本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。本実施の形態では、車両のフロントピラーによって遮られる死角領域の像を、死角補助装置により映す例について説明する。但し、この死角補助装置は、車両のフロントピラーに採用した構成に限定されるものではない。
実施例に係る死角補助装置について図面に基づき説明する。なお、説明中、左右とは車両の乗員を基準として左右、前後とは車両の前進方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは乗員から見て左、Riは乗員から見て右、Upは上、Dnは下、CLは車幅方向の中心を示している。
図1に示されるように、自動車等の車両10は、車体の前部に左右のフロントピラー11,11と、この左右のフロントピラー11,11間に設けられたウインドシールド12と、左右のフロントピラー11,11の後端に設けられた左右のサイドガラス13,13とを有する。
ウインドシールド12の全周縁には、透光を遮る帯状の遮蔽層14が設けられている。この遮蔽層14は、ウインドシールド12の裏面の全縁に、印刷によって所定幅の帯状に形成された、例えば周知の黒色セラミック層からなる。この黒色セラミック層は、黒色顔料を含有した黒色セラミックペーストをウインドシールド12の裏面に塗着することにより、ウインドシールド12に一体的に形成されてなり、通称、黒セラ部といわれている。
ウインドシールド12の後方に位置している車室15の前部には、ステアリングホイール16と図示せぬ座席とが配置されている。以下、車両10の一例として、右ハンドル車を例示するが、これに限定されない。
図1及び図2に示されるように、車室15にいる視認者Mn(主に運転者)は、ウインドシールド12(遮蔽層14の部分を除く)と左右のサイドガラス13,13を透して車外の風景を直接に視認することができる。しかし、車両10のなかの、左右のフロントピラー11,11と遮蔽層14,14が配置される領域では、前記視認者Mnの視界が遮られて、外部の風景を直接に視認することができない。つまり、死角領域Adが生じる。左右のフロントピラー11,11と遮蔽層14,14は、障害物に該当する。
これに対し、図1及び図2に示されるように、本発明の車両10は死角補助装置20を備えている。この死角補助装置20は、障害物11(フロントピラー11)により遮られて視認者Mnから見えない死角領域Adにある物体Ojの像を映す。ここで、物体Ojは、人間、動物、植物等の生物を含む。
死角補助装置20は、視認者Mn側から見て右側(運転者側)のフロントピラー11に配置され、このフロントピラー11及び遮蔽層14によって遮られる死角領域Adの物体Ojの像を映すものである。この死角補助装置20は、視認者Mnから見てフロントピラー11及び遮蔽層14と対向するように配置されている。つまり、この死角補助装置20は、左右のフロントピラー11,11の少なくとも一方の、車室15側の面11a(図2参照)の近傍に位置している。
以下、死角補助装置20について詳しく説明する。この死角補助装置20は、半透過ミラー21とミラー22とを含む。以下、半透過ミラー21とミラー22の両方をまとめて、適宜「一対のミラー21,22」と言う。
半透過ミラー21は、視認者Mn側に位置し、物体Ojの像を表す光Laを入射して一部を反射し残りを透過する、いわゆるマジックミラーである。この半透過ミラー21は、例えば次のように形成される。第1例は、透光性の樹脂材料からなる基材の表面に、アルミニウムなどの金属を蒸着させることにより、所望の反射率を有した半透過反射層を形成してなる。第2例は、前記基材の表面に誘電体多層膜をコーティングすることにより、所望の反射率を有した半透過反射層を形成してなる。
ミラー22は、半透過ミラー21の反射面21aに間隔を有して対面し、前記反射された光を半透過ミラー21へ向かって反射する。このミラー22は、例えば上述の透光性樹脂材料からなる基材の表面に、アルミニウムなどの金属を蒸着させてなる、アルミニウム蒸着ミラーである。
半透過ミラー21とミラー22は、平板状などの板状に形成されている。上述のように、一対のミラー21,22は、反射面21a,22a同士が互いに対向し合うように位置している。図2に示されるように、車両10を上から見て、半透過ミラー21の一端面21bとミラー22の一端面22bは、ウインドシールド12の車室15側のガラス面12aに近接している。半透過ミラー21のなかの、一端面21bに対して反対側の端21cのことを、「他端面21c」と言う。
半透過ミラー21は、ミラー22に対し、このミラー22の反射面22aに沿って位置ずれしている。つまり、半透過ミラー21を面直方向Fa(半透過ミラー21の板面に向かう方向Fa。板面に垂直な方向Fa)から見て、半透過ミラー21の一端面21bは、ミラー22の反射面22aからウインドシールド12のガラス面へ向かって位置ずれしている。言い換えると、半透過ミラー21とミラー22とは、水平方向へ段違い状に位置している。以下、この半透過ミラー21のなかの、ミラー22の反射面22aに向かい合う部分21dのことを「対向部21d」と言い、ミラー22の反射面22aに向かい合っていない部分21e、つまり半透過ミラー21の一端面21b側の部分のことを「非対向部21e」と言う。
