JP7237603B2 - 発泡弾性ローラ、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 - Google Patents

発泡弾性ローラ、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真画像形成装置に用いられる発泡弾性ローラ、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置に関する。
電子写真画像形成装置において、トナー供給ローラの如き発泡弾性ローラとして、例えば、1×10~1×10Ωの如き電気抵抗値(以下、「抵抗値」とも称す。)を有する導電層を備えた発泡弾性ローラが用いられている。特許文献1の実施例32には、特定のカチオン構造を有するイオン液体とポリオールとポリイソシアネートと水とを含むウレタンゴム組成物を発泡硬化させて形成したポリウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラが開示されている。
特開2018-81199号公報
電子写真画像形成装置には、苛酷な環境下においても安定して優れた電子写真画像を形成できることが求められている。本発明者らの検討によれば、特許文献1に係る発泡弾性ローラは、特に温度30℃、相対湿度80%の如き高温高湿環境下での長時間稼働時において電気抵抗値が上昇することがあった。
本発明の一態様は、温度30℃、相対湿度80%の如き高温高湿環境下での長時間稼働時においても抵抗値の上昇が少ない発泡弾性ローラの提供に向けたものである。また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像の安定的な出力に資するプロセスカートリッジの提供に向けたものである。さらに、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を安定して出力することができる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、導電性の基体と、該基体上の発泡弾性層と、を有する発泡弾性ローラであって、該発泡弾性層は、ウレタン結合とウレア結合とを有するポリウレタンと、アニオンと、を含み、該ポリウレタン中における該ウレタン結合のモル数Xと該ウレア結合のモル数Yの和に対する、該ウレア結合のモル数Yの割合をY/(X+Y)とし、該ポリウレタンにおける、隣接する2つの該ウレタン結合間に存在する分子鎖、隣接する該ウレタン結合と該ウレア結合との間に存在する分子鎖、および、隣接する2つの該ウレア結合間に存在する分子鎖の数平均分子量をMとしたとき、Mが、3000以上10000以下であり、MおよびY/(X+Y)が、関係式(1)を満たし、
関係式(1)
0.70×10-4≦[Y/(X+Y)]×1/M≦2.00×10-4
さらに、該ポリウレタンは、構造式(1)~(3)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有する、ことを特徴とする発泡弾性ローラが提供される。
Figure 0007237603000001
[構造式(1)中、R1およびR2は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族5員環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d1は0または1の整数を表し、Z1~Z3は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z1~Z3の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。]、
Figure 0007237603000002
[構造式(2)中、R3およびR4は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族6員環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d2は0以上2以下の整数を表し、d2が2であるとき、Z5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Z4およびZ5は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z4およびZ5の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。]、
Figure 0007237603000003
[構造式(3)中、R5は、結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d3は0または1の整数を表し、Z6およびZ7は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z6およびZ7の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。];
Figure 0007237603000004
Figure 0007237603000005
Figure 0007237603000006
[構造式(Z101)、(Z102)および(Z103)中、R101、R102、およびR103は、各々独立に直鎖または分岐を有する2価の炭化水素基を表し、
記号「*」は、構造式(1)の含窒素複素芳香族5員環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部、構造式(2)の含窒素複素芳香族6員環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部、または構造式(3)の含窒素複素芳香族環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部を表し、記号「**」は、該ポリウレタンのポリマー鎖中の炭素原子との結合部を表す。]。
また本発明の他の態様によれば、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、上記の発泡弾性ローラを具備するプロセスカートリッジが提供される。
さらに本発明の他の態様によれば、上記の発泡弾性ローラを具備する電子写真画像形成装置が提供される。
本発明によれば、温度30℃、相対湿度80%の如き高温高湿環境下での長時間稼働時においても抵抗値の上昇が少ない発泡弾性ローラが得られる。また本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を安定して出力できるプロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置が得られる。
本発明の一態様に係る発泡弾性ローラの概略断面図である。 本発明の他の態様に係る電子写真画像形成装置の概略断面図である。 本発明の他の態様に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。 発泡弾性ローラの抵抗値を評価するための冶具の概略構成図である。 分極状態にあるウレア結合の説明図である。
本発明者らは、特許文献1の実施例32に係るトナー供給ローラ(発泡弾性ローラ)が、高温高湿環境下での長期の使用によって電気抵抗値が上昇する理由を以下のように推測している。
当該トナー供給ローラは、ポリウレタンフォーム層を形成する際に、水を含むウレタンゴム組成物を用いている。水を含むウレタンゴム組成物を発泡硬化させることによって得られるポリウレタン中には、ウレア結合が含まれる。ポリウレタン中のウレア結合は、ポリウレタンを構成するポリマー鎖の凝集を促進し、ポリウレタンフォームの強度を向上させる。この点においては、ウレア結合の存在は好ましいといえる。
しかしながら、本発明者らは、ポリウレタン中のウレア結合が、長期使用時の電気抵抗値の上昇の一因であると認識している。すなわち、ポリウレタン中のウレア結合の少なくとも一部は分極状態にある。分極状態にあるウレア結合は、図5に示すように結合全体として電気的に塩基性となる。塩基性を帯びたウレア結合は、発泡弾性層中のカチオン成分と相互作用し、カチオンの安定性を低下させる。その結果、カチオン成分とアニオン成分とが解離している割合(イオン化率)が低下し、発泡弾性層中の移動し得るアニオン成分の量が減少する。
また、当該ウレア結合は、水分子とも相互作用し、ウレア結合の周囲には多くの水分子が存在する。その結果、アニオン成分が、水分子の分極した水素原子と相互作用し、ウレア結合の近傍に引き寄せられる。特に、温度30℃、相対湿度80%の如き高温高湿環境下においては、ポリウレタンフォーム中には多くの水分が含まれるため、より多くのアニオン成分がトラップされ、発泡弾性層中を移動し得るアニオン成分の量が減少する。
このように、ウレア結合は、イオン化率の低下、及び、導電性を担うアニオン成分のトラップを招来し、その結果として、当該トナー供給ローラの電気抵抗値が経時的に上昇していくと考えられる。
このような考察に基づき、当該トナー供給ローラが有する電気抵抗値の経時的な上昇という課題の解決に向けて、本発明者らは、ポリウレタンの単位質量あたりのウレア結合の個数の最適化、及び、解離度の高いイオン液体の使用について検討した。
その結果、下記(i)~(iii)の要件を満たすポリウレタンを含む発泡弾性層を備えた発泡弾性ローラが、上記の課題をよく解決し得ることを見出した。
(i)ウレタン結合とウレア結合とを有するポリウレタンにおけるウレタン結合のモル数Xとウレア結合のモル数Yの和に対する、ウレア結合のモル数Yの割合をY/(X+Y)とし、ポリウレタンにおける、隣接する2つのウレタン結合間に存在する分子鎖、隣接するウレタン結合とウレア結合との間に存在する分子鎖、および、隣接する2つのウレア結合間に存在する分子鎖の数平均分子量をMとしたときに、関係式(1)を満たすこと:
0.70×10-4≦[Y/(X+Y)]×1/M≦2.00×10-4 (1);
(ii)数平均分子量Mが、3000以上、10000以下であること;
(iii)ポリウレタンが、構造式(1)~(3)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有すること:
Figure 0007237603000007
[構造式(1)中、R1およびR2は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族5員環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d1は0または1の整数を表し、Z1~Z3は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z1~Z3の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。]、
Figure 0007237603000008
