JP6789770B2 - 電子写真用部材、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
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Description
構造式(Z101)〜(Z103)中、記号「*」は、該構造式(1)における窒素原子との結合部位、または、該構造式(2)〜(4)における含窒素複素環を構成する窒素原子もしくは炭素原子との結合部位を示し、記号「**」は、該第二の樹脂を構成するポリマー鎖中の炭素原子との結合部位を表す。
さらに本発明の他の態様によれば、上記の電子写真用部材を有する電子写真装置が提供される。
本発明の一実施形態に係る電子写真用部材は、導電性の基体および該基体上の導電性の樹脂層を有する。
なお、電子写真用ローラ1Aの層構成は、樹脂層3が電子写真用ローラ1Aの最表層に存在するものに限定されるものではない。電子写真用ローラ1Aの具体例としては、基体2とその外周に設けられた導電性の樹脂層3の上にさらに表面層を有するものや、樹脂層3を中間層5として有するものが挙げられる。
基体2は、電子写真用部材の支持部材、および場合によっては電極として機能する。基体2は、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;クロムまたはニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。電子写真用部材がローラ形状である場合、基体2は、中実円柱状または中空円筒状であり、電子写真用部材がブレード形状である場合、基体2は、薄板形状である。
弾性層4は、特に、電子写真用部材がローラ形状である場合において(電子写真用ローラ1A)、電子写真用ローラ1Aと感光体との当接部において、所定の幅のニップを形成するために必要な弾性を電子写真用ローラ1Aに与えるものである。弾性層4は、ゴム材料の成形体であることが好ましい。ゴム材料としては、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、圧縮永久歪みおよび柔軟性の観点から、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、付加硬化型のシリコーンゴムの硬化物が挙げられる。
以下、本発明の一実施形態における樹脂層3の構成について、詳細に説明する。本発明の一実施形態に係る樹脂層は、少なくとも2種類の樹脂(以下、それぞれ「第一の樹脂」、「第二の樹脂」と称す)とアニオンとを含む。第一の樹脂は、側鎖に窒素含有基を有する。樹脂の種類としては、例えば、メタ(アクリレート)樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂が挙げられる。第二の樹脂は、下記構造式(1)〜(4)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有する。第二の樹脂は、例えば、カチオン構造中に水酸基、アミノ基、グリシジル基を少なくとも1個有するイオン化合物と、好ましくは、該イオン化合物以外のポリオールと、ポリイソシアネートと、を反応させることにより得られ、導電性を担うイオンキャリアの担持体として機能する。なお、第一の樹脂と第二の樹脂とは架橋していない。
イオンキャリアの担持体である樹脂は、低温環境下において、分子運動性が低下することにより結晶性を発現する。その結果、イオンキャリアの移動性が阻害されてしまう。また、イオンキャリアの移動性に係るカチオンとアニオンに解離している割合(イオン化率)は、低温ほど低い。これらにより、低温環境下において抵抗値が上昇してしまう。本発明では、以下で説明するアニオンの安定化およびカチオンの安定化によりイオン化率が高まり、0℃近辺の低温環境下における抵抗値の上昇の抑制に奏効していると推測している。
本発明に係る第一の樹脂は、側鎖に窒素含有基を有することを特徴とする。窒素原子は電気陰性度が低く、キャリア成分のアニオンの負電荷を安定化させる作用があると考えられる。また、該窒素原子がカチオン化した場合も同様に、キャリア成分のアニオンの負電荷を安定化させる作用があると考えられる。それら窒素含有基を、モノマーではなくポリマーとして配合することで、窒素含有基が密集することとなり、アニオンに対する安定化作用が高まると考えられる。また、第一の樹脂と第二の樹脂は架橋していないため、各々の位置関係の自由度が高まり、該安定化作用を及ぼし得る状態を取りやすいと考えられる。さらに、第一の樹脂は、窒素含有基を主鎖中ではなく側鎖に有することで、該窒素含有基が取ることのできる位置の自由度が高まり、該安定化作用を及ぼし得る状態がより取りやすいと考えられる。
本発明に係る第二の樹脂は、構造式(1)〜(4)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有し、該構造に含まれるカチオン部位の近傍に、水酸基、アミノ基またはグリシジル基と、イソシアネート基とが反応した残基に由来する構造を少なくとも1つ有することを特徴とする。ここで、カチオン部位の近傍に存在する構造式(Z101)で示される構造は、カチオンに導入された水酸基と、バインダー樹脂が有するイソシアネート基とが反応して形成される残基である。また、構造式(Z102)で示される構造は、カチオンに導入されたアミノ基と、バインダー樹脂が有するイソシアネート基とが反応して形成される残基である。さらに、構造式(Z103)で示される構造は、カチオンに導入されたグリシジル基と、バインダー樹脂が有する水酸基とが反応して形成される残基である。これら、構造式(Z101)〜(Z103)で示される構造は、水素結合による相互作用によって、カチオンの正電荷の安定化に寄与すると考えられる。
本発明に係る第一の樹脂は、側鎖に窒素含有基を有する。樹脂の種類としては、例えば、メタ(アクリレート)樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂が挙げられる。なお、第一の樹脂は、第二の樹脂とは架橋していない。本発明に係る第一の樹脂は、例えば、アクリルモノマーやビニルモノマーをラジカル重合反応させることにより得られる。
第一の樹脂は、下記構造式(5)〜(10)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有することが好ましい。構造式(5)および(6)で示される構造が好ましい理由は、窒素原子の近傍にエステル結合が位置するため、該窒素原子と該エステル結合との間に相互作用が働き、該窒素含有基中のカチオンが安定化することにある。また、構造式(7)〜(10)で示される構造が好ましい理由は、窒素原子に由来する正電荷が環状構造内で非局在化して、該窒素含有基中のカチオンが安定化することにある。
以下、構造式(5)〜(10)で示される各構造について説明する。
構造式(7)における含窒素複素環としては、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン;ピラジン、ピリミジン、ピペラジン;ジアゼパンが挙げられる。該含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましく、イミダゾールがより好ましい。
1−ビニルイミダゾール、1−アリルイミダゾール、1−(3−ブテン−1−イル)−1H−イミダゾール、1−(4−ペンテン−1−イル)−1H−イミダゾール、2−(2−プロペン−1−イル)−1H−イミダゾール、2−(3−ブテン−1−イル)−1−メチル−1H−イミダゾール、2−(3−ブテン−1−イル)−1−エチル−1H−イミダゾール、2−(3−ブテン−1−イル)−1−プロピル−1H−イミダゾール、1−メチル−2−(4−ペンテン−1−イル)−1H−イミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール等。
構造式(8)における含窒素複素環としては、ピロリジン、ピロリン、ピロール;ピリジン、ピペリジン;アゼパン、アゼピンが挙げられる。該含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましく、ピリジンがより好ましい。
2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、4−(2−プロペン−1−イル)ピリジン、4−(3−ブテン−1−イル)ピリジン、4−(4−ペンテン−1−イル)ピリジン、3−(2−プロペン−1−イル)ピリジン、3−(2−メチル−2−プロペン−1−イル)ピリジン、3−メチル−5−(2−プロペン−1−イル)ピリジン、4−メチル−3−(2−プロペン−1−イル)ピリジン、2−メチル−5−(2−メチル−2−プロペン−1−イル)ピリジン、4−メチル−3−(2−メチル−2−プロペン−1−イル)ピリジン、3−(3−ブテン−1−イル)ピリジン、3−(3−ブテン−1−イル)−5−メチルピリジン、3−(4−メチル−4−ペンテン−1−イル)ピリジン、5−メチル−2−(2−プロペン−1−イル)ピリジン、2−メチル−6−(2−プロペン−1−イル)ピリジン、5−エチル−2−(2−プロペン−1−イル)ピリジン、3−メチル−2−(2−プロペン−1−イル)ピリジン、2−メチル−6−(2−メチル−2−プロペン−1−イル)ピリジン、5−メチル−2−(2−メチル−2−プロペン−1−イル)ピリジン、4−メチル−2−(2−メチル−2−プロペン−1−イル)ピリジン、2−(3−ブテン−1−イル)ピリジン、2−(3−メチル−3−ブテン−1−イル)ピリジン、2−(3−ブテン−1−イル)−6−メチルピリジン、2−(3−ブテン−1−イル)−5−メチルピリジン、2−(3−ブテン−1−イル)−4−メチルピリジン、2−(3−ブテン−1−イル)−3−メチルピリジン等。
