JP6789771B2 - 電子写真用部材、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
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Description
さらに、本発明の他の態様によれば、電子写真感光体を備えている電子写真装置であって、電子写真用部材の少なくとも1つが、上記の電子写真用部材である電子写真装置が提供される。
本発明の一実施形態に係る電子写真用部材は、導電性の基体と、該基体上の少なくとも一層の導電性の樹脂層を有する。
なお、電子写真用ローラ1Aの層構成は、樹脂層3が電子写真用ローラ1Aの最表層に存在するものに限定されるものではない。電子写真用ローラ1Aの具体例としては、基体2とその外周に設けられた導電性の樹脂層3の上にさらに表面層を有するものや、樹脂層3を中間層5として有するものが挙げられる。
基体2は、電子写真用部材の支持部材、および場合によっては電極として機能する。基体2は、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;クロム又はニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。電子写真用部材がローラ形状である場合、基体2は、中実円柱状または中空円筒状であり、電子写真用部材がブレード形状である場合、基体2は、薄板形状である。
弾性層4は、特に、電子写真用部材がローラ形状である場合において(電子写真用ローラ1A)、電子写真用ローラ1Aと感光体との当接部において、所定の幅のニップを形成するために必要な弾性を電子写真用ローラ1Aに与えるものである。弾性層4は、ゴム材料の成形体であることが好ましい。ゴム材料としては、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、圧縮永久歪みおよび柔軟性の観点から、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、付加硬化型のシリコーンゴムの硬化物が挙げられる。
以下、本発明の一実施形態における樹脂層3の構成について、詳細に説明する。本発明の一実施形態に係る樹脂層は、前記構造式(1)および(2)からなる群より選択される少なくとも1つの構造と、前記構造式(3)〜(6)からなる群より選択される少なくとも1つの構造とを有する樹脂と、アニオンとを含む。
一般的に、イオン導電剤を添加した樹脂は、低温域において、イオン化合物が解離してカチオンとアニオンとなる比率(イオン化率)が低下する。すなわち、低温域では、カチオンとアニオンとがイオン結合した「塩」になりやすいため、導電性が低下する傾向にある。そのため、低温域での導電性の低下を抑制するためには、イオン化合物がカチオンとアニオンに解離した状態を安定化させる必要がある。
本発明において、該樹脂は、カチオン部位の近傍に、水酸基、アミノ基またはグリシジル基と、イソシアネート基とが反応した残基(反応残基)に由来する構造式(Z101)〜(Z103)で示される構造を少なくとも1個有することを特徴とする。この反応残基がカチオン部位の近傍に存在すると、該カチオンと該反応残基との水素結合による相互作用によって、カチオンの正電荷が安定化されて、低温域でのイオン化率の向上に寄与すると考えられる。
式(X101)および(X102)中、Y1は、炭素数1以上6以下のフルオロアルキル基を表す。
ポリフルオロエチレンとしては、具体的には、例えば、1−フルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレンが挙げられる。構造式(1)で示される構造とともに、1,1,2−トリフルオロエチレン、1,1,2,2−テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、α,β,β−トリフルオロスチレンを共重合した構造とすることもできる。
式(X201)および(X202)中、R3〜R5は、各々独立に、炭素数1以上4以下の炭化水素鎖を表す。Y2は、直鎖または分岐を有するシリコーン基を表す。
本実施形態に係る樹脂は、構造式(3)〜(6)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を分子内に有する。これらの構造は、例えば、カチオン構造中に水酸基、アミノ基、グリシジル基を少なくとも1個有するイオン化合物と、ポリイソシアネートを反応させることにより得られる。
構造式(Z102)は、例えば、カチオンに導入されたアミノ基と、マトリックス樹脂が有するイソシアネート基とが反応して形成される残基である。
構造式(Z103)は、例えば、カチオンに導入されたグリシジル基と、マトリックス樹脂が有する水酸基とが反応して形成される残基である。
2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムカチオン、2−ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウムカチオン、4−ヒドロキシブチルトリメチルアンモニウムカチオン、4−ヒドロキシブチル−トリ−n−ブチルアンモニウムカチオン、8−ヒドロキシオクチルトリメチルアンモニウムカチオン、8−ヒドロキシオクチル−トリ−n−ブチルアンモニウムカチオン;
ビス(ヒドロキシメチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(3−ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(4−ヒドロキシブチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(8−ヒドロキオクチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(8−ヒドロキオクチル)−ジ−n−ブチルアンモニウムカチオン;
トリス(ヒドロキシメチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(4−ヒドロキシブチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(8−ヒドロキシオクチル)メチルアンモニウムカチオン;およびこれらの誘導体が挙げられる。
1−メチル−3−ヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(4−ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(6−ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(8−ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1−n−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−2−(4−ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン;
