以下、本発明に係る建設機械の代表例として油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図14を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、油圧ショベル1の車体は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前側には、土砂の掘削作業等を行う作業装置(フロント装置)4が設けられている。
作業装置4は、後述する旋回フレーム5の前側に上,下方向に回動可能に取付けられたブーム4Aと、ブーム4Aの先端に上,下方向に回動可能に取付られたアーム4Bと、アーム4Bの先端に上,下方向に回動可能に取付けられたバケット4Cと、ブーム4Aを駆動するブームシリンダ4D、アーム4Bを駆動するアームシリンダ4E、バケット4Cを駆動するバケットシリンダ4Fとを含んで構成されている。
車体フレームとしての旋回フレーム5は、上部旋回体3の支持構造体を形成している。図2に示すように、旋回フレーム5は、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cとを備え、これら左,右の縦板5B,5Cの前側には、作業装置4を構成するブーム4Aのフート部が回動可能に取付けられている。また、旋回フレーム5は、各縦板5B,5Cの左,右方向の外側に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に前記左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持した複数本の張出しビーム5F(図2中に2本のみ図示)と、前記各縦板5B,5C、各サイドフレーム5D,5E間で底面を形成する複数枚のアンダカバー5Gとを備えている。
カウンタウエイト6は、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板5B,5Cの後部に設けられている。このカウンタウエイト6は、作業装置4との重量バランスをとる重量物として形成されている。
キャブ7は、旋回フレーム5の左前側に設けられている。このキャブ7は、オペレータが搭乗する運転室を画成するもので、キャブ7の内部には、例えばオペレータが着席する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー(いずれも図示せず)が配設されている。
機械室8は、カウンタウエイト6の前側に配置されている。機械室8は、カウンタウエイト6とキャブ7との間を左,右方向に延びる直方体状の空間として形成され、後述する建屋カバー13、防塵装置21等によって覆われている。機械室8内には、後述のエンジン9、油圧ポンプ10、熱交換装置18等が収容されている。
原動機としてのエンジン9は、カウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5の後側に設けられている。エンジン9は、クランク軸(図示せず)が左,右方向に延在する横置き状態で、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板5B,5Cの後側に搭載されている。エンジン9の左側には後述する冷却ファン17が設けられ、エンジン9の右側には油圧ポンプ10が設けられている。油圧ポンプ10は、エンジン9と共に旋回フレーム5に搭載される搭載機器を構成するもので、エンジン9によって駆動されることにより作動油を加圧し、作業装置4の各シリンダ4D,4E,4F、走行油圧モータ、旋回油圧モータ(いずれも図示せず)等の油圧アクチュエータに向けて吐出するものである。
マフラ11は、エンジン9が排出した排気ガスを処理するもので、エンジン9の上部右側位置に設けられている。マフラ11は、油圧ポンプ10の上方位置に前,後方向に延びて設けられている。このマフラ11は、前,後方向に延びた円筒状容器として形成されたマフラケース11Aと、マフラケース11Aの前側位置から左側に向けて径方向の外側に突出した流入口11Bと、マフラケース11Aの後側位置に上,下方向に延びて設けられた排気口11Cとを含んで構成されている。流入口11Bは、エンジン9のエキゾーストマニホールドに接続されている。排気口11Cは排気管12によって覆われ、排気管12の上側は、後述のエンジンカバー16上に突設された排気管カバー12Aによって覆われている。
建屋カバー13は、エンジン9、油圧ポンプ10、熱交換装置18等の搭載機器を覆って旋回フレーム5上に設けられている。建屋カバー13は、旋回フレーム5の左サイドフレーム5D側から上方に立上り、熱交換装置18を支持する支持枠体14と、油圧ポンプ10等を右側方から覆うように旋回フレーム5の右サイドフレーム5E側から立上った右側面カバー15と、エンジン9等を上方から覆うように支持枠体14の上部と右側面カバー15の上部との間を左,右方向に延びて設けられたエンジンカバー16とを含んで構成されている。そして、建屋カバー13は、後述する防塵装置21と共に旋回フレーム5上で機械室8を覆っている。
ここで、建屋カバー13を構成する支持枠体14は、旋回フレーム5の左サイドフレーム5D等に取付けられ、キャブ7の後面と対面した状態で上方に立上る前立上り板14Aと、前立上り板14Aと前,後方向で間隔をもって対面しつつ上方に立上る後立上り板14Bと、前立上り板14Aの上端と後立上り板14Bの上端との間を連結し前,後方向に延びる上連結板14Cとを含んで構成されている。前立上り板14Aと後立上り板14Bの内側には熱交換装置18が取付けられる構成となっている。
一方、支持枠体14の前立上り板14Aの左端部には、上,下方向に延びる前側ブラケット14Dが設けられ、前側ブラケット14Dには、上,下方向に間隔をもって複数(例えば3個)の雌ねじ孔14Eが形成されている。また、支持枠体14の後立上り板14Bの左端部には、上,下方向に延びる後側ブラケット14Fが設けられ、後側ブラケット14Fには、U字状の屈曲形状を有するねじ座14Gが上,下方向に間隔をもって複数個(例えば3個)設けられている。さらに、支持枠体14の上連結板14Cの左端側には、前,後方向に間隔をもって複数の雌ねじ孔14Hが設けられている。
