JP2017197390A - 五フッ化臭素の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フッ素(F2)と、臭素(Br2)および/または三フッ化臭素(BrF3)を反応させて、五フッ化臭素(BrF5)を50%以上の収率で得る、BrF5の製造方法を提供する。
【解決手段】フッ素化ニッケル(II)が充填されてなり、内部の温度を100℃以上、400℃以下とした反応器内に、原料であるフッ素と、臭素または三フッ化臭素を、フッ素と臭素のモル比F/Brが5以上となるように供給し、目的生成物である五フッ化臭素を得る、五フッ化臭素の製造方法。反応器内におけるフッ素と、臭素または三フッ化臭素と、不活性ガスを合わせた体積に対し、さらに不活性ガスを10体積%以上となるように供給することが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】フッ素化ニッケル(II)が充填されてなり、内部の温度を100℃以上、400℃以下とした反応器内に、原料であるフッ素と、臭素または三フッ化臭素を、フッ素と臭素のモル比F/Brが5以上となるように供給し、目的生成物である五フッ化臭素を得る、五フッ化臭素の製造方法。反応器内におけるフッ素と、臭素または三フッ化臭素と、不活性ガスを合わせた体積に対し、さらに不活性ガスを10体積%以上となるように供給することが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、有機合成分野、無機合成分野、原子力分野または半導体分野などでクリーニングガスあるいはフッ素化剤として用いられる五フッ化臭素(BrF5)の製造方法に関する。
五フッ化臭素(BrF5)の工業的な製造方法は、フッ素ガス(F2)に、臭素(Br2)または三フッ化臭素(BrF3)を反応させることによって製造する方法が一般的である。
非特許文献1および非特許文献2には、液体のBrF3を90〜100℃に加熱し発生したBrF3ガスと、F2ガスとを含む混合ガスを200℃に加熱したプラチナ(Pt)製の反応器に導入することで、以下の生成反応により、BrF5を製造する方法が記載されている。
[生成反応]
F2 + BrF3 → BrF5
非特許文献3では、F2ガスと、Br2ガス、BrFガスまたはBrF3ガスを混合させ、以下の不均化反応を進行させることでBrF5が生成することが記載されている。
[不均化反応]
Br2 + BrF3 ⇔ 3BrF
2BrF3 ⇔ BrF + BrF5
しかしながら、従来のBrF5の製造方法において、BrF5のみを単独で得ようとしても、上記不均化反応によりBrF5とBrF3との混合物になり、BrF5のみを選択率よく得ることが難しいという問題があった。
[生成反応]
F2 + BrF3 → BrF5
非特許文献3では、F2ガスと、Br2ガス、BrFガスまたはBrF3ガスを混合させ、以下の不均化反応を進行させることでBrF5が生成することが記載されている。
[不均化反応]
Br2 + BrF3 ⇔ 3BrF
2BrF3 ⇔ BrF + BrF5
しかしながら、従来のBrF5の製造方法において、BrF5のみを単独で得ようとしても、上記不均化反応によりBrF5とBrF3との混合物になり、BrF5のみを選択率よく得ることが難しいという問題があった。
従来のBrF5の製造方法において、BrF5をBrF3の副生少なく選択的に収率よく得るには、上記不均化反応の平衡状態をBrF5の側へ移動させる措置として、反応当量以上の過剰のフッ素(F2ガス)を反応系に導入することが必要である。しかしながら、過剰のF2ガスを反応系に導入すると、反応系からの未反応F2ガスの回収、除害化または再利用などの必要性が生じ、製造工程が煩雑となるという問題があった。
特許文献3には、反応器内でフッ素ガスと五フッ化ヨウ素ガスとを反応させることにより七フッ化ヨウ素を製造する方法において、金属フッ化物を含有する充填物を内部に充填した反応器を用い、充填物の存在下でフッ素ガスと五フッ化ヨウ素ガスとを反応させることを特徴とする、七フッ化ヨウ素の製造方法が開示されている。特許文献1において、前記金属フッ化物として、NiF2、FeF3およびCoF2の中から、少なくとも1種類以上を含む金属フッ化物を用いることが好ましいとされている。
O.Ruffs、W.Menzel、「Z.anorg.allgem. Chem.」、202、pp.49、(1931)
J.H.Simons(編集)、「Fluorine Chemistry volume1」、pp.191、(1950)
L.Stein、「J.Am.Chem.Soc.」、81、pp.1273、(1959)
本発明は、フッ素(F2)と、臭素(Br2)または三フッ化臭素(BrF3)とを反応させて、五フッ化臭素(BrF5)を50%以上の収率で得る、BrF5の製造方法を提供することを目的とする。
従来のフッ素ガス(F2ガス)と、臭素ガス(Br2ガス)、フッ化臭素ガス(BrFガス)または三フッ化臭素ガス(BrF3ガス)とを反応させて五フッ化臭素(BrF5)を得るBrF5の製造方法は、反応系にF2ガスを過剰に導入しない限り、BrF5を収率よく得ることが難しいと言う問題があった。さらに、上述の不均化反応により、最終生成物にはBrF5以外にBrF3が含まれ、目的生成物であるBrF5の選択性に劣り、BrF5を収率よく得られないという問題があった。
