以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる制御システムを詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
(実施形態)
実施形態にかかる制御システム100について説明する。制御システム100は、図1に示すように、複数の機器を制御するように構成されている。図1は、制御システム100の構成を示す図である。図1に示すように、制御システム100は、所定空間の一例である居室αの天井β側に設置された複数の照明装置(1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i)、空調装置2、無線ルータ6、及び管理装置8が通信ネットワークNを介して通信可能な構成を有している。なお、以降、照明装置(1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i)のうち、任意の照明装置を示す場合には「照明装置1」と示す。
照明装置1は、図1に示されているように、天井βが例えば9分割された各領域9にそれぞれ設置されている。そして、天井βの中央に配置された照明装置1eには、検知装置3が設けられている。検知装置3は、所定空間の一例である居室αの環境に関する環境情報を取得する環境情報取得装置である。1つの領域9のサイズは、例えば50cm〜数mの広さ(正方形)であるが、領域9のサイズは照明装置1の大きさや性能などに応じて適宜決定される。なお、天井βが分割された各領域9は同じサイズでなくてもよく、各領域9が正方形でなくてもよい。例えば、6角形などの多角形とすると正方形の場合と同様に照明装置1同士の距離が等しくなる。
また、空調装置2は、天井βに適当な間隔をおいて設置されている。図1では、空調装置2は1つであるが、後述するように複数の空調装置2が1つの居室αに設置されている。空調装置2は好ましくは等間隔に設置されるが、等間隔でなくてもよい。照明装置1と空調装置2の数が異なるのは、照明装置1と空調装置2でカバーできる範囲が異なったり、サイズが異なったり、コストが異なるなどの理由によるものである。照明装置1と空調装置2の数は任意に決定できる。また、空調装置2が複数ある場合、空調装置2の符号をそれぞれ2a、2b、2cとし、任意の空調装置を示す場合には「空調装置2」と示す。
なお、本明細書において、居室とは、人がいる部屋である。また、居室とは、複数の人が存在する部屋であってもよい。具体的には、居室は、オフィス、工場、セミナー会場、展示会、室内競技場等である。また、居室は、個人の自宅であってもよい。
環境情報とは、居室の環境に関する情報である。また、環境情報とは、人が快適に活動するために好ましい環境の状態に関する情報である。あるいは、環境情報とは、人が快適に活動するために制御されることが好ましい環境の状態に関する情報である。具体的には、環境情報は、後述する検知データ(熱源データ、温度、湿度、照度)を例にして説明するがこれらには限られない。
照明装置1は、例えば、蛍光灯型LED(Light Emitting Diode)である。照明装置1eの検知装置3は、例えばサーモパイル(Thermopile)の機能によって、居室α内を複数領域(ここでは、9領域)に分けた温度分布を検出する。そして、照明装置1eの検知装置3は、検出した温度分布に基づき、熱源の有無を示す熱源データを管理装置8に送信する。送信には無線LAN等が使用されるが有線で送信してもよい。居室αの床は、熱源として検知される対象である人などが存在する場所である。
空調装置2は、例えば、エア・コンディショナなどの空調装置(図1では室内機が図示されている)である。室外機は空調装置2ごとに又は複数の空調装置2に共通に所定の場所に設置されている。なお、図1では空調装置2と管理装置8が有線で接続されているが、無線で通信してもよい。
無線ルータ6は、検知装置3から送信された熱源データを受信し、通信ネットワークNを介して管理装置8に送信する。通信ネットワークNは、LAN(Local Area Network)によって構築されており、一部にインターネットが含まれる場合もある。
管理装置8は後述するように制御装置の機能を有し、サーバと呼ばれる場合がある。管理装置8は、無線ルータ6から送られて来た熱源データ等に基づいて、照明装置1,空調装置2を制御するための制御データを生成する。管理装置8は、生成した制御データを照明装置1及び空調装置2に送信する。照明装置1は、制御データに基づいて、LEDの調光制御を行なう。空調装置2は、制御データに基づいて、温度、湿度、風力、及び風向の制御を行なう。したがって、管理装置8は照明と空調の両方を制御して、居室の人に対し快適性と省エネルギー性が考慮された空間を提供できる。
なお、これまでの説明で明らかなように、検知装置3が搭載された照明装置1eは、居室αの温度分布を検知するだけでなく、自装置のLEDの調光制御を行なう。照明装置1eは、検知装置3を有するが、他の照明装置1と同等の機能を有している。
また、検知装置3は、空調装置2の内部又は近くに設置されていてもよい。また、検知装置3は、照明装置1又は空調装置2とは別体に設置されていてもよい。しかし、検知装置3が照明装置1と一体であることで、検知装置3の取り付けと取り外しが容易であり、検知装置3を取り付けるためのスペースを用意する必要がないという利点がある。
次に、図2を用いて、照明装置1及び照明装置1eが取り付けられる装置本体120について説明する。図2は、照明装置1の一例を示す外観斜視図である。
図2に示されているように、照明装置1は、例えば蛍光灯型LED照明器具であり、直管型のLEDランプ130を有している。照明装置1は、居室αの天井βの中央部あたりに設置された装置本体120に取り付けられる。装置本体120の両端部には、それぞれソケット121a及びソケット121bが設けられている。このうち、ソケット121aは、LEDランプ130に給電する給電端子(124a1、124a2)を有する。
また、ソケット121bも、LEDランプ130に給電する給電端子(124b1,124b2)を有する。これにより、装置本体120は、電源からの電力をLEDランプ130に供給することができる。
一方、LEDランプ130は、透光性カバー131と、この透光性カバー131の両端部にそれぞれ設けられる口金(132a,132b)を有する。このうち、透光性カバー131は、例えば、アクリル樹脂等の樹脂材料で形成され、内部の光源を覆う様に設けられる。照明装置1eは、透光性カバー131に沿って隣接して又は透光性カバー131の内部に、検知装置3を有する。
更に、口金132aには、ソケット121aの給電端子(124a1,124a2)にそれぞれ接続される端子ピン(152a1,152a2)が設けられている。また、口金132bには、ソケット121bの給電端子(124b1,124b2)にそれぞれ接続される端子ピン(152b1,152b2)が設けられている。そして、LEDランプ130が装置本体120に装着されることで、装置本体120から各給電端子(124a1,124a2,124b1,124b2)を介して、各端子ピン(152a1,152a2,152b1,152b2)からの電力供給が可能となる。これにより、LEDランプ130は、透光性カバー131を介して外部に光を照射する。また、検知装置3は、装置本体120から供給される電力で動作する。
次に、検知装置3のハードウェア構成を説明する。ここで、図3は検知装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、検知装置3は、無線モジュール301、アンテナI/F302、アンテナ302a、センサドライバ304、温度分布センサ311、照度センサ312、温湿度センサ313、装置コントローラ315、及び、上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン310を備えている。
無線モジュール301は、無線通信を行なうための部品である。無線モジュール301は、アンテナI/F302及びアンテナ302aを介して、外部の装置との無線通信を実現する。無線モジュール301は、ARIB STD-T108(テレメータ、テレコントロールなどの用途で用いられる920MHz帯無線)、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、又はZIGBEE(登録商標)等の通信方式による通信を行なうことができる。なお、無線モジュール301の通信方式は、無線通信だけでなく、Ethernet(登録商標)ケーブルやPLC(Power Line Communications)などの有線通信であってもよい。無線モジュール301は、装置コントローラ315が実行する通信制御プログラムの制御下で動作する。
