JP6796800B2 - 水洗便器 - Google Patents

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Description

本発明は、水洗便器に関する。
従来、ボウル面の一部に棚部を有する水洗便器が知られている(例えば特許文献1参照)。
棚部は、ボウル面の上縁開口より下側の部分に、上縁開口に沿う平面視環状に形成される、上面が上方を向くものである。この棚部の上面に、ボウル周方向に吐出された洗浄水を乗せて周回させながら、ボウル径内側(ボウル面の中央部の底部側)に洗浄水を流下させる。
棚部の上面には、ボウル周方向の一部に、ボウル径内側の端部から上方に覆い壁部が突出し、棚部上の覆い壁部に覆われる空間が、給水部からの水が供給される給水空間となる。
特開2008−138419号公報
上記従来の水洗便器にあっては、給水部から給水空間に供給された水が、給水空間の下流端(覆い壁部の下流端)の吐水口より棚部の上面にボウル周方向に向けて吐出される。このとき、棚面を周回して覆い壁部のボウル径内側の部分に到達した洗浄水が、吐水口より吐出された直後の洗浄水と衝突し、便座側に飛び跳ねるおそれがあった。
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、棚面を周回して覆い壁部のボウル径内側の部分に到達した洗浄水が、吐水口より吐出された直後の洗浄水と衝突するのを抑制する水洗便器を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態の水洗便器は、汚物および洗浄水を受ける上方に開口するボウル面を備える。
前記ボウル面は、棚部と、上部壁面と、を有する。前記棚部は、前記ボウル面の上縁開口から所定高さ下側の部分に前記上縁開口に沿う平面視環状またはC字状に形成され、上方を向く上面を有する。前記上部壁面は、前記棚部の前記上面のボウル径外側の端部から上がり法線がボウル径内側を向く。
水洗便器は、前記棚部の前記上面のボウル周方向の一部に、ボウル径内側の端部から上方に突出する覆い壁部を有する。
前記棚部の前記上面上の前記覆い壁部と前記上部壁面とで挟まれる空間が、給水部からの水が供給される給水空間となるとともに、前記棚部の前記上面の前記給水空間に対応する部分が給水面となる。前記棚部の前記上面の前記給水面より下流側の部分が、前記覆い壁部に覆われない棚面となる。
前記給水空間の下流端となるボウル周方向の端部が前記棚面へ水を吐出する吐水口となる。
前記給水空間の前記上部壁面に、ボウル径内側に突出してその上面が前記給水面となる突出部を有する。
前記棚部の前記覆い壁部よりボウル径内側の部分に、前記吐水口より吐出されて前記棚面を周回した水の進行方向をボウル径内側に変更させるガイド部を有する。
前記突出部は、前記給水空間のボウル径内外方向の全長にわたって位置し、その上面である前記給水面がボウル径内側に下り傾斜する主傾斜面を有する。
前記棚面は、ボウル径内側に位置して前記主傾斜面に接続する内接続領域に、上方に突出してその上面が前記棚面を構成しボウル径内側に下り傾斜する内棚面となる内突部を有する。
前記内突部と前記ガイド部が連続して一体に構成される。
本発明に係る一形態の水洗便器にあっては、棚面を周回して覆い壁部のボウル径内側の部分に到達した洗浄水が、進行方向をボウル径内側に変更されるため、吐水口より吐出された直後の洗浄水と衝突するのが抑制される。
図1は、本発明に係る第一実施形態の水洗便器の平面図である。 図2は、図1のA−A線断面図である。 図3は、図1のB−B線断面図である。 図4は、同上の水洗便器のボウル部の平面図である。 図5は、同上のボウル部の給水空間周辺を前斜め上方より見た斜視図である。 図6は、同上のボウル部の給水空間周辺をボウル周方向前方より見た断面図である。 図7は、本発明に係る第二実施形態の水洗便器のボウル部の給水空間周辺を前斜め上方より見た斜視図である。 図8は、同上のボウル部の給水空間周辺をボウル周方向前方より見た断面図である。