[構造式(2)中、R3およびR4は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族6員環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d2は0以上2以下の整数を表し、d2が2であるとき、Z5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Z4およびZ5は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z4およびZ5の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。]、
Figure 0007237603000009
[構造式(3)中、R5は、結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d3は0または1の整数を表し、Z6およびZ7は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z6およびZ7の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。];
Figure 0007237603000010
Figure 0007237603000011
Figure 0007237603000012
[構造式(Z101)、(Z102)および(Z103)中、R101、R102、およびR103は、各々独立に直鎖または分岐を有する2価の炭化水素基を表し、
記号「*」は、構造式(1)の含窒素複素芳香族5員環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部、構造式(2)の含窒素複素芳香族6員環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部、または構造式(3)の含窒素複素芳香族環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部を表し、記号「**」は、該ポリウレタンのポリマー鎖中の炭素原子との結合部を表す。]。
(1)発泡弾性ローラ
本発明の一態様に係る発泡弾性ローラは、導電性の基体と、該基体上の導電性の発泡弾性層と、を有する。
発泡弾性ローラの一例を、図1に示す。図1に示す発泡弾性ローラ1は、導電性の基体2と、その外周に設けられた導電性の発泡弾性層3とからなる。
なお、発泡弾性ローラ1の層構成は、発泡弾性層3が発泡弾性ローラ1の最表面に存在するものに限定されるものではない。発泡弾性ローラ1としては、基体2とその外周に設けられた導電性の発泡弾性層3の上にさらに表面層を有するものや、基体2と発泡弾性層3との間にさらに弾性層を有するものも挙げられる。
発泡弾性ローラは、特に、トナー供給ローラとして好適に用いることが可能である。以下、本発明の一態様に係る発泡弾性ローラの構成を詳細に説明する。
<基体>
基体2は、発泡弾性ローラの支持部材、および電極として機能する。基体2は、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;クロムまたはニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。基体2は、中実円柱状または中空円筒状である。
<発泡弾性層>
以下で説明する発泡弾性層3を有する発泡弾性ローラは、特に、トナー供給ローラとして好適に用いることが可能である。トナー供給ローラとしては、現像ローラ表面に均一にトナーを供給する性能が求められ、表面の平均セル径、セル数、通気量、発泡弾性層全体の密度等の特性が重要となる。発泡弾性層3の物性値は特に限定されるものではないが、例えば、次のような数値範囲の中にある値を有することが好ましい。表面の平均セル径100μm以上500μm以下、セル数が50個/inch以上300個/inch以下、通気量が0.5L/min以上3.0L/min以下、密度が0.05g/cm以上0.20g/cm以下。
発泡弾性層3は、ウレタン結合とウレア結合とを有するポリウレタンと、アニオンと、を含み、該ポリウレタンにおける、該ウレタン結合のモル数Xと該ウレア結合のモル数Yの和に対する、該ウレア結合のモル数Yの割合をY/(X+Y)とし、該ポリウレタンにおける、隣接する2つの該ウレタン結合間に存在する分子鎖、隣接する該ウレタン結合と該ウレア結合との間に存在する分子鎖、および、隣接する2つの該ウレア結合間に存在する分子鎖の数平均分子量をMとしたとき、Mが、3000以上10000以下であり、MおよびY/(X+Y)が、関係式(1)を満たし、
関係式(1)
0.70×10-4≦[Y/(X+Y)]×1/M≦2.00×10-4
さらに、該ポリウレタンは、構造式(1)~(3)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有する。
Figure 0007237603000013
構造式(1)中、R1およびR2は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族5員環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d1は0または1の整数を表し、Z1~Z3は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z1~Z3の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。
該炭素数1以上4以下の炭化水素基としてはアルキル基が好ましい。
Figure 0007237603000014
構造式(2)中、R3およびR4は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族6員環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d2は0以上2以下の整数を表し、d2が2であるとき、Z5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Z4およびZ5は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z4およびZ5の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。
該炭素数1以上4以下の炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
Figure 0007237603000015
構造式(3)中、R5は、結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d3は0または1の整数を表し、Z6およびZ7は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z6およびZ7の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。
該炭素数1以上4以下の炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
Figure 0007237603000016
Figure 0007237603000017
Figure 0007237603000018
構造式(Z101)、(Z102)および(Z103)中、R101、R102およびR103は、各々独立に直鎖または分岐を有する2価の炭化水素基を表し、記号「*」は、構造式(1)の含窒素複素芳香族5員環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部、構造式(2)の含窒素複素芳香族6員環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部、または構造式(3)の含窒素複素芳香族環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部を表し、記号「**」は、該ポリウレタンのポリマー鎖中の炭素原子との結合部を表す。
該2価の炭化水素基は、直鎖または分岐を有する炭素数1以上8以下のアルキレン基であることが好ましい。
該ポリウレタンは、導電性を担うアニオンの担持体として機能する。なお、発泡弾性層3には、カチオン構造を有する樹脂とは別の樹脂が含まれていても良い。
本発明の一態様に係る発泡弾性ローラを用いた場合に、温度30℃、相対湿度80%の如き高温高湿環境下での長時間稼働時においても抵抗値の上昇が少ないという効果を奏する理由について、本発明者らは以下のように推測している。
(関係式(1)に関わるウレタン結合およびウレア結合について)
前記したように、ウレア結合は、発泡弾性層中を移動し得るアニオン成分の量の減少を招来するとの考察に基づき、本発明者らは、発泡弾性層中のポリウレタンにおける単位質量当たりのウレア結合数を表す[Y/(X+Y)]×1/Mを2.00×10-4以下とした。このことにより、ウレア結合に起因するアニオン成分の量の減少を緩和することができる。なお、関係式(1)中、Y/(X+Y)は、ポリウレタンのウレア結合のモル数とウレタン結合のモル数の合計に占めるウレア結合のモル数の割合を示す。
また、[Y/(X+Y)]×1/Mは、ウレア結合の存在による発泡ポリウレタンの強度を向上させる観点から、0.70×10-4以上とする。
ポリウレタンの隣接する2つの該ウレタン結合間に存在する分子鎖、隣接する該ウレタン結合と該ウレア結合との間に存在する分子鎖、および、隣接する2つの該ウレア結合間に存在する分子鎖の数平均分子量Mとは、ポリウレタンのソフトセグメントの数平均分子量Mとも言い換えることができる。ソフトセグメントの数平均分子量Mは、系の全質量/系中の該分子鎖の個数で定義され、その逆数である1/Mは、単位質量当たりの該分子鎖の個数を示す。さらに、該分子鎖の個数と該結合の個数は同じである。従って、[Y/(X+Y)]×1/Mは単位質量当たりのウレア結合数を表す。
単位質量当たりのウレア結合数を表す[Y/(X+Y)]×1/Mが2.00×10-4以下であることが、長時間稼働時における抵抗値の上昇が抑制に対し奏功する理由としては、発泡弾性層中において、イオン化率を過度に低下させることがないためであると考えられる。
ソフトセグメントの数平均分子量Mは、3000以上、10000以下である。ソフトセグメントの数平均分子量を、上記数値範囲内とすることで、ポリウレタンに適度な柔軟性を付与し得る。
(カチオン構造とイオン化率の関係について)
