JP2020033235A - 遷移金属複合水酸化物の製造方法、および、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
S(t)=S0×V0÷(V0+ΔV(t))・・・式1
S(t)<S0×V0÷(V0+ΔV(t))・・・式2
以下、リチウムイオン二次電池用正極活物質の原料として用いる遷移金属複合水酸化物とその製造方法について説明する。
(組成)
本発明の遷移金属複合水酸化物は、一例としてその組成が、以下の一般式(A):NixMnyCozMt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表されるように調製される。このような組成を有する遷移金属複合水酸化物を前駆体として、一例として以下の一般式(B):Li1+uNixMnyCozMtO2(−0.05≦u≦0.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表されるリチウム遷移金属含有複合酸化物を製造すれば、このリチウム遷移金属含有複合酸化物を正極活物質とする電極を二次電池に用いた場合に、測定される正極抵抗の値を低くできるとともに、サイクル特性等の電池性能を良好なものとすることができる。
本発明の遷移金属複合水酸化物の平均粒径は、1μmを超え、15μm以下、好ましくは平均粒径が3μm以上、8μm以下の範囲に調製される。遷移金属複合水酸化物の平均粒径をこのような範囲に制御することにより、該遷移金属複合水酸化物を原料として得られる正極活物質を所定の平均粒径(1μmを超え、15μm以下)に調製することができる。得られる正極活物質の粒径は原料とした遷移金属複合水酸化物の粒径と相関する。このため、この正極活物質を正極材料に用いた二次電池の特性は、原料とした遷移金属複合水酸化物の粒径に影響される。
本発明の複合水酸化物は、その粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90−d10)/平均粒径〕が、1.0以下、好ましくは0.70以下となるように調製される。
本発明の遷移金属複合水酸化物は、複数の一次粒子が凝集して形成された略球状の二次粒子により構成される。二次粒子を構成する一次粒子の形状としては、板状、針状、直方体状、楕円状、稜面体状などのさまざまな形態を採りうる。また、その凝集状態も、ランダムな方向に凝集する場合のほか、中心から放射状に粒子の長径方向が凝集する場合も本発明に適用することは可能である。
本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物の製造方法は、晶析反応によって遷移金属複合水酸化物を製造する方法であって、核生成を行う核生成工程と、核生成工程において生成された核を成長させる粒子成長工程とから構成されている。
本発明の遷移金属複合水酸化物の製造方法においては、図1に示すように、まず、原料となる遷移金属の金属化合物を所定の割合で水に溶解させ、原料水溶液を作製する。本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物の製造方法では、得られる遷移金属複合水酸化物における上記各金属の物質量比は、混合水溶液における各金属の物質量比と同じものとなる。
核生成工程の終了後、前記核生成用水溶液のpH値を、液温25℃基準で、10.5〜12.0、好ましくは11.0〜12.0、かつ、核生成工程におけるpH値よりも低いpH値となるように調整して、粒子成長工程における反応水溶液である粒子成長用水溶液を得る。具体的には、この調整時のpHの制御は、アルカリ水溶液の供給量を調節することにより行う。
S(t)=S0×V0÷(V0+ΔV(t))・・・式1
S(t)<S0×V0÷(V0+ΔV(t))・・・式2
核生成工程においては、反応水溶液のpH値が、液温25℃基準で12.0〜14.0、好ましくは12.3〜13.5の範囲となるように制御する必要がある。pH値が14.0を超える場合、生成する核が微細になり過ぎ、反応水溶液がゲル化する問題がある。また、pH値が12.0未満では、核形成とともに核の成長反応が生じるので、形成される核の粒度分布の範囲が広くなり得られる遷移金属複合水酸化物の粒径が不均一なものとなってしまう。すなわち、核生成工程において、上述の範囲に反応水溶液のpH値を制御することで、核の成長を抑制してほぼ核生成のみを起こすことができ、形成される核も均質かつ粒度分布の範囲が狭いものとすることができる。
本発明の遷移金属複合水酸化物の粒子構造は、核生成工程および粒子成長工程における反応雰囲気によって制御される。
金属化合物としては、目的とする金属を含有する化合物を用いる。使用する化合物は、水溶性の化合物を用いることが好ましく、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩などがあげられる。たとえば、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸コバルトが好ましく用いられる。
添加元素(Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)は、水溶性の化合物を用いることが好ましく、たとえば、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸チタン、ペルオキソチタン酸アンモニウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸バナジウム、バナジン酸アンモニウム、硫酸クロム、クロム酸カリウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、シュウ酸ニオブ、モリブデン酸アンモニウム、硫酸ハフニウム、タンタル酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニウムなどを好適に用いることができる。
