JP6789769B2 - 筆記具用油性インキ組成物、並びにそれを収容した筆記具、マーキングペンおよびボールペン - Google Patents

筆記具用油性インキ組成物、並びにそれを収容した筆記具、マーキングペンおよびボールペン Download PDF

Info

Publication number
JP6789769B2
JP6789769B2 JP2016223255A JP2016223255A JP6789769B2 JP 6789769 B2 JP6789769 B2 JP 6789769B2 JP 2016223255 A JP2016223255 A JP 2016223255A JP 2016223255 A JP2016223255 A JP 2016223255A JP 6789769 B2 JP6789769 B2 JP 6789769B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink composition
organic solvent
resin
carbon atoms
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016223255A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018080259A (ja
Inventor
田 勝 久 浅
田 勝 久 浅
村 尚 嗣 中
村 尚 嗣 中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pilot Ink Co Ltd
Pilot Corp KK
Original Assignee
Pilot Ink Co Ltd
Pilot Corp KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Pilot Ink Co Ltd, Pilot Corp KK filed Critical Pilot Ink Co Ltd
Priority to JP2016223255A priority Critical patent/JP6789769B2/ja
Publication of JP2018080259A publication Critical patent/JP2018080259A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6789769B2 publication Critical patent/JP6789769B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Pens And Brushes (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

本発明は筆記具用油性インキ組成物、並びにそれを収容した筆記具、マーキングペンおよびボールペンに関する。より具体的には、耐水性に優れ、かつインキ非吸収性の被筆記体に対し、高い定着性を有する筆跡を形成することのできる筆記具用油性インキ組成物、並びにそれを収容した筆記具、マーキングペンおよびボールペンに関する。
従来、発色性向上を目的として、油性インキ組成物への染料の添加が行われている。しかしながら、染料を含有しない油性インキ組成物に比べ、染料を含有する油性インキ組成物は、一般に耐水性が低く、水の付着により、筆跡からインキ組成物が滲み出て周囲へ広がる筆跡滲みが生じてしまう。これは、被筆記体の材質が紙や布帛である場合に特に問題となる。
この問題に鑑みて、インキ組成物への含金染料の添加や、樹脂の含有量を増加すること等が行われているが、含金染料を含有するインキ組成物は、発色性が十分ではなく、また、樹脂含有量の高いインキ組成物は、粘度が高く、その筆記性能には改善の余地があった。
また、インキ組成物の耐水性向上を目的として、様々な化合物の添加も検討されており、例えば、HLB値が8以下のショ糖脂肪酸エステルやHLB値が9〜11のショ糖脂肪酸エステルをインキ組成物に含有させることが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
しかしながら、上記したショ糖脂肪酸エステルを含有させた場合であっても、使用する染料の種類や被筆記体の材質等によっては、インキ組成物の耐水性は十分に改善されているとは言えず、これらにもまた改善の余地があった。
また、上記したインキ組成物には、被筆記体の材質が、樹脂、ガラスや金属等のインキ非吸収性である場合であっても筆記できることが要求される。さらに、このような被筆記体に対する定着性も要求され、従来のインキ組成物を使用して樹脂フィルム等に形成した筆跡は、手脂に富んだ指先等で触れたり、擦ったりした場合、容易に剥離してしまう場合があり、その定着性(耐手脂性)には改善の余地があった。
特開2001−200186号公報 特開2012−214611号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、染料を含む油性インキ組成物であるが
、水の付着により滲みが生じない筆跡を形成することができ、かつインキ非吸収性の被筆記体に筆記可能であり、手脂に富んだ指先等で触れたり、擦ったりした場合であっても剥離しない筆跡を形成することのできる筆記具用油性インキ組成物、すなわち高い耐水性およびインキ非吸収性の被筆記体に対する高い定着性(耐手脂性)を有する筆跡を形成させることができる筆記具用油性インキ組成物を提供することである。
