JP6792151B2 - 三フッ化塩素の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、三フッ化塩素(ClF)の製造方法に関する。三フッ化塩素(ClF)は、有機合成、無機合成、原子力および半導体分野などで、クリーニングガスおよびフッ化剤として用いられる、
三フッ化塩素の一般的な工業的製造方法としては、以下の反応式に示すフッ素ガス(F)に塩素(Cl)を反応させる方法、またはフッ素ガス(F)に一フッ化塩素(ClF)を反応させる方法を挙げることができる。
Figure 0006792151
特許文献1には、フッ化ハロゲン化合物の製造方法であって、原料とフッ素ガスの混合部の温度を原料の沸点付近程度(100〜130℃)に抑えることで、混合部の腐食を大幅に低減することができ、原料とフッ素ガスの混合部と反応部を分離し、混合部において十分に攪拌混合され、且つ緩やかに加熱された化学量論量の原料を反応器に供給することによって、急激な反応を防止することができることが開示されている。また、その実施例1において、フッ素ガスと塩素ガスから三フッ化塩素を製造する際に、100℃に設定したニッケル製蒸発器内にフッ素ガスと塩素ガスを導入し、次いで300℃に加熱した反応器内に導入し、蒸発器および反応器を腐食させることなく三フッ化塩素を収率95%で得たことが記載されている。
非特許文献1には、ClFは高温下において以下に示す不均化を生じ、温度250〜300℃におけるその解離度は1.8%〜5.0%であることが記載されている。
Figure 0006792151
非特許文献2には、以下に示すように、ClとClFとを反応させてClFを製造する方法が記載されている。
Figure 0006792151
非特許文献3には、以下の反応によりClFよりClFが生成することを抑制するため、理論反応当量であるF:Cl=3:1より僅かにFガスを多くして、FガスとClガスを反応器内に導入することで、ClFを選択的に得る製造方法が記載されている。
Figure 0006792151
特許文献2には、ClFを含むインターハロゲンの合成方法であって、ClFの不均化を抑制するため、FとClとの反応(3F + Cl → 2ClF)後、冷却捕集を行い反応系からClFを除き、反応系を再度加熱することが記載されている。
このようにClFの不均化を抑制する方法として、非特許文献3には3FガスとClガスからClFを得る際に原料のFガスを過剰に供給する方法が記載され、特許文献2には、生成したClFを反応系から除くことが記載される。しかしながら、Fを過剰に供給すると、別途、未反応のFガスの回収、除害化または再利用などの必要性が生じる懸念がある。生成したClFを反応系から除外する方法は、捕集器などの除去設備を別途設ける必要性が生じる懸念がある。いずれにしても製造工程が煩雑となるという問題があった。
また、特許文献3、4には、七フッ化ヨウ素の製造方法が開示される。特許文献3には、金属フッ化物を含む充填物を内部に有する反応器を用い、充填物の存在下でフッ素ガスと五フッ化ヨウ素ガスを反応させ七フッ化ヨウ素を製造する七フッ化ヨウ素の製造方法が開示され、特許文献4には、金属フッ化物を含む充填物を内部に有する反応器を用い、充填物の存在下でヨウ素ガスとフッ素ガスを反応させる、七フッ化ヨウ素の製造方法が開示されており、前記金属フッ化物として、NiF、FeFまたはCoFを少なくとも1種類以上含む金属フッ化物を用いることが記載される。
特開2000−159505号公報 国際公開WO2010−055769のパンフレット 特開2015−147704号公報 特開2016−113337号公報
J. W. Mellor (編集) A comprehensive Treatise On Inorganic And Theoretical Chemistry, Supplement II, PaRti" Longmans, Green And Co (1956), p147 H. Schmitz, H. J. Schumacher Z. Naturforschg., 2a, (1947) p362 H. F. Mark, D. F. Othmer, C. G. Overberger, G. T. Seaborg (eds) "Encyclopedia of Chemical Technology, vol10, (3rd Editon)" John Wiley & Son (1980) p722
本発明は、フッ素ガス(Fガス)と、塩素ガス(Clガス)または一フッ化塩素ガス(ClFガス)を反応させて、三フッ化塩素(ClF)を高収率で得る、ClFの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ClFを高収率で得る製造方法を鋭意検討した結果、反応器内にFガスと、ClガスまたはClFガスの少なくとも一方を原料ガスとして供給し反応させてClFを得る際、原料ガス中のフッ素原子と塩素原子のモル比(F/Cl)が2以上となるように供給し、且つ充填したNiFペレットを150℃以上、400℃以下に加熱し原料ガスを接触させたところ、意外なことに、不均化反応による副生物であるClFの発生が抑えられ、ClFが高い収率で製造できることを見出した。
