JP6669401B2 - 電子写真用部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真用部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真装置に用いられる電子写真用部材、該電子写真用部材を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真装置においては、例えば、現像部材、帯電部材、トナー供給部材、クリーニング部材として、導電層を備えた電子写真用部材が使用されている。電子写真用部材の導電層は、例えば、電気抵抗値が、1.0×105〜1.0×109Ωの範囲に制御されている。導電層に導電性を付与する導電剤として、四級アンモニウム塩化合物の如きイオン導電剤がある。特許文献1には、特定のゴム成分に対し、アリル基を有する第四級アンモニウム塩をイオン導電剤として用いることにより、ゴムの抵抗変動を抑制する方法が開示されている。また、特許文献2には、アクリロイル基を有する第四級アンモニウム塩を配合することにより、ゴムを低抵抗化する方法が開示されている。
特開2003−165902号公報 特開2014−209177号公報
近年、電子写真装置には、より苛酷な環境下においても高画質、高耐久性を維持できることが求められている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載のイオン導電剤が添加された導電性部材や、特許文献2に記載のゴム層を備える導電性ローラは、特に、温度0℃の如き低温の環境で使用した場合に、電気抵抗値が上昇することがあった。かかる電気抵抗値の変動は、電子写真画像の品質に影響を与える場合がある。
本発明の一態様は、導電性の環境依存性が小さい電子写真用部材の提供に向けたものである。また、本発明の他の態様は、多様な環境下でも、高品位な電子写真画像を安定して出力できる電子写真装置及びそれに用いられるプロセスカートリッジの提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、導電性の基体及び該基体上の導電性の樹脂層を有する電子写真用部材であって、
該樹脂層は、下記構造式(1)〜(5)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を分子内に有する樹脂と、アニオンと、を含み、
該アニオンは、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、及びジシアナミドアニオンからなる群より選択される少なくとも1つである、電子写真用部材が提供される:
Figure 0006669401
構造式(1)〜(5)中、R1及びR6は、各々独立に、水素原子、または炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を表す。R2及びR3、R4及びR5、R7、並びにR8は、各々独立に、構造式(2)、(3)、(4)及び(5)における含窒素複素環が、5員環、6員環または7員環を形成するために必要な炭化水素基を表す。構造式(2)及び(3)における含窒素複素環に含まれる2つのNのうち一方はN+である。
構造式(1)〜(5)中、X1〜X15は、各々独立に、下記構造式(X101)〜(X104)からなる群より選択されるいずれかの構造を表す:
Figure 0006669401
構造式(X101)中、R9は、直鎖または分岐を有する炭素数5以上9以下の2価の炭化水素基を表す。
構造式(X102)中、R10及びR11は、各々独立に、直鎖または分岐を有する炭素数2以上4以下の2価の炭化水素基を表す。
構造式(X103)中、R12は、直鎖または分岐を有する炭素数1以上4以下の2価の炭化水素基を表す。R13及びR15は、各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。R14及びR16は、各々独立に、炭素数1以上18以下の1価の炭化水素基を表す。 構造式(X104)中、R17は、直鎖または分岐を有する炭素数6以上9以下の2価の炭化水素基を表す。
構造式(X101)〜(X104)中、記号「*」は、該構造式(1)における窒素原子との結合部位、または、該構造式(2)〜(5)における含窒素複素環中の窒素原子もしくは含窒素複素環中の炭素原子との結合部位を表し、記号「**」は、該樹脂を構成するポリマー鎖中の炭素原子との結合部位を表す。
また、本発明の他の態様によれば、導電性の基体及び該基体上の導電性の樹脂層を有する電子写真用部材であって、
該樹脂層は、下記構造式(12)〜(16)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオンを有するイオン化合物と、ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物との反応物である樹脂を含む電子写真用部材が提供される:
Figure 0006669401
構造式(12)〜(16)中、R20及びR25は、各々独立に、水素原子、または炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を表す。R21及びR22、R23及びR24、R26、並びにR27は、各々独立に、構造式(13)、(14)、(15)及び(16)における含窒素複素環が、5員環、6員環または7員環を形成するために必要な炭化水素基を表す。構造式(13)及び(14)における含窒素複素環に含まれる2つのNのうち一方はN+である。構造式(12)〜(16)中、Y1〜Y15は、各々独立に、下記構造式(Y101)または(Y102)で示される構造を表す:
Figure 0006669401
構造式(Y101)中、R28は、直鎖または分岐を有する、炭素数1以上4以下の2価の炭化水素基を表す。
構造式(Y102)中、R29は、直鎖または分岐を有する、炭素数1以上4以下の2価の炭化水素基を表す。R30は、水素原子またはメチル基を表す。
さらに、本発明の他の態様によれば、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、前記電子写真用部材を具備するプロセスカートリッジ、及び前記電子写真用部材を具備する電子写真装置が提供される。
本発明によれば、導電性の環境依存性が小さい電子写真用部材を提供することができる。また本発明によれば、多様な環境下でも、高品位な電子写真画像を安定して出力できる電子写真装置及びそれに用いられるプロセスカートリッジを提供することができる。
本発明の一態様に係る電子写真用ローラを示す概略断面図である。 本発明の一態様に係る電子写真用ブレードを示す概略断面図である。 本発明の一態様に係る電子写真装置を示す概略断面図である。 本発明の一態様に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。 現像ローラの電気抵抗値を評価するための冶具の概略構成図である。
本発明者らは、前記したように、常温環境と低温環境とで導電性の変動が小さい電子写真用部材を得るべく鋭意検討を行った。その結果、特定の化学構造を有する樹脂と、特定のアニオンとを樹脂層に含む電子写真用部材が、低温低湿環境での長期間にわたる加重を受けても変形が生じにくいことを見出し、本発明を為すに至った。
(1)電子写真用部材
本発明の一実施形態に係る電子写真用部材は、導電性の基体及び該基体上の導電性の樹脂層を有する。
電子写真用部材の一例として、ローラ形状の電子写真用部材(電子写真用ローラ)を図1(a)〜(c)に示す。図1(a)に示す電子写真用ローラ1は、導電性の基体2と、その外周に設けられた導電性の樹脂層3とからなる。図1(b)に示すように、基体2と樹脂層3との間に、さらに弾性層4が設けられていてもよい。また、電子写真用ローラ1は、図1(c)に示すように、弾性層4と樹脂層3の間に中間層5を配置した3層構造であってもよく、中間層5が複数配置された多層構成であってもよい。電子写真用ローラ1において、本発明の一実施形態に係る効果をより効果的に奏するためには、図1(a)〜(c)に示すように、樹脂層3が電子写真用ローラ1の最表層として存在していることが好ましい。また、電子写真用ローラ1は弾性層4を有することが好ましい。
なお、電子写真用ローラ1の層構成は、樹脂層3が電子写真用ローラ1の最表層に存在するものに限定されるものではない。電子写真用ローラ1の具体例としては、基体2とその外周に設けられた導電性の樹脂層3の上にさらに表面層を有するものや、樹脂層3を中間層5として有するものが挙げられる。
また、電子写真用部材の他の例として、ブレード形状の電子写真用部材(電子写真用ブレード)が挙げられる。図2(a)、(b)は電子写真用ブレードの概略断面図である。図2(a)に示す電子写真用ブレードは、導電性の基体2と、その外周に設けられた導電性の樹脂層3とから構成されている。図2(b)に示す電子写真用ブレードおいては、基体2と樹脂層3との間にさらに弾性層4が設けられている。
電子写真用部材は、現像ローラ、帯電部材、トナー供給ローラ、現像ブレード、及びクリーニングブレードに用いることが可能である。特に、現像ローラ、現像ブレード及びトナー供給ローラとして好適に用いることが可能である。以下、本発明の一実施形態に係る電子写真用部材の構成を詳細に説明する。
<基体>
基体2は、電子写真用部材の支持部材、及び場合によっては電極として機能する。基体2は、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;クロムまたはニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。電子写真用部材がローラ形状である場合、基体2は、中実円柱状または中空円筒状であり、電子写真用部材がブレード形状である場合、基体2は、薄板形状である。
<弾性層>
弾性層4は、特に、電子写真用部材がローラ形状である場合において(電子写真用ローラ1)、電子写真用ローラ1と感光体との当接部において、所定の幅のニップを形成するために必要な弾性を電子写真用ローラ1に与えるものである。弾性層4は、ゴム材料の成型体であることが好ましい。ゴム材料としては、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、圧縮永久歪み及び柔軟性の観点から、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、付加硬化型のシリコーンゴムの硬化物が挙げられる。
弾性層4の成形方法としては、液状ゴム材料を型成形する方法や、混練ゴム材料を押出し成形する方法が挙げられる。弾性層の厚さは、0.3mm以上4.0mm以下であることが好ましい。
弾性層4には、導電性を付与するために、導電性付与剤が適宜配合される。導電性付与剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、銅の如き導電性金属;酸化錫、酸化チタンの如き導電性金属酸化物の微粒子を用いることができる。これらの中でも、比較的容易に入手でき、良好な導電性が得られる点から、カーボンブラックが好ましい。導電性付与剤としてカーボンブラックを用いる場合は、ゴム100質量部に対して2〜50質量部配合することが好ましい。
弾性層4には、非導電性充填剤、架橋剤、触媒の如き各種添加剤が適宜配合されていてもよい。非導電性充填剤としては、シリカ、石英粉末、酸化チタン、または炭酸カルシウムが挙げられる。架橋剤としては、ジ−t−ブチルパ−オキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサンまたはジクミルパ−オキサイドが挙げられる。触媒としては、白金触媒が挙げられる。
<樹脂層>
以下、電子写真用部材の一実施形態における樹脂層の構成について、詳細に説明する。本発明における一実施形態に係る樹脂層は、前記構造式(1)〜(5)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を分子内に有する樹脂と、アニオンとを含む。該アニオンは、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、及びジシアナミドアニオンからなる群より選択される少なくとも1つである。
樹脂としては、例えば、ビニル基または(メタ)アクリロイル基を少なくとも3個有するカチオンと前記アニオンとからなるイオン化合物と、ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物との反応物が挙げられる。具体的には、後述する構造式(12)〜(16)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオンを有するイオン化合物と、ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物との反応物が挙げられる。前記イオン化合物は、前記アニオンを少なくとも1つ有する。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味する。また、「アクリロイル基」は、「CH2=CH−COO−」で表される基を意味する。