本発明者らは、F2と、Br2またはBrF3とを反応させてBrF5を得るBrF5の製造において、反応容器にフッ素化ニッケル(NIF2)ペレットを充填し用いたところ、意外なことに、不均化反応による副生物であるBrF3の発生が抑えられ選択性よく高い収率でBrF5を製造できることを見出した。即ち、本発明者らは、F2と、Br2またはBrF3とを反応させてBrF5を得る反応を促進する触媒として、NiF2が特定の範囲の温度で優れた作用をすることを見出し、本発明のBrF5の製造方法に到達した。
すなわち、本発明は、NiF2を含有する充填触媒を内部に有する反応器に、F2と、Br2またはBrF3とを供給して反応させ50%以上の収率でBrF5を得る、BrF5の製造方法を提供するものである。
本発明のBrF5の製造方法は、以下の発明1〜4を含む。
[発明1]
フッ素化ニッケル(II)が充填されてなり、内部の温度を100℃以上、400℃以下とした反応器内に、フッ素と、臭素または三フッ化臭素を、フッ素と臭素のモル比F/Brが5以上となるように供給し、五フッ化臭素を得る、五フッ化臭素の製造方法。
[発明2]
さらに、反応器内に不活性ガスを供給し、不活性ガスの供給量がフッ素と、臭素または三フッ化臭素と、不活性ガスとを合わせた体積に対し、10体積%以上となる、発明1の五フッ化臭素の製造方法。
[発明3]
反応器内の圧力を大気圧以下とする、発明1〜2の五フッ化臭素の製造方法。
[発明4]
反応器としてNi製光輝焼鈍管を用いる、発明1〜3の五フッ化臭素の製造方法。
[発明1]
フッ素化ニッケル(II)が充填されてなり、内部の温度を100℃以上、400℃以下とした反応器内に、フッ素と、臭素または三フッ化臭素を、フッ素と臭素のモル比F/Brが5以上となるように供給し、五フッ化臭素を得る、五フッ化臭素の製造方法。
[発明2]
さらに、反応器内に不活性ガスを供給し、不活性ガスの供給量がフッ素と、臭素または三フッ化臭素と、不活性ガスとを合わせた体積に対し、10体積%以上となる、発明1の五フッ化臭素の製造方法。
[発明3]
反応器内の圧力を大気圧以下とする、発明1〜2の五フッ化臭素の製造方法。
[発明4]
反応器としてNi製光輝焼鈍管を用いる、発明1〜3の五フッ化臭素の製造方法。
本発明の五フッ化臭素(BrF5)の製造方法により、フッ素(F2)と、臭素ガス(Br2)および/または三フッ化臭素(BrF3)を反応させて、BrF5を50%以上の収率で得る、BrF5の製造方法が提供された。
本発明の五フッ化臭素(BrF5)の製造方法は、「フッ素化ニッケル(II)(NiF2)が充填されてなる内部の温度を100℃以上、400℃以下とした反応器内に、原料であるフッ素(F2)と、臭素(Br2)および/または三フッ化臭素(BrF3)を、フッ素と臭素のモル比F/Brが5以上となるように供給し、目的生成物である五フッ化臭素(BrF5)を得る、BrF5の製造方法」である。
以下、本発明のBrF5の製造方法における製造について説明する。
以下、本発明のBrF5の製造方法における製造について説明する。
[BrF5を得る反応]
本発明のBrF5の製造方法において、原料である、F2ガスとBr2ガス、またはF2ガスとBrF3ガスを含むガスが、以下のいずれかの反応をすることによって、目的生成物であるBrF5が製造される。
本発明のBrF5の製造方法において、原料である、F2ガスとBr2ガス、またはF2ガスとBrF3ガスを含むガスが、以下のいずれかの反応をすることによって、目的生成物であるBrF5が製造される。
[原料の供給方法]
本発明のBrF5の製造方法におけるF2ガスの供給方法としては、具体的には、F2ガスが圧縮充填された容器に気体の体積測定のためのマスフローコントローラーを接続して、F2ガスを計量しつつF2ガスを反応器に供給する方法を例示することができる。反応器に供給する際のF2の温度は、マスフローコントローラーの動作可能な温度であれば、特に限定されない。
本発明のBrF5の製造方法におけるF2ガスの供給方法としては、具体的には、F2ガスが圧縮充填された容器に気体の体積測定のためのマスフローコントローラーを接続して、F2ガスを計量しつつF2ガスを反応器に供給する方法を例示することができる。反応器に供給する際のF2の温度は、マスフローコントローラーの動作可能な温度であれば、特に限定されない。
Br2、BrF3の供給方法としては、例えば、液体定量ポンプや液体用のマスフローコントローラーを用いることで、液状のBr2またはBrF3を計量しつつ加熱された反応器内に供給して気化させる、あるいは反応器に供給する前に気化器で気化させて反応器内に供給し、F2ガスと、Br2ガスまたはBrF3ガスとを反応させて、BrF5を製造することができる。液状のBr2またはBrF3を反応器内に供給する際の温度は、Br2またはBrF3の融点以上であって、液体定量ポンプや液体用のマスフローコントローラーの動作可能な温度であれば、特に限定されることはない。
[フッ素と臭素のモル比]
本発明のBrF5の製造方法において、BrF5を50%以上の収率で得るためには、少なくともF2ガスと、Br2またはBrF3とを、フッ素と臭素のモル比(=F/Br)が5以上となるように、NiF2が充填触媒として充填された反応器内に供給することが必要である。
本発明のBrF5の製造方法において、BrF5を50%以上の収率で得るためには、少なくともF2ガスと、Br2またはBrF3とを、フッ素と臭素のモル比(=F/Br)が5以上となるように、NiF2が充填触媒として充填された反応器内に供給することが必要である。