本発明の三フッ化塩素の製造方法は、Fガスと、ClガスまたはClFガスの少なくとも一方を反応させてClFを得る際、NiFが150℃以上、400℃以下の特定の範囲の温度で高い触媒作用を示し、不均化反応による副生物であるClFの発生が抑えられ、ClFが高い収率で製造できることを見出したものである。
本発明の三フッ化塩素の製造方法を用いれば、本発明の実施例1〜8に示すように、ClFが選択性よく且つ90%以上の高い収率で得られる。
一般的に、不均一系触媒における反応は、原料の吸着、反応、生成物の脱離の順で進行することが知られている。前記特許文献3、4に記載の七フッ化ヨウ素の製造方法において、金属フッ化物を含む充填物は、反応において不均一触媒として作用し、原料であるのヨウ素およびの五フッ化ヨウ素が金属フッ化物を含む充填物に吸着し、フッ素と反応して七フッ化ヨウ素となり、生成ガスとして金属フッ化物を含む充填物から脱離していると推測される。原料であるヨウ素(沸点、184℃)および五フッ化ヨウ素(沸点、98℃)は沸点が高く、金属フッ化物を含む充填物への吸着に有利である。また、生成物である七フッ化ヨウ素(沸点、5℃)は沸点が低く、金属フッ化物を含む充填物からの脱離に有利である。
特許文献3、4に記載の七フッ化ヨウ素の製造方法において、原料の沸点が高く且つ生成物の沸点が低いことが、金属フッ化物を含む充填物が不均一触媒として優れた働きをする原因であると推察された。
本発明の三フッ化塩素の製造方法においては、原料として沸点の低い塩素(沸点、−34℃)と一フッ化塩素(沸点、−100℃)を用い、生成物として沸点の高い三フッ化塩素(沸点、12℃)を製造する。特許文献3、4に記載の七フッ化ヨウ素の製造方法においては、原料であるヨウ素および五フッ化ヨウ素の沸点が高く、生成物である七フッ化ヨウ素の沸点が低い。このように、本発明の三フッ化塩素の製造方法と特許文献3、4に記載の七フッ化ヨウ素の製造方法を比較すると、原料と生成物の間の沸点の関係は逆であり、金属フッ化物を含む充填物を用いたとしても優れた触媒作用は示さないと推察された。
しかしながら、本発明の三フッ化塩素の製造方法において、フッ化ニッケル(II)を含む充填物が優れた触媒作用を示したことは、意外なことであった。
本発明の三フッ化塩素の製造方法は、以下の発明1〜4を含む。
[発明1]
フッ化ニッケル(II)を充填物として内部に有し、充填物の温度を150℃以上、400℃以下とした反応器内に、フッ素ガスと、塩素ガスまたは一フッ化塩素ガスの少なくとも一方をフッ素原子と塩素原子のモル比(F/Cl)が2以上となるように供給し、充填物と接触させて反応させる、三フッ化塩素の製造方法。
[発明2]
前記反応器内に供給するフッ素ガスと、塩素ガスまたは一フッ化塩素ガスを合わせた体積に対し、さらに不活性ガスを10体積%以上となるように供給する、発明1の三フッ化塩素の製造方法。
[発明3]
反応中の前記反応器内の圧力を大気圧以下とする、発明1〜2の三フッ化塩素の製造方法。
[発明4]
前記反応器の材質がニッケルまたはニッケル基合金である、発明1〜3の三フッ化塩素の製造方法。
本発明の三フッ化塩素の製造方法により、フッ素(F)と、塩素ガス(Cl)または一フッ化塩素(ClF)の少なくとも一方を反応させて、三フッ化塩素(ClF)を高い収率で得る、三フッ化塩素の製造方法が提供される。
本発明の三フッ化塩素の製造方法は、「フッ化ニッケル(II)を充填物として内部に有し、充填物の温度を150℃以上、400℃以下とした反応器内に、フッ素ガスと、塩素ガスまたは一フッ化塩素ガスの少なくとも一方をフッ素原子と塩素原子のモル比(F/Cl)が2以上となるように供給し、充填物と接触させて反応させる、三フッ化塩素の製造方法。」である。
本発明の三フッ化塩素の製造方法を用いれば、フッ素と塩素のモル比、F/Clが3以上となるように、Fガスと、ClガスまたはClFガスの少なくとも一方を供給して反応させることで高い収率でClFが得られる。
本発明の三フッ化塩素の製造方法には、前述の非特許文献3および特許文献2に記載の方法のように、未反応のFガスの回収、除害化または再利用、あるいは生成したClFを反応系から除去するための捕集器などの除去設備を別途設ける必要性がなく、製造工程が煩雑となる懸念はないと推察される。