冷却ファン17は、機械室8内に位置してエンジン9の左側に設けられている。冷却ファン17は、エンジン9を動力源として回転駆動されることにより、図2中の矢示Fで示すように、防塵装置21を介して建屋カバー13(機械室8)内に外気を吸込み、この外気を冷却風として熱交換装置18に供給するものである。なお、冷却ファンは、エンジン9を駆動源とするものに限らず、例えば電動ファン等を用いてもよいものである。
熱交換装置18は、キャブ7の後側に配置され、冷却ファン17と左,右方向で対面した状態で支持枠体14を介して旋回フレーム5上に設けられている。熱交換装置18は、例えばエンジン冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ、ターボ過給機によってエンジン9に供給される吸気を冷却するインタクーラ、エアコンの冷媒を冷却するコンデンサ等を含んで構成されている。熱交換装置18は、冷却ファン17による冷却風の流れ方向(図2中の矢示F方向)において冷却ファン17よりも上流側、即ち防塵装置21と冷却ファン17との間に配置されている。熱交換装置18は、ラジエータ、オイルクーラ、インタクーラ、エアコンのコンデンサ等から生じた熱を、建屋カバー13内に供給された冷却風中に放熱することにより、エンジン冷却水、作動油、ターボ過給機を通過した吸気、エアコンの冷媒等の流体を冷却するものである。
次に、第1の実施の形態に用いられる防塵装置21について説明する。防塵装置21は、キャブ7の後側に配置され、冷却ファン17による冷却風の流れ方向(図2中の矢示F方向)に対し熱交換装置18の上流側に設けられている。防塵装置21は、冷却風中に混入した粉塵等の塵挨を捕捉するものである。防塵装置21は、後述する枠部材22と、フィルタ部材26と、フィルタ固定カバー27と、シール装置31とを含んで構成されている。
枠部材22は、建屋カバー13を構成する支持枠体14に取付けられている。枠部材22は、フィルタ固定カバー27との間でフィルタ部材26を挟込んで保持するものである。枠部材22は鋼板材等を用いて四角形の枠状に形成され、中央部に冷却風が通過する四角形状の開口部23Aが形成された外枠23と、外枠23の開口部23Aに取付けられたフィルタ保持枠24とを含んで構成されている。
外枠23は、開口部23Aの前側に位置して上,下方向に延びる前板23Bと、開口部23Aの後側に位置して上,下方向に延びる後板23Cと、開口部23Aの上側に位置して前,後方向に延びる上板23Dと、開口部23Aの下側に位置して前,後方向に延びる下板23Eとを有する四角形の枠状に形成されている。外枠23の前板23Bは支持枠体14の前側ブラケット14Dと対面し、前板23Bには、前側ブラケット14Dの雌ねじ孔14Eに対応する位置に3個のボルト挿通孔23Fが形成されている。外枠23の後板23Cは支持枠体14の後側ブラケット14Fと対面し、後板23Cには、後側ブラケット14Fのねじ座14Gに対応する位置に3個のボルト挿通孔23Gが形成されている。また、上板23Dの上端は、支持枠体14の上連結板14Cと対面するように右側方に折曲げられた折曲面23D1となり、この折曲面23D1には、上連結板14Cの雌ねじ孔14Hに対応する位置に4個のボルト挿通溝23Hが形成されている。また、外枠23の前板23Bには、U字状の屈曲形状を有する2個のねじ座23Jが上,下方向に離間して設けられ、外枠23の後板23Cには、U字状の屈曲形状を有する2個のねじ座23Kが上,下方向に離間して設けられている。
フィルタ保持枠24は、外枠23の開口部23Aから熱交換装置18側に張出して設けられ、フィルタ部材26を保持するものである。フィルタ保持枠24は、外枠23の開口部23Aとほぼ等しい四角形の枠状をなす周壁部24Aと、この周壁部24Aの奥所位置から内向きに張出す張出し縁部24Bと、張出し縁部24Bに囲まれ冷却風が流通する通気口24Cとにより、浅底の額縁状に形成されている。フィルタ保持枠24は、その周壁部24Aが外枠23の開口部23Aの周縁部に溶接等の手段を用いて接合されることにより、外枠23と一体化されている(図5参照)。
そして、枠部材22を構成する外枠23の前板23B、後板23C、上板23Dの折曲面23D1に設けられた各ボルト挿通孔23F,23Gおよび各ボルト挿通溝23Hには、ボルト25が挿通される。これら各ボルト25は、支持枠体14の前側ブラケット14Dの雌ねじ孔14E、後側ブラケット14Fのねじ座14G、上連結板14Cの雌ねじ孔14Hにそれぞれ螺着される。これにより、枠部材22は、支持枠体14に対して強固に固定されている。
フィルタ部材26は、枠部材22の通気口24Cを覆った状態でフィルタ保持枠24に保持されている。フィルタ部材26は、通気口24Cを通過する冷却風中の塵挨を捕捉するものである。ここで、フィルタ部材26は、四角形の枠状をなす外枠部26Aと、外枠部26Aの内周側に配置されたフィルタ本体26Bとにより構成されている。外枠部26Aは、枠部材22を構成するフィルタ保持枠24の周壁部24Aに対して僅かに小さな相似形をなし、後述のシール装置31を介して周壁部24Aの内側に嵌合する構成となっている。また、外枠部26Aには、枠部材22のフィルタ保持枠24に対する取付け、取外しを行うときに作業者が把持する把手26Cが設けられている。
一方、フィルタ本体26Bは、外枠部26Aの内側面に接着、溶接等の手段を用いて固定されている。フィルタ本体26Bは、多数の山型状の襞(ひだ)が連続することにより表面積、即ち塵挨を捕捉できる面積が拡大した板状に形成されている。そして、フィルタ部材26の外枠部26Aは、枠部材22を構成するフィルタ保持枠24の周壁部24Aの内側に挿入され、張出し縁部24Bに当接した状態でフィルタ保持枠24に対して位置決めされる。この状態で、フィルタ部材26はフィルタ保持枠24内で自立し、枠部材22(フィルタ保持枠24)の通気口24Cを覆う構成となっている。
フィルタ固定カバー27は、枠部材22のうち機械室8とは反対側となる外側面に取付けられている。フィルタ固定カバー27は、枠部材22のフィルタ保持枠24との間でフィルタ部材26を挟込んで保持するものである。フィルタ固定カバー27は、鋼板材等を用いて四角形の枠状に形成され、中央部に冷却風が通過する四角形状の通風開口27Aが形成されている。フィルタ固定カバー27は、通風開口27Aの前側に位置して上,下方向に延びる前板27Bと、通風開口27Aの後側に位置して上,下方向に延びる後板27Cと、通風開口27Aの上側に位置して前,後方向に延びる上板27Dと、通風開口27Aの下側に位置して前,後方向に延びる下板27Eとによって囲まれた四角形の枠状をなしている。