原料水溶液の濃度は、金属化合物の合計で好ましくは1〜2.6mol/L、より好ましくは1.5〜2.4mol/L、さらに好ましくは1.8〜2.2mol/Lとする。原料水溶液の濃度が1mol/L未満では、反応槽当たりの晶析物量が少なくなるために生産性が低下して好ましくない。一方、原料水溶液の濃度が2.6mol/Lを超えると、−5℃以下で凍結して設備の配管を詰まらせるなどの危険があるため、配管の保温もしくは加温する必要があり、コストがかかる。
遷移金属複合水酸化物の製造方法においては、非還元性錯化剤を用いることが好ましい。還元性のある錯化剤を用いると、反応水溶液中でのマンガンの溶解度が大きくなり過ぎ、高いタップ密度の遷移金属複合水酸化物が得られない。非還元性錯化剤は、特に限定されるものではなく、水溶液中でニッケルイオン、コバルトイオンおよびマンガンイオンと結合して錯体を形成可能なものであればよい。たとえば、アンモニウムイオン供給体、エチレンジアミン四酢酸、ニトリト三酢酸、ウラシル二酢酸およびグリシンが挙げられる。
反応水溶液中のアンモニア濃度は、好ましくは3〜25g/L、より好ましくは5〜20g/L、さらに好ましくは5〜15g/Lの範囲内で一定値に保持する。
反応槽内において、反応液の温度は、好ましくは20〜60℃、より好ましくは35〜60℃に設定する。反応液の温度が20℃未満の場合、金属イオンの溶解度が低いため核発生が起こりやすく制御が難しくなる。一方、60℃を超えると、アンモニアの揮発が促進されるため、所定のアンモニア濃度を保つために、過剰のアンモニウムイオン供給体を添加しなければならならず、コスト高となる。
反応水溶液中のpHを調整するアルカリ水溶液については、特に限定されるものではなく、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物水溶液を用いることができる。かかるアルカリ金属水酸化物の場合、直接、反応水溶液中に供給してもよいが、反応槽内における反応水溶液のpH制御の容易さから、水溶液として反応槽内の反応水溶液に添加することが好ましい。
本発明の遷移金属複合水酸化物の製造方法では、反応が完了するまで生成物を回収しない方式の装置を用いる。たとえば、撹拌機が設置された通常に用いられるバッチ反応槽などである。かかる装置を採用すると、一般的なオーバーフローによって生成物を回収する連続晶析装置のように、成長中の粒子がオーバーフロー液と同時に回収されるという問題が生じないため、粒度分布が狭く粒径の揃った粒子を得ることができる。
本発明の正極活物質の製造方法は、上述した製造方法で得られた遷移金属複合水酸化物を前駆体として用い、所定の構造、平均粒径、および粒度分布を備える正極活物質を合成することができる限り、特に制限されることはない。しかしながら、工業規模の生産を実施する場合には、上記の遷移金属複合水酸化物をリチウム化合物と混合し、リチウム混合物を得る混合工程と、得られたリチウム混合物を、酸化性雰囲気中、650℃〜1000℃の範囲の温度で焼成する焼成工程とを備える製造方法によって正極活物質を合成することが好ましい。なお、必要に応じて、上述した工程に、熱処理工程や仮焼工程などの工程を追加してもよい。このような製造方法により、上記の正極活物質、特に、上述した一般式(B)で表される正極活物質を容易に得ることができる。
本発明の正極活物質の製造方法において、任意的に、混合工程の前に熱処理工程S30を設けて、遷移金属複合水酸化物を熱処理した熱処理粒子としてからリチウム化合物と混合してもよい。ここで、熱処理粒子には、熱処理工程S30において余剰水分を除去された遷移金属複合水酸化物のみならず、熱処理工程S30により、酸化物に転換された遷移金属含有複合酸化物、または、これらの混合物も含まれる。
混合工程S40は、遷移金属複合水酸化物または熱処理粒子に、リチウム化合物を混合して、リチウム混合物を得る工程である。
リチウム化合物として、水酸化リチウムや炭酸リチウムを使用する場合には、混合工程S40後、焼成工程の前に、リチウム混合物を、後述する焼成温度よりも低い温度で、かつ、350℃〜800℃、好ましくは450℃〜780℃で、仮焼する仮焼工程S50を行ってもよい。これにより、遷移金属複合水酸化物または熱処理粒子中に、リチウムを十分に拡散させることができ、より均一な正極活物質を得ることができる。
焼成工程S60は、混合工程S40で得られたリチウム混合物を所定条件の下で焼成し、遷移金属複合水酸化物または熱処理粒子中にリチウムを拡散させて、正極活物質を得る工程である。
リチウム混合物の焼成温度は、650℃〜1000℃とすることが必要となる。焼成温度が650℃未満のときは、遷移金属複合水酸化物または熱処理粒子中にリチウムが十分に拡散せず、余剰のリチウムや未反応の遷移金属複合水酸化物または熱処理粒子が残存したり、得られた正極活物質の結晶性が不十分になったりする場合がある。一方、焼成温度が1000℃より高いときは、正極活物質の粒子間が激しく焼結し、異常粒成長が引き起こされ、不定形な粗大粒子の割合が増加することとなる。
焼成時間のうち、上述した焼成温度での保持時間は、少なくとも2時間とすることが好ましく、4時間〜24時間とすることがより好ましい。焼成温度における保持時間が2時間未満では、遷移金属複合水酸化物または熱処理粒子中にリチウムが十分に拡散せず、余剰のリチウムや未反応の遷移金属複合水酸化物または熱処理粒子が残存したり、得られる正極活物質の結晶性が不十分なものとなったりするおそれがある。
焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気とすることが好ましく、酸素濃度が18容量%〜100容量%の雰囲気とすることがより好ましく、上記酸素濃度の酸素と不活性ガスの混合雰囲気とすることが特に好ましい。すなわち、焼成は、大気ないしは酸素気流中で行うことが好ましい。酸素濃度が18容量%未満では、正極活物質の結晶性が不十分なものとなるおそれがある。