本発明の筆記具用油性インキ組成物は、染料と、有機溶剤と、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物と、前記有機溶剤に可溶性のケトン樹脂と、を含んでなることを特徴とする。
Figure 0006789769
〔式中、
Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、
は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基のいずれかであり、
は、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシフェニルで置換された炭素数1〜5のアルキル基のいずれかである〕
本発明の筆記具は、上記筆記具用油性インキ組成物を収容してなることを特徴とする。
本発明の筆記具用油性インキ組成物によれば、染料を用いて優れた発色性を維持しながら、様々な材質の被筆記体に対し、水付着時に滲みを生じさせることのない高い耐水性を有する筆跡を形成させることができる。
また、本発明の筆記具用油性インキ組成物によれば、インキ非吸収性の被筆記体にも筆記可能であり、かつ手脂に富んだ指先等で触れたり、擦ったりした場合であっても剥離しない高い定着性(耐手脂性)を有する筆跡を形成することができる。
さらに、本発明の筆記具用油性インキ組成物によれば、利便性に優れ、実用性に富んだ、筆記具用油性インキ組成物を収容した筆記具が提供できる。
(筆記具用油性インキ組成物)
本発明の筆記具用油性インキ組成物(以下、単に「インキ組成物」と記載する)は、染料と、有機溶剤と、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物と、該有機溶剤に可溶性のケトン樹脂と、を含んでなることを特徴とする。
本発明のインキ組成物において、上記した各成分は、マイクロカプセル等に包含されておらず、相互に接触可能な状態で、前記インキ組成物中に均一に溶解または分散されていることが好ましい。
(染料)
本発明のインキ組成物に含まれる染料としては、従来公知の染料を特に制限無く使用することができる。例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料に分類される有機溶剤可溶性染料、塩基性染料、酸性染料、直接染料及び食用染料等が挙げられる。本発明のインキ組成物は、これらの染料を2種以上含んでいてもよい。
通常、塩基性染料は、水への溶解性が高く、塩基性染料を構成成分とするソルベント染料等を含むインキ組成物を用いて形成させた筆跡は、水の付着により筆跡滲みが生じ易い。しかしながら、本発明の油性インキ組成物を用いて形成させた筆跡の耐水性が顕著に向上しているため、筆跡滲みの発生を抑制することができる。
ソルベント染料の具体例としては、バリファストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、バリファストブラック3807(C.I.ソルベントブラック29のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、オラゾールブルー808(C.I.ソルベントブルー70)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1とC.I.アシッドイエロー23の造塩体)、バリファストレッド1320、スピリットレッド102(C.I.ベーシックレッド1とC.I.アシッドイエロー42の造塩体)、バリファストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の造塩体)、バリファストバイオレット1702(C.I.ベーシックバイオレット3とC.I.アシッドイエロー36の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1とドデシル(スルホフェノキシ)−ベンゼンスルホン酸の造塩体)、スピロンイエローC−GNH及びオイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5と樹脂の混合物)等が挙げられる。
塩基性染料の具体例としては、C.I.ベーシックオレンジ2、C.I.ベーシックオレンジ14、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックブルー9、C.I.ベーシックブルー26、C.I.ベーシックバイオレット1、C.I.ベーシックバイオレット3及びC.I.ベーシックバイオレット10等が挙げられる。
酸性染料の具体例としては、C.I.アシッドレッド18、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドオレンジ10、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー7、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー42、C.I.アシッドグリーン3、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブルー1、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー22、C.I.アシッドブルー90、C.I.アシッドブルー239、C.I.アシッドブルー248、C.I.アシッドバイオレット15、C.I.アシッドバイオレット49、C.I.アシッドブラック1及びC.I.アシッドブラック2等が挙げられる。