上記の樹脂とアニオンとを含有する樹脂層を有することによって、温度0℃の如き低温の環境下での電気抵抗値の上昇が抑制されるという予期せぬ効果を奏する理由について、本発明者らは以下のように推測している。一般的に、低温環境下では、イオン化合物が解離してカチオンとアニオンとなっている割合(イオン化率)が低下し、カチオンとアニオンとがイオン結合した「塩」となり、該イオン化合物の導電性が低下する傾向にある。そのため、カチオン側及びアニオン側の双方からイオン化率を向上させる必要がある。
(本発明に係るカチオン構造により本発明の効果が得られる理由)
上記樹脂は、カチオン部位の近傍に、ビニル基または(メタ)アクリロイル基が反応した残基に由来する構造を3個有する。イオン導電剤を含有するマトリックス樹脂が結晶性を有する場合、ポリマー鎖がスタッキングすることにより、イオンキャリアの移動性が抑制され、電気抵抗値が上昇する。そのため、イオン導電剤による導電性を充分に発現させるためには、キャリアとなるカチオン及びアニオンの移動を妨げないように、マトリックスとなる樹脂成分の結晶化を抑制する必要がある。カチオンをマトリックスとなる樹脂と化学反応させた場合は、特にカチオン周辺の結晶性を抑制することが重要となる。カチオンにビニル基や(メタ)アクリロイル基を1個または2個導入して、マトリックス樹脂と反応させた場合、直線状のマトリックス樹脂の中、または末端にカチオンが組み込まれる。直線状の樹脂は分子がスタッキングし易いため、結晶性が発現しやすくなり、その結果、温度0℃の如き低温環境下では、電気抵抗値が高くなると考えられる。一方、本発明においては、3個のビニル基または(メタ)アクリロイル基を導入したカチオンと、マトリックス樹脂とを反応させるため、カチオンが組み込まれたマトリックス樹脂は分岐構造を有する。その結果、カチオン周辺の結晶性が低下し、温度0℃の如き低温環境下での電気抵抗値の上昇が抑制されるものと考えられる。
(本発明に係るアニオンを選択する理由)
さらに、本発明に係るアニオンは、その化学構造に起因して、ハロゲンアニオンや硫酸アニオン、硝酸アニオンと比べて化学的に非常に安定であり、イオン化率が高い。すなわち、アニオンが分子内に強力な電子吸引性基を有し、アニオンの負電荷を安定化させるため、広い温度域で高いイオン化率を示し、低温でも高い導電性の発現に寄与しているものと考えられる。このように、本発明では、該アニオンと前記カチオンとを組み合わせることにより、低温でも高い導電性を示すものと考えられる。
[イオン化合物]
(カチオン)
本発明に係る樹脂は、下記構造式(1)〜(5)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を分子内に有する。該構造式(1)〜(5)で示されるカチオン構造を有する樹脂は、下記構造式(12)〜(16)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオンを有するイオン化合物と、ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物との反応により得られる。すなわち、下記構造式(1)〜(5)で示されるカチオン構造は、下記構造式(12)〜(16)で示されるカチオンとそれぞれ対応している。以下、構造式(1)〜(5)及び構造式(12)〜(16)で示されるカチオン構造について説明する。
Figure 0006669401
構造式(1)中、R1は、水素原子、または炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を表す。該炭化水素基は、直鎖または分岐のいずれであってもよい。R1は、炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。また、X1〜X3は、各々独立に、下記構造式(X101)〜(X104)からなる群より選択されるいずれかの構造を表す。構造式(1)は、具体的には、樹脂との結合部を3個有するアンモニウムカチオンを表す。
構造式(12)中、R20は、構造式(1)におけるR1と同義である。R20は、炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。また、Y1〜Y3は、各々独立に、下記構造式(Y101)または(Y102)で示される構造を表す。構造式(12)は、具体的には、ビニル基または(メタ)アクリロイル基を有する基を3個有するアンモニウムカチオンを表す。
構造式(12)で表される構造としては、具体的には、例えば、トリアリルメチルアンモニウムカチオン、トリアリルエチルアンモニウムカチオン、トリアリル−n−ブチルアンモニウムカチオン、トリ(3−ブテニル)メチルアンモニウムカチオン、トリ(3−ブテニル)エチルアンモニウムカチオン、トリ(3−ブテニル)−n−ブチルアンモニウムカチオン、トリ(4−ペンテニル)メチルアンモニウムカチオン、トリ(4−ペンテニル)エチルアンモニウムカチオン、トリ(4−ペンテニル)−n−ブチルアンモニウムカチオン、トリス(2−アクリロイルエチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(2−メタクリロイルエチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(4−アクリロイルブチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(4−メタクリロイルブチル)メチルアンモニウムカチオン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
Figure 0006669401
構造式(2)中、R2及びR3は、各々独立に、構造式(2)における含窒素複素環が、5員環、6員環または7員環を形成するために必要な炭化水素基を表す。また、X4〜X6は、各々独立に、下記構造式(X101)〜(X104)からなる群より選択されるいずれかの構造を表す。構造式(2)は、具体的には、樹脂との結合部を3個有し、環構造中に窒素原子を2個含む複素環カチオンを表す。構造式(2)において、3個の樹脂との結合部(X4〜X6)のうち、2個(X4及びX5)は複素環構造中の窒素原子と結合している。
構造式(13)中、R21及びR22は、構造式(2)におけるR2及びR3と同義である。また、Y4〜Y6は、各々独立に、下記構造式(Y101)または(Y102)で示される構造を表す。構造式(13)は、具体的には、ビニル基または(メタ)アクリロイル基を有する基を3個有し、環構造中に窒素原子を2個含む複素環カチオンを表す。構造式(13)において、Y4〜Y6のうち、2個(Y4及びY5)は複素環構造中の窒素原子と結合している。
構造式(2)及び(13)における含窒素複素環としては、5員環の含窒素複素環として、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、イミダゾリジニウム;6員環の含窒素複素環として、ピラジニウム、ピリミジニウム、ピペラジニウム;7員環の含窒素複素環として、[1,3]−ジアゼパニウム、[1,4]−ジアゼパニウムが挙げられる。これらの中でも、5員環の含窒素複素環が好ましく、イミダゾリウムがより好ましい。
構造式(2)で表される構造としては、具体的に、下記構造式(2−1)で表される構造が好ましい。なお、構造式(2−1)中、X4〜X6は、構造式(2)におけるものと同義である。
Figure 0006669401
構造式(13)で表される構造としては、例えば、1,2,3−トリアリルイミダゾリウムカチオン、1,3,5−トリアリルイミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリ(3−ブテニル)イミダゾリウムカチオン、1,3,5−トリ(3−ブテニル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリ(4−ペンテニル)イミダゾリウムカチオン、1,3,5−トリ(4−ペンテニル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(2−アクリロイルエチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(2−メタクリロイルエチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(4−アクリロイルブチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(4−メタクリロイルブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,5−トリス(2−アクリロイルエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,5−トリス(2−メタクリロイルエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,5−トリス(4−アクリロイルブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,5−トリス(4−メタクリロイルブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,5−トリアリルピリミジニウムカチオン、1,3,5−トリ(3−ブテニル)ピリミジニウムカチオン、1,2,4−トリアリルピペラジニウムカチオン、及びこれらの誘導体が挙げられる。なお、上記イミダゾリウムカチオンの例示化合物においては、N+の位置番号を「1」として表記した。
Figure 0006669401
構造式(3)中、R4及びR5は、各々独立に、構造式(3)における含窒素複素環が、5員環、6員環または7員環を形成するために必要な炭化水素基を表す。R6は、水素原子、または炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を表す。R6における炭化水素基は、直鎖または分岐のいずれであってもよい。R6は、炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。また、X7〜X9は、各々独立に、下記構造式(X101)〜(X104)からなる群より選択されるいずれかの構造を表す。構造式(3)は、具体的には、樹脂との結合部を3個有し、環構造中に窒素原子を2個含む複素環カチオンを表す。構造式(3)において、3個の樹脂との結合部(X7〜X9)のうち、1個(X7)が複素環構造中の一方の窒素原子と結合しており、R6は、もう一方の窒素原子と結合している。
構造式(14)中、R23、R24及びR25は、構造式(3)におけるR4、R5及びR6と同義である。また、Y7〜Y9は、各々独立に、下記構造式(Y101)または(Y102)で示される構造を表す。構造式(14)は、具体的には、ビニル基または(メタ)アクリロイル基を有する基を3個有し、環構造中に窒素原子を2個含む複素環カチオンを表す。構造式(14)において、Y7〜Y9のうち、1個(Y7)は複素環構造中の一方の窒素原子と結合しており、R25は、もう一方の窒素原子と結合している。
構造式(3)及び(14)における含窒素複素環としては、前記構造式(2)及び(13)におけるものと同様の構造を挙げることができる。これらの中でも、5員環の含窒素複素環が好ましく、イミダゾリウムがより好ましい。
構造式(3)で表される構造としては、具体的に、下記構造式(3−1)で表される構造が好ましい。なお、構造式(3−1)中、R6及びX7〜X9は、構造式(3)におけるものと同義である。
Figure 0006669401
