以下に添付図面を参照して、制御装置、制御システム、およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、制御システムの一例である機器制御システムについて説明する。図1は、本実施形態の機器制御システムの全体構成図である。機器制御システム100は、所定空間に設置された複数の制御対象装置を、当該制御対象装置とネットワークを介して接続された制御装置によって制御するものである。本実施形態では、制御対象装置を照明装置、および空調装置に適用した場合の例を示す。
図1に示すように、本実施形態の機器制御システム100は、居室αの天井β側に設置された複数の照明装置1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i、空調装置2、無線ルータ6、管理者PC7(Personal Computer)、及び管理装置8が通信ネットワークNを介して通信可能な構成を有している。なお、以降、照明装置1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1iのうち、任意の照明装置を示す場合には「照明装置1」と称する。
居室とは、人が存在しうる空間である。また、居室とは、複数の人が存在しうる部屋であってもよく、具体的にはオフィス、工場、セミナー会場、展示会、室内競技場、飲食店、電車、バス、船等であるがこれらには限られない。また、個人の自宅であってもよい。
照明装置1は、図1に示されているように、天井βが9分割された各領域9にそれぞれ設置されている。そして、天井βの中央に配置された照明装置1eには、検知装置3が設けられている。1つの領域9のサイズは、例えば50cm〜数mの広さ(正方形)であるが、領域9のサイズは照明装置1の大きさや性能などに応じて適宜決定される。なお、天井βが分割された各領域9は、同じサイズでなくてもよく、各領域9が正方形でなくてもよい。例えば、各領域9を6角形などの多角形とすると正方形の場合と同様に照明装置1同士の距離が等しくなる。
本実施形態の照明装置1は、例えば、蛍光灯型LED(Light Emitting Diode)である。照明装置1eの検知装置3は、例えば、サーモパイル(Thermopile)の機能によって、居室α内を複数領域(ここでは、9領域)に分けた温度分布を検出し、熱源の有無(対象の検知結果)を示す熱源データを管理装置8に送信する。送信には、無線LAN等が使用されるが有線で送信してもよい。居室αの床は、熱源として検知される対象である人などが存在する場所である。ここで、検知装置により検知される対象は、主に生物であるが、ロボットなどの無生物を対象としてもよい。対象は移動するものに限られてもよい。本実施形態では一例として人を対象として説明する。
空調装置2は、天井βに適当な間隔をおいて設置されている。図1では、空調装置2は1つであるが、後述するように複数の空調装置2が1つの居室αに設置されていてもよい。空調装置2は、好ましくは等間隔に設置されるが、等間隔でなくてもよい。照明装置1と空調装置2の数が異なるのは、照明装置1と空調装置2でカバーできる範囲が異なったり、サイズが異なったり、コストが異なるなどの理由によるものであり、照明装置1と空調装置2の数は任意に決定できる。また、空調装置2が複数ある場合、空調装置2の符号をそれぞれ2a、2b、2cとし、任意の空調装置を示す場合には「空調装置2」と称する。
本実施形態の空調装置2は、例えば、エアコンディショナーなどである(図1では室内機が図示されている)。室外機は、空調装置2ごとに又は複数の空調装置2に共通に所定の場所に設置されている。なお、図1では空調装置2と管理装置8が有線で接続されているが、無線で通信してもよい。
無線ルータ6は、検知装置3から送信された熱源データを受信し、通信ネットワークNを介して管理装置8に送信する。通信ネットワークNは、LAN(Local Area Network)によって構築されており、一部にインターネットが含まれる場合もある。なお、通信ネットワークNがネットワークの一例である。
管理装置8は、後述するように情報処理装置の機能を有し、サーバと呼ばれる場合がある。管理装置8は、制御装置の一例である。管理装置8は、無線ルータ6から送られて来た熱源データ等に基づいて、照明装置1、空調装置2を制御するための制御データを生成し、照明装置1及び空調装置2に送信する。照明装置1は、制御データに基づいて、LEDの調光制御(明るさの調整による点灯制御や消灯制御)を行なう。空調装置2は、制御データに基づいて、温度、湿度、風力、及び風向の制御を行なう。従って、管理装置8は、照明と空調の両方を制御して、居室の人に対し快適性と省エネルギー性が考慮された空間を提供できる。
なお、これまでの説明で明らかなように、検知装置3が搭載された照明装置1eは、居室αの温度分布を検知するだけでなく、自装置のLEDの調光制御を行なう。照明装置1eは、検知装置3を有するが、他の照明装置1と同等の機能を有している。
また、検知装置3は、空調装置2の内部又は近くに設置されていてもよい。また、検知装置3は、照明装置1又は空調装置2とは別体に設置されていてもよい。しかし、検知装置3が照明装置1と一体であることで、検知装置3の取り付けと取り外しが容易であり、検知装置3を取り付けるためのスペースを用意する必要がないという利点がある。
また、管理者PC7は、機器制御システム100の管理者が操作するPCである。管理者PC7は、管理装置8と通信して各種の設定を行ったり、検知装置3が検知する各種の検知データを領域ごとに表示したりする。管理者は、機器制御システム100の設営者、ユーザなどどのように呼ばれてもよい。
次に、照明装置1の構成部品について説明する。図2は、照明装置が蛍光灯型LED照明器具の場合の外観斜視図である。
図2に示されているように、蛍光灯型LED照明器具としての照明装置1は、直管型のLEDランプ130を有し、居室αの天井βの中央部あたりに設置された装置本体120に取り付けられる。装置本体120の両端部には、それぞれソケット121a及びソケット121bが設けられている。
ソケット121aは、LEDランプ130に給電する給電端子124a1、124a2を有する。また、ソケット121bも、LEDランプ130に給電する給電端子124b1、124b2を有する。これにより、装置本体120は、電源からの電力をLEDランプ130に供給することができる。
一方、LEDランプ130は、透光性カバー131と、この透光性カバー131の両端部にそれぞれ設けられる口金132a、132bを有する。照明装置1eの場合は、透光性カバー131に沿って、隣接して又は透光性カバー131の内部に検知装置3を有する。このうち、透光性カバー131は、例えば、アクリル樹脂等の樹脂材料で形成され、内部の光源を覆う様に設けられる。
更に、口金132aには、ソケット121aの給電端子124a1、124a2にそれぞれ接続される端子ピン152a1、152a2が設けられている。また、口金132bには、ソケット121bの給電端子124b1、124b2にそれぞれ接続される端子ピン152b1、152b2が設けられている。そして、LEDランプ130は、装置本体120に装着されることで、装置本体120から各給電端子124a1、124a2、124b1、124b2を介して、各端子ピン152a1、152a2、152b1、152b2からの電力供給が可能となる。これにより、LEDランプ130は、透光性カバー131を介して外部に光を照射する。また、検知装置3は、装置本体120から供給される電力で動作する。
次に、検知装置3、照明装置1、及び空調装置2のハードウェア構成について説明する。図3は、検知装置、照明装置、及び空調装置のハードウェア構成図である。
まず、図3(a)を用いて、検知装置3のハードウェア構成を説明する。図3(a)は、検知装置のハードウェア構成図である。検知装置3は、無線モジュール301、アンテナI/F302、アンテナ302a、センサドライバ304、温度分布センサ311、照度センサ312、温湿度センサ313、装置コントローラ315、及び上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン310を備えている。
無線モジュール301は、無線通信を行なうための部品であり、Bluetooth(登録商標)、WiFi、又はZigBee(登録商標)等の通信方式による通信を行なうことができ、アンテナI/F302及びアンテナ302aを介して、外部の装置との無線通信を実現する。なお、通信方式は、無線通信だけでなく、Ethernet(登録商標)ケーブルやPLC(Power Line Communications)などの有線通信であってもよい。無線モジュール301は、装置コントローラ315が実行する通信制御プログラムの制御下で動作する。
温度分布センサ311は、赤外線を検知することにより居室α内の温度分布を検知する熱型検出素子であり、人や物の表面温度を検知できるため、人の近い場所の温度を検知できる。熱型検出素子は、光を吸収して熱に変換する吸収層を持ち、吸収層の温度変化を電気信号として外部に出力する。熱型検出素子には、サーモパイル、ボロメータ、焦電素子、電圧−電流特性が変化するダイオードなどがある。本実施形態では、温度分布センサ311がサーモパイルを用いて温度分布を検知するものとして説明する。なお、温度分布センサ311は複数のサーモパイルセンサを有しており、後述する検知マスごとに温度を検知する。