カチオン構造が、構造式(1)~(3)で示されるように、カチオン性の含窒素複素芳香族環を含むカチオン骨格である場合、共役によって、窒素原子上にあった正電荷が、窒素原子を中心として芳香環上の他の原子にも分布する。結果として、カチオンとアニオンの静電的な相互作用が小さくなり、イオン化率が高まる。一方、四級アンモニウムカチオンや、ピロリジニウムカチオンは窒素原子上に正電荷が局在化するため、カチオン性の含窒素複素芳香族環を含むカチオン骨格を有する場合と比較して、イオン化率が低い。 本態様においては、ポリウレタンとして、構造式(1)~(3)で示される構造から選択される少なくとも1つのカチオン構造を有することにより、イオン化率を高めている。このことにより、ポリウレタン中のウレア結合に起因するアニオン成分の量の減少を補填している。
[ポリウレタン]
発泡弾性ローラの発泡弾性層3に含有されるポリウレタンは、構造式(1)~(3)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有する。
該カチオン構造を有するポリウレタンは、例えば、水酸基、アミノ基、グリシジル基由来の官能基を少なくとも1個有するイオン化合物と、バインダー樹脂とを反応させることにより得られる。該バインダー樹脂は、イオン化合物以外の化合物、好ましくはポリオールと、ポリイソシアネートと、を反応させることにより得られるバインダー樹脂を用いることが好ましい。
(カチオン構造)
イオン化合物は、上記構造式(1)~(3)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造の前駆体である。以下、構造式(1)~(3)で示される各構造について説明する。
構造式(1)で示される構造は、水酸基、アミノ基、またはグリシジル基由来の官能基を少なくとも1個有する窒素原子を2個含む含窒素複素芳香族5員環カチオンである。
構造式(1)で示される構造が、水酸基由来の官能基を少なくとも1個有する含窒素複素芳香族5員環カチオンの場合、次のことが言える。すなわち、該カチオンに対応するイオン化合物とイソシアネート基とを反応させることにより、少なくとも構造式(Z101)で示される構造を1個有する構造が得られる。
構造式(1)で示される構造が、アミノ基由来の官能基を少なくとも1個有する含窒素複素芳香族5員環カチオンの場合、次のことが言える。すなわち、該カチオンに対応するイオン化合物とイソシアネート基とを反応させることにより、少なくとも構造式(Z102)で示される構造を1個有する構造が得られる。
構造式(1)で示される構造が、グリシジル基由来の官能基を少なくとも1個有する含窒素複素芳香族5員環カチオンの場合、次のことが言える。すなわち、該カチオンに対応するイオン化合物と水酸基とを反応させることにより、少なくとも構造式(Z103)で示される構造を1個有する構造が得られる。
構造式(1)における含窒素複素芳香族5員環としてはイミダゾリウムが好ましく、その構造としては、構造式(4)で示されるイミダゾリン環を有する構造が挙げられる。なお、構造式(4)中、Z1、Z2、Z3、およびd1は、前記構造式(1)と同様である。
Figure 0007237603000019
構造式(1)で示される構造に対応するイオン化合物の例として、イミダゾリン環構造を有し、水酸基を有するカチオンを以下に挙げる。
1-メチル-3-ヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(3-ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(4-ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(6-ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(8-ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1-n-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ジメチル-2-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ジメチル-2-(4-ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ジメチル-4-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン;
1,3-ビスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2-メチル-1,3-ビスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、2-メチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4-メチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4-エチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2-n-ブチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4-n-ブチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(3-ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(4-ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(8-ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-2,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3,5-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン;
1,2,3-トリスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリス(3-ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリス(4-ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリス(6-ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリス(8-ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4-トリス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4-トリス(3-ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4-トリス(4-ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4-トリス(6-ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4-トリス(8-ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン;およびこれらの誘導体。
イミダゾリン環構造を有し、アミノ基またはグリシジル基を少なくとも1個有するカチオンとしては、上記で例示したイミダゾリン環構造を有し、水酸基を有するカチオンの水酸基を、アミノ基またはグリシジル基で置換した構造のカチオンが挙げられる。
構造式(2)で示される構造は、水酸基、アミノ基、またはグリシジル基由来の官能基を少なくとも1個有する窒素原子を2個含む含窒素複素芳香族6員環カチオンを表す。
構造式(2)で示される構造が、水酸基由来の官能基を少なくとも1個有する含窒素複素芳香族6員環カチオンの場合、次のことが言える。すなわち、該カチオンに対応するイオン化合物とイソシアネート基とを反応させることにより、少なくとも構造式(Z101)で示される構造を1個有する構造が得られる。
構造式(2)で示される構造が、アミノ基由来の官能基を少なくとも1個有する含窒素複素芳香族6員環カチオンの場合、次のことが言える。すなわち、該カチオンに対応するイオン化合物とイソシアネート基とを反応させることにより、少なくとも構造式(Z102)で示される構造を1個有する構造が得られる。
構造式(2)で示される構造が、グリシジル基由来の官能基を少なくとも1個有する含窒素複素芳香族6員環カチオンの場合、次のことが言える。すなわち、該カチオンに対応するイオン化合物と水酸基とを反応させることにより、少なくとも構造式(Z103)で示される構造を1個有する構造が得られる。
構造式(2)における含窒素複素芳香族6員環としては、ピリミジン環およびピラジン環が挙げられる。
構造式(2)で示される構造に対応するイオン化合物の例として、ピリミジン環構造を有し、水酸基を有するカチオンを以下に挙げる。
1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリミジニウムカチオン、1,5-ビス(3-ヒドロキシプロピル)ピリミジニウムカチオン、1-(4-ヒドロキシブチル)-4-(2-ヒドロキシエチル)ピリミジニウムカチオン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルピリミジニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
ピリミジン環構造を有し、アミノ基またはグリシジル基を少なくとも1個有するカチオンとしては、上記で例示したピリミジン環構造を有し、水酸基を有するカチオンの水酸基をアミノ基またはグリシジル基で置換した構造のカチオンが挙げられる。
構造式(3)で示される構造は、水酸基、アミノ基、グリシジル基由来の官能基を少なくとも1個有する窒素原子を1個含む含窒素複素芳香族環カチオンを表す。
構造式(3)で示される構造が、水酸基由来の官能基を少なくとも1個有する含窒素複素芳香族環カチオンの場合、次のことが言える。すなわち、該カチオンに対応するイオン化合物とイソシアネート基とを反応させることにより、少なくとも構造式(Z101)で示される構造を1個有する構造が得られる。
構造式(3)で示される構造が、アミノ基由来の官能基を少なくとも1個有する含窒素複素芳香族環カチオンの場合、次のことが言える。すなわち、該カチオンに対応するイオン化合物とイソシアネート基とを反応させることにより、少なくとも構造式(Z102)で示される構造を1個有する構造が得られる。
構造式(3)で示される構造が、グリシジル基由来の官能基を少なくとも1個有する含窒素複素芳香族環カチオンの場合、次のことが言える。すなわち、該カチオンに対応するイオン化合物と水酸基とを反応させることにより、少なくとも構造式(Z103)で示される構造を1個有する構造が得られる。
構造式(3)における含窒素複素芳香族環としては、ピロール環、ピリジン環およびアゼピン環が挙げられる。なかでも、ピリジン環が好ましく、構造式(3)で示される構造は、好ましくは構造式(5)で示される構造である。なお、構造式(5)中、Z6、Z7、およびd3は、前記構造式(3)と同様である。
