JP7321815B2 - 電子写真部材、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態に係る電子写真部材は、導電性の基体および該基体上の導電性の樹脂層を有する。
電子写真部材の一例として、ローラ形状を有する電子写真部材(以降、「電子写真ローラ」ともいう)を、図1(a)~(c)に示す。図1(a)に示す電子写真ローラ1Aは、導電性の基体2と、その外周に設けられた導電性の樹脂層3とからなる。図1(b)に示すように、基体2と樹脂層3との間に、さらに弾性層4が設けられていてもよい。
また、電子写真ローラ1Aは、図1(c)に示すように、弾性層4と樹脂層3の間に中間層5を配置した3層構造であってもよく、中間層5が複数配置された多層構成であってもよい。電子写真ローラ1Aにおいて、本発明の電子写真部材がより効果的に奏するためには、図1(a)~(c)に示すように、樹脂層3が電子写真ローラ1Aの最表層として存在していることが好ましい。また、電子写真ローラ1Aは、弾性層4を有することが好ましい。
基体2は、電子写真部材の支持部材、および場合によっては電極として機能する。基体2は、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;クロムまたはニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。電子写真部材がローラ形状である場合、基体2は、中実円柱状または中空円筒状であり、電子写真部材がブレード形状である場合、基体2は、薄板形状である。
弾性層4は、特に、電子写真部材が電子写真ローラ1Aである場合、電子写真ローラ1Aと感光体との当接部において、所定の幅のニップを形成するために必要な弾性を電子写真ローラ1Aに与えるものである。弾性層4は、ゴム材料を含むことが好ましい。ゴム材料としては、以下のものが挙げられる。エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、アクリルニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、圧縮永久歪みおよび柔軟性の観点から、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、付加硬化型のシリコーンゴムの硬化物が挙げられる。
樹脂層3は、構造式(1)~(6)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有する樹脂と、アニオンと、疎水化度が40%以上80%以下の無機粒子とを含む。
該樹脂は、例えば、構造式(1)~(6)で示される構造に対応する構造を有し、かつ、水酸基、アミノ基、およびグリシジル基からなる群から選ばれる基を少なくとも1個有するイオン化合物と、ポリオールおよびポリイソシアネートとの少なくとも一方と、を反応させることにより得られる。
該樹脂は、導電性を担うアニオンの担持体として機能する。なお、樹脂層3には、カチオン構造を有する樹脂とは別の樹脂が含まれていても良い。
一方、電子写真部材に対する電圧の印加が終了すると、樹脂層中において、偏在していたアニオンは拡散していき、一旦上昇した抵抗値が低下していく。しかしながら、電圧印加中のアニオンの移動に比べ、電圧印加終了後のアニオンの拡散には時間を要するそのため、樹脂層中のアニオンの存在状態が、電圧印加前の状態に戻る前に再び電圧が印加されると、電子写真部材の抵抗値が上昇することとなる。
本樹脂層3に含有される樹脂は、水酸基、アミノ基、グリシジル基由来の基を少なくとも1個有するイオン化合物と、バインダー樹脂とを反応させることにより得られるカチオン構造を有する。バインダー樹脂としては、イオン化合物以外の化合物、好ましくはポリオールと、ポリイソシアネートと、を反応させることにより得られるウレタン樹脂を用いることが好ましい。また、ウレタン樹脂のポリマー鎖は、前記した構造式(7)~(9)で示される構造のうちの少なくとも1つの構造を有することが好ましい。
イオン化合物は、構造式(1)~(6)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有する。以下、構造式(1)~(6)で示される各構造について説明する。
2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムカチオン、2-ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウムカチオン、4-ヒドロキシブチルトリメチルアンモニウムカチオン、4-ヒドロキシブチル-トリ-n-ブチルアンモニウムカチオン、8-ヒドロキシオクチルトリメチルアンモニウムカチオン、8-ヒドロキシオクチル-トリ-n-ブチルアンモニウムカチオン;
ビス(ヒドロキシメチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(3-ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(4-ヒドロキシブチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(8-ヒドロキシオクチル)ジメチルアンモニウムカチオン、ビス(8-ヒドロキシオクチル)-ジ-n-ブチルアンモニウムカチオン;
トリス(ヒドロキシメチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(3-ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(4-ヒドロキシブチル)メチルアンモニウムカチオン、トリス(8-ヒドロキシオクチル)メチルアンモニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
1-メチル-3-ヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(3-ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(4-ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(6-ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(8-ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1-n-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ジメチル-2-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ジメチル-2-(4-ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ジメチル-4-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン;
1,3-ビスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2-メチル-1,3-ビスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、2-メチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4-メチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4-エチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、2-n-ブチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、4-n-ブチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(3-ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(4-ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(8-ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-2,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1-メチル-3,5-ビス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン;
1,2,3-トリスヒドロキシメチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリス(3-ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリス(4-ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリス(6-ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリス(8-ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4-トリス(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4-トリス(3-ヒドロキシプロピル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4-トリス(4-ヒドロキシブチル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4-トリス(6-ヒドロキシヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,3,4-トリス(8-ヒドロキシオクチル)イミダゾリウムカチオン;およびこれらの誘導体。
構造式(3)における含窒素複素芳香族6員環としては、ピリミジン環、ピラジン環が挙げられる。