本発明は、水洗便器に関し、さらに詳しくは、ボウル面の一部に棚部を有する水洗便器に関する。
以下、第一実施形態の水洗便器について、図1〜図6に基いて説明する。
図1〜図3に示すように、水洗便器1は、ボウル部2と、リム部3と、を備える。
ボウル部2は、その内面が汚物および洗浄水を受けるボウル面20となるもので、上方に開口する。ボウル部2は中央部が底部21となり、底部21に排水口部22が設けられる。なお、底部21は、ボウル部2の厳密な中央部に形成されなくてもよい。
ここで、前後左右について、図1〜図3に示すように定義する。水洗便器1にあっては、便座(不図示)に座る使用者の向きが設計上想定されており、この便座に座った使用者が向く方を前方とする。前方に対して後方、左方、右方が定まる。
排水口部22は、図2、図3に示すように、縦筒部221の後部に横筒部222が接続されて内部空間が連続するように一体に形成された、筒状の部材である。排水口部22の上流端となる縦筒部221の上端開口220が、ボウル部2の底部21において上方に向けて開口している。排水口部22の下流端となる横筒部222の後端開口が、後方に向けて開口している。
図示しないが、横筒部222の後端には、筒状をした可動トラップの軸方向の一端(基端)が接続される。可動トラップは、ゴム、樹脂等により形成される変形可能なトラップ筒を有する。
トラップ筒は、モータにより、軸方向の他端(先端)の位置および向きが変化する。トラップ筒の先端が上位置に位置するとともに先端開口が上方を向く姿勢で、トラップを構成し、ボウル部2内に溜水が形成可能となる。また、トラップ筒の先端が下位置に位置するとともに先端開口が下方を向く姿勢で、ボウル部2内の溜水が汚物とともに排出可能となる。
なお、このような可動トラップが設けられる必要はなく、横筒部222の後端に固定的なトラップ筒が接続されるものであってもよい。
水洗便器1は、上記可動トラップとともに一体的に組み込まれて、便器装置を構成する。便器装置は、可動トラップの他に、脱臭装置、局部洗浄装置といった各種装置を適宜備えてもよい。
ボウル部2の上縁には、リム部3が設けられている。リム部3は、上面31に便座が載置される。図2、図3に示すように、リム部3は、平面視において、その内端縁がボウル部2の上端部(ボウル面20の上縁開口201)よりも内側に位置している。
さらに第一実施形態では、図2、図3に示すように、リム部3に樹脂からなるスカート部11が一体に固着されている。スカート部11は、ボウル部2の前方、左方、右方を覆う。第一実施形態では、ボウル部2、リム部3およびスカート部11が一体に形成されて、水洗便器1が構成されている。
さらに第一実施形態では、図示しないが、樹脂により一体に形成されているボウル部2、リム部3およびスカート部11を補助的に支持する金属製のフレーム部が設けられている。
第一実施形態では、水洗便器1にリム部3およびスカート部11が設けられているが、水洗便器1にリム部3およびスカート部11が設けられなくてもよい。
ボウル面20は、その一部として、図4に示すように、ボウル周方向(図4中の矢印10)に通水された洗浄水をボウル面20の上縁開口に沿って流すための棚部4を有する。
棚部4は、ボウル面20の上縁開口201から所定高さ下側(上縁開口201から30mm下側)の部分に、上縁開口201に沿う平面視環状に形成される。
第一実施形態では、棚部4は平面視環状に形成されているが、棚部4が平面視C字状に形成されてもよい。また、第一実施形態では、棚部4はボウル面20の上縁開口201から30mm下側の部分に形成されているが、前記数値は例えば5mm〜100mm等であってもよく、限定されない。