半透過ミラー21の反射面21aは、ミラー22の反射面22aに対して、平行ではなく、視認者Mn側へ開く方向へ所定の傾斜角θだけ傾いている。この傾斜角θのことを、以下「開き角θ」という。半透過ミラー21の反射面21aの傾き方向は、半透過ミラー21の一端面21bから他端面21cへ向かうにつれて、反射面21a,22a間の間隔が大きくなる方向である。
次に、図2を参照しつつ、死角補助装置20の原理を説明する。なお、図2は、視認者Mnが運転席に着座した状態を示しており、視点Piは視認者Mnの視点(アイポイント)を示している。
視認者Mn(視点Pi)の前方視界には、フロントピラー11(図2では図示しないが、図1の遮蔽層14も含む)によって遮られる死角領域Adが生じる。従って、視点Piからは、死角領域Adに存在する物体Ojを直接に視認することはできない。
一方、物体Ojから一対のミラー21,22へ向かった光La(像を表す光La)は、半透過ミラー21の反射面21aのなかの非対向部21eへ入射する。このため、物体Ojからの光Laは、一対のミラー21,22の間で反射を繰り返しつつ、そのなかの一部が一対のミラー21,22から出射する(つまり、光Laの一部が半透過ミラー21を透過する)。一対のミラー21,22から出射する光Laの一部は、視点Piに達する。従って、視点Piからは直接に視認できる風景と連続して、ミラー22に映る物体Ojの像を、半透過ミラー21越しに視認することができる。
なお、死角領域Adのうち、フロントピラー11の背面側の僅かな領域(図2にハッチングによって表した部分)は、この領域からの光が一対のミラー21,22に入射できず、物体Ojの像を一対のミラー21,22によって映すことができない、いわゆる視認不能な領域である。
ところで、上述のように、半透過ミラー21の反射面21aは、ミラー22の反射面22aに対して傾いている。傾き方向は、ミラー22に対して半透過ミラー21が視認者Mn側へ開く方向である。つまり、反射面21a,22a間の間隔は、この反射面21a,22a間で反射を繰り返しつつ進行する光Laの進行方向に向かって徐々に大きくなる。
像を表す光Laが、半透過ミラー21の反射面21aのなかの非対向部21eへ入射する入射角のことを、「最初の入射角」と言う。像を表す光Laが、反射面21a,22a間で反射を繰り返した後に、一対のミラー21,22から視点Piへ向かって出射する出射角のことを、「最後の出射角」という。最後の出射角は、最初の入射角よりも大きい。このため、任意の開き角θを予め適宜設定しておくことにより、物体Ojから半透過ミラー21の反射面21aへ、最初の入射角で入射する光La(光線La)は、視点Piと物体Ojとを結ぶ直線Lpに交差する。従って、視認者Mnが物体Ojの像を視認する際に、ミラー22に映る像と直接に視認する前方の風景との間にズレを生じることはない。
次に、死角補助装置20の外装構造について説明する。図3及び図4に示されるように、死角補助装置20は、半透過ミラー21及びミラー22を収納するケース23を含む。このケース23は、第1ケース半体30と第2ケース半体40とからなる、分割ケースである。第1及び第2ケース半体30,40同士は、一対のミラー21,22の板面方向に分割されている。第1ケース半体30は、視認者Mn(図2参照)側に位置している。
第1ケース半体30は、一対のミラー21,22に合わせた略矩形状のボックスであり、第2ケース半体40に対向する面を全面的に開放している(つまり、第1の開口31を有する)。この第1ケース半体30は、第1の開口31の周縁を形成している周壁32と、この周壁32の前面を覆う前壁33とからなる、樹脂の一体成型品である。
この第1ケース半体30の前半部、つまり、第1の開口31とは反対側は、上端部と下端部を残して形成されてなる、大きい第2の開口34を有している。この第2の開口34は、周壁32と前壁33とにわたって、大きく開口している。一対のミラー21,22から視認者Mn側(図2参照)へ出射された光La(図2参照)は、この第2の開口34を通って視認者Mnに到達することが可能である。半透過ミラー21は、第1ケース半体30のなかの、第2の開口34側に位置している。半透過ミラー21の反射面21aは、第2の開口34に対して反対側を向いている。
この第2の開口34には、上下に延びたルーバー35が設けられている。このルーバー35は、第1ケース半体30の幅方向に所定のピッチに配列された複数の縦板によって構成されている。図2及び図3に示されるように、このルーバー35は、半透過ミラー21よりも視認者Mn側に位置しており、視認者Mn側から所定の進入角で、一対のミラー21,22に入射する外光を遮る遮光部として機能する。
図3及び図4に示されるように、第1ケース半体30の第1の開口31は、第2ケース半体40によって取り外し可能に塞がれている。この第2ケース半体40は、略平板状のリッド(蓋体)の構成であり、第1ケース半体30にビス43によって止められている。
図4及び図6に示されるように、第1ケース半体30のなかの、半透過ミラー21の板面に対向する第1対向面37(前壁33の内面37)は、複数の第1ミラー支持部38と複数の第1嵌合孔39とを有する。複数の第1ミラー支持部38は、半透過ミラー21に部分的に接触して支持することが可能である。この複数の第1ミラー支持部38の形状は、第1対向面37から半透過ミラー21の板面に向かって突出した、球面状である。複数の第1嵌合孔39は、複数の第1ミラー支持部38の近傍に位置している。