本発明の三フッ化塩素の製造方法は、有機合成分野、無機合成分野、原子力分野または半導体分野などでクリーニングガスあるいはフッ素化剤として、従来から用いられているClFの効率的な製造方法として利用できる。さらに、本発明の三フッ化塩素の製造方法は、従来のClFの製造方法と比較して、Fガスと、ClガスまたはClFガスの少なくとも一方をを反応させてClFを得る際の充填触媒であるNiFの触媒効果により、ClFに対しClFを選択性よく且つ収率よく得ることができ、Fガスの使用量を抑えることができ、容積の小さい反応器を使用することができる。また、ClFの収率の増加、副生物であるClFを減少させ、単位時間あたりのClFの製造量を増加させClFの生産性を向上させることができる。
以下、本発明の三フッ化塩素の製造方法について説明する。
1.ClFの生成反応
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、原料ガスに、Fガスと、ClガスまたはClFガスの少なくとも一方、言い換えれば、FガスとClガスの組合せ、FガスとClFガスの組合せ、またはFガスとClガスとClFガスの組み合わせのいずれかであって、フッ素原子と塩素原子のモル比(F/Cl)が2以上となるように組成が調整された原料ガスを用いる。尚、原料ガスは不活性ガス等のFガス、Clガス、ClFガス以外のガスを含んでいてもよい。これら原料ガスが反応器内に供給され、以下に示す反応(1)または反応(2)のいずれかの反応をすることで、目的生成物であるClFが生成する。
Figure 0006792151
2.充填物
本発明の三フッ化塩素の製造方法は、Fガスと、ClガスまたはClFガスの少なくとも一方を反応させてClFを得る際、NiFが150℃以上、400℃以下の特定の範囲の温度で優れた触媒作用を示し、不均化反応による副生物であるClFの発生が抑えられ、ClFが高い収率で製造できることを見出したものである。
本発明の三フッ化塩素の製造方法において使用する、反応器の充填物が含むNiFとしては、無水のNiFを使用することが好ましい。吸湿したNiF、または水和物であるNiF例えばNiF・4HOを用いると、ClFの製造中にHOと、Fガス、Clガス、ClFガスまたはClFが反応してHFおよびHClが生成し、反応器の内面を侵す、または好ましくない副生物が生じる虞がある。以上のことより、本発明の三フッ化塩素の製造方法において、水和したNiFまたは吸湿したNiFを充填物として用いる場合、加熱して脱水する等の脱水処理を行うことが好ましい。
本発明の三フッ化塩素の製造方法において使用される充填物の形状は、反応器内を流通する原料ガスと効率よく接触することができ、反応器内でガスが閉塞することがなければよく、特に限定されない。充填物は、例えば、メッシュ状のNiにFガス、ClFガス、BrFガスまたはIFガスを高温で接触させる等の手段で、Ni表面をフッ素化しNiFとしたものを使用することができ、または市販のNiF粉を成型したものを使用することができる。
また、本発明の三フッ化塩素の製造方法において、ClFを得る反応を制御するために、反応器内にNiFを他の金属フッ化物と共に充填してよく、または他の金属フッ化物を担体として用いてもよい。用いる他の金属フッ化物は、F、Cl、ClF、またはClFと反応しないことが好ましい。この様な金属フッ化物として、具体的には、AlF、CaF、FeF、KF、LiF、MgF、またはNaFを例示することができる。
3.フッ素原子と塩素原子のモル比
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、ClFを高収率で得るためには、原料ガスを、原料ガスが有する、フッ素原子と塩素原子のモル比(F/Cl)が2以上となるように、NiFが充填された反応器内に供給することが必要である。
前記モル比(F/Cl)が2未満では、F + ClF → ClFの反応が進まないまたはClF + Cl → 3ClF の反応が進むことで、生成物中においてClF、及び未反応のClが多くなり、ClFの収率が低下し、ClFガス、及び未反応のClガスの回収、分離、並びに再利用する必要性を生じ、工程の煩雑さに繋がる。好ましくは3以上である。
モル比を大きくする程にClFの収率は向上する。しかしながら、モル比を5より大きくすると、反応後に回収した反応ガスにおける未反応のFガスの含有が多くなり、未反応のFガスを回収、分離、並びに再利用する必要性を生じ、工程の煩雑さに繋がる。以上のことより、モル比を5より大きくする必要はない。
本発明の三フッ化塩素の製造方法におけるモル比(F/Cl)は好ましくは2以上、5以下である。
4.原料ガスの供給方法
本発明の三フッ化塩素の製造方法における原料ガスの供給方法としては、具体的には、所望の組成の原料ガスが圧縮充填された容器に、原料ガスの流量測定のためのマスフローコントローラーを接続して、流量を測定しつ反応器に供給する方法を例示することができる。反応器に供給する際の原料ガスの温度は、マスフローコントローラーが動作可能な温度であれば、特に限定されない。
5.原料ガスへの不活性ガスの添加
