JP6828426B2 - 水洗大便器 - Google Patents
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Description
このような水洗大便器においては、ボウル部の後方側の導水路から洗浄水が供給されるリム通水路が、ボウル部の左側のリム部の内部に形成されており、このリム通水路は、ボウル部のリム部の前端を経てボウル部の右側のリム部のリム吐水口までリム部の周方向の形状に沿って形成されている。
したがって、リム通水路内全体の容積空間が大きくなる程、通水時にリム通水路内の洗浄水が巻き込む空気量も多くなる。洗浄水が巻き込む空気量が増えると、空気が洗浄水から分離する際に異音が発生しやすくなる。特に、リム部の前端のリム通水路を洗浄水が旋回する際には、リム通水路の曲率半径が小さく、洗浄水の速度や向きが大きく変化するので、空気の分離が生じ易くなり、異音が発生し易くなる。
この問題を解決するために、リム通水路内の洗浄水の流速を低下させると、リム吐水口から吐水される洗浄水によって汚物受け面内を一周旋回するような旋回流を形成できない場合がある。
このように構成された本発明においては、リム通水路は、リム部の前端部を含むボウル部の前方側領域において、リム通水路の流れ方向に直交する流路断面の断面積が一定となるその始点から終点まで延びる断面積一定区間を備えるので、リム通水路の断面積一定区間ではリム通水路内の容積変化がなく、洗浄水が流れる空間を一定に保ちつつ、それ以外の空間であるエア空間が途中で増減しないようにすることができる。つまり、リム通水路中で曲率半径が最も小さく、空気の分離の起きやすい箇所であるリム部の前端部を含むボウル部の前方側領域において、無駄な空間が減り、リム通水路内の容積が大きくなるように流れ方向に直交する断面積が変化した場合と比べて通水時に洗浄水が巻き込む空気量を減らすことができる。
そのため、旋回流の形成に必要な洗浄水の流速を維持しつつ、通水時に空気の分離が発生しやすいリム部の前端部を含むボウル部の前方側領域において異音を抑制することができる。
さらに、本発明においては、リム通水路が、断面積一定区間からリム吐水口までリム吐水口側へ向けて下方に傾斜している底面を有するので、リム通水路を流れる洗浄水が、リム吐水口からの吐水終了時に断面積一定区間の始点からリム吐水口まで間のリム通水路に残りにくく、リム通水路内の残水に起因する汚れや臭気の発生を抑制しつつ、通水時に空気の分離が発生しやすいリム部の前端部を含むボウル部の前方側領域において異音の発生を抑制することができる。
このように構成された本発明においては、リム通水路の曲率半径が小さく遠心力による空気の分離が起きやすいリム部の前端部を含むボウル部の前方側領域にあるリム通水路のすべての区間を断面積一定区間にすることができる。
そのため、通水時に空気の分離が発生しやすいリム部の前端部を含むボウル部の前方側領域においての異音の発生をさらに抑制することができる。
このように構成された本発明においては、リム吐水口は、ボウル部の前方側領域に形成されているので、リム吐水口がボウル部の後方側領域に形成される場合に比べて、リム通水路の全長が短く、リム通水路の容積を削減することができ、リム通水路内の空気量を削減することができる。そのため、空気の分離に起因する異音の発生を抑制することができる。
まず、図1乃至図3により、本発明の一実施形態による水洗大便器の基本構造を説明する。図1は本発明の一実施形態による水洗大便器を示す斜視図であり、図2は本発明の一実施形態による水洗大便器の断面図であり、図3は図1に示す本発明の一実施形態による水洗大便器の便器本体の部分平面図である。
図2に示すように、機能部8は、便器本体2の後方上部に配置され、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄系機能部10と、この衛生洗浄系機能部10に近接して配置され、便器本体2への給水する給水系機能部12と、を備えている。
また、図2に示すように、便器本体2には、ボウル部20内の汚物を排出する排水路である排水トラップ管路22が設けられ、この排水トラップ管路22の入口部22aがボウル部20に接続されている。
具体的に説明すると、リム通水路24は、便器本体2の前方から見てボウル部20の後方側領域R内の左側のリム部18から、ボウル部20の前方側領域Fのリム部18の前端部18aを経て、便器本体2の前方から見てボウル部20の前方側領域Fの右側のリム部18まで形成されている。また、このリム通水路24の下流端には、リム吐水口26が形成されている。
ここで、リム通水路24及びリム吐水口26は、陶器により便器本体2に一体に形成されている。
導水管28の上流側は、洗浄水源である水道(図示せず)に直結されており、この水道の給水圧力を利用して、導水管28からリム通水路24内に供給された洗浄水は、リム部18の形状に沿って形成されたリム通水路24内を流れ、リム吐水口26まで導かれるようになっている。
そして、リム吐水口26に導かれた洗浄水は、ボウル部20の後方に向けて吐水され、ボウル部20内を旋回することにより、ボウル部20内に旋回流が形成されるようになっている。