1,3−ビスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2−メチル−1,3−ビスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、2−メチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4−メチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2−エチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4−エチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2−n−ブチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4−n−ブチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ビス(3−ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ビス(6−ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ビス(8−ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−2,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3,5−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン;
1,2,3−トリスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(3−ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(4−ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(6−ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(8−ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4−トリス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4−トリス(3−ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4−トリス(4−ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4−トリス(6−ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4−トリス(8−ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン;およびこれらの誘導体。
構造式(6)における含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましく、ピリジニウムがより好ましい。
1−メチル−1,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピロリジニウムカチオン、1−エチル−1,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピロリジニウムカチオン、1−ブチル−1,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピロリジニウムカチオン、1−メチル−1,2−ビス(4−ヒドロキシブチル)ピロリジニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
1−ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1−(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1−(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1−(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、2−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、4−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3−エチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3−n−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−メチル−2−ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1−メチル−3−ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1−メチル−4−ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1−メチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−メチル−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−メチル−4−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−エチル−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−n−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、2−メチル−4−n−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン;
1,2−ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,3−ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,4−ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,3−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,2−ビス(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,4−ビス(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,2−ビス(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,3−ビス(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,4−ビス(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,2−ビス(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,3−ビス(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,4−ビス(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、2−メチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、2−エチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、5−メチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、5−エチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン;
