JP6792926B2 - プレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造 - Google Patents
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Description
以下、第1の発明のプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造の全体、部分の構成及び接合方法の手順について、図1〜図9を参照して説明する。本発明の特徴は、接合鉄筋の端部に定着用突起を設けたことにある。以下では、プレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造の全体とともに、この定着用突起の構成、成形方法について説明する。
図1は、第1の発明のプレキャストコンクリート(以下、PCaと略記する。)柱梁部材の接合構造1における第1実施形態の構成を示した一部断面図である。本実施形態の梁20は、梁下部21が工場製作され、梁上部22が現場コンクリート打設により構築されるハーフPCa部材で構成されている。同図にはPCa柱10A内で水平方向に所定間隔をあけて配列されたシース管11からなる貫通孔14内に接合鉄筋15,16が収容され、各接合鉄筋15,16の梁側端部がそれぞれ梁主筋25,26に接合された状態が示されている。このときシース管11内のグラウト充填と梁上部22のコンクリートはまだ施工されていない。PCa柱10A内に配筋された下側接合鉄筋15の梁側端部は、梁下側主筋25の端部に取り付けられたモルタル充填式継手27内に挿入されている。一方、上側接合鉄筋16にはネジ節鉄筋が用いられ、その梁側端部は、あばら筋28に保持された梁上側主筋の端部に取り付けられた機械式継手カプラー29に螺合されている。
図2は、第1の発明のPCa柱梁部材の第2実施形態の全体の構成を示した一部断面図である。本実施形態の梁30は、梁全体が工場製作されたフルPCa部材で構成されている。梁は、通常断面部31と、梁端部からの所定範囲の梁上下面に、通常断面に対して梁せいを増加させた断面拡幅部32とから構成されている。断面拡幅部32の断面のPCa柱10Aの貫通孔14に対応する位置に、シース管33を埋設してなる貫通孔34が形成されている。接合鉄筋15,16は、PCa柱内10Aの貫通孔14から断面拡幅部32に形成された貫通孔34内までにわたって保持されている。接合鉄筋15,16の両端には、第1実施形態と同様に図4に示したような定着用突起17が形成されている。
図3は、第1の発明のPCa柱梁部材の第2実施形態の変形例の全体構成を示した一部断面図である。本変形例も梁全体が工場製作された、通常断面梁31からなるフルPCa部材の梁で構成されている。図1と同様にPCa柱10A内には貫通孔14が配列されている。この貫通孔14と連通する梁内には上下主筋35,36の梁軸線側の内側位置に配列された鉄筋保持孔37,37が形成されている。接合鉄筋15,16は、PCa柱10Aの貫通孔14内と通常断面梁31の端面から所定範囲にわたって形成された鉄筋保持孔37内にわたり収容、保持されている。接合鉄筋15,16の両端には、第1実施形態と同様に定着用突起17が形成されている。この変形例では、接合鉄筋15,16は、梁30が接合される柱10の側面と反対側面から挿入される。
図4各図は、接合鉄筋15(16、以後符号15のみを付して説明する。)の端部に形成された定着用突起17の例を示した説明図である。各定着用突起17は、その成形方法の相違によって形状等が異なる。各定着用突起17の成形手順について図7〜図9を参照して簡単に説明する。図7各図は、高周波誘導加熱を利用して定着用突起17を成形する手順を示している。この方法では、まず鉄筋端部15aに高周波誘導加熱装置40の誘導加熱用コイル41を被せ、高周波誘導加熱によって鉄筋端部15aを加熱する(図7(a)、(b))。加熱され軟化した鉄筋端部15aに成形型42を押し当てることにより、型形状に倣った定着用突起17を形成する(図7(c)、(d))。本成形方法によれば、鉄筋端を熱間加圧成形することによって十分な強度を有する突起を鉄筋母材と一体的に形成することができる。図8各図は、摩擦圧接法によって定着用突起17を成形する手順を示している。この方法では、まず鉄筋端部15aを成形型43の端面に押し当てて成形型43を高速で回転して鉄筋15と摺り合わせる(図8(a))。このときに生じる摩擦熱によって鉄筋端部15aを軟化させ、軟化した鉄筋端部15aを成形型43に押圧して膨らみ部を成形し、必要に応じて整形して定着用突起17とする(図8(b)〜(d))。