この際、モル比が3以上、5未満では、BrF5の製造は可能であるが、未反応のBr2が多くなるとともにBrF3が生成し、目的生成物であるBrF5の収率が低下する虞がある。モル比が3未満では、BrF3が主生成物となり、BrF5が殆ど得られない虞がある。
モル比を10以上とし、反応器内のガスの滞在時間を10秒以上にすることにより、BrF5を収率90%以上で得ることができる。モル比を大きくすることで、BrF5の収率は向上するが、モル比を30より大きくすると、F2ガスの使用量が増加することにより、未反応のF2ガスが多くなり、これを回収するための工程の煩雑さを伴うので、モル比を30より大きくする必要はない。よって、モル比は好ましくは30以下であり、さらに好ましくは25以下である。
[同伴ガス(不活性ガス)]
本発明は「反応器内におけるフッ素と、臭素または三フッ化臭素とを合わせた体積に対し、さらに不活性ガスを10体積%以上となるように供給する、発明1の五フッ化臭素の製造方法。」である。
本発明は「反応器内におけるフッ素と、臭素または三フッ化臭素とを合わせた体積に対し、さらに不活性ガスを10体積%以上となるように供給する、発明1の五フッ化臭素の製造方法。」である。
本発明のBrF5の製造方法において、F2ガスと、Br2またはBrF3とを反応させてBrF5を得る際に、反応系に原料であるF2、Br2、BrF3および目的生成物であるBrF5、並びに中間生成物もしくは副生物であるBrF3と反応しない不活性なガス(不活性ガス)を同伴ガスとして存在させてもよい。このような同伴ガスとしては、具体的には、ヘリウム、窒素、またはアルゴンを例示することができる。本発明のBrF5の製造方法において、これらの中で入手のし易さおよび安価なことより、窒素ガスが好ましい。
本発明のBrF5の製造方法において、F2ガスと、Br2とまたはBrF3とを反応させてBrF5を得る際、反応系を前記同伴ガスで希釈した状態にすることで、局所反応、過剰な発熱が起きないように、反応を制御することが容易となり、反応の暴走、反応器の腐食を防止することができる。
具体的には、本発明のBrF5の製造方法において、Br2を原料に用い、F2ガスと以下の反応をさせる場合、フッ素と臭素は極めて反応性が高く、局所反応および反応暴走の虞がある。これら不具合を防ぐためには、同伴ガスの添加が有効である。
比較して、Br2ガスを原料として用いずに、F2ガスとBrF3を原料として用い、以下の反応で目的生成物であるBrF5を製造する場合、反応は比較的穏やかに進むために、同伴ガスの添加は多くを必要とはしないが、添加することで反応は円滑に進行し、BrF5を安全に製造することができる。
同伴ガスの添加量は、反応器内におけるF2ガスと、Br2ガスまたはBrF3ガスと、同伴ガスとを合わせた体積に対し、10体積%以上が好ましい。10体積%未満であると、局所反応および反応暴走の抑止に対し期待される効果が少ない。さらに好ましくは20体積%以上である。
同伴ガスの割合が高いほどに、より安全にBrF5を製造することができるが、生成物を捕集するための工程の煩雑さが伴うため、BrF5を製造する際の効率である生産性を考慮すると、反応器内におけるF2ガスと、Br2ガスまたはBrF3ガスと、同伴ガスとを合わせた体積に対し、同伴ガスを90体積%より多く同伴させる必要はなく、好ましくは50体積%以下である。
[反応器内の温度]
本発明のBrF5の製造方法において、BrF5を50%以上の収率で得るためには、充填触媒として反応器内に充填してなるNiF2の温度が100℃以上、400℃以下となるように、反応器内の温度を100℃以上、400℃以下に調整した状態で、F2ガスと、Br2またはBrF3とを反応器内に供給する必要がある。反応器内の温度、即ち、充填触媒であるNiF2の温度が100℃より低いと、F2とBr2またはF2とBrF3の反応が進行し難く、BrF5を50%以上の収率で選択性よく得難く、BrF3の副生が増加する傾向がある。NiF2の温度を高くするほどに、BrF3の副生は減少する。しかしながら、400℃より高い温度では、反応器内がF2ガスなどの原料によって腐食する可能性があり、反応器の材質は白金等の高価なものに限定される。700℃を超えると目的生成物であるBrF5が分解する。以上のことより、本発明のBrF5の製造方法において、反応温度、すなわち、反応器内に充填してなるNiF2の温度は100℃以上、400℃以下を選択することができる。
本発明のBrF5の製造方法において、BrF5を50%以上の収率で得るためには、充填触媒として反応器内に充填してなるNiF2の温度が100℃以上、400℃以下となるように、反応器内の温度を100℃以上、400℃以下に調整した状態で、F2ガスと、Br2またはBrF3とを反応器内に供給する必要がある。反応器内の温度、即ち、充填触媒であるNiF2の温度が100℃より低いと、F2とBr2またはF2とBrF3の反応が進行し難く、BrF5を50%以上の収率で選択性よく得難く、BrF3の副生が増加する傾向がある。NiF2の温度を高くするほどに、BrF3の副生は減少する。しかしながら、400℃より高い温度では、反応器内がF2ガスなどの原料によって腐食する可能性があり、反応器の材質は白金等の高価なものに限定される。700℃を超えると目的生成物であるBrF5が分解する。以上のことより、本発明のBrF5の製造方法において、反応温度、すなわち、反応器内に充填してなるNiF2の温度は100℃以上、400℃以下を選択することができる。