1,2,4−トリスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
本発明に係る樹脂層は、構造式(1)および(2)からなる群より選択される少なくとも1つの構造と、構造式(3)〜(6)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造とともに、アニオンを含有することを特徴とする。
アニオンとしては、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、ジシアナミドアニオン、チオシアネートアニオン、ビスオキサラトホウ酸アニオン、過塩素酸アニオン、およびこれらの誘導体が挙げられる。
フルオロスルホニルイミドアニオンとしては、具体的には、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンが挙げられる。
フルオロアルキルカルボン酸アニオンとしては、具体的には、トリフルオロ酢酸アニオン、パーフルオロプロピオン酸アニオン、パーフルオロ酪酸アニオン、パーフルオロ吉草酸アニオン、パーフルオロカプロン酸アニオンが挙げられる。
フルオロリン酸アニオンしては、具体的には、例えばヘキサフルオロリン酸アニオンが挙げられる。
本発明において、樹脂層は、構造式(1)、(2)で示される構造および構造式(3)〜(6)で示される構造以外の構造を有する樹脂をマトリックス樹脂として含むことが好ましい。
またポリエステルポリオールとしては、以下のものが挙げられる。1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,4−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールの如きジオール成分、またはトリメチロールプロパンの如きトリオール成分と、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロキシフタル酸の如きジカルボン酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオール。
構造式(9)および(10)で示される構造は、例えば、プロピレンオキシドを開環重合して得られるポリエーテルポリオールを用いることによって得られる。
構造式(11)で示される構造は、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸等のジカルボン酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオールを用いることによって得られる。または、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとホスゲン、ジメチルカーボネートの如きジアルキルカーボネートとを用いることによっても得られる。
マトリックス樹脂としてウレタン樹脂を用いる場合、例えば以下の材料を混合し、反応させることにより、本発明の樹脂層形成用塗料が得られる。
1.マトリックス樹脂を形成する材料として、
・ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等
・ポリイソシアネート
2.構造式(1)および/または構造式(2)で示される構造を有するポリオール
3.カチオン構造中に、水酸基、アミノ基、グリシジル基から選択される少なくとも1つを含むイオン化合物
なお、これらの反応後の状態は、例えば、熱分解GC/MS、FT−IR、NMR等による公知の手段で分析することにより確認することができる。
樹脂層中における、式(3)〜(6)からなる群より選択される少なくとも1つで示される構造の含有量は、導電性、通電による抵抗変動抑制の観点から、マトリックス樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
樹脂層の形成方法としては、特に限定されるものではないが、スプレー塗工、浸漬塗工、又はロールコート法が挙げられる。これらの中でも、特開昭57−5047号公報に記載されているような、浸漬槽の上端から塗料をオーバーフローさせる浸漬塗工方法は、樹脂層を形成する方法として簡便かつ生産安定性に優れているため、好ましく用いられる。
樹脂層の厚さは、1.0μm以上20.0μm以下であることが好ましい。
樹脂層は、必要に応じて、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛および炭酸カルシウムの如き非導電性充填剤を含有してもよい。これらの非導電性充填剤は、樹脂層形成用塗料に添加することにより、樹脂層の形成工程において該塗料をコーティングする際に、成膜助剤としての機能を発揮する。かかる非導電性充填剤の含有率は、樹脂層を形成する樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、樹脂層は、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で、導電性充填剤を含有してもよい。導電性充填剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、銅の如き導電性金属;酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンの如き導電性金属酸化物の微粒子を用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックは、比較的容易に入手でき、導電付与性と補強性が高いため特に好ましく用いられる。
樹脂層が最表層である場合において、電子写真用部材としてある程度の表面粗度が求められる場合は、樹脂層に粗さ制御のための微粒子(粗さ制御用微粒子)を添加してもよい。粗さ制御用微粒子としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、またはフェノール樹脂の微粒子を用いることができる。粗さ制御用微粒子の体積平均粒径は、1μm以上15μm以下であることが好ましい。樹脂層中の粗さ制御用粒子の含有量は、樹脂層を形成する樹脂100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
本発明に係る電子写真用部材は、電子写真装置における現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、および現像ブレード、クリーニングブレードとして好適に用いることができる。電子写真用部材は、磁性一成分トナーや非磁性一成分トナーを用いた非接触型現像装置および接触型現像装置、ならびに二成分トナーを用いた現像装置のいずれの現像装置にも適用することができる。
本発明に係る、上記電子写真用部材は、プロセスカートリッジにおける現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、および現像ブレード、クリーニングブレードとして好適に用いることができる。図4は、本発明の一態様に係るプロセスカートリッジの一例の概略断面図である。図4において、上記電子写真用部材は、現像ローラ16として搭載されている。プロセスカートリッジ17は、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている。プロセスカートリッジ17は、現像ローラ16と現像ブレード21とを備える現像装置22、電子写真感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、および帯電ローラ24が一体化されたものである。現像装置22は、さらにトナー容器20を含み、トナー容器20内には、トナー15が充填されている。トナー容器20内のトナー15は、トナー供給ローラ19によって現像ローラ16の表面に供給され、現像ブレード21によって、現像ローラ16の表面に所定の厚みのトナー15の層が形成される。