1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリミジニウムカチオン、1,5-ビス(3-ヒドロキシプロピル)ピリミジニウムカチオン、1-(4-ヒドロキシブチル)-4-(2-ヒドロキシエチル)ピリミジニウムカチオン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルピリミジニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
1,1-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジニウムカチオン、1,1,4-トリス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジニウムカチオン、1,4-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-1-エチルピペラジニウムカチオン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジエチルピペラジニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
1-ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1-(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1-(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、2-メチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3-メチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、4-メチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3-エチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、3-n-ブチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-メチル-2-ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1-メチル-3-ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1-メチル-4-ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1-メチル-2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-メチル-3-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-メチル-4-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-エチル-3-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1-n-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、2-メチル-4-n-ブチル-1-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン;
1,2-ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,3-ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,4-ビスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,2-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,2-ビス(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,3-ビス(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,4-ビス(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,2-ビス(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,3-ビス(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,4-ビス(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,3-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,4-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,2-ビス(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,3-ビス(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,4-ビス(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、2-メチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、2-エチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、5-メチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、5-エチル-1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン;
1,2,4-トリスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,2,4-トリス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4-トリス(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,2,4-トリス(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,2,4-トリス(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,2,4-トリス(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5-トリスヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシブチル)ピリジニウムカチオン、1,3,5-トリス(6-ヒドロキシヘキシル)ピリジニウムカチオン、1,3,5-トリス(8-ヒドロキシオクチル)ピリジニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
1-メチル-1,2-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピロリジニウムカチオン、1-エチル-1,2-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピロリジニウムカチオン、1-ブチル-1,2-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピロリジニウムカチオン、1-メチル-1,2-ビス(4-ヒドロキシブチル)ピロリジニウムカチオン;およびこれらの誘導体。
樹脂層3において、樹脂は、式(1)~(6)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つで示される構造以外の構造をさらに有することが好ましい。そのような構造としては、バインダー樹脂由来の構造がより好ましい。
すなわち、本発明の電子写真部材の樹脂層3において、樹脂がバインダー樹脂をさらに有する場合、バインダー樹脂中のポリマー鎖中のポリエーテルポリオール成分は、構造式(7)で示される構造に相当する。同様に、バインダー樹脂中のポリエステルポリオール成分またはポリカプロラクトンポリオール成分は、構造式(8)で示される構造に相当し、ポリカーボネートポリオール成分は、構造式(9)で示される構造に相当する。
樹脂層3に含まれるアニオンは、本発明の電子写真部材に導電性を付与できるアニオンであればよい。中でも、特に、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、ジシアナミドアニオンおよびチオシアネートアニオンからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。その理由は、上記アニオンは、その化学構造に起因して、ハロゲンのアニオンや硫酸アニオン、硝酸アニオンと比べて化学的に非常に安定であり、イオン化率が高いためである。具体的には、アニオンが分子内に強力な電子求引性基を有し、アニオンの負電荷を安定化させるため、広い温度域で高いイオン化率を示し、低温でも高い導電性の発現に寄与するためと考えられる。なお、アニオンとして、塩素のアニオンや過塩素酸アニオンを用いることもできる。
樹脂層3においては、疎水化度が40%以上80%以下の無機粒子を充填剤として用いる。該充填剤は、樹脂層形成用塗料に添加することにより、樹脂層の形成工程において該塗料をコーティングする際に、成膜助剤や補強材としての機能を発揮する。
バインダー樹脂としてウレタン樹脂を用いる場合、例えば以下の材料を混合し、反応させることにより、本発明の電子写真部材の樹脂層を形成するための樹脂層形成用塗料が得られる。
1.バインダー樹脂を形成する材料として、
・ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等
・ポリイソシアネート
2.カチオン構造中に、水酸基、アミノ基、グリシジル基からなる群より選択される少なくとも1つを含むイオン化合物
3.フィラーとして、疎水化度が40%以上80%以下の無機粒子