焼成工程S60によって得られた正極活物質は、凝集または軽度の焼結が生じている場合がある。このような場合には、解砕工程S70で、正極活物質の凝集体または焼結体を物理的に解砕することが好ましい。これによって、得られる正極活物質の平均粒径や粒度分布を好適な範囲に調整することができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキングなどにより生じた複数の二次粒子からなる凝集体に、機械的エネルギを加えて、二次粒子自体をほとんど破壊することなく分離させて、凝集体をほぐす操作を意味する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、セパレータ、非水系電解質などの、一般のリチウムイオン二次電池と同様の構成部材を備える。なお、以下に説明する実施形態は例示にすぎず、本発明のリチウムイオン二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基づいて、種々の変更、改良を施した形態に適用することも可能である。
a)正極
本発明の正極活物質を用いて、たとえば、以下のようにしてリチウムイオン二次電池の正極を作製する。
負極には、金属リチウムやリチウム合金などを使用することができる。また、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用することができる。
セパレータは、正極と負極との間に挟み込んで配置されるものであり、正極と負極とを分離し、電解質を保持する機能を有する。このようなセパレータとしては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微細な孔を多数有する膜を用いることができるが、上記機能を有するものであれば、特に限定されることはない。
非水系電解質としては、非水電解液を用いることができる。非水系電解質は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
以上の正極、負極、セパレータ、および非水系電解質で構成される本発明のリチウムイオン二次電池は、円筒形や積層形など、種々の形状にすることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上述したように、本発明の正極活物質を正極材料として用いているため、電池容量およびサイクル特性に優れるとともに、出力特性が従来構造よりも飛躍的に改善されている。しかも、従来のリチウムニッケル系複合酸化物からなる正極活物質を用いた二次電池との比較においても、熱安定性や安全性において遜色はない。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上述のように、電池容量、出力特性、およびサイクル特性に優れており、これらの特性が高いレベルで要求される小型携帯電子機器(ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話など)の電源に好適に利用することができる。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、これらの特性のうち、出力特性が大幅に改善されており、かつ、安全性にも優れていることから、小型化および高出力化が可能であるばかりでなく、高価な保護回路を簡略することができるため、搭載スペースに制約を受ける輸送用機器用の電源としても好適に利用することができる。
a)遷移金属複合水酸化物の製造
[核生成工程]
はじめに、6L反応槽内に、水を1.4L入れて撹拌しながら、槽内温度を70℃に設定した。この際、反応槽内に窒素ガスを30分間流通させ、反応槽内空間の酸素濃度を1容量%以下とした。続いて、反応槽内に、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を適量供給し、pH値が、液温25℃基準で13.1となるように調整することで反応前水溶液を形成した。
核生成工程終了後、反応槽内へのすべての水溶液の供給を一旦停止するとともに、反応槽内に37質量%硫酸を加えて、反応水溶液のpH値が、液温25℃基準で11.8となるように調整した。pH値が所定の値になったことを確認した後、原料水溶液とタングステン酸ナトリウム水溶液を供給し、核生成工程で生成した核を成長させた。
得られた遷移金属複合水酸化物に対して、熱処理工程を行い、大気(酸素濃度:21容量%)気流中、120℃において、12時間熱処理して、熱処理粒子を得た。その後、混合工程として、熱処理粒子と炭酸リチウムとを、Li/Meの値が1.14となるように、混合し、シェーカーミキサ装置(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製、TURBULA TypeT2C)を用いて十分に混合し、リチウム混合物を得た。
[組成]
この正極活物質を試料として、ICP発光分光分析装置を用いて元素分率を計測したところ、この正極活物質は、一般式:Li1.14Ni0.331Mn0.331Co0.331Zr0.002W0.005O2で表されるものであることを確認した。
上記で得た正極活物質:52.5mgと、アセチレンブラック:15mgと、PTEE:7.5mgを混合し、100MPaの圧力で、直径11mm、厚さ100μmにプレス成形した後、真空乾燥機中、120℃で12時間乾燥することにより、正極(1)を作製した。
[初期放電容量]