(樹脂L−1の合成)
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、乾燥メチルエチルケトン42.9質量部を仕込み、窒素ガス気流下で温度87℃に昇温し、加熱還流した。次に、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(商品名:CHEMINOX FAMAC−6、ユニマテック社製)45.9質量部、メタクリル変性シリコーン(商品名:X−22−174ASX、信越シリコーン社製)47.8質量部、スチレン(東京化成工業社製)2.8質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(商品名:ライトエステルHO−250(N)、共栄社化学社製)3.5質量部、開始剤(商品名:カヤエステルO、化薬アクゾ社製)0.2質量部の混合物を1時間かけて徐々に滴下し、温度を87℃に保持してさらに3時間加熱還流した。室温まで放冷して、フッ素/シリコーン含有樹脂L−1を得た。
モノマー種および混合比を表1に記載の通りに変更した以外は、樹脂L−1の合成と同様の操作を行い、フッ素および/またはシリコーン含有樹脂L−2〜L−5を得た。なお、表中、「部」は「質量部」を表す。
攪拌装置、温度計、冷却管および乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、可溶性フッ素樹脂(商品名:ルミフロン LF−200、旭硝子社製)100.0gを乾燥窒素雰囲気下でメチルエチルケトン100.0gに溶解した。そして、アリルイソシアネート(Sigma AldRich社製)1.7gをメチルエチルケトン5gに溶解させた溶液を、反応器内の温度を80℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度80℃で2時間撹拌して、「ルミフロン LF−200」が側鎖に有する水酸基と、アリルイソシアネートのイソシアネート基とを反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却した。このようにして、ラジカル重合性基含有フッ素樹脂K−1を得た。
樹脂L−7として、ルミフロン LF−200(商品名、旭硝子社製)を用いた。
次に、イオン導電剤として用いるイオン化合物を合成した。
(イオン化合物IP−1の合成)
窒素雰囲気下、イミダゾール(日本合成化学社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン60.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた2−ブロモエタノール(東京化成工業社製)60.7gを室温で30分かけて滴下し、85℃で12時間加熱還流した。その後、反応溶液に水100mlを加えて、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌して、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水200mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)69.6gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル200mlを加え、有機層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物IP−1を得た。イオン化合物IP−1は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表2に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物IP−1の合成と同様にして、イオン化合物IP−2〜IP−5を得た。
2−(2−Methyl−1H−imidazol−1−yl)ethanol(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた臭化エチル(昭和化学社製)14.5gを室温で30分かけて滴下し、85℃で12時間加熱還流した。次に、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水100mlに溶解し、アニオン原料として、トリフルオロ酢酸リチウム(和光純薬工業社製)16.0gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル100mlを加え、有機層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物IP−6を得た。イオン化合物IP−6は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表3に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物IP−6の合成と同様にして、イオン化合物IP−7、IP−8を得た。
ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業社製)15.0gをイオン交換水40.0gに溶解させた。次に、イオン交換水60gに溶解させたアニオン原料:リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)27.9gを30分かけて滴下し、30℃で2時間攪拌した。次に、反応溶液を、酢酸エチル100.0gを用いて2回抽出した。次に、分液して得られた酢酸エチル層を、イオン交換水60gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下で酢酸エチルを留去し、イオン化合物IP−9を得た。イオン化合物IP−9は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表4に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物IP−9の合成と同様にして、イオン化合物IP−10、IP−11を得た。
トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド50%水溶液(東京化成工業社製)30.0gを、イオン交換水50.0gに溶解させた。次に、イオン交換水30gに溶解させたアニオン原料:リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)26.1gを30分かけて滴下し、30℃で6時間攪拌した。次に、反応溶液を、酢酸エチル100.0gを用いて2回抽出した。次に、分液した酢酸エチル層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下で酢酸エチルを留去し、イオン化合物IP−12を得た。イオン化合物IP−12は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表5に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物IP−12の合成と同様にして、イオン化合物IP−13、IP−14を得た。
4−Pyridin−4−yl−butan−1−ol(シグマ・アルドリッチ社製)15.0gをアセトニトリル45.0gに溶解し、室温で4−ブロモ−1−ブタノール(東京化成工業社製)16.7gを30分かけて滴下した後、90℃で12時間加熱還流した。次に、反応溶液を室温まで冷却し、減圧下でアセトニトリルを留去した。得られた濃縮物をジエチルエーテル30.0gにて洗浄し、上澄み液を分液により除去した。洗浄および分液操作を3回繰り返し、残留物を得た。