構造式(14)で表される構造としては、具体的には、例えば、1,2,4−トリアリル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2,4−トリアリル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1,2,4−トリアリル−3−n−ブチルイミダゾリウムカチオン、1,2,4−トリ(3−ブテニル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2,4−トリ(3−ブテニル)−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1,2,4−トリ(3−ブテニル)−3−n−ブチルイミダゾリウムカチオン、1,2,4−トリス(2−アクリロイルエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2,4−トリス(2−メタクリロイルエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2,4−トリス(4−アクリロイルブチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2,4−トリス(4−メタクリロイルブチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、及びこれらの誘導体が挙げられる。なお、上記イミダゾリウムカチオンの例示化合物においては、N+の位置番号を「1」として表記した。
なお、構造式(2)、構造式(3)、構造式(13)及び構造式(14)において、N+は具体的に表記されていないが、各構造式における含窒素複素環に含まれる2つのNのうち一方はN+である。
Figure 0006669401
構造式(4)中、R7は、構造式(4)における含窒素複素環が、5員環、6員環または7員環を形成するために必要な炭化水素基を表す。また、X10〜X12は、各々独立に、下記構造式(X101)〜(X104)からなる群より選択されるいずれかの構造を表す。構造式(4)は、具体的には、樹脂との結合部を3個有し、環構造中に窒素原子を1個含む複素環カチオンを表す。構造式(4)において、3個の樹脂との結合部(X10〜X12)のうち、2個(X10及びX11)は複素環構造中の窒素原子と結合している。
構造式(15)中、R26は、構造式(4)におけるR7と同義である。また、Y10〜Y12は、各々独立に、下記構造式(Y101)または(Y102)で示される構造を表す。構造式(15)は、具体的には、ビニル基または(メタ)アクリロイル基を有する基を3個有し、環構造中に窒素原子を1個含む複素環カチオンを表す。構造式(15)において、Y10〜Y12のうち、2個(Y10及びY11)が複素環構造中の窒素原子と結合している。
構造式(4)及び(15)における含窒素複素環としては、5員環の含窒素複素環として、ピロリジニウム、ピロリニウム;6員環の含窒素複素環として、ピペリジニウム;7員環の含窒素複素環として、アゼパニウムが挙げられる。これらの中でも、5員環または6員環の含窒素複素環が好ましく、ピロリジニウムが好ましい。
構造式(4)で表される構造としては、具体的に、下記構造式(4−1)で表される構造が好ましい。なお、構造式(4−1)中、X10〜X12は、構造式(4)におけるものと同義である。
Figure 0006669401
構造式(15)で表される構造としては、具体的には、例えば、1,1,3−トリアリルピロリジニウムカチオン、1,1,3−トリ(3−ブテニル)ピロリジニウムカチオン、1,1,3−トリ(4−ペンテニル)ピロリジニウムカチオン、1,1,4−トリアリルピペリジニウムカチオン、1,1,4−トリ(3−ブテニル)ピペリジニウムカチオン、1,1,4−トリ(4−ペンテニル)ピペリジニウムカチオン、1,1,3−トリス(2−アクリロイルエチル)ピロリジニウムカチオン、1,1,3−トリス(2−メタクリロイルエチル)ピロリジニウムカチオン、1,1,3−トリス(4−アクリロイルブチル)ピロリジニウムカチオン、1,1,3−トリス(4−メタクリロイルブチル)ピロリジニウムカチオン、1,1,4−トリス(2−アクリロイルエチル)ピペリジニウムカチオン、1,1,4−トリス(2−メタクリロイルエチル)ピペリジニウムカチオン、1,1,4−トリス(4−アクリロイルブチル)ピペリジニウムカチオン、1,1,4−トリス(4−メタクリロイルブチル)ピペリジニウムカチオン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
Figure 0006669401
構造式(5)中、R8は、構造式(5)における含窒素複素環が、5員環、6員環または7員環を形成するために必要な炭化水素基を表す。また、X13〜X15は、各々独立に、下記構造式(X101)〜(X104)からなる群より選択されるいずれかの構造を表す。構造式(5)は、具体的には、樹脂との結合部を3個有し、環構造中に窒素原子を1個含む複素環カチオンを表す。構造式(5)において、3個の樹脂との結合部(X13〜X15)のうち、1個(X13)が複素環構造中の窒素原子と結合している。
構造式(16)中、R27は、構造式(5)におけるR8と同義である。また、Y13〜Y15は、各々独立に、下記構造式(Y101)または(Y102)で示される構造を表す。構造式(16)は、ビニル基または(メタ)アクリロイル基を有する基を3個有し、環構造中に窒素原子を1個含む複素環カチオンを表す。構造式(16)において、Y13〜Y15のうち、1個(Y13)が複素環構造中の窒素原子と結合している。
構造式(5)及び(16)における含窒素複素環としては、6員環の含窒素複素環が好ましく、具体的には、ピリジニウムが挙げられる。
構造式(5)で表される構造としては、具体的に、下記構造式(5−1)で表される構造が好ましい。なお、構造式(5−1)中、X13〜X15は、構造式(5)におけるものと同義である。
Figure 0006669401
構造式(16)で表される構造としては、具体的には、例えば、1,3,5−トリアリルピリジニウムカチオン、1,2,4−トリアリルピリジニウムカチオン、1,3,5−トリ(3−ブテニル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリ(3−ブテニル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリ(4−ペンテニル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリ(4−ペンテニル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(2−アクリロイルエチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(2−メタクリロイルエチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(4−アクリロイルブチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(4−メタクリロイルブチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(2−アクリロイルエチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(2−メタクリロイルエチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(4−アクリロイルブチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(4−メタクリロイルブチル)ピリジニウムカチオン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
前記構造式(1)〜(5)中、X1〜X15は、各々独立に、下記構造式(X101)〜(X104)からなる群より選択されるいずれかの構造を表す。
Figure 0006669401
構造式(X101)中、R9は、直鎖または分岐を有する炭素数5以上9以下の2価の炭化水素基を表す。構造式(X101)で示される構造は、例えば、カチオンに導入されたビニル基を有する基と、マトリックス樹脂が有する(メタ)アクリロイル基とが反応して形成される。ここで、マトリックス樹脂とは、後述するビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物として用いる、ビニル基または(メタ)アクリロイル基を有する重合性モノマー(または該重合性モノマーから得られるポリマー)や、ウレタンポリマー等を意味する。
構造式(X102)中、R10及びR11は、各々独立に、直鎖または分岐を有する炭素数2以上4以下の2価の炭化水素基を表す。構造式(X102)で示される構造は、例えば、カチオンに導入された(メタ)アクリロイル基を有する基と、マトリックス樹脂が有するビニル基または(メタ)アクリロイル基とが反応して形成される。
構造式(X103)中、R12は、直鎖または分岐を有する炭素数1以上4以下の2価の炭化水素基を表す。R13及びR15は、各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。R14及びR16は、各々独立に、炭素数1以上18以下の1価の炭化水素基を表す。該炭化水素基は、直鎖、分岐、または環状のいずれであってもよい。構造式(X103)で示される構造は、例えば、カチオンに導入されたビニル基を有する基と、マトリックス樹脂を構成する(メタ)アクリロイルモノマーとが反応して形成される。
構造式(X104)中、R17は、直鎖または分岐を有する炭素数6以上9以下の2価の炭化水素基を表す。構造式(X104)で示される構造は、例えば、カチオンに導入されたビニル基を有する基と、マトリックス樹脂を構成するウレタンポリマーが有するビニル基とが反応して形成される。
なお、構造式(X101)〜(X104)中、記号「*」は、前記構造式(1)における窒素原子との結合部位、または、前記構造式(2)〜(5)における含窒素複素環中の窒素原子もしくは含窒素複素環中の炭素原子との結合部位を表し、記号「**」は、前記樹脂を構成するポリマー鎖中の炭素原子との結合部位を表す。
前記構造式(12)〜(16)中、Y1〜Y15は、ビニル基または(メタ)アクリロイル基を有する基であり、具体的には、下記構造式(Y101)または(Y102)で示される構造を表す。
Figure 0006669401
構造式(Y101)中、R28は、直鎖または分岐を有する、炭素数1以上4以下の2価の炭化水素基を表す。例えば、R28が炭素数1の炭化水素基(メチレン基)である場合、構造式(Y101)は、アリル基を表す。
構造式(Y102)中、R29は、直鎖または分岐を有する、炭素数1以上4以下の2価の炭化水素基を表す。R30は、水素原子またはメチル基を表す。
前記構造式(1)〜(5)で示されるカチオン構造の中でも、構造式(2)、(3)、(4)及び(5)で示される構造を有する樹脂を含む場合、カチオンの化学構造に起因して、低温でもイオン化率が高く、温度0℃の如き低温環境下での電気抵抗値が上昇しにくいため、好ましい。
(アニオン)
本発明に係るアニオンは、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、及びジシアナミドアニオンからなる群より選択される少なくとも1つである。
フルオロアルキルスルホニルイミドアニオンとしては、具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニルイミドアニオン、ビス(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミドアニオン、ビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドアニオン、ビス(ドデカフルオロペンチルスルホニル)イミドアニオン、ビス(パーフルオロヘキシルスルホニル)イミドアニオンの如き、炭素数1以上6以下のフルオロアルキル基を有するフルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、及び、N,N−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルイミドの如き環状のフルオロアルキルスルホニルイミドアニオンが挙げられる。
フルオロスルホニルイミドアニオンとしては、具体的には、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンが挙げられる。
フルオロアルキルスルホネートアニオンとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、フルオロメタンスルホン酸アニオン、パーフルオロエチルスルホン酸アニオン、パーフルオロプロピルスルホン酸アニオン、パーフルオロブチルスルホン酸アニオン、パーフルオロペンチルスルホン酸アニオン、パーフルオロヘキシルスルホン酸アニオン、パーフルオロオクチルスルホン酸アニオンが挙げられる。
フルオロアルキルカルボン酸アニオンとしては、具体的には、トリフルオロ酢酸アニオン、パーフルオロプロピオン酸アニオン、パーフルオロ酪酸アニオン、パーフルオロ吉草酸アニオン、パーフルオロカプロン酸アニオンが挙げられる。