照度センサ312は、居室α内の明るさを検知するセンサである。温湿度センサ313は、居室αの検知装置3の近くの温度及び湿度を検知するセンサである。温湿度センサ313が検知する温度は、天井面の温湿度から水蒸気量への変換に使用され、この水蒸気量とサーモパイルによる床面の温度から床面の湿度が算出される。
センサドライバ304は、温度分布センサ311、照度センサ312、及び温湿度センサ313のインタフェースである(ハードウェアの回路)。センサドライバ304は、装置コントローラ315から送信される、温度分布センサ311、照度センサ312、及び温湿度センサ313を駆動させる命令をそれぞれにセンサに適したコマンドに変換して各センサに送出する。また、センサドライバ304は、各センサが検出した信号を装置コントローラ315が使用できる形式に変換し装置コントローラ315に送出する。
装置コントローラ315は、検知装置3の全体を制御する装置である。装置コントローラ315は、CPU、ROM、RAM等を有しプログラムを実行する情報処理装置である。あるいは、ICなどのハードウェアで構築されていてもよい。装置コントローラ315は、例えば、温度分布センサ311、照度センサ312、及び温湿度センサ313が温度等を検知するタイミングを制御したり、各センサが検出したデータを加工したりする。例えば、装置コントローラ315は、温度分布センサ311から出力された温度分布データから、熱源の有無を示す熱源データを生成する。装置コントローラ315は、熱源データを含む検知データを管理装置8に送信する。
次に、図3(b)を用いて、照明装置1及び空調装置2のハードウェア構成を説明する。図3(b)は、照明装置又は空調装置のハードウェア構成図である。照明装置1の装置コントローラ315は、管理装置8から送信された制御データに基づいてLEDの調光の制御を行う。空調装置2の装置コントローラ315は、管理装置8から送信された制御データに基づいてエアコンディショナーを制御する。
装置コントローラ315、アンテナ302a、アンテナI/F302、無線モジュール301、及びバスライン310については、図3(a)と同様である。照明装置1又は空調装置2は、制御対象デバイス316を有している。制御対象デバイス316は、照明装置1の場合はLEDランプ130やLEDランプ130の制御回路などであり、空調装置2の場合はエアコンディショナーのヒートポンプや圧縮機及び制御回路などである。
なお、検知装置3を有する照明装置1eの場合、装置コントローラ315、アンテナI/F302、及び無線モジュール301は、検知装置3と共通でよい。これにより、検知装置3の部品数を低減できる。
次に、管理装置8のハードウェア構成について説明する。図4は、管理装置のハードウェア構成図である。
管理装置8は、情報処理装置として構成されている。そして、管理装置8は、管理装置8全体の動作を制御するCPU801、IPL(Initial Program Loader)等のCPU801の駆動に用いられるプログラムを記憶したROM802、CPU801のワークエリアとして使用されるRAM803を有する。また、管理装置8は、管理プログラム等の各種データを記憶するHD804、CPU801の制御に従ってHD804に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するHDD(Hard Disk Drive)805を有する。また、管理装置8は、フラッシュメモリ等のメディア806に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御するメディアI/F807、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示するディスプレイ808、通信ネットワークNを利用してデータ通信するためのネットワークI/F809を有する。また、管理装置8は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボード811、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行うマウス812、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)813に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するCD−ROMドライブ814、及び、上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン810を備えている。
図示した管理装置8のハードウェア構成は、1つの筐体に収納されていたりひとまとまりの装置として備えられていたりする必要はなく、管理装置8が備えていることが好ましいハード的な要素を示す。また、クラウドコンピューティングに対応するため、本実施形態の管理装置8の物理的な構成は固定的でなくてもよく、負荷に応じてハード的なリソースが動的に接続・切断されることで構成されてよい。
なお、管理プログラムは、実行可能形式や圧縮形式などでメディア806やCD−ROM813などの記憶媒体に記憶された状態で配布されるか、又はプログラムを配信するサーバから配信される。
また、管理者PC7のハードウェア構成は、管理装置8と同様であるものとし、違いがあるとしても本実施形態の説明において支障がないものとする。
続いて、図5を用いて、検知装置3を含む照明装置1e、検知装置3を含まない照明装置1、空調装置2、管理者PC7及び管理装置8の機能について説明する。図5は、機器制御システムの機能構成図である。
まず、照明装置1eの機能構成について説明する。照明装置1eは、検知装置3が有する機能及び制御対象部20を有している。検知装置3は、送受信部31、検知部32、判断部33、生成部34、及び制御部35を有している。これら各部は、図3(a)に示されている装置コントローラ315がプログラムに従って出力する命令等によって実現される機能又は手段である。
制御対象部20は、例えば、調光制御の対象であるLEDランプ130等により実現される。制御対象部20は、制御部35から出力された制御信号によって調光制御を行う。
送受信部31は、装置コントローラ315や無線モジュール等の動作により実現される機能又は手段である。例えば、送受信部31は、通信ネットワークNを介して、管理装置8と各種のデータの送受信を行う。送受信部31が第2の受信部の一例である。
検知部32は、温度分布センサ311、照度センサ312、及び温湿度センサ313が動作することで実現される機能又は手段である。検知部32は、所定空間内の各領域9の温度分布、照度、温度や湿度を検知する。
判断部33は、装置コントローラ315が動作することで実現される機能又は手段である。例えば、判断部33は、領域9の温度が所定範囲(例えば、30℃〜35℃)内であるか否かを判断する。
生成部34は、装置コントローラ315が動作することで実現される機能又は手段である。例えば、生成部34は、判断部33の判断結果に基づいて熱源の有無を示す熱源データを生成する。
制御部35は、装置コントローラ315が動作することで実現される機能又は手段である。例えば、制御部35は、管理装置8から送られた制御データに基づいて、制御対象部20に出力するための制御信号を生成し、生成した制御信号を制御対象部20に出力する。制御部35が制御部の一例である。
次に、検知装置3を有していない照明装置1及び空調装置2の機能構成について説明する。検知装置3を有していない照明装置1及び空調装置2は、通信装置5が有する機能及び制御対象部20を有している。通信装置5は、送受信部51及び制御部55を有している。これら各部は、図3(b)に示されている装置コントローラ315がプログラムに従って出力する命令等によって実現される機能又は手段である。
制御対象部20は、照明装置1の場合、調光制御の対象であるLEDランプ130等により実現される。この場合、制御対象部20は、制御部55から出力された制御信号によって調光制御を行う。また、制御対象部20は、空調装置2の場合、エアコンディショナーのヒートポンプや圧縮機などにより実現される。この場合、制御対象部20は、制御部55から出力された制御信号によって空調制御を行う。
送受信部51は、装置コントローラ315や無線モジュールが動作することで実現される機能又は手段である。送受信部51は、通信ネットワークNを介して、管理装置8と各種のデータの送受信を行う。送受信部51が第2の受信部の一例である。
制御部55は、装置コントローラ315が動作することで実現される機能又は手段である。制御部55は、管理装置8から送られて来た制御データに基づいて、制御対象部20に出力するための制御信号を生成する。制御部55が制御部の一例である。