構造式(9)における含窒素複素環としては、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、イミダゾリジニウム;ピラジニウム、ピリミジニウム、ピペラジニウム;[1,3]−ジアゼパニウム、[1,4]−ジアゼパニウムが挙げられる。該含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましく、イミダゾリウムがより好ましい。
3−アルキル−1−ビニルイミダゾリウムカチオン、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、1−アルキル−3−(3−ブテン−1−イル)イミダゾリウムカチオン、1−アルキル−3−(4−ペンテン−1−イル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ジアルキル−2−(2−プロペン−1−イル)イミダゾリウムカチオン、2−(3−ブテン−1−イル)−1−メチル−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、2−(3−ブテン−1−イル)−1−エチル−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、2−(3−ブテン−1−イル)−1−プロピル−3−アルキル−イミダゾリウムカチオン、1−メチル−2−(4−ペンテン−1−イル)−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、2−メチル−3−アルキル−1−ビニルイミダゾリウムカチオン、カチオン等のハロゲン化物、パラトルエンスルホン酸塩等が挙げられる。なお、各化合物中の「アルキル」は、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチル、ラウリル、トリデシルのいずれかである。
構造式(10)における含窒素複素環としては、ピロリジニウム、ピロリニウム、ピロリウム;ピリジニウム、ピペリジニウム;アゼパニウム、アゼピニウムが挙げられる。該含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましく、ピリジニウムがより好ましい。
1−アルキル−2−ビニルピリジニウムカチオン、1−アルキル−3−ビニルピリジニウムカチオン、1−アルキル−4−ビニルピリジニウムカチオン、1−アルキル−4−(2−プロペン−1−イル)ピリジニウムカチオン、1−アルキル−4−(3−ブテン−1−イル)ピリジニウムカチオン、1−アルキル−4−(4−ペンテン−1−イル)ピリジニウムカチオン、1−アルキル−3−(2−プロペン−1−イル)ピリジニウムカチオン、1−アルキル−3−(2−メチル−2−プロペン−1−イル)ピリジニウムカチオン、1−アルキル−3−メチル−5−(2−プロペン−1−イル)ピリジニウムカチオン、1−アルキル−4−メチル−3−(2−プロペン−1−イル)ピリジニウムカチオン、1−アルキル−2−メチル−5−(2−メチル−2−プロペン−1−イル)ピリジニウムカチオン、1−アルキル−4−メチル−3−(2−メチル−2−プロペン−1−イル)ピリジニウムカチオン等のハロゲン化物、パラトルエンスルホン酸塩等が挙げられる。なお、各化合物中の「アルキル」は、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチル、ラウリル、トリデシルのいずれかである。
本発明に係る第二の樹脂は、例えば、カチオン構造中に水酸基、アミノ基、グリシジル基を少なくとも1個有するイオン化合物と、好ましくは該イオン化合物以外のポリオールと、ポリイソシアネートと、を反応させることにより得られる。ここで、該イオン化合物以外のポリオールと、ポリイソシアネートを反応させて得られる樹脂をバインダー樹脂と称す。
第二の樹脂に係るイオン化合物は、構造式(1)〜(4)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有する。以下、構造式(1)〜(4)で示される各構造について説明する。
構造式(1)で示される構造は、例えば水酸基、アミノ基、グリシジル基を少なくとも1個有するアンモニウムカチオンを表し、該カチオンを含むイオン化合物を、イソシアネートと反応させることにより得られる。
2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムカチオン、2−ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウムカチオン、4−ヒドロキシブチルトリメチルアンモニウムカチオン、4−ヒドロキシブチル−トリ−n−ブチルアンモニウムカチオン、8−ヒドロキシオクチルトリメチルアンモニウムカチオン、8−ヒドロキシオクチル−トリ−n−ブチルアンモニウムカチオン;
ビス(ヒドロキシメチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(3−ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(4−ヒドロキシブチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(8−ヒドロキオクチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(8−ヒドロキオクチル)−ジ−n−ブチルアンモニウムカチオン;
トリス(ヒドロキシメチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(4−ヒドロキシブチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(8−ヒドロキシオクチル)メチルアンモニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
アミノ基、グリシジル基を有するアンモニウムカチオンとしては、これらの水酸基をアミノ基、グリシジル基で置換した構造のカチオンが挙げられる。
構造式(2)における含窒素複素環としては、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、イミダゾリジニウム;ピラジニウム、ピリミジニウム、ピペラジニウム;[1,3]−ジアゼパニウム、[1,4]−ジアゼパニウムが挙げられる。該含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましく、イミダゾリウムがより好ましい。
1−メチル−3−ヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(4−ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(6−ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(8−ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1−n−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−2−(4−ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン;
1,3−ビスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2−メチル−1,3−ビスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、2−メチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4−メチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2−エチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4−エチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2−n−ブチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4−n−ブチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ビス(3−ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ビス(6−ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ビス(8−ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−2,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3,5−ビス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン;
1,2,3−トリスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(3−ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(4−ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(6−ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリス(8−ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4−トリス(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4−トリス(3−ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4−トリス(4−ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4−トリス(6−ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4−トリス(8−ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン;およびこれらの誘導体。