棚部4は、図2、図3に示すように、上方を向く上面40を有する。上面40は、その法線が鉛直上方に対して20度以下の角度をなす方向を向く。第一実施形態では、上面40とボウル面20の上面40のすぐ下側の部分とは、ボウル周方向に直交する断面において滑らかな曲線により連続しているが、特に限定されない。
ボウル面20は、図2、図3に示すように、その一部として、棚部4の上面40のボウル径外側(すなわち平面視におけるボウル面20の中央側と反対側)の端部から上がる上部壁面23を有する。上部壁面23は、平面視環状に形成され、その法線がボウル径内側を向く。上部壁面23の法線は、水平方向に対して上方に0〜40度の角をなす。上部壁面23の上端が、ボウル面20の上縁開口201となる。第一実施形態では、ボウル部2の上縁開口201に連続するように上述したリム部3が設けられている。リム部3の法線が水平方向より下側を向く上壁面32が、棚部4の上面40の上方に位置している。
水洗便器1は、棚部4の上面40のボウル周方向の一部に、ボウル径内側の端部から上方に突出する覆い壁部42を有する。第一実施形態では、図4に示すように、ボウル面20の右側の後ろ寄りの部分に、ボウル周方向の中心角にして15〜20度程度の覆い壁部42が設けられている。
棚部4の上面40上の覆い壁部42と上部壁面23とで挟まれる空間が、給水部6からの水が供給される給水空間5となる。給水部6は、水道または貯湯タンク等の水源から水が供給される。給水部6は、下流端に水を吐出する給水出口60を有し、この下流端が給水空間5内に導入される。なお、あらかじめ給水空間5内に給水部6としての給水ノズル(不図示)が配置され、この給水ノズルに水源からの水を供給するための外部からの送水管(不図示)が接続されるようにしてもよい。また、給水ノズルを用いずに、給水出口60を給水空間5を構成する部分と一体成型して形成してもよい。
棚部4の上面40の給水空間5に対応する部分が給水面50となる。棚部4の上面40の給水面50より下流側の部分が、覆い壁部42に覆われない棚面43となる。
給水空間5の上流端となるボウル周方向の一端側の部分に、所定の位置および向きで給水出口60が配置される給水出口位置が定められる。図3、図4は、給水空間5に給水部6が配置されるとともに、給水出口位置に給水出口60が所定の位置および向きで配置された状態を示している。第一実施形態では、給水出口60の内径(直径)は10mmであるが、特に前記数値に限定されない。給水出口60の所定の位置は、ボウル周方向については、図4、図5に示すように、給水空間5の後端部近傍である。また、給水出口60の所定の位置は、上下方向については、図6に示すように、下端が給水面50より若干(例えば1〜2mmであるが、特に前記数値に限定されない)高く形成される。なお、給水出口60の下端が給水面50上に位置してもよい。また、給水出口60の所定の位置は、ボウル径内外方向については、図6に示すように、給水空間5の中央部である。なお、給水出口60が給水面50のボウル径内外方向における中央部に位置しなくてもよい。
給水出口60の所定の向きとは、図4、図5に示すように、給水出口60から吐出される洗浄水の向き(図中の矢印61参照)がボウル周方向の下流側(図4、図5における前側)となる向きである。
図4、図5に示すように、給水空間5の下流端となるボウル周方向の他端が、棚面43へ水を吐出する吐水口44となる。
図6に示すように、吐水口44側から給水空間5を見たボウル周方向視において給水出口位置の下部に対応する上部壁面23に、ボウル径内側に突出してその上面が給水面50となる突出部7を有する。第一実施形態では、突出部7のボウル周方向における位置は、図4、図5に示すように、給水空間5の吐水口44に接続する領域である。突出部7のボウル周方向における長さは、給水空間5のボウル周方向における長さの約半分である。なお、突出部7のボウル周方向における位置および長さは、前記に限定されない。