樹脂層の形成方法としては、特に限定されるものではないが、スプレー塗工、浸漬塗工、またはロールコート法が挙げられる。これらの中でも、特開昭57-5047号公報に記載されているような、浸漬槽の上端から塗料をオーバーフローさせる浸漬塗工方法は、樹脂層を形成する方法として簡便かつ生産安定性に優れているため、好ましく用いられる。
樹脂層の厚さは、1.0μm以上20.0μm以下であることが好ましい。
樹脂層は、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で、導電性充填剤を含有してもよい。導電性充填剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、銅の如き導電性金属を用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックは、比較的容易に入手でき、導電付与性と補強性が高いため、特に好ましく用いられる。
本態様に係る電子写真部材は、電子写真画像形成装置における現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、および現像ブレード、クリーニングブレードとして好適に用いることができる。電子写真部材は、磁性一成分トナー若しくは非磁性一成分トナーを用いた非接触型現像装置または接触型現像装置、および二成分トナーを用いた現像装置のいずれの現像装置にも適用することができる。
本態様に係る電子写真部材は、プロセスカートリッジ17における現像ローラ16、帯電ローラ24、トナー供給ローラ19、および現像ブレード21、クリーニングブレード26として好適に用いることができる。図4は、本発明の一態様に係るプロセスカートリッジ17の一例を示す概略断面図である。図4において、前記電子写真部材は現像ローラ16として搭載されている。プロセスカートリッジ17は、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。また、プロセスカートリッジ17は、現像手段である現像ローラ16と現像ブレード21とを備える現像装置22、電子写真感光体18、クリーニング手段であるクリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、および帯電手段である帯電ローラ24が一体化されたものである。現像装置22は、さらにトナー容器20を含み、トナー容器20内には、トナー15が充填されている。トナー容器20内のトナー15は、トナー供給ローラ19によって現像ローラ16の表面に供給され、現像ブレード21によって、現像ローラ16の表面に所定の厚みのトナー15の層が形成される。
まず、電子写真部材の樹脂層に含まれる樹脂の原料である、イオン化合物およびバインダー樹脂を作製するために必要な原料化合物を合成した。また、電子写真部材の樹脂層に含まれる無機粒子を調製した。
(イオン化合物I-1)
ビス(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業社製)15.0gをイオン交換水40.0gに溶解させた。次に、イオン交換水60gに溶解させたアニオン交換試薬(以下、「アニオン原料」と称す。)としてリチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(キシダ化学社製)37.7gを30分かけて滴下した後、30℃で2時間攪拌した。得られた反応溶液に対し、酢酸エチル100.0gを用いて2回抽出操作を行った。続いて、分液した酢酸エチル層を、イオン交換水60gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下で酢酸エチルを留去し、アニオンがビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオンであるイオン化合物I-1を得た。イオン化合物I-1は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表1に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I-1の合成と同様にして、イオン化合物I-2~I-6を得た。
トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド50%水溶液(東京化成工業社製)30.0gをイオン交換水50.0gに溶解させた。次に、イオン交換水30gに溶解させたアニオン原料としてのノナフルオロブタンスルホン酸カリウム(商品名KFBS;三菱マテリアル電子化成社製)30.8gを30分かけて滴下した後、30℃で6時間攪拌した。得られた反応溶液に対し、酢酸エチル100.0gを用いて2回抽出操作を行った。続いて、分液した酢酸エチル層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下で酢酸エチルを留去し、イオン化合物I-7を得た。イオン化合物I-7は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表2に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I-7の合成と同様にして、イオン化合物I-8~I-11を得た。
ジエチレントリアミン(東京化成工業社製)15.0gを、テトラヒドロフラン35.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させたヨウ化メチル(東京化成工業社製)45.5gを30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール100mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を純水160mlに溶解し、アニオン原料として、ヘプタフルオロ酪酸ナトリウム(和光純薬工業社製)37.7gを加え、室温下で1時間撹拌した。得られた反応溶液に対し、酢酸エチル100.0gを用いて2回抽出操作を行った。次に、分液した酢酸エチル層を、イオン交換水60gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下で酢酸エチルを留去し、イオン化合物I-12を得た。イオン化合物I-12は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表3に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I12の合成と同様にして、イオン化合物I-13を得た。
2-メチルイミダゾール-1-エタノール(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた臭化エチル(昭和化学社製)14.5gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。次に、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を、純水100mlに溶解し、アニオン原料として、リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)38.2gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル100mlを加え、有機層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I-14を得た。イオン化合物I-14は、下記式で表される化合物である。
窒素雰囲気下、イミダゾール(日本合成化学社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)9.2gを、テトラヒドロフラン60.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた2-ブロモエタノール(東京化成工業社製)60.7gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。次いで、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を純水200mlに溶解し、アニオン原料として、リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)69.6gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル200mlを加え、有機層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I-15を得た。イオン化合物I-15は、下記式で表される化合物である。
アニオン原料およびその配合量を表4に記載の通りに変更した以外は、イオン化合物I-15の合成と同様にして、イオン化合物I-16~I-19を得た。
窒素雰囲気下、イミダゾール-2-エタノール(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン60.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させた2-ブロモエタノール(東京化成工業社製)42.1gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。次いで、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を純水200mlに溶解し、アニオン原料として、リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)48.3gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル200mlを加え、有機層を、イオン交換水120gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I-20を得た。イオン化合物I-20は、下記式で表される化合物である。