第2ケース半体40のなかの、ミラー22の板面に対向する第2対向面44は、複数の第2ミラー支持部45と複数の第2嵌合孔46とを有する。複数の第2ミラー支持部45の位置は、半透過ミラー21の面直方向Faから見て、複数の第1ミラー支持部38の位置と合致している。複数の第2ミラー支持部45は、ミラー22に部分的に接触して支持することが可能である。この複数の第2ミラー支持部45の形状は、第2対向面44からミラー22の板面に向かって突出した、球面状(図示せず)とすることができる。
複数の第2嵌合孔46の位置は、半透過ミラー21の面直方向Faから見て、複数の第1嵌合孔39の位置と合致している。つまり、複数の第2嵌合孔46は、複数の第2ミラー支持部45の近傍に位置している。
複数の第1ミラー支持部38と複数の第2ミラー支持部45との、少なくとも一方は、弾性部材によって構成されている。より好ましくは、複数の第1及び第2ミラー支持部38,45のなかの、半透過ミラー21の反射面21aに対面したミラー22を支持する複数の第2ミラー支持部45のみが、弾性部材によって構成されている。この弾性部材は、好ましくはラバーによって構成されている。このラバーは、第2ケース半体40の第2対向面44に、例えば貼り付けによって取り付けられる。なお、複数の第2ミラー支持部45が、ラバーによって構成された場合には、先端面を球面状ではなく、平坦面としてもよい。以下、第2ミラー支持部45のことを、適宜「弾性部材45」又は「ラバー45」と言い換える。このように、ミラー22は、このミラー22の反射面22aに対して反対側の面22c、つまり背面22cを、弾性部材45(第2ミラー支持部45)によって支持されている。
複数の第1ミラー支持部38及び複数の第2ミラー支持部45は、好ましくは、それぞれ3個ずつである。複数の第1嵌合孔39及び複数の第2嵌合孔46も、好ましくは、それぞれ3個ずつである。
図3及び図5に示されるように、半透過ミラー21とミラー22との間には、半透ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの間の間隔を規定するための、複数(好ましくは3つ)のスペーサー50,60,60が介在している。この3つのスペーサー50,60,60は、半透過ミラー21とミラー22とが互いに重なり合っている部分の中の、できるだけ端で、しかも互いに三角形をなす位置に位置している。この3つのスペーサー50,60,60の内訳は、1つの第1のスペーサー50と、2つの第2のスペーサー60,60である。これらのスペーサー50,60,60は、樹脂の成形品であることが好ましい。樹脂の成形品であれば、生産が容易である。
第1のスペーサー50は、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの間のなかの、ウインドシールド12側に位置し、且つ一対のミラー21,22の下端に位置している。このように、第1のスペーサー50は少なくとも1つ、好ましくは1つ有する。
2つの第2のスペーサー60,60は、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの間のなかの、ウインドシールド12とは反対側に位置している。さらに、2つの第2のスペーサー60,60は、各ミラー21,22の上端と下端とに分かれて別々に位置している。例えば、上側の第2のスペーサー60は、一対のミラー21,22の前後方向略中央に位置している。下側の第2のスペーサー60は、一対のミラー21,22の後端に位置している。以下、各スペーサー50,60,60について、詳しく説明する。
図4及び図6に示されるように、第1のスペーサー50は、第1嵌合部51と第2嵌合部52と第1接触部53と第2接触部54とを有している。
第1嵌合部51は、第1のスペーサー50から、半透過ミラー21の縁21fに沿いつつ第1対向面37へ向かって延びて、第1嵌合孔39に嵌合可能である。第2嵌合部52は、第1のスペーサー50から、ミラー22の縁22dに沿いつつ第2対向面44へ向かって延びて、第2嵌合孔46に嵌合可能である。
第1接触部53は、第1のスペーサー50のなかの、半透過ミラー21の反射面21aに対向する一端面に、形成されてなる。この第1接触部53は、半透過ミラー21の板面(反射面21a)に部分的に接触することが可能である。第1接触部53の先端面53aは、球面状を呈している。
第2接触部54は、第1のスペーサー50のなかの、ミラー22の反射面22aに対向する他端面に、形成されてなる。この第2接触部54は、ミラー22の板面(反射面22a)に部分的に接触することが可能である。この第2接触部54は、第2ミラー支持部45と協働して挟み込むことによって、ミラー22の前端部を支持することが可能である。この第2接触部54の支持先端面54aは、球面状を呈している。以下、第1のスペーサー50のことを、適宜「支持部50」と言い換えることにする。