なお、充填触媒を充填した状態で反応器を電気ヒータや蒸気などの加熱手段で加熱することにより、充填触媒であるNiF2を所望の温度にまで加熱することができる。
[反応圧力]
本発明のBrF5の製造方法において、反応時の反応器内の圧力は、原料であるF2、Br2、BrF3の回収または再利用方法、および目的生成物であるBrF5の回収の方法により任意に設定できる。しかしながら、F2、Br2、BrF3およびBrF5には毒性と腐食性があり、これらの漏洩を防止するために、反応器内の圧力は大気圧101.3kPa(絶対圧表示)以下であることが好ましい
本発明のBrF5の製造方法において、反応時の反応器内の圧力は、原料であるF2、Br2、BrF3の回収または再利用方法、および目的生成物であるBrF5の回収の方法により任意に設定できる。しかしながら、F2、Br2、BrF3およびBrF5には毒性と腐食性があり、これらの漏洩を防止するために、反応器内の圧力は大気圧101.3kPa(絶対圧表示)以下であることが好ましい
[反応器内の原料の滞在時間]
本発明のBrF5の製造方法において、反応器内に供給されたF2、Br2、BrF3などの原料の反応器内の滞在時間は、目的生成物であるBrF5の所望の収率と、BrF5の生産性を考慮し、種々選択できる。
本発明のBrF5の製造方法において、反応器内に供給されたF2、Br2、BrF3などの原料の反応器内の滞在時間は、目的生成物であるBrF5の所望の収率と、BrF5の生産性を考慮し、種々選択できる。
本発明のBrF5の製造方法において、BrF5からBrF3が生成する不均化反応が顕著とならない反応温度であれば、原料の反応器内の滞在時間の増加とともにBrF5の収率は増加する。しかしながら、滞在時間の増加により所望量のBrF5を製造するためには、容積が大きい反応器が必要となる。BrF5の生産性を考慮する場合、原料の滞在時間は短く反応器の容積は小さい方が好ましい。具体的には、本発明のBrF5の製造方法により、フッ素と臭素のモル比(F/Br)が5以上の条件で、F2ガスとBrF3ガスを反応させる場合、充填触媒であるNiF2の温度が100℃以上であれば、原料の反応器内の滞在時間を10秒以上とすることで、BrF5の収率50%以上を得ることができる。
[充填触媒]
本発明のBrF5の製造方法において使用される充填触媒が含むNiF2としては、無水のNiF2を使用することが好ましい。水和または吸湿したNiF2、例えばNiF2・4H2Oを用いると、BrF5の製造中にF2ガス、BrFガス、BrF3ガスまたはBrF5とH2Oが反応してHFが生成し、生成物中に不純物が副生する虞がある。尚、発明のBrF5の製造方法において、水和したNiF2または吸湿したNiF2を充填触媒として用いる場合、加熱などの手段によって脱水する必要がある。
本発明のBrF5の製造方法において使用される充填触媒が含むNiF2としては、無水のNiF2を使用することが好ましい。水和または吸湿したNiF2、例えばNiF2・4H2Oを用いると、BrF5の製造中にF2ガス、BrFガス、BrF3ガスまたはBrF5とH2Oが反応してHFが生成し、生成物中に不純物が副生する虞がある。尚、発明のBrF5の製造方法において、水和したNiF2または吸湿したNiF2を充填触媒として用いる場合、加熱などの手段によって脱水する必要がある。
本発明のBrF5の製造方法において使用される充填触媒の形状は、反応器内に流通させるF2ガス、Br2ガスまたはBrF3ガスが効率よく接触することができ、反応器内でこれらガスが閉塞することがなければ特に限定されない。充填触媒は、例えば、メッシュ状のNiにF2ガス、ClF3ガス、IF7ガス、またはBrF5ガスを高温で接触させるなどの手段でNi表面がフッ素化しNiF2が形成したものを使用することができ、または市販のNiF2粉をペレットに成型したものを使用することができる。
また、本発明のBrF5の製造方法において、BrF5を得る反応を制御するために、反応器に充填触媒としてのNiF2を、他の金属フッ化物と共に充填してよく、または他の金属フッ化物を担体として用いてもよい。具体的には、AlF3、CaF2、FeF3、KF、LiF、MgF2、またはNaFなどを例示することができ、F2、Br2、BrF3、またはBrF5と反応しない金属フッ化物が好ましい。
[反応器の構造]
反応器は、原料であるF2、Br2およびBrF3が充填触媒であるNiF2と接触できればよく、流通式反応器または密閉式反応器を使用できる。本発明のBrF5の製造方法に流通式反応器を用いる場合、原料である、F2と、Br2またはBrF3を同時に流通式反応器内に供給する必要がある。密閉式反応器である場合は、F2と、Br2またはBrF3とを予め混合させて、密閉式反応器に導入してもよいし、個別に密閉式反応器内に供給してもよい。個別に密閉式反応器内に供給する場合、これら原料を反応器内に供給する順番は特に限定されず、F2と、Br2またはBrF3とを同時に、または別々に供給してもよい。
