JP6372318B2 - 死角補助装置 - Google Patents
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Description
前記像を表す光を入射し、視認者側に設けられ光の一部を反射し一部を透過する凹曲面状の半透過反射面を有する半透過ミラーと、光を前記半透過ミラーへ反射する凸曲面状の反射面を有するミラーとが互いに対向するように配置される一対のミラーを備えてなることを特徴とする。
死角補助装置100は、図1及び図2に示すように、視認者側から見て右側(運転者側)のフロントピラー50に配置され、フロントピラー50及び黒セラ部21によって遮られる死角領域Aの像を映すものである。なお、死角補助装置100は、視認者から見てフロントピラー50及び黒セラ部21と対向するように配置される。
一方、像Mからの光Lは、一対のミラー110に入射し、一対のミラー110の間で反射を繰り返しつつ、一部の光Lは一対のミラー110から出射する(半透過ミラー111を透過する)。一対のミラー110から出射する光Lの一部は、視点2に達する。したがって、視点2からは直接視認できる風景と連続してミラー112に映る像Mを半透過ミラー111越しに視認することができる。なお、死角領域Aのうちミラー112の背面側の僅かな領域(ハッチングで示す部分)は、この領域からの光が一対のミラー110に入射できず、その像を一対のミラー110によって映すことができないが、それ以外の殆どの領域において死角領域Aの像を一対のミラー110によって映すことができる。
なお、死角領域Aの像を一対のミラー110によって映すにあたって、視認者は、死角補助装置100をフロントピラー50の任意の高さ(視点2に合った高さ)に、一対のミラー110に死角領域Aの像が映るように、すなわち、死角領域Aからの光Lが視点2に達するように一対のミラー110の角度を調整して配置する。半透過ミラー111とミラー112とは互いの位置関係が固定されるため、一度の配置作業で一対のミラー110を同時に配置することができ、また、一度の調整作業で一対のミラー110の角度を同時に調整することができる。
図3に示すように、半透過反射面111cと反射面112aとを円筒面とした場合、視点2から一対のミラー110を経由して死角領域Aに至る光路C3は、半透過反射面11cを反射する度に反射面112aに対する入射角度が最初の入射角度(最初にミラー112の出射側端部E1に入射したときの角度)よりも徐々に深くなるように変化し、半透過反射面111c上の任意の点(ここでは入射側端部E2とした)から半透過反射面111cと反射面112aとが平面かつ互いに平行である場合の光路C2に対して角度θ1だけ手前側に傾いて出射する。したがって、光路C3が、視点2から出射側端部E1を通過する光路C1と任意の像M1(例えば、車両1から10m程度前方の位置)で交わるように半透過ミラー111の半透過反射面111c及びミラー112の反射面112aの曲率半径を設定すれば、視認者が像M1を視認する際にミラー112に映る像と直接視認する前方風景との間のズレをなくすことができる。
理論的には、半透過反射面111cの曲率半径と反射面112の曲率半径とを同じ曲率半径Rとした場合、光路C2の反射面112aに対する入射角度は半透過ミラー111で反射する度に最初の入射角度から2Δθずつ変化する。ここで、Δθは、以下の式1で表される。
(式1)Δθ=θi−sin−1{Rsinθi/(R+T)}
なお、θiは反射面112aの出射側端部E1における法線nと光路C3(視点2と出射側端部E1とを結ぶ直線)とのなす角度である。Tは半透過反射ミラー111と反射ミラー112との間隔である。
そして、光路C3が半透過反射面111cで反射される回数をN(N>0)とすると、半透過ミラー111から死角領域Aに出射される際の光路C2に対する光路C3の角度θ1は、以下の式2で表される。
(式2)θ1=2NΔθ
そして、光路C3が光路C1と像M1の位置で交わる場合、光路C1と光路C3とのなす角度θ2は、角度θ1と錯角の関係にあるため、以下の式3で表される。
(式3)θ2=θ1
そして、角度θ2は、光路C3が出射される半透過ミラー111の出射側端部E2を通る光路C1の垂線pと光路C1との交点をHとし、出射側端部E1と交点Hとの間隔(すなわち垂線pの長さ)をW2とし、交点Hから像M1の位置までの距離をDとするとき、以下の式4で表される。
(式4)θ2=tan−1(W2/D)
したがって、Δθが以下の式5を満たすように曲率半径Rを設定すればよい。
(式5)Δθ=tan−1(W2/D)/2N