カチオン原料として、イミダゾール(東京化成工業社製)15.0gをジクロロメタン50.0gに溶解させ、ジクロロメタン50.0gに溶解させたエピクロロヒドリン(東京化成工業社製)44.9gを室温で30分かけて滴下した後、6時間加熱還流した。次に、反応溶液を室温まで冷却し、炭酸ナトリウム5質量%水溶液200mlを加えて30分撹拌した後、分液し、ジクロロメタン層を、イオン交換水120gを用いて2回洗浄した。次に、減圧下でジクロロメタンを留去して残留物を得た。
さらに、得られた残留物をアセトン50.0gに溶解させた後、イオン交換水150.0gに溶解させたアニオン原料としてのリチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)69.6gを30分かけて滴下した後、30℃で2時間攪拌した。得られた溶液を分液し、有機層を、イオン交換水50.0gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下でアセトンを留去して、イオン化合物I-21を得た。イオン化合物I-21は、下記式で表される化合物である。
5-メチルピラジン-2-メタノール(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させたヨウ化メチル(東京化成工業社製)18.9gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。次に、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を、純水100mlに溶解し、アニオン原料として、カリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(商品名:K-TFSM;セントラル硝子社製)59.8gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル100mlを加え、有機層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I-22を得た。イオン化合物I-22は、下記式で表される化合物である。
N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2,5-ジメチルピペラジン(シグマ・アルドリッチ社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)9.2gをテトラヒドロフラン80.0gに溶解させた。そこへ、テトラヒドロフラン80.0gに溶解させたヨウ化メチル(東京化成工業社製)11.6gを室温で30分かけて滴下した後、85℃で12時間加熱還流した。次に、反応溶液に水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール200mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を、純水100mlに溶解し、アニオン原料として、リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)23.4gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル100mlを加え、有機層を、イオン交換水80gを用いて3回洗浄した。次に、減圧下で酢酸エチルを留去して、イオン化合物I-23を得た。イオン化合物I-23は、下記式で表される化合物である。
4-ピリジンブタノール(シグマ・アルドリッチ社製)15.0gをアセトニトリル45.0gに溶解し、室温で4-ブロモ-1-ブタノール(東京化成工業社製)16.7gを30分かけて滴下した後、90℃で12時間加熱還流した。次に、反応溶液を室温まで冷却し、減圧下でアセトニトリルを留去した。得られた濃縮物をジエチルエーテル30.0gにて洗浄し、上澄み液を分液により除去した。洗浄および分液操作を3回繰り返し、残留物を得た。さらに、得られた残留物をジクロロメタン110.0gに溶解させた後、イオン交換水40.0gに溶解させたアニオン原料としてのリチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)31.4gを30分かけて滴下した後、30℃で12時間攪拌した。得られた溶液を分液し、有機層を、イオン交換水80.0gを用いて3回洗浄した。続いて、減圧下でジクロロメタンを留去し、イオン化合物I-24を得た。イオン化合物I-24は、下記式で表される化合物である。
2-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルピロリジン(東京化成工業社製)15.0g、水素化ナトリウム60%流動パラフィン分散(東京化成工業社製)13.5gを、テトラヒドロフラン65.0gに溶解させた。次に、反応系を窒素雰囲気下とし、氷冷した。続いて、テトラヒドロフラン40.0gに溶解させた2-ブロモエタノール(東京化成工業社製)16.0gを30分かけて滴下した。反応溶液を12時間加熱還流した後、水100mlを加え、減圧下で溶媒を留去した。残渣にエタノール80mlを加え、室温で撹拌し、不溶物をセライトろ過により除いた後、再び減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物を、純水160mlに溶解し、アニオン原料として、リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製)36.7gを加え、室温下で1時間撹拌した。反応溶液にクロロホルム70mlを加え、炭酸ナトリウム5質量%水溶液40mlを加えて30分撹拌した後分液し、クロロホルム層に対して、イオン交換水50gを用いて3回洗浄操作を行った。次に、減圧下でクロロホルムを留去して、イオン化合物I-25を得た。イオン化合物I-25は、下記式で表される化合物である。
比較例用イオン化合物I-27として、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学社製)をそのまま用いた。
(ポリオールA-1~A-11)
ポリオールA-1~A-11として、以下の材料を用いた。
ポリオールA-1:ポリエーテルポリオール(商品名:PTG-L1000、保土谷化学工業社製)
ポリオールA-2:ポリエステルポリオール(商品名:クラレポリオールP-2010、クラレ社製)
ポリオールA-3:ポリカプロラクトンポリオール(商品名:プラクセル220、ダイセル社製)
ポリオールA-4:ポリカーボネートポリオール(商品名:クラレポリオールC-2090、クラレ社製)
ポリオールA-5:ポリエーテルポリオール(商品名:サンニックスPP-1000、三洋化成工業社製)
ポリオールA-6:ポリカーボネートポリオール(商品名:クラレポリオールC-1065N、クラレ社製)
ポリオールA-7:ポリエステルポリオール(商品名:ニッポラン4040、東ソー社製)
ポリオールA-8:ポリエステルポリオール(商品名:クラレポリオールN-2010、クラレ社製)
ポリオールA-9:ポリカーボネートポリオール(商品名:クラレポリオールC-3090、クラレ社製)
ポリオールA-10:ポリエステルポリオール(商品名:クラレポリオールF-2010、クラレ社製)
ポリオールA-11:ポリカーボネートポリオール(商品名:クラレポリオールC-2015N、クラレ社製)
(イソシアネート基末端プレポリマーB-1)
窒素雰囲気下、反応容器中でポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR-200、日本ポリウレタン工業社製)86.6質量部に対し、ポリオールA-1の100.0質量部を、反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2.5時間反応させて、メチルエチルケトン80.0質量部を加えた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量5.4質量%のイソシアネート基末端プレポリマーB-1を得た。
使用するポリオールの種類および、ポリオール100.0質量部に対するポリメリックMDI配合量を表8に記載の通りに変更した以外は、イソシアネート基末端プレポリマーB-1の合成と同様にして、イソシアネート基末端プレポリマーB-2~B-8を得た。
疎水化度が40%以上80%以下の無機粒子としては、市販品をそのまま用いても良いし、何らかの処理を施した後に利用しても良い。また、該処理の方法としては、アルキルシランやシリコーンオイルといった処理剤を用いても良い。なお、処理剤の種類、処理方法は何ら限定するものでない。
無機粒子P-1~P-4として、以下の市販のものを用いた。
無機粒子P-1:シリカ粒子(商品名:MSP-011、テイカ社製)
無機粒子P-2:シリカ粒子(商品名:MSP-009、テイカ社製)
無機粒子P-3:酸化チタン粒子(商品名:AEROXIDE TiO2 T 805、日本アエロジル社製)
無機粒子P-4:アルミナ粒子(商品名:AEROXIDE Alu C 805、日本アエロジル社製)
フュームドシリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製)100質量部を反応槽に仕込み、窒素雰囲気下、水0.3質量部を添加し、撹拌しながらヘキサメチルジシラザン(商品名:SZ-31、信越シリコーン社製)2質量部を滴下投入した。200℃で1時間加熱撹拌後、アンモニアを減圧除去し、無機粒子P-5を得た。
フュームドシリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製)100質量部を反応槽に仕込み、窒素雰囲気下、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業社製)0.6質量部およびヘキサメチルジシラザン(商品名:SZ-31、信越シリコーン社製)0.7質量部を噴霧した。窒素雰囲気下のまま60℃で10時間保持後、さらに150℃で5時間保持した。揮発成分を除去後、無機粒子P-6を得た。
フュームドシリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製)100質量部を反応槽に仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながらオルガノポリシロキサン(商品名:KF-96-50cs、信越シリコーン社製)10質量部とヘキサン10000質量部の混合溶液を導入し、100℃で1時間保持した。さらに300℃で2時間加熱撹拌し、溶剤を除去後、ピン式解砕装置にて解砕処理した。窒素雰囲気下、粉砕したものに、90%メタノール水溶液10質量部とヘキサメチルジシラザン(商品名:SZ-31、信越シリコーン社製)20質量部とヘキサン10000質量部の混合溶液を導入し、200℃で1時間加熱撹拌した。その後、アンモニアを減圧除去し、無機粒子P-7を得た。
無機粒子P-8~P-11として、以下の市販のものを用いた。
無機粒子P-8:シリカ粒子(商品名:ACEMATT OK-60、日本アエロジル社製)
無機粒子P-9:酸化チタン粒子(商品名:MT-500B、テイカ社製)
無機粒子P-10:アルミナ粒子(商品名:AEROXIDE Alu C、日本アエロジル社製)
無機粒子P-11:シリカ粒子(商品名:OX50、日本アエロジル社製)
フュームドシリカ(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製)100質量部を反応槽に仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながらオルガノポリシロキサン(商品名:KF-96-50cs、信越シリコーン社製)20質量部とヘキサン100質量部の混合溶液を導入し、100℃で1時間保持した。さらに300℃で2時間加熱撹拌し、溶剤を除去後、ピン式解砕装置にて解砕処理した。窒素雰囲気下、粉砕したものに、50%メタノール水溶液2質量部とヘキサメチルジシラザン(商品名:SZ-31、信越シリコーン社製)10質量部を滴下投入し、200℃で1時間加熱撹拌した。その後、アンモニアを減圧除去し、無機粒子P-12を得た。
<現像ローラの作製>
[実施例1]
(基体の用意)
基体として、ステンレス鋼(SUS304)製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名:DY39-012、東レ・ダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。
(弾性層の形成)
用意した基体を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を、金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名:SE6905A/B、東レ・ダウコーニング社製):100.0質量部
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#4300、東海カーボン社製):15.0質量部
・白金触媒:0.1質量部
続いて、金型を加熱し、シリコーンゴムを温度150℃で15分間加硫して硬化させた。周面に硬化したシリコーンゴム層が形成された基体を金型から脱型した後、当該芯金を、さらに温度180℃で1時間加熱して、シリコーンゴム層の硬化反応を完了させた。こうして、基体の外周に直径12mmのシリコーンゴム弾性層を有する弾性ローラD-1を作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・イオン化合物I-15:8.2質量部
・無機粒子P-1:43.3質量部
・ポリオールA-1:100.0質量部
・イソシアネート基末端プレポリマーB-1:258.0質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC-400、根上工業社製):28.9質量部
次に、総固形分比が35質量%となるようにメチルエチルケトンを加えた後、サンドミルにて混合した。次いで、さらにメチルエチルケトンで粘度10~12cpsに調整して、樹脂層形成用塗料を調製した。
先に作製した弾性ローラD-1を、該樹脂層形成用塗料に浸漬して、弾性ローラD-1の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに、温度150℃にて1時間加熱処理することにより、弾性層外周に膜厚約15μmの樹脂層を有する、実施例1に係る現像ローラを作製した。
ジムロートを取り付けたフラスコに、実施例1に係る現像ローラ1本から剥離した樹脂層を32g、分解剤としてジエタノールアミン(東京化成工業社製)を320ml、純水1.5mlを加え、撹拌しながら160℃で20時間加熱還流した。反応後の溶液にメチルエチルケトンを300ml加え、遠心分離を行った。さらに、メチルエチルケトン200mlで2回洗浄、遠心分離後、減圧乾燥し剥離した樹脂層に含まれる無機粒子を3.2g得た。
前記粉体濡れ性試験機により疎水化度を測定したところ、疎水化度は60%だった。
イオン化合物、無機粒子、ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマーおよびウレタン樹脂微粒子の種類と配合量を、表10に記載の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2~15、17~30に係る現像ローラを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例16に係る現像ローラを作製した。
・イオン化合物I-15:2.7質量部
・無機粒子P-1:18.8質量部
・ポリオールA-4:100.0質量部
・イソシアネート基末端プレポリマーB-1:122.1質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC-400、根上工業社製):18.8質量部
・カーボンブラック(商品名:SUNBLACK X55、旭カーボン社製):9.4質量部
・イオン導電剤(商品名:EF-N115、三菱マテリアル電子化成社製):2.7質量部
イオン化合物、無機粒子、ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマーおよびウレタン樹脂微粒子の種類と配合量を、表11に記載の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1~10に係る現像ローラを作製した。
得られた実施例1~30および比較例1~10に係る現像ローラについて、以下の評価を行った。評価結果を表12および表13にまとめて示す。
温度23℃、相対湿度50%の環境下(以下、「N/N環境下」とも称す。)および0℃の環境下に、6時間現像ローラを放置した後、各環境下で抵抗値を測定した。なお、0℃の如き低温環境下では、23℃環境下に比べて著しく飽和水蒸気圧が低く、抵抗値・画質評価結果の大勢に影響を与えないと考えられるため、0℃の環境下における評価に際しては、相対湿度を特には問わないこととする。
図5に、本測定で用いる、現像ローラの抵抗値を評価するための冶具の概略構成図を示す。図5(a)に示すように、導電性の軸受け38を介して導電性の基体2の両端を、各々4.9Nの荷重で押しながら直径30mmの円柱形金属37を回転させ、現像ローラ16を60rpmの速度で従動回転させた。次に、図5(b)に示すように、高圧電源39によって電圧50Vを印加し、円柱形金属37とグランドとの間に配設した既知の抵抗値(現像ローラ16の抵抗値に対して2桁以上抵抗値が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER、FLUKE社製)を用いた。測定した電位差と抵抗器の抵抗値とから、現像ローラ16を介して円柱形金属37に流れた電流を計算により求めた。そして、印加電圧50Vを得られた電流で割ることによって、現像ローラ16の抵抗値を求めた。ここで、前記電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値をローラ抵抗値とした。
(温度0℃の環境下でのゴーストの評価)
温度0℃の環境中で抵抗値の測定を行った現像ローラを用いて、以下の評価を行った。図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例および比較例で得られた現像ローラを、現像ローラ16として装填した。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。
ランクA:ゴーストが全く認められない。
ランクB:極軽微なゴーストが認められる。
ランクC:顕著なゴーストが認められる。
一方で、特定のカチオン構造または疎水化度が40%以上80%以下の無機粒子を樹脂層に含有していない比較例1~10に係る現像ローラは、低温環境下において、抵抗値の上昇およびゴースト画像の発生が認められた。
タック値の測定用サンプルとして、以下で示す手順で各実施例に対応する樹脂シートを作製した。前記樹脂層形成用塗料膜厚200μmになるように型にキャストし、流動性が無くなるまで乾燥させた。その後、水平台に載せて、気温23℃で24時間乾燥した。そして、温度150℃にて1時間加熱処理を実施し、室温まで冷却後、型からはがし、タック値測定用のテストピースとして、樹脂シートを得た。
・測定接触部:直径5mmのステンレス鋼製のプローブ
・荷重センサー:LT25A-100
・接触時進入速度:30mm/min
・試験時引き上げ速度:600mm/min
・接触時荷重:60gf
・接触静止時間:5秒
・測定環境:温度40℃、相対湿度95%環境
トナーの初期固着濃度の評価として、抵抗値の測定を行った現像ローラを用いて、以下の評価を行った。図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のイエロートナープロセスカートリッジに、各実施例および比較例で得られた現像ローラを、現像ローラ16として装填した。そして、このレーザープリンターを用いて白ベタ画像の出力動作を行い、現像ローラの表面がイエロートナーでコートされた状態とした。単位面積当たりのトナー量を別途測定したところ、0.45mg/cm2だった。ここで、現像ローラ上の単位面積当たりのトナー量は、現像ローラ上のトナーを内部にフィルタを有する吸引式ファラデーゲージで吸引捕集して、そのときのフィルタの質量増加をトナーの捕集面積で除して求めた。このような状態にある現像ローラをイエロートナーカートリッジから取り出した。取り出した現像ローラを、ポリテトラフルオロエチレン製の平板上に載せて、300gf荷重(軸芯体両端に各150gf荷重)で平板に対して現像ローラを圧接し、温度40℃、相対湿度95%の環境下で、3ヵ月間放置した。次いで、現像ローラを、平板に対する圧接状態から解放し、温度25℃、相対湿度45%の環境に3時間静置し、その後、現像ローラの表面全体をエアブローした。ここで、エアブローの条件は、エアブローガンノズル口径3mm、高圧空気ないし窒素ガス0.6MPa、現像ローラ表面―ノズル間距離20cm、ガン移動速度を現像ローラ長手方向往復移動速度30cm/s、現像ローラ回転速度30rpm、吹き付け時間30sとした。