フィルタ固定カバー27の通風開口27Aは、枠部材22の外枠23に設けられた開口部23Aとほぼ等しい大きさを有している。フィルタ固定カバー27の前板27Bは、枠部材22の外枠23の前板23Bと対面し、前板27Bには外枠23のねじ座23Jに対応する位置に2個のボルト挿通孔27Fが形成されている。フィルタ固定カバー27の後板27Cは、枠部材22の外枠23の後板23Cと対面し、後板27Cには外枠23のねじ座23Kに対応する位置に2個のボルト挿通孔27Gが形成されている。
フィルタ固定カバー27のうち枠部材22と対面する内側面には、複数(例えば4個)のフィルタ押え具28が設けられている。フィルタ押え具28は、フィルタ固定カバー27の内側面のうちフィルタ部材26の各角部(四隅)に対応する部位に設けられ、フィルタ固定カバー27を枠部材22に取付けたときに、フィルタ保持枠24に保持されたフィルタ部材26を、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付けて固定するものである。図5に示すように、フィルタ押え具28は、フィルタ固定カバー27の内側面に溶接等によって固着されたねじ座28Aと、ねじ座28Aに螺入されたボルト28Bとにより構成され、ボルト28Bの頭部28Cは、ゴム等の被覆材(図示せず)によって覆われている。
フィルタ押え具28を構成するボルト28Bの頭部28Cは、フィルタ固定カバー27を枠部材22に取付けたときに、フィルタ保持枠24に保持されたフィルタ部材26の外枠部26Aの四隅に当接し、この外枠部26Aをフィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付ける。この場合、ねじ座28Aに対するボルト28Bの螺入量を調整することにより、フィルタ部材26に対するボルト28Bの頭部28Cによる押付け力を適宜に調整することができる。これにより、フィルタ部材26を、シール装置31を介してフィルタ保持枠24に適度な力で密着させることができ、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を抑えることができる構成となっている。
そして、建屋カバー13を構成する支持枠体14にボルト25を用いて枠部材22を取付け、枠部材22のフィルタ保持枠24によってフィルタ部材26を自立した状態に保持した状態で、フィルタ固定カバー27の前板27B、後板27Cに設けられた各ボルト挿通孔27F,27Gには、ボルト29が挿通される。これら各ボルト29は、枠部材22の外枠23に設けられたねじ座23J,23Kにそれぞれ螺着される。これにより、フィルタ固定カバー27が枠部材22に固定され、フィルタ固定カバー27と枠部材22のフィルタ保持枠24との間でフィルタ部材26が挟込まれる。このとき、フィルタ固定カバー27に設けられた各フィルタ押え具28が、フィルタ部材26の外枠部26Aの四隅をフィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付けることにより、フィルタ部材26を、シール装置31を介してフィルタ保持枠24に適度な力で密着させることができる構成となっている。
次に、第1の実施の形態に用いられるシール装置31について説明する。シール装置31は、枠部材22のフィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間に設けられ、両者間の隙間を塞ぐと共に、油圧ショベル1の振動からフィルタ部材26を保護するものである。ここで、シール装置31は、第1の弾性体32と、第1の弾性体32よりも硬度が高い(硬い)第2の弾性体33とにより構成されている。
第1の弾性体32は、フィルタ保持枠24の周壁部24Aのうち張出し縁部24Bと交わる角部に全周に亘って設けられている。第1の弾性体32は、例えば発泡ゴム等の弾性材料を用いて細長い中空なパイプ状に形成され、図7に示すように、半円形状(円弧状)の断面形状を有している。第1の弾性体32は、平坦な取付面32Aと、取付面32Aから円弧状に隆起した当接面32Bとを有し、取付面32Aは、周壁部24Aの内周面に接着剤を用いて接着されている。
このように、第1の弾性体32は、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに接した状態で、周壁部24Aの内周面に全周に亘って取付けられている。そして、図6に示す如くフィルタ部材26がフィルタ保持枠24の内側に挿入された状態では、第1の弾性体32の当接面32Bは、フィルタ部材26の外枠部26Aによって押圧されることにより弾性変形しつつフィルタ部材26に当接(密着)する。従って、フィルタ部材26は、第1の弾性体32を介してフィルタ保持枠24の内側に弾性的に支持され、第1の弾性体32は、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を塞ぐ。これにより、冷却風に混入した粉塵等の塵挨が、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を通じて熱交換装置18(機械室8)へと流込むのを抑えると共に、フィルタ保持枠24に対するフィルタ部材26の振動を抑える構成となっている。
第2の弾性体33は、フィルタ保持枠24の周壁部24Aのうち外枠23の開口部23A側の内周面に全周に亘って設けられている。第2の弾性体33は、第1の弾性体32よりも硬度が高い(硬い)ゴム板等の弾性材料を用いて、長方形の断面形状を有する細長い帯状に形成されている。第2の弾性体33は、平坦な取付面33Aとフィルタ受け面33Bとを有し、取付面33Aは、周壁部24Aの内周面に接着剤を用いて接着されている。これにより、第2の弾性体33は、第1の弾性体32との間に一定の間隔(距離)S1を保った状態で、周壁部24Aの内周面に全周に亘って取付けられている。
ここで、図7に示すように、第1の弾性体32の当接面32Bに荷重が作用していない状態(自然状態)で、周壁部24Aの内周面から第1の弾性体32の円弧状の当接面32Bの頂点までの高さを第1の弾性体32の高さ寸法Aとし、周壁部24Aの内周面から第2の弾性体33のフィルタ受け面33Bまでの高さを第2の弾性体33の高さ寸法Bとすると、第1の弾性体32の高さ寸法Aは、第2の弾性体33の高さ寸法Bよりも大きく設定されている(A>B)。