なお、リム部18に設けられ洗浄水を吐水してボウル部20内に旋回流を形成する吐水口は、リム吐水口26のみである。
要するに、本実施形態においては、リム通水路が、ボウル部20の左右の何れか一方側のリム部18から、リム部18の前端部18aを経て、ボウル部20の左右の何れか他方側のリム部18まで、リム部18の形状に沿って形成されると共に、リム吐水口が、ボウル部20の左右の何れか他方側のリム部18に配置され、ボウル部20の後方に向けてリム吐水を行うような形態であればよい。
その結果、旋回流の形成に必要な洗浄水の流速を維持しつつ、通水時に空気の分離が発生しやすいリム部18の前端部18aを含むボウル部20の前方側領域F内の断面積一定区間Sにおいて異音の発生を抑制することができる。
換言すれば、リム通水路24の底面32は、リム通水路24の断面積一定区間Sの始点Xsからリム吐水口26の形成された終点Xeまで、リム吐水口26に向けて下方に傾斜している。
ここで、傾斜角度α1、α2の大きさについては、それぞれ1°〜5°、1°〜7°に設定されることが好ましく、1.5°〜3°、2°〜4°に設定されることがより好ましい。
そのため、リム通水路24内の残水に起因する汚れや臭気の発生を抑制しつつ、通水時に空気の分離が発生しやすいリム部18の前端部18aを含むボウル部20の前方側領域Fにおいて異音の発生を抑制することができる。
また、傾斜角度はα1<α2であり、リム通水路24の底面32は、下流側の方がより傾斜しているので、洗浄水の勢いがなくなるリム通水路24の下流側において、洗浄水の残水をさらに抑制することができる。
本発明の一実施形態による水洗大便器1によれば、リム通水路24は、ボウル部20の前方側領域Fにおいて、リム部18の前端部18aを含むリム通水路24の流れ方向に直交する流路の断面積が一定となる断面積一定区間Sを備えるので、リム通水路24の断面積一定区間Sではリム通水路24内の容積変化がなく、洗浄水が流れる空間を一定に保つことができ、それにより、洗浄水から洗浄水に含まれる空気が分離される際に生じる大きな異音の発生を抑制することができる。より具体的に説明すると、リム通水路24中で曲率半径ρが最も小さく空気の分離の起きやすい箇所であるリム部18の前端部18aを含むボウル部20の前方側領域Fにおいて、リム通水路24内を流れる洗浄水を整流でき、リム通水路24内の容積が変化した場合と比べて、洗浄水の流速や向きの変化を少なくすることができる。
その結果、旋回流の形成に必要な洗浄水の流速を維持しつつ、通水時に空気の分離が発生しやすいリム部18の前端部18aを含むボウル部20の前方側領域Fにおいて異音を抑制することができる。
2 便器本体
14 汚物受け面
18 リム部
18a リム部の前端部
20 ボウル部
22 排水トラップ管路
24 リム通水路(リム吐水部)
26 リム吐水口(リム吐水部)
28 導水管(導水路)
30 リム部の内壁部
32 リム通水路の底面
Claims (3)
- 洗浄水源から供給される洗浄水によって洗浄されて汚物を排出する水洗大便器であって、
ボウル形状の汚物受け面と、この汚物受け面の上縁に形成されたリム部と、を備えたボウル部と、
このボウル部の下方に接続され汚物を排出する排水路と、
上記リム部に設けられて上記ボウル部に洗浄水を吐水して旋回流を形成するリム吐水部と、
上記洗浄水源から供給される洗浄水を上記リム吐水部に供給する導水路と、を有し、
上記ボウル部は、これを前後方向に二等分する左右方向に延びる中心線に対して前方側である前方側領域と後方側である後方側領域と、を備え、
上記リム吐水部は、上記ボウル部の上記リム部内に形成され上記導水路から供給された洗浄水を通水するリム通水路を備え、洗浄水を後方に向けて吐水するリム吐水口をリム通水路の下流端に形成し、
上記リム通水路は、上記ボウル部の後方側領域の左右の何れか一方の側から上記リム部の前端部を経て上記ボウル部の左右の他方の側の上記リム部まで設けられ、
上記リム通水路は、上記リム部の前端部を含む上記ボウル部の前方側領域において、上記リム通水路の流れ方向に直交する流路の断面積が一定となるその始点から終点まで延びる断面積一定区間を備え、
上記リム通水路は、上記断面積一定区間の始点から上記リム吐水口まで上記リム吐水口側へ向けて下方に傾斜している底面を備えている水洗大便器。 - 上記リム通水路の断面積一定区間は、上記ボウル部の前方側領域の左右の何れか一方の側において洗浄水の流れ方向に沿って大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する開始点から、上記リム部の前端を経て、上記ボウル部の前方側領域の他方の側において洗浄水の流れ方向に沿って小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する終了点までの区間を含む請求項1記載の水洗大便器。
- 上記リム吐水口は、上記ボウル部の前方側領域に形成される請求項1又は請求項2に記載の水洗大便器。
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