Figure 0007237603000020
構造式(3)で示される構造に対応するイオン化合物の例として、ピリジン環構造を有し、水酸基を有するカチオンを以下に挙げる。
1-ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1-(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1-(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、2-メチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3-メチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、4-メチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3-エチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3-n-ブチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-メチル-2-ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1-メチル-3-ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1-メチル-4-ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1-メチル-2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-メチル-3-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-メチル-4-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-エチル-3-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-n-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、2-メチル-4-n-ブチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン;
1,2-ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,3-ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,4-ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,2-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,2-ビス(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,3-ビス(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,4-ビス(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,2-ビス(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,3-ビス(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,4-ビス(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,3-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,4-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,2-ビス(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,3-ビス(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,4-ビス(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、2-メチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、2-エチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、5-メチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、5-エチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン;
1,2,4-トリスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,2,4-トリス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4-トリス(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,2,4-トリス(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4-トリス(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,2,4-トリス(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5-トリスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5-トリス(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,3,5-トリス(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
ピリジン環構造を有し、アミノ基またはグリシジル基を少なくとも1個有するカチオンとしては、上記で例示したピリジン環構造を有し、水酸基を有するカチオンの水酸基をアミノ基またはグリシジル基で置換した構造のカチオンが挙げられる。
構造式(Z101)で示される構造は、カチオンが有する水酸基と、イソシアネート基とが反応して形成される基である。構造式(Z102)で示される構造は、カチオンが有するアミノ基と、イソシアネート基とが反応して形成される基である。水酸基、アミノ基と反応するイソシアネート基は、バインダー樹脂が有するイソシアネート基であることが好ましい。構造式(Z103)で示される構造は、カチオンが有するグリシジル基と、水酸基とが反応して形成される基である。グリシジル基と反応する水酸基は、バインダー樹脂が有する水酸基であることが好ましい。
ポリウレタンは、前記構造式(1)~(3)で示される構造の中でも、構造式(1)で示される構造を有することが好ましい。ポリウレタンが構造式(1)で示される構造を有する場合、カチオンの化学構造に起因して、イオン化率が高い。そのため、温度30℃、相対湿度80%の如き高温高湿環境下での長時間稼働時における抵抗値がより上昇しにくくなる。
(バインダー樹脂)
発泡弾性ローラの発泡弾性層3において、ポリウレタンは、式(1)~(3)で示されるカチオン構造以外の構造をさらに有することが好ましい。そのような構造としては、バインダー樹脂としてのポリウレタン由来の構造がより好ましい。中でも、熱硬化性ポリエーテルポリウレタン、熱硬化性ポリエステルポリウレタン等のポリウレタンは、柔軟性を併せ持つため好適に用いられる。
ポリウレタンは、公知のポリオールとイソシアネートとを反応させることにより得られる。
ポリオールとしては、特に制限は無く、ポリウレタンの原料として従来公知の各種ポリオールの中から適宜選択して使用することができる。例えば、一般に軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等の、公知のポリオール類の中から適宜選択して使用することができ、一種でまたは二種以上を組み合せて用いても良い。なお、上記ポリオールのうち、ポリエーテルポリオールを用いると、耐湿熱耐久性に優れた軟質高弾性ポリウレタンフォームを製造するのに好適である。
ポリイソシアネートとしては特に制限は無く、ポリウレタンの原料として従来公知の各種ポリイソシアネートの中から、適宜選択して使用することができる。例えば2,4-および2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、およびカルボジイミド変性MDI、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等を、単独で、または二種以上を組み合せて用いても良い。なお、ポリイソシアネートを公知の活性水素化合物の1種または2種以上と反応させることにより得られるイソシアネート基末端プレポリマーも、ポリイソシアネートとして使用することもできる。
ポリオールとポリイソシアネートとは、ポリオール中の水酸基1.0に対して、ポリイソシアネート中のイソシアネート基の比率(モル比)が1.0以上2.0以下の範囲となるように混合させることが好ましい。混合比が上記範囲内であれば、未反応成分の残存を抑制することが可能である。
[アニオン]
発泡弾性ローラの発泡弾性層3に含まれるアニオンは、発泡弾性ローラに導電性を付与できるアニオンであればよい。中でも、特に、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、ジシアナミドアニオンおよびチオシアネートアニオンからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
その理由は、上記アニオンは、その化学構造に起因して、ハロゲンのアニオンや硫酸アニオン、硝酸アニオンと比べて化学的に非常に安定であり、イオン化率が高いためである。具体的には、アニオンが分子内に強力な電子求引性基を有し、アニオンの負電荷を安定化させるため、広い温度域で高いイオン化率を示し、広い温度域で高い導電性の発現に寄与するためと考えられる。なお、アニオンとして、塩素のアニオンや過塩素酸アニオンを用いることもできる。
フルオロアルキルスルホニルイミドアニオンとしては、具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ドデカフルオロペンタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(パーフルオロヘキサンスルホニル)イミドアニオンの如き、炭素数1以上6以下のフルオロアルキル基を有するフルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、および、N,N-ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジスルホニルイミドの如き環状のフルオロアルキルスルホニルイミドアニオンが挙げられる。