アミノ基、グリシジル基を有するカチオンとしては、これらの水酸基をアミノ基、グリシジル基で置換した構造のカチオンが挙げられる。
構造式(3)および(4)で示される構造は、例えば水酸基、アミノ基、グリシジル基を少なくとも1個有し、窒素原子を1個含む複素環カチオンを表し、該カチオンを含むイオン化合物を、イソシアネートと反応させることにより得られる。
構造式(3)および(4)における含窒素複素環としては、ピロリジニウム、ピロリニウム、ピロリウム;ピリジニウム、ピペリジニウム;アゼパニウムが挙げられる。該含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましく、ピロリジニウムまたはピリジニウムがより好ましい。
1−メチル−1,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピロリジニウムカチオン、1−エチル−1,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピロリジニウムカチオン、1−ブチル−1,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピロリジニウムカチオン、1−メチル−1,2−ビス(4−ヒドロキシブチル)ピロリジニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
1−ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1−(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1−(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1−(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、2−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、4−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3−エチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3−n−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−メチル−2−ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1−メチル−3−ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1−メチル−4−ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1−メチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−メチル−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−メチル−4−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−エチル−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1−n−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、2−メチル−4−n−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン;
1,2−ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,3−ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,4−ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,3−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,2−ビス(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,4−ビス(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,2−ビス(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,3−ビス(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,4−ビス(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,2−ビス(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,3−ビス(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,4−ビス(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、2−メチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、2−エチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、5−メチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、5−エチル−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン;
1,2,4−トリスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,2,4−トリス(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(6−ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,3,5−トリス(8−ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
アミノ基、グリシジル基を有するカチオンとしては、これらの水酸基をアミノ基、グリシジル基で置換した構造のカチオンが挙げられる。
本発明において、樹脂層は、構造式(1)〜(4)からなる群より選択される少なくとも1つで示される構造と、構造式(5)〜(10)からなる群より選択される少なくとも1つで示される構造以外の構造を有する樹脂をバインダー樹脂として含むことが好ましい。
またポリエステルポリオールとしては、以下のものが挙げられる。1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,4−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールの如きジオール成分、またはトリメチロールプロパンの如きトリオール成分と、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロキシフタル酸の如きジカルボン酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオール。
また、ポリカーボネートポリオールとしては、以下のものが挙げられる。1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きジオール成分と、ホスゲン、ジメチルカーボネートの如きジアルキルカーボネート、または、エチレンカーボネートの如き環状カーボネートとの縮合反応により得られるポリカーボネートポリオール。
構造式(13)および(14)で示される構造は、例えば、プロピレンオキシドを開環重合して得られるポリエーテルポリオールを用いることにより得られる。
構造式(15)で示される構造は、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸等のジカルボン酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオールを用いることにより得られる。または、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとホスゲン、ジメチルカーボネートの如きジアルキルカーボネートとを用いることによっても得られる。
本発明に係るアニオンは、特に、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、ジシアナミドアニオンおよびチオシアネートアニオンからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。その理由は、上記アニオンは、その化学構造に起因して、ハロゲンアニオンや硫酸アニオン、硝酸アニオンと比べて化学的に非常に安定であり、イオン化率が高いためである。具体的には、アニオンが分子内に強力な電子求引性基を有し、アニオンの負電荷を安定化させるため、広い温度域で高いイオン化率を示し、低温でも高い導電性の発現に寄与するためと考えられる。なお、アニオンとして、過塩素酸アニオンを用いることもできる。