温度分布センサ311は、赤外線を検知することにより居室α内の温度分布を検知する熱型検出素子である。温度分布センサ311は、熱型検出素子を用いることで人や物の表面温度を検知できるので、人の近い場所の温度を検知できる。すなわち、温度分布センサ(人感検知手段)311は、検知対象空間の近傍に人が存在するか否かを検知する。熱型検出素子は、光を吸収して熱に変換する吸収層を持ち、吸収層の温度変化を電気信号として外部に出力する。熱型検出素子にはサーモパイル、ボロメータ、焦電素子、電圧−電流特性が変化するダイオードなどがある。本実施形態では温度分布センサ311がサーモパイルを用いて温度分布を検知するものとして説明する。なお、温度分布センサ311は複数のサーモパイルセンサを有しており、後述する検知マスごとに温度を検知する。
温湿度センサ313は、居室αの検知装置3の近くの温度及び湿度を検知するセンサである。温湿度センサ313が検知する温度は、天井面の温湿度から水蒸気量への変換に使用され、この水蒸気量とサーモパイルによる床面の温度から床面の湿度が算出される。
照度センサ312は、居室α内の明るさを検知するセンサである。温湿度センサ313は、居室αの検知装置3の近くの温度及び湿度を検知するセンサである。温湿度センサ313が検知する温度は、天井面の温湿度から水蒸気量への変換に使用され、この水蒸気量とサーモパイルによる床面の温度から床面の湿度が算出される。本実施形態では、温湿度センサ313が検知する温度は使用されなくてもよい。
センサドライバ304は、温度分布センサ311、照度センサ312、及び温湿度センサ313のインタフェースである。センサドライバ304は、装置コントローラ315から送信される、温度分布センサ311、照度センサ312、及び温湿度センサ313を駆動させる命令をそれぞれにセンサに適したコマンドに変換して各センサに送出する。また、センサドライバ304は、各センサが検出した信号を装置コントローラ315が使用できる形式に変換し装置コントローラ315に送出する。
装置コントローラ315は、検知装置3の全体を制御する制御装置である。装置コントローラ315は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有しプログラムを実行するマイコンなどの情報処理装置である。あるいは、装置コントローラ315は、ICなどのハードウェアで構築されていてもよい。装置コントローラ315は、例えば、温度分布センサ311、照度センサ312、及び温湿度センサ313が温度等を検知するタイミングを制御したり、各センサが検出したデータを加工したりする。例えば、装置コントローラ315は、温度分布センサ311から出力された温度分布データから、熱源の有無を示す熱源データを生成する。装置コントローラ315は、熱源データを含む検知データを管理装置8に送信する。
次に、照明装置1、空調装置2のハードウェア構成を説明する。ここで、図4は照明装置1又は空調装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示すように、照明装置1の装置コントローラ315は、管理装置8から送信された制御データに基づいてLEDの調光の制御を行う。空調装置2の装置コントローラ315は、管理装置8から送信された制御データに基づいてエア・コンディショナを制御する。
装置コントローラ315、アンテナI/F302、及び、無線モジュール301については図3と同様であるため、説明を省略する。照明装置1又は空調装置2は、制御対象デバイス319を有している。制御対象デバイス319は、照明装置1の場合はLEDランプ130やLEDランプ130の制御回路などである。制御対象デバイス319は、空調装置2の場合はエア・コンディショナのヒートポンプや圧縮機及び制御回路などである。
なお、検知装置3を有する照明装置1eの場合、装置コントローラ315、アンテナI/F302、及び、無線モジュール301は、検知装置3と共通でよい。これにより、検知装置3の部品数を低減できる。
次に、管理装置8のハードウェア構成について説明する。図5は、管理装置8のハードウェア構成を示すブロック図である。
管理装置8は、情報処理装置として構成されている。そして、管理装置8は、管理装置8全体の動作を制御するCPU801、IPL(Initial Program Loader)等のCPU801の駆動に用いられるプログラムを記憶したROM802、CPU801のワークエリアとして使用されるRAM803を有する。また、管理プログラム等の各種データを記憶するHD(Hard Disk)804、CPU801の制御にしたがってHD804に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するHDD(Hard Disk Drive)805を有する。
また、管理装置8は、メディアI/F807、ディスプレイ808、ネットワークI/F809を有する。メディアI/F807は、フラッシュメモリ等のメディア806に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。ディスプレイ808は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。ネットワークI/F809は、通信ネットワークNを利用してデータ通信する。
また、管理装置8は、キーボード811、マウス812、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ814、バスライン810を有する。キーボード811は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備える。マウス812は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う。CD−ROMドライブ814は、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD−ROM813に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。バスライン810は、上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
図示した管理装置8のハードウェア構成は、1つの筐体に収納されていたりひとまとまりの装置として備えられていたりする必要はなく、管理装置8が備えていることが好ましいハード的な要素を示す。また、クラウドコンピューティングに対応するため、本実施形態の管理装置8の物理的な構成は固定的でなくてもよく、負荷に応じてハード的なリソースが動的に接続・切断されることで構成されてよい。
なお、管理プログラムは実行可能形式や圧縮形式などでメディア806やCD−ROM813などの記憶媒体に記憶された状態で配布されるか、又は、プログラムを配信するサーバから配信される。
続いて、図6を用いて、検知装置3を含む照明装置1e、検知装置3を含まない照明装置1、空調装置2、及び管理装置8の機能について説明する。図6は、制御システム100の機能構成を示す機能ブロック図である。
まず、照明装置1eの機能構成について説明する。照明装置1eは、検知装置3が有する機能及び制御対象部20を有している。検知装置3は、送受信部31、検知部32、判断部33、生成部34、及び制御部35を有している。これら各部は、図3に示されている装置コントローラ315がプログラムにしたがって出力する命令等によって実現される機能又は手段である。また、制御対象部20は、例えば、調光制御の対象であるLEDランプ130等により実現される。制御対象部20は、複数のLEDを含む。複数のLEDのそれぞれは、制御部35から供給される駆動信号(例えば、駆動電流)に応じて、点灯/消灯される。
検知装置3の送受信部31は、装置コントローラ315や無線モジュール301等の動作により実現される機能又は手段である。例えば、送受信部31は、通信ネットワークNを介して、管理装置8と各種のデータの送受信を行う。
検知部32は、温度分布センサ311、照度センサ312及び温湿度センサ313が動作することで実現される機能又は手段である。検知部32は、所定空間内の各領域9の温度分布、照度、温度や湿度を検知する。
判断部33は、装置コントローラ315が動作することで実現される機能又は手段である。例えば、判断部33は、領域9の温度が所定範囲(例えば、30℃〜35℃)内であるか否かを判断する。
生成部34は、装置コントローラ315が動作することで実現される機能又は手段である。例えば、生成部34は、判断部33の判断結果に基づいて熱源の有無を示す熱源データを生成する。
制御部35は、装置コントローラ315が動作することで実現される機能又は手段である。例えば、制御部35は、管理装置8から送られて来た制御データに基づいて、制御対象部20に出力するための制御信号を生成する。