反応器は、原料であるF2、Br2およびBrF3が充填触媒であるNiF2と接触できればよく、流通式反応器または密閉式反応器を使用できる。本発明のBrF5の製造方法に流通式反応器を用いる場合、原料である、F2と、Br2またはBrF3を同時に流通式反応器内に供給する必要がある。密閉式反応器である場合は、F2と、Br2またはBrF3とを予め混合させて、密閉式反応器に導入してもよいし、個別に密閉式反応器内に供給してもよい。個別に密閉式反応器内に供給する場合、これら原料を反応器内に供給する順番は特に限定されず、F2と、Br2またはBrF3とを同時に、または別々に供給してもよい。
本発明のBrF5の製造方法において、連続的且つ効率的に生産性よくBrF5を得ることを考慮すれば、流通式の管型反応器を選択することが好ましい。
本発明のBrF5の製造方法に使用する流通式の管型反応器の形状は、充填触媒であるNiF2を充填することができ、NiF2を充填した状態で、ガスを流通することができる空洞を有し、且つ、上記材質であれば、特に限定されない。
管型反応器を使用する場合、管型反応器の内面が粗いと、ガスが反応器内を流通する際の抵抗のため、ガスの滞留、圧力損失の増大、または局所的な反応等が生じ反応の制御が困難になる虞がある。また、発明のBrF5の製造方法において、管型反応器の内面が酸化されていると、F2ガスと、Br2ガスまたはBrF3ガスとを含むガスと反応する虞がある。内部が平滑、および内面が酸化されていない管型反応器が好ましい。具体的には、不活性ガスまたは真空などの無酸化性雰囲気中で加熱急冷して表面の酸化を抑制し、且つ表面が平滑である光輝焼鈍管を管型反応器として用いることが好ましい。
[反応器の材質]
本発明のBrF5の製造方法に使用することができる反応器の材質として、F2ガスと、Br2ガスまたはBrF3ガスとを含むガスに対し、反応し難く耐腐食性がある材質である必要性がある。具体的には、ニッケル、登録商標インコネル、ハステロイ、モネルなどのニッケル基合金、アルミニウム、アルミナ、ステンレス鋼、白金等の金属を例示することができる。本発明のBrF5の製造方法において、反応器内の温度を150℃以上とする場合、これら金属の中でも、特に耐腐食性に優れるニッケル、登録商標インコネル、ハステロイ、モネルなどのニッケル基合金、白金、またはアルミナを選択することが好ましい。特に好ましくは、入手加工し易く、且つ安価なニッケルおよびニッケル基合金である。また、充填触媒として使用するNiF2または前記金属フッ化物を反応器の材質とすることもできる。
本発明のBrF5の製造方法に使用することができる反応器の材質として、F2ガスと、Br2ガスまたはBrF3ガスとを含むガスに対し、反応し難く耐腐食性がある材質である必要性がある。具体的には、ニッケル、登録商標インコネル、ハステロイ、モネルなどのニッケル基合金、アルミニウム、アルミナ、ステンレス鋼、白金等の金属を例示することができる。本発明のBrF5の製造方法において、反応器内の温度を150℃以上とする場合、これら金属の中でも、特に耐腐食性に優れるニッケル、登録商標インコネル、ハステロイ、モネルなどのニッケル基合金、白金、またはアルミナを選択することが好ましい。特に好ましくは、入手加工し易く、且つ安価なニッケルおよびニッケル基合金である。また、充填触媒として使用するNiF2または前記金属フッ化物を反応器の材質とすることもできる。
本発明のBrF5の製造方法における反応器には、ニッケル製の光輝焼鈍管を用いることが好ましい。ニッケルは、本発明のBrF5の製造方法において使用する高温のF2ガス、Br2ガス、BrF3ガス、またはBrF5ガスに対する耐食性に優れ、光輝焼鈍管の材質とすることで表面にこれらガスと反応する可能性のある金属酸化物がなくし、BrF5の製造中に表面の平滑性を維持する効果がある。
また、本発明のBrF5の製造方法をNi製反応器を用いて実施すると、反応器の内面がF2ガスと反応しNiF2に変化することがありえるが、NiF2は触媒作用をするのみであり、NiF2に変化したとしても不具合はない。また、Ni製光輝焼鈍管を用いた場合、Ni製粗面管と比較して、反応器の内面にBrF5が滞留しにくく、意図しない反応または反応器の損傷が生じにくい。
Ni製光輝焼鈍管に用いるNiは純度が高いほど好ましいが、Ni純度が50質量%以上で鉄、銅、クロムまたはモリブデンを含む登録商標インコネル、ハステロイ、モネルなどのニッケル基合金、あるいはNiF2を適宜用いることができる。
本発明のBrF5の製造方法は、有機合成分野、無機合成分野、原子力分野または半導体分野などでクリーニングガスあるいはフッ素化剤として、従来から用いられている五フッ化臭素の効率的な製造方法として利用できる。さらに、本発明のBrF5の製造方法は、従来のBrF5の製造方法と比較して、F2ガスと、Br2ガスまたはBrF3ガスとを反応させてBrF5を得る際の充填触媒であるNiF2の触媒効果により、BrF3に対しBrF5を選択性よく且つ収率よく得ることができ、F2ガスの使用量を抑えることができ、容積の小さい反応器を使用することができる。また、BrF5の収率の増加、副生物であるBrF3の減少させ、単位時間あたりのBrF5の製造量を増加させBrF5の生産性を向上させることができる。
以下、実施例により本発明の五フッ化臭素の製造方法を具体的に示すが、本発明の五フッ化臭素の製造方法は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、反応器には、JISH 4552:2000「ニッケル及びニッケル合金継目無管」で規格化されるNi201(ニッケル純度99.7質量%以上)製の光輝焼鈍管を用いた。