フルオロアルキルメチドアニオンとしては、具体的には、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロプロピルスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロブチルスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロペンチルスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロヘキシルスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロオクチルスルホニル)メチドアニオンが挙げられる。
フルオロホウ酸アニオンとしては、具体的には、例えばテトラフルオロホウ酸アニオンが挙げられる。
フルオロリン酸アニオンしては、具体的には、例えばヘキサフルオロリン酸アニオンが挙げられる。
本発明において、樹脂層は、前記構造式(1)〜(5)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を分子内に有する樹脂を含むことを特徴とする。該樹脂は、バインダー成分として含有され、前述のカチオン及びアニオンの担持体として機能する。該樹脂は、前記構造式(12)〜(16)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン及び前記アニオンを有するイオン化合物と、ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物との反応により得られる。
前記イオン化合物と、前記ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物とを配合して、本発明に係る樹脂を作製する場合において、前記イオン化合物の配合量は、ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。イオン化合物の配合量が前記範囲内である場合、低温環境下でも電子写真用部材の導電性がより良好となり、硬度の著しい上昇も抑制される。
[ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物]
ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物としては、例えば、ビニル基または(メタ)アクリロイル基を有する重合性モノマーや、分子末端にビニル基または(メタ)アクリロイル基を有するウレタンポリマーを挙げることができる。
ビニル基または(メタ)アクリロイル基を有する重合性モノマーとしては、公知のものを用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、以下のものが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
1官能性の重合性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、フルオロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
2官能性の重合性モノマーとしては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールが挙げられる。
3官能性の重合性モノマーとしては、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
これらの重合性モノマーと、前記構造式(12)〜(16)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオンを有するイオン化合物との反応により、アクリル樹脂が得られる。これらの中でも、下記構造式(6)で表される構造を与える重合性モノマーを用いた場合、マトリックス樹脂としての結晶性が低下し、温度0℃の如き低温環境下における電気抵抗値がより低くなるため好ましい。すなわち、本発明に係る樹脂は、下記構造式(6)で示される構造を分子内に有することが好ましい。
Figure 0006669401
構造式(6)中、R18は、水素原子またはメチル基を表す。R19は、炭素数1以上18以下の1価の炭化水素基を表す。なお、該炭化水素基は、直鎖、分岐、または環状のいずれであってもよい。
前記重合性モノマーのうち、構造式(6)で示される構造を与える重合性モノマーとしては、以下のものが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート。
また、分子末端にビニル基または(メタ)アクリロイル基を有するウレタンポリマーとしては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。該ウレタンポリマーは、例えば、イソシアネート基を有するビニル化合物または(メタ)アクリレート化合物と、種々のポリオールとを反応させることにより得られる。
イソシアネート基を有するビニル化合物または(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、アリルイソシアネート、4−イソシアネート−1−ブテン、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、ポリオールとしては、公知のポリオールを用いることができる。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオールが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ポリオールとしては、自己膜補強性、イオン化合物との相溶性の観点から、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールが好ましい。すなわち、前記ウレタンポリマーとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールと、イソシアネートとを反応させて得られるウレタンプレポリマーポリオールが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとしては、以下のものが挙げられる。1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,4−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールの如きジオール成分、またはトリメチロールプロパンの如きトリオール成分と、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロキシフタル酸の如きジカルボン酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオール。
さらに、ポリカーボネートポリオールとしては、以下のものが挙げられる。1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きジオール成分と、ホスゲン、ジメチルカーボネートの如きジアルキルカーボネート、または、エチレンカーボネートの如き環式カーボネートとの縮合反応により得られるポリカーボネートポリオール。
分子末端にビニル基または(メタ)アクリロイル基を有するウレタンポリマーと、前記構造式(12)〜(16)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオンを有するイオン化合物との反応により、前記構造式(X104)で示される構造を有する樹脂が得られる。このような樹脂を使用する場合、下記構造式(7)〜(11)で示される構造を有するポリオールを用いると、マトリックス樹脂としての結晶性が低下し、温度0℃の如き低温環境下における電気抵抗値がより低くなるため、好ましい。すなわち、本発明に係る樹脂は、隣接する2つのウレタン結合の間に、下記構造式(7)〜(11)からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有することが好ましい。
Figure 0006669401
前記構造式(7)及び(8)で示される構造は、例えば、3−メチルテトラヒドロフランを開環重合して得られるポリエーテルポリオールを用いることによって得られる。前記構造式(9)及び(10)で示される構造は、例えば、プロピレンオキシドを開環重合して得られるポリエーテルポリオールを用いることによって得られる。前記構造式(11)で示される構造は、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸等のジカルボン酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオールを用いることによって得られる。または、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、ホスゲンもしくはジメチルカーボネートの如きジアルキルカーボネートとを用いることによっても得られる。
これらのポリオールは、必要に応じて、あらかじめイソシアネートにより鎖延長したプレポリマーとしてもよい。イソシアネートとしては、特に限定されるものではないが、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の如き脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネートの如き脂環式ポリイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートの如き芳香族イソシアネート;及びこれらの共重合物やイソシアヌレート体、TMPアダクト体、ビウレット体、そのブロック体を用いることができる。これらの中でも、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族イソシアネートが好ましい。
ポリオールとイソシアネートとは、ポリオール中の水酸基1.0に対してイソシアネート中のイソシアネート基の比率(モル比)が1.0以上2.0以下の範囲となるように混合させることが好ましい。混合比が前記範囲内であると、未反応成分の残存を抑制することが可能である。
[樹脂層の形成方法]
樹脂層に含まれる樹脂は、前記構造式(12)〜(16)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有するイオン化合物と、ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物との反応物である。この反応は、UV照射による硬化反応や、熱硬化反応により行うことができる。UV照射による硬化反応を行う場合、開始剤としては、ベンゾイン誘導体等のアルキルフェノン系(例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)や、アシルホスフィンオキシド系が好適に用いられる。UV光源としては、低圧水銀ランプ、メタハライドランプ、LEDランプなどを用いることができ、これらのうち、紫外線の波長が150〜480nmの光を豊富に含む紫外線源が用いられる。
樹脂層3の形成方法としては、特に限定されるものではないが、スプレー塗工、浸漬塗工、またはロールコート法が挙げられる。これらの中でも、特開昭57−5047号公報に記載されているような浸漬槽上端から塗料をオーバーフローさせる浸漬塗工方法は、樹脂層3を形成する方法として簡便で生産安定性に優れているため、好ましい。樹脂層3の厚さは、1.0μm以上20.0μm以下であることが好ましい。
[樹脂層中のその他の成分]
樹脂層3は、必要に応じて、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛及び炭酸カルシウムの如き非導電性充填剤を含有してもよい。これらの非導電性充填剤は、樹脂層3形成用の塗料に添加することにより、樹脂層3の形成工程において該塗料をコーティングする際に、成膜助剤としての機能を発揮する。非導電性充填剤を含有する場合、かかる非導電性充填剤の含有率は、樹脂層3を形成する樹脂100質量部に対して10質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、樹脂層3は、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で、導電性充填剤を含有してもよい。導電性充填剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、銅の如き導電性金属;酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンの如き導電性金属酸化物の微粒子を用いることができる。このうち、カーボンブラックは、導電付与性と補強性が高いため特に好ましく用いられる。