そして、図6に示す如く、フィルタ部材26が、フィルタ保持枠24の内側に挿入されて第1の弾性体32によって弾性的に支持された状態において、油圧ショベル1の走行時や作業時に生じる振動が比較的小さい場合には、フィルタ部材26の外枠部26Aと、第2の弾性体33のフィルタ受け面33Bとの間には、隙間Cが形成される設定となっている。従って、比較的小さな振動がフィルタ部材26に作用したとしても、第1の弾性体32が弾性変形することにより、フィルタ部材26の振動が枠部材22に伝わるのを抑えることができる構成となっている。
一方、油圧ショベル1の走行時や作業時に大きな振動が生じ、この振動がフィルタ部材26に作用した場合には、第1の弾性体32が大きく弾性変形することにより、フィルタ部材26の外枠部26Aが、第2の弾性体33のフィルタ受け面33Bに当接する。これにより、第2の弾性体33は、フィルタ部材26がフィルタ保持枠24に衝合するのを抑えると共に、弾性変形によってフィルタ部材26の振動を抑える。このように、第2の弾性体33は第1の弾性体32よりも硬度が高いため、第1の弾性体32が大きく弾性変形した場合には、フィルタ部材26の外枠部26Aは、第2の弾性体33に当接する。これにより、フィルタ部材26がフィルタ保持枠24に衝合して破損するのを抑え、フィルタ部材26を保護することができる構成となっている。また、第1の弾性体32が限度を超えて弾性変形するのを抑え、第1の弾性体32を保護することができる構成となっている。
さらに、第2の弾性体33は、フィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入する場合に、フィルタ部材26の外枠部26Aをフィルタ保持枠24に向けてガイドする役割を担っている。即ち、仮にフィルタ部材26を、フィルタ保持枠24の周壁部24Aに沿ってフィルタ保持枠24内に挿入した場合には、フィルタ部材26の外枠部26Aが第1の弾性体32に突当たることにより、第1の弾性体32の接着面にせん断力が作用してフィルタ保持枠24から剥れる虞れがある。このため、第2の弾性体33によってフィルタ部材26の外枠部26Aをガイドすることにより、第1の弾性体32が剥れることなくフィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入することができる構成となっている。
この場合、第1の弾性体32は中空なパイプ状をなし、当接面32Bは取付面32Aから円弧状に隆起している。従って、第2の弾性体33にガイドされた状態で、フィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入することにより、外枠部26Aの角部が当接面32Bに当接したときに、第1の弾性体32は、その中空部分が凹むように弾性変形する。このため、第1の弾性体32の取付面32Aとフィルタ保持枠24の周壁部24Aとの接着面にせん断力が作用するのを抑えることができ、第1の弾性体32が周壁部24Aから剥がれるのを抑えることができる構成となっている。
一方、第1の弾性体32と第2の弾性体33との間に形成された間隔S1は、フィルタ部材26をフィルタ保持枠24の外部に取出すときに、第1の弾性体32の変形によってフィルタ部材26が取出し難くなるのを抑える役割を担っている。即ち、フィルタ部材26をフィルタ保持枠24の外部に取出すときに、第1の弾性体32の当接面32Bが、フィルタ部材26の外枠部26Aとの間の摩擦によって第2の弾性体33側に変形することがある。しかし、第1の弾性体32と第2の弾性体33との間に間隔S1が確保されているので、第2の弾性体33のフィルタ受け面33Bとフィルタ部材26の外枠部26Aとの間に、変形した第1の弾性体32が噛込まれるのを抑えることができる。これにより、フィルタ部材26をフィルタ保持枠24から円滑に取外せる構成となっている。
第1の実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、油圧ショベル1の動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ7に搭乗してエンジン9を作動させる。この状態で走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を作業現場まで移動させることができる。また、オペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を俯仰動させ、土砂の掘削作業等を行うことができる。
エンジン9の作動時には冷却ファン17が回転し、建屋カバー13内において熱交換装置18と冷却ファン17との間が負圧傾向となる。これにより、防塵装置21を通じて建屋カバー13内に外気が導入され、この外気が冷却風となって図2中に矢示Fで示すように熱交換装置18に供給される。熱交換装置18は、供給される冷却風との間で熱交換を行うことにより、エンジン冷却水、作動油等の流体を冷却することができる。
ここで、油圧ショベル1は、土砂の掘削作業以外にも、例えば輸送船の船倉内で木材チップや石炭等を収集する作業、あるいは金属スクラップの解体、廃棄作業といった細かな木屑、粉塵が多い環境下での作業を行うことも多い。
これに対し、塵挨を含んだ冷却風が防塵装置21のフィルタ部材26を通過することにより、フィルタ部材26によって塵挨を捕捉することができる。これにより、熱交換装置18に供給される冷却風から塵挨を分離し、清浄化された外気のみからなる冷却風を熱交換装置18に供給することができる。この結果、熱交換装置18に粉塵が付着して目詰まりするのを抑えることができ、熱交換装置18による冷却性能を長期に亘って良好に維持することができる。
このとき、枠部材22のフィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間に設けられた第1の弾性体32は、フィルタ部材26の外枠部26Aによって押圧されることにより弾性変形しつつフィルタ部材26に密着する。これにより、第1の弾性体32は、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を塞ぎ、冷却風に混入した粉塵等がフィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を通じて熱交換装置18(機械室8)へと流込むのを抑えることができる。また、第1の弾性体32は、フィルタ部材26をフィルタ保持枠24に対して弾性的に支持している。これにより、油圧ショベル1の走行時や作業時に振動が生じ、この振動がフィルタ部材26に作用したとしても、第1の弾性体32によってフィルタ部材26の振動を抑えることができる。