さらに、得られた残留物をジクロロメタン110.0gに溶解させた後、イオン交換水40.0gに溶解させたアニオン原料:リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)31.4gを30分かけて滴下し、30℃で12時間攪拌した。得られた溶液を分液し、有機層を、イオン交換水80.0gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下でジクロロメタンを留去し、イオン化合物IP−15を得た。イオン化合物IP−15は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表6に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物IP−15の合成と同様にして、イオン化合物IP−16、IP−17を得た。
2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルピロリジン(東京化成工業社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)13.5gを、テトラヒドロフラン65.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン40.0gに溶解させた2−ブロモエタノール(東京化成工業社製)16.0gを30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール80mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水160mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)36.7gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム70mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液40mlを加えて30分撹拌した後分液し、クロロホルム層を、イオン交換水50gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下でクロロホルムを留去して、イオン化合物IP−18を得た。イオン化合物IP−18は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表7に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物IP−18の合成と同様にして、イオン化合物IP−19、IP−20を得た。
ジエチレントリアミン(東京化成工業社製)15.0gを、テトラヒドロフラン35.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させたヨウ化メチル(東京化成工業社製)45.5gを30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール100mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を、純水160mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)46.0gを加え、室温下で1時間撹拌した。次に、反応溶液を、酢酸エチル100.0gを用いて2回抽出した。次に、分液した酢酸エチル層を、イオン交換水60gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物IP−21を得た。イオン化合物IP−21は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表8に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物IP−21の合成と同様にして、イオン化合物IP−22を得た。
カチオン原料として、イミダゾール(東京化成工業社製)15.0gをジクロロメタン50.0gに溶解させ、ジクロロメタン50.0gに溶解させたエピクロロヒドリン(東京化成工業社製)44.9gを室温で30分かけて滴下し、6時間加熱還流した。次に、反応溶液を室温まで冷却し、炭酸ナトリウム5質量%水溶液200mlを加えて30分間撹拌した後分液し、ジクロロメタン層を、イオン交換水120gを用いて2回洗浄した。次に、減圧下でジクロロメタンを留去して残留物を得た。
さらに、得られた残留物をアセトン50.0gに溶解させた後、イオン交換水150.0gに溶解させたアニオン原料:リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)69.6gを30分かけて滴下し、30℃で2時間攪拌した。得られた溶液を分液し、有機層を、イオン交換水50.0gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下でアセトンを留去して、イオン化合物IP−23を得た。イオン化合物IP−23は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表9に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物IP−23の合成と同様にして、イオン化合物IP−24を得た。
(イソシアネート基末端プレポリマーB−1の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業社製)84.1質量部に対し、PTG−L1000(商品名、保土谷化学工業社製)100.0質量部を、反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2.5時間反応させて、メチルエチルケトン80.0質量部を加えた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量5.4質量%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーB−1を得た。
[実施例1]
(基体の用意)
ステンレス鋼(SUS304)製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名:DY39−012、東レ・ダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを基体として用意した。
上記で用意した基体を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名:SE6905A/B、東レ・ダウコーニング社製):100.0質量部
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#4300、東海カーボン社製):15.0質量部
・白金触媒:0.1質量部
続いて、金型を加熱し、シリコーンゴムを温度150℃で15分間加硫して硬化させた。周面に硬化したシリコーンゴム層が形成された基体を金型から脱型した後、当該芯金を、さらに温度180℃で1時間加熱して、シリコーンゴム層の硬化反応を完了させた。こうして、基体2の外周に直径12mmのシリコーンゴム弾性層を有する弾性ローラD−1を作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリエーテルポリオール(商品名:PTG−L1000、保土谷化学工業社製):100.0質量部