この方法によれば、加熱源を用いずに鉄筋を軟化させることができる。図9各図は、鉄筋端部15aに膨らみ部15bを形成し、この膨らみ部15bを整形加工して定着用突起17を成形する手順を示している。この成形方法では、一度に2本の鉄筋15の端部に定着用突起17を形成することができる。当接させた鉄筋15の端部15aを加圧して圧接した状態で圧接部位を加熱すると、圧接境界面に関して対称なこぶ状の膨らみ部15bが形成される(図9(a)、(b))。その後、圧接状態にある2個の膨らみ部15bを一体的に回転切削装置(図示せず)によって整形し(図9(c))、2本の鉄筋15の端部に所定の対称形状をなす定着用突起17を形成する。剥離面15cで2本の鉄筋15を分離することで、それぞれの端部に同形をなす定着用突起17を有する接合鉄筋15を得ることができる(図9(d))。
以下、第2の発明のプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造の全体、部分の構成について、図10〜図14を参照して説明する。本発明の特徴は、接合鉄筋にネジ節鉄筋を採用し、PCa柱内に、ネジ節鉄筋と螺合するナットをシース管の軸線方向に沿って配置した一体部材を埋設した点にある。以下、プレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造の全体構成について説明する。
図10は、第2の発明のPCa柱梁部材の接合構造1の第1実施形態の構成を示した一部断面図である。本実施形態の梁は、梁上部が現場コンクリート打設により構築されるハーフPCa部材で構成されている。同図にはPCa柱10A内に配列されたシース管11によって形成された貫通孔14内にネジ節鉄筋からなる接合鉄筋15,16がナット51に螺合された状態で保持され、さらに各接合鉄筋15,16の梁側端部がそれぞれ梁主筋25,26に接合された状態が示されている。PCa柱10A内に配筋された下側接合鉄筋15の梁側端部は、梁下側主筋の端部に取り付けられたねじ節鉄筋継手またはモルタル充填式継手からなる継手27内に挿入されている。一方、上側接合鉄筋16は、梁上側主筋の端部の機械式継手カプラー29に螺合されている。
図11は、第2の発明のPCa柱10A梁部材の第2実施形態の全体の構成を示した一部断面図である。本実施形態の梁30も工場製作されたフルPCa部材で構成されている。接合鉄筋15,16には、第1実施形態と同様に図10に示したのと同じネジ節鉄筋が使用されている。接合鉄筋15,16は、図10と同様にPCa柱10A内に配列された貫通孔を構成する一体部材50のシース管11内に収容され、鐔付きナット51によってシース管11内に保持されている。また、梁端部からの所定範囲の梁上下面に、通常断面梁31に対して梁せいを増加させた断面拡幅部32が形成されている。この断面拡幅部32にもPCa柱10A内の貫通孔14に対応する位置に埋設されたシース管33からなる貫通孔34が形成されている。PCa柱10A内に配筋された上下の接合鉄筋15,16は、PCa柱10A内の鐔付きナットに保持され、さらに断面拡幅部32に形成された貫通孔34内にわたって収容、保持されている。
図13は、第2の発明の第1実施形態を例にして、接合構造1でのグラウト充填状態とグラウトを供給するための経路を模式的に示した断面図である。同図に示したように、PCa柱10A内において、梁上側主筋26と接合される接合鉄筋16を収容するシース管11内と鐔付きナット51内の貫通孔14とにグラウト19が充填されるが、鐔付きナット51内にグラウト19を確実に充填するために、ナット51の雌ねじ部にグラウト充填用スロット63を形成することが好ましい。またグラウト経路の注入口61に対して梁上側主筋26に連なるシース管11の梁側と、梁下側主筋25側のモルタル充填式継手27の一部に、部材外まで延在する空気抜き経路62を設け、グラウト充填時の施工性を確保することが好ましい。一方、梁下側主筋25と接合される接合鉄筋15のグラウト供給経路では、注入口61からシース管11内を通る経路に加え、モルタル充填式継手27の内部27aと梁20と柱10との接合面3にも同時にグラウト19が供給される経路を設けることが好ましい。
図14(b−1)、(b−2)は一体部材50の変形例の構成を示している。同図に示したように、鐔付きナット51の長さ方向の中央位置に鐔51aを配置し、鐔51aの両側にナット51bを配置した。また、シース管11の接合キャップ54と同様に、円筒部材53にも接合キャップ53aを形成し、鐔51aを挟んだ状態でシース管11と円筒部材53とをナット51bに被せるようにして全体を一体化させることができる。これにより、各部材の一体性が高められ、PCa柱10Aの柱梁接合部のコンクリート打設時において、型枠内に一体部材50を確実に保持させることができる。