一方、油圧ショベル1の走行時や作業時に大きな振動が生じ、この振動がフィルタ部材26に作用した場合には、第1の弾性体32が大きく弾性変形することにより、フィルタ部材26の外枠部26Aが、第2の弾性体33のフィルタ受け面33Bに当接する。この場合、第2の弾性体33は第1の弾性体32より硬い材質を有しているので、フィルタ部材26がフィルタ保持枠24に衝合して破損するのを抑えることができる。しかも、第2の弾性体33は、第1の弾性体32が限度を超えて弾性変形するのを抑えることにより、第1の弾性体32を保護することができる。
次に、フィルタ部材26によって捕捉した多量の塵挨を除去するために、フィルタ部材26は定期的に清掃等のメンテナンス作業を行う必要があり、以下、フィルタ部材26に対するメンテナンス作業について説明する。
メンテナンス作業に際してフィルタ部材26を取外す場合には、まず、フィルタ固定カバー27を枠部材22に対して固定しているボルト29を、枠部材22(外枠23)のねじ座23J,23Kから取外す。この状態で、フィルタ固定カバー27を枠部材22から取外す。これにより、枠部材22のフィルタ保持枠24に保持されたフィルタ部材26を、外部に露出させることができる。
この場合、フィルタ部材26は、枠部材22のフィルタ保持枠24とフィルタ固定カバー27との間に挟み込まれて固定されている。従って、枠部材22からフィルタ固定カバー27を取外すだけで、フィルタ部材26の固定状態を解除することができる。しかも、フィルタ部材26は、フィルタ保持枠24によって自立した状態で保持されているので、フィルタ固定カバー27を取外すときにフィルタ部材26を支える必要がない。
フィルタ固定カバー27を取外した後には、フィルタ部材26の外枠部26Aに設けられた把手26Cを把持することにより、フィルタ保持枠24からフィルタ部材26を容易に取出すことができる。そして、フィルタ部材26のフィルタ本体26Bに圧縮空気、洗浄水等を吹き付け、フィルタ本体26Bに付着した塵挨を除去することにより、フィルタ部材26を清浄化することができる。
ここで、フィルタ保持枠24からフィルタ部材26を取出すときには、フィルタ部材26の外枠部26Aと第1の弾性体32との間の摩擦力により、第1の弾性体32の当接面32Bが第2の弾性体33側に変形することがある。しかし、第1の弾性体32と第2の弾性体33との間に間隔S1が確保されているので、第2の弾性体33のフィルタ受け面33Bとフィルタ部材26の外枠部26Aとの間に、変形した第1の弾性体32が噛込まれるのを抑えることができる。これにより、フィルタ部材26をフィルタ保持枠24から円滑に取外すことができる
次に、清浄化されたフィルタ部材26を取付けるときには、フィルタ部材26の把手26Cを把持した状態で、フィルタ保持枠24の周壁部24Aの内周面に固着された第2の弾性体33に沿ってフィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入する。この場合、フィルタ部材26の外枠部26Aは、第2の弾性体33にガイドされることにより、フィルタ保持枠24の周壁部24Aとの間に第2の弾性体33の高さ寸法Bに対応する隙間を保ちつつ、フィルタ保持枠24内に挿入される。従って、フィルタ部材26の外枠部26Aが第1の弾性体32の下端側(周壁部24Aとの接着面の近く)に衝突するのを抑え、第1の弾性体32がフィルタ保持枠24から剥れるのを抑えることができる。また、フィルタ部材26は、軟らかい第1の弾性体32だけを弾性変形させることによりフィルタ保持枠24内に挿入されるので、作業者は、少ない力でフィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を容易に挿入することができる。
そして、フィルタ部材26の外枠部26Aによって第1の弾性体32を弾性変形させた状態で、フィルタ部材26をフィルタ保持枠24内で自立させる(図6参照)。この状態で、フィルタ固定カバー27を枠部材22の外枠23に対面させ、フィルタ固定カバー27に設けられた各ボルト挿通孔27F,27Gにボルト29を挿通し、これら各ボルト29を、枠部材22の外枠23に設けられたねじ座23J,23Kにそれぞれ螺着する。
これにより、フィルタ固定カバー27が枠部材22に固定され、フィルタ固定カバー27と枠部材22のフィルタ保持枠24との間でフィルタ部材26が挟込まれることにより、フィルタ部材26を強固に固定することができる。従って、油圧ショベル1の走行時や掘削作業時に振動が生じたとしても、この振動によってフィルタ部材26が枠部材22から脱落したり、枠部材22のフィルタ保持枠24に対して位置ずれするのを抑えることができる。この結果、冷却風中に含まれる塵挨をフィルタ部材26によって確実に捕捉することができ、熱交換装置18による冷却性能を長期に亘って良好に維持することができる。
かくして、第1の実施の形態による防塵装置21は、冷却風が通過する開口部23Aが設けられた外枠23および開口部23Aから熱交換装置18側に張出したフィルタ保持枠24を有する枠部材22と、枠部材22の開口部23Aを覆った状態で枠部材22のフィルタ保持枠24に保持されたフィルタ部材26と、枠部材22のフィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間に設けられたシール装置31とを備えている。そして、シール装置31は、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を塞ぐと共に、フィルタ保持枠24に対するフィルタ部材26の振動を抑える第1の弾性体32と、第1の弾性体32よりも硬い材質を有し、フィルタ部材26がフィルタ保持枠24に当接するのを抑える第2の弾性体33とにより構成されている。
フィルタ保持枠24の周壁部24Aに固着された第1の弾性体32は、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間で弾性変形することにより、フィルタ部材26の外枠部26Aに密着する。これにより、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を第1の弾性体32によって塞ぐことができる。この結果、冷却風に混入した粉塵が、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を通じて熱交換装置18へと流込むのを抑えることができる。また、フィルタ部材26は、軟らかい第1の弾性体32だけを弾性変形させることにより、少ない力でフィルタ保持枠24内に挿入されるので、フィルタ部材26を取付けるときの作業性を高めることができる。