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、前記反応器内に供給するフッ素ガスと、塩素ガスまたは一フッ化塩素ガスを合わせた体積に対し、さらに不活性ガスを10体積%以上となるように同伴させて供給してもよい。
本発明において、不活性ガスとは、原料ガスが含むFガスと、ClガスまたはClFガス、および生成物であるClFと反応しないガスのことを言う。具体的には、ヘリウム、窒素、アルゴンまたはフッ化水素ガスを例示することができる。本発明の三フッ化塩素の製造方法において、これらの中で入手のし易さおよび安価なことより、窒素ガスを用いることが好ましい。
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、原料ガスに不活性ガスを加え、反応系を前記不活性ガスで希釈した状態にすることで、反応の進行を制御することが容易となり、局所反応、反応時の過剰な発熱、引いては反応の暴走が起きないよう、反応を温和に進行させることができる。また、反応系を前記不活性ガスで希釈した状態にすることで、反応中の反応器の腐食を防止することができる。
[原料ガスがFガスとClガスである場合]
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、特にFガスとClガスを原料ガスに用い以下の反応によりClFを得る際は、FガスとClガスとは急激に反応するので、局所反応または反応時の過剰な発熱がなきよう、原料ガスにさらに不活性ガスを加え、反応が温和となる様にすることが好ましい。
Figure 0006792151
[原料ガスがFガスとClFガスである場合]
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、FガスとClFガスを原料ガスとして用い、以下の反応によりClFを製造する際は、FガスとClガスを原料ガスに用いる場合と異なり、反応は比較的穏やかに進むため、不活性ガスの添加は必要でなければしなくてもよい。しかしながら、反応を温和に進行させClFを確実に製造させたい場合、不活性ガスを添加することが好ましい。
Figure 0006792151
[不活性ガスの添加量]
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、不活性ガスの添加量は、反応器内に供給するFガスと、Clガスおよび/またはClFガスとを合わせた体積に対し、10体積%以上となる量であることが好ましい。不活性ガスの添加量が10体積%未満であると、ClFを製造る際に局所反応または反応時の過剰な発熱を抑制される効果が少ない。
不活性ガスの添加量が多いほどに、反応を温和に進行させてClFを製造することができる。しかしながら、生成物中のClFが希薄になり、補修に手間を伴う。ClFを製造する際の効率である生産性を考慮すると、原料ガスにおいて、FガスとClガスおよび/またはClFガスとを合わせた体積に対し、不活性ガスを90体積%より多く同伴させる必要はなく、好ましくは50体積%以下である。
6.ClFを製造する際の反応条件
[反応温度]
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、ClFを高い収率で得るためには、反応器内に充填したフッ化ニッケル(II)(NiF)の温度が150℃以上、400℃以下となるように、反応器内の温度を150℃以上、400℃以下に調整した状態で、原料ガスを反応器内に供給し、NiFと接触させる。反応器内の温度、即ち、充填物であるNiFの温度が150℃より低いと、FとClまたはFとClFの反応が進行し難く、ClFを高収率且つ選択性よく得難く、ClFの副生が増加する傾向がある。充填物であるNiFの温度を高くするほどにNiFの触媒作用が増し、ClFの副生が減少する。しかしながら、400℃より高いと、反応器内が原料に含まれるFガスによって腐食する虞がある。そのため、400℃より高い場合、反応器の材質は白金等の高価なものに限定される。また、目的生成物であるClFの分解が起こる。好ましくは350℃以下である。
以上のことより、本発明の三フッ化塩素の製造方法において、反応温度、すなわち、反応器内に充填してなるNiFの温度は150℃以上、400℃以下である必要がある。
なお、反応器内部の加熱手段は、反応器に敷設または内設した電気ヒータ等を挙げることができる。
[反応圧力]
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、反応時の反応器内の圧力は、反応後の生成ガスの回収方法に適用させるため、任意に設定できる。しかしながら、F、Cl、ClFおよびClFには毒性および腐食性があり、反応中および回収する際に、漏洩を防止するためには、反応器内の圧力が外気(大気圧)に対して陽圧でないことが好ましく、反応器内の圧力は大気圧101.3kPa(絶対圧表示)以下であることが好ましい。一方、反応時の反応器内の圧力を50kPa(絶対圧表示)未満まで下げると、反応の進行が遅くなり生産性が低下する。反応器内の圧力は50kPa(絶対圧表示)以上とすることが好ましい。