・イソシアネート(商品名:ミリオネートMR−400、東ソー社製):45.7質量部
・樹脂L−1:7.65質量部
・イオン化合物IP−1:7.28質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル社製):30.6質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):15.3質量部
次に、総固形分比が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加えた後、サンドミルにて混合した。次いで、さらに、メチルエチルケトンで粘度10〜12cpsに調整して、樹脂層形成用塗料を調製した。
フッ素/シリコーン含有樹脂およびイオン化合物の種類と配合量を表11に記載の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜8に係る現像ローラを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリエステルポリオール(商品名:クラレポリオールP−2010、クラレ社製):70.0質量部
・イソシアネート基末端プレポリマーB−1:113.3質量部
・樹脂L−3:7.82質量部
・イオン化合物IP−9:7.07質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製):31.3質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):20.6質量部
以降は、実施例1と同様にして実施例9に係る現像ローラを作製した。
フッ素/シリコーン含有樹脂およびイオン化合物の種類と配合量を表11に記載の通りに変更した以外は実施例9と同様にして実施例10〜20に係る現像ローラを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリブタジエンポリオール(商品名:Poly bd R−45HT、出光興産社製):110.0質量部
・イソシアネート(商品名:ミリオネートMR−400、東ソー社製):23.9質量部
・樹脂L−5:7.01質量部
・イオン化合物IP−21:6.31質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製):28.1質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):15.9質量部
以降は、実施例1と同様にして、実施例21に係る現像ローラを作製した。
フッ素/シリコーン含有樹脂およびイオン化合物の種類と配合量を表11に記載の通り変更した以外は実施例21と同様にして実施例22〜24に係る現像ローラを作製した。
フッ素/シリコーン含有樹脂およびイオン化合物の種類と配合量を表12に記載の通りに変更した以外は実施例21と同様にして、比較例1〜4に係る現像ローラを作製した。なお、比較例3および4については、フッ素/シリコーン含有樹脂を添加しなかった。
得られた実施例1〜24および比較例1〜4に係る現像ローラについて、以下の評価を行った。評価結果を表13にまとめて示す。
23℃、50%RH(以下、「N/N」と記す)の環境下および0℃の環境中に6時間現像ローラを放置した後、各環境下で測定を行った。
図5に、本測定で用いる、現像ローラの抵抗値を評価するための冶具の概略構成図を示す。図5(a)に示すように、導電性の軸受け38を介して導電性の基体2の両端を、各々4.9Nの荷重で押しながら直径30mmの円柱形金属37を回転させ、現像ローラ16を60rpmの速度で従動回転させた。次に、図5(b)に示すように、高圧電源39によって電圧50Vを印加し、円柱形金属37とグランドとの間に配設した既知の抵抗値(現像ローラ16の抵抗値に対して2桁以上抵抗値が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER、FLUKE社製)を用いた。測定した電位差と抵抗器の抵抗値とから、現像ローラ16を介して円柱形金属37に流れた電流を計算により求めた。そして、印加電圧50Vを、得られた電流で割ることによって現像ローラ16の抵抗値を求めた。ここで、該電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値をローラ抵抗値とした。
(温度0℃の環境下でのゴーストの評価)
温度0℃の環境中で抵抗値の測定を行った現像ローラを用いて、以下の評価を行った。
図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例および比較例で得られた現像ローラを、現像ローラ16として装填した。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。
次いでゴースト画像の評価を行った。すなわち、ブラックトナーを用い、画像パターンとして1枚内で先端部に15mm角のベタ黒、その後に全面ハーフトーンの画像を印字した。次に、ハーフトーン部分に現れるトナー担持体周期の濃度ムラ(ゴースト)を目視で確認した。ゴーストの評価の評価基準は以下のとおりである。
A:ゴーストが全く認められない。
B:極軽微なゴーストが認められる。
C:顕著なゴーストが認められる。
※1:N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成工業社製)
※2:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成工業社製)
一方で、かかる構造を含有しない比較例1〜4に係る現像ローラは、低温環境下において、抵抗値の上昇およびゴースト画像の発生が認められた。
[実施例25]
基体として、厚さ0.08mmのステンレス鋼(SUS304、日新製鋼社製)を、長さ200mm、幅23mmの寸法にプレス切断して、ステンレス鋼製のシート(以下、「SUSシート」という)を用意した。次に、図2に示すように、切断したSUSシートの長手側端部からの長さLが1.5mmになるように、実施例1で調製した樹脂層形成用塗料に浸漬して、当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに温度140℃にて1時間加熱処理することで、SUSシートの長手側端部表面に膜厚Tが10μmの樹脂層を有する、実施例25に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料を、実施例6で調製した樹脂層形成用塗料に変更した以外は実施例25と同様にして、実施例26に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料を、実施例13で調製した樹脂層形成用塗料に変更した以外は実施例25と同様にして、実施例27に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料を、実施例15で調製した樹脂層形成用塗料に変更した以外は実施例25と同様にして、実施例28に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料を、実施例20で調製した樹脂層形成用塗料に変更した以外は実施例25と同様にして、実施例29に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料を、実施例21で調製した樹脂層形成用塗料に変更した以外は実施例25と同様にして、実施例30に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料を、実施例24で調製した樹脂層形成用塗料に変更した以外は実施例25と同様にして、実施例31に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料を、比較例1で調製した樹脂層形成用塗料に変更した以外は実施例25と同様にして、比較例5に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料を、比較例3で調製した樹脂層形成用塗料に変更した以外は実施例25と同様にして、比較例6に係る現像ブレードを作製した。