しかも、油圧ショベル1の走行時や作業時に生じる振動がフィルタ部材26に作用したとしても、第1の弾性体32の弾性変形によって振動が緩和されるので、フィルタ部材26の振動が枠部材22に伝わるのを抑えることができる。一方、油圧ショベル1の走行時や作業時に大きな振動が生じた場合には、第1の弾性体32が大きく弾性変形することにより、フィルタ部材26の外枠部26Aが、第2の弾性体33のフィルタ受け面33Bに当接する。これにより、第2の弾性体33は、フィルタ部材26がフィルタ保持枠24に衝合するのを抑えると共に、弾性変形によってフィルタ部材26の振動を緩和することができる。この結果、フィルタ部材26がフィルタ保持枠24に衝合するのを抑え、これらフィルタ部材26およびフィルタ保持枠24の破損を抑えることができる。さらに、第1の弾性体32が限度を超えて弾性変形するのを抑えることができ、第1の弾性体32を保護することができる。
さらに、第2の弾性体33は、フィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入するときにフィルタ部材26(外枠部26A)が当接することにより、フィルタ保持枠24の周壁部24Aとフィルタ部材26の外枠部26Aとの間に、第2の弾性体33の高さ寸法Bに対応する隙間を保つ。これにより、フィルタ部材26の外枠部26Aが第1の弾性体32の下端側(周壁部24Aとの接着面の近く)に衝突するのを抑え、第1の弾性体32がフィルタ保持枠24から剥れるのを抑えることができる。この結果、フィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入するときの作業性を高めることができる。
次に、図8ないし図10は本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態の特徴は、シール装置を構成する第1の弾性体が、フィルタ保持枠とフィルタ部材との間の隙間を塞ぐシール部材と、フィルタ保持枠に対するフィルタ部材の振動を抑えるラバー部材とにより構成されていることにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態によるシール装置41は、第1の実施の形態によるシール装置31と同様に、第1の弾性体と第2の弾性体33とにより構成されている。しかし、第1の弾性体が、後述するシール部材42とラバー部材43とにより構成されている点で、第1の実施の形態による第1の弾性体32とは異なるものである。
第1の弾性体は、第2の弾性体33と共にシール装置41を構成するもので、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を塞ぐシール部材42と、フィルタ保持枠24に対するフィルタ部材26の振動を抑えるラバー部材43とにより構成されている。この場合、シール部材42およびラバー部材43は、第2の弾性体33よりも硬度が低い(軟らかい)材料を用いて形成されている。
シール部材42は、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに全周に亘って設けられている。シール部材42は、例えばゴム等の弾性材料を用いて長方形の断面形状を有する細長い帯状に形成されている。シール部材42は、平坦な取付面42Aと当接面42Bとを有し、取付面42Aは、張出し縁部24Bの内側面に接着剤を用いて接着されている。従って、フィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入し、フィルタ部材26の外枠部26Aをシール部材42の当接面42Bに当接させて押圧することにより、シール部材42は、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bとフィルタ部材26との間で弾性変形する。これにより、シール部材42の当接面42Bがフィルタ部材26の外枠部26Aに密着し、シール部材42が、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bとフィルタ部材26との間の隙間を塞ぐ構成となっている。
ラバー部材43は、フィルタ保持枠24の周壁部24Aのうち、外枠23の前板23B側に位置する上,下に離間した2箇所と、外枠23の後板23C側に位置する上,下に離間した2箇所との合計4箇所に設けられている(図8参照)。各ラバー部材43は、例えば発泡ゴム等の弾性材料を用いて細長い中空なパイプ状に形成され、第1の実施の形態に用いた第1の弾性体32と同様に、半円形状(円弧状)の断面形状を有している(図10参照)。即ち、各ラバー部材43は、平坦な取付面43Aと、取付面43Aから円弧状に隆起した当接面43Bとを有し、取付面43Aは周壁部24Aの内周面に接着剤を用いて接着されている。
ここで、図10に示すように、フィルタ保持枠24の周壁部24Aの内周面からラバー部材43の当接面43Bの頂点までの高さ寸法Aは、周壁部24Aの内周面から第2の弾性体33のフィルタ受け面33Bまでの高さ寸法Bよりも大きく設定されている(A>B)。これにより、図9に示す如くフィルタ部材26がフィルタ保持枠24の内側に挿入された状態では、各ラバー部材43の当接面43Bは、フィルタ部材26の外枠部26Aによって押圧されることにより弾性変形する。従って、フィルタ部材26は、各ラバー部材43を介してフィルタ保持枠24の内側に弾性的に支持され、フィルタ保持枠24に対するフィルタ部材26の振動を、各ラバー部材43によって抑えることができる構成となっている。
また、各ラバー部材43は、第2の弾性体33との間に一定の間隔(距離)S2を保った位置に取付けられている。これにより、フィルタ部材26をフィルタ保持枠24から取出すときに、フィルタ部材26の外枠部26Aとの摩擦力によってラバー部材43の当接面43Bが変形したとしても、第2の弾性体33のフィルタ受け面33Bとフィルタ部材26の外枠部26Aとの間に、変形したラバー部材43が噛込まれるのを抑えることができる構成となっている。