これにより、一対のミラー110の一方に半透過ミラー111を用いたため、視認者は半透過ミラー111越しにミラー112に映る像Mの像及び風景を視認することができ、一対のミラー110の配置位置の自由度が増し、より容易に視認者が直接視認する像(風景)と連続して死角領域Aの像を映すことが可能となる。また、死角領域Aを撮像するカメラ及び撮像画像を表示する表示器が不要であるためこれらを使用する場合と比較して安価である。また、半透過ミラー111及びミラー112を視認者側に凸である曲面ミラーとすることで、ミラー112に映る像と直接視認する前方風景とのズレを低減することができる。また、半透過ミラー111及びミラー112を曲面ミラーとすることで、平面ミラーとする場合よりも剛性が増し、半透過反射面111c及び反射面112aの変形による像の歪みを抑制することができる。特に半透過ミラー111及びミラー112が樹脂ミラーである場合には、平面ミラーとすると変形が生じやすい。
これにより、曲率半径Rを設定することで、理論上ミラー112に映る像と直接視認する前方風景とのズレをなくすことができる。
角度調整機構120は、半透過ミラー111及びミラー112の出射側側面と当接し、半透過ミラー111及びミラー112の長手方向(水平方向)に移動可能な可動部121と、可動部121と当接する曲率調整ボルト122と、を備える。なお、半透過ミラー111及びミラー112の可動部121との当接部は、死角領域Aの像を視認するのに影響のない部分(例えば下端部)に設けられる。曲率調整ボルト122は、前記ケース体に形成される雌ネジ孔(図示しない)に挿通され、可動部121と当接するものである。
半透過ミラー111及びミラー112は、入射側が前記ケース体に長手方向に対して固定されているものとする。視認者は、曲率調整ボルト122を手動で時計回りに回転させて内側に押し込むことで可動部121を入射側に移動させ、可動部121によって半透過ミラー111及びミラー112を入射側に押圧して視点2側に凸となるように曲がり具合を強め、半透過反射面111c及び反射面112aの曲率半径Rを小さく(曲率を大きく)することができる。また、視認者は、曲率調整ボルト122を手動で反時計回りに回転させて外側に抜き出すことで可動部121を出射側に移動させ、半透過ミラー111及び反射ミラー112aを自身の弾性力によって可動部121と当接する状態まで戻し(曲がり具合を弱め)、半透過反射面111c及び反射面112aの曲率半径Rを大きく(曲率を小さく)することができる。これによって、視認者は、半透過反射面111c及び反射面112aの曲率半径Rを所定の範囲で調整し、ミラー112に映る像と直接視認される前方風景とのズレがなくなる像M1の位置を調整することができる。
また、例えば観光施設等の高層建築物で、高層階の床下に大面積の死角補助装置を埋め込み、光入射部分のみを屋外に出すことで、床下の死角補助装置で眼下の風景を直接足下に感じることが可能となり、建築物の高さを強調することができる。同様の効果を得るために、従来は床下に空間を設ける必要があったが、本発明の死角補助装置によれば既存の建築物にも容易に配置することができ好適である。
このほか、壁面に用いる例としては、道路に近接して塀が立っている見通しの悪い交差点などにおいて、塀の角に本発明の死角補助装置を配置することで、死角領域の歩行者や車両の存在をいち早く認識することができ、出会い頭の事故の防止に貢献することができる。
以上のように、本発明の死角補助装置は、電力などのエネルギーを必要とすることなく、これまで視認することができなかった障害物に遮られた死角領域を、光入射部分のスペースを確保するのみで広範囲に亘って障害物を透けたように視認させることができるものであり、その用途は室内外を問わず広く適用でき、健康、安全あるいは感動など多岐に亘る効果を得ることができる。なお、半透過ミラーの半透過反射面及びミラーの反射面の曲率(半径)についても、死角補助装置の用途において最も重視される距離に応じて適宜設定される。
2 視点
100 死角補助装置
110 一対のミラー
111 半透過ミラー
111a 基部
111b 延設部
111c 半透過反射面
112 ミラー
112a 反射面
120 曲率調整機構
121 可動部
122 曲率調整ボルト
Claims (3)
- 障害物によって遮られる死角領域の像を映す死角補助装置であって、
前記像を表す光を入射し、視認者側に設けられ光の一部を反射し一部を透過する凹曲面状の半透過反射面を有する半透過ミラーと、光を前記半透過ミラーへ反射する凸曲面状の反射面を有するミラーとが互いに対向するように配置される一対のミラーを備えてなることを特徴とする死角補助装置。 - 前記半透過反射面及び前記反射面は、所定の曲率半径の円筒面状であることを特徴とする請求項1に記載の死角補助装置。
- 前記半透過反射面及び前記反射面の曲率を調整する曲率調整機構を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の死角補助装置。
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