樹脂層3が最表層である場合において、電子写真用部材としてある程度の表面粗度が求められる場合は、樹脂層3に粗さ制御のための微粒子(粗さ制御用微粒子)を添加してもよい。粗さ制御用微粒子としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、またはフェノール樹脂の微粒子を用いることができる。粗さ制御用微粒子の体積平均粒径は、1μm以上15μm以下であることが好ましい。粗さ制御用微粒子を添加する場合、樹脂層3中の粗さ制御用粒子の添加量は、樹脂層3を形成する樹脂、すなわちバインダー樹脂100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
[樹脂層の成分分析]
樹脂層3に含まれるカチオン、アニオン及び樹脂の化学構造は、例えば、熱分解GC/MS、FT−IR、またはNMRによる分析により確認することができる。
(2)電子写真装置
本発明に係る電子写真用部材は、電子写真装置における現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、及び現像ブレード、クリーニングブレードとして好適に用いることができる。電子写真用部材は、磁性一成分トナー及び非磁性一成分トナーを用いた非接触型現像装置及び接触型現像装置、ならびに二成分トナーを用いた現像装置のいずれの現像装置にも適用することができる。
図3は、本発明に係る電子写真用部材を、一成分トナーを用いた接触型現像装置の現像ローラとして搭載した電子写真装置の一例を示す概略断面図である。現像装置22は、一成分トナーとしてトナー15を収容したトナー容器20と、現像ローラ16と、現像ローラ16へトナーを供給するトナー供給ローラ19と、現像ローラ16上のトナー層の厚さを規制する現像ブレード21とを含む。現像ローラ16は、トナー容器20内の長手方向に延在する開口部に位置し、感光体18に対して接触設置されている。なお、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25及び帯電ローラ24は、電子写真装置本体に配備されていてもよい。
以下、電子写真装置のプリント動作を説明する。感光体18は矢印方向に回転し、感光体18を帯電処理するための帯電ローラ24によって一様に帯電される。次いで、露光手段であるレーザー光23により、感光体18の表面に静電潜像が形成される。該静電潜像は、現像装置22によって、感光体18に対して接触配置される現像ローラ16からトナー15が付与されることにより、トナー像として可視化される(現像)。現像は、露光部にトナー像を形成する、いわゆる反転現像である。感光体18上に形成されたトナー像は、転写部材である転写ローラ29によって記録媒体である紙34に転写される。紙34は、給紙ローラ35及び吸着ローラ36を経て装置内に給紙され、エンドレスベルト状の転写搬送ベルト32によって、感光体18と転写ローラ29の間に搬送される。転写搬送ベルト32は、従動ローラ33、駆動ローラ28、テンションローラ31により稼働している。トナー像を転写された紙34は、定着装置27により定着処理された後、装置外に排紙されて、プリント動作が終了する。一方、転写されずに感光体18上に残存した転写残トナーは、感光体表面をクリーニングするためのクリーニング部材であるクリーニングブレード26により掻き取られ、廃トナー収容容器25に収納される。クリーニングされた感光体18は、以上のプリント動作を繰り返し行う。
(3)プロセスカートリッジ
本発明に係る電子写真用部材は、プロセスカートリッジにおける現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、及び現像ブレード、クリーニングブレードとして好適に用いることができる。図4は、本発明の一態様に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略断面図である。図4に示すプロセスカートリッジ17は、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている。そして、前記電子写真用部材を現像ローラ16として搭載している。また、プロセスカートリッジ17は、現像ローラ16と現像ブレード21とを備える現像装置22、電子写真感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、及び帯電ローラ24を有する。現像装置22は、さらにトナー容器20を含み、トナー容器20内には、トナー15が充填されている。トナー容器20内のトナー15は、トナー供給ローラ19によって現像ローラ16の表面に供給され、現像ブレード21によって、現像ローラ16の表面に所定の厚みのトナー15の層が形成される。
以下に本発明に係る具体的な実施例及び比較例について示す。まず、イオン導電剤(イオン化合物)、及び樹脂を作製するために必要な原料化合物を合成した。
<イオン化合物の合成>
(化合物IP−1の合成)
メチルアミン40%水溶液(東京化成工業社製)37.5g(0.48mol)、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散、東京化成工業社製)20.24g(0.53mol)を、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン180.0gに溶解させた3−ブロモ−1−プロペン(東京化成工業社製)193.21g(1.60mol)を30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール300mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水200mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)152.8g(0.53mol)を加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム200mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液200mlを加えて30分間撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−1を得た。化合物IP−1は、下記式(17)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−2〜6の合成)
アニオン原料及びその配合量を表1に記載の通り変更した以外は、化合物IP−1の合成と同様にして、化合物IP−2〜6を得た。
Figure 0006669401
(化合物IP−7の合成)
トリエタノールアミン(東京化成工業社製)15.0g(0.10mol)をテトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。次に、アクリル酸(東京化成工業社製)23.9g(0.33mol)を加え、氷冷した後、濃硫酸(東京化成工業社製)1.2gを加えた。反応溶液を3時間加熱還流し、室温まで放冷した。次に、炭素水素ナトリウム10質量%水溶液(東京化成工業社製)60.0gと酢酸エチル100.0gを加え、分液した。得られた有機層について、減圧下で溶媒を留去した。
続いて、得られた生成物とテトラヒドロフラン40.0gを、撹拌装置、温度計及び圧力計を備えるオートクレーブに注入し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した。次に、ヨードメタン(東京化成工業社製)15.7gを圧入した後、槽内温度を60℃に保持したまま、5時間撹拌した。得られた生成物を室温まで放冷し、減圧下で溶媒を留去した。
続いて、得られた生成物を純水200mlに溶解し、アニオン原料として、カリウム N,N−ビス(フルオロスルホニル)イミド(商品名:K−FSI、三菱マテリアル電子化成社製)24.3g(0.11mol)を加え、室温下で3時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム110mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液120mlを加えて30分間撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−7を得た。化合物IP−7は、下記式(18)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−8の合成)
1H−Imidazole,5−(2−propen−1−yl)(Hong Kong Chemhere社製)15.0g(0.14mol)、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散、東京化成工業社製)13.5g(0.35mol)を、テトラヒドロフラン65.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン180.0gに溶解させた3−ブロモ−1−プロペン(東京化成工業社製)37.0g(0.31mol)を30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール300mlを加えて室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水160mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)43.9g(0.15mol)を加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム150mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液110mlを加えて30分間撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−8を得た。化合物IP−8は、下記式(19)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−9の合成)
アニオン原料として、カリウム N,N−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルイミド(商品名:EF−N302、三菱マテリアル電子化成社製)を用い、その配合量を50.6g(0.15mol)に変更した以外は、化合物IP−8の合成と同様にして、化合物IP−9を得た。化合物IP−9は、下記式(20)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−10の合成)
2−(2−Imidazolyl)ethanol(Asta Tech社製)15.0g(0.13mol)をアセトニトリル260mlに懸濁させた。次に、2−ブロモエタノール(東京化成工業社製)36.8g(0.29mol)と炭酸カリウム(東京化成工業社製)43.2g(0.31mol)を加え、反応混合物を80℃に昇温して、22時間撹拌した。続いて、反応混合物を室温まで放冷した後、固体成分を吸引ろ過し、ろ液について減圧下で溶媒を留去した。残渣をエーテル50mlで2回、ジクロロメタン50mlで2回、アセトニトリル50mlで2回洗浄した後、真空乾燥した。
得られた生成物を、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。次に、メタクリル酸(東京化成工業社製)38.0g(0.44mol)を加え、氷冷した後、濃硫酸(東京化成工業社製)1.7gを加えた。反応溶液を3時間加熱還流した後、室温まで放冷した。次に、炭素水素ナトリウム10質量%水溶液(東京化成工業社製)60.0gと酢酸エチル100.0gを加え、分液した。得られた有機層について減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水180mlに溶解し、アニオン原料として、トリフルオロ酢酸リチウム(和光純薬工業社製)17.7g(0.15mol)を加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム150mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液110mlを加えて30分間撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−10を得た。化合物IP−10は、下記式(21)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−11の合成)