次に、管理装置8の機能構成について説明する。管理装置8は、送受信部81、照合部82、生成部84、マス目変換処理部85、及び記憶・読出処理部89を有している。各部は、図4に示されているHD804からRAM803上に展開された管理プログラムに従ったCPU801からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。更に、管理装置8は、図4に示されているRAM803、及びHD804によって構築される記憶部8000を有している。
記憶部8000には、レイアウト管理DB(Data Base)8001、制御指針管理DB8002、制御領域管理DB8003、領域情報DB8004及びマス・領域対応DB8005が構築されている。まず、これらのデータベースについて説明する。
まず、図6を用いて、レイアウト管理DB8001について説明する。図6は、レイアウト管理DBに管理されている情報の一例を示す図である。図6(a)は、照明装置及び空調装置のレイアウト情報を示す図である。
図6(a)に示されているように、レイアウト情報は、1つの居室αが一例として54領域に分割され、それぞれの領域9にLED照明器具としての照明装置1を識別するための装置IDが対応付けて管理されている。アルファベットa〜fと二桁の数値が照明装置1の装置IDである。このうち、装置IDが「a」で始まる左上側の9個の領域9が、図1における9領域に対応する。すなわち、図1は、居室αの一部を示している。実際の居室αは、装置IDが、a、b、c、d、e、fで始まる6つのブロックを有し、各ブロックが9領域に分けられ、合計54領域に分けられている。なお、このような領域9の区分は一例であって、何ブロックに分けてもよいし、1ブロック内を9領域以外の数の領域に分けてもよい。
図6(a)のうち、アルファベットのxと二桁の数値が空調装置2の装置IDである。装置IDがx12,x21、x22の空調装置2は図1には示されていないが、図6(a)に示すように天井βに設置されている。すなわち、居室αの天井βには、4機のエアコンディショナーが取り付けられている。
なお、IDとは、複数の対象から、ある特定の対象を一意的に区別するために用いられる名称、符号、文字列、数値又はこれらの組み合わせである。IDは、識別情報や識別子と呼ばれてもよい。具体的には、IDは、部屋番号と重複しない連番の組み合わせ、単なる連番、装置のシリアル番号などであるがこれらには限られない。本実施形態では、1つの領域9に1つの照明装置1が設置されていることを利用して、装置IDを領域9を識別するための識別情報として利用する場合がある。
図6(b)は、居室αのレイアウト情報の概念図である。図6(a)に示されているレイアウト情報の各領域9は、図6(b)に示されている実際の居室αのレイアウト上では、破線又は実線で区切られている領域9を示している。図6(b)には、机や椅子が配置されている実際のレイアウトが示されている。図6(b)においても、図6(a)の居室αと同じように居室内が54領域に分割されている。すなわち、図6(b)の各領域9の位置は、図6(a)の各領域9の位置と同じである。図6(b)では、紙面下側が廊下γ側になっており、紙面上側が窓側になっている。
次に、図7を用いて、制御指針管理DB8002について説明する。図7は、制御指針管理DBに管理されている情報の一例を示す図である。図7(a)は、照明制御指針管理テーブルの一例を示す図である。図7(a)に示す照明制御指針管理テーブルでは、熱源フィールドに対し制御対象部20の制御内容が関連付けて管理されている。
例えば、熱源フィールドが、熱源がある旨を示す「1」の場合には、その領域9に人がいることを示す。この場合、照明制御指針管理テーブルでは、人が快適に作業できるようにLEDの光量を最大にすべく光量が100%に設定されている。これに対して、熱源フィールドが、熱源がない旨を示す「0」の場合には、その領域9に人がいないため、省エネルギーを実現すべくLEDの光量が60%に設定されている。
なお、100%は快適な光量の一例に過ぎず、60%は省エネルギーを実現し作業も困難とならない光量の一例であって、例えば熱源フィールドが「1」の場合に光量が90%、熱源フィールドが「0」の場合に光量が50%に設定されていてもよい。熱源フィールドが「1」の光量が、熱源フィールドが「0」の光量よりも高ければ、両者は何%であってもよい。
また、照明制御指針管理テーブルが照明装置1や領域9ごとに設定されていてもよい。これにより、照明装置1によって異なる制御指針で管理装置8が照明装置1を制御できる。
また、図7(b)は、空調制御指針管理テーブルの一例を示す図である。図7(b)に示す空調制御指針管理テーブルでは、「人密度」と「温度ギャップ+湿度」とを対応付けて、空調の制御指針が管理されている。温度ギャップとは、空調装置2が温度を制御する際の目標値と、温度分布センサ311が検出した温度との差である。図7(b)の空調制御指針管理テーブルによれば、例えば、人密度が1〜19%で、温度が目標値に対し−T1℃〜−T2℃の範囲にあり、湿度がH1%未満の場合、目標値に対し+2℃の温度になるように空調装置2が制御される。同じ人密度(1〜19%)で同じ温度範囲でも、湿度がH1%以上の場合は、空調装置2はドライに制御される。
図7(b)のような空調の制御指針が、温度ギャップと湿度の組み合わせに応じて、各人密度ごとに設定されている。従って、管理装置8は、きめ細かな空調の制御が可能になる。例えば、人密度が多い場合、人の体温で実際に領域9の温度が上昇したり湿度が変化したりして人が不快感を受ける前に、管理装置8は、空調装置2を制御できる。すなわち、フィードフォワード制御が可能になる。従って、快適性をより向上できる。
なお、人密度の区切り方は説明のための一例に過ぎず、より細かく人密度が区切られてもよいし、各区切りの人密度の幅が不揃いであってもよい。人密度は、空調装置2の制御範囲の複数の領域(図8参照)のうち、何個の領域で熱源が検知されるかにより算出される。
次に、図8を用いて、制御領域管理DB8003について説明する。図8は、制御領域管理DBに管理されている空調制御領域管理テーブルの一例を示す図である。図8に示すように、空調制御領域管理テーブルには、空調装置2の装置IDに、領域IDが対応付けて管理されている。領域IDは、照明装置の装置IDである。図6(a)を参照すると分かるように、空調装置2の装置IDには、空調装置2を中心とする3×3の領域9の領域IDが対応付けられている。
なお、3×3は一例に過ぎず、4×4などとしてもよいし、それぞれの領域9から最も近い空調装置2と該領域9とが対応付けられていてもよい。
次に、図9を用いて、領域情報DB8004について説明する。図9は、領域情報DB、マス・領域対応DBに管理されている情報の一例を示す図である。図9(a)は、領域情報テーブルの一例を示す図である。図9(a)に示す領域情報テーブルは、領域9の領域IDに対応付けて、各領域9の座標情報が登録されている。各領域9の座標情報は、例えば、対角頂点の座標である。これにより、管理装置8は各領域9がどこからどこまでかを判断できる。例えば領域ID=a11の領域9はX方向に0から100cmであり、Y方向に0から100cmの正方形である。なお、領域のサイズは一例である。
次に、図9(b)は、マス・領域対応テーブルの一例を示す図である。図9(b)に示すマス・領域対応テーブルは、検知マス502と領域9とを対応付けるテーブルである。このため、マス・領域対応テーブルには、マスIDに対応付けて領域IDが登録されている。マスIDは、検知マス502(図15参照)を識別するためのIDである。例えば、重複しない番号、照明装置1の装置IDと数字やアルファベットとの組み合わせなどである。1つのマスIDは1つの領域IDとしか対応しないが、1つの領域IDは複数のマスIDと対応する場合がある。
図5に戻って、管理装置8の各機能構成について説明する。図5に示されている送受信部81は、例えば、検知装置3から検知データを受信して取得する。また、送受信部81は、検知装置3や、検知装置を備えていない照明装置1及び空調装置2に制御データを送信する。送受信部81が、送信部、受信部(第1の受信部)の一例である。
照合部82は、例えば、図6(a)に示されているレイアウト情報と、後述の図12に示されている熱源データを照合する。これにより、領域9ごとに人間の在・不在が判断される。
生成部84は、照合部82の照合結果及び照明制御指針管理テーブルを参照して、照明装置1に対する光量を示す制御データを生成する。また、生成部84は、例えば、熱源データ、及び温湿度センサ313が検知する湿度データに基づいて照合部82の照合結果及び空調御指針管理テーブルを参照して、空調装置2に対するエアコンディショナーの制御データを生成する。生成部84が生成部の一例である。
マス目変換処理部85は、温度分布センサ311が送信した熱源データを、居室αの領域9の熱源データに変換する。詳細は後述する。
記憶・読出処理部89は、例えば、記憶部8000からデータを読み出したり、記憶部8000にデータを記憶したりする。