[反応器内の原料の滞在時間]
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、反応器内に供給されたF、ClガスまたはClFガスの少なくとも一方を含む原料ガスの反応器内の滞在時間は、目的生成物であるClFの所望の収率と、ClFの生産性を考慮し、種々選択することができる。
本発明の三フッ化塩素の製造方法において、ClFからClFが生成する不均化反応が顕著とならない反応温度以下であれば、原料ガスの反応器内の滞在時間の増加とともにClFの選択率および収率は増加する。しかしながら、滞在時間を増加させるには、内容積が大きい反応器が必要となる。ClFの製造における生産性を考慮すると、原料の滞在時間は短く反応器の容積は小さい方が好ましい。例えば、本発明の三フッ化塩素の製造方法により、フッ素原子と塩素原子のモル比(F/Cl)が2以上の条件で、FガスとClFガスを反応させる場合、充填触媒であるNiFの温度が250℃以上であれば、原料の反応器内の滞在時間を60秒以上とすることで、ClFの高い収率を得ることができる。具体的には、本発明の実施例において、反応器内の含量ガスの滞在時間を60秒以上とすることにより、ClFが収率90%以上で得られた。
7.反応器
[反応器の形式]
反応器の形式は、原料ガスと充填触媒であるNiFと接触できればよく、連続式反応器または回分式反応器を使用することができる。
[流通式管型反応器]
本発明の三フッ化塩素の製造方法において連続式反応器を用いる場合、原料ガスとしてFガスと、ClガスまたはClFガスの少なくとも一方を同時に反応器内に供給する必要がある。連続的且つ効率的に生産性よくClFを得ることを考慮すれば、連続式反応器に属する流通式管型反応器を選択することが好ましい。管型反応器の形状は、NiFを充填物として内部に充填することができ、充填した状態で、ガスを流通することができる空洞を有し、且つ、原料ガスに対し耐食性のある材質であれば、特に限定されない。
管型反応器の内面が粗いと、ガスが反応器内を流通する際の抵抗のため、ガスの滞留、圧力損失の増大、または局所的な反応を生じ、反応の制御が困難になる虞がある。また、管型反応器の内面が酸化されていると、原料ガスと反応する虞がある。以上のことより内部が平滑、および内面が酸化されていない管型反応器を用いることが好ましい。具体的には、不活性ガスまたは真空などの無酸化性雰囲気中で加熱急冷して表面の酸化を抑制し、且つ表面が平滑である光輝焼鈍管を管型反応器として用いることが好ましい。
[回分式反応器]
本発明の三フッ化塩素の製造方法に回分式の密閉型反応器を用いる場合、Fガスと、ClガスまたはClFガスを予め混合させて、密閉型反応器に仕込んでもよいし、個別に密型式反応器内に供給してもよい。個別に密閉型反応器内に供給する場合、これら原料を反応器内に供給する順番は特に限定されず、Fとガス、ClガスまたはClFガスを同時に、または別々に供給してもよい。
[反応器の材質]
本発明の三フッ化塩素の製造方法に使用することができる反応器の材質として、Fガスと、ClガスまたClFガスとを含む原料ガスに対し、反応し難く耐腐食性がある材質である必要性がある。具体的には、ニッケル、登録商標インコネル、ハステロイ、モネル等のニッケル基合金、アルミニウム、アルミナ、ステンレス鋼、白金等の金属を例示することができる。本発明の三フッ化塩素の製造方法において、反応器内の温度を150℃以上とする場合、これら金属の中でも、特に耐腐食性に優れるニッケル、登録商標インコネル、ハステロイ、モネルなどのニッケル基合金、白金、またはアルミナを選択することが好ましい。また、充填触媒として使用するNiFまたは前記金属フッ化物を反応器の材質とすることもできる。特に好ましくは、本発明の三フッ化塩素の製造方法において使用する高温のFガス、Clガス、ClFガス、またはClFガスに対する耐食性に優れことより、入手加工し易く且つ安価なニッケルおよびニッケル基合金である。ニッケルまたはニッケル基合金を光輝焼鈍管の材質とすることで表面にこれらガスと反応する可能性のある金属酸化物をなくし、ClFの製造中に表面の平滑性を維持する効果がある。尚、ニッケル基合金とはニッケルを主成分(90%以上)とし、アルミニウム、チタン、タングステン、モリブデン、タンタルまたはクロムを含み、高温での強度、耐食性、耐酸化性を有する合金である。
本発明の三フッ化塩素の製造方法における反応器には、無酸化性雰囲気における焼き鈍しである光輝焼鈍を行った光輝焼鈍管を用いることが好ましい。
本発明の三フッ化塩素の製造方法を、ニッケル基合金を含むニッケル製反応器を用いて実施する場合、反応器の内面はNiFに変化するが、Ni製光輝焼鈍管を用いた場合、Ni製粗面管と比較して、反応器の内面がClFの反応場になりにくく、反応器の損傷や意図しない反応が生じにくい。