フルオロスルホニルイミドアニオンとしては、具体的には、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンが挙げられる。
フルオロアルキルスルホネートアニオンとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、フルオロメタンスルホン酸アニオン、パーフルオロエタンスルホン酸アニオン、パーフルオロプロパンスルホン酸アニオン、パーフルオロブタンスルホン酸アニオン、パーフルオロペンタンスルホン酸アニオン、パーフルオロヘキサンスルホン酸アニオン、パーフルオロオクタンスルホン酸アニオンが挙げられる。
フルオロアルキルカルボン酸アニオンとしては、具体的には、トリフルオロ酢酸アニオン、パーフルオロプロピオン酸アニオン、パーフルオロ酪酸アニオン、パーフルオロ吉草酸アニオン、パーフルオロカプロン酸アニオンが挙げられる。
フルオロアルキルメチドアニオンとしては、具体的には、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロエタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロプロパンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロブタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロペンタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロヘキサンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロオクタンスルホニル)メチドアニオンが挙げられる。
フルオロホウ酸アニオンとしては、具体的には、テトラフルオロホウ酸アニオンが挙げられる。
フルオロリン酸アニオンしては、具体的には、ヘキサフルオロリン酸アニオンが挙げられる。
これらのアニオンの中でも、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、ジシアナミドアニオン、チオシアネートアニオンを用いることが好ましい。これらのアニオンを用いた場合には、温度30℃、相対湿度80%の如き高温高湿環境下での長時間稼働時における抵抗値がより上昇しにくくなる。
[その他]
発泡弾性ローラには、必要に応じて触媒、発泡剤、整泡剤、その他助剤を用いることができる。
触媒としては特に制限は無く、従来公知の各種触媒の中から、適宜選択して使用することができる。例えば、アミン系触媒(トリエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、1,2-ジメチルイミダゾール、N-エチルモルホリン、N-メチルモルホリン等)、有機金属系触媒(オクチル酸錫、オレイン酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、テトラ-i-プロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキシルオキシ)チタン等)、前記アミン系触媒および有機金属系触媒の初期活性を低下させた酸塩触媒(カルボン酸塩や蟻酸塩、オクチル酸塩、ホウ酸塩等)が用いられる。触媒は一種用いても良く、二種以上を組み合せて用いても良い。
発泡剤としては特に制限は無く、従来公知の各種発泡剤の中から、適宜選択して使用することができる。特に、水は、ポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生することから、発泡剤として好適に使用される。また、その他の発泡剤と水と併用しても、本発明の主旨を損なうものではない。
整泡剤としては特に制限は無く、従来公知の各種整泡剤の中から、適宜選択して使用することができる。
その他助剤として、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で、架橋剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、導電性充填剤等を用いても良い。導電性充填剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、銅の如き導電性金属を用いることができる。さらに、本発明の効果を損なわない程度に、その他のイオン導電剤を併用してもよい。
イオン導電剤としては、KCFSO、LiCFSO、LiN(CFSO、NaClO、LiClO、LiAsF、LiBF、NaSCN、KSCN、NaCl等の周期律表第1族金属の塩;NHCl、(NHSO、NHNO等のアンモニウム塩;Ca(ClO、Ba(ClO等の周期律表第2族金属の塩;これらの塩と1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールの多価アルコールやそれらの誘導体との錯体;これらの塩とエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルのモノオールとの錯体;脂肪族スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩;ベタイン塩等が挙げられる。また、該イオン導電剤の含有量の総和は、安定性の観点から、発泡弾性層を形成するバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
(発泡弾性層の形成方法)
発泡方法については、特に制限はない。発泡剤を用いる方法、機械的な撹拌により気泡を混入する方法など、いずれの方法を用いることができる。なお、発泡倍率は、適宜定めればよく、特に制限はない。
例えば以下の材料を混合し、発泡させながら反応させることにより、発泡弾性ローラの発泡弾性層が得られる。
1.バインダー樹脂を形成する材料として、
・ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等
・ポリイソシアネート
2.カチオン構造中に、水酸基、アミノ基およびグリシジル基からなる群より選択される少なくとも1つを含むイオン化合物
3.触媒
4.整泡剤
5.発泡剤
なお、発泡弾性層形成用材料中における、前記構造式(1)~(3)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つで示される構造の含有量の総和は、次の範囲内にあることが好ましい。すなわち、導電性および通電による抵抗変動抑制の観点から、発泡弾性層において、バインダー樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲内である。
混合する際の温度や時間については、特に制限はない。混合温度は、通常10℃以上90℃以下、好ましくは20℃以上60℃以下の範囲である。また、混合時間は、使用される混合ユニットの構造や、回転条件等にもよるが、通常1秒以上10分間以下、好ましくは3秒以上5分間以下である。
基体と発泡弾性層の接合方法については特に制限はない。基体を予めモールド(成形型)内部に配設しておき、上記のような原料混合物を注型硬化する方法や、原料混合物をあらかじめ発泡弾性層となる所定の形状に成形した後、基体と接着する方法などを用いることができる。どちらの方法でも、必要に応じて基体と発泡弾性層の間に接着層を設けることができる。この接着層としては、接着剤やホットメルトシートなどの公知の材料を用いることができる。
注型硬化する方法の場合、成形型内壁に離型剤を予め塗布しても良い。離型剤としては、従来公知の離型剤を用いることができる。例えば、ワックス成分およびシリコーンオイルを含有する水系の離型剤や、フッ素樹脂をフッ素系溶剤に溶解させた離型剤が挙げられる。フッ素樹脂含有離型剤の例としては、フッ素樹脂含有離型剤(商品名:フロロサーフ、FG-5093F130-0.5、株式会社フロロテクノロジー製)が挙げられる。
発泡弾性ローラとしての発泡弾性層の形状形成方法としては特に制限はない。例えば前述した所定の形状のモールドに注型する方法等のほかに、次のような方法等を用いることができる。ブロック状態のポリウレタンフォームから、切削加工により所定の寸法に切り出す方法、研磨処理により所定の寸法にする方法、或いはこれらの方法を適宜組み合せる方法。
なお、これらの反応後の状態は、例えば、熱分解GC/MS、FT-IR、NMR、GPC等による公知の手段で分析することにより確認することができる。
具体的には、ポリウレタン中における、ウレタン結合のモル数Xとウレア結合のモル数Yの和に対する、該ウレア結合のモル数Yの割合をY/(X+Y)については、公知のFT-IR、13C-NMRなどにより求められる。
また、ポリウレタンにおける、隣接する2つのウレタン結合間に存在する分子鎖、隣接するウレタン結合とウレア結合との間に存在する分子鎖、および、隣接する2つのウレア結合間に存在する分子鎖の数平均分子量Mについては、以下の方法により求められる。まず、発泡弾性層を採取し、これを公知のアルカリ加水分解にて前処理する。これにより、該発泡弾性層中のポリウレタンにおける、ウレタン結合ならびにウレア結合を分解することができる。次に、該分解物のGPC分析により該分解物中の分子鎖の分子量、すなわち前記数平均分子量Mを得る。
(2)電子写真画像形成装置
本発明の他の態様に係る電子写真画像形成装置は、本発明の一態様に係る発泡弾性ローラを具備する。すなわち、本発明の一態様に係る発泡弾性ローラは、電子写真画像形成装置における現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラとして用いることができ、特に、トナー供給ローラとして好適に用いることが可能である。
発泡弾性ローラは、磁性一成分トナー若しくは非磁性一成分トナーを用いた非接触型現像装置または接触型現像装置、および二成分トナーを用いた現像装置のいずれの現像装置にも適用することができる。
図2は、本発明の一態様に係る発泡弾性ローラを、一成分トナーを用いた接触型現像装置のトナー供給ローラとして搭載した電子写真画像形成装置の一例を示す概略断面図である。現像装置22は、一成分トナーとしてトナー15を収容したトナー容器20と、現像ローラ16と、現像ローラ16へトナーを供給するトナー供給ローラ19と、現像ローラ16上のトナー層の厚さを規制する現像ブレード21とを含む。現像ローラ16は、トナー容器20内の長手方向に延在する開口部に位置し、電子写真感光体18に対して接触設置されている。なお、電子写真感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25および帯電ローラ24は、電子写真画像形成装置本体に配備されていてもよい。現像装置22は、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色トナーに用意されており、カラー印刷を可能としている。