フルオロスルホニルイミドアニオンとしては、具体的には、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンが挙げられる。
フルオロアルキルスルホネートアニオンとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、フルオロメタンスルホン酸アニオン、パーフルオロエタンスルホン酸アニオン、パーフルオロプロパンスルホン酸アニオン、パーフルオロブタンスルホン酸アニオン、パーフルオロペンタンスルホン酸アニオン、パーフルオロヘキサンスルホン酸アニオン、パーフルオロオクタンスルホン酸アニオンが挙げられる。
フルオロアルキルメチドアニオンとしては、具体的には、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロエタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロプロパンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロブタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロペンタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロヘキサンスルホニル)メチドアニオン、トリス(パーフルオロオクタンスルホニル)メチドアニオンが挙げられる。
フルオロホウ酸アニオンとしては、具体的には、テトラフルオロホウ酸アニオンが挙げられる。
フルオロリン酸アニオンしては、具体的には、ヘキサフルオロリン酸アニオンが挙げられる。
バインダー樹脂としてウレタン樹脂を用いる場合、例えば以下の材料を混合し、反応させることにより、本発明の樹脂層形成用塗料が得られる。
1.バインダー樹脂を形成する材料として、
・ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等
・ポリイソシアネート
2.第一の樹脂を形成する材料として、側鎖に窒素含有基を有するポリマー
3.第二の樹脂を形成する材料として、カチオン構造中に、水酸基、アミノ基、グリシジル基からなる群より選択される少なくとも1つを含むイオン化合物
なお、これらの反応後の状態は、例えば、熱分解GC/MS、FT−IR、NMR等による公知の手段で分析することにより確認することができる。
樹脂層中における、前記構造式(5)〜(10)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つで示される構造の含有量は、導電性および通電による抵抗変動抑制の観点から、バインダー樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
樹脂層の形成方法としては、特に限定されるものではないが、スプレー塗工、浸漬塗工、またはロールコート法が挙げられる。これらの中でも、特開昭57−5047号公報に記載されているような、浸漬槽の上端から塗料をオーバーフローさせる浸漬塗工方法は、樹脂層を形成する方法として簡便かつ生産安定性に優れているため、好ましく用いられる。
樹脂層の厚さは、1.0μm以上20.0μm以下であることが好ましい。
樹脂層は、必要に応じて、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛および炭酸カルシウムの如き非導電性充填剤を含有してもよい。これらの非導電性充填剤は、樹脂層形成用塗料に添加することにより、樹脂層の形成工程において該塗料をコーティングする際に、成膜助剤としての機能を発揮する。かかる非導電性充填剤の含有率は、樹脂層を形成する樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下であることが好ましい。なお、樹脂層を形成する樹脂とは、第一の樹脂、第二の樹脂およびバインダー樹脂を含め、樹脂層に含まれる全ての樹脂を意味する。
また、樹脂層は、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で、導電性充填剤を含有してもよい。導電性充填剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、銅の如き導電性金属;酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンの如き導電性金属酸化物の微粒子を用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックは、比較的容易に入手でき、導電付与性と補強性が高いため、特に好ましく用いられる。
樹脂層が最表層である場合において、電子写真用部材としてある程度の表面粗度が求められる場合は、樹脂層に粗さ制御のための微粒子(粗さ制御用微粒子)を添加してもよい。粗さ制御用微粒子としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、またはフェノール樹脂の微粒子を用いることができる。粗さ制御用微粒子の体積平均粒径は、1μm以上15μm以下であることが好ましい。樹脂層中の粗さ制御用粒子の含有量は、樹脂層を形成する樹脂100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
本発明に係る電子写真用部材は、電子写真装置における現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、および現像ブレード、クリーニングブレードとして好適に用いることができる。電子写真用部材は、磁性一成分トナーおよび非磁性一成分トナーを用いた非接触型現像装置および接触型現像装置、ならびに二成分トナーを用いた現像装置のいずれの現像装置にも適用することができる。
本発明に係る電子写真用部材は、プロセスカートリッジにおける現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、および現像ブレード、クリーニングブレードとして好適に用いることができる。図4は、本発明の一態様に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略断面図である。図4において、前記電子写真用部材は現像ローラ16として搭載されている。プロセスカートリッジ17は、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている。また、プロセスカートリッジ17は、現像ローラ16と現像ブレード21とを備える現像装置22、電子写真感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、および帯電ローラ24が一体化されたものである。現像装置22は、さらにトナー容器20を含み、トナー容器20内には、トナー15が充填されている。トナー容器20内のトナー15は、トナー供給ローラ19によって現像ローラ16の表面に供給され、現像ブレード21によって、現像ローラ16の表面に所定の厚みのトナー15の層が形成される。
(モノマーM−1)
回転機構を備えたオートクレーブ中で、乾燥テトラヒドロフラン500gに、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(東京化成工業社製)130.5g、および1−ブロモブタン(東京化成工業社製)119.5gを加え、60℃の温度で3時間反応させた。次に、反応混合物を5℃に冷却し、減圧下で溶媒を留去して、N−(2−(メタクリロイルオキシエチル)−N,N−ジメチルブタン−1−アンモニウムブロマイド(モノマーM−1)を得た。
回転機構を備えたオートクレーブ中で、乾燥テトラヒドロフラン500gに、1−ビニルイミダゾール(東京化成社製)130.0g、ブロモメタン(東京化成工業社製)120.0gを加え、60℃の温度で3時間反応させた。次に、反応混合物を5℃に冷却し、減圧下で溶媒を留去して、3−メチル−1−ビニル−1H−イミダゾリウムブロマイド(モノマーM−2)を得た。
回転機構を備えたオートクレーブ中で、乾燥テトラヒドロフラン500gに、4−ビニルピリジン(東京化成工業社製)105.5g、1−ブロモブタン(東京化成工業社製)144.5gを加え、60℃の温度で3時間反応させた。次に、反応混合物を5℃に冷却し、減圧下で溶媒を留去して、1−n−ブチル−4−ビニルピリジニウムブロマイド(モノマーM−3)を得た。
モノマーM−4〜M−8として、以下の市販品をそのまま用いた。
モノマーM−4:メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(東京化成工業社製)
モノマーM−5:1−ビニルイミダゾール(東京化成工業社製)
モノマーM−6:4−ビニルピリジン(東京化成工業社製)
モノマーM−7:メタクリル酸メチル(東京化成工業社製)
モノマーM−8:スチレン(東京化成工業社製)
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、乾燥メチルエチルケトン150.0質量部を仕込み、窒素ガス気流下で温度87℃に昇温し、加熱還流した。次に、モノマーM−4:46.7質量部、モノマーM−7:3.3質量部、開始剤(商品名:カヤエステルO、化薬アクゾ社製):0.3質量部の混合物を1時間かけて徐々に滴下し、温度を87℃に保持してさらに3時間加熱還流した。次に温度を50℃まで下げた後、減圧下でメチルエチルケトン100.0質量部を留去した。室温まで放冷することにより、重合体P−2を得た。