以下、実施例により本発明の三フッ化塩素の製造方法を具体的に示すが、本発明の三フッ化塩素の製造方法は、以下の実施例に限定されるものではない。
[生成ガスの体積比およびClFの収率の測定]
以下の実施例1において、反応後の生成ガス中のFガス、Clガス、ClFガス、またはClFガスの体積比およびClFの収率は、フーリエ変換赤外分光法および紫外可視分光法により算出した。
具体的には、フーリエ変換赤外分光(以下、FT−IRと呼ぶことがある)にはフーリエ変換赤外分光度計(株式会社島津製作所製、商品名IR−Tracer100)を、紫外可視(以下、UV−Visと呼ぶことがある)分光にはダブルビーム分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、U−2910)を測定機器として用い、FT−IRによりClF、ClFの組成比の測定、およびUV−VisによるClとFの組成比の測定を行った。これらの測定値から反応生成物中のFガス、Clガス、ClFガス、またはClFガスの体積比を算出するとともに、数式ClF/(ClF+ClF)×100に従い、塩素基準のClFの収率(%)を算出した。
[反応器]
以下の実施例1において、反応器には流通式管型反応器としてのNi201を用いてニッケル製の光輝焼鈍管を用いた。Ni201は商業的に純粋とされる純度99.6%のニッケルに対し、炭素の含有量を低減したニッケルであり、JIS H4552:2000ニッケル及びニッケル合金継目無管に準拠する。
実施例1
NiFペレットは、粉末状のNiF(純度99% 米国Apollo Scientific Limited社製)を加圧成型し、直径10mm、厚さ3mmの円柱状となるように作製した。次いで、本NiFペレット 320g(3.31モル)を、電気ヒータおよび圧力計を備えた、内径54.9mm、長さ500mmの上記光輝焼鈍管に充填した。電気ヒータにより光輝焼鈍管を加熱し、充填物であるNiFペレットの温度を290℃とした。次いで、Fガス、Clガスを、これらFガスとClガスにNガスを合わせた体積に対して84.2体積%となるようにNガスで希釈してなる原料ガスを光輝焼鈍管の一端から供給し、他端から生成ガスを得た。尚、全量を100とした時の原料ガスの体積比は、F:Cl:N=63.2:21.1:15.8であり、原料ガスが含むフッ素原子と塩素原子のモル比は、F/Cl=3である。
供給の際、マスフローコントローラーで、光輝焼鈍管内の内圧が絶対圧で101kPaとなり、原料ガスの滞在時間が62秒となり、光輝焼鈍管内の原料ガスの総流量を0℃、101kPaで1151cm/minとなる様に調整した。調整した状態を維持しつつ、原料ガスを光輝焼鈍管内に1時間流通させ、FおよびClFからClFを得る反応を連続的に行い、ClFを得た。
光輝焼鈍管出口で反応後の生成ガスを一部抜き出して、ClF、ClFの組成比を、前記フーリエ変換赤外分光度計およびダブルビーム分光光度計で、ClとFの組成比をUV−Visで測定し、ClFの収率を算出したところ、収率は95%であった。
実施例2
光輝焼鈍管の一端から、Fガス、Clガス、ClFガスを、これらFガスとClガスとCLFガスにNガスで合わせた体積に対して86.5体積%となるようにNガスで希釈してなる原料ガスを供給し、他端から生成ガスを得た。その際、実施例1と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、F、Cl、ClFからClFを得る反応を連続的に行った。尚、原料ガス全量を100とした時の体積比は、F:Cl:ClF:N=54.1:10.8:21.6:13.5であり、原料ガスが含むフッ素原子と塩素原子のモル比は、F/Cl=3である。
実施例1と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は97%であった。
実施例3
光輝焼鈍管の一端から、Fガス、ClFガスを、これらFガスとClFガスにNガスを合わせた体積に対し88.9体積%となるようにNガスで希釈してなる原料ガスを供給し、他端から生成ガスを得た。その際、実施例1と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、F、ClFからClFを得る反応を連続的に行った。尚、原料ガス全量を100とした時の体積比は、F:ClF:N=44.4:44.4:11.1であり、原料ガスが含むフッ素原子と塩素原子のモル比は、F/Cl=3である。
実施例1と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は98%であった。
実施例4
光輝焼鈍管の一端から、Fガス、Clガスを、これらFガスとClガスにNガスを合わせた体積に対し85.7体積%となるようにNガスで希釈してなる原料ガスを供給し、他端から生成ガスを得た。その際、実施例1と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、F、ClからClFを得る反応を連続的に行った。尚、原料ガス全量を100とした時の体積比は、F:Cl:N=57.1:28.6:14.3であり、原料ガスが含むフッ素原子と塩素原子のモル比は、F/Cl=2.0である。