2032型コイン電池100を作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2として、カットオフ電圧が4.3Vとなるまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧が3.0Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行ない、初期放電容量を求めた。この結果、初期放電容量は、158.3mAh/gであった。なお、初期放電容量の測定には、マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
上記充放電試験を繰り返し、初期放電容量に対する、500回目の放電容量を測定することで、500サイクル容量維持率を算出した。この結果、500サイクル容量維持率は、81.5%であることが確認された。
粒子成長工程における混合原料水溶液の添加速度を、粒子成長工程の初期から終了まで10mL/分で変化させなかったこと以外は、実施例1と同様とし、遷移金属複合水酸化物、正極活物質および二次電池を作製し、それらの評価を行った。
粒子成長工程における混合原料水溶液の添加速度を、実施例1における粒子成長工程終了時の添加速度である2.4mL/分で、粒子成長工程の初期から終了まで変化させなかったこと以外は、実施例1と同様とし、遷移金属複合水酸化物、正極活物質および二次電池を作製し、それらの評価を行った。
Claims (10)
- 一種以上の遷移金属を含む遷移金属原料水溶液と、アンモニウムイオン供給体と、を供給して反応水溶液を形成し、晶析反応によって、リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体である遷移金属複合水酸化物を製造する方法であって、
前記反応水溶液の液温25℃基準におけるpH値が12.0以上14.0以下の範囲となるように制御して、核の生成を行う核生成工程と、
前記核生成工程で得られた核を含む前記反応水溶液を、液温25℃基準におけるpH値が、前記核生成工程の反応水溶液のpH値よりも低く、かつ、10.5以上12.0以下の範囲となるように制御して、前記核を成長させる粒子成長工程と、を備え、
前記粒子成長工程における前記遷移金属原料水溶液の添加速度を、前記粒子成長工程の反応開始から反応終了までの経過時間とともに低減させることを特徴とする遷移金属複合水酸化物の製造方法。 - 前記粒子成長工程の反応開始時の、前記遷移金属原料水溶液の添加速度をS0、前記反応水溶液の全容積をV0とし、粒子成長工程開始からt時間経過した時の前記反応水溶液の全容積の増加量をΔV(t)とした場合に、
前記粒子成長工程開始からt時間経過した時の前記遷移金属原料水溶液の添加速度をS(t)が、式1を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属複合水酸化物の製造方法。
S(t)=S0×V0÷(V0+ΔV(t))・・・式1 - 前記粒子成長工程の反応開始時の、前記遷移金属原料水溶液の添加速度をS0、前記反応水溶液の全容積をV0とし、粒子成長工程開始からt時間経過した時の前記反応水溶液の全容積の増加量をΔV(t)とした場合に、
前記粒子成長工程開始からt時間経過した時の前記遷移金属原料水溶液の添加速度をS(t)が、式2を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属複合水酸化物の製造方法。
S(t)<S0×V0÷(V0+ΔV(t))・・・式2 - 前記添加速度S(t)を前記粒子成長工程の開始時の所定値から段階的に下げ、
前記開始時の前記所定値をS0よりも低い値とし、かつ前記添加速度S(t)が式2を満たすことを特徴とする請求項3に記載の遷移金属複合水酸化物の製造方法。 - 前記遷移金属複合水酸化物が、一般式(A):NixMnyCozMt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の遷移金属複合水酸化物の製造方法。
- 前記粒子成長工程後に、前記遷移金属複合水酸化物の表面を、添加元素M(Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の化合物によって被覆する、被覆工程を加えた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の遷移金属複合水酸化物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法によって得られた遷移金属複合水酸化物と、リチウム化合物とを混合して、リチウム混合物を形成する混合工程と、
該リチウム混合物を、酸化性雰囲気中で、650℃〜1000℃の範囲の温度で焼成して、リチウム遷移金属含有複合酸化物を得る焼成工程と、
を備える、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記混合工程において、前記リチウム混合物に含まれるリチウムの物質量の、リチウム以外の金属元素の物質量の合計に対する比率Li/Meが、0.95〜1.5である、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記混合工程の前に、前記遷移金属複合水酸化物を、105℃〜750℃の範囲の温度で熱処理する熱処理工程を備える、請求項7または8に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記リチウム遷移金属含有複合酸化物が、一般式(B):Li1+uNixMnyCozMtO2(−0.05≦u≦0.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表される、請求項7〜9のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
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