第2ミラー支持部45の位置は、半透過ミラー21の面直方向Faから見て、第1ミラー支持部38の位置と合致している。第1接触部53の位置は、半透過ミラー21の面直方向Faから見て、第1ミラー支持部38の位置と合致している。第2接触部54の位置は、半透過ミラー21の面直方向Faから見て、第2ミラー支持部45の位置と合致している。
一対のミラー21,22の前端部(一端部)の間隔は、第1のスペーサー50の第1及び第2接触部53,54によって、規定されている。
次に、第2のスペーサー60,60について説明する。図3、図5、図7、図8、図11に示されるように、第2のスペーサー60,60は半透過ミラー21の反射面21aと、ミラー22の反射面22aとの間に介在している。
ここで、2つの第2のスペーサー60のうち、1つを代表して説明する。この第2のスペーサー60は、スペーサー本体61と、第1嵌合部62と第2嵌合部63と第1接触部64とを有している。スペーサー本体61は、半透過ミラー21の反射面21aと、ミラー22の反射面22aとの間に位置している。
第1嵌合部62は、スペーサー本体61から、半透過ミラー21の縁21fに沿いつつ第1対向面37へ向かって延びて、第1嵌合孔39に嵌合可能である。第2嵌合部63は、スペーサー本体61から、ミラー22の縁22dに沿いつつ第2対向面44へ向かって延びて、第2嵌合孔46に嵌合可能である。
第1接触部64は、スペーサー本体61のなかの、半透過ミラー21の反射面21aに対向する一端面に、形成されてなる。この第1接触部64は、半透過ミラー21の板面(反射面21a)に部分的に接触することが可能である。第1接触部64の先端面64aは、球面状を呈している。第1接触部64の位置は、半透過ミラー21の面直方向Faから見て、第1ミラー支持部38の位置と合致している。
第2のスペーサー60には、開き角調整機構70が組み込まれている。より詳しくは、開き角調整機構70はスペーサー本体61に組み込まれている。この開き角調整機構70は、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの間の開き角θを調整可能に構成されており、これらの各反射面21a,22a間に介在している。
この開き角調整機構70は、半透過ミラー21の反射面21aに沿う方向へ延びる回転中心線RLを中心として回転操作する調整操作力を、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの、少なくともいずれか一方を開き方向へ押圧する押圧力に転換することが可能な転換機構71によって構成されている。この転換機構71は、回転中心線RLを中心として回転可能なカム72によって構成されている。
詳しく述べると、この開き角調整機構70は、図3、図7〜図10に示されるように、カム72と、このカム72を回転可能に支持するスペーサー本体61とを含む。このスペーサー本体61は、カム72を収納する収納部81(収納空間81)と、カム72を回転可能に支持する一対の支持部材82,83を有する。つまり、スペーサー本体61はカム支持部材を兼ねる。以下、スペーサー本体61のことを、適宜「カム支持部材61」と言い換えることにする。
カム72は、半透過ミラー21の反射面21aに沿う方向へ延びる回転中心線RLを中心として回転可能な回転盤であり、この回転中心線RLを基準とした回転軸73を有している。このカム72は、樹脂の成形品であることが好ましい。ここで、回転中心線RLは、半透過ミラー21の反射面21aに対して実質的に(基本的に)沿う方向へ、つまり概ね沿う方向へ延びていればよい。この回転軸73は、カム72の両側へ延びている。
さらに、このカム72は、回転することにより、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの、少なくともいずれか一方を開き方向へ押圧することが可能なカム面74を有している。このカム面74は、例えば、ミラー22の反射面22aを開き方向へ押圧する。このカム面74の形状は、回転中心線RLを基準として径外方へ拡径した渦巻き状の円弧面である。例えば、カム面74は、半透過ミラー21の他端面21c側から見て、反時計回り方向へ渦巻き状に形成されてなる。さらにカム面74は、回転中心線RLに対し直交する方向から見て、径外方へ凸となる円弧状であることが好ましい。
このように、カム面74は、回転中心線RLを基準として径外方へ拡径した渦巻き状の円弧面であり、しかも、回転中心線RLに対し直交する方向から見て、径外方へ凸となる円弧面である。この結果、このカム面74は、反射面21a,22aの一方に対して、スペーサー50の第2接触部54と同様に、実質的に球面状であると言うことができる。
以下、このカム面74のことを、適宜「スペーサー60の第2接触部74」と言い換えることにする。このカム面74の位置は、半透過ミラー21の面直方向Faから見て、第2ミラー支持部45の位置と合致している。
カム支持部材61(スペーサー本体61)の収納部81は、ミラー22の反射面22aに向かって開放するとともに、内部にストッパ81aを有する。このストッパ81aは、カム72の回転範囲を規制する。