次に、管理者PC7の機能構成について説明する。管理者PC7は、送受信部71、操作受付部72、及び、表示制御部73を有している。これら各部は、図4に示されているHD804からRAM803上に展開された管理プログラムに従ったCPU801からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
送受信部71は、CPU801からの命令及びネットワークI/F809等の動作により実現される機能又は手段である。例えば、送受信部71は、通信ネットワークNを介して、管理装置8と各種のデータの送受信を行う。
操作受付部72は、CPU801からの命令、キーボード811及びマウス812等が動作することで実現される機能又は手段である。操作受付部72は、管理者の管理者PC7に対する各種の操作を受け付ける。
表示制御部73は、CPU801からの命令及びディスプレイ808等が動作することで実現される機能又は手段である。表示制御部73は、ディスプレイ808に各種の画面を表示する。
以下、図10〜図12を用いて、管理装置8の処理又は動作について説明する。図10は、管理装置による機器管理処理を示したシーケンス図である。図11は、温度分布の概念図、熱源データの概念図である。図11(a)は、温度分布センサが検出した温度分布の概念図である。図11(b)は、熱源の有無を示す熱源データの概念図である。図12は、居室における全ての領域の熱源の有無を示す熱源データの概念図である。
ここでは、管理装置8が、照明装置1eにより検知された各種データに基づいて、照明装置1eを制御するための制御データを生成し、照明装置1、及び空調装置2に制御データを送信することで、照明装置1や空調装置2が調光制御や空調制御を行う処理について説明する。なお、説明の簡略化のため、複数の照明装置1のうち、検知装置3を備えた照明装置1e、及び他の照明装置1、並びに空調装置2の処理について説明する。
まず、照明装置1eの検知部32は、居室αにおける各領域9の温度分布を検知する(ステップS21)。次に、判断部33は、領域毎に温度が所定範囲値(例えば、30℃〜35℃)内であるか否かを判断すると、生成部34が判断結果に基づいて熱源データを生成する(ステップS22)。
ここで、図11を用いて、熱源データの生成について説明する。検知部32が各領域9の温度を検知した結果、9つの領域9の温度分布が図11(a)に示される状態になったものとする。生成部34は、図11(a)の温度分布に基づいて、図11(b)に示されるような熱源データを生成する。
すなわち、図11(a)と図11(b)とを比較すると分かるように、熱源データは熱源の有無を示す熱源有無情報によって示されており、温度が所定範囲値(例えば、30℃〜35℃)の領域9は「1」として表し、温度が30℃未満及び36度以上の領域9は「0」として表されている。図11(a)の温度の分布及び図11(b)の熱源データは実際には歪んだ検知マス502により与えられているが、説明を分かりやすくするために矩形で表されている。熱源の有無の判断方法については、図13、14において説明する。
図10に戻って説明する。照明装置1eの検知部32は、照明装置1eの付近の照度、温度、及び湿度を検知する(ステップS23)。そして、照明装置1eの送受信部31は、管理装置8に対して、検知データを送信する(ステップS24)。
検知データには、ステップS22によって生成された熱源データ、ステップS23によって検知された結果を示す温湿度データ(熱源データを生成するために使用された温度データを含む)及び照度データが含まれている。これにより、管理装置8の送受信部81は、検知データを受信する。
なお、熱源データを生成するために使用された温度データは検知マスごとであることが好ましいが、いくつか又は全ての領域の温度を平均したものでもよい。これにより管理装置8の負荷が増大することを抑制できる。この場合、平均された各領域の温度は同じとして扱われる。
図12の熱源データは、検知装置3を有する複数の照明装置1から送信された熱源データを合成して得られ、1つの居室αにおける全ての熱源の有無を示している。図11(b)に示されている熱源データは、図12における左上のブロックBの熱源データに相当する。図12の熱源データも実際には歪んだ検知マス502により与えられている。
図10に戻って説明する。管理装置8のマス目変換処理部85は、マス・領域対応DB8005からマス・領域対応テーブルを読み出して、熱源データを領域9に対応させた熱源データに変換する(ステップS24−2)。詳細は図17、18にて説明する。
次に、管理装置8の記憶・読出処理部89は、レイアウト管理DB8001から、図6(a)に示されているレイアウト情報を読み出す(ステップS25)。
そして、照合部82は、図6(a)に示されているレイアウト情報と、図12に示されている熱源データを照合する(ステップS26)。この照合により、例えば、レイアウト情報における照明装置1aがある領域9は、熱源データの熱源フィールドが「1」なので、「熱源がある」と判断される。
次に、管理装置8の記憶・読出処理部89は、熱源データにおいて熱源の有無を示す「1」、「0」を検索キーとして、制御指針管理DB8002の照明制御指針管理テーブルを検索することにより、対応する光量を読み出す(ステップS27−1)。
また、管理装置8の記憶・読出処理部89は、制御指針管理DB8002から空調制御指針管理テーブルを読み出し、制御領域管理DB8003から空調制御領域管理テーブルを読み出し、取得する(ステップS27−2)。
そして、生成部84は、照明装置1に対する光量を示す制御データを生成する(ステップS28)。また、生成部84は、空調装置2の制御データを生成する。このように、ステップS24で送信された1つの検知データに基づき(同じ検知データに基づき)、照明装置1に対する制御データと空調装置2に対する両方の制御データを作成できる。従って、照明装置1と空調装置2の2つの装置が制御される場合でも、検知装置3が検知したり、検知データを管理装置8が受信する回数を半分に減らすことができる。また、同じ検知データが使用されるので照明装置1と空調装置2の動作の整合性を取りやすくなる。
次に、送受信部81は、照明装置1に対して、それぞれの制御データを送信する。これに対して、照明装置1eの送受信部31は、制御データを受信する。また、照明装置1e以外の照明装置1の送受信部51は、制御データを受信する(ステップS29−1、S29−2)。
次に、照明装置1eでは制御部35が、制御データに基づいてLEDランプとしての制御対象部20に出力するための制御信号を生成する。同様に、照明装置1e以外の照明装置1の制御部55が、制御データに基づいてLEDランプとしての制御対象部20に出力するための制御信号を生成する(ステップS30−1、S30−2)。
制御部35は、制御信号を制御対象部20に出力する(ステップS31−1)。制御部55は、制御信号を制御対象部20に出力する(ステップS31−2)。これにより、LEDランプとしての制御対象部20の光量が制御される(ステップS32−1、S32−2)。
管理装置8の送受信部81は、空調装置2に対して制御データを送信する。これに対して、空調装置2の送受信部51は制御データを受信する(ステップS33)。空調装置2では制御部55が、制御データに基づいてエアコンディショナーとしての制御対象部20に出力するための制御信号を生成する。これにより、エアコンディショナーとしての制御対象部20の温度、湿度、風量、風向が制御される(ステップS34)。
このような図10に示した機器管理処理によれば以下のように機器を制御できる。例えば、図12において、領域IDがa22(図6(a)参照)の領域9には熱源がないと判断されている(「0」で示されている)。このため、図7(a)の照明制御指針管理テーブルに従い領域IDがa22の領域9にある照明装置1の光量は60%に制御される。一方、図12において、領域IDがa21(図6(a)参照)の領域9の真下には熱源がある(「1」で示されている)。このため、図7(a)の照明制御指針管理テーブルに従い領域IDがa21の領域9にある照明装置1の光量は100%に制御される。
これにより、人がいるため熱源が検知された場合には、LEDの光量を最大値にし、人がいないため熱源が検知されなかった場合には、LEDの光量が下がるため、省エネルギーを実現することができる。また、人がいる場合は光量が大きくなるので人の快適性を向上させることができる。
次に、図10のステップS22で説明した熱源の有無の判断方法について説明する。図13は、熱源データの生成方法を示したフローチャートである。図14は、温度分布の概念図、熱源データの概念図である。図14(a)は温度分布を示した概念図である。図14(b)は熱源の有無を示す熱源データの概念図である。
まず、照明装置1の生成部34は、温度分布データから判断部33によって温度が所定範囲(例えば、30℃〜35℃)内であるかを判断していない領域9(未判断の領域9)を抽出する(ステップS41)。
そして、判断部33は、ステップS41によって抽出された領域9の温度が所定範囲内であるかを判断する(ステップS42)。例えば、装置IDがa13の照明装置1が設置されている領域9に電気ポット(湯沸し器)が設置されている場合、図14(a)に示すように、蒸気や容器の熱などによってこの領域9の温度が60℃になることがある。このような場合、たとえ熱源が存在しても人間による熱源の範囲(例えば、30℃〜35℃)ではないため、人がいるとは検知されないことが好ましい。