実施例25〜31、および比較例5、6に係る現像ブレードについて、以下の評価を行った。評価結果を表14に示す。
23℃、50%RH(以下、「N/N」と記す)の環境下、および0℃の環境下に6時間現像ブレードを放置した後、各環境下で抵抗値を測定した。
ブレードの抵抗値の測定は、図5に示す抵抗値変動評価冶具を用いて、次のように行った。なお、図5に示す冶具における現像ローラ16に代えて、現像ブレードを用いた。図5(a)に示すように、導電性の軸受け38を介して現像ブレード両端の、樹脂層を形成していない基体部分を各々4.9Nの荷重で押しながら、直径30mmの円柱形金属37を回転させずに、現像ブレードを固定した。次に、図5(b)に示すように、高圧電源39によって電圧50Vを印加し、円柱形金属37とグランドとの間に配設した既知の抵抗値(現像ブレードの抵抗値に対して2桁以上抵抗値が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER、FLUKE社製)を用いた。測定した電位差と抵抗器の抵抗値から、現像ブレードを介して円柱形金属37に流れた電流を計算により求めた。そして、印加電圧50Vを得られた電流で割ることにより、現像ブレードの抵抗値を求めた。ここで、該電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値をブレード抵抗値とした。
(規制不良評価)
図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例および比較例の現像ブレードを装填した。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。次に、黒色で印字率1%の画像を100枚連続して出力した。その後、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力した。これらの画像を出力した後、現像ブレード表面のトナーコートの状態観察を行い、トナーへの帯電異常に起因する静電的トナー凝集(規制不良)の有無を目視で観察した。この観察結果を以下の基準で評価した。なお、規制不良が生じると、例えば非印字部に斑点状のムラが発生したり、トナー塊などが画像上に発生したりする画像弊害が生じることがある。
A:トナーコート上に規制不良が存在しない。
B:トナーコート上には規制不良が存在するが、画像に現れていない。
C:規制不良が画像に現れる。
一方で、かかる構造を含有しない比較例5、6に係る現像ブレードは、低温環境下において、抵抗値の上昇および規制不良の発生が認められた。
[実施例32]
基体として、ステンレス鋼(SUS304)製の直径5mmの芯金を金型に配置し、以下の材料を混合したウレタンゴム組成物を、金型内に形成されたキャビティに注入した。
・ポリエーテルポリオール(商品名:EP550N、三井化学工業社製):85.0質量部
・イソシアネート(商品名:コスモネートTM20、三井化学工業社製):25.0質量部
・フッ素/シリコーン含有樹脂L−1:5.0質量部
・イオン化合物IP−1:10.0質量部
・シリコーン整泡剤(商品名:SRX274C、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製):1.0質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT−ET、東ソー社製):0.3質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT−L33、東ソー社製):0.2質量部
・水:2.0質量部
イオン化合物、およびフッ素/シリコーン含有樹脂の種類と配合量を表15に記載の通りに変更した以外は実施例32と同様にして、実施例33〜38に係るトナー供給ローラを作製した。
イオン化合物、およびフッ素/シリコーン含有樹脂の種類と配合量を表15に記載の通りに変更した以外は実施例32と同様にして、比較例7および比較例8に係るトナー供給ローラを作製した。なお、表中、※1は、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成工業社製)を表す。
得られた実施例32〜38および比較例7、8に係るトナー供給ローラについて、以下の評価を行った。評価結果を表16にまとめて示す。
現像ローラの評価と同様にして、N/N環境下および0℃の環境下に6時間トナー供給ローラを放置した後、各環境下で抵抗値を測定した。
トナー供給ローラの抵抗値の測定は、前述の現像ローラの抵抗値の測定と同様の装置を用いて行った。ただし、基体2の両端に加える荷重を2.5Nとし、測定時におけるローラの回転数を32rpmとした。それ以外は、現像ローラと同様に測定を行い、トナー供給ローラ抵抗値とした。
(規制不良評価)
図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例および比較例のトナー供給ローラを装填した。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。次に、黒色で印字率1%の画像を100枚連続出力した。その後、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力した。これらの画像を出力した後、現像ブレード表面のトナーコートの状態観察を行い、トナーへの帯電異常に起因する静電的トナー凝集(規制不良)の有無を目視で観察した。規制不良評価の評価基準は以下のとおりである。
A:トナーコート上に規制不良が存在しない。
B:トナーコート上には規制不良が存在するが、画像に現れていない。
C:規制不良が画像に現れる。
一方で、かかる構造を含有しない比較例7、8に係るトナー供給ローラは、低温環境下において、抵抗値の上昇および規制不良の発生が認められた。
1B 電子写真用ブレード
2 基体
3 樹脂層
16 現像ローラ
19 トナー供給ローラ
21 現像ブレード
Claims (6)
- 導電性の基体と樹脂層とを有する電子写真用部材であって、
該樹脂層は、
下記構造式(1)および(2)からなる群より選択される少なくとも1つの構造と、下記構造式(3)〜(6)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造と、を有する樹脂と、
アニオンと、を含むことを特徴とする電子写真用部材:
- 前記樹脂が、前記構造式(1)および(2)で示される構造を有する、請求項1に記載の電子写真用部材。
- 前記樹脂が、前記構造式(4)で示されるカチオン構造を有する、請求項1または2に記載の電子写真用部材。
- 電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、電子写真用部材の少なくとも1つが、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 電子写真感光体を備えている電子写真装置であって、電子写真用部材の少なくとも1つが、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用部材であることを特徴とする電子写真装置。
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