原料のモノマー種および混合比(質量部)を表1に示すように変更した以外は、重合体P−2の合成例と同様の操作を行い、重合体P−1、P−3〜P−22を得た。なお、表中、「部」は「質量部」を表す。
冷却管およびディーンスターク管を備えた反応容器中で、1,4−ブタンジオール(東京化成工業社製)252.0g、2−(Dimethylamino)propane−1,3−diol(AK Scientific社製)44.0g、アジピン酸(東京化成工業社製)613.2g、およびトルエン250gを、80℃に加熱しながら撹拌混合した。次に、反応物を2時間かけて徐々に180℃まで昇温し、さらに180℃で1時間撹拌して脱水縮合した。次に、反応物を室温まで放冷することにより、重合体P−23を得た。
(イオン化合物I−1)
ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業社製)15.0gをイオン交換水40.0gに溶解させた。次に、イオン交換水60gに溶解させたアニオン交換試薬(以下、「アニオン原料」と称す):リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)27.9gを30分かけて滴下し、30℃で2時間攪拌した。得られた反応溶液に対し、酢酸エチル100.0gを用いて2回抽出操作を行った。続いて、分液した酢酸エチル層を、イオン交換水60gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下で酢酸エチルを留去し、アニオンがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンであるイオン化合物I−1を得た。イオン化合物I−1は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表2に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I−1の合成と同様にして、イオン化合物I−2〜I−5を得た。
イオン化合物I−6として、市販のビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業社製)をそのまま用いた。
トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド50%水溶液(東京化成工業社製)30.0gをイオン交換水50.0gに溶解させた。次に、イオン交換水30gに溶解させたアニオン原料:リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)26.1gを30分かけて滴下し、30℃で6時間攪拌した。得られた反応溶液に対し、酢酸エチル100.0gを用いて2回抽出操作を行った。続いて、分液した酢酸エチル層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下で酢酸エチルを留去し、イオン化合物I−7を得た。イオン化合物I−7は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表3に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I−7の合成と同様にして、イオン化合物I−8〜I−10を得た。
ジエチレントリアミン(東京化成工業社製)15.0gを、テトラヒドロフラン35.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させたヨウ化メチル(東京化成工業社製)45.5gを30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール100mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を純水160mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)46.0gを加え、室温下で1時間撹拌した。得られた反応溶液に対し、酢酸エチル100.0gを用いて2回抽出操作を行った。次に、分液した酢酸エチル層を、イオン交換水60gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下で酢酸エチルを留去し、イオン化合物I−11を得た。イオン化合物I−11は、下記式で表される化合物である。
窒素雰囲気下、イミダゾール(日本合成化学社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)9.2gを、テトラヒドロフラン60.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた2−ブロモエタノール(東京化成工業社製)60.7gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。次いで、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を純水200mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)69.6gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル200mlを加え、有機層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I−12を得た。イオン化合物I−12は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表4に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I−12の合成と同様にして、イオン化合物I−13〜I−18を得た。
窒素雰囲気下、(1H−Imidazol−2−yl)ethanol(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン60.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた2−ブロモエタノール(東京化成工業社製)42.1gを室温で30分かけて滴下し、85℃で12時間加熱還流した。次いで、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を純水200mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)48.3gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル200mlを加え、有機層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I−19を得た。イオン化合物I−19は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表5に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I−19の合成と同様にして、イオン化合物I−20〜I−22を得た。
カチオン原料として、イミダゾール(東京化成工業社製)15.0gをジクロロメタン50.0gに溶解させ、ジクロロメタン50.0gに溶解させたエピクロロヒドリン(東京化成工業社製)44.9gを室温で30分かけて滴下し、6時間加熱還流した。次に、反応溶液を室温まで冷却し、炭酸ナトリウム5質量%水溶液200mlを加えて30分撹拌した後、分液し、ジクロロメタン層を、イオン交換水120gを用いて2回洗浄した。次に、減圧下でジクロロメタンを留去して残留物を得た。
さらに、得られた残留物をアセトン50.0gに溶解させた後、イオン交換水150.0gに溶解させたアニオン原料:リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)69.6gを30分かけて滴下し、30℃で2時間攪拌した。得られた溶液を分液し、有機層を、イオン交換水50.0gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下でアセトンを留去して、イオン化合物I−23を得た。イオン化合物I−23は、下記式で表される化合物である。
2−(2−Methyl−1H−imidazol−1−yl)ethanol(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた臭化エチル(昭和化学社製)14.5gを室温で30分かけて滴下し、85℃で12時間加熱還流した。次に、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を、純水100mlに溶解し、アニオン原料として、トリフルオロ酢酸リチウム(和光純薬工業社製)16.0gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル100mlを加え、有機層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I−24を得た。イオン化合物I−24は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表6に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I−24の合成と同様にして、イオン化合物I−25〜I−29を得た。
