5の範囲となるように制御してニッケル複合水酸化物を晶析させる晶析工程と、
    晶析した前記ニッケル複合水酸化物を洗浄した後、乾燥する乾燥工程と、
    乾燥後の前記ニッケル複合水酸化物とリチウム化合物を混合して得た混合物を酸素雰囲気下で焼成して前記リチウム金属複合酸化物を得る焼成工程と、
    を含むことを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 前記晶析工程において、前記pH値の制御にアルカリ性水溶液を用い、その際に、前記アンモニウムイオンを含む水溶液と前記アルカリ性水溶液を前記反応溶液の液中に供給して、前記ニッケル複合水酸化物の粒子を成長させることを特徴とする請求項8に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 前記アンモニウムイオンを含む水溶液と前記アルカリ性水溶液の供給位置は、垂直方向においては、反応溶液中の撹拌翼の最深部から、該撹拌翼の最深部と反応溶液の液面との距離の3分の1の位置までの間とし、水平方向においては、前記撹拌翼の最外周と中心の中間位置から該撹拌翼の最外周までの間とすることを特徴とする請求項9に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  11. 前記晶析工程において、前記pH値の制御にアルカリ性水溶液を用い、その際に、前記アンモニウムイオンを含む水溶液と前記アルカリ性水溶液を前記反応溶液の液面の外周から、該液面の外周と中心との距離の3分の1の位置までの間の液面に供給して、前記ニッケル複合水酸化物を成長させることを特徴とする請求項8に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  12. 前記リチウム金属複合酸化物は、前記金属元素としてコバルトをさらに含み、
    前記選択工程において、第一原理計算を用いて求めたコバルト原子と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物の前記3bサイトの前記ニッケル原子を置換することにより、置換前より短くなる元素を、前記添加元素として選択することを特徴とする請求項8乃至11の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  13. 前記選択工程において、前記第一原理計算を用いて求めた前記3bサイトの前記ニッケル原子を前記添加元素で置換した際の該添加元素と酸素原子との結合距離が、前記添加元素を含まないリチウム金属複合酸化物のニッケル原子と酸素原子との結合距離より短い元素を、添加元素として選択することを特徴とする請求項8乃至12の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  14. 前記添加元素の含有量が前記金属元素及び前記添加元素の合計に対して0.5〜3.0原子%であることを特徴とする請求項8乃至13の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  15. 前記添加元素がホウ素であることを特徴とする請求項8乃至14の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用活物質の製造方法。
  16. 前記晶析工程において、前記混合水溶液中の前記金属元素及び前記添加元素の合計の濃度を1.5〜2.5mol/Lとすることを特徴とする請求項8乃至15の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  17. 前記焼成工程において、焼成温度を650〜950℃とすることを特徴とする請求項8乃至16の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用活物質の製造方法。
  18. 前記焼成工程において、前記リチウム化合物として、水酸化リチウム、炭酸リチウム、又はこれらの混合物を用いることを特徴とする請求項8乃至17の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用活物質の製造方法。
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