以下、電子写真画像形成装置のプリント動作を説明する。電子写真感光体18は矢印方向に回転し、電子写真感光体18を帯電処理するための帯電ローラ24によって一様に帯電される。次いで、露光手段であるレーザー光23により、電子写真感光体18の表面に静電潜像が形成される。該静電潜像は、現像装置22によって、電子写真感光体18に対して接触配置される現像ローラ16からトナー15が付与されることにより、トナー像として可視化される(現像)。現像は、露光部にトナー像を形成する、いわゆる反転現像である。電子写真感光体18上に形成されたトナー像は、転写部材である転写ローラ29によって記録媒体である紙34に転写される。紙34は、給紙ローラ35および吸着ローラ36を経て装置内に給紙され、エンドレスベルト状の転写搬送ベルト32によって、電子写真感光体18と転写ローラ29の間に搬送される。転写搬送ベルト32は、従動ローラ33、駆動ローラ28、テンションローラ31により稼働している。現像ローラ16、現像ブレード21、トナー供給ローラ19および吸着ローラ36には、バイアス電源30から電圧が印加されている。トナー像が転写された紙34は、定着装置27により定着処理された後、装置外に排紙されて、プリント動作が終了する。一方、転写されずに電子写真感光体18上に残存した転写残トナーは、感光体表面をクリーニングするためのクリーニング部材であるクリーニングブレード26により掻き取られ、廃トナー収容容器25に収納される。クリーニングされた電子写真感光体18は、以上のプリント動作を繰り返し行う。
(3)プロセスカートリッジ
本発明の他の態様に係るプロセスカートリッジは、上記の本発明の一態様に係る発泡弾性ローラを具備する。特に、本発明の一態様に係る発泡弾性ローラは、本発明の他の態様に係るプロセスカートリッジにおいて、トナー供給ローラ19として好適に用いることが可能である。図3は、本発明の他の態様に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略断面図である。プロセスカートリッジ17は、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。また、プロセスカートリッジ17は、現像装置22、電子写真感光体18、クリーニング手段であるクリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、および帯電手段である帯電ローラ24が一体化されたものである。ここで、現像装置22は現像手段である現像ローラ16と現像ブレード21とを備える。現像装置22は、さらにトナー容器20を含み、トナー容器20内には、トナー15が充填されている。トナー容器20内のトナー15は、トナー供給ローラ19によって現像ローラ16の表面に供給され、現像ブレード21によって、現像ローラ16の表面に所定の厚みのトナー15の層が形成される。
(トナー供給ローラによるトナー供給方法について)
トナー供給ローラ19による現像ローラ16へのトナー供給方法として、機械的供給方法と電気的供給方法がある。
機械的供給方法は、トナー供給ローラ19の表面層にトナーを保持し、現像ローラ16との接触によりトナーを供給する方法である。この際、トナー供給ローラ19の表面層が発泡層といった空隙を有する層であれば、トナー保持量が増え、より効率的にトナー供給を行うことができる。さらに、トナー供給ローラ19の表面層が発泡弾性層であれば、現像ローラ16との接触時に該発泡弾性層が収縮することで保持トナーが押し出され、トナー供給ローラ19からのトナーの排出が促進される。
電気的供給方法は、トナー供給ローラ19への印加バイアスと現像ローラ16のへ印加バイアスとのバイアス電位差による、帯電トナーの付勢力を用いている。具体的には、該バイアス電位差の極性がトナーの正規帯電極性と同極性の場合、トナー供給ローラ19から現像ローラ16側に付勢する力が接触部のトナーに働く。これにより供給を行うものである。
以下に、発泡弾性ローラの具体的な実施例および比較例について示す。
まず、発泡弾性ローラの発泡弾性層に含まれるポリウレタンの原料である、イオン化合物を合成した。
<イオン化合物の合成>
(イオン化合物I-1)
2-メチルイミダゾール-1-エタノール(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム(60%、流動パラフィンに分散)(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた臭化エチル(昭和化学社製)14.5gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。
次に、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を、純水100mlに溶解し、アニオン交換試薬(以下、「アニオン原料」と称す。)38.2gを加え、室温下で1時間撹拌した。アニオン原料はリチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)を用いた。反応溶液に酢酸エチル100mlを加え、有機層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。
次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I-1を得た。イオン化合物I-1は、下記式で表される化合物である。
Figure 0007237603000021
(イオン化合物I-2)
窒素雰囲気下、イミダゾール(日本合成化学社製)15.0g、水素化ナトリウム(60%、流動パラフィンに分散)(東京化成工業社製)9.2gを、テトラヒドロフラン60.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた2-ブロモエタノール(東京化成工業社製)60.7gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。
次いで、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水200mlに溶解し、アニオン原料として、リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)69.6gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル200mlを加え、有機層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I-2を得た。イオン化合物I-2は、下記式で表される化合物である。
Figure 0007237603000022
(イオン化合物I-5~I-9)
アニオン原料およびその配合量を表1に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I-2の合成と同様にして、イオン化合物I-5~I-9を得た。
Figure 0007237603000023
(イオン化合物I-3)
窒素雰囲気下、イミダゾール-2-エタノール(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム(60%、流動パラフィンに分散)(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン60.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた2-ブロモエタノール(東京化成工業社製)42.1gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。
次いで、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を純水200mlに溶解し、アニオン原料として、リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)48.3gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル200mlを加え、有機層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。
次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I-3を得た。イオン化合物I-3は、下記式で表される化合物である。
Figure 0007237603000024
(イオン化合物I-4)
カチオン原料として、イミダゾール(東京化成工業社製)15.0gをジクロロメタン50.0gに溶解させ、ジクロロメタン50.0gに溶解させたエピクロロヒドリン(東京化成工業社製)44.9gを室温で30分かけて滴下した後、6時間加熱還流した。
次に、反応溶液を室温まで冷却し、炭酸ナトリウム5質量%水溶液200mlを加えて30分撹拌した後、分液し、ジクロロメタン層を、イオン交換水120gを用いて2回洗浄した。次に、減圧下でジクロロメタンを留去して残留物を得た。
さらに、得られた残留物をアセトン50.0gに溶解させた。その後、イオン交換水150.0gに溶解させたアニオン原料69.6gを30分かけて滴下した後、30℃で2時間攪拌した。アニオン原料はリチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)を用いた。
得られた溶液を分液し、有機層を、イオン交換水50.0gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下でアセトンを留去して、イオン化合物I-4を得た。イオン化合物I-4は、下記式で表される化合物である。
Figure 0007237603000025
(イオン化合物I-10)
5-メチルピラジン-2-メタノール(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム(60%、流動パラフィンに分散)(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させたヨウ化メチル(東京化成工業社製)18.9gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。
次に、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を、純水100mlに溶解し、アニオン原料として、リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)38.1gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル100mlを加え、有機層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。