直接染料の具体例としては、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトイエロー44、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー87、C.I.ダイレクトバイオレット51及びC.I.ダイレクトブラック19等が挙げられる。
食用染料の具体例としては、C.I.フードイエロー3及びC.I.フードブラック2等が挙げられる。
本発明のインキ組成物における染料の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として3〜40質量%であることが好ましい。
(有機溶剤)
本発明のインキ組成物に含まれる有機溶剤は、特に限定されず、汎用される溶剤を使用できる。また、インキ組成物は、二種以上の有機溶剤を含んでいてもよい。
有機溶剤としては、例えば、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル及びγ−ブチロラクトン等が挙げられる。
一実施形態において、インキ組成物は、20℃における蒸気圧が、好ましくは5.0〜50mmHg、より好ましくは10〜50mmHgである有機溶剤を含む。このような有機溶剤は、インキ組成物を収容する筆記具が、マーキングペンである場合に特に好ましい。
このような蒸気圧を有する有機溶剤を使用することにより、筆跡の乾燥性を向上させることができる。そのため、筆跡を手触した際、未乾燥のインキが手に付着したり、筆記面上の筆跡を形成していない空白部分を汚染する等の不具合を生じることなく、良好な筆跡を形成できる。
本発明のインキ組成物は、上記した蒸気圧の有機溶剤を、有機溶剤の総質量に対し、50質量%以上含有する、主有機溶剤として含むことが好ましい。
20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHgの有機溶剤としては、エチルアルコール(45)、n−プロピルアルコール(14.5)、イソプロピルアルコール(32.4)、n−ブチルアルコール(5.5)、イソブチルアルコール(8.9)、sec−ブチルアルコール(12.7)、tert−ブチルアルコール(30.6)、tert−アミルアルコール(13.0)等のアルコール系有機溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(8.5)、エチレングリコールジエチルエーテル(9.7)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(6.0)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(7.6)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(10.6)等のグリコールエーテル系有機溶剤、n−ヘプタン(35.0)、n−オクタン(11.0)、イソオクタン(41.0)、メチルシクロヘキサン(37.0)、エチルシクロヘキサン(10.0)、トルエン(24.0)、キシレン(5.0〜6.0)、エチルベンゼン(7.1)等の炭化水素系有機溶剤、メチルイソブチルケトン(16.0)、メチルn−プロピルケトン(12.0)、メチルn−ブチルケトン(12.0)、ジ−n−プロピルケトン(5.2)等のケトン系有機溶剤、蟻酸n−ブチル(22.0)、蟻酸イソブチル(33.0)、酢酸n−プロピル(25.0)、酢酸イソプロピル(48.0)、酢酸n−ブチル(8.4)、酢酸イソブチル(13.0)、プロピオン酸エチル(28.0)、プロピオン酸n−ブチル(45.0)、酪酸メチル(25.0)、酪酸エチル(11.0)等のエステル系有機溶剤等が挙げられる。
なお、括弧内の数字は20℃におけるそれぞれの有機溶剤の蒸気圧(mmHg)を示す。
上記した有機溶剤の中でも、筆跡の速乾性、及び使用しうる樹脂や添加剤の溶解性という観点から、炭素数4以下のアルコール系有機溶剤及び/又は炭素数4以下のグリコールエーテル系有機溶剤が好ましく、具体的には、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
一実施形態において、本発明のインキ組成物は、沸点が160〜250℃の有機溶剤を含んでなることが好ましい。
このような比較的高沸点の有機溶剤は、インキ組成物を収容する筆記具がボールペンである場合に使用することが好ましい。
また、このような比較的高沸点の有機溶剤を、マーキングペン等に収容して使用するインキ組成物に含有させてもよい。これにより、筆跡の乾燥速度を調整することにより、多湿環境下において生じやすい筆跡の白化を抑制することができる。特に、炭素数3以下のアルコール系溶剤及び/又は炭素数4以下のグリコールエーテル系溶剤といった20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHgの有機溶剤を使用する場合、高沸点有機溶剤を併用し、乾燥速度を調整することが好ましい。
特に本発明においては、インキ組成物がフェノール化合物を含むため、多湿環境下において乾燥させた場合、筆跡が白化してしまう可能性が従来のインキ組成物に比べ高い。そのため、このような高沸点有機溶剤を含有させることが特に好ましい。