次いで、現像ローラ上にエアブローで除去できずに固着したトナーを、粘着テープ(商品名:メンディングテープ、住友スリーエム社製)を用いて剥離した。このイエロートナーが付着した粘着テープを普通紙上におき、反射濃度計(商品名:TC-6DS/A、東京電色社製)を用いて反射濃度を測定した。また、対照として、トナーの付着していない粘着テープを同様に普通紙上におき、同様に反射濃度を測定した。そして、トナーの付着していない粘着テープの反射濃度を基準として、反射率の低下量(%)を算出した。
この測定は、現像ローラの中央部、および両端部の計3点で行い、その算術平均値を、評価対象の現像ローラのトナーの初期固着濃度とした。なお、初期固着濃度が低いほど、現像ローラの表面へのトナー固着を抑制できているといえる。
[実施例31]
(基体の用意)
基体として、ステンレス鋼(SUS304)製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名:DY39-012、東レ・ダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。
(弾性層の形成)
下記に示す各材料を加圧式ニーダーで混合して、A練りゴム組成物を得た。
・NBRゴム(商品名:Nipol DN219、日本ゼオン社製):100.0質量部
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#4300、東海カーボン社製):40.0質量部
・炭酸カルシウム(商品名:ナノックス#30、丸尾カルシウム社製):20.0質量部
・ステアリン酸(商品名:ステアリン酸S、花王社製):1.0質量部
さらに、得られたA練りゴム組成物166.0質量部と、下記に示す各材料をオープンロールにて混合して、未加硫ゴム組成物を調製した。
・硫黄(商品名:Sulfax 200S、鶴見化学工業社製):1.2質量部
・テトラベンジルチウラムジスルフィド(商品名:TBZTD、三新化学工業社製):4.5質量部
次に、導電性の軸芯体の供給機構、および未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド押出機を用意し、クロスヘッドには内径16.5mmのダイスを取付け、押出機とクロスヘッドを80℃に、導電性の軸芯体の搬送速度を60mm/secに調整した。この条件で、押出機より上記未加硫ゴム組成物を供給して、クロスヘッド内にて、導電性の軸芯体に未加硫ゴム組成物を弾性層として被覆し、未加硫ゴムローラを得た。次に、170℃の熱風加硫炉中に該未加硫ゴムローラを投入し、60分間加熱することにより未研磨導電性ローラを得た。その後、弾性層の端部を切除して、弾性層の表面を回転砥石で研磨した。これにより、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が8.4mm、中央部直径が8.5mmの弾性ローラD-2を作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・イオン化合物I-15:14.7質量部
・無機粒子P-1:47.7質量部
・ポリオールA-1:100.0質量部
・イソシアネート基末端プレポリマーB-1:290.7質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC-400、根上工業社製):31.8質量部
次に、総固形分比が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加えた後、サンドミルにて混合した。次いで、さらに、メチルエチルケトンで粘度10~12cpsに調整して樹脂層形成用塗料を調製した。
先に作製した弾性ローラD-2を、該樹脂層形成用塗料に浸漬して、弾性ローラD-2の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに温度150℃にて1時間加熱処理することにより、弾性層外周に膜厚約15μmの樹脂層を有する、実施例31に係る帯電ローラを作製した。
イオン化合物、無機粒子、ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマーおよびウレタン樹脂微粒子の種類と配合量を、表14に記載の通りに変更した以外は実施例31と同様にして、実施例32、33、35、36に係る帯電ローラを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した以外は実施例31と同様にして、実施例34に係る帯電ローラを作製した。
・イオン化合物I-7:12.1質量部
・無機粒子P-3:37.2質量部
・ポリオールA-2:100.0質量部
・イソシアネート基末端プレポリマーB-2:194.1質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC-400、根上工業社製):24.8質量部
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#4300、東海カーボン社製):12.4質量部
イオン化合物、無機粒子、ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマーおよびウレタン樹脂微粒子の種類と配合量を、表15に記載の通りに変更した以外は実施例31と同様にして、比較例11~20に係る帯電ローラを作製した。
得られた実施例31~36および比較例11~20に係る帯電ローラについて、以下の評価を行った。評価結果を表16および表17にまとめて示す。
現像ローラの評価と同様にして、N/N環境下および0℃の環境下に6時間帯電ローラを放置した後、各環境下で抵抗値を測定した。
帯電ローラの抵抗値の測定は、前述の現像ローラの抵抗値の測定と同様の装置を用いて行った。ただし、測定時におけるローラの回転数を30rpm、印加電圧を200Vとした。それ以外は、現像ローラと同様に測定を行い、帯電ローラ抵抗値とした。
(温度0℃の環境下での横スジ画像評価)
帯電ローラの抵抗値の上昇により、ハーフトーン画像に細かいスジ状の濃度ムラが発生することがある。これを横スジ画像と呼ぶ。この横スジ画像は、抵抗値が上昇するほど悪化する傾向にあり、長期利用に伴い目立つ傾向がある。電子写真部材を帯電ローラとして組込み、以下の評価を行った。
ランクA:横スジが全く発生しないレベル。
ランクB:横スジが画像端部のみに軽微に発生するレベル。
ランクC:横スジが画像のほぼ半分の領域に発生し、目立つレベル。
現像ローラの評価と同様にして、タック値の測定を行った。
帯電ローラ表面のタック性に係る評価として、画像出力後の帯電ローラ表面の汚れの評価を行った。
電子写真式のレーザープリンター(商品名:HP Color Laserjet Enterprise CP4515dn、HP社製)に、帯電ローラとして、実施例31~36および比較例11~20で得られた帯電ローラを装填し、温度30℃、相対湿度80%環境中に設置した後2時間放置した。次いで、印字濃度4%画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅2ドット、間隔50ドットの横線を描く画像)を24000枚連続画像出力する耐久試験を行った。その後、当該プロセスカートリッジから帯電ローラを取り外して、以下の方法にて帯電ローラの汚れを評価した。帯電ローラ上に固着したトナーを、粘着テープ(商品名:メンディングテープ、住友スリーエム社製)を用いて剥離した。このトナーが付着した粘着テープを普通紙上におき、反射濃度計(商品名:TC-6DS/A、東京電色社製)を用いて反射濃度を測定した。また、対照として、トナーの付着していない粘着テープを同様に普通紙上におき、同様に反射濃度を測定した。そして、トナーの付着していない粘着テープの反射濃度を基準として、反射率の差を着色濃度の値として採用した。着色濃度の値が小さいほど、帯電ローラの表面の汚れ量が少ない状態であることを意味する。
[実施例37]
(基体の用意)
基体として、厚さ0.08mmのステンレス鋼(SUS304、日新製鋼社製)を、長さ200mm、幅23mmの寸法にプレス切断して、ステンレス鋼製のシート(以下、「SUSシート」という)を用意した。
(樹脂層の形成)
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した。
・イオン化合物I-15:14.7質量部
・無機粒子P-1:63.6質量部
・ポリオールA-1:100.0質量部
・イソシアネート基末端プレポリマーB-1:290.7質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC-400、根上工業社製):31.8質量部
次に、総固形分比が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加えた後、サンドミルにて混合した。次いで、さらに、メチルエチルケトンで粘度10~12cpsに調整して樹脂層形成用塗料を調製した。
図2に示すように、切断したSUSシートの長手側端部からの長さLが1.5mmになるように、SUSシートを該樹脂層形成用塗料に浸漬して、当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに温度140℃にて1時間加熱処理することで、SUSシートの長手側端部表面に膜厚Tが10μmの樹脂層を有する、実施例37に係る現像ブレードを作製した。