次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I-10を得た。イオン化合物I-10は、下記式で表される化合物である。
Figure 0007237603000026
(イオン化合物I-11)
アニオン原料およびその配合量を表2に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I-10の合成と同様にして、イオン化合物I-11を得た。
Figure 0007237603000027
(イオン化合物I-12)
4-ピリジンブタノール(シグマ・アルドリッチ社製)15.0gをアセトニトリル45.0gに溶解し、室温で4-ブロモ-1-ブタノール(東京化成工業社製)16.7gを30分かけて滴下した後、90℃で12時間加熱還流した。
次に、反応溶液を室温まで冷却し、減圧下でアセトニトリルを留去した。得られた濃縮物をジエチルエーテル30.0gにて洗浄し、上澄み液を分液により除去した。洗浄および分液操作を3回繰り返し、残留物を得た。
さらに、得られた残留物をジクロロメタン110.0gに溶解させた後、イオン交換水40.0gに溶解させたアニオン原料31.4gを30分かけて滴下した後、30℃で12時間攪拌した。アニオン原料はリチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)を用いた。
得られた溶液を分液し、有機層を、イオン交換水80.0gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下でジクロロメタンを留去し、イオン化合物I-12を得た。イオン化合物I-12は、下記式で表される化合物である。
Figure 0007237603000028
(イオン化合物I-13)
1-(3-アミノプロピル)イミダゾール(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム(60%、流動パラフィンに分散)(東京化成工業社製)8.6gをテトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させたヨウ化メチル(東京化成工業社製)18.7gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。
次に、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。
得られた生成物を、純水100mlに溶解し、アニオン原料として、リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)37.8gを加え、室温下で1時間撹拌した。
反応溶液に酢酸エチル100mlを加え、有機層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I-13を得た。イオン化合物I-13は、下記式で表される化合物である。
Figure 0007237603000029
(比較例用イオン化合物I-14)
ビス(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業社製)15.0gをイオン交換水40.0gに溶解させた。次に、イオン交換水60gに溶解させたアニオン原料としてのトリフルオロ酢酸リチウム (和光純薬工業社製)11.7gを30分かけて滴下した後、30℃で2時間攪拌した。
得られた反応溶液に対し、酢酸エチル100.0gを用いて2回抽出操作を行った。続いて、分液した酢酸エチル層を、イオン交換水60gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下で酢酸エチルを留去し、イオン化合物I-14を得た。イオン化合物I-14は、下記式で表される化合物である。
Figure 0007237603000030
(比較例用イオン化合物I-15)
比較例用イオン化合物I-15として、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学社製)をそのまま用いた。
表3に、実施例で用いた各イオン化合物について、該イオン化合物に対応する構造および各構造式中のR1~R5、Z1~Z7との関連を示す。
Figure 0007237603000031
次に、発泡弾性ローラを作製し、トナー供給ローラとして評価した。
<トナー供給ローラの作製>
[実施例1]
内面に離型剤を塗布した内径16.5mmの円筒状部材と、上駒部材と、下駒部材とからなる金型に、基体としてのステンレス鋼(SUS304)製の外径5mmの芯金を配置した。下記材料(A)、(B)、(E)~(I)を配合し、該配合物を混合して得られるウレタンゴム組成物を、金型内に形成されたキャビティに注入した。
(A):イオン化合物I-1:3.0質量部
(B):ポリオールA(数平均分子量2000のポリエチレンプロピレンエーテルトリオール、商品名:アクトコールEP-550N;三井化学社製):100.0質量部
(E):ポリイソシアネート混和物(NCO%=45、MDI=20%含有、商品名:コスモネートTM20;三井化学社製):24.4質量部
(F):シリコーン整泡剤(商品名:SRX274C、東レ・ダウコーニング社製):1.0質量部
(G):三級アミン触媒A(ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルとジプロピレングリコールの混合物、商品名:TOYOCAT-ET、東ソー社製):0.3質量部
(H):三級アミン触媒B(トリエチレンジアミンとジプロピレングリコールとの混合物、商品名:TEDA-L33、東ソー社製):0.2質量部
(I):発泡剤(水):1.4質量部
続いて、金型を70℃に加熱して、ウレタンゴム組成物を10分間発泡硬化させ、周面に発泡弾性層が形成された基体を金型から脱型した。こうして、基体の外周に直径16.5mmの発泡弾性層を有する、実施例1に係るトナー供給ローラを作製した。
[ウレタン結合のモル数Xとウレア結合のモル数Yの和に対する、該ウレア結合のモル数Yの割合の測定]
実施例1に係るトナー供給ローラから発泡弾性層を剥離して得た試料について、固体13C-NMR測定により、ウレタン結合およびウレア結合の化学シフトのピーク積算値を求めた。
固体13C-NMR測定は、超電導核磁気共鳴吸収装置(商品名:AvanceIII400、ブルカーバイオスピン社製)を用い、観測核13C、積算回数10000回、パルスシーケンスDD/MAS、試料回転数8kHzの条件で測定した。各ピーク積算値は、ピークフィッティングによるウレタン結合由来C=Oとウレア結合由来C=Oのピーク分離により算出した。得られたピーク積算値から、ポリウレタン中の、ウレタン結合のモル数Xとウレア結合のモル数Yの和に対する、該ウレア結合のモル数Yの割合、すなわち、Y/(X+Y)を求めた。
実施例1に係るポリウレタンにおけるY/(X+Y)は0.60であった。
[数平均分子量Mの測定]
実施例1に係るトナー供給ローラから発泡弾性層を剥離し、水酸化ナトリウムでアルカリ加水分解を行った。その後、耐圧分解容器内でさらに加熱分解を行い、ポリオール、二塩基酸やイソシアネートに分離を行った。得られた分解物をトルエンに溶解させ、0.1質量%のトルエン溶液に調製し、以下の測定装置および測定条件にて測定した。
測定機器:HLC-8120GPC(商品名、東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHZMM(商品名、東ソー社製)×2本
溶媒:トルエン
温度:40℃
流速:0.6ml/min
なお、検出器としてRI(屈折率)検出器を用いて測定を行った。また、検量線作成用の標準試料として、以下の材料を用いて検量線の作成を行った。TSK標準ポリスチレン(商品名「A-1000」,「A-2500」,「A-5000」,「F-1」,「F-2」,「F-4」,「F-10」,「F-20」,「F-40」,「F-80」,「F-128」、東ソー社製)。この検量線をもとに、得られた測定サンプルの保持時間から数平均分子量Mを求めた。
実施例1に係るポリウレタンにおける、隣接する2つのウレタン結合間に存在する分子鎖、隣接するウレタン結合とウレア結合との間に存在する分子鎖、および、隣接する2つのウレア結合間に存在する分子鎖の数平均分子量Mは3100であった。
上記で得られた値より、関係式(1)で示す[Y/(X+Y)]×1/Mの値は、1.94×10-4であった。
[実施例2~16]
材料(A)、(B)、(E)~(I)の配合量を、表4に記載の通りに変更した。さらに、実施例15および16では、材料(C)をそれぞれ表4に示す量でウレタンゴム組成物に配合した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2~16に係るトナー供給ローラを作製した。なお、材料(C)は、ポリオールB(平均官能基数3のポリオキシ-1,2-アルキレンポリオール、数平均分子量:7000、平均水酸基価:24mgKOH/g、商品名:アクトコールEP-901P;三井化学社製)である。
Figure 0007237603000032
[比較例1~4]
材料(A)、(B)、(E)~(I)の配合量を、表5に記載の通りに変更した。さらに、比較例4では、材料(D)として、ポリオールC(ポリオキシプロピレングリコール、数平均分子量=2000、末端エチレンオキサイドキャップ品、平均官能基数:2.0、商品名:サンニックスPL-2100;三洋化成工業社製)を100質量部、ウレタンゴム組成物に配合した。それ以外は実施例1と同様にして、比較例1~4に係るトナー供給ローラを作製した。
Figure 0007237603000033
上記で得られた実施例2~16および比較例1~4のトナー供給ローラについて、実施例1と同様にしてY/(X+Y)を求め、また、数平均分子量Mの測定を行い、[Y/(X+Y)]×1/Mの値を求めた。結果を表6に示す。
Figure 0007237603000034
<トナー供給ローラの評価>
得られた実施例1~16、および比較例1~4に係るトナー供給ローラについて、以下の評価を行った。
[トナー供給ローラの初期抵抗値R1の測定]
温度30℃、相対湿度80%の環境下に、6時間トナー供給ローラを放置した後、初期抵抗値R1を測定した。
図4に、本測定で用いる、トナー供給ローラの抵抗値を評価するための冶具の概略構成図を示す。
図4(a)に示すように、非導電性のニップ規制部材41を基体2の両端に装着した。また、導電性の軸受け38を介して導電性の基体2の両端を、各々4.9Nの荷重で押しながら直径30mmの円柱形金属37を回転させ、トナー供給ローラ19を32rpmの速度で従動回転させた。
次に、図4(b)に示すように、高圧電源39によって電圧100Vを印加し、円柱形金属37とグラウンドとの間に配設した既知の抵抗値(トナー供給ローラ19の抵抗値に対して2桁以上抵抗値が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER、FLUKE社製)を用いた。