次に、検知装置3を有さない照明装置1、又は空調装置2の機能構成について説明する。検知装置3を有さない照明装置1、又は空調装置2は、送受信部51、制御部55及び制御対象部20を有している。送受信部51と制御部55とは、通信装置5を構成する。送受信部51は、装置コントローラ315や無線モジュール301が動作することで実現される機能又は手段である。送受信部51は、通信ネットワークNを介して、管理装置8と各種のデータの送受信を行う。
制御部55は、装置コントローラ315が動作することで実現される機能又は手段である。制御部55は、管理装置8から送られて来た制御データに基づいて、制御対象部20に出力するための制御信号を生成する。
制御対象部20は、照明装置1の場合、調光制御の対象であるLEDランプ130等により実現される。制御対象部20は、複数のLEDを含む。複数のLEDのそれぞれは、制御部55から供給される駆動信号(例えば、駆動電流)に応じて、点灯/消灯される。制御対象部20は、空調装置2の場合、エア・コンディショナのヒートポンプや圧縮機などにより実現される。
次に、管理装置8の機能構成について説明する。管理装置8は、送受信部81、照合部82、生成部84、マス目変換処理部85、及び記憶・読出処理部89を有している。各部は、図5に示されているHD804からRAM803上に展開された管理プログラムに従ったCPU801からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。更に、管理装置8は、図5に示されているRAM803、及びHD804によって構築される記憶部8000を有している。記憶部8000には、レイアウト管理DB(Data Base)8001、制御指針管理DB8002及び制御領域管理DB8003が構築されている。まず、これらのデータベースについて説明する。
まず、レイアウト管理DB8001について説明する。ここで、図7はレイアウト管理DB8001に記憶されている情報を例示的に示す図である。レイアウト管理DB8001には、図7(a)に示されているような照明装置1又は空調装置2のレイアウト情報が管理されている。
図7(a)に示されているように、レイアウト情報は、1つの居室αが一例として54領域に分割され、それぞれの領域9にLED照明器具としての照明装置1を識別するための装置IDが対応付けて管理されている。アルファベットa〜fと二桁の数値が装置IDである。このうち、装置IDが「a」で始まる左上側の9個の領域9が、図1における9領域に対応する。即ち、図1は、居室αの一部を示している。実際の居室αは、装置IDが、a,b,c,d,e,fで始まる6つのブロックを有し、各ブロックが9領域に分けられ、合計54領域に分けられている。なお、このような領域9の区分は一例であって、何ブロックに分けてもよいし、1ブロック内を9領域以外の数の領域に分けてもよい。
図7(a)のうち、アルファベットのxと二桁の数値は空調装置2の装置IDである。装置IDがx12,x21、x22の空調装置2は図1には示されていないが、図7(a)に示すように天井βに設置されている。すなわち、居室αの天井βには、4機のエア・コンディショナが取り付けられている。
なおIDとは、複数の対象から、ある特定の対象を一意的に区別するために用いられる名称、符号、文字列、数値又はこれらの組み合わせである。IDは、識別情報や識別子と呼ばれてもよい。具体的には、部屋番号と重複しない連番の組み合わせ、単なる連番、装置のシリアル番号などであるがこれらには限られない。
本実施の形態では、装置IDは、1つの領域9に1つの照明装置1が設置されていることを利用して、領域9を識別するための識別情報として利用される場合がある。
図7(b)は、居室αのレイアウト情報の概念図である。図7(a)に示されているレイアウト情報の各領域9は、図7(b)に示されている実際の居室αのレイアウト上では、波線又は実線で区切られている領域9を示している。図7(b)には、机や椅子が配置されている実際のレイアウトが示されている。図7(b)においても、図7(a)の居室αと同じように居室内が54領域に分割されている。すなわち、図7(b)の各領域9の位置は、図7(a)の各領域9の位置と同じである。図7(b)では、紙面下側が廊下γ側になっており、紙面上側が窓側になっている。
次に、制御指針管理DB8002について説明する。ここで、図8は制御指針管理DB8002に記憶されている情報(制御指針情報)を例示的に示す図である。制御指針管理DB8002には、図8(a)に示されているような第1制御指針管理テーブルが管理されている。この第1制御指針管理テーブルでは、熱源フィールドに対し制御対象部20の制御内容が関連付けて管理されている。例えば、熱源フィールドが、熱源がある旨を示す「1」の場合には、その領域9に人がいることを示す。この場合、第1制御指針管理テーブルでは、人が快適に作業できるようにLEDの光量を最大にすべく光量が100%に設定されている。これに対して、熱源フィールドが、熱源がない旨を示す「0」の場合には、その領域9に人がいないため、省エネルギーを実現すべくLEDの光量が60%に設定されている。なお、100%は快適な光量の一例に過ぎず、60%は省エネルギーを実現し作業も困難とならない光量の一例であって、例えば熱源フィールドが「1」の場合に光量が90%、熱源フィールドが「0」の場合に光量が50%に設定されていてもよい。熱源フィールドが「1」の光量が、熱源フィールドが「0」の光量よりも高ければ、両者は何パーセントであってもよい。
また、第1制御指針管理テーブルが照明装置1や領域9ごとに設定されていてもよい。これにより、照明装置1によって異なる制御指針で管理装置8が照明装置1を制御できる。
また、制御指針管理DB8002には、図8(b)に示されているような第2制御指針管理テーブルが管理されている。この第2制御指針管理テーブルでは、人密度と「温度ギャップ+湿度」に対応付けて、空調の制御指針が管理されている。温度ギャップとは空調装置2が温度を制御する際の目標値と温度分布センサ311が検出した温度の差である。図8(b)の第2制御指針管理テーブルによれば、例えば、人密度が1〜19%で、温度が目標値に対し-T1℃〜-T2℃の範囲にあり湿度がH1%未満の場合、目標値に対し+2℃の温度になるように空調装置2が制御される。同じ人密度(1〜19%)で同じ温度範囲でも湿度がH1%以上の場合は、空調装置2はドライに制御される。
第2制御指針管理テーブルでは、図8(b)のような空調の制御指針が温度ギャップと湿度の組み合わせに応じて各人密度ごとに設定されている。したがって、管理装置8はきめ細かな空調の制御が可能になる。例えば、人密度が多い場合、人の体温で実際に領域9の温度が上昇したり湿度が変化したりして人が不快感を感じる前に、管理装置8は空調装置2を制御できる。すなわち、フィードフォワード制御が可能になる。しがたって、快適性をより向上できる。
なお、人密度の区切り方は説明のための一例に過ぎす、より細かく人密度が区切られてもよいし、各区切りの人密度の幅が不揃いであってもよい。
さらに、制御指針管理DB8002には、第3制御指針管理テーブルとして、空調設定値テーブル(図25参照)が管理されている。空調設定値テーブルの詳細については、後述する。
次に、制御領域管理DB8003について説明する。ここで、図9は制御領域管理DB8003に記憶されている情報を例示的に示す図である。制御領域管理DB8003には、図9に示されているような制御領域管理テーブルが管理されている。制御領域管理テーブルには、空調装置2の装置IDに領域IDが対応付けて管理されている。領域IDは照明装置の装置IDである。図7(a)を参照すると分かるように、空調装置2の装置IDには空調装置2を中心とする3×3の領域9の領域IDが対応付けられている。
なお、3×3は一例に過ぎず4×4などとしてもよいし、それぞれの領域9から最も近い空調装置と該領域9とが対応付けられていてもよい。照明装置1については、1つの照明装置1に1つの領域9が対応付けられているので制御領域管理テーブルは不要であるが、1つの照明装置1が照明装置1の真下には限られない領域9の熱源の有無を使用する場合、図9のような制御領域管理テーブルが用意される。
次に、図10を用いて、領域情報DB8004およびマス・領域対応DB8005について説明する。ここで、図10は領域情報DB8004およびマス・領域対応DB8005に記憶されている情報を例示的に示す図である。領域情報DB8004には、図10(a)に示されているような領域情報テーブルが管理されている。領域情報テーブルは、領域9の領域IDに各領域9の座標情報が登録されている。各領域9の座標情報は例えば対角頂点の座標である。これにより、管理装置8は各領域がどこからどこまでかを判断できる。例えば領域ID=a11の領域9はX方向に0から100cmであり、Y方向に0から100cmの正方形である。なお、領域9のサイズは一例である。