1H−Imidazole,1−methyl−5−(2−propen−1−yl)(Hong Kong Chemhere社製)15.0g(0.12mol)、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散、東京化成工業社製)13.5g(0.35mol)を、テトラヒドロフラン65.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン180.0gに溶解させた3−ブロモ−1−プロペン(東京化成工業社製)32.7g(0.27mol)を30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール300mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水160mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)38.8g(0.14mol)を加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム150mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液110mlを加えて30分間撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−11を得た。化合物IP−11は、下記式(22)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−12の合成)
アニオン原料として、カリウム トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(商品名:K−TFSM、セントラル硝子社製)を用い、その配合量を60.9g(0.14mol)に変更した以外は、化合物IP−11の合成と同様にして化合物IP−12を得た。
(化合物IP−13の合成)
3−(Prop−2−en−1−yl)pyrrolidine(Aurora Fine Chemicals社製)15.0g(0.14mol)、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散、東京化成工業社製)13.5g(0.35mol)を、テトラヒドロフラン65.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン180.0gに溶解させた3−ブロモ−1−プロペン(東京化成工業社製)36.0g(0.30mol)を30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール300mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水160mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)42.7g(0.15mol)を加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム150mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液110mlを加えて30分間撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−13を得た。化合物IP−13は、下記式(23)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−14の合成)
アニオン原料として、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(商品名:EF−15、三菱マテリアル電子化成社製)を用い、その配合量を23.2g(0.15mol)に変更した以外は、化合物IP−13の合成と同様にして、化合物IP−14を得た。
(化合物IP−15の合成)
3−(Prop−2−en−1−yl)pyridine(3B Scientific社製)15.0g(0.13mol)、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散、東京化成工業社製)13.5g(0.35mol)を、テトラヒドロフラン65.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン180.0gに溶解させた3−ブロモ−1−プロペン(東京化成工業社製)33.6g(0.28mol)を30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール300mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水160mlに溶解し、アニオン原料として、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム(商品名:KFBS、三菱マテリアル電子化成社製)46.9g(0.14mol)を加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム150mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液110mlを加えて30分撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−15を得た。化合物IP−15は、下記式(24)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−16の合成)
3,5−Pyridine dipropanol(Shanghai Chemhere社製)15.0g(0.08mol)をテトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。次に、メタクリル酸(東京化成工業社製)14.6g(0.17mol)を加え、氷冷した後、濃硫酸(東京化成工業社製)1.2gを加えた。反応溶液を3時間加熱還流した後、室温まで放冷した。次に、炭素水素ナトリウム10質量%水溶液(東京化成工業社製)60.0gと酢酸エチル100.0gを加え、分液した。得られた有機層について減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を、テトラヒドロフラン65.0gに溶解させて、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散、東京化成工業社製)6.8g(0.18mol)を加えた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン180.0gに溶解させた、4−Bromobutyl methacrylate(Shanghai Chemhere社製)18.7g(0.09mol)を30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール300mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水160mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)24.3g(0.09mol)を加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム150mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液110mlを加えて30分間撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−16を得た。化合物IP−16は、下記式(25)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−17の合成)
アニオン原料として、テトラフルオロホウ酸リチウム(東京化成工業社製)を用い、配合量を8.0g(0.09mol)に変更した以外は、化合物IP−16の合成と同様にして、化合物IP−17を得た。
(化合物IP−18の合成)
Allyltrimethylammonium chloride(3B Scientific社製)15.0g(0.11mol)を、純水80mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)35.0g(0.12mol)を加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム120mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液100mlを加えて30分間撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水90gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−18を得た。化合物IP−18は、下記式(26)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−19の合成)
Diallyldimethylammonium chloride(東京化成工業社製)15.0g(0.09mol)を、純水80mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)29.3g(0.10mol)を加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム120mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液100mlを加えて30分間撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水90gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−19を得た。化合物IP−19は、下記式(27)で表される化合物である。
Figure 0006669401
(化合物IP−20の合成)
1−メチルイミダゾール(東京化成工業社製)15.0g(0.18mol)、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散、東京化成工業社製)8.5g(0.22mol)を、テトラヒドロフラン60.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン65.0gに溶解させた3−ブロモ−1−プロペン(東京化成工業社製)24.4g(0.20mol)を30分かけて滴下した。反応溶液を10時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール300mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水140mlに溶解し、アニオン原料として、テトラフルオロホウ酸リチウム(東京化成工業社製)18.9g(0.20mol)を加え、室温下で2時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム120mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液110mlを加えて30分間撹拌した後、分液し、得られたクロロホルム層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。その後、減圧下でクロロホルムを留去して、化合物IP−20を得た。化合物IP−20は、下記式(28)で表される化合物である。
Figure 0006669401
以上で得られたイオン化合物IP−1〜20に含まれるカチオン及びアニオンの構造を表2にまとめて示す。なお、表2中、カチオンの末端官能基とは、イオン化合物に含まれる前記構造式(12)〜(16)で表されるカチオン中のY1〜Y15(構造式(Y101)または(Y102))における末端官能基を意味する。
Figure 0006669401
<ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物の合成>
(末端ビニル基含有ウレタンポリマーP−1の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でメチルエチルケトン(MEK)40.0質量部、ポリエステルポリオール(商品名:プラクセル305、ダイセル社製)100.0質量部、Allyl Isocyanate(ALDRICH社製)47.4gを混合し、80℃にて3時間反応させた。得られた反応物を室温(25℃)まで冷却した後、減圧下でMEKを留去し、ビニル基末端を有するウレタンポリマーP−1を得た。