また図4に示すように、突出部7のボウル径内側に突出する突出長さ700は、上流側へ行くほど短く形成されている。
図6に示すように、突出部7の高さの中間(第一実施形態では突出部7の半分の高さであるが、限定されない)を仮想の境界として、給水空間5を下給水空間51と上給水空間52とに分割して考える。言い換えると、給水空間5の突出部7が位置する上下範囲の下部の特に狭められた領域を下給水空間51とし、給水空間5の下給水空間51の上側の領域を上給水空間52とする。下給水空間51のボウル周方向視における水平長さ511(ボウル径内外方向の長さ)が、上給水空間52のボウル周方向視における水平長さ521よりも短く形成されている。
また、突出部7の上面の給水面50は、図5に示すように、上流端部701が下流側(前側)に向けて上り傾斜し、上流端部701よりも下流側の部分702は水平または下流側に向けて下り傾斜している。上流端部701の下流側に向けた上り傾斜角は25〜60度であり、上流端部701よりも下流側の部分702の下流側に向けた下り傾斜角は0〜20度であるが、特に前記数値に限定されない。
また、給水面50の突出部7よりボウル径内側に位置して吐水口44に到る内下流領域501および棚面43のボウル径内側に位置して内下流領域501に接続する内接続領域431が、図6の矢印12に示すように、ボウル径内側に下り傾斜する。内下流領域501および内接続領域431のボウル径内側に下り傾斜する下り傾斜角は、5〜20度であるが、特に前記数値に限定されない。
棚部4は、平面視環状に形成されている。このため、吐水口44より棚面43に吐出された洗浄水は、上部壁面23にガイドされながら棚面43を周回して覆い壁部42のボウル径内側に到る。さらに洗浄水は、覆い壁部42より下流側に流れると遠心力によりボウル径外側へと移動して、吐水口44のすぐ下流側の部分へと進入しようとする。周回した洗浄水が吐水口44のすぐ下流側の部分へと進入すると、吐水口44より吐出された直後の洗浄水と衝突し、便座側に飛び跳ねてしまう。
そこで、水洗便器1は、図3〜図6に示すように、棚部4の覆い壁部42よりボウル径内側の部分に、吐水口44より吐出されて棚面43を周回した水の進行方向をボウル径内側に変更させるガイド部8を有する。
ガイド部8は、下流側へ行くほどボウル径内側に位置するガイド面80を有する。ガイド面80は、上面がボウル径内側に向けて下り傾斜しており、その水平方向に対する傾斜角は40〜60度であるが、特に前記数値に限定されない。
第一実施形態の水洗便器1にあっては、洗浄水は、図4、図5に示すように、まず給水出口60から矢印61の向きで吐出される。図6に示すように、給水出口60から吐出された洗浄水のうち、上給水空間52の部分を通過する洗浄水は、その大部分が突出部7の上方を飛び越えるとともに、残りの一部が突出部7の上面の給水面50上に乗って突出部7を通過して、図5に示す吐水口44より棚面43へと吐出される。このため、上給水空間52の部分を通過する洗浄水は、図6に示すように、突出部7が位置せず水平長さ521が長い上給水空間52を小さな流路抵抗で通過することができ、流速を大きく削がれることなく棚面43を周回することができる。
一方、給水出口60から吐出された洗浄水のうち、下給水空間51の部分を通過する洗浄水は、突出部7の突出により水平長さ511が上給水空間52の水平長さ521より短く、上給水空間52よりも流路抵抗が大きな下給水空間51を通過する。このため、下給水空間51の部分を通過する洗浄水は、突出部7の横を通過する際に流速を大きく削がれ、吐水口44から棚面43へと吐出された後、棚面43を周回しにくく、ボウル径内側に流下しやすくなる。
これにより、吐水口44のすぐ下流側の部分において、突出部7がない場合よりも多量の洗浄水がボウル径内側に流下して、吐水口44のすぐ下流側のボウル径内側のボウル面20に付着した汚れが洗い流されやすくなる。