次に、図10(b)を用いて、マス・領域対応DB8005について説明する。マス・領域対応DB8005には、図10(b)に示されているようなマス・領域対応テーブルが管理されている。マス・領域対応テーブルは検知マスと領域9とを対応付けるテーブルである。このため、マス・領域対応テーブルにはマスIDに対応付けて領域IDが登録されている。マスIDは検知マスを識別するためのIDである。例えば、重複しない番号、照明装置1のIDと数字やアルファベットとの組み合わせなどである。1つのマスIDは1つの領域IDとしか対応しないが、1つの領域IDは複数のマスIDと対応する場合がある。
次に、図6に戻って、管理装置(制御装置)8の各機能構成について説明する。図6に示されている送受信部81は、受信部81a及び送信部81bを有する。例えば、受信部(受信手段)81aは、検知装置3から検知データ(温度分布センサ311の検知結果)を受信する。送信部(送信手段)81bは、照明装置1及び/又は空調装置2に制御データを送信する。
照合部82は、例えば、図7(a)に示されているレイアウト情報と、後述の図14に示されている熱源データを照合する。これにより、領域9ごとの人の有無が判断される。
生成部(制御手段)84は、照合部82の照合結果及び第1制御指針管理テーブルを参照して、照明装置1に対する光量を示す制御データを生成する。また、生成部84は、例えば、熱源データ及び温湿度センサ313が検知する湿度データに基づいて照合部82の照合結果及び第2制御指針管理テーブルを参照して、空調装置2に対するエア・コンディショナの制御データを生成する。
マス目変換処理部85は、温度分布センサ311が送信した熱源データを、居室αの領域9の熱源データに変換する。詳細は後述される。
記憶・読出処理部89は、例えば、記憶部8000からデータを読み出したり、記憶部8000にデータを記憶したりする。
ここで、人密度について説明する。図11は、人密度について例示的に示す図である。図11(a)では、説明のため3×3の各領域9が示されている。この3×3の各領域9は1つの空調装置2が空調する範囲(温度や湿度などを制御する範囲)として、管理装置8の制御領域管理DB8003に設定されている。人密度も1つの空調装置2が空調する範囲に対し算出される。
図11(b)では、人が検知された領域9(熱源がある領域)に黒丸を示した。9個の領域9のうち3つの領域9で人が検知されているので、人密度は(3÷9)×100=約33%と算出される。領域9に実際に人が何人いても領域9に人が検知されると一人とカウントされる。
この人密度が算出される3×3の各領域9が、1つの空調装置2が空調する範囲であるが、9個の領域9の温度データと湿度データが、検知装置3から管理装置8に送信されている。管理装置8は、9個の領域9の温度データの平均を9個の領域9の環境値に決定する。湿度については、空調装置2から最も近い検知装置3が検視した湿度データを環境値としてもよいし、いくつかの検知装置3が検視した湿度データの平均を環境値としてもよい。
以下、管理装置8の処理又は動作について説明する。
ここでは、管理装置8が、照明装置1eにより検知された各種データに基づいて、照明装置1eを制御するための制御データを生成し、照明装置1、及び、空調装置2に制御データを送信することで、照明装置1や空調装置2が調光や空調を行う処理について説明する。なお、説明の簡略化のため、複数の照明装置1のうち、検知装置3を備えた照明装置1e、及び他の照明装置1、並びに空調装置2の処理について説明する。
図12は、管理装置8の処理を例示的に示すシーケンス図である。図12に示すように、まず、照明装置1eの検知部32が、居室αにおける各領域9の温度分布を検知する(ステップS21)。
次に、判断部33が、領域9毎に温度が所定範囲値(例えば、30℃〜35℃)内であるか否かを判断することで、生成部34が判断結果に基づいて熱源データを生成する(ステップS22)。
ここで、熱源データの生成について説明する。図13(a)は温度分布を例示的に示す概念図、図13(b)は熱源データを例示的に示す概念図である。検知部32が各領域9の温度を検知した結果、9つの領域9の温度分布が図13(a)に示される状態になったものとする。生成部34は、図13(b)に示されるような熱源データを生成する。図13(a)と図13(b)を比較すると分かるように、熱源データは熱源の有無を示す熱源有無情報によって示されており、温度が所定範囲値(例えば、30℃〜35℃)の領域9は「1」として表し、温度が30℃未満及び36度以上の領域9は「0」として表されている。
図12に戻って説明する。照明装置1eの検知部32は、照明装置1eの付近の照度、温度、及び湿度を検知する(ステップS23)。
そして、照明装置1eの送受信部31は、管理装置8に対して、検知データを送信する(ステップS24)。検知データには、ステップS22によって生成された熱源データ、ステップS23によって検知された結果を示す温湿度データ(熱源データを生成するために使用された温度データを含む)及び照度データが含まれている。これにより、管理装置8の送受信部81は、検知データを受信する。なお、熱源データを生成するために使用された温度データは検知マスごとであることが好ましいが、いくつか又は全ての領域9の温度を平均したものでもよい。これにより管理装置8の負荷が増大することを抑制できる。この場合、平均された各領域9の温度は同じとして扱われる。
図14は、検知装置3を有する複数の照明装置1eから送信された熱源データを合成して得られる熱源データを示す。図14は、1つの居室αにおける全ての熱源の有無を示す熱源データの概念図である。図13(b)に示されている熱源データは、図14における左上のブロックBの熱源データに相当する。図14の熱源データも実際には歪んだ検知マスにより与えられている。
次に、管理装置8のマス目変換処理部85は、マス・領域対応DB8005からマス・領域対応テーブルを読み出して、熱源データを領域9に対応させた熱源データに変換する(ステップS24−2)。詳細は、図15等にて説明する。
次に、管理装置8の記憶・読出処理部89は、レイアウト管理DB8001から、図7(a)に示されているレイアウト情報を読み出す(ステップS25)。
そして、照合部82は、図7(a)に示されているレイアウト情報と、図14に示されている熱源データを照合する(ステップS26)。この照合により、例えば、レイアウト情報における照明装置1aがある領域9は、熱源データの熱源フィールドが「1」なので、「熱源がある」と判断される。
次に、管理装置8の記憶・読出処理部89は、熱源データにおいて熱源の有無を示す「1」、「0」を検索キーとして、制御指針管理DB8002の第1制御指針管理テーブルを検索することにより、対応する光量を読み出す(ステップS27−1)。
また、管理装置8の記憶・読出処理部89は、制御指針管理DB8002から第2制御指針管理テーブルを読み出し、制御領域管理DB8003から制御領域管理テーブルを読み出す(ステップS27−2)。
そして、生成部84は、照明装置1に対する光量を示す制御データを生成する(ステップS28)。また、生成部84は、空調装置2の制御データを生成する(ステップS28)。このように、ステップS24で送信された1つの検知データに基づき(同じ検知データに基づき)、照明装置1に対する制御データと空調装置2に対する両方の制御データを作成できる。したがって、照明装置1と空調装置2の2つの装置が制御される場合でも、検知装置3が検知した検知データを管理装置8が受信する回数を半分に減らすことができる。また、同じ検知データが使用されるので照明装置1と空調装置2の動作の整合性を取りやすくなる。
次に、送受信部81は、照明装置1に対して、それぞれの制御データを送信する(ステップS29−1、S29−2)。これに対して、照明装置1eの送受信部31は、制御データを受信する。また、照明装置1e以外の照明装置1の送受信部51は、制御データを受信する。
次に、照明装置1eでは制御部35が、制御データに基づいてLEDランプとしての制御対象部20に出力するための制御信号を生成する(ステップS30−1)。同様に、照明装置1e以外の照明装置1の制御部55が、制御データに基づいてLEDランプとしての制御対象部20に出力するための制御信号を生成する(ステップS30−2)。
制御部35は制御信号を制御対象部20に出力する(ステップS31−1)。制御部55は制御信号を制御対象部20に出力する(ステップS31−2)。
これにより、LEDランプとしての制御対象部20の光量が制御される(ステップS32−1、S32−2)。
管理装置8の送受信部81は、空調装置2に対して制御データを送信する(ステップS33)。これに対して、空調装置2の送受信部51は制御データを受信する。
これにより、エア・コンディショナとしての制御対象部20の温度、湿度、風量、風向が制御される(ステップS34)。