一対の支持部材82,83は、カム支持部材61のなかの、回転中心線RLに沿って離間しつつ位置した一対の平板状の側板によって構成されている。一対の支持部材82,83のなかの、半透過ミラー21の一端面21b側の支持部材82を「一端側支持部材82」といい、半透過ミラー21の他端面21c側の支持部材83を「他端側支持部材83」という。互いに対面している一対の支持部材82,83の、少なくともいずれか一方は、カム支持部材61から取り外し可能であることが好ましい。例えば、他端側支持部材83は、カム支持部材61にビス84によって止められる。一対の支持部材82,83に有している一対の軸孔85,86は、回転軸73の両端部を支持する。
カム72において、回転中心線RLに沿った両面74,75のなかの、一方を第1カム側面75といい、他方を第2カム側面76という。第1カム側面75は、一端側支持部材82の内側面82aに対向している。第2カム側面76は、他端側支持部材83の内側面83aに対向している。このように、カム72とカム支持部材61とは、回転中心線RLの延びる方向に互いに向かい合う、それぞれの対向面82a,83a(内側面82a,83a)を有している。
第1カム側面75と一端側支持部材82の内側面82aとの間には、スリット付き皿ワッシャ等の付勢部材87が介在している。この付勢部材87は、カム72を他端側支持部材83の内側面83aへ押し付けるように付勢している。
さらに開き角調整機構70は、カム回転角保持機構90を有する。このカム回転角保持機構90は、開き角θを調整していないときに、カム支持部材61に対するカム72の回転角(位相)を保持するものである。このカム回転角保持機構90は、複数の凹凸部91と、この複数の凹凸部91に対して個別に係止することが可能な少なくとも1つの係止部92とからなる。
複数の凹凸部91は、カム72とカム支持部材61とのそれぞれの対向面75,83a(第2カム側面76と、他端側支持部材83の内側面83a)の、いずれか一方に有しており、回転中心線RLを基準とした円周上に等ピッチに配列されている。この複数の凹凸部91は、例えば回転中心線RLを基準として放射状に延びる複数の溝によって構成される。係止部92は、カム72とカム支持部材61とのそれぞれの対向面76,83aの、いずれか他方に有しており、複数の凹凸部91に対して個別に係止することが可能である。この係止部92は、例えば凸状又は凹状(図示せず)の部材である。
このため、車両10の振動等の外乱によって開き角調整機構70に振動が作用した場合であっても、カム72の回転角(位相)が変動しないように、カム回転角保持機構90によって保持することができる。つまり、開き角調整機構70に振動が作用した場合であっても、カム72が回ることはない。従って、一対のミラー21,22間の開き角θを、十分に保持することができる。この開き角θを調整するときには、複数の凹凸部91に対する係止部92の係止状態を解除すればよい。
なお、複数の凹凸部91と係止部92との係止状態は、振動によって外れない程度の緩いものでよい。カム72を回しているときに、複数の凹凸部91と係止部92とは、係止と離脱を繰り返す。カム72を操作する人は、節度感(クリック感)を感じる。このため、複数の凹凸部91のピッチは、カム72を回して任意の角度まで設定するときの、目安となるように、設定することが好ましい。
回転軸73の一方の端面73aは、ウインドシールド12とは反対側、つまり半透過ミラー21の他端面21c側を向いている。この一方の端面73aは、工具101を掛けて回転操作をすることが可能な工具掛け部102を有している。つまり、この工具掛け部102は、ウインドシールド12とは反対側を向いている。例えば、工具101がスクリュードライバー(ねじ回し、screwdriver)の場合に、工具掛け部102は、スクリュードライバーの先端部を掛ける孔(十字孔など)やすり割りによって構成される。
工具掛け部102に工具101を掛けて回転操作をすることによって、カム72の回転角を任意の角度に回すことができる。この結果、一対のミラー21,22間の開き角θを容易に微調整することができる。ケース23は、外部から工具101を挿入するための挿入孔103(図3参照)を有する。
上述のように、死角補助装置20は、図2に示されるフロントピラー11の車室15側の面11aの近傍に位置している。カム72を回し操作するための工具掛け部102を、開き角調整機構70に対して車室15の後方、つまり運転者寄りに確保することができる。従って、死角補助装置20の開き角調整機構70の調整操作性を、より一層高めることができる。
半透過ミラー21とミラー22とのなかの、開き角調整機構70によって開かれる方を支持している、少なくとも1つの第1のスペーサー50(支持部50)の第1接触部53の先端面53a(支持先端面53a)は、球面状を呈している。
このように、開き角調整機構70によって開かれる方のミラー22は、支持部50によって支持されている。この支持部50の支持先端面53aの形状は、球面状である。このため、開き角調整機構70によってミラー22を開くときに、このミラー22を容易に開くことができる。
以上の説明から明らかなように、2つの開き角調整機構70は、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの間のなかの、支持部50とは反対側に配置、つまりウインドシールド12とは反対側に位置している。