また、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)によるBrF5、BrF3の組成比の測定、紫外光および可視光によるダブルビーム分光(UV−Vis)によるBr2とF2の組成比の測定を行い、反応生成物中の五フッ化臭素ガス、三フッ化臭素ガス、臭素ガス、フッ素ガスの体積比およびBrF5の収率(%)(=BrF5/(BrF5+BrF3)×100)を算出した。
FT−IRにはフーリエ変換赤外分光度計(株式会社島津製作所製、商品名IR−Prestige21)を、UV−Visにはダブルビーム分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、U−2810)を分析機器として用いた。
実施例1
粉末状の純度99%NiF2(米国Apollo Scientific Limited社製)を加圧成型し、直径10mm、厚み3mmの円柱状のNiF2ペレットにした。NiF2ペレット85g(0.88モル)を、電気ヒータおよび圧力計を備えた、内径22.1mm、長さ500mmのNi製光輝焼鈍管に充填した。電気ヒータにより光輝焼鈍管を加熱し、NiF2ペレットの温度を200℃とした。次いで、BrF3、F2およびN2を合わせた体積に対してN2が45.5体積%となるように希釈してなる原料(全量を100とした時の体積比、BrF3:F2:N2=9.0:45.5:45.5、FとBrのモル比、F/Br=13)を、光輝焼鈍管の一端から導入し、他端から排出した。この際、光輝焼鈍管内の内圧を絶対圧で101kPaとし、原料ガスの滞在時間が10秒となる様に、光輝焼鈍管内の原料ガスの総流量を0℃、101kPaで1151cm3/minとなる様にした。この状態で原料ガスを光輝焼鈍管内に1時間流通させ、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。
粉末状の純度99%NiF2(米国Apollo Scientific Limited社製)を加圧成型し、直径10mm、厚み3mmの円柱状のNiF2ペレットにした。NiF2ペレット85g(0.88モル)を、電気ヒータおよび圧力計を備えた、内径22.1mm、長さ500mmのNi製光輝焼鈍管に充填した。電気ヒータにより光輝焼鈍管を加熱し、NiF2ペレットの温度を200℃とした。次いで、BrF3、F2およびN2を合わせた体積に対してN2が45.5体積%となるように希釈してなる原料(全量を100とした時の体積比、BrF3:F2:N2=9.0:45.5:45.5、FとBrのモル比、F/Br=13)を、光輝焼鈍管の一端から導入し、他端から排出した。この際、光輝焼鈍管内の内圧を絶対圧で101kPaとし、原料ガスの滞在時間が10秒となる様に、光輝焼鈍管内の原料ガスの総流量を0℃、101kPaで1151cm3/minとなる様にした。この状態で原料ガスを光輝焼鈍管内に1時間流通させ、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。
原料ガスの流通時に、該反応器出口のガスを一部抜き出して、BrF5、BrF3の組成比をフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)で、Br2とF2の組成比を可視紫外分光法(UV−Vis)で測定し、BrF5の収率を算出したところ87%であった。
実施例2
Br2、BrF3、F2およびN2を合わせた体積に対してN2が47.9体積%となるように希釈してなる原料(全量を100とした時の体積比、Br2:BrF3:F2:N2=1.4:2.8:47.9:47.9、FとBrのモル比、F/Br=19)を、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管の一端から導入し、実施例1と同様の手順および条件で、F2、Br2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ81%であった。
Br2、BrF3、F2およびN2を合わせた体積に対してN2が47.9体積%となるように希釈してなる原料(全量を100とした時の体積比、Br2:BrF3:F2:N2=1.4:2.8:47.9:47.9、FとBrのモル比、F/Br=19)を、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管の一端から導入し、実施例1と同様の手順および条件で、F2、Br2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ81%であった。
実施例3
Br2、F2およびN2を合わせた体積に対してN2が49.0体積%となるように希釈してなる原料(全量を100とした時の体積比、Br2:F2:N2=2.0:49.0:49.0、FとBrのモル比、F/Br=25)を、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管の一端から導入し、実施例1と同様の手順および条件で、F2およびBr2からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ73%であった。