例えば、図13において、領域IDがa22の領域9には熱源がないと判断されているため(「0」で示されているため)、図8(a)の第1制御指針管理テーブルに従い領域IDがa22の領域9にある照明装置1の光量は60%に制御される。一方、図13において、領域IDがa21の領域9の真下には熱源があるため(「1」で示されているため)、図8(a)の第1制御指針管理テーブルに従い領域IDがa21の領域9にある照明装置1の光量は100%に制御される。
これにより、人がいるため熱源が検知された場合には、LEDの光量を最大値にし、人がいないため熱源が検知されなかった場合には、LEDの光量が下がるため、省エネルギーを実現することができる。また、人がいる場合は光量が大きくなるので人の快適性を向上させることができる。
図12のステップS22で説明した熱源の有無の判断方法について説明する。
図15は、熱源データの生成処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図16(a)は温度分布を示した概念図、図16(b)は熱源の有無を示す熱源データの概念図である。
まず、管理装置8の生成部84は、温度分布データから判断部33によって温度が所定範囲(例えば、30℃〜35℃)内であるかを判断していない領域9を抽出する(ステップS41)。
そして、判断部33は、ステップS41によって抽出された領域9の温度が所定範囲内であるかを判断する(ステップS42)。例えば、装置IDがa13の照明装置1が設置されている領域9に、電気ポット(湯沸し器)が設置されている場合、図16(a)に示されているように、蒸気や容器の熱などによってこの領域9の温度が60℃になることがある。このような場合、たとえ熱源が存在しても人間による熱源の範囲(例えば、30℃〜35℃)ではないため、人がいるとは検知されないことが好ましい。
次に、判断部33は、ステップS42において、所定範囲内であると判断した場合には(Yes)、熱源ありと判断する(ステップS43)。この場合、図16(b)に示されているように、熱源データは熱源がある旨を示す「1」が設定される。
一方、判断部33は、所定範囲内でないと判断した場合には(No)、熱源なしと判断する(ステップS44)。この場合、図16(b)に示されているように、熱源データは熱源がない旨を示す「0」が設定される。
そして、ステップS43,44の処理後、判断部33は全ての領域9において、温度が所定範囲内であるか否かの判断が終了したかを判断する(ステップS45)。このステップS45によって全ての領域9の判断が終了していると判断された場合には(Yes)、図12のステップS22の処理が終了する。一方、ステップS45において、全ての領域9の判断が終了していないと判断された場合には(No)、ステップS41の処理に戻る。
このように、図15のような処理によれば、たとえ熱源が存在しても、特定の物体(例ば、人間)による熱源の範囲を超えている場合には、熱源がない扱いにすることで、より正確に人間の存在を検知することができる。これにより、より正確に省エネルギーを実現することができるという効果を奏する。
以上のようにして図16のような熱源データが得られるが、実際には温度分布センサ311の取り付け角度によって熱源データのマスの形状が歪んでいるため、以下のような不都合が生じている。
まず、温度分布センサ311が多いほど、各領域9の温度を精度よく検知することができる。しかし、温度分布センサ311が多いとコスト増となってしまう。そこで、1つの照明装置1の中に複数の温度分布センサ311を設置することが検討される。しかし、その場合には温度分布センサ311を床面に対し垂直ではなく床面に対し傾斜が付与された状態で設置する必要がある。照明装置1と一体か又は付近という限られた場所に複数の温度分布センサ311が設置されるため、傾斜が設けられていないと、1つの温度分布センサ311の温度の検知可能範囲501を広げることができないためである。
図17は、温度分布センサ311の数と検知可能範囲501の関係を例示的に示す図である。図17(a)では、温度分布センサ311は1つであり床面に対し垂直に設置されているため、検知可能範囲501は正方形(又は長方形)である。図17(b)では温度分布センサ311は2つであるが、床面に対し傾斜が付与された状態で設置されているため、それぞれの検知可能範囲501は台形ゆがみにより歪んだ形状(台形)となる。図17(c)では温度分布センサ311は4つであるが、床面に対し傾斜が付与された状態で設置されているため、それぞれの検知可能範囲501は正方形の一方の対角線だけが延長されたようなゆがんだ形状(菱形に近い形状)となる。これは、温度分布センサ311が図17(b)に対して90°回転した状態で設置されているためである。
これに対し、居室αの各領域9は正方形又は長方形に区切られている。このため、1つの照明装置1に複数の温度分布センサ311が設置された場合、歪んだ形状の熱源データを居室αの領域9に対応付ける必要がある。
図18は、2つの温度分布センサ311が検知する検知エリアを例示的に示す図である。図18(a)は、2つの温度分布センサ311が検知する検知可能範囲501を示す。図18(a)では合計6つの照明装置1が図示されており、1つの照明装置1が2つの温度分布センサ311を有している。1つの温度分布センサ311は更に4×4のサーモパイルセンサを有している。すなわち、1つの温度分布センサ311は16箇所の温度を並列に検知できる。1つのサーモパイルセンサの検知可能範囲501を検知マス502という(センサ検知範囲の一例)。
温度分布センサ311は床面に対し垂直に設置されていないので、検知可能範囲501及び検知マス502は台形に歪んだ形になる。したがって、検知装置3から管理装置8に送信される熱源データもこのような形状で得られている。台形に歪んだ熱源データはそのままでは居室αの各領域9の温度に用いることが困難となる。そこで、図18(b)に示すように、熱源データを歪みのない形状に変換する。あるいは、熱源データの各検知マス502における熱源の有り、なしを居室αの各領域9に対応させる。すなわち図18(b)の複数の正方形はそれぞれ居室αの各領域9を示している。
図18(c)は、図18(a)と図18(b)を重畳させた図である。管理装置8のマス目変換処理部85は、図18(b)の各領域9と図18(a)の検知マス502を対応させ、領域9のそれぞれに領域9と重なるサーモパイルセンサの検知マス502の熱源データ(熱源の有り、なし)を設定する。1つの領域9に1つの検知マス502しか含まれないとは限らないので、1つの領域9に複数の検知マス502が対応する場合は、熱源の有り、なしの論理和が領域9に設定される。
図19は、管理装置8のマス目変換処理部85が検知可能範囲501の検知マス502と領域9の対応付けを行うマス目変換処理の流れを示すフローチャートである。図19の処理は図12のS24−2で実行される。
まず、マス目変換処理部85は、温度分布センサ311のセンサ番号nに1を設定する(ステップS51)。センサ番号nは処理を容易にするため温度分布センサ311に振られた連番である。
次に、マス目変換処理部85は、マス番号mに1を設定する(ステップS52)。マス番号mは1つの温度分布センサ311が有する複数のサーモパイルセンサがそれぞれ形成する検知マス502に振られた連番である。
マス目変換処理部85は、着目しているサーモパイルセンサの検知マス502がどの領域9と重なるかを判断する(ステップS53)。この判断は、サーモパイルセンサの検知マス502の中心座標Oが領域9に含まれるかどうかにより判断される。中心座標Oについては図20にて説明する。
マス目変換処理部85は、着目している検知マス502の熱源データにおける熱源の有り、なしをステップS53で対応すると判断した領域9に設定する(ステップS54)。
マス目変換処理部85は、mがマス番号の最後か否かを判断する(ステップS55)。ステップS55の判断がNoの場合、マス目変換処理部85はmを1つ大きくする(ステップS56)。そして、ステップS53〜S55を繰り返す。
ステップS55の判断がYesの場合、マス目変換処理部85はnがセンサ番号の最後か否かを判断する(ステップS57)。ステップS57の判断がNoの場合、マス目変換処理部85はnを1つ大きくする(ステップS58)。そして、ステップS52〜S57を繰り返す。ステップS57の判断がYesの場合、図19の処理は終了する。
図19の処理を、管理装置8(又は検知装置3でもよい)が領域9とマス目の対応付けの処理として行い、マス番号mが重複しないマスIDに変換されれば、領域9の領域IDとマスIDを対応付けるマス・領域対応テーブルを作成しておくことができる。したがって、照明装置1eが天井に設置された後は、マス目変換処理部85はこのマス・領域対応テーブルを参照して歪んだ形状の熱源データを領域9の熱源データに変換できる。