第2の実施の形態によるシール装置41は上述の如き構成を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態によるものと格別差異はない。即ち、フィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入したときには、シール部材42は、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bとフィルタ部材26との間で弾性変形することにより、フィルタ保持枠24(張出し縁部24B)とフィルタ部材26との間の隙間を塞ぐ。この結果、冷却風に混入した粉塵が、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を通じて熱交換装置18へと流込むのを抑えることができる。
また、油圧ショベル1の走行時や作業時に生じる振動がフィルタ部材26に作用したとしても、フィルタ保持枠24の周壁部24Aに固着された各ラバー部材43が、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間で弾性変形することにより、フィルタ部材26の振動が枠部材22に伝わるのを緩和することができる。一方、油圧ショベル1の走行時や作業時に大きな振動が生じた場合には、第2の弾性体33は、フィルタ部材26がフィルタ保持枠24に衝合するのを抑えると共に、弾性変形によってフィルタ部材26の振動を緩和することができる。
この場合、各ラバー部材43は、フィルタ保持枠24の周壁部24Aの全周に設けられるのではなく、外枠23の前板23B側に位置する上,下に離間した2箇所と、外枠23の後板23C側に位置する上,下に離間した2箇所に設けられている。これにより、フィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入するときに、フィルタ部材26の外枠部26Aと各ラバー部材43との間に生じる摩擦力を低減することができる。従って、各ラバー部材43の長さを調整することにより、フィルタ部材26を挿入するときの抵抗力を調整することができ、各ラバー部材43の材質を変えることなく、フィルタ部材26を挿入するときの感覚(挿入感覚)を容易に変更することができる。
次に、図11および図12は本発明の第3の実施の形態を示し、第3の実施の形態の特徴は、第2の弾性体と共にシール装置を構成する第1の弾性体が、シール部材とラバー部材とにより構成され、これらシール部材、ラバー部材、第2の弾性体が、それぞれフィルタ部材に設けられていることにある。なお、第3の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第3の実施の形態によるシール装置51は、第1の実施の形態によるシール装置31と同様に、第1の弾性体と後述する第2の弾性体54とにより構成されている。しかし、第1の弾性体が、後述するシール部材52とラバー部材53とにより構成されている点で、第1の実施の形態による第1の弾性体32とは異なるものである。
第1の弾性体は、第2の弾性体33と共にシール装置51を構成するもので、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を塞ぐシール部材52と、フィルタ保持枠24に対するフィルタ部材26の振動を抑えるラバー部材53とにより構成されている。この場合、シール部材52およびラバー部材53は、第2の弾性体54よりも硬度が低い(軟らかい)材料を用いて形成されている。
シール部材52は、フィルタ部材26の外枠部26Aに全周に亘って設けられている。シール部材52は、例えばゴム等の弾性材料を用いて長方形の断面形状を有する細長い帯状に形成され、外枠部26Aの外周面に接着剤を用いて接着されている。従って、フィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入することにより、シール部材52は、フィルタ部材26の外枠部26Aとフィルタ保持枠24の周壁部24Aとの間で弾性変形する。これにより、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間をシール部材52によって塞ぐことができ、冷却風に混入した粉塵が、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を通じて熱交換装置18へと流込むのを抑えることができる構成となっている。
ラバー部材53は、フィルタ部材26の外枠部26Aのうち、外枠23の前板23B側に位置する上,下に離間した2箇所の外周面と、外枠23の後板23C側に位置する上,下に離間した2箇所の外周面との合計4箇所に接着剤を用いて接着されている。各ラバー部材53は、例えば発泡ゴム等の弾性材料を用いて細長い中空なパイプ状に形成され、第1の実施の形態に用いた第1の弾性体32と同様に、半円形状(円弧状)の断面形状を有している。これにより、フィルタ部材26がフィルタ保持枠24の内側に挿入された状態では、各ラバー部材53は、フィルタ部材26によって押圧されることにより弾性変形しつつフィルタ部材26を弾性的に支持する。従って、フィルタ保持枠24に対するフィルタ部材26の振動を、各ラバー部材53によって抑えることができる構成となっている。
第2の弾性体54は、フィルタ部材26の外枠部26Aの外周面に全周に亘って設けられている。第2の弾性体54は、第1の弾性体を構成するシール部材52およびラバー部材53よりも硬度が高い(硬い)ゴム板等の弾性材料を用いて細長い帯状に形成され、外枠部26Aの外周面に接着剤を用いて接着されている。第2の弾性体54は、油圧ショベル1の走行時や作業時に大きな振動がフィルタ部材26に作用した場合に、フィルタ保持枠24の周壁部24Aに当接する。これにより、フィルタ部材26がフィルタ保持枠24に直接的に衝合するのを抑えると共に、弾性変形によってフィルタ部材26の振動を緩和することができ、フィルタ部材26およびフィルタ保持枠24の破損を抑えることができる構成となっている。
第3の実施の形態によるによるシール装置51は上述の如き構成を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態によるものと格別差異はない。然るに、第3の実施の形態によれば、第1の弾性体を構成するシール部材52、ラバー部材53、および第2の弾性体54が、それぞれフィルタ部材26の外枠部26Aに取付けられている。このため、定期的な交換を必要とするフィルタ部材26の交換時に、このフィルタ部材26と一緒にシール部材52、ラバー部材53、第2の弾性体54を一括して交換することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