上記構成の作用を説明する。図9に示されるように、開き角調整機構70の調整作業をしていない通常状態では、複数の凹凸部91の少なくとも1つと係止部92とが係止している。このため、車両10(図1参照)の振動等の外乱によってカム72の回転角、つまり位相が変動しない。
その後、作業者が工具101を工具掛け部102に掛け、付勢部材87の付勢力に抗して回すことにより、複数の凹凸部91と係止部92との係止状態が変わる。このため、図3に示されるように、回転軸73とカム72とが回ることにより、カム面74(スペーサー60の第2接触部74)が変位して、ミラーの反射面22aを開く方へ押す。この結果、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの間の開き角θを調整することができる。開き角θを調整すれば、図2に示されるように、視認者Mnが一対のミラー21,22を介して視認することが可能な物体Ojの像の位置、つまり死角補助装置20から物体Ojの像までの距離を調整することができる。
なお、図9に示される付勢部材87の有無は任意である。例えば、カム支持部材61の一対の支持部材82,83における、少なくとも一方が回転中心線RLの延び方向へ弾性変形が可能であれば、付勢部材87の代わりの機能を果たすことができる。
以上の説明をまとめると、次の通りである。図3、図5及び図11に示されるように、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの間に、開き角調整機構70,70が介在している。この開き角調整機構70,70は、それぞれ転換機構71によって構成されている。この転換機構71は、半透過ミラー21の反射面21aに沿う方向へ延びる回転中心線RLとして回転操作する調整操作力を、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの、少なくともいずれか一方を開き方向へ押圧する押圧力に転換する。このため、転換機構71を操作する操作方向は、一対のミラー21,22の面方向ではなく、この面に対して略直交する方向でよい。この略直交する方向であれば、開き角調整機構70,70を操作するための操作スペースを容易に確保することができる。しかも、この略直交する方向を、操作方向とすることができる。この結果、一対のミラー21,22の面方向に制約があっても、開き角調整機構70,70の調整操作性を高めることができる。
さらには、図3に示されるように、転換機構71は、回転中心線RLを中心として回転可能なカム72からなる。このカム72は、半透過ミラー21の反射面21aに沿う方向へ延びる回転中心線RLとして、回転可能である。このカム72は、調整操作の操作力と操作方向とを、一対のミラー21,22の少なくともいずれか一方を開き方向へ押圧する力と方向とに転換する。カム72を操作する操作方向は、一対のミラー21,22の面方向ではなく、この面に対して略直交する方向でよい。カム72だけによって、小型で部品数が少なく簡単な構成の転換機構71を提供することができる。
さらには、図3及び図5に示されるように、開き角調整機構70,70によって開かれる基端部分のミラー22を支持する支持部50は1つである。これに対し、開き角調整機構70,70は、一対のミラー21,22の反射面21a,22a間のなかの、支持部50とは反対側に2つ配置されている。このため、2つの開き角調整機構70,70のカム72,72の一方だけを回すことによって、開かれる方のミラー22の開き角θを、2つのカム72,72の間で異ならせる、つまり斜めに開くことができる。従って、図2に示される、視認者Mnが一対のミラー21,22を介して視認することが可能な物体Ojの像の位置、つまり死角補助装置20から物体Ojの像までの距離を、最適と成るように一層容易に微調整することができる。
さらには、図3及び図5に示されるように、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの間の間隔を規定するための第2のスペーサー60,60に対して、開き角調整機構70,70を組み込んでいる。このため、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの間の狭いスペースに、第2のスペーサー60,60と開き角調整機構70,70の両方を、効率よく配置することができる。
さらには、図3及び図4に示されるように、ミラー22の背面22cは弾性部材45によって支持されている。このミラー22は、弾性部材45の弾性力によってカム面74に押し付けられている。開き角調整機構70は、ミラー22を開き方向へ押圧することにより、弾性部材45の弾性変形が可能な範囲だけミラー22を押し開いて、開き角θを拡大するとともに、この開き角θを保持することができる。しかも、開き角調整機構70による押圧が解除されたときには、弾性部材45の弾性力によってミラー22を自動的に元の開き角θに戻すことができる。
さらには、弾性部材45はラバーによって構成されている。このため、弾性部材45をバネ等の他の部材によって構成した場合に比べて、構成をシンプルにできる。