図20は、サーモパイルセンサが検知する検知マス502の中心座標Oを示す図である。天井βにおけるサーモパイルセンサの位置(xo,y0)は、例えば天井のコーナーを原点(0,0)として与えられる。また、天井βの高さZも与えられる。そして、1つ1つのサーモパイルセンサの床に対する俯角θx、θyが与えられているものとする。θxはX方向の俯角であり、θyはY方向の俯角である。
これらから、1つのサーモパイルセンサが検知する検知マス502の中心座標Oは、(x0−Ztanθx、y0−Ztanθy)で与えられる。俯角θx、θyは照明装置1eへの検知装置3の取り付け角度、及び、各サーモパイルセンサのメーカなどから与えられる検知方向の中心角度(設置面に垂直に設置された場合の角度)により決定される。すなわち、メーカなどにより各サーモパイルセンサの検知方向の中心角度が与えられているので、この値に照明装置1eへの検知装置3の取り付け角度δを加算すればθx、θyが得られる。なお、図のθx、θyは取り付け角度δが含まれた状態で示されている。サーモパイルセンサの位置(x0,y0)、俯角θx、θy、及び、取り付け角度δはサーモパイルセンサが形成する検知マス502の位置に関わる情報である。
各領域9の座標は居室αの広さを縦横に等分にした値なので、居室αの広さが設計図や実測で与えられると容易に求められる。したがって、マス目変換処理部85は各サーモパイルの中心座標Oが領域9のどこに含まれるかを判断できる。
なお、検知マス502の中心座標Oが領域9に含まれるかを比較するのでなく、例えば、検知マス502の四隅のいずれか1つ以上が領域9に含まれるかを比較してもよい。四隅全てがそれぞれ領域9に含まれるか否かを判断すると、熱源がある領域9の数が増える傾向になるので、人がいる可能性を高く見積もって照明やエアコン等を制御したい場合に有効である。
また、検知マス502の中心座標Oの算出の際に、天井βの高さZでなく人がいる高さを用いてもよい。例えば、人がいる高さは「Z−110cm」くらいである。これにより、実際に人がいる領域9に検知マス502を対応付けやすくなる。
このように、検知装置3で得られる熱源データは実際には歪んだ形状で得られているが、図19の処理により居室αの各領域9の熱源データに変換できる。
上記のように図19の処理は、ある領域9に1つでも検知マス502の中心座標が含まれている場合には熱源があると判断される論理和の処理となっている。逆に、ある領域9に2つ以上の検知マス502の中心座標が含まれていても、領域9にある熱源は1つである。これにより、領域9に人がいるのにいないと誤判断することを低減できる。例えば、領域9が広い場合に有用な処理となる。
また、中心座標Oは1つの検知マス502の中心の他、重心であってもよい。また、中心座標Oは中心や重心でなく、検知マス502の範囲内にあればよい。検知マス502の範囲内であれば熱源を検知できるためである。
また、図19の処理は管理装置8が行う他、検知装置3が行ってもよい。あるいは、照明装置1が行ってもよい。
続いて、図12のステップS28における制御データの生成について説明する。図21は、生成部84が照明装置1に対する蛍光灯型LED照明器具の光量に関する制御データを生成する処理の流れを示すフローチャートである。
生成部84は、未処理の照明装置1を1つ取り出す(ステップS61)。未処理の照明装置1とは、制御データが決定されていない照明装置1である。
次に、生成部84は、取り出した照明装置1がある領域9の熱源データを参照する(ステップS62)。照明装置1の装置IDは領域IDと同じなので、熱源データから熱源の有無を読み出せる。
そして、生成部84は、照明装置1がある領域9に熱源があるか否かを判断する(ステップS63)。すなわち、熱源データに「1」が設定されているかどうかを判断する。
照明装置1がある領域9の熱源が「1」である場合(ステップS63のYes)、生成部84は、照明装置1の光量を100%に決定して制御データを生成する(ステップS64)。この100%は、制御指針管理テーブルに設定されている。
照明装置1がある領域9の熱源が「1」でない場合(ステップS63のNo)、すなわち熱源が「0」なので、生成部84は、照明装置1の光量を60%に決定して制御データを生成する(ステップS65)。この60%は、制御指針管理テーブルに設定されている。
次に、生成部84は、全ての照明装置1について制御データを生成したか否かを判断する(ステップS66)。ステップS66の判断がNoの場合、生成部84は、ステップS61に戻り、ステップS61〜S65の処理を繰り返し実行する。ステップS66の判断がYesの場合、生成部84は、図21に示す処理を終了する。
このようにして、全ての照明装置1について熱源の有無(人の在不在)に基づいて蛍光灯型LED照明器具である照明装置1の制御データを生成できる。
図22(a)は、空調制御処理、すなわち、生成部84が空調装置2に対するエア・コンディショナの制御データを生成する処理(S28)の流れを示すフローチャートである。図22(a)は、照明の点灯・消灯を示す情報と人の在不在を示す情報とから日射有無判断および空調制御を実施するフローチャートである。
生成部84は、環境センシング処理(S71)及び照明ONOFF検知処理(S72)を並行して開始させる。
環境センシング処理(S71)では、図22(b)に示す処理が行われる。図22(b)は、環境センシング処理(S71)を示すフローチャートである。すなわち、生成部84は、処理の開始からの時間tをカウントし、カウント時間tが閾値時間a(>0)以上になるまで(S81でNo)待機する。生成部84は、カウント時間tが閾値時間a以上になると(S81でYes)、人の在不在及び室温を検知させる検知指示を検知装置3へ送信する。検知装置3の温度分布センサ(人感検知手段)311は、検知指示に応じて検知対象領域の温度分布に応じた人の在不在の分布(図13(b)参照)を検知し、検知装置3の温湿度センサ313は、検知指示に応じて検知対象領域の室温を検知する(S82)。検知装置3は、温度分布センサ311の検知結果(人の在不在の検知結果)と温湿度センサ313の検知結果とをそれぞれ管理装置8へ送信する(S83)。管理装置8は、温度分布センサ311の検知結果と温湿度センサ313の検知結果とをそれぞれ検知装置3から受信すると、カウント時間tをゼロにリセットして処理をS81に戻す。
照明ONOFF検知処理(S72)では、図22(c)に示す処理が行われる。図22(c)は、照明ONOFF検知処理(S72)を示すフローチャートである。すなわち、生成部84は、処理の開始からの時間tをカウントし、カウント時間tが閾値時間a(>0)以上になるまで(S91でNo)待機する。生成部84は、カウント時間tが閾値時間a以上になると(S91でYes)、照明装置1のON/OFF状態(点灯・消灯状態)を検知させる検知指示を検知装置3へ送信する。検知装置3の装置コントローラ315は、検知指示に応じて照明装置1(LEDランプ130)の点灯・消灯状態を検知する(S92)。
例えば、検知装置3の装置コントローラ315は、検知結果を照度センサ312から取得し、照度センサ312の検知結果(領域9の照度)に基づいて、照明装置1(LEDランプ130)の点灯・消灯状態を検知する。検知装置3の装置コントローラ315は、照度センサ312の検知結果に基づいて、検知装置3の対応する領域の照度が所定の閾値より高ければ、照明装置1が点灯していると検知でき、検知装置3の対応する領域の照度が所定の閾値より低ければ、照明装置1が消灯していると検知できる。
あるいは、検知装置3の装置コントローラ315は、照明装置1の装置コントローラ315から制御対象デバイス319(LEDランプ130)へ供給されているLED駆動信号(駆動電流等)を検知し、検知されたLED駆動信号に基づいて、照明装置1(LEDランプ130)の点灯・消灯状態を検知する。検知装置3の装置コントローラ315は、検知されたLED駆動信号に基づいて、LED駆動信号のレベルが所定の閾値を超えていれば、照明装置1が点灯していると検知でき、LED駆動信号のレベルが所定の閾値より超えていなければ、照明装置1が消灯していると検知できる。
あるいは、検知装置3の装置コントローラ315は、照明制御情報をアンテナ302a、アンテナI/F302、無線モジュール31経由で取得し、取得された照明制御情報に基づいて、照明装置1(LEDランプ130)の点灯・消灯状態を検知する。検知装置3の装置コントローラ315は、照明制御情報が照明装置1の点灯を指示する情報であれば、照明装置1が点灯していると検知でき、照明制御情報が照明装置1の消灯を指示する情報であれば、照明装置1が消灯していると検知できる。
装置コントローラ315は、検知結果を示す情報(照明ON/OFF情報)を生成し、照明ON/OFF情報を管理装置8へ送信する(S93)。管理装置8は、照明ON/OFF情報を検知装置3から受信すると、カウント時間tをゼロにリセットして処理をS91に戻す。なお、照明ONOFF検知処理(S72)は、照明制御エリアIAにおける部分エリアA〜Cごとに行われ得る。