2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルピロリジン(東京化成工業社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)13.5gを、テトラヒドロフラン65.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン40.0gに溶解させた2−ブロモエタノール(東京化成工業社製)16.0gを30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール80mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を、純水160mlに溶解し、アニオン原料として、リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)36.7gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム70mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液40mlを加えて30分撹拌した後分液し、クロロホルム層に対して、イオン交換水50gを用いて3回洗浄操作を行った。次に、減圧下でクロロホルムを留去して、イオン化合物I−30を得た。イオン化合物I−30は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表7に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I−30の合成と同様にして、イオン化合物I−31〜I−34を得た。
4−Pyridin−4−yl−butan−1−ol(シグマ・アルドリッチ社製)15.0gをアセトニトリル45.0gに溶解し、室温で4−ブロモ−1−ブタノール(東京化成工業社製)16.7gを30分かけて滴下した後、90℃で12時間加熱還流した。次に、反応溶液を室温まで冷却し、減圧下でアセトニトリルを留去した。得られた濃縮物をジエチルエーテル30.0gにて洗浄し、上澄み液を分液により除去した。洗浄および分液操作を3回繰り返し、残留物を得た。さらに、得られた残留物をジクロロメタン110.0gに溶解させた後、イオン交換水40.0gに溶解させたアニオン原料:リチウム N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF−N115、三菱マテリアル電子化成社製)31.4gを30分かけて滴下し、30℃で12時間攪拌した。得られた溶液を分液し、有機層を、イオン交換水80.0gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下でジクロロメタンを留去し、イオン化合物I−35を得た。イオン化合物I−35は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表8に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I−35の合成と同様にして、イオン化合物I−36〜I−40を得た。
イオン化合物I−41、I−42として、以下の市販品をそのまま用いた。
イオン化合物I−41:N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学社製)
イオン化合物I−42:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成工業社製)
(ポリオールA−1〜A−3)
ポリオールA−1〜A−3として、以下の市販品をそのまま用いた。
ポリオールA−1:ポリエーテルポリオール(商品名:PTG−L1000、保土谷化学工業社製)
ポリオールA−2:ポリエステルポリオール(商品名:クラレポリオールP−2010、クラレ社製)
ポリオールA−3:ポリブタジエンポリオール(商品名:Poly bd R−45HT、出光興産社製)
(イソシアネートB−1)
イソシアネートB−1として、市販のポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR−400、東ソー社製)をそのまま用いた。
窒素雰囲気下、反応容器中でポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業社製)84.1質量部に対し、PTG−L1000(商品名、保土谷化学工業社製)100.0質量部を、反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2.5時間反応させて、メチルエチルケトン80.0質量部を加えた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量5.4質量%のイソシアネート基末端プレポリマーB−2を得た。
次に、電子写真用部材を作製し、評価した。
[実施例1]
(基体の用意)
基体として、ステンレス鋼(SUS304)製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名:DY39−012、東レ・ダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。
用意した基体を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を、金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名:SE6905A/B、東レ・ダウコーニング社製):100.0質量部
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#4300、東海カーボン社製):15.0質量部
・白金触媒:0.1質量部
続いて、金型を加熱し、シリコーンゴムを温度150℃で15分間加硫して硬化させた。周面に硬化したシリコーンゴム層が形成された基体を金型から脱型した後、当該芯金を、さらに温度180℃で1時間加熱して、シリコーンゴム層の硬化反応を完了させた。こうして、基体の外周に直径12mmのシリコーンゴム弾性層を有する弾性ローラD−1を作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリオールA−1:100.0質量部
・イソシアネートB−1:45.7質量部
・重合体P−1:7.6質量部
・イオン化合物I−12:7.3質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル社製):30.6質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):15.3質量部
次に、総固形分比が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加えた後、サンドミルにて混合した。次いで、さらにメチルエチルケトンで粘度10〜12cpsに調整して、樹脂層形成用塗料を調製した。
重合体およびイオン化合物の種類と各材料の配合量を、表9に記載の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜8、23、24に係る現像ローラを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリオールA−2:70.0質量部
・イソシアネート基末端プレポリマーB−2:113.3質量部
・重合体P−3:7.8質量部
・イオン化合物I−1:7.1質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製):31.3質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):15.6質量部
以降は、実施例1と同様にして、実施例9に係る現像ローラを作製した。
重合体およびイオン化合物の種類と各材料の配合量を、表9に記載の通りに変更した以外は実施例9と同様にして、実施例10〜20に係る現像ローラを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリオールA−3:110.0質量部
・イソシアネートB−1:23.9質量部
・重合体P−6:7.0質量部
・イオン化合物I−11:6.3質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製)28.1質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):14.0質量部
以降は、実施例1と同様にして、実施例21に係る現像ローラを作製した。
重合体およびイオン化合物の種類と配合量を表9に記載の通りに変更した以外は実施例21と同様にして、実施例22に係る現像ローラを作製した。
重合体およびイオン化合物の種類と各材料の配合量を表9に記載の通りに変更した以外は実施例21と同様にして、比較例1および2に係る現像ローラを作製した。
第一の樹脂に係る重合体を添加せず、また、イオン化合物の種類と各材料の配合量を、表9に記載の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例3に係る現像ローラを作製した。
得られた実施例1〜24および比較例1〜3に係る現像ローラについて、以下の評価を行った。評価結果を表10にまとめて示す。
温度23℃、相対湿度50%(以下、「N/N」とも記す)の環境下および0℃の環境下に、6時間現像ローラを放置した後、各環境下で抵抗値を測定した。なお、0℃の如き低温環境下では、23℃環境下に比べて著しく飽和水蒸気圧が低く、本発明に係る抵抗値・画質評価結果の大勢に影響を与えないと考えられるため、0℃の環境下における評価に際しては、相対湿度を特には問わないこととする。