実施例1と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は90%であった。
実施例5
光輝焼鈍管に原料ガスを供給する際、その充填物であるNiFペレットの温度を150℃とする以外は、実施例1と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、FおよびClからClFを得る反応を連続的に行った。実施例1と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は90%であった。
実施例6
光輝焼鈍管に原料ガスを供給する際、その充填物であるNiFペレットの温度を200℃とする以外は、実施例1と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、FおよびClからClFを得る反応を連続的に行った。実施例1と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は91%であった。
実施例7
光輝焼鈍管に原料ガスを供給する際、その充填物であるNiFペレットの温度を350℃とする以外は、実施例1と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、FおよびClからClFを得る反応を連続的に行った。実施例1と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は93%であった。
実施例8
光輝焼鈍管に原料ガスを供給する際、その充填物であるNiFペレットの温度を400℃とする以外は、実施例1と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、FおよびClからClFを得る反応を連続的に行った。実施例1と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は90%であった。
比較例1
原料ガスを供給する際に、光輝焼鈍管にNiFペレットを充填しない以外は、実施例と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、FおよびClからClFを得る反応を連続的に行った。実施例と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は81%であった。
比較例2
原料ガスを供給する際に、光輝焼鈍管にNiFペレットを充填しない以外は、実施例と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例2と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、F、ClおよびClFからClFを得る反応を連続的に行った。実施例と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は83%であった。
比較例3
原料ガスを供給する際に、光輝焼鈍管にNiFペレットを充填しない以外は、実施例と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例3と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、F、およびClFからClFを得る反応を連続的に行った。実施例と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は85%であった。
比較例4
原料ガスを供給する際に、光輝焼鈍管にNiFペレットに替えてα―Alペレット 337g(3.31モル)を充填した以外は、実施例と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、FおよびClからClFを得る反応を連続的に行った。実施例と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は79%であった。
尚、α―Alペレットは、粉末状のα―Al(純度99.5%、Strem Chemicals社製、製品番号13−0750)を加圧成型し、直径10mm、厚さ3mmの円柱状のペレットにしたものを用いた。
比較例5
ガス、Clガス、これらFガスとClガスを合わせた体積に対しNで87%となるように希釈してなる原料ガスを用いた以外は、実施例と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、FおよびClからClFを得る反応を連続的に行った。尚、全量を100とした時の原料ガスの体積比は、F:Cl:N=52.2:34.8:13.0であり、原料ガスが含むフッ素原子と塩素原子のモル比は、F/Cl=1.5である。実施例と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は76%であった。