測定した電位差と抵抗器の抵抗値とから、トナー供給ローラ19を介して円柱形金属37に流れた電流を計算により求めた。そして、印加電圧100Vを得られた電流で割ることによって、トナー供給ローラ19の抵抗値を求めた。ここで、前記電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値をトナー供給ローラの初期抵抗値R1とした。
結果を表7に示す。
[トナー供給ローラとしての性能評価]
トナー供給ローラの性能評価として、初期抵抗値の測定を行ったトナー供給ローラを用いて、温度30℃、相対湿度80%の環境下における長時間稼働前後の画像濃度変化を評価した。長時間稼働により抵抗値が上昇する場合、前述の電気的供給におけるバイアス電位差に不良が生じ、所望のトナー供給量が確保できず画像濃度が低下する。
図3に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のブラックトナープロセスカートリッジに、各実施例および比較例で得られたトナー供給ローラを、トナー供給ローラ19として装填した。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、温度30℃、相対湿度80%の環境中で1日放置してなじませた後、黒ベタ評価画像を1枚出力した。
次に、黒色で印字率1%の画像を1000枚連続して印字テストとして出力した。その後、再度ベタ黒評価画像を1枚出力した。
なお、評価画像および印字テストの出力はすべて単色で出力した。
各々黒ベタ評価画像の中央と四隅(画像端部から各々内側に20mmの位置)の計5点の濃度を、分光濃度計(商品名:500分光濃度計、X-Rite社製)で測定し、5点の濃度の算術平均を取ることで該ベタ黒評価画像の濃度を得た。
印字テスト前の黒ベタ評価画像の平均濃度をD1、印字テスト後の黒ベタ評価画像の平均濃度をD2としたとき、|D2-D1|で表される濃度差ΔDについて下記基準でランク付けを行った。
A:ΔDが0.2未満
B:ΔDが0.2以上0.3未満
C:ΔDが0.3以上
結果を表7に示す。
[連続稼働後のトナー供給ローラの抵抗値R2の測定]
前記性能評価に引き続いて、温度30℃、相対湿度80%の環境下において、連続稼働後のトナー供給ローラの抵抗値R2を測定した。
前記性能評価後、トナー供給ローラをプロセスカートリッジから取り外した。その後、トナー供給ローラの表面全体をエアブローした。ここで、エアブローの条件は、以下のようにした。
エアブローガンノズル口径3mm、高圧空気ないし窒素ガス0.6MPa、トナー供給ローラ表面―ノズル間距離20cm、ガン移動速度をトナー供給ローラ長手方向往復移動速度30cm/s、トナー供給ローラ回転速度30rpm、吹き付け時間30s。
次いで、初期抵抗値R1の測定と同様に抵抗値R2を測定した。なお、印字テスト後の黒ベタ評価画像出力後から抵抗値R2測定までの時間を30分に揃えた。
結果を表7に示す。なお、表7中の[(R2-R1)/R1]×100は、抵抗上昇率を表す指標として示した。
Figure 0007237603000035
実施例1~16に係るトナー供給ローラは、関係式(1)を満たし、かつ特定のカチオン構造を有するポリウレタンを含有する発泡弾性層を有している。そのため、表7に示すように、温度30℃、相対湿度80%の如き高温高湿環境下での長時間稼働時においても抵抗上昇が少なく、濃度差評価も良好だった。
実施例2と比較例1では、イソシアネートと発泡剤以外は同じ配合比であるが、実施例2では[Y/(X+Y)]×1/Mが2.00×10-4以下であり、比較例1では[Y/(X+Y)]×1/Mが2.00×10-4を超えていた。これら実施例2と比較例1とを比較すると、実施例2に係るトナー供給ローラの方が、比較例1に係るトナー供給ローラに比べて、高温高湿環境下での長時間稼働時における抵抗上昇が小さかった。
また、実施例2においては、[Y/(X+Y)]×1/Mが2.00×10-4以下であり、構造式(1)および(4)で示されるカチオン構造を含有し、アニオンがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンである。特に、この実施例2において、より高いレベルで抵抗値の上昇が抑制された。
一方で、[Y/(X+Y)]×1/Mが2.00×10-4超または特定のカチオン構造を含有していない比較例1~4に係るトナー供給ローラは、高温高湿環境下での長時間稼働時における抵抗上昇および濃度低下の発生が認められた。
1 発泡弾性ローラ
2 基体
3 発泡弾性層
15 トナー
16 現像ローラ
17 プロセスカートリッジ
18 感光体(電子写真感光体)
19 トナー供給ローラ
20 トナー容器
21 現像ブレード
22 現像装置
37 円柱形金属
38 導電性の軸受け
39 高圧電源
40 電圧計
41 ニップ規制部材

Claims (6)

  1. 導電性の基体と、該基体上の発泡弾性層と、を有する発泡弾性ローラであって、
    該発泡弾性層は、ウレタン結合とウレア結合とを有するポリウレタンと、アニオンと、を含み、
    該ポリウレタン中における、該ウレタン結合のモル数Xと該ウレア結合のモル数Yの和に対する、該ウレア結合のモル数Yの割合を、Y/(X+Y)とし、
    該ポリウレタンにおける、隣接する2つの該ウレタン結合間に存在する分子鎖、隣接する該ウレタン結合と該ウレア結合との間に存在する分子鎖、および、隣接する2つの該ウレア結合間に存在する分子鎖の数平均分子量をMとしたとき、
    Mが、3000以上10000以下であり、
    MおよびY/(X+Y)が、関係式(1)を満たし、
    関係式(1)
    0.70×10-4≦[Y/(X+Y)]×1/M≦2.00×10-4
    さらに、該ポリウレタンは、構造式(1)~(3)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有する、ことを特徴とする発泡弾性ローラ:
    Figure 0007237603000036
    [構造式(1)中、R1およびR2は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族5員環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d1は0または1の整数を表し、
    Z1~Z3は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z1~Z3の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。]、
    Figure 0007237603000037
    [構造式(2)中、R3およびR4は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族6員環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d2は0以上2以下の整数を表し、d2が2であるとき、Z5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
    Z4およびZ5は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z4およびZ5の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。]、
    Figure 0007237603000038
    [構造式(3)中、R5は、結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、d3は0または1の整数を表し、
    Z6およびZ7は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z6およびZ7の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。];
    Figure 0007237603000039
    Figure 0007237603000040
    Figure 0007237603000041
    [構造式(Z101)、(Z102)および(Z103)中、R101、R102、およびR103は、各々独立に直鎖または分岐を有する2価の炭化水素基を表し、
    記号「*」は、構造式(1)の含窒素複素芳香族5員環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部、構造式(2)の含窒素複素芳香族6員環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部、または構造式(3)の含窒素複素芳香族環を構成する窒素原子または炭素原子との結合部を表し、記号「**」は、該ポリウレタンのポリマー鎖中の炭素原子との結合部を表す。]。
  2. 前記アニオンは、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、ジシアナミドアニオンおよびチオシアネートアニオンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の発泡弾性ローラ。
  3. 前記構造式(1)で示される構造が、構造式(4)で示される構造である、請求項1または2に記載の発泡弾性ローラ:
    Figure 0007237603000042
    [構造式(4)中、d1は0または1の整数を表し、Z1~Z3は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z1~Z3の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。]。
  4. 前記構造式(3)で示される構造が、構造式(5)で示される構造である、請求項1または2に記載の発泡弾性ローラ:
    Figure 0007237603000043
    [構造式(5)中、d3は0または1の整数を表し、Z6およびZ7は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、但し、Z6およびZ7の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。]。
  5. 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡弾性ローラを具備することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡弾性ローラを具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
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