(末端ビニル基含有ウレタンポリマーP−2の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でメチルエチルケトン(MEK)40.0質量部、ポリエーテルポリオール(商品名:PTG−1000、保土谷化学工業社製)100.0質量部、Allyl Isocyanate(ALDRICH社製)8.7gを混合し、80℃にて3時間反応させた。得られた反応物を室温(25℃)まで冷却した後、減圧下でMEKを留去し、ビニル基末端を有するウレタンポリマーP−2を得た。
(末端アクリロイル基含有ウレタンポリマーP−3の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でメチルエチルケトン(MEK)40.0質量部、ポリエーテルポリオール(商品名:PTG−L1000、保土谷化学工業社製)100.0質量部、2−Isocyanatoethyl Acrylate(東京化成工業社製)14.8gを混合し、80℃にて3時間反応させた。得られた反応物を室温(25℃)まで冷却した後、減圧下でMEKを留去した。こうして、前記構造式(7)、(8)の構造を有する、アクリロイル基末端を有するウレタンポリマーP−3を得た。
(末端ビニル基含有ウレタンポリマーP−4の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でメチルエチルケトン(MEK)40.0質量部、ポリエーテルポリオール(商品名:エクセノール430、旭硝子社製)100.0質量部、Allyl Isocyanate(ALDRICH社製)62.1gを混合し、80℃にて3時間反応させた。得られた反応物を室温(25℃)まで冷却した後、減圧下でMEKを留去した。こうして、前記構造式(9)、(10)の構造を有する、ビニル基末端を有するウレタンポリマーP−4を得た。
(末端メタクリロイル基含有ウレタンポリマーP−5の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でメチルエチルケトン(MEK)40.0質量部、ポリエステルポリオール(商品名:クラレポリオールF−2010、クラレ社製)100.0質量部、2−Isocyanatoethyl Methacrylate(東京化成工業社製)24.4gを混合し、80℃にて3時間反応させた。得られた反応物を室温(25℃)まで冷却した後、減圧下でMEKを留去した。こうして、前記構造式(11)の構造を有する、メタクリロイル基末端を有するウレタンポリマーP−5を得た。
(末端メタクリロイル基含有ウレタンポリマーP−6の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でメチルエチルケトン(MEK)40.0質量部、ポリカーボネートポリオール(商品名:クラレポリオールC−2090、クラレ社製)100.0質量部、2−Isocyanatoethyl Methacrylate(東京化成工業社製)16.2gを混合し、80℃にて3時間反応させた。得られた反応物を室温(25℃)まで冷却した後、減圧下でMEKを留去した。こうして、前記構造式(11)の構造を有する、メタクリロイル基末端を有するウレタンポリマーP−6を得た。
<現像ローラの作製>
[実施例1]
(基体の用意)
基体2として、ステンレス鋼(SUS304)製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名:DY39−012、東レ・ダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。
(弾性層の形成)
用意した基体を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を、金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名:SE6905A/B、東レ・ダウコーニング社製):100.0質量部
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#4300、東海カーボン社製):15.0質量部
・白金触媒:0.1質量部
次いで、金型を加熱し、シリコーンゴムを温度150℃で15分間加硫した。周面に硬化したシリコーンゴム層が形成された基体を金型から脱型した後、当該芯金を、さらに温度180℃で1時間加熱して、シリコーンゴム層をさらに硬化させた。こうして、基体2の外周に直径12mmのシリコーンゴム弾性層を有する弾性ローラD−1を作製した。
(樹脂層の形成)
<樹脂層形成用塗料No.1の調製>
下記材料を混合し、撹拌した。
・末端ビニル基含有ウレタンポリマーP−1:100.0質量部
・化合物IP−1:5.0質量部
・光反応開始剤(商品名:Irgacure(登録商標)184、BASF社製):0.9質量部
・充填剤(シリカ、商品名:AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル社製):10.0質量部
・メチルエチルケトン:150.0g
次に、得られた混合溶液に対し、総固形分比が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加えた後、サンドミルにて混合した。次いで、さらにメチルエチルケトンで粘度10〜12cpsに調整して樹脂層形成用塗料No.1を調製した。
<樹脂層の形成>
先に作製した弾性ローラD−1を、樹脂層形成用塗料No.1に浸漬して、弾性ローラD−1の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに、低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング社製)を用いて、254nmの波長の紫外線を、積算光量が9000mJ/cm2となるように照射して硬化させた。以上により、弾性層の外周に、膜厚約10μmの樹脂層が設けられた実施例1に係る現像ローラを作製した。
(樹脂層の成分分析)
樹脂層に含まれる成分の化学構造を確認するため、実施例1に係る現像ローラの樹脂層を含む表面層を採取し、分析に供した。具体的には、熱分解装置(商品名:パイロホイルサンプラーJPS−700、日本分析工業社製)及びGC/MS装置(商品名:Focus GC/ISQ、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、熱分解温度を590℃、キャリアガスとしてヘリウムを使用し、分析を行った。その結果、得られたフラグメントピークから、化合物IP−1と末端ビニル基含有ポリマーP−1に由来する、構造式(1)及び構造式(X104)で示される構造を含むことが確認された。
[実施例2〜実施例21]
<樹脂層形成用塗料No.2〜21の調製>
イオン化合物、及びビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物、並びにそれらの配合量(質量部)を表3に記載の通りに変更した以外は、樹脂層形成用塗料No.1と同様にして樹脂層形成用塗料No.2〜21を調製した。
<樹脂層の形成>
樹脂層形成用塗料No.2〜21を用いた以外は、実施例1における樹脂層の形成方法と同様にして、実施例2〜21に係る現像ローラを作製した。
[比較例1〜比較例3]
<樹脂層形成用塗料No.C1〜C3の調製>
イオン化合物及びその配合量を表3に記載の通りに変更した以外は、樹脂層形成用塗料No.1と同様にして樹脂層形成用塗料No.C1〜C3を調製した。
<樹脂層の形成>
樹脂層形成用塗料No.C1〜C3を用いた以外は、実施例1における樹脂層の形成方法と同様にして、比較例1〜3に係る現像ローラを作製した。
Figure 0006669401
[実施例22]
<樹脂層形成用塗料No.22の調製>
下記材料を混合し、撹拌した。
・エチルメタクリレート(東京化成工業社製):90.0質量部
・2官能性アクリレート(商品名:ライトアクリレートMPD−A、共栄社化学社製):10.0質量部
・化合物IP−15:3.0質量部
・光反応開始剤(商品名:Irgacure(登録商標)184、BASF社製):0.9質量部
・充填剤(シリカ、商品名:AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル社製):5.0質量部
次に、得られた混合溶液をサンドミルにて混合して、樹脂層形成用塗料No.22を調製した。
<樹脂層の形成>
先に実施例1と同様に作製した弾性ローラD−1を、樹脂層形成用塗料No.22に浸漬して、弾性ローラD−1の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに、低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング社製)を用いて、254nmの波長の紫外線を、積算光量が12000mJ/cm2になるように照射して硬化させた。以上により、弾性層4の外周に、膜厚約10μmの樹脂層3が設けられた実施例22に係る現像ローラを作製した。
[実施例23]
<樹脂層形成用塗料No.23の調製>
下記材料を混合し、撹拌した。
・n−ブチルメタクリレート(商品名:ライトエステルNB、共栄社化学社製):45.0質量部
・n−ラウリルメタクリレート(商品名:ライトエステルL、共栄社化学社製):45.0質量部
・2官能性アクリレート(商品名:ライトアクリレートMPD−A、共栄社化学社製):10.0質量部
・化合物IP−15:3.0質量部
・光反応開始剤(商品名:Irgacure(登録商標)184、BASF社製):0.9質量部
・充填剤(シリカ、商品名:AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル社製):5.0質量部
次に、得られた混合溶液をサンドミルにて混合して、樹脂層形成用塗料No.23を調製した。
<樹脂層の形成>
樹脂層形成用塗料No.23を用いたこと以外は実施例22と同様にして、実施例23に係る現像ローラを作製した。
[実施例24]
<樹脂層形成用塗料No.24の調製>
下記材料を混合し、撹拌した。
・2−エチルヘキシルメタクリレート(商品名:ライトエステルEH、共栄社化学社製):45.0質量部
・イソデシルメタクリレート(商品名:ライトエステルID、共栄社化学社製):45.0質量部
・2官能性アクリレート(商品名:ライトアクリレートMPD−A、共栄社化学社製):10.0質量部
・化合物IP−15:3.0質量部
・光反応開始剤(商品名:Irgacure(登録商標)184、BASF社製):0.9質量部
・充填剤(シリカ、商品名:AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル社製):5.0質量部
次に、得られた混合溶液をサンドミルにて混合して、樹脂層形成用塗料No.24を調製した。
<樹脂層の形成>
樹脂層形成用塗料No.24を用いたこと以外は実施例22と同様にして、実施例24に係る現像ローラを作製した。
<現像ローラの評価>
得られた実施例1〜24及び比較例1〜3に係る現像ローラについて、以下の評価を行った。評価結果を表4に示す。
[ローラの電気抵抗値の測定]
温度23℃、相対湿度45%(以下、「N/N」とも記す。)の環境下及び温度0℃の環境下に6時間現像ローラを放置した後に、各環境下で電気抵抗値を測定した。
(電気抵抗値の測定)
図5に、本測定で用いる、現像ローラの電気抵抗値を評価するための冶具の概略構成図を示す。図5(a)に示すように、導電性の軸受け38を介して、導電性の基体2の両端を各々4.9Nの荷重で押しながら直径30mmの円柱形金属37を回転させ、現像ローラ16を60rpmの速度で従動回転させた。次に、図5(b)に示すように、高圧電源39によって電圧50Vを印加し、円柱形金属37とグランドとの間に配設した既知の電気抵抗(現像ローラ16の電気抵抗に対して2桁以上電気抵抗が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER、FLUKE社製)を用いた。測定した電位差と抵抗器の電気抵抗とから、現像ローラ16を介して円柱形金属に流れた電流を計算により求めた。そして、印加電圧50Vを得られた電流で割ることによって、現像ローラ16の電気抵抗値を求めた。ここで、前記電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値をローラ抵抗値とした。
[現像ローラとしての性能評価]
(温度0℃の環境下でのゴーストの評価)
温度0℃の環境中で電気抵抗値の測定を行った現像ローラを用いて、以下の評価を行った。