生成部84は、温度分布センサ311の検知結果及び温湿度センサ313の検知結果の検知装置3からの受信と照明ON/OFF情報の検知装置3からの受信とがともに完了したことを確認した後、判断処理(S73)を行う。
判断処理(S73)では、図22(d)に示す処理が行われる。図22(d)は、判断処理(S73)を示すフローチャートである。すなわち、生成部84は、管理装置8で受信された照明ON/OFF情報と温度分布センサ311の検知結果(人の在不在の検知結果)とをそれぞれ取得する(S101)。生成部84は、照明ON/OFF情報に示された照明装置1のON/OFF状態と温度分布センサ311の検知結果とに基づいて日射の有無を判断する日射有無判断処理(S102)を行う。
日射有無判断処理(S102)では、図23に示す処理が行われる。図23は、日射有無判断処理(S102)を示すフローチャートである。すなわち、生成部84は、時間のカウントを開始し、照明ON/OFF情報に示された照明装置1のON/OFF状態がOFF状態(消灯状態)であるか否か判断する(S111)。生成部84は、照明ON/OFF情報に示された照明装置1のON/OFF状態がON状態(点灯状態)であれば(S111でNo)、日射がないと判断して(S113)、その判断結果をRAM803に保持して、処理を終了する。生成部84は、照明ON/OFF情報に示された照明装置1のON/OFF状態がOFF状態(消灯状態)になると(S111でYes)、日射がある可能性があるため、温度分布センサ(人感検知手段)311の検知結果に基づき、居室αにおける空調装置2に対応する領域に人が存在するか否か判断する(S112)。生成部84は、居室αにおける空調装置2に対応する領域に人が存在しなければ(S112でNo)、日射がないと判断して(S113)、その判断結果をRAM803に保持して、処理を終了する。生成部84は、居室αにおける空調装置2に対応する領域に人が存在すれば(S112でYes)、日射があると判断して(S114)、その判断結果をRAM803に保持して、処理を終了する。
図22(d)に戻り、生成部84は、日射有無判断処理(S102)の結果と制御指針情報とに応じて、所定空間の一例である居室αの対応する領域の空気調和に関する制御データ(空調設定値)を生成する空調設定処理(S103)を行う。
空調設定処理(S103)では、図24に示す処理が行われる。図24は、空調設定処理(S103)を示すフローチャートである。すなわち、生成部84は、RAM803に保持された判断結果を参照し、日射有無判断処理(S102)で日射があると判断されたか否かを判断する(S121)。
生成部84は、日射有無判断処理(S102)で日射があると判断された場合(S121でYes)、第3制御指針管理テーブルとしての空調設定値テーブルを参照し、日射がある場合の空調設定値を選択する(S122)。生成部84は、空調設定値テーブルより制御対象の空調装置(室内機x11,x12,x21,x22)に対応した、日射がある場合の空調設定値を選択する。生成部84は、空調装置2へ送信すべき空調設定値をS122で選択された空調設定値に確定し、その空調設定値への設定指示を含む制御データを生成する(S126)。
ここで、空調設定値テーブルは、日射量が通常より多いと判断された場合に今後室温が上昇すると判断され空調装置2の設定温度がその温度上昇分を考慮した値に設定されるべきである点を考慮して、作成されている。
例えば、居室αにて、午前8:30にその居室αで働くワーカーが出社し照明装置1や空調装置2(例えば、図7(a)に示す室内機x11〜x22)が稼動し始めるが、午前10:00になったときに、窓からの日差しが明るく、働くにおいて十分な照度が確保され、ワーカーによって照明装置1が消灯される。
制御システム100では、環境センシング(S71)により、その照明装置1が本来照らすべき領域9にて1人以上人がいることを検知しているにもかかわらず、照明装置1が消灯していることを検知した場合、日射の影響により居室α内も非常にあかるく、照明装置1の点灯が不要と判断され消灯されたと判断する。つまり、天候が良く、今後気温が上昇することが予想される。日射量が多い日と、日射量が少ない日とを比較すると、あるデータでは2時間で0.5度上昇差があることが判っている。空調装置2は、夏場、一定の温度を超えると空冷し始めることがわかっているが、日射の多い日は、日射により建物が温められ室温が上昇する勢いに対し、遅れて空冷を開始する為、一定時間、人は不快な状態とならざるを得ない。
そこで、日射ありと判断した場合に、日射なしの場合より低い温度を含む空調設定値に変更することで、先回りし、不快になる前に空冷する制御とすることができる。空調装置2に設定する設定温度は、図25(a)の空調設定値テーブルの様に値を指定する場合と、図25(b)の空調設定値テーブルの様に現在の設定に対して差分を設定する方法がある。この設定は、システムの設定に依存するが、空調室内機1台ずつの単位でも、グループ化された室内機単位でもよい。図25(a)、図25(b)では、室内機x11,x12,x21,x22(図7(a)参照)の単位で空調設定値が空調装置2に設定される場合が例示されている。
図24に戻って、生成部84は、日射有無判断処理(S102)で日射がないと判断された場合(S121でNo)、日射が無くなったか否かを判断する(S123)。生成部84は、前回のS121で日射がないと判断され今回のS121で日射がないと判断されていれば、日射がすでに無くなっていた(S123でNo)として、現在の空調設定値を維持し(S124)、その。生成部84は、前回のS121で日射があると判断され今回のS121で日射がないと判断されていれば、日射が無くなった(S123でYes)として、日射が無くなった場合の空調設定値に設定する、あるいは、元の空調設定値に戻す(S125)。日射が無くなった場合の空調設定値に設定する場合、生成部84は、空調設定値テーブルより制御対象の空調装置(室内機x11,x12,x21,x22)に対応した、日射が無くなった場合の空調設定値を選択する。生成部84は、空調装置2へ送信すべき空調設定値をS124で維持された空調設定値又はS125で選択された空調設定値に確定し、その空調設定値への設定指示を含む制御データを生成する(S126)。
ここで、空調設定値テーブルは、日射量が無くなった場合に今後室温の激しい上昇は見込めないと判断される点を考慮して、作成されている。
例えば、上記の例において、13:00になり、日がかげりはじめ、照明装置1を再点灯させた場合は、これ以上の外気およびそれに伴う室温の激しい上昇は見込めないと判断し、元の設定に戻す、もしくは、指定の値や変化量を再度設定する。空調装置2に設定する設定温度は、図25(c)の空調設定値テーブルの様に値を指定する場合と、図25(d)の空調設定値テーブルの様に現在の設定に対して差分を設定する方法がある。この設定は、システムの設定に依存するが、空調室内機1台ずつの単位でも、グループ化された室内機単位でもよい。図25(c)、図25(d)では、室内機x11,x12,x21,x22(図7(a)参照)の単位で空調設定値が空調装置2に設定される場合が例示されている。
図22(d)に戻り、管理装置8は、生成部84で生成された制御データ(空調設定値)を空調装置2へ送信する(S104)。
図22(a)に戻り、空調装置2は、制御データ(空調設定値)を受信すると、制御データに従ってその空調設定値を変更し、変更後の空調設定値で所定空間の一例である居室αを空気調和する(S74)。
以上のように、実施形態では、制御システム100において、管理装置8の生成部(制御手段)84が、所定空間を照明する照明装置1の点灯・消灯状態と温度分布センサ(人感検知手段)311の検知結果と制御指針情報(空調設定値テーブル)とに基づいて、日射の有無を判断する。生成部84は、その判断結果に応じて、今後の室温上昇を予測して、所定空間の空気調和に関する制御データを生成する。管理装置8は、生成部84で生成された制御データを空調装置2へ送信する。これにより、所定空間への日射の有無を日射量センサによらずに判断できるので、日射量センサを組み込むことなく制御システム100を構成できる。すなわち、空調制御における省エネ性や快適性を向上させるための制御システム100を低コストで実現できる。
また、実施形態では、制御システム100において、管理装置8の生成部(制御手段)84は、照明装置1の点灯・消灯状態と温度分布センサ(人感検知手段)311の検知結果との組み合わせが継続している時間に応じて、日射が有るか否かを判断する。例えば、生成部(制御手段)84は、照明装置1が消灯しており人が存在している状態が所定の時間以上継続していることを条件として、日射が有ると判断する。これにより、日射の影響を確定させた状態で必要な制御を実施でき、快適性を向上できる。