また、図4に示すように、突出部7は、上流側へ行くほどボウル径内側に突出する突出長さ700が短く形成されている。このため、下給水空間51の流路抵抗が連続的に変化して、急激な流路抵抗の変化により洗浄水の運動エネルギーが大きく損失するのが抑制される。
また、図6に示すように、給水面50の内下流領域501および棚面43の内接続領域431が、矢印12に示すように、ボウル径内側に下り傾斜する。このため、吐水口44のすぐ下流側の部分において、吐水口44から棚面43へと吐出された洗浄水がより一層、ボウル径内側に流下しやすくなる。
次に、第二実施形態の水洗便器1について、図7〜図8に基いて説明する。なお、第二実施形態の水洗便器1は、第一実施形態の水洗便器1と大部分において同じである。このため、第一実施形態と重複する説明については、同符号を付して説明を省略する。
第二実施形態においても、図7に示すように、吐水口44側から給水空間5を見たボウル周方向視において給水出口位置の下部に対応する上部壁面23に、ボウル径内側に突出してその上面が給水面50となる突出部7を有する。第二実施形態の突出部7は、給水空間5のボウル径内外方向の全長にわたって位置し、その上面である給水面50が、ボウル径内側に下り傾斜する主傾斜面71を有する。
図7に示すように、下給水空間51のボウル周方向視における水平長さ511が、上給水空間52のボウル周方向視における水平長さ521よりも短く形成される点も第一実施形態と同様である。
図7、図8に示すように、主傾斜面71は、ボウル径内側に位置する下主傾斜面72と、下主傾斜面72よりボウル径外側に位置する上主傾斜面73とを有する。図8に示すように、上主傾斜面73のボウル径内側に下り傾斜する下り傾斜角731が、下主傾斜面72のボウル径内側に下り傾斜する下り傾斜角721よりも小さい。上主傾斜面73の下り傾斜角731は、第二実施形態では25〜30度であるが、特に前記数値に限定されない。下主傾斜面72の下り傾斜角721は、第二実施形態では50〜60度であるが、特に前記数値に限定されない。すなわち、主傾斜面71のボウル径内側に下り傾斜する下り傾斜角は、25〜60度であるが、特に前記数値に限定されない。
図7に示すように、上主傾斜面73は、ボウル周方向の下流側に向けて(矢印732参照)下り傾斜しており、その水平方向に対する傾斜角は第二実施形態では5〜20度であるが、特に前記数値に限定されない。
また、図7に示すように、上主傾斜面73は、上流側へ行くほどボウル径内外方向の長さ733が短く形成されている。
また、図8に示すように、下主傾斜面72と上主傾斜面73とは、断面において滑らかな曲線により連続する。
図7に示すように、棚面43は、ボウル径外側に位置して上主傾斜面73に接続する外接続領域に、上方に突出してその上面が棚面43を構成する外棚面450となる外突部45を有する。外棚面450は、ボウル周方向の下流側に向けて(矢印451参照)下り傾斜しており、その水平方向に対する傾斜角は第二実施形態では5〜20度であるが、特に前記数値に限定されない。
外棚面450は、上主傾斜面73に連続しており、外棚面450も上主傾斜面73と同様にボウル径内側に向けて(矢印452参照)下り傾斜しており、その水平方向に対する傾斜角は25〜30度であるが、特に前記数値に限定されない。
また、棚面43は、ボウル径内側に位置して下主傾斜面72に接続する内接続領域に、上方に突出してその上面が棚面43を構成する内棚面460となる内突部46を有する。内棚面460は、ボウル径内側に向けて(矢印461参照)下り傾斜しており、その水平方向に対する傾斜角は第二実施形態では40〜60度であるが、特に前記数値に限定されない。