図5に、本測定で用いる、現像ローラの抵抗値を評価するための冶具の概略構成図を示す。図5(a)に示すように、導電性の軸受け38を介して導電性の基体2の両端を、各々4.9Nの荷重で押しながら直径30mmの円柱形金属37を回転させ、現像ローラ16を60rpmの速度で従動回転させた。次に、図5(b)に示すように、高圧電源39によって電圧50Vを印加し、円柱形金属37とグランドとの間に配設した既知の抵抗値(現像ローラ16の抵抗値に対して2桁以上抵抗値が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER、FLUKE社製)を用いた。測定した電位差と抵抗器の抵抗値とから、現像ローラ16を介して円柱形金属37に流れた電流を計算により求めた。そして、印加電圧50Vを得られた電流で割ることによって、現像ローラ16の抵抗値を求めた。ここで、前記電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値をローラ抵抗値とした。
(温度0℃の環境下でのゴーストの評価)
温度0℃の環境中で抵抗値の測定を行った現像ローラを用いて、以下の評価を行った。
図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例および比較例で得られた現像ローラを、現像ローラ16として装填した。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。
次いで、ゴースト画像の評価を行った。すなわち、ブラックトナーを用いて、画像パターンとして1枚内で先端部に15mm角のベタ黒、その後に全面ハーフトーンの画像を印字した。そして、ハーフトーン部分に現れるトナー担持体周期の濃度ムラ(ゴースト)を目視で確認した。ゴーストの評価の評価基準は以下のとおりである。
A:ゴーストが全く認められない。
B:極軽微なゴーストが認められる。
C:顕著なゴーストが認められる。
一方で、かかる構造を含有していない比較例1〜3に係る現像ローラは、低温環境下において、抵抗値の上昇およびゴースト画像の発生が認められた。
[実施例25]
(基体の用意)
基体として、厚さ0.08mmのステンレス鋼(SUS304、日新製鋼社製)を、長さ200mm、幅23mmの寸法にプレス切断して、ステンレス鋼製のシート(以下、「SUSシート」という)を用意した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリオールA−1:100.0質量部
・イソシアネートB−1:45.7質量部
・重合体P−1:15.1質量部
・イオン化合物I−13:5.6質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製):30.3質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):15.1質量部
次に、総固形分比が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加えた後、サンドミルにて混合した。次いで、さらに、メチルエチルケトンで粘度10〜12cpsに調整して樹脂層形成用塗料を調製した。
樹脂層形成用塗料の材料である、重合体およびイオン化合物の種類と配合量を、表11に記載の通りに変更した以外は実施例25と同様にして、実施例26、27に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリオールA−2:70.0質量部
・イソシアネート基末端プレポリマーB−2:138.5質量部
・重合体P−14:17.9質量部
・イオン化合物I−20:11.7質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製):35.7質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):17.9質量部
以降の操作は、実施例25と同様にして、実施例28に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料の材料である、重合体およびイオン化合物の種類と各材料の配合量を、表11に記載の通りに変更した以外は実施例28と同様にして、実施例29に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリオールA−3:110.0質量部
・イソシアネートB−1:27.1質量部
・重合体P−21:14.1質量部
・イオン化合物I−10:3.6質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製):28.2質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):14.1質量部
以降の操作は、実施例25と同様にして、実施例30に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料の材料である、重合体およびイオン化合物の種類と各材料の配合量を、表11に記載の通りに変更した以外は実施例30と同様にして、実施例31に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層形成用塗料の材料である、重合体およびイオン化合物の種類と各材料の配合量を、表11に記載の通りに変更した以外は実施例25と同様にして、比較例4、5に係る現像ブレードを作製した。なお、比較例5においては、第一の樹脂に係る重合体を添加しなかった。
得られた実施例25〜31、および比較例4、5に係る現像ブレードについて、以下の評価を行った。評価結果を表12にまとめて示す。
N/N環境下および0℃の環境下に、6時間現像ブレードを放置した後、各環境下で抵抗値を測定した。
ブレードの抵抗値の測定は、図5に示す抵抗値変動評価冶具を用いて、次のように行った。なお、図5に示す冶具における現像ローラ16に代えて、現像ブレードを用いた。図5(a)に示すように、導電性の軸受け38を介して現像ブレード両端の、樹脂層を形成していない基体部分を各々4.9Nの荷重で押しながら、直径30mmの円柱形金属37を回転させずに、現像ブレードを固定した。次に、図5(b)に示すように、高圧電源39によって電圧50Vを印加し、円柱形金属37とグランドとの間に配設した既知の抵抗値(現像ブレードの抵抗値に対して2桁以上抵抗値が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER、FLUKE社製)を用いた。測定した電位差と抵抗器の抵抗値から、現像ブレードを介して円柱形金属37に流れた電流を計算により求めた。そして、印加電圧50Vを得られた電流で割ることにより、現像ブレードの抵抗値を求めた。ここで、前記電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値をブレード抵抗値とした。
(規制不良評価)
図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例および比較例の現像ブレードを現像ブレード21として装填した。なお、現像ローラは変更しなかった。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。次に、黒色で印字率1%の画像を100枚連続して出力した。その後、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力した。これらの画像を出力した後、現像ブレード表面のトナーコートの状態観察を行い、トナーへの帯電異常に起因する静電的トナー凝集(規制不良)の有無を目視で観察した。規制不良評価の評価基準は以下のとおりである。なお、規制不良が生じると、例えば非印字部に斑点状のムラが発生したり、トナー塊などが画像上に発生したりする画像弊害が生じることがある。
A:トナーコート上に規制不良が存在しない。
B:トナーコート上には規制不良が存在するが、画像に現れていない。
C:規制不良が画像に現れる。
一方で、かかる構造を含有していない比較例4、5に係る現像ブレードは、低温環境下において、抵抗値の上昇および規制不良の発生が認められた。
[実施例32]
(基体の用意)
基体として、ステンレス鋼(SUS304)製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名:DY39−012、東レ・ダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。
下記に示す各材料を加圧式ニーダーで混合して、A練りゴム組成物を得た。
・NBRゴム(商品名:Nipol DN219、日本ゼオン社製):100.0質量部
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#4300、東海カーボン社製):40.0質量部
・炭酸カルシウム(商品名:ナノックス#30、丸尾カルシウム社製):20.0質量部
・ステアリン酸(商品名:ステアリン酸S、花王社製):1.0質量部
・硫黄(商品名:Sulfax 200S、鶴見化学工業社製):1.2質量部
・テトラベンジルチウラムジスルフィド(商品名:TBZTD、三新化学工業社製):4.5質量部
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリオールA−1:100.0質量部
・イソシアネートB−1:45.7質量部
・重合体P−1:4.5質量部
・イオン化合物I−17:3.7質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製):29.9質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):14.9質量部