次に、判断部33は、ステップS42において、所定範囲内であると判断した場合には(ステップS42:Yes)、熱源ありと判断する(ステップS43)。この場合、図14(b)に示されているように、熱源データは熱源がある旨を示す「1」が設定される。
一方、判断部33は、所定範囲内でないと判断した場合には(ステップS42:No)、熱源なしと判断する(ステップS44)。この場合、図14(b)に示されているように、熱源データは熱源がない旨を示す「0」が設定される。
そして、ステップS43、44の処理後、判断部33は、全ての領域9において、温度が所定範囲内であるか否かの判断が終了したかを判断する(ステップS45)。このステップS45によって全ての領域9の判断が終了していると判断された場合には(ステップS45:Yes)、図10のステップS22の処理が終了する。一方、ステップS45において、全ての領域9の判断が終了していないと判断された場合には(ステップS45:No)、ステップS41の処理に戻る。
このように、図13のような処理によれば、たとえ熱源が存在しても、特定の物体(例えば、人間)による熱源の範囲を超えている場合には、熱源がない扱いにすることで、より正確に人間の存在を検知することができる。これにより、より正確に省エネルギーを実現することができるという効果を奏する。
以上のようにして図12のような熱源データが得られるが、実際には温度分布センサ311の取り付け角度によって熱源データのマスの形状が歪んでいるため、以下のような不都合が生じている。
まず、温度分布センサ311が多いほど、各領域9の温度を精度よく検知することができる。しかし、温度分布センサ311が多いとコストが増加してしまう。そこで、1つの照明装置1の中に複数の温度分布センサ311を設置することが検討される。しかし、その場合には、温度分布センサ311を床面に対し垂直ではなく、床面に対し傾斜が付与された状態で設置する必要がある。照明装置1と一体か又は付近という限られた場所に複数の温度分布センサ311が設置されるため、傾斜が設けられていないと、1つの温度分布センサ311の温度の検知可能範囲501(図15参照)を広げることができないためである。
図15は、温度分布センサの数と検知可能範囲の関係の一例を示す説明図である。図15(a)では、温度分布センサ311は1つであり、床面に対し垂直に設置されているため、検知可能範囲501は正方形(又は長方形)である。また、図15(b)では、温度分布センサ311は2つであるが、床面に対し傾斜が付与された状態で設置されているため、それぞれの検知可能範囲501は台形ゆがみにより歪んだ形状(台形)となる。また、図15(c)では、温度分布センサ311は4つであるが、床面に対し傾斜が付与された状態で設置されているため、それぞれの検知可能範囲501は正方形の一方の対角線だけが延長されたようなゆがんだ形状(菱形に近い形状)となる。これは、温度分布センサ311が図15(b)に対して90°回転した状態で設置されているためである。
これに対し、居室αの各領域9は正方形又は長方形に区切られている。このため、1つの照明装置1に複数の温度分布センサ311が設置された場合、歪んだ形状の熱源データを居室αの領域9に対応付ける必要がある。
図16は、2つの温度分布センサが検知する検知可能範囲の一例を示す説明図である。図16(a)は、2つの温度分布センサ311が検知する検知可能範囲501を示している。図16(a)では、合計6つの照明装置1が設置され、1つの照明装置1が2つの温度分布センサ311を有している。1つの温度分布センサ311は更に4×4のサーモパイルセンサを有している。すなわち、1つの温度分布センサ311は16箇所の温度を並列に検知できる。1つのサーモパイルセンサの検知可能範囲501を検知マス502という。
温度分布センサ311は、床面に対し垂直に設置されていないので、検知可能範囲501及び検知マス502は台形に歪んだ形になる。従って、検知装置3から管理装置8に送信される熱源データもこのような形状で得られている。このため、台形に歪んだ熱源データは、そのままでは居室αの各領域9の温度に用いることが困難となる。そこで、図16(b)に示すように、熱源データを歪みのない形状に変換する。あるいは、熱源データの各検知マス502における熱源の有り、なしを居室αの各領域9に対応させる。すなわち図16(b)の複数の正方形はそれぞれ居室αの各領域9を示している。
図16(c)は、図16(a)と図16(b)を重畳させた図である。管理装置8のマス目変換処理部85は、図16(b)の各領域9と図16(a)の検知マス502を対応させ、領域9のそれぞれに領域9と重なるサーモパイルセンサの検知マス502の熱源データ(熱源の有り、なし)を設定する。1つの領域9に1つの検知マス502しか含まれないとは限らないので、1つの領域9に複数の検知マス502が対応する場合は、熱源の有り、なしの論理和が領域9に設定される。
図17は、検知可能範囲の検知マスと領域の対応付け処理の流れを示すフローチャートである。図17では、管理装置8のマス目変換処理部85が、検知可能範囲501の検知マス502と領域9の対応付けを行っている。図17の処理は、図10のS24−2で実行される。
まず、マス目変換処理部85は、温度分布センサ311のセンサ番号nに1を設定する(ステップS51)。センサ番号nは処理を容易にするため温度分布センサ311に振られた連番である。
次に、マス目変換処理部85は、マス番号mに1を設定する(ステップS52)。マス番号mは1つの温度分布センサ311が有する複数のサーモパイルセンサがそれぞれ形成する検知マス502に振られた連番である。
マス目変換処理部85は、着目しているサーモパイルセンサの検知マス502がどの領域9と重なるかを判断する(ステップS53)。この判断は、サーモパイルセンサの検知マス502の中心座標Oが領域9に含まれるかどうかにより判断される。中心座標Oについては図18にて説明する。
マス目変換処理部85は、着目している検知マス502の熱源データにおける熱源の有り、なしをステップS53で対応すると判断した領域9に設定する(ステップS54)。
マス目変換処理部85は、mがマス番号の最後か否かを判断する(ステップS55)。mがマス番号の最後でなかった場合(ステップS55:No)、マス目変換処理部85はmを1つ大きくする(ステップS56)。そして、ステップS53〜S55を繰り返す。
一方、mがマス番号の最後であった場合(ステップS55:Yes)、マス目変換処理部85はnがセンサ番号の最後か否かを判断する(ステップS57)。nがセンサ番号の最後でなかった場合(ステップS57:No)、マス目変換処理部85はnを1つ大きくする(ステップS58)。そして、ステップS52〜57を繰り返す。一方、nがセンサ番号の最後であった場合(ステップS57:Yes)、図17の処理は終了する。
図17の処理を、管理装置8又は検知装置3が領域9とマス目の対応付けの処理として行い、マス番号mが重複しないマスIDに変換されれば、領域9の領域IDと対応付けるマス・領域対応テーブルを作成しておくことができる。従って、照明装置1eが天井に設置された後は、マス目変換処理部85はこのマス・領域対応テーブルを参照して歪んだ形状の熱源データを領域9の熱源データに変換できる。
図18は、サーモパイルセンサが検知する検知マスの中心座標Oの一例を示す説明図である。天井βにおけるサーモパイルセンサの位置(x0,y0)は、例えば天井βのコーナーを原点(0,0)として与えられる。また、天井βの高さZも与えられる。そして、1つ1つのサーモパイルセンサの床に対する俯角θx、θyが与えられているものとする。θxはX方向の俯角であり、θyはY方向の俯角である。
これらから、1つのサーモパイルセンサが検知する検知マス502の中心座標Oは、(x0−Ztanθx、y0−Ztanθy)で与えられる。俯角θx、θyは照明装置1への検知装置3の取り付け角度、及び、各サーモパイルセンサのメーカなどから与えられる検知方向の中心角度(設置面に垂直に設置された場合の角度)により決定される。すなわち、メーカなどにより各サーモパイルセンサの検知方向の中心角度が与えられているので、この値に照明装置1への検知装置3の取り付け角度δを加算すればθx、θyが得られる。なお、図のθx、θyは取り付け角度δが含まれた状態で示されている。サーモパイルセンサの位置(x0,y0)、俯角θx、θy、及び、取り付け角度δはサーモパイルセンサが形成する検知マス502の位置に関わる情報である。
各領域9の座標は、居室αの広さを縦横に等分にした値なので、居室αの広さが設計図や実測で与えられると容易に求められる。従って、マス目変換処理部85は各サーモパイルセンサの中心座標Oが領域9のどこに含まれるかを判断できる。