Br2、F2およびN2を合わせた体積に対してN2が49.0体積%となるように希釈してなる原料(全量を100とした時の体積比、Br2:F2:N2=2.0:49.0:49.0、FとBrのモル比、F/Br=25)を、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管の一端から導入し、実施例1と同様の手順および条件で、F2およびBr2からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ73%であった。
実施例4
BrF3、F2をおよびN2を合わせた体積に対してN2が33.4体積%となるように希釈してなる原料(全量を100とした時の体積比、BrF3:F2:N2=33.3:33.3:33.4、FとBrのモル比、F/Br=5)を、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管の一端から導入し、実施例1と同様の手順および条件で、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ61%であった。
BrF3、F2をおよびN2を合わせた体積に対してN2が33.4体積%となるように希釈してなる原料(全量を100とした時の体積比、BrF3:F2:N2=33.3:33.3:33.4、FとBrのモル比、F/Br=5)を、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管の一端から導入し、実施例1と同様の手順および条件で、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ61%であった。
実施例5
原料供給時のNiF2ペレットの温度を100℃とする以外は実施例1と同様の条件で、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ54%であった。
原料供給時のNiF2ペレットの温度を100℃とする以外は実施例1と同様の条件で、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ54%であった。
実施例6
原料供給時のNiF2ペレットの温度を270℃とする以外は実施例1と同様の条件で、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ93%であった。
原料供給時のNiF2ペレットの温度を270℃とする以外は実施例1と同様の条件で、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ93%であった。
実施例7
原料供給時のNiF2ペレットの温度を350℃とする以外は、実施例1と同様の条件で、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ98%であった。
原料供給時のNiF2ペレットの温度を350℃とする以外は、実施例1と同様の条件で、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ98%であった。
参考例
原料供給時のNiF2ペレットの温度を350℃より高くして、実施例1と同様の条件で、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行ったところ、Ni製の光輝焼鈍管の入り口部に腐食が見られた。
原料供給時のNiF2ペレットの温度を350℃より高くして、実施例1と同様の条件で、実施例1で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行ったところ、Ni製の光輝焼鈍管の入り口部に腐食が見られた。
比較例1
光輝焼鈍管にNiF2ペレットを充填しない以外は、実施例1と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ43%であった。
光輝焼鈍管にNiF2ペレットを充填しない以外は、実施例1と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ43%であった。
比較例2
光輝焼鈍管にNiF2ペレットを充填しない以外は、実施例2と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2、Br2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ35%であった。
光輝焼鈍管にNiF2ペレットを充填しない以外は、実施例2と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2、Br2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ35%であった。
比較例3
光輝焼鈍管にNiF2ペレットを充填しない以外は、実施例3と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2、Br2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ32%であった。
光輝焼鈍管にNiF2ペレットを充填しない以外は、実施例3と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2、Br2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ32%であった。