高沸点有機溶剤としては、ベンジルアルコール(205)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(245)、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル(170)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(190)、プロピレングリコールジアセテート(190)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(175)、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル(212)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(209)、プロピレングリコールフェニルエーテル(243)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(242)、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル(229)、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル(274)、p−キシレングリコールジメチルエーテル(235)、ギ酸ベンジル(201)、酢酸ベンジル(212)、プロピオン酸ベンジル(222)、酪酸ベンジル(240)及びイソ酪酸ベンジル(230)等が挙げられる。
なお、括弧内の数字はそれぞれの有機溶剤の沸点(摂氏)を示す。
本発明のインキ組成物における有機溶剤の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として40〜80質量%であることが好ましい。
また、上記した20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHgの有機溶剤の含有量は、有機溶剤の総質量に対し、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
また、上記した高沸点有機溶剤の含有量は、有機溶剤の総質量に対し、1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましい。
(フェノール化合物)
本発明のインキ組成物に含まれるフェノール化合物は、下記一般式(1)で表される。このフェノール化合物が有する特定の置換基RおよびRは電子の押し出しが強いためにフェノール水酸基が強い電子供与性を呈する。そのため、インキ組成物中において、染料へ作用し、染料の水への溶解を抑制することができる。すなわち、本発明のインキ組成物が、該フェノール化合物を含むことにより、これを用いて形成される筆跡の耐水性を向上させることができる。
この効果は、耐水性が特に低い塩基性染料を原料とするソルベント染料(油溶性染料とも呼ばれる)を含有させた場合であっても発揮されるため、様々な染料から任意の染料を選択し、インキ組成物に含有させることができる
Figure 0006789769
上記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素又メチル基である。
また、上記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、またはフェニル基、ヒドロキシフェニル基およびヒドロキシフェニル基から選択される1以上の置換基により置換された炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、またはフェニル基、ヒドロキシフェニル基およびヒドロキシフェニル基から選択される1以上の置換基により置換された炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、ハロゲン化メチル基、またはフェニル基、ヒドロキシフェニル基およびヒドロキシフェニル基から選択される1以上の置換基により置換された炭素数1〜5のアルキル基である。
また、上記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、またはフェニル基、ヒドロキシフェニル基およびヒドロキシフェニルから選択される1以上の置換基により置換された炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、またはフェニル基、ヒドロキシフェニル基およびヒドロキシフェニルから選択される1以上の置換基により置換された炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくはハロゲン化メチル基、またはフェニル基、ヒドロキシフェニル基およびヒドロキシフェニルから選択された1以上の置換基により置換された炭素数1〜5のアルキル基である。
上記一般式(1)を満たす化合物としては、例えば、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール、テトラキスフェノールが挙げられる。より具体的には、例えば、4,4′−(1−α−メチル−ベンジリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−フェニルエタン−1,1−ジイル)ビス(2−メチルフェノール)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ジヒドロキシテトラフェニルメタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4′−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2,2−ジイル]ジフェノールおよび4,4′−[3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピリデン]ビス(2−メチルフェノール)等が挙げられる。