次に、図13および図14は本発明の第4の実施の形態を示し、第4の実施の形態の特徴は、第2の弾性体と共にシール装置を構成する第1の弾性体が、シール部材とラバー部材とにより構成され、ラバー部材と第2の弾性体とは、フィルタ保持枠とフィルタ部材との間に積層して設けられていることにある。なお、第4の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第4の実施の形態によるシール装置61は、第1の実施の形態によるシール装置31と同様に、第1の弾性体と第2の弾性体33とにより構成されている。しかし、第1の弾性体は、後述するシール部材62とラバー部材63とにより構成されている点で、第1の実施の形態による第1の弾性体32とは異なるものである。
第1の弾性体は、第2の弾性体33と共にシール装置61を構成するもので、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を塞ぐシール部材62と、フィルタ保持枠24に対するフィルタ部材26の振動を抑えるラバー部材63とにより構成されている。この場合、シール部材62およびラバー部材63は、第2の弾性体33よりも硬度が低い(軟らかい)材料を用いて形成されている。
シール部材62は、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに全周に亘って設けられている。シール部材62は、例えばゴム等の弾性材料を用いて長方形の断面形状を有する細長い帯状に形成されている。シール部材62は、平坦な取付面62Aと当接面62Bとを有し、取付面62Aは、張出し縁部24Bの内側面に接着剤を用いて接着されている。従って、フィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入することにより、シール部材62は、フィルタ部材26の外枠部26Aとフィルタ保持枠24の張出し縁部24Bとの間で弾性変形する。これにより、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bとフィルタ部材26との間の隙間を、シール部材62によって塞ぐことができる構成となっている。
ラバー部材63は、第2の弾性体33に積層された状態でフィルタ保持枠24の周壁部24Aとフィルタ部材26との間に全周に亘って設けられている。ラバー部材63は、例えば発泡ゴム等の弾性材料を用いて細長い中空なパイプ状に形成され、半円形状(円弧状)の断面形状を有している。ラバー部材63は、平坦な取付面63Aと、取付面63Aから円弧状に隆起した当接面63Bとを有し、取付面63Aが第2の弾性体33のフィルタ受け面33Bに接着剤を用いて接着されることにより、第2の弾性体33と一体化している。これにより、硬度の異なる第2の弾性体33とラバー部材63とは、周壁部24Aの板厚方向に積層されている。
そして、図13に示す如くフィルタ部材26がフィルタ保持枠24の内側に挿入された状態では、ラバー部材63の当接面63Bは、フィルタ部材26の外枠部26Aによって押圧されることにより弾性変形しつつフィルタ部材26に当接する。従って、フィルタ部材26は、第2の弾性体33およびラバー部材63を介してフィルタ保持枠24の内側に弾性的に支持されている。これにより、ラバー部材63は、フィルタ保持枠24の周壁部24Aとフィルタ部材26との間の隙間を塞ぐと共に、フィルタ保持枠24に対するフィルタ部材26の振動を抑える構成となっている。
第4の実施の形態によるによるシール装置61は上述の如き構成を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態によるものと格別差異はない。然るに、第4の実施の形態によれば、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bとフィルタ部材26との間の隙間をシール部材62によって塞ぐことができ、かつ、フィルタ保持枠24の周壁部24Aとフィルタ部材26との間の隙間をラバー部材63によって塞ぐことができる。これにより、冷却風に混入した粉塵が、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を通じて熱交換装置18へと流込むのを、シール部材62とラバー部材63とによって確実に抑えることができる。
しかも、硬度の異なる第2の弾性体33とラバー部材63とは、予め接着することにより積層されて一体化している。従って、ラバー部材63が接着された第2の弾性体33をフィルタ保持枠24の周壁部24Aに接着することにより、第2の弾性体33とラバー部材63とを、別々にフィルタ保持枠24の周壁部24Aに接着する作業を不要とすることができる。これにより、第2の弾性体33およびラバー部材63をフィルタ保持枠24に取付けるときの作業性を高めることができる。さらに、例えばフィルタ保持枠24の周壁部24Aの幅寸法(外枠23の開口部23Aから張出し縁部24Bまでの寸法)が小さく、第2の弾性体33とラバー部材63とを幅方向に並べて接着できない場合でも、第2の弾性体33とラバー部材63とを周壁部24Aの板厚方向に積層することにより、第2の弾性体33を周壁部24Aに接着することができる。
なお、第1の実施の形態では、第1の弾性体32を中空なパイプ状に形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、第1の弾性体は、フィルタ保持枠24内に挿入されたフィルタ部材26に当接して弾性変形できる軟らかな材料を用いることにより、多角形、円形、楕円形等の断面形状を有する中実体として形成してもよい。このことは、第2,第3,第4の実施の形態に用いられるラバー部材43,53,63についても同様である。
さらに、実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例示したが、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の油圧ショベル、ホイールローダ等の他の建設機械にも適用することができる。