10,10A,10B PCa柱
11,33,38 シース管
14,34,37 貫通孔
15,16 接合鉄筋
17 定着用突起
20,30 PCa梁
25 梁下側主筋
26 梁上側主筋
27 モルタル充填式継手
29 機械式継手カプラー
31 通常断面梁
32 断面拡幅部
50 一体部材
51 鐔付きナット
53 円筒部材
Claims (7)
- 梁上下方向に梁高さが拡幅された断面拡幅部を有し、該断面拡幅部に、接合鉄筋の梁側端部が収容保持される梁貫通孔が形成されたプレキャストコンクリート梁と、前記梁貫通孔と同軸位置に柱貫通孔が配列、形成されたプレキャストコンクリート柱とが、前記接合鉄筋を介して接合されたプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造において、
前記接合鉄筋は、前記プレキャストコンクリート柱側の端部に定着用突起が形成され、該定着用突起が前記柱貫通孔内に充填された充填材によって孔内に定着保持され、他端が前記プレキャストコンクリート梁の前記梁貫通孔内に定着されたことを特徴とするプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造。 - 梁上下方向に梁高さが拡幅された断面拡幅部を有し、該断面拡幅部に、接合鉄筋の梁側端部が収容保持される梁貫通孔が形成されたプレキャストコンクリート梁と、前記梁貫通孔と同軸位置に柱貫通孔が配列、形成されたプレキャストコンクリート柱とが、前記接合鉄筋を介して接合されたプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造において、
前記接合鉄筋は、ネジ節鉄筋からなり、前記柱貫通孔内に埋設保持されたナットに螺合されて前記柱貫通孔内に保持され、前記柱貫通孔内に充填された充填材によって孔内に定着され、他端が前記プレキャストコンクリート梁の前記梁貫通孔内に定着されたことを特徴とするプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造。 - 接合鉄筋が梁側端部で梁主筋端部と接合されたハーフプレキャストコンクリート梁と、該ハーフプレキャストコンクリート梁の梁主筋と同軸位置に柱貫通孔が配列、形成されたプレキャストコンクリート柱とが、前記柱貫通孔内に収容、保持された前記接合鉄筋を介して接合されたプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造において、
前記接合鉄筋は、前記プレキャストコンクリート柱側の端部に定着用突起が形成され、該定着用突起が前記柱貫通孔内に充填された充填材によって孔内に定着保持され、他端が前記ハーフプレキャストコンクリート梁側に定着されたことを特徴とするプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造。 - 接合鉄筋が梁側端部で梁主筋端部と接合されたハーフプレキャストコンクリート梁と、該ハーフプレキャストコンクリート梁の梁主筋と同軸位置に柱貫通孔が配列、形成されたプレキャストコンクリート柱とが、前記柱貫通孔内に収容、保持された前記接合鉄筋を介して接合されたプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造において、
前記接合鉄筋は、ネジ節鉄筋からなり、前記柱貫通孔内に埋設保持されたナットに螺合されて前記柱貫通孔内に保持され、前記柱貫通孔内に充填された充填材によって孔内に定着され、他端が前記ハーフプレキャストコンクリート梁側に定着されたことを特徴とするプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造。 - 前記接合鉄筋は、両端部に定着用突起が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造。
- 前記柱貫通孔は、コンクリート内にシース管を埋設して形成されたことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造。
- 前記柱貫通孔は、コンクリート内にシース管と前記ナットと円筒部材とを同軸的に配置して埋設して形成されたことを特徴とする請求項2または請求項4に記載のプレキャストコンクリート柱梁部材の接合構造。
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