さらには、図2、図5及び図11に示されるように、死角補助装置20は、フロントピラー11の車室15側の面11aの近傍に位置している。開き角調整機構70,70は、一対のミラー21,22の反射面21a,22a間のなかの、ウインドシールド12とは反対側に位置している。このため、開き角調整機構70,70を操作するための操作スペースを、開き角調整機構70,70に対して車室15の後方、つまり運転者(視認者Mn)寄りに確保することができる。従って、死角補助装置20の開き角調整機構70,70の調整操作性を、より一層高めることができる。
さらには、図3及び図5に示されるように、スペーサー50,60,60及びカム72を樹脂の成形品としたので、例え、これらの部材50,60,60,72に微細な突起があったとしても、樹脂の変形により、一対のミラー21,22に対する応力の集中を緩和することができる。
さらには、図3及び図5に示されるように、互いに向かい合う一対のミラー21,22間に介在した1つのスペーサー50は、第1接触部53及び第2接触部54を有する。この第1及び第2接触部53,54は、各ミラー21,22の板面に対して部分的に接触をすることが可能である。
また、互いに向かい合う一対のミラー21,22間に介在した2つのスペーサー60,60は、それぞれ第1接触部64及び第2接触部74(カム面74)を有する。この第1及び第2接触部64,74は、各ミラー21,22の板面に対して部分的に接触をすることが可能である。つまり、一対のミラー21,22の各板面は、複数のスペーサー50,60,60の全体に接触しているわけではない。
複数のスペーサー50,60,60に有している各接触部53,54,64,74の、先端の寸法公差を管理することは、第1及び第2ケース半体30,40の各寸法公差を管理する場合に比べて、容易である。このため、一対のミラー21,22の互いの間隔及び所定の角度を、各接触部53,54,64,74によって、容易に規定することができる。ケース23の影響を受けることなく、一対のミラー21,22同士の間隔や所定の角度を精度よく確保することができる。この結果、図2に示されるように、死角領域Adにある像Ojを、一対のミラー21,22に歪みなく映すことができる。死角領域Adにある像Ojを視認者Mnが明確に視認する、いわゆる視認性を高めることができる。
さらには、図3に示されるように、第1ケース半体30の複数の第1ミラー支持部38は、半透過ミラー21に部分的に接触をすることが可能である。つまり、半透過ミラー21の板面は、第1対向面37の全体に接触しているわけではない。複数の第1ミラー支持部38と複数の第1接触部53,64とによって、半透過ミラー21を支持することができる。
また、第2ケース半体40の複数の第2ミラー支持部45は、ミラー22に部分的に接触をすることが可能である。つまり、ミラー22の板面は、第2対向面44の全体に接触しているわけではない。複数の第2ミラー支持部45と複数の第2接触部54,74とによって、ミラー22を支持することができる。
このように、一対のミラー21,22を、ケース23内の正確な位置に配置することができるとともに、一対のミラー21,22の平面度を高めて支持する、つまり1つの面の平らな度合い(均一性)を高めることができる。
さらには、図3に示されるように、半透過ミラー21の面直方向Faから見て互いに合致した位置にある、各ミラー支持部38,45と、第1接触部53,64及び第2接触部54,74(カム面74)とによって、各ミラー21,22が支持されている。例えば、第1ケース半体30の複数の第1ミラー支持部38から、半透過ミラー21の板面へ、力が作用した場合を考える。この力は、半透過ミラー21の面直方向Faから見て互いに合致した位置にある各ミラー支持部38,45と各接触部53,64,74とを通って、第2ケース半体40に、そのまま伝わる。このため、一対のミラー21,22には、過大な曲げ力の集中が発生しない。従って、作用した力によって一対のミラー21,22に発生する歪みを、より一層防止することができる。
さらには、図3及び図5に示されるように、複数の第1ミラー支持部38と複数の第2ミラー支持部45との、少なくとも一方は、弾性部材によって構成されている。ケース23に一対のミラー21,22と各スペーサー50,60,60とを組み付け時に、一対のミラー21,22の板厚方向の寸法公差がある。弾性部材は、組み付け時に、寸法誤差による各部材同士のガタツキを防止可能な程度の、弾性を有する。このため、弾性部材によってガタツキを容易に防止することができる。
さらには、図3に示されるように、半透過ミラー21を支持する方のミラー支持部38は、弾性部材によって構成されていない。ミラー22を支持する方のミラー支持部45のみが、弾性部材によって構成されている。つまり、この弾性部材は、ミラー22の背面22cのみに位置する。このため、視認者Mn側(図2参照)から弾性部材が見えない。死角補助装置20の外観性を高めることができる。
図12は、カム回転角保持機構90(図9参照)の変形例である。変形例のカム回転角保持機構90Aは、複数の凹凸部91Aと、少なくとも1つの係止部92Aとからなる。複数の凹凸部91Aは、カム72の側面に有した円盤部93Aの円周面に形成されてなり、回転中心線RLを基準とした円周上に等ピッチに配列されている。この複数の凹凸部91Aは、例えば平歯車の歯によって構成される。係止部92Aは、複数の凹凸部91に対して個別に係止することが可能な部材であって、図8に示されるカム支持部材61、一端側支持部材82、他端側支持部材83のいずれかに設けられている。この係止部92Aは、板ばね等の付勢材料からなる。変形例のカム回転角保持機構90Aの作用、効果は、上記実施例のカム回転角保持機構90の作用、効果と実質的に同じである。