なお、検知マス502の中心座標Oが領域9に含まれるかを比較するのでなく、例えば、検知マス502の四隅のいずれか1つ以上が領域9に含まれるかを比較してもよい。四隅全てがそれぞれ領域9に含まれるか否かを判断すると、熱源がある領域9の数が増える傾向になるので、人がいる可能性を高く見積もって照明やエアコンディショナー等を制御したい場合に有効である。
また、検知マス502の中心座標Oの算出の際に、天井βの高さZでなく人がいる高さを用いてもよい。例えば、人がいる高さは「Z−110cm」程度である。これにより、実際に人がいる領域9に検知マス502を対応付けやすくなる。
このように、検知装置3で得られる熱源データは実際には歪んだ形状で得られているが、図17の処理により居室αの各領域9の熱源データに変換できる。
上記のように図17の処理は、ある領域9に1つでも検知マス502の中心座標が含まれている場合には熱源があると判断される論理和の処理となっている。逆に、ある領域9に2つ以上の検知マス502の中心座標が含まれていても、領域9にある熱源は1つである。これにより、領域9に人がいるのにいないと誤判断することを低減できる。例えば、領域9が広い場合に有用な処理となる。
また、中心座標Oは1つの検知マス502の中心の他、重心であってもよい。また、中心座標Oは中心や重心でなく、検知マス502の範囲内にあればよい。検知マス502の範囲内であれば熱源を検知できるためである。
また、図17の処理は管理装置8が行う他、検知装置3が行ってもよい。あるいは、照明装置1が行ってもよい。
続いて、熱源データを用いた照明制御について説明する。管理者等は領域9を任意の数に分割できるので、領域9と照明装置1が1対1に対応付けられるのはむしろまれである。従って、以下では、検知装置3を搭載した照明装置1ごとに、人を検知した場合に照明を点灯させる範囲を設定して照明制御を行う場合について説明する。
図19は、照明装置の配置と領域及び照明装置の人感検知範囲の一例を示す図である。図19では、図6(a)の領域9と照明装置1の設置の関係が異なっていることに注意されたい。図19では、居室が9×11=99個の領域9に区分されている。また、照明装置1の数は12である。そして、照明装置1の装置IDを1−1〜1−12とし、領域IDを領域9の行番号と列番号で表す。
機器制御システム100の管理者などは、照明装置1に対して熱源がどのくらい近くにあれば点灯するか、また、どのように点灯するかを予め登録しておくことができる。熱源がある場合(人が存在する場合)に照明装置が点灯する領域を「人感検知範囲」という。例えば、照明装置1−7に設定された人感検知範囲601を例にして説明する。
照明装置1−7の人感検知範囲601は、行番号2〜8と列番号4〜10で指定される領域9である。従って、人感検知範囲601(行番号2〜8と列番号4〜10の領域9)で熱源が検知されると照明装置1−7が点灯する。
このような照明装置の制御は、制御指針管理DB8002の照明制御指針管理テーブルに登録されている。図20は、照明制御指針管理テーブルの一例を示す図である。図20(a)の照明制御指針管理テーブルには、照明装置1の装置IDに、熱源がある場合に点灯する領域9が対応付けられている。従って、照明装置1ごとに人感検知範囲601を任意に設定できる。なお、この照明制御指針管理テーブルは、図7(a)の照明制御指針管理テーブルとは異なる他の例である。
次に、管理装置8の生成部84が照明装置1の制御データを生成する手順について説明する。図21は、管理装置による制御データ生成処理の流れを示すフローチャートである。図21の処理は、図10のステップS28で行われる。
まず、生成部84は、居室において制御対象となる照明装置1を1つ取り出す(ステップS61)。次に、生成部84は、照明装置1に対応付けられた領域ID(人感検知範囲)を照明制御指針管理テーブルから読み出す(ステップS62)。
なお、温度分布センサ311の座標が分かっているので、温度分布センサ311の座標が属する領域9を領域情報DB8004から検索してもよい。照明装置1に対する人感検知範囲601の相対位置が固定であり、温度分布センサ311の座標が属する領域9を特定できれば人感検知範囲601を特定できる。
生成部84は、人感検知範囲601に熱源があるか(人がいるか)否かを判断する(ステップS63)。人感検知範囲601に熱源があった場合、すなわち人がいた場合(ステップS63:Yes)、生成部84は、照明装置1の光量を100%にする制御データを作成する(ステップS64)。
人感検知範囲601に熱源がなかった場合、すなわち人がいなかった場合(ステップS63:No)、生成部84は、照明装置1の光量を0%にする制御データを作成する(ステップS65)。この場合の照明装置1の光量は60%などでもよく設計事項である。
生成部84は、全ての照明装置1の制御データを作成したか否かを判断する(ステップS66)。全ての照明装置1の制御データを生成していない場合(ステップS66:No)、生成部84は、次の照明装置1を1つ取り出し(ステップS67)、ステップS62に戻る。一方、全ての照明装置1の制御データを生成した場合(ステップS66:Yes)、図21の処理は終了する。
また、図20(b)の照明制御指針管理テーブルのように、2つの人感検知範囲601が登録されてもよい。図20(b)では、照明装置1の装置IDに、熱源がある場合に光量を100%に制御する領域9と、熱源がある場合に光量を60%に制御する領域9とが対応付けられている。すなわち、異なる人感検知範囲601が用意される。
このような照明制御指針管理テーブルを用いると、照明装置1−7から熱源までの距離に応じて光量を制御できる。例えば、人がいない領域9でも夜間は少し明るくしておきたいという制御に有効である。より省エネルギー性を向上させるには、60%を10%などに変更することもでき、熱源の有無に応じて省エネルギー性と快適性を両立した制御が可能になる。
100%、60%の領域9の形状は、管理者等が任意に設定できる。また、光量を3段階以上に区切って照明装置1に領域9が対応付けられていてもよい。
次に、図20(b)の照明制御指針管理テーブルを用いた場合における、管理装置8の生成部84が照明装置1の制御データを生成する手順について説明する。図22は、管理装置による制御データ生成処理の流れを示す他のフローチャートである。図22の処理は図10のステップS28で行われる。
まず、生成部84は、居室において制御対象となる照明装置1を1つ取り出す(ステップS71)。次に、生成部84は、照明装置1に対応付けられた領域ID(人感検知範囲)を照明制御指針管理テーブルから読み出す(ステップS72)。
生成部84は、温度分布センサ311に近い側の人感検知範囲601(人感検知範囲601における所定範囲の内側)に熱源があるか(人がいるか)否かを判断する(ステップS73)。温度分布センサ311に近い側の人感検知範囲601に熱源があった場合(ステップS73:Yes)、生成部84は、照明装置1の光量を100%にする制御データを作成する(ステップS74)。
一方、温度分布センサ311に近い側の人感検知範囲601に熱源がなかった場合(ステップS73:No)、生成部84は、温度分布センサ311に遠い側の人感検知範囲601(人感検知範囲601における所定範囲の外側)に熱源があるか(人がいるか)否かを判断する(ステップS75)。
温度分布センサ311に遠い側の人感検知範囲601に熱源があった場合(ステップS75:Yes)、生成部84は、照明装置1の光量を60%にする制御データを作成する(ステップS76)。この場合の照明装置1の光量は50%などでもよく設計事項である。
一方、温度分布センサ311に遠い側の人感検知範囲601に熱源がなかった場合(ステップS75:No)、生成部84は、照明装置1の光量を0%にする制御データを作成する(ステップS77)。
生成部84は、全ての照明装置1の制御データを作成したか否かを判断する(ステップS78)。全ての照明装置1の制御データを生成していない場合(ステップS78:No)、生成部84は、次の照明装置1を1つ取り出し(ステップS79)、ステップS72に戻る。一方、全ての照明装置1の制御データを生成した場合(ステップS78:Yes)、図22の処理は終了する。
このように、管理装置8は熱源データが得られるたびに照明装置1(及び空調装置2)の制御データを照明装置1(及び空調装置2)ごとに生成するので、最適な制御を常に維持し省エネルギー性と快適性を両立した制御が可能になる。
なお、管理者は照明制御指針管理テーブルを管理者PC7から設定できる。領域9が固定であれば、照明装置1の装置IDと領域9の領域IDを指定することで照明制御指針管理テーブルを作成できる。また、管理者は領域9をどのように分割するかを設定できる。例えば、管理者PC7に縦横の分割数を入力し管理装置8に送信すると、管理装置8は居室αの縦横の長さを分割数で分割することで領域9を生成できる。また、時間帯に応じて異なる人感検知範囲601を設定してもよい。
以下では、照明装置1の人感検知範囲の設定方法と、管理装置8(制御装置の一例)による照明装置1の制御方法について説明する。まず、管理装置8が制御する照明装置1が設置された制御対象エリアについて説明する。図23は、制御対象エリアを用途に応じて複数のエリアに区切った例を示す図である。