次に、総固形分比が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加えた後、サンドミルにて混合した。次いで、さらに、メチルエチルケトンで粘度10〜12cpsに調整して樹脂層形成用塗料を調製した。
樹脂層形成用塗料の材料である、重合体およびイオン化合物の種類と各材料の配合量を、表13に記載の通りに変更した以外は実施例32と同様にして、実施例33、34に係る帯電ローラを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリオールA−2:70.0質量部
・イソシアネート基末端プレポリマーB−2:138.5質量部
・重合体P−4:5.3質量部
・イオン化合物I−8:10.4質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製):35.5質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):17.7質量部
以降は、実施例32と同様にして、実施例35に係る帯電ローラを作製した。
樹脂層形成用塗料の材料である、重合体およびイオン化合物の種類と各材料の配合量を表13に記載の通りに変更した以外は実施例35と同様にして、実施例36に係る帯電ローラを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・ポリオールA−3:110.0質量部
・イソシアネートB−1:23.9質量部
・重合体P−10:4.2質量部
・イオン化合物I−31:4.9質量部
・シリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製):27.8質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−400、根上工業社製):13.9質量部
以降は、実施例32と同様にして、実施例37に係る帯電ローラを作製した。
樹脂層形成用塗料の材料である、重合体およびイオン化合物の種類と配合量を、表13に記載の通りに変更した以外は実施例37と同様にして、実施例38に係る帯電ローラを作製した。
樹脂層形成用塗料の材料である、重合体およびイオン化合物の種類と各材料の配合量を、表13に記載の通りに変更した以外は実施例32と同様にして、比較例6、7に係る帯電ローラを作製した。なお、比較例7においては、第一の樹脂に係る重合体を添加しなかった。
得られた実施例32〜38および比較例6、7に係る帯電ローラについて、以下の評価を行った。評価結果を表14にまとめて示す。
現像ローラの評価と同様にして、N/N環境下および0℃の環境下に6時間帯電ローラを放置した後、各環境下で抵抗値を測定した。
帯電ローラの抵抗値の測定は、前述の現像ローラの抵抗値の測定と同様の装置を用いて行った。ただし、測定時におけるローラの回転数を30rpm、印加電圧を200Vとした。それ以外は、現像ローラと同様に測定を行い、帯電ローラ抵抗値とした。
(温度0℃の環境下での横スジ画像評価)
帯電ローラの抵抗値の上昇により、ハーフトーン画像に細かいスジ状の濃度ムラが発生することがある。これを横スジ画像と呼ぶ。この横スジ画像は、抵抗値が上昇するほど悪化する傾向にあり、長期利用に伴い目立つ傾向がある。本発明の電子写真用部材を帯電ローラとして組込み、以下の評価を行った。
電子写真式のレーザープリンター(商品名:HP Color Laserjet Enterprise CP4515dn、HP社製)に、帯電ローラとして、実施例32〜38および比較例6、7で得られた帯電ローラを装填し、0℃環境中に設置した後2時間放置した。次いで、印字濃度4%画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅2ドット、間隔50ドットの横線を描く画像)を連続画像出力する耐久試験を行った。また、24000枚の画像出力後に、画像チェックのためにハーフトーン画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を出力した。得られた画像を目視にて観察し、横スジの発生の有無を評価した。
A:横スジが全く発生しないレベル。
B:横スジが画像端部のみに軽微に発生するレベル。
C:横スジが画像のほぼ半分の領域に発生し、目立つレベル。
一方で、かかる構造を含有していない比較例6、7に係る帯電ローラは、低温環境下において、抵抗値の上昇および横スジの発生が認められた。
[実施例39]
基体として、ステンレス鋼(SUS304)製の直径5mmの芯金を金型に配置し、以下の材料を混合して得られるウレタンゴム組成物を、金型内に形成されたキャビティに注入した。
・ポリエーテルポリオール(商品名:EP550N;三井化学工業社製):85.0質量部
・イソシアネート(商品名:コスモネートTM20;三井化学工業社製):22.7質量部
・重合体P−1:5.0質量部
・イオン化合物I−29:10.0質量部
・シリコーン整泡剤(商品名:SRX274C、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製):1.0質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT−ET、東ソー社製):0.3質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT−L33、東ソー社製):0.2質量部
・水:2.0質量部
重合体およびイオン化合物の種類と配合量を、表15に記載の通りに変更した以外は実施例39と同様にして、実施例40〜45に係るトナー供給ローラを作製した。
重合体およびイオン化合物の種類と配合量を、表15に記載の通りに変更した以外は実施例39と同様にして、比較例8、9に係るトナー供給ローラを作製した。なお、比較例9においては、第一の樹脂に係る重合体を添加しなかった。
得られた実施例39〜45および比較例8、9に係るトナー供給ローラについて、以下の評価を行った。評価結果を表16にまとめて示す。
現像ローラの評価と同様にして、N/N環境下および0℃の環境下に6時間トナー供給ローラを放置した後、各環境下で抵抗値を測定した。
トナー供給ローラの抵抗値の測定は、前述の現像ローラの抵抗値の測定と同様の装置を用いて行った。ただし、基体の両端に加える荷重を2.5N、測定時におけるローラの回転数を32rpmとした。それ以外は、現像ローラと同様に測定を行い、トナー供給ローラ抵抗値とした。
(規制不良評価)
図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例および比較例のトナー供給ローラを装填した。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。次に、黒色で印字率1%の画像を100枚連続して出力した。その後、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力した。これらの画像を出力した後、現像ブレード表面のトナーコートの状態観察を行い、トナーへの帯電異常に起因する静電的トナー凝集(規制不良)の有無を目視で観察した。規制不良評価の評価基準は以下のとおりである。なお、規制不良が生じると、例えば非印字部に斑点状のムラが発生したり、トナー塊などが画像上に発生したりする画像弊害が生じることがある。
A:トナーコート上に規制不良が存在しない。
B:トナーコート上には規制不良が存在するが、画像に現れていない。
C:規制不良が画像に現れる。
一方で、かかる構造を含有していない比較例8、9に係るトナー供給ローラは、低温環境下において、抵抗値の上昇および規制不良の発生が認められた。
また、表18に、実施例で用いた各イオン化合物について、該イオン化合物が有する構造および各構造式中のR1〜R5、Z1〜Z13との関連を示す。
1B 電子写真用ブレード
2 基体
3 樹脂層
16 現像ローラ
19 トナー供給ローラ
21 現像ブレード
Claims (7)
- 導電性の基体と樹脂層とを有する電子写真用部材であって、
該樹脂層は、
第一の樹脂と、
第二の樹脂と、
アニオンと、を含み、
該第一の樹脂は、側鎖に窒素含有基を有し、
該第二の樹脂は、構造式(1)〜(4)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有することを特徴とする電子写真用部材:
構造式(Z101)〜(Z103)中、記号「*」は、該構造式(1)における窒素原子との結合部位、または、該構造式(2)〜(4)における含窒素複素環を構成する窒素原子もしくは炭素原子との結合部位を示し、記号「**」は、該第二の樹脂を構成するポリマー鎖中の炭素原子との結合部位を表す。 - 前記第一の樹脂は、下記構造式(5)〜(10)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有する、請求項1に記載の電子写真用部材:
- 前記アニオンは、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、ジシアナミドアニオンおよびチオシアネートアニオンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載の電子写真用部材。
- 前記第二の樹脂は、前記構造式(2)で示されるカチオン構造を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
- 前記第一の樹脂は、前記構造式(5)および(6)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
- 電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用部材を有する電子写真装置。
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