比較例4
光輝焼鈍管にNiF2ペレットに替えてα―Al2O3ペレットを充填した以外は、実施例1と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ46%であった。
光輝焼鈍管にNiF2ペレットに替えてα―Al2O3ペレットを充填した以外は、実施例1と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ46%であった。
尚、α―Al2O3ペレットは、粉末状のα―Al2O3(Strem Chemicals社製、製品番号13−0750、純度99.5%、)を加圧成型によりペレット状にしたものであり、光輝焼鈍管への充填量は51g(0.5モル)である。
比較例5
BrF3、F2およびN2を合わせた体積に対しN2が32.1体積%となるように希釈してなる原料(全量を100とした時の体積比、BrF3:F2:N2=35.8:32.1:32.1、FとBrのモル比、F/Br=4.8)を、光輝焼鈍管の一端から導入し、他端から排出した以外は、実施例1と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ43%であった。
BrF3、F2およびN2を合わせた体積に対しN2が32.1体積%となるように希釈してなる原料(全量を100とした時の体積比、BrF3:F2:N2=35.8:32.1:32.1、FとBrのモル比、F/Br=4.8)を、光輝焼鈍管の一端から導入し、他端から排出した以外は、実施例1と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ43%であった。
比較例6
原料供給時のNiF2ペレットの温度を70℃にした以外は、他は実施例1と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ8%であった。
原料供給時のNiF2ペレットの温度を70℃にした以外は、他は実施例1と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行った。実施例1〜6と同じ測定方法および分析機器を用い、BrF5の収率を算出したところ8%であった。
比較例7
原料供給時のNiF2ペレットの温度を400℃より高くして、他は実施例1と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行ったところ、Ni製の光輝焼鈍管の入り口部に腐食が見られた。
原料供給時のNiF2ペレットの温度を400℃より高くして、他は実施例1と同様の条件で、実施例1〜6で用いたのと同じ光輝焼鈍管を用い、F2およびBrF3からBrF5を得る反応を連続的に行ったところ、Ni製の光輝焼鈍管の入り口部に腐食が見られた。
[結果の纏め]
実施例1〜6と比較例1〜6における充填触媒、反応温度、各種原料の仕込組成、フッ素と臭素のモル比F/Brおよびフッ素の反応当量比を表1に、反応後の反応器(光輝焼鈍管)出口でのガスの組成分析結果およびBrF5の収率を表2に示す。
実施例1〜6と比較例1〜6における充填触媒、反応温度、各種原料の仕込組成、フッ素と臭素のモル比F/Brおよびフッ素の反応当量比を表1に、反応後の反応器(光輝焼鈍管)出口でのガスの組成分析結果およびBrF5の収率を表2に示す。
BrF5の収率について、充填触媒であるNiF2ペレットのありなし以外は同一の反応条件である実施例1〜3と比較例1〜3のBrF5の収率を比較すると、NiF2ペレットを反応器(光輝焼鈍管)充填した実施例の方がBrF5の高い収率が得られた。すなわち、NiF2ペレットは反応を促進させる充填触媒として作用し、BrF3に対しBrF5が選択性よく得られ、BrF5の高い収率が得られた。
具体的には、実施例1(BrF5の収率87%)と比較例1(BrF5の収率43%)、実施例2(BrF5の収率81%)と比較例2(BrF5の収率35%)、実施例3(BrF5の収率73%)と比較例3(BrF5の収率32%)を比較した。
また、充填触媒がNiF2ペレットであることと、充填触媒がアルミナペレットである以外は同一の反応条件である実施例1と比較例4のBrF5の収率を比べると、NiF2ペレットを充填触媒とし用いた実施例1の方が、アルミナペレットを充填触媒とし用いた比較例4に比べ、BrF5の高い収率が得られた(実施例1ではBrF5の収率87%、比較例4ではBrF5の収率46%である)。
Claims (4)
- フッ素化ニッケル(II)が充填されてなり、内部の温度を100℃以上、400℃以下とした反応器内に、フッ素と、臭素または三フッ化臭素を、フッ素と臭素のモル比F/Brが5以上となるように供給し、五フッ化臭素を得る、五フッ化臭素の製造方法。
- さらに、反応器内に不活性ガスを供給し、不活性ガスの供給量がフッ素と、臭素または三フッ化臭素と、不活性ガスとを合わせた体積に対し、10体積%以上となる、請求項1に記載の五フッ化臭素の製造方法。
- 反応器内の圧力を大気圧以下とする、請求項1または請求項2に記載の五フッ化臭素の製造方法。
- 反応器としてニッケル製光輝焼鈍管を用いる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の五フッ化臭素の製造方法。
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