比較例6
光輝焼鈍管に原料ガスを供給する際、その充填物であるNiFペレットの温度を100℃とする以外は、実施例と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および同じ管内ガス流量となるように調整し、FおよびClからClFを得る反応を連続的に行った。実施例と同様に、FT−IRおよびUV−VisによりClFの収率を算出したところ、収率は70%であった。
比較例7
光輝焼鈍管に原料ガスを供給する際、その充填物であるNiFペレットの温度を420℃とする以外は、実施例1と同様の光輝焼鈍管を用い、実施例1と同じ反応条件および流量となるように調整し、FおよびClからClFを得る反応を連続的に行った。光輝焼鈍管の入り口に腐食の痕跡がみられ光輝焼鈍管の入り口での原料ガスと出口における生成ガス中の各成分の物質収支が一致しなかった。生成したClFが分解したものと推測される。
表1に実施例1〜8と比較例1〜6における充填物の種類、反応温度、光輝焼鈍管に供給する原料ガスの体積比、フッ素原子と塩素原子のモル比であるF/Cl、フッ素の反応当量比を示す。
Figure 0006792151
表2に、実施例1〜7と比較例1〜6における光輝焼鈍管出口における生成ガスの組成およびClFの収率を示す。
Figure 0006792151
表2の実施例1〜8に示すように、本発明の三フッ化塩素の製造方法により、90%以上の高い収率でClFが得られた。
<実施例1〜3、比較例1〜3>
表2に示すように、充填物であるNiFペレットのありなし以外は、各々同一の反応条件である実施例1〜3と比較例1〜3を比較すると、NiFペレットを光輝焼鈍管に充填した実施例1〜3の方が高い選択率且つ収率でClFが得られた。すなわち、本発明の三フッ化塩素の製造方法の範囲において、原料ガスとNiFペレットを接触させることにより、ClFが高い収率で得られた。このことは、NiFの触媒作用によると推察される。
具体的には、光輝焼鈍管にNiFペレットを充填し、FガスおよびClガスを含む原料ガスを流通させた実施例1は、ClFの収率が95%であった。比較して、NiFペレットを充填していない比較例1はClFの収率が81%であった。また、光輝焼鈍管にNiFペレットを充填し、Fガス、ClガスおよびClFガスを含む原料ガスを流通させた実施例2は、ClFの収率が97%であった。比較して、NiFペレットを充填していない比較例2は、ClFの収率が83%であった。また、光輝焼鈍管にNiFペレットを充填し、FガスおよびClFガスを含む原料ガスを流通させた実施例3は、ClFの収率が98%であった。比較して、NiFペレットを充填していない比較例3においては、ClFの収率が85%であった。
<実施例5、比較例4>
充填物が異なること以外は同一の反応条件である実施例5と比較例4においては、NiFペレットを充填した実施例5は、ClFの収率が90%であった。比較して、アルミナペレットを充填した比較例4は、ClFの収率が79%であった。
<比較例5>
フッ素原子と塩素原子のモル比(F/Cl)が、本発明の三フッ化塩素の製造方法の範疇にない、比較例5(F/Cl=2.7)における、ClFの収率は78%であった。
<比較例6〜7>
反応温度が、本発明の三フッ化塩素の製造方法の範疇にない、比較例6(反応温度100℃)のClFの収率は70%であり、比較例7(反応温度420℃)は光輝焼鈍管に腐食が見られ、反応を順調に進行させることができなかった。

Claims (3)

  1. 金属フッ化物を充填物として内部に有する反応器に、フッ素ガスと、塩素ガスまたは一フッ化塩素ガスの少なくとも一方とを供給して三フッ化塩素を製造する製造方法において、
    前記製造方法は、前記充填物を150℃以上、400℃以下のフッ化ニッケル(II)とし、
    フッ素ガスと、塩素ガスまたは一フッ化塩素ガスの少なくとも一方フッ素原子と塩素原子のモル比(F/Cl)が2以上となるように前記反応器内へ供給し、前記充填物と接触させて反応させるものであり、
    反応中の前記反応器内の圧力を50kPa以上、大気圧以下とする、三フッ化塩素の製造方法
  2. 前記反応器内に供給するフッ素ガスと、塩素ガスまたは一フッ化塩素ガスを合わせた体積に対し、さらに不活性ガスを10体積%以上となるように供給する、請求項1に記載の三フッ化塩素の製造方法。
  3. 前記反応器の材質がニッケルまたはニッケル基合金である、請求項1又は請求項2に記載の三フッ化塩素の製造方法。
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