内棚面460は、ボウル径内外方向において外棚面450と連続しているとともに、ボウル周方向において下主傾斜面72に連続している。内棚面460は、ボウル周方向の下流側に向けて(矢印462参照)下り傾斜しており、その水平方向に対する傾斜角は第二実施形態では5〜20度であるが、特に前記数値に限定されない。
第二実施形態では、ガイド部8は、内突部46と連続して一体に構成されており、構成を簡素にすることができる。また、ガイド部8を一体に有する内突部46と、外突部45と、突出部7とは一体に構成されており、より一層簡素な構成となっている。
第二実施形態の水洗便器1にあっては、洗浄水は、まず給水出口60から矢印61の向きで吐出される。このとき、図8に示すように、給水出口60から吐出された洗浄水のうち、上給水空間52の部分を通過する洗浄水は、水平長さ521が長い上給水空間52を小さな流路抵抗で通過することができ、流速を大きく削がれることなく棚面43を周回することができる。
また、下給水空間51の部分を通過する洗浄水は、水平長さ511が水平長さ521より短く上給水空間52よりも流路抵抗が大きな下給水空間51を通過する。このため、下給水空間51の部分を通過する洗浄水は、突出部7の横を通過する際に流速を大きく削がれ、吐水口44から棚面43へと吐出された後、棚面43を周回しにくく、ボウル径内側に流下しやすくなる。
また、突出部7が下主傾斜面72と上主傾斜面73とを有し、上主傾斜面73の下り傾斜角731が下主傾斜面72の下り傾斜角721よりも小さく形成されている。このため、上給水空間52の部分を通過する洗浄水の一部は、突出部7の上面の給水面50上に乗って流れるが、このとき上主傾斜面73を下流側に流れる洗浄水はボウル径内側に向けた力を大きくは受けない。これにより、上主傾斜面73より棚面43に流れた洗浄水が棚面43を周回しやすくなる。
また、上主傾斜面73に接続する外棚面450を有する外突部45が設けられており、外棚面450がボウル周方向の下流側に向けて下り傾斜するため、上主傾斜面73から棚面43へと洗浄水が急激に降下(落下)して、洗浄水の運動エネルギーが損失されるのが抑制される。
また、下主傾斜面72に接続する内棚面460を有する内突部46が設けられており、内棚面460がボウル径内側に向けて下り傾斜するため、吐水口44のすぐ下流側の部分において、吐水口44から棚面43へと吐出された洗浄水がより一層、ボウル径内側に流下しやすくなる。
また、上主傾斜面73は、ボウル周方向の下流側に向けて下り傾斜するとともに上流側へ行くほどボウル径内外方向の長さ733が短く形成されている。このため、下給水空間51の上主傾斜面73上の流路抵抗が連続的に変化するため、急激な流路抵抗の変化により洗浄水の運動エネルギーが大きく損失するのが抑制される。
また、下主傾斜面72と上主傾斜面73とは、断面において滑らかな曲線により連続する。このため、下給水空間51の下主傾斜面72と上主傾斜面73とに対応する部分における流路抵抗が連続的に変化するため、流路抵抗が急激に変化することによる洗浄水の運動エネルギーの損失が抑制される。
また、ガイド部8により、棚面43を周回して覆い壁部42のボウル径内側の部分に到達した洗浄水が、進行方向をボウル径内側に変更されるため、吐水口44より吐出された直後の洗浄水と衝突するのが抑制される。
また、主傾斜面71により下給水空間51の流路抵抗が上下方向において連続的に変化して、流路抵抗が上下方向において急激に変化することによる洗浄水の運動エネルギーの損失が抑制される。
以上、述べた第一実施形態および第二実施形態から明らかなように、第1の態様の水洗便器1は、汚物および洗浄水を受ける上方に開口するボウル面20を備える。
ボウル面20は、棚部4と、上部壁面23と、を有する。棚部4は、ボウル面20の上縁開口201から所定高さ下側の部分に上縁開口201に沿う平面視環状またはC字状に形成され、上方を向く上面40を有する。上部壁面23は、棚部4の上面40のボウル径外側の端部から上がり法線がボウル径内側を向く。