なお、本発明による死角補助装置20は、車両10に備えた例を説明したが、その他の乗り物にも適用可能であり、これらの形式のものに限られるものではない。すなわち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
また、本実施例による死角補助装置20は、車両10の運転席側から見て右側のフロントピラー11に配置されるものであったが、左側のフロントピラー11にも同様の死角補助装置が配置されてもよい。また、車両10内の障害物として、フロントピラー11の他にもセンターピラーやリアピラーなどに配置され、これらによって遮られる死角領域の像を映す死角補助装置であってもよい。
また、本発明は、車両10以外の分野にも、障害物によって遮られる死角領域Adの、物体Ojの像を映す死角補助装置20として広く適用することができる。例えば、本発明による死角補助装置20を住宅に用いる場合、大面積の死角補助装置20を天井に取り付けて入射部分のみを壁などから屋外に出すことで、屋内に居ながら天井の死角補助装置20によって空の様子を見ることができ、また、天井から屋内に太陽光を導くことができる。住宅密集地や通常の窓を付けられない事情のある住宅には特に好適である。
また、例えば観光施設等の高層建築物で、高層階の床下に大面積の死角補助装置20を埋め込み、光入射部分のみを屋外に出すことで、床下の死角補助装置20によって眼下の風景を直接足下に感じることが可能となり、建築物の高さを強調することができる。同様の効果を得るために、従来は床下に空間を設ける必要があったが、本発明の死角補助装置20によれば既存の建築物にも容易に配置することができ、好適である。
このほか、壁面に用いる例としては、道路に近接して塀が立っている、見通しの悪い交差点などにおいて、塀の角に本発明の死角補助装置20を配置することで、死角領域Adの歩行者や車両の存在をいち早く認識することができ、出会い頭の事故の防止に貢献することができる。
また、本発明の一対のミラー21,22は、互いに対向するように配置される板状の構成であればよく、平板状ミラーの他に、曲面状ミラーであってもよい。例えば、一対のミラー21,22は、車両10を上から見て曲面状の構成とすることができる(特開2016−094117号参照)。詳しく述べると、半透過ミラー21の反射面21aは凹んだ曲面形状である。ミラー22の反射面22aは、半透過ミラー21の反射面21aへ向かって凸となる曲面形状である。
また、3つのスペーサー50,60,60の配置については、一対のミラー21,22のなかの、ウインドシールド12側の部位に1つの第1のスペーサー50が位置するとともに、この第1のスペーサー50に対して車両後方の部位に2つの第2のスペーサー60,60が位置していればよい。
また、開き角調整機構70,70は、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの間の開き角θを調整可能な位置で、しかも、回転中心線RLが半透過ミラー21の反射面21aに沿う方向へ延びていればよい。例えば、図3に想像線によって示されるように、開き角調整機構70,70を配置することができる。
また、上述のように、開き角調整機構70は、半透過ミラー21の反射面21aを開き方向へ押圧する構成とすることができる。その場合には、次の構成に変更すればよい(図3参照)。
(1)第1ケース半体30に有している複数の第1ミラー支持部38と、第2ケース半体40に有している複数の第2ミラー支持部45(弾性部材45)とを、入れ替える。第1接触部53の先端面53aは、第2ミラー支持部45と協働して挟み込むことによって、半透過ミラー21の前端部を支持することが可能である。
(2)第2のスペーサー60の第1接触部64は、ミラー22の反射面22aに部分的に接触するように、向きを変更する。
(3)転換機構71は、半透過ミラー21の反射面21aを開き方向へ押圧するように、向きを変更する。
また、転換機構71は、半透過ミラー21の反射面21aに沿う方向へ延びる回転中心線RLを中心として回転操作する調整操作力を、半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの、少なくともいずれか一方を開き方向へ押圧する押圧力に転換することが可能な構成であればよく、カム72の構成に限定されるものではない。例えば、この転換機構71を、ラックアンドピニオン機構によって構成してもよい。
このラックアンドピニオン機構によって転換機構71を構成した場合には、カム72をピニオンに変更し、カム面74をラックに変更する。ピニオンの中心には、回転軸73が設けられる。回転軸73を回すことによりピニオンが回る。この結果、ラックがスライドして、一端面により半透過ミラー21の反射面21aとミラー22の反射面22aとの、少なくともいずれか一方を開き方向へ押圧する。前記ラックの一端面は、球面である。