イオン化合物、無機粒子、ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマーおよびウレタン樹脂微粒子の種類と配合量を、表18に記載の通りに変更した以外は実施例37と同様にして、実施例38、40~42に係る現像ブレードを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した以外は、実施例37と同様にして、実施例39に係る現像ブレードを作製した。
・イオン化合物I-1:12.1質量部
・無機粒子P-6:33.6質量部
・ポリオールA-3:100.0質量部
・イソシアネート基末端プレポリマーB-3:159.9質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC-400、根上工業社製):22.4質量部
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#4300、東海カーボン社製):11.2質量部
イオン化合物、無機粒子、ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマーの種類およびウレタン樹脂微粒子と配合量を、表19に記載の通りに変更した以外は実施例37と同様にして、比較例21~30に係る現像ブレードを作製した。
得られた実施例37~42、および比較例21~30に係る現像ブレードについて、以下の評価を行った。評価結果を表20および表21にまとめて示す。
N/N環境下および0℃の環境下に、6時間現像ブレードを放置した後、各環境下で抵抗値を測定した。
ブレードの抵抗値の測定は、図5に示す抵抗値変動評価冶具を用いて、次のように行った。なお、図5に示す冶具における現像ローラ16に代えて、現像ブレードを用いた。図5(a)に示すように、導電性の軸受け38を介して現像ブレード両端の、樹脂層を形成していない基体部分を各々4.9Nの荷重で押しながら、直径30mmの円柱形金属37を回転させずに、現像ブレードを固定した。次に、図5(b)に示すように、高圧電源39によって電圧50Vを印加し、円柱形金属37とグランドとの間に配設した既知の抵抗値(現像ブレードの抵抗値に対して2桁以上抵抗値が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER、FLUKE社製)を用いた。測定した電位差と抵抗器の抵抗値から、現像ブレードを介して円柱形金属37に流れた電流を計算により求めた。そして、印加電圧50Vを得られた電流で割ることにより、現像ブレードの抵抗値を求めた。ここで、前記電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値をブレード抵抗値とした。
(現像ブレードの規制不良に起因するトナー凝集の有無の評価)
図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例および比較例の現像ブレードを現像ブレード21として装填した。なお、現像ローラは変更しなかった。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。次に、黒色で印字率1%の画像を100枚連続して出力した。その後、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力した。これらの画像を出力した後、現像ブレード表面のトナーのコート状態を目視で観察し、トナーへの帯電異常に起因する静電的なトナー凝集の有無を下記の基準で評価した。なお、現像ブレードによるトナーの規制不良が生じると、例えば非印字部に斑点状のムラが発生したり、トナー塊などが画像上に発生したりする画像弊害が生じることがある。
ランクA:トナーコート上に規制不良が存在しない。
ランクB:トナーコート上には規制不良が存在するが、画像に現れていない。
ランクC:規制不良が画像に現れる。
現像ローラの評価と同様にして、タック値の測定を行った。
トナーの初期固着濃度の評価として、抵抗値の測定を行った現像ブレードを用いて、以下の評価を行った。図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のイエロートナープロセスカートリッジに、各実施例および比較例で得られた現像ブレードを、現像ブレード21として装填した。そして、このレーザープリンターを用いて白ベタ画像の出力動作を行い、現像ブレードの表面がイエロートナーでコートされた状態とした。このような状態にある現像ブレードをイエロートナーカートリッジから取り出した。取り出した現像ブレードを、ポリテトラフルオロエチレン製の平板上に載せて、300gf荷重(軸芯体両端に各150gf荷重)で平板に対して現像ブレードを圧接し、温度40℃、相対湿度95%の環境下で、3ヵ月間放置した。次いで、現像ブレードを、平板に対する圧接状態から解放し、温度25℃、相対湿度45%の環境に3時間静置し、その後、現像ブレードの圧接した面の表面をエアブローした。ここで、エアブローの条件は、エアブローガンノズル口径3mm、高圧空気ないし窒素ガス0.6MPa、現像ブレード表面―ノズル間距離20cm、ガン移動速度を現像ブレード長手方向往復移動速度30cm/s、吹き付け時間20sとした。次いで、現像ブレード上に固着したトナーを、粘着テープ(商品名:メンディングテープ、住友スリーエム社製)を用いて剥離した。このイエロートナーが付着した粘着テープを普通紙上におき、反射濃度計(商品名:TC-6DS/A、東京電色社製)を用いて反射濃度を測定した。また、対照として、トナーの付着していない粘着テープを同様に普通紙上におき、同様に反射濃度を測定した。そして、トナーの付着していない粘着テープの反射濃度を基準として、反射率の低下量(%)を算出した。この測定は、現像ブレードの中央部、および両端部の計3点で行い、その算術平均値を、評価対象の現像ブレードのトナーの初期固着濃度とした。なお、初期固着濃度が低いほど、現像ブレードの表面へのトナー固着を抑制できているといえる。
[実施例43]
基体として、ステンレス鋼(SUS304)製の直径5mmの芯金を金型に配置し、以下の材料を混合して得られるウレタンゴム組成物を、金型内に形成されたキャビティに注入した。
・イオン化合物I-15:5.0質量部
・無機粒子P-1:10.0質量部
・ポリオールA-9:84.2質量部
・ポリオールA-10:18.6質量部
・イソシアネート(商品名:コスモネートTM20;三井化学工業社製):22.7質量部
・シリコーン整泡剤(商品名:SRX274C、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製):1.0質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT-ET、東ソー社製):0.3質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT-L33、東ソー社製):0.2質量部
・水:2.0質量部
続いて、金型を加熱して、ウレタンゴム組成物を温度50℃で20分間加硫し発泡硬化させ、周面にポリウレタンフォーム層が形成された基体を金型から脱型した。こうして、基体の外周に直径16.1mmのポリウレタンフォーム層を有する、実施例43に係るトナー供給ローラを作製した。
イオン化合物と無機粒子の種類と配合量を、表22に記載の通りに変更した以外は実施例43と同様にして、実施例44、45、47、48に係るトナー供給ローラを作製した。
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した以外は、実施例43と同様にして、実施例46に係るトナー供給ローラを作製した。
・イオン化合物I-7:5.3質量部
・無機粒子P-3:7.0質量部
・ポリオールA-9:84.2質量部
・ポリオールA-10:18.6質量部
・イソシアネート(商品名:コスモネートTM20;三井化学工業社製):22.7質量部
・シリコーン整泡剤(商品名:SRX274C、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製):1.0質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT-ET、東ソー社製):0.3質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT-L33、東ソー社製):0.2質量部
・水:2.0質量部
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#4300、東海カーボン社製):3.0質量部
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した以外は、実施例43と同様にして、参考例1に係るトナー供給ローラを作製した。
・イオン化合物I-15:5.0質量部
・ポリオールA-9:84.2質量部
・ポリオールA-10:18.6質量部
・イソシアネート(商品名:コスモネートTM20;三井化学工業社製):22.7質量部
・シリコーン整泡剤(商品名:SRX274C、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製):1.0質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT-ET、東ソー社製):0.3質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT-L33、東ソー社製):0.2質量部
・水:2.0質量部
樹脂層の材料として、下記材料を混合し、撹拌した以外は、実施例43と同様にして、参考例2に係るトナー供給ローラを作製した。
・イオン化合物I-15:5.0質量部
・ポリオール(商品名:EP-3033、三井化学株式会社製):100.0質量部
・イソシアネート(商品名:コスモネートTM20;三井化学工業社製):23.6質量部
・シリコーン整泡剤(商品名:SRX274C、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製):1.0質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT-ET、東ソー社製):0.3質量部
・アミン触媒(商品名:TOYOCAT-L33、東ソー社製):0.2質量部
・水:2.0質量部