図23に示すように、本実施形態の制御対象エリア10は、境界Rによって通路エリア11と居室エリア12とに区切られている。通路エリア11とは、不特定多数の人が通過する通路であって、第1のエリアの一例である。また、居室エリア12とは、主に特定の人が留まる居室であって、第2のエリアの一例である。本実施形態では、制御対象エリアを2つのエリア(通路エリア、居室エリア)に区切った例を示しているが、3つ以上のエリアに区切ってもよく、各エリアを区切る境界も直線以外でもよい。
図23の矢印で示すように、例えば、通路エリア11は、居室エリア12に入る人や居室エリア12から出ていく人が通過したり、制御対象エリア10に隣接する居室や廊下等を行き来する不特定多数の人が通過する領域である。また、居室エリア12は、例えば机や椅子が配置されており、席に座っている人が留まって仕事などの作業を行っている領域である。
図23に示す制御対象エリア10には、複数の照明装置1が設置されている。図23では、説明のため、通路エリア11と居室エリア12にそれぞれ1つ設置された照明装置1j、1kを示している。制御対象エリア10は、照明装置1の位置(数)と関係なく所定の大きさの領域9(マス目)に区切られている。また、制御対象エリア10では、各照明装置1に対して所望の人感検知範囲が設定できる。なお、人感検知範囲とは、上述したように、熱源がある場合(人が存在する場合)に照明装置を点灯させる領域である。以下の照明装置1には検知装置3が搭載されており、当該検知装置3が人感検知範囲において熱源である人を検知する。
ここで、従来の照明装置1の人感検知範囲について説明する。図24は、従来の照明装置の人感検知範囲の説明図である。図24では、図23と同様に、制御対象エリア10が境界Rによって通路エリア11と居室エリア12とに区切られている。
そして、居室エリア12には照明装置1kが設置され、照明装置1kに搭載された検知装置3の人感検知範囲は、検知範囲792である。一方、通路エリア11には照明装置1jが設置され、照明装置1jが有する検知装置3の人感検知範囲は、検知範囲791である。
居室エリア12の照明装置1kは、居室エリア12の検知範囲792が人感検知範囲として設定されているため、検知範囲792に人が存在した場合に点灯する。
従って、照明装置1kは、居室エリア12内の通路エリア11に近い座席(例えば、図24のP1の位置)に人が存在する場合、その人が検知範囲792に含まれているため点灯する。居室エリア12に設置された他の照明装置1も、同様に、それぞれ検知範囲に人が含まれている場合には点灯する。
また、通路エリア11の照明装置1jは、通路エリア11の検知範囲791が人感検知範囲として設定されているため、検知範囲791に人が存在した場合に点灯する。
従って、照明装置1jは、居室エリア12に人が存在するか否かに関わらず、検知範囲791に人が存在する場合(例えば、図24のP2の位置に人が存在する場合)には点灯し、存在しない場合は消灯する。
このため、通路エリア11に近い座席(例えばP1の位置)にいる人が業務などを行っている場合、居室エリア12の照明装置1kは点灯したままとなる。しかし、通路エリア11の照明装置1jは、通路エリア11を人が通過するたびに点灯・消灯を繰り返すことになる。従って、通路エリア11を多数の人が通過する場合、照明装置1jは頻繁に点灯・消灯を繰り返すことになるため、通路エリア11に近い座席(例えばP1の位置)にいる人に対して不快感を与えてしまう。
次に、本実施形態の照明装置1の人感検知範囲について説明する。図25は、本実施形態の照明装置の人感検知範囲の説明図である。図25では、図23と同様に、制御対象エリア10が境界Rによって通路エリア11と居室エリア12とに区切られている。そして、居室エリア12には照明装置1kが設置され、通路エリア11には照明装置1jが設置されている。なお、照明装置1は、各エリアに対して任意の数を設置することができるが、ここでは、照明装置1jについて説明する。
居室エリア12の照明装置1kの人感検知範囲は、図24の検知範囲792と同様であるため、図25には示していない。すなわち、従来の場合(図24)と同様に、居室エリア12の照明装置1kは、居室エリア12の検知範囲792に人が存在する場合のみ点灯し、通路エリア11を人が通過しただけでは点灯しない。
本実施形態では、通路エリア11の照明装置1jの人感検知範囲(対象検知範囲の一例)を、通路エリア11と居室エリア12のそれぞれに対して独立に設定した検知範囲の合計とする。具体的には、例えば、照明装置1jの人感検知範囲703は、通路エリア11に設定された検知範囲701(第1の検知範囲の一例)と、居室エリア12に設定された検知範囲702(第2の検知範囲の一例)を合わせた合計となっている。
検知範囲702は、通路エリア11と居室エリア12との境界Rから居室エリア12側の所定範囲に設定されている。本実施形態では、検知範囲702は、境界Rから居室エリア12側に3行分の領域9が設定されている。また、検知範囲701は、境界Rから通路エリア11側の所定範囲に設定されている。本実施形態では、検知範囲701は、境界Rから通路エリア11側に3行分の領域9が設定されている。
また、検知範囲701の境界R側の辺の長さと、検知範囲702の境界R側の辺の長さとが同一となっている。本実施形態では、検知範囲701、702の境界R側の長さは、9列分の領域9が設定されている。また、本実施形態の検知範囲701と検知範囲702の面積は同一となっており、境界Rに対して対象に設定されている。
従って、通路エリア11の照明装置1jは、居室エリア12内の通路エリア11に近い座席(例えばP1の位置)に人が存在する場合、通路エリア11に人がいるか否かに関わらず、点灯したままとなる。また、P1の位置を人感検知範囲に含む通路エリア11の照明装置1は全て点灯したままとなる。
このため、通路エリア11に近い座席(例えばP1の位置)にいる人が業務などを行っている場合、居室エリア12の照明装置1kだけでなく、通路エリア11の照明装置1jも点灯したままとなるので、通路エリア11を人が通過するたびに照明装置が点灯・消灯を繰り返すことはない。これにより、通路エリア11に近い座席(例えばP1の位置)で業務をしている人に対して照明装置の点灯・消灯による不快感を与えることを防止できる。
また、通路エリア11に近い座席に人が存在せず(検知範囲702に人が存在せず)、通路エリア11から遠い座席(例えばP3の位置)のみに人が存在する場合には、通路エリア11の照明装置1jは、通路エリア11を人が通過したときにのみ点灯する。このため、不必要に通路エリア11の照明装置1jが点灯することはなく、省エネルギー効果も確保できる。
ここで、図5を参照して、管理装置8の機能構成について説明する。送受信部81は、通路エリア11の検知範囲701、および居室エリア12の検知範囲702を合わせた人感検知範囲703において、照明装置1jに搭載された検知装置3が人(対象)を検知した場合、当該検知装置3から、人を検知した旨の検知データ(検知情報の一例)を受信する。また、送受信部81は、居室エリア12の検知範囲792において、照明装置1kに搭載された検知装置3が人を検知した場合、当該検知装置3から検知データを受信する。また、送受信部81は、生成部84によって生成された制御データ(制御情報の一例)を照明装置1j、1kに送信する。照明装置1j、1kは、制御データを受信し、受信した制御データによって点灯制御、消灯制御を行う。なお、送受信部81が、受信部および送信部の一例である。
生成部84は、照明装置1jの検知装置3から検知データを受信した場合、通路エリア11の照明装置1jを点灯させる旨の制御データを生成する。また、生成部84は、照明装置1kの検知装置3から検知データを受信した場合、居室エリア12の照明装置1kを点灯させる旨の制御データを生成する。
このように、本実施形態の制御システムでは、通路エリア11に近い座席にいる人が業務などを行っている場合、居室エリア12の照明装置1kだけでなく、通路エリア11の照明装置1jも点灯することで、通路エリア11を人が通過するたびに照明装置1jが点灯・消灯を繰り返すことはない。これにより、通路エリア11に近い座席で業務をしている人に対して照明装置1jの頻繁な点灯・消灯による不快感を与えることを防止できる。
また、通路エリア11に近い座席に人が存在せず、通路エリア11から遠い座席のみに人が存在する場合には、通路エリア11の照明装置1jは、通路エリア11を人が通過したときにのみ点灯する。このため、不必要に通路エリア11の照明装置1jが点灯することはなく、省エネルギー効果も確保できる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、通路エリアの検知範囲と居室エリアの検知範囲は同一の面積で設定されていた。これに対し、本実施形態では、通路エリアの検知範囲の面積より居室エリアの検知範囲の面積の方を大きく設定した場合について説明する。