水洗便器1は、棚部4の上面40のボウル周方向の一部に、ボウル径内側の端部から上方に突出する覆い壁部42を有する。
棚部4の上面40上の覆い壁部42と上部壁面23とで挟まれる空間が、給水部6からの水が供給される給水空間5となるとともに、棚部4の上面40の給水空間5に対応する部分が給水面50となる。棚部4の上面40の給水面50より下流側の部分が、覆い壁部42に覆われない棚面43となる。
給水空間5の下流端となるボウル周方向の端部が棚面43へ水を吐出する吐水口44となる。
給水空間5の上部壁面23に、ボウル径内側に突出してその上面が給水面50となる突出部7を有する。
棚部4の覆い壁部42よりボウル径内側の部分に、吐水口44より吐出されて棚面43を周回した水の進行方向をボウル径内側に変更させるガイド部8を有する。
第1の態様によれば、棚面43を周回して覆い壁部42のボウル径内側の部分に到達した洗浄水が、進行方向をボウル径内側に変更されるため、吐水口44より吐出された直後の洗浄水と衝突するのが抑制される。
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現される。第2の態様では、突出部7は、給水空間5のボウル径内外方向の全長にわたって位置し、その上面である給水面50がボウル径内側に下り傾斜する主傾斜面71を有する。
棚面43は、ボウル径内側に位置して主傾斜面71に接続する内接続領域431に、上方に突出してその上面が棚面43を構成しボウル径内側に下り傾斜する内棚面460となる内突部46を有する。内突部46とガイド部8が連続して一体に構成される。
第2の態様によれば、構成を簡素にすることができる。
1 水洗便器
20 ボウル面
201 上縁開口
23 上部壁面
4 棚部
40 上面
42 壁部
43 棚面
431 内接続領域
44 吐水口
46 内突部
460 内棚面
5 給水空間
50 給水面
6 給水部
60 給水出口
7 突出部
71 主傾斜面
8 ガイド部

Claims (1)

  1. 汚物および洗浄水を受ける上方に開口するボウル面を備え、
    前記ボウル面は、その上縁開口から所定高さ下側の部分に前記上縁開口に沿う平面視環状に形成され、上方を向く上面を有する棚部と、前記棚部の前記上面のボウル径外側の端部から上がり法線がボウル径内側を向く上部壁面と、を有し、
    前記棚部の前記上面のボウル周方向の一部に、ボウル径内側の端部から上方に突出する覆い壁部を有し、
    前記棚部の前記上面上の前記覆い壁部と前記上部壁面とで挟まれる空間が、給水部からの水が供給される給水空間となるとともに、前記棚部の前記上面の前記給水空間に対応する部分が給水面となり、前記棚部の前記上面の前記給水面より下流側の部分が前記覆い壁部に覆われない棚面となり、
    前記給水空間の下流端となるボウル周方向の端部が前記棚面へ水を吐出する吐水口となり、
    前記給水空間の前記上部壁面に、ボウル径内側に突出してその上面が前記給水面となる突出部を有し、
    前記棚部の前記覆い壁部よりボウル径内側の部分に、前記吐水口より吐出されて前記棚面を周回した水の進行方向をボウル径内側に変更させるガイド部を有し、
    前記突出部は、前記給水空間のボウル径内外方向の全長にわたって位置し、その上面である前記給水面がボウル径内側に下り傾斜する主傾斜面を有し、
    前記棚面は、ボウル径内側に位置して前記主傾斜面に接続する内接続領域に、上方に突出してその上面が前記棚面を構成しボウル径内側に下り傾斜する内棚面となる内突部を有し、
    前記内突部と前記ガイド部が連続して一体に構成されることを特徴とする水洗便器
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