本発明のインキ組成物におけるフェノール化合物の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として0.3〜10質量%であることが好ましく、0.4〜8質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
フェノール化合物の含有量を上記数値範囲とすることにより、本発明のインキ組成物を用いて形成した筆跡の耐水性をより向上させることができる。
(有機溶剤可溶性のケトン樹脂)
本発明のインキ組成物は、該インキ組成物に含有される有機溶剤に可溶性のケトン樹脂を含んでなる。本発明のインキ組成物がこのようなケトン樹脂を含んでなることにより、筆跡のインキ非吸収性の被筆記体に対する定着性を向上させることができ、手脂に富んだ指先等で触れたり、擦ったりした場合であっても剥離しない筆跡を形成することができる。
なお、本発明において、「有機溶剤に可溶性のケトン樹脂」とは、20℃において、使用する有機溶剤に対して20質量%以上の濃度で均一に溶解することのできるケトン樹脂のことを指す。
ケトン樹脂としては、(1)分子内にカルボニル基と不飽和二重結合とを有するケトン化合物の縮合樹脂、(2)カルボニル基および複数のハロゲン化物基を有する化合物と複数の水酸基を有する化合物との縮合、または複数のハロゲン化物基を有する化合物と、カルボニル基および複数の水酸基を有する化合物との縮合により得られるポリエーテルケトン樹脂および(3)ケトン化合物とアルデヒド化合物との縮合により得られるケトン・アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。
分子内にカルボニル基と不飽和二重結合とを有するケトン化合物の重縮合物としては、例えば、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリメチルビニルケトン、ポリメチルフェニルケトン、ポリt−ブチルイソプロペニルケトン等を挙げることができる。これらの化合物を単一で、または複数組み合わせて縮合させることでケトン樹脂を得ることができる。
ポリエーテルケトン樹脂としては、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン等を挙げることができる。複数のハロゲン化物基を有する化合物と、複数の水酸基を有する化合物とが、相互に縮合反応することによって樹脂が得られる。このとき、いずれかの化合物がカルボニル基を有することによって、ポリエーテルケトン樹脂となる。このような樹脂の原料となる化合物は任意に選択することができるが、例えば、カルボニル基を含む化合物として、ジクロロベンゾフェノン、ジフルオロベンゾフェノン、ジヒドロベンゾフェノンなどが挙げられ、前記のカルボニル基を含む化合物に反応させる化合物として、ヒドロキノン、ジヒドロビスフェノールなどが挙げられる。
ケトン・アルデヒド縮合樹脂の原料となるケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどの脂肪族ケトンやシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等の脂環式ケトン等が挙げられる。
また、ケトン・アルデヒド縮合樹脂の原料となるアルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクリルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記のうち、該有機溶剤への溶解性という観点から、ケトン樹脂は、ケトン・アルデヒド縮合樹脂であることが好ましい。主有機溶剤が、アルコール系有機溶剤である場合には、特にケトン・アルデヒド縮合樹脂は好ましいものである。なお、本発明のインキ組成物は、2種以上のケトン樹脂を含んでいても良い。
ケトン樹脂は、市販されるものを使用してもよく、ハロン80、ハロン110H(本州化学工業株式会社製)、TEGO VARIPLUS SKおよびTEGO VARIPLUS CA(Evonik Corporatoin社製)、ハイラック110Hおよびハイラック111(日立化成株式会社製)ならびにケトンレジンK−90(荒川化学工業株式会社製)等が挙げられる。
ケトン樹脂の水酸基価は、100〜350mgKOH/gであることが好ましく、200〜350mgKOH/gであることがより好ましい。使用するケトン樹脂の水酸基価を上記数値範囲とすることにより、本発明のインキ組成物を用いて形成させた筆跡のインキ非吸収性の被筆記体に対する定着性を向上させることができる。
なお、本発明において、「水酸基価」の測定は、JIS K 1557−1に準拠して行うことができる。
ケトン樹脂の融点は、85〜150℃であることが好ましく、90〜140℃であることがより好ましい。使用するケトン樹脂の融点を上記数値範囲とすることにより、本発明のインキ組成物を用いて形成させた筆跡のインキ非吸収性の被筆記体に対する定着性(耐手脂性)を向上させることができる。
ケトン樹脂の重量平均分子量は、1000〜8000であることが好ましく、1000〜5000であることがより好ましい。ケトン樹脂の重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定することができる。
本発明のインキ組成物におけるケトン樹脂の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として0.3〜10質量%であることが好ましく、0.4〜8質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
ケトンの含有量を上記数値範囲とすることにより、