なお、日射の有無を判断する際に、日射の発生が予想される時間条件をさらに考慮して判断してもよい。例えば、図26に示すように、日射有無判断処理(S102)において、S111の前に、生成部84は、現在の時刻が検知対象時間帯に属しているか否かを判断する(S131)。生成部84は、現在の時刻を取得するとともに、記憶部8000にアクセスして時間条件DB8006を取得し、時間条件DB8006に含まれた例えば図27に示すような検知対象時間帯条件と現在の時刻とを比較し、比較結果に応じて、現在の時刻が検知対象時間帯に属しているか否かを判断する。生成部84は、現在の時刻が検知対象時間帯に属していなければ(S131でNo)、処理を終了する。生成部84は、現在の時刻が検知対象時間帯に属していれば(S131でYes)、S111以降の処理を行う。図27は、検知対象時間帯の判断(S131)に用いる検知対象時間帯条件の設定例である。
例えば、何らかの条件で、日射による温度上昇が見込めないタイミングであるにもかわらず、日射ありと判断し空調設定変更が行われないために、時間条件を追加する。設定方法は、UIなどを介して直接管理装置8へ設定する方法でも、通信ネットワークNを介して外部から管理装置8が情報を取得し自動設定する方法でもよい。図27(a)では、日の出日の入りの時刻を設定し、日の出ている時間帯を検知対象の時間帯とする。図27(b)では、特にワーカーが出社し、居室αが稼働している時間帯を設定する。稼働時間外に人の在を検知しても動作させないためである。図27(c)では、稼働時間(ここでは名称を温度上昇時間としている)で、日射有無判断を実施する時間帯の設定に加え、お昼休み時間帯に照明を消灯し省エネ化をはかる施策を実施している様な居室αでは、日射有無に関わらず、人がいても消灯するため、日射有無判断対象外としたい。その様な時間帯を、非検知時間帯として設定する。
例えば、図27(c)にて検知対象時間帯条件を設定していた場合、早朝7:00〜7:30にて清掃業者による居室αの清掃が入った時に、例え照明装置1が消灯状態で実施していたとしても、検知対象時間帯ではない(図26のS131でNoになる)ので、日射有無判定は実施されない。同様に、12:00を過ぎ照明装置1が消灯された場合も、非検知時間帯として設定されているので、日射有無判断は、実施されない。
このように、日射の有無を判断する際に、日射の発生が予想される時間条件をさらに考慮して判断することで、日射の影響以外を誤検知してしまうことを防止できる。
あるいは、日射の有無を判断する際に、日射ありと判断される状態の継続時間をさらに考慮して判断してもよい。例えば、図28(a)に示すように、日射有無判断処理(S102)において、S111の前に、生成部84は、継続時間をカウントするためのパラメータTに初期値「0」を設定する(S141)。S112の後に、生成部84は、パラメータTをインクリメントし(S142)、パラメータTが閾値時間α以上であるか否かを判断する(S143)。生成部84は、パラメータTが閾値時間α未満であれば(S143でNo)、処理をS111に戻し、パラメータTが閾値時間α以上であれば(S143でYes)、日射があると判断して(S114)、その判断結果をRAM803に保持して、処理を終了する。あるいは、例えば、図28(b)に示すように、S141の前に、図26と同様のS131が行われてもよい。
このように、何らかの条件で、日射による照明装置1の消灯ではない状態を日射有りと検知しないために、一定時間、照明装置1が消灯しており人が存在している状態が継続することを確認し、日射ありと判断する。すなわち、照明装置1の点灯・消灯状態と人感検知手段の検知結果(人の在・不在)とで形成される複数の組み合わせのうちの1つの組み合わせ(消灯状態と人の在との組み合わせ)が継続している時間に応じて、日射が有るか否かを判断する。これにより、照明装置1の消灯及び人が存在した一時的な状態を、日射が無くなったによる照明装置1の消灯と誤判断するのを避けることができる。
例えば、対象エリアのワーカーが一斉に居室αを出る際などに、ワーカーの居室αを出るタイミングが多少異なったり、少し立ち寄ったりすることで、照明装置1が消灯しており人が存在している状態が一時的に発生することを、日射が無くなったことによる照明装置1の消灯と誤判断するのを避けることができる。また、誤って照明装置1を消灯してしまった場合にも、照明装置1が消灯しており人が存在している状態が一時的に発生するが、その状態を日射が無くなったによる照明装置1の消灯と誤判断するのを避けることができる。
あるいは、図24のS122やS125で参照される空調設定値テーブルは、図29に示すように、時刻ごとに異なる空調設定値(温度)が設定可能に決定されていてもよい。
例えば、通常の設定を27度である夏場を例としている。図29(a)は、変更されるべき空調設定値を、図29(b)は、現状の設定温度に対しての設定変更量を示す。早朝(例えば、7:30)の日射に対しては、室温上昇への影響が非常に低いので、27.0(±0)度の設定が行われる。それに対して、対象エリアのワーカーが多く出社し始め、室温もおのずと上昇傾向にある午前8:00以降、さらに日射による屋内の温度上昇が加わると、室温も急激な温度上昇となり、1時間で1.0度以上室温が上昇することも多い。室温が0.5度変化するだけでも人は不快さを感じるので、細やかな制御が求められる。午前中の日射による室温上昇の影響と、午後や夕方の日射による室温上昇の影響は異なるので、時刻に応じて室温の上昇を予測し、設定温度を設定する。
このように、日射が有ると判断した場合、日射の発生時刻に応じた空調設定値に基づいて、空調設定値の制御データを生成するので、発生時刻に応じた、日射の影響を決め細やかに制御することができ、快適性を向上できる。
あるいは、図24のS122やS125で空調設定値を設定する際に、所定空間の一例である居室αを複数のエリアに分割した場合の各エリアごとに異なる空調設定値が設定可能であってもよい。日射ありと判断された場合に、居室α内の複数ある空調室内機x11〜x22(図7(a)参照)への空調設定値の変更を、日射による室温上昇の居室α内のエリアごとにおける温度変動を考慮し、制御有無、また、その設定値を決定可能とする。図30は、居室αの日射による温度上昇が異なり得るエリアとして居室α内を東エリア、西エリア、中央エリア、その他エリアに分け、それぞれ空調設定が異なる場合についての空調設定処理のフローチャートを示す。図30では、日射なしと判断された場合(S121でNo)のフローが図24のS123以降のフローと同様であるため省略されている。日射ありと判断された場合(S121でYes)、生成部84は、制御対象の空調装置2(空調室内機x11〜x22)のレイアウト位置が西エリア、中央エリア、東エリア、及びその他エリアのどのエリア内であるか判断する(S161)。その他エリアは、西エリア、中央エリア、東エリアを含む複数のエリアに居室αを分割した場合における西エリア、中央エリア、東エリア以外のエリアを含む。
生成部84は、制御対象の空調装置2のレイアウト位置が「西エリア」であれば、空調設定値テーブルを参照しレイアウト位置「西エリア」に対応した、日射がある場合の空調設定値を選択する(S162)。生成部84は、制御対象の空調装置2のレイアウト位置が「中央エリア」であれば、空調設定値テーブルを参照しレイアウト位置「中央エリア」に対応した、日射がある場合の空調設定値を選択する(S163)。生成部84は、制御対象の空調装置2のレイアウト位置が「東エリア」であれば、空調設定値テーブルを参照しレイアウト位置「東エリア」に対応した、日射がある場合の空調設定値を選択する(S164)。生成部84は、制御対象の空調装置2のレイアウト位置が「その他エリア」であれば、空調設定値テーブルを参照しレイアウト位置「その他エリア」に対応した、日射がある場合の空調設定値を選択する(S165)。
このとき、S162〜165で参照される空調設定値テーブルは、図31に示すように、各エリアごとに異なる空調設定値が設定可能に決定されていてもよい。さらに、図31に示すように、時刻ごとに異なる空調設定値(温度)が設定可能に決定されていてもよい。
例えば、居室αの日射による温度上昇は、居室αの窓の位置や材質、ブラインドの有無、方角、周囲の建物との位置関係によって大きく変動する。図30、図31で1例を挙げるケースでは、東・北・西の3面に窓があり、午前中東の窓から居室α内に日が差し込む。また、夕方、西の窓から居室α内に日が差し込む。しかし、東側と西側の日の差し込みによる温度上昇は異なり、東側の午前中の日射による温度上昇は1時間で0.3度、西側の夕方の日射による温度上昇は1時間で0.8度といった傾向にある。図31(a)は、変更されるべき空調設定値を、図31(b)は、現状の設定温度に対しての設定変更量を示す。
このように、所定空間が区分された複数のエリアのそれぞれについて、日射が有るか否かを判断し、日射がある場合に対応する空調設定値に従って、制御データを生成するので、対象エリアの日射による影響の傾向を考慮し、より適切な空調設定を実施でき、快適性を向上できる。