図26は、本実施形態の照明装置の人感検知範囲の説明図である。図26では、図23と同様に、制御対象エリア10が境界Rによって通路エリア11と居室エリア12とに区切られている。そして、居室エリア12には照明装置1kが設置され、通路エリア11には照明装置1jが設置されている。なお、第1の実施形態と同様に、照明装置1は、各エリアに対して任意の数を設置することができるが、ここでは、照明装置1jについて説明する。
居室エリア12の照明装置1kの人感検知範囲は、図24の検知範囲792と同様であるため、図26には示していない。すなわち、従来の場合(図24)と同様に、居室エリア12の照明装置1kは、居室エリア12の検知範囲792に人が存在する場合のみ点灯し、通路エリア11を人が通過しただけでは点灯しない。
本実施形態でも、通路エリア11の照明装置1jの人感検知範囲(対象検知範囲の一例)を、通路エリア11と居室エリア12のそれぞれに対して独立に設定した検知範囲の合計とする。具体的には、例えば、照明装置1jの人感検知範囲706は、通路エリア11に設定された検知範囲704(第1の検知範囲の一例)と、居室エリア12に設定された検知範囲705(第2の検知範囲の一例)を合わせた合計となっている。
第1の実施形態(図25)と比較すると、本実施形態では、居室エリア12に設定する検知範囲705を、通路エリア11に設定する検知範囲704より広く設定している。これは、居室エリア12のやや奥側の座席(例えばP3の位置)にいる人や、照明装置1jからやや離れた座席(例えばP4の位置)にいる人も検知範囲705に含めることで、これらの位置に人が存在する場合にも、通路エリア11の照明装置1jを点灯したままにする。
検知範囲705は、通路エリア11と居室エリア12との境界Rから居室エリア12側の所定範囲に設定されている。本実施形態では、検知範囲705は、境界Rから居室エリア12側に5行分の領域9が設定されている。検知範囲704は、境界Rから通路エリア11側の所定範囲に設定されている。本実施形態では、検知範囲704は、境界Rから通路エリア11側に3行分の領域9が設定されている。
また、検知範囲705の境界R側の辺の長さは、検知範囲704の境界R側の辺の長さより長くなっている。本実施形態では、検知範囲705の境界R側の辺の長さは15列分の領域9が設定され、検知範囲704の境界R側の長さは9列分の領域9が設定されている。
従って、居室エリア12内の通路エリア11に近い座席(例えばP1の位置)に人が存在する場合や、居室エリア12のやや奥側の座席(例えばP3の位置)に人が存在する場合、照明装置1jからやや離れた座席(例えばP4の位置)に人が存在する場合、通路エリア11に人がいるか否かに関わらず、通路エリア11の照明装置1jは点灯したままとなる。
このように、通路エリア11を通過する人が多い場合、ある程度離れた位置にある通路エリア11の照明装置1であっても点灯・消灯によるちらつきが気になる場合がある。従って、本実施形態の制御システムは、通路エリア11に近い座席に人がいる場合だけでなく、居室エリア12のやや奥側や、照明装置1jからやや離れた位置に人がいる場合にも、居室エリア12の照明装置1kだけでなく、通路エリア11の照明装置1jを点灯させることで、通路エリア11を人が通過するたびに照明装置1jが点灯・消灯を繰り返すことはない。これにより、通路エリア11に近い座席にいる人だけでなく、居室エリア12のやや奥側や照明装置1jからやや離れた位置にいる人に対しても照明装置1jの点灯・消灯による不快感を与えることを防止できる。
つまり、本実施形態のように、居室エリア12側に設定する検知範囲705を広くすることで、居室エリア12の広範囲において照明装置1jの点灯・消灯による不快感を与えることを防止できる。
また、通路エリア11側の検知範囲704は、第1の実施形態と同様の大きさであるため、通路エリア11を人が通過したときに、必要以上の範囲の通路エリア11の照明装置1が点灯することはなく、省エネルギー効果も確保できる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、通路エリアの検知範囲と居室エリアの検知範囲は同一の面積で設定されていた。これに対し、本実施形態では、居室エリアの検知範囲の面積より通路エリアの検知範囲の面積の方を大きく設定した場合について説明する。
図27は、本実施形態の照明装置の人感検知範囲の説明図である。図27では、図23と同様に、制御対象エリア10が境界Rによって通路エリア11と居室エリア12とに区切られている。そして、居室エリア12には照明装置1kが設置され、通路エリア11には照明装置1jが設置されている。なお、第1の実施形態と同様に、照明装置1は、各エリアに対して任意の数を設置することができるが、ここでは、照明装置1jについて説明する。
居室エリア12の照明装置1kの人感検知範囲は、図24の検知範囲792と同様であるため、図26には示していない。すなわち、従来の場合(図24)と同様に、居室エリア12の照明装置1kは、居室エリア12の検知範囲792に人が存在する場合のみ点灯し、通路エリア11を人が通過しただけでは点灯しない。
本実施形態でも、通路エリア11の照明装置1jの人感検知範囲(対象検知範囲の一例)を、通路エリア11と居室エリア12のそれぞれに対して独立に設定した検知範囲の合計とする。具体的には、例えば、照明装置1jの人感検知範囲709は、通路エリア11に設定された検知範囲707(第1の検知範囲の一例)と、居室エリア12に設定された検知範囲708(第2の検知範囲の一例)を合わせた合計となっている。
第1の実施形態(図25)と比較すると、本実施形態では、通路エリア11に設定する検知範囲707を、居室エリア12に設定する検知範囲708より広く設定している。これは、通路エリア11の照明装置1jは、照明装置1jに近い位置(例えばP2の位置)だけでなく、照明装置1jから離れた位置(例えばP5の位置)で人を検知した場合でも点灯する。つまり、このような検知範囲707の設定により、通路エリア11を人が通過した場合に、なるべく広い範囲の通路エリア11の照明装置1を点灯させることができる。
検知範囲708は、通路エリア11と居室エリア12との境界Rから居室エリア12側の所定範囲に設定されている。本実施形態では、検知範囲708は、境界Rから居室エリア12側に3行分の領域9が設定されている。検知範囲707は、境界Rから通路エリア11側の所定範囲に設定されている。本実施形態では、検知範囲707は、境界Rから通路エリア11側に3行分の領域9が設定されている。
また、検知範囲707の境界R側の辺の長さは、検知範囲708の境界R側の辺の長さより長くなっている。本実施形態では、検知範囲707の境界R側の辺の長さは15列分の領域9が設定され、検知範囲708の境界R側の長さは9列分の領域9が設定されている。
従って、通路エリア11の照明装置1jは、照明装置1jに近い位置だけでなく、遠い位置に人が存在する場合でも点灯する。
このように、本実施形態の制御システムでは、通路エリア11に近い座席にいる人が業務などを行っている場合、居室エリア12の照明装置1kだけでなく、通路エリア11の照明装置1jも点灯することで、通路エリア11を人が通過するたびに照明装置1jが点灯・消灯を繰り返すことはない。これにより、通路エリア11に近い座席で業務をしている人に対して照明装置1jの点灯・消灯による不快感を与えることを防止できる。
また、通路エリア11に近い座席に人が存在せず、通路エリア11から遠い座席のみに人が存在する場合には、通路エリア11の照明装置1jは、通路エリア11を人が通過したときにのみ点灯する。このため、不必要に通路エリア11の照明装置1jが点灯することはなく、省エネルギー効果も確保できる。
さらに、通路エリア11の照明装置1jは、照明装置1jに近い位置だけでなく、遠い位置に人が存在する場合でも点灯する。このため、例えば、夜間など居室エリア12が暗い状況であっても、通路エリア11の照明装置1jが点灯され、快適性および安全性を確保できる。
なお、第1の実施形態〜第3の実施形態における、照明装置の人感検知範囲の設定方法は一例であって、制御対象エリアの区切り方や照明装置の設置位置などの状況に応じて、所望の範囲に設定することができる。
本実施形態の管理装置8で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、本実施形態の管理装置8で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の管理装置8で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、本実施形態の管理装置8で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
本実施形態の管理装置8で実行されるプログラムは、上述した各部(送受信部、照合部、生成部、マス目変換処理部、記憶・読出処理部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、上記各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。また、例えば、上述した各部の機能のうちの一部または全部が専用のハードウェア回路で実現されてもよい。