イオン化合物と無機粒子の種類と配合量を、表23に記載の通りに変更した以外は実施例43と同様にして、比較例31~40に係るトナー供給ローラを作製した。
得られた実施例43~48、参考例1、2および比較例31~40に係るトナー供給ローラについて、以下の評価を行った。評価結果を表24にまとめて示す。
現像ローラの評価と同様にして、N/N環境下および0℃の環境下に6時間トナー供給ローラを放置した後、各環境下で抵抗値を測定した。
トナー供給ローラの抵抗値の測定は、前述の現像ローラの抵抗値の測定と同様の装置を用いて行った。ただし、基体の両端に加える荷重を2.5N、測定時におけるローラの回転数を32rpmとした。それ以外は、現像ローラと同様に測定を行い、トナー供給ローラ抵抗値とした。
(規制不良評価)
図4に示す構成を有する、レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例および比較例のトナー供給ローラを装填した。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、0℃環境中に設置した後2時間放置した。次に、黒色で印字率1%の画像を100枚連続して出力した。その後、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力した。これらの画像を出力した後、現像ブレード表面のトナーコートの状態観察を行い、トナーへの帯電異常に起因する静電的トナー凝集(規制不良)の有無を目視で観察した。規制不良評価の評価基準は以下のとおりである。なお、規制不良が生じると、例えば非印字部に斑点状のムラが発生したり、トナー塊などが画像上に発生したりする画像弊害が生じることがある。
ランクA:トナーコート上に規制不良が存在しない。
ランクB:トナーコート上には規制不良が存在するが、画像に現れていない。
ランクC:規制不良が画像に現れる。
なお、無機粒子を含まない参考例1、2ではアニオン移動阻害が発生しないため、低温環境下における抵抗値の上昇および規制不良の発生はなかった。
1B 電子写真ブレード
2 基体
3 樹脂層
4 弾性層
5 中間層
15 トナー
16 現像ローラ
17 プロセスカートリッジ
18 感光体(電子写真感光体)
19 トナー供給ローラ
20 トナー容器
21 現像ブレード
22 現像装置
23 レーザー光
24 帯電ローラ
25 廃トナー収容容器
26 クリーニングブレード
27 定着装置
28 駆動ローラ
29 転写ローラ
30 バイアス電源
31 テンションローラ
32 転写搬送ベルト
33 従動ローラ
34 紙
35 給紙ローラ
36 吸着ローラ
37 円柱形金属
38 導電性の軸受け
39 高圧電源
40 電圧計
L 長手側端部からの長さ
T 膜厚
Claims (9)
- 導電性の基体と、該基体上の樹脂層と、を有する電子写真部材であって、
該樹脂層は、
構造式(1)~(6)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つのカチオン構造を有する樹脂と、
アニオンと、
無機粒子と、を含み、
該樹脂層から抽出された該無機粒子から算出される疎水化度が、40%以上80%以下であり、
該カチオン構造を有する樹脂は、さらに、構造式(7)~(9)で示される構造からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有する、ことを特徴とする電子写真部材:
R1は、水素原子または炭素数1~4の炭化水素基を表す。
Z1~Z3は、各々独立に、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造または炭素数1~4の炭化水素基を表し、
Z1~Z3の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造である。]
R2およびR3は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族5員環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、
Z4およびZ5は、各々独立に構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表し、Z6は、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表し、
Z4~Z6の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造であり、
d1は0または1の整数を表す。]
R4およびR5は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素芳香族6員環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、
Z7は、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表し、
Z8は、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表し、
Z7およびZ8の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造であり、
d2は0~2の整数を表し、d2が2であるとき、Z8はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
R6およびR7は、各々が結合する窒素原子と共に含窒素複素脂環式基を形成するのに必要な炭化水素基を表し、
Z9~Z11は、各々独立に構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表し、
Z12は、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表し、
Z9~Z12の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造であり、
d3は0~2の整数を表し、d3が2であるとき、Z12はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
R8は、結合する窒素原子と共に含窒素芳香族環を形成するのに必要な炭化水素基を表し、
Z13は、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表し、
Z14は、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表し、
Z13およびZ14の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造であり、
d4は0または1の整数を表す。]
R9は、結合する窒素原子と共に含窒素脂環式基を形成するのに必要な炭化水素基を表し、
Z15およびZ16は、各々独立に構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表し、
Z17は、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造、水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表し、
Z15~Z17の少なくとも1つは、構造式(Z101)~(Z103)で示される構造からなる群より選択されるいずれかの構造であり、
d5は0または1の整数を表す。]
R10、R11、およびR12は、各々独立に直鎖または分岐を有する2価の炭化水素基を表す。
記号「*」は、構造式(1)中の窒素原子との結合部または構造式(2)~(6)中の含窒素複素環中の窒素原子若しくは含窒素複素環中の炭素原子との結合部を表し、
記号「**」は、前記カチオン構造を有する樹脂を構成するポリマー鎖中の炭素原子との結合部を表す。]
- 前記アニオンは、フルオロアルキルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロスルホネートアニオン、フルオロアルキルカルボン酸アニオン、フルオロアルキルメチドアニオン、フルオロホウ酸アニオン、フルオロリン酸アニオン、ジシアナミドアニオンおよびチオシアネートアニオンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の電子写真部材。
- 疎水化度が40%以上80%以下である前記無機粒子が、シリカ粒子である請求項1または2に記載の電子写真部材。
- 前記構造式(2)で示される構造が、構造式(10)で示される構造である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子写真部材:
- 前記構造式(4)で示される構造が、構造式(11)で示される構造である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子写真部材。
- 前記構造式(5)で示される構造が、構造式(12)で示される構造である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子写真部材:
- 前記構造式(6)で示される構造が、構造式(13)で示される構造である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子写真部材:
- 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、帯電手段、現像手段、クリーニング手段からなる群から選択される少なくとも1つの手段を有し、該手段のうち少なくとも1つが請求項1~7のいずれか一項に記載の電子写真部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 帯電手段、現像手段、クリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段を有し、該手段のうち少なくとも1つが請求項1~7のいずれか一項に記載の電子写真部材を有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
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