図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例及び比較例で得られた現像ローラを現像ローラ16として装填した。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。
次いで、ゴースト画像の評価を行った。すなわち、ブラックトナーを用いて、画像パタ−ンとして1枚内で先端部に15mm角のベタ黒、その後に全面ハーフトーンの画像を印字した。そして、ハーフトーン部分に現れるトナー担持体周期の濃度ムラ(ゴースト)を目視で確認した。ゴ−ストの評価の評価基準は以下のとおりである。
A:ゴーストが全く認められない。
B:極軽微なゴーストが認められる。
C:顕著なゴーストが認められる。
Figure 0006669401
表4に示すように、実施例1〜24に係る現像ローラは、樹脂層に、前記構造式(1)〜(5)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を分子内に有する樹脂と、特定の構造を有するアニオンとを含有しているため、温度0℃の如き低温環境下における電気抵抗値の上昇が小さく、画像品質も良好であった。特に、構造式(2)、(3)、(4)及び(5)からなる群より選択される少なくとも一つのカチオン構造を有する樹脂を含有する実施例8〜24に係る現像ローラは、より高いレベルで電気抵抗値の上昇が抑制されていた。一方で、かかる構造を含有しない比較例1〜3に係る現像ローラは、低温環境下において、電気抵抗値の上昇及びゴースト画像の発生が認められた。
<現像ブレードの作製>
[実施例25]
基体2として、厚さ0.08mmのステンレス鋼(SUS304、日新製鋼社製)を、長さ200mm、幅23mmの寸法にプレス切断して、ステンレス鋼製のシートを用意した。次に、図2(a)に示すように、基体2の長手側端部からの長さLが1.5mmになるように、樹脂層形成用塗料No.1に浸漬して、当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに温度140℃にて1時間加熱処理を行い、基体2の長手側端部表面に膜厚Tが10μmである樹脂層3を形成し、実施例25に係る現像ブレードを得た。
[実施例26〜36、比較例4〜5]
樹脂層形成用塗料として、下記表5に記載した樹脂層形成用塗料を用いた以外は、実施例25と同様にして、実施例26〜36、比較例4〜5に係る現像ブレードを作製した。
Figure 0006669401
<現像ブレードの評価>
実施例25〜36、及び比較例4〜5に係る現像ブレードについて、以下の評価を行った。評価結果を表6に示す。
[ブレードの電気抵抗値の測定]
温度23℃、相対湿度45%(以下、「N/N」とも記す。)の環境下及び温度0℃の環境下に6時間現像ブレードを放置した後に各環境下で電気抵抗値を測定した。
(電気抵抗値の測定)
図5に示す抵抗値変動評価冶具を用いて、次のように行った。なお、図5に示す冶具における現像ローラ16に代えて、現像ブレードを用いた。図5(a)に示すように、導電性の軸受け38を介して現像ブレード両端の、樹脂層を形成していない基体部分を各々4.9Nの荷重で押しながら、直径30mmの円柱形金属37を回転させずに、現像ブレード1を固定した。次に、図5(b)に示すように、高圧電源39によって電圧50Vを印加し、円柱形金属37とグランドとの間に配設した既知の電気抵抗(現像ブレードの電気抵抗に対して2桁以上電気抵抗が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER、FLUKE社製)を用いた。測定した電位差と抵抗器の電気抵抗から、現像ブレードを介して円柱形金属37に流れた電流を計算により求めた。そして、印加電圧50Vを得られた電流で割ることにより、現像ブレードの電気抵抗値を求めた。ここで、前記電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値をブレード抵抗値とした。
[現像ブレードとしての性能評価]
(規制不良評価)
図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例及び比較例の現像ブレードを現像ブレード21として装填した。なお、現像ローラは変更しなかった。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。次に、黒色で印字率1%の画像を100枚連続して出力した。その後、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力した。これらの画像を出力した後、現像ブレード表面のトナーコートの状態観察を行い、トナーへの帯電異常に起因する静電的トナー凝集(規制不良)の有無を目視で観察した。規制不良評価の評価基準は以下のとおりである。なお、規制不良が生じると、例えば非印字部に斑点状のムラが発生したり、トナー塊などが画像上に発生したりする画像弊害が生じることがある。
A:トナーコート上に規制不良が存在しない。
B:トナーコート上には規制不良が存在するが、画像に現れていない。
C:規制不良が画像に現れる。
Figure 0006669401
表6に示すように、実施例25〜36に係る現像ブレードは、樹脂層が、前記構造式(1)〜(5)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を分子内に有する樹脂と、特定の構造を有するアニオンとを含有しているため、0℃環境下でも規制不良が発生しなかった。一方、比較例4及び5に係る現像ブレードは、0℃環境下において規制不良が発生した。これは、現像ブレードの電気抵抗値が高くなり、ブレードバイアスが規定の値まで印加されず、トナーの帯電が不均一になった結果、生じたものと考えられる。
1 電子写真用ローラ
2 基体
3 樹脂層
5 中間層
16 現像ローラ
19 トナー供給ローラ
21 現像ブレード

Claims (12)

  1. 導電性の基体及び該基体上の導電性の樹脂層を有する電子写真用部材であって、
    該樹脂層は、
    下記構造式(1)〜(5)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を分子内に有する樹脂と、アニオンと、を含み、
    該アニオンは、
    フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、及びジシアナミドアニオンからなる群より選択される少なくとも1つである、
    ことを特徴とする電子写真用部材:
    Figure 0006669401
    構造式(1)〜(5)中、
    R1及びR6は、各々独立に、水素原子、または炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を表す。
    R2及びR3、R4及びR5、R7、並びにR8は、各々独立に、構造式(2)、(3)、(4)及び(5)における含窒素複素環が、5員環、6員環または7員環を形成するために必要な炭化水素基を表す。
    構造式(2)及び(3)における含窒素複素環に含まれる2つのNのうち一方はN+である。
    構造式(1)〜(5)中、X1〜X15は、各々独立に、下記構造式(X101)〜(X104)からなる群より選択されるいずれかの構造を表す:
    Figure 0006669401
    構造式(X101)中、R9は、直鎖または分岐を有する炭素数5以上9以下の2価の炭化水素基を表す。
    構造式(X102)中、R10及びR11は、各々独立に、直鎖または分岐を有する炭素数2以上4以下の2価の炭化水素基を表す。
    構造式(X103)中、R12は、直鎖または分岐を有する炭素数1以上4以下の2価の炭化水素基を表す。R13及びR15は、各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。R14及びR16は、各々独立に、炭素数1以上18以下の1価の炭化水素基を表す。
    構造式(X104)中、R17は、直鎖または分岐を有する炭素数6以上9以下の2価の炭化水素基を表す。
    構造式(X101)〜(X104)中、
    記号「*」は、該構造式(1)における窒素原子との結合部位、または、該構造式(2)〜(5)における含窒素複素環中の窒素原子もしくは含窒素複素環中の炭素原子との結合部位を表し、
    記号「**」は、該樹脂を構成するポリマー鎖中の炭素原子との結合部位を表す。
  2. 前記樹脂が、前記構造式(2)、(3)、(4)及び(5)からなる群より選択される少なくとも一つのカチオン構造を分子内に有する、請求項1に記載の電子写真用部材。
  3. 前記構造式(2)で表される構造が、下記構造式(2−1)で表される構造である請求項1または2に記載の電子写真用部材:
    Figure 0006669401
    構造式(2−1)中、X4〜X6は、前記構造式(2)におけるものと同義である。
  4. 前記構造式(3)で表される構造が、下記構造式(3−1)で表される構造である請求項1または2に記載の電子写真用部材:
    Figure 0006669401
    構造式(3−1)中、R6及びX7〜X9は、前記構造式(3)におけるものと同義である。
  5. 前記構造式(4)で表される構造が、下記構造式(4−1)で表される構造である請求項1または2に記載の電子写真用部材:
    Figure 0006669401
    構造式(4−1)中、X10〜X12は、前記構造式(4)におけるものと同義である。
  6. 前記構造式(5)で表される構造が、下記構造式(5−1)で表される構造である請求項1または2に記載の電子写真用部材:
    Figure 0006669401
    構造式(5−1)中、X13〜X15は、前記構造式(5)におけるものと同義である。
  7. 前記樹脂が、下記構造式(6)で示される構造を分子内に有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真用部材:
    Figure 0006669401
    構造式(6)中、R18は、水素原子またはメチル基を表す。R19は、炭素数1以上18以下の1価の炭化水素基を表す。
  8. 前記樹脂が、隣接する2つのウレタン結合の間に、下記構造式(7)〜(11)からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真用部材。
    Figure 0006669401
  9. 導電性の基体及び該基体上の導電性の樹脂層を有する電子写真用部材であって、
    該樹脂層は、下記構造式(12)〜(16)からなる群より選択される少なくとも1つのカチオンを有するイオン化合物と、ビニル基または(メタ)アクリロイル基と反応可能な化合物との反応物である樹脂を含むことを特徴とする電子写真用部材:
    Figure 0006669401
    構造式(12)〜(16)中、
    R20及びR25は、各々独立に、水素原子、または炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を表す。
    R21及びR22、R23及びR24、R26、並びにR27は、各々独立に、構造式(13)、(14)、(15)及び(16)における含窒素複素環が、5員環、6員環または7員環を形成するために必要な炭化水素基を表す。
    構造式(13)及び(14)における含窒素複素環に含まれる2つのNのうち一方はN+である。
    構造式(12)〜(16)中、Y1〜Y15は、各々独立に、下記構造式(Y101)または(Y102)で示される構造を表す:
    Figure 0006669401
    構造式(Y101)中、R28は、直鎖または分岐を有する、炭素数1以上4以下の2価の炭化水素基を表す。
    構造式(Y102)中、R29は、直鎖または分岐を有する、炭素数1以上4以下の2価の炭化水素基を表す。R30は、水素原子またはメチル基を表す。
  10. 前記イオン化合物が、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、及びジシアナミドアニオンからなる群より選択される少なくとも1つのアニオンを有する、請求項9に記載の電子写真用部材。
  11. 電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電子写真用部材を具備することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の電子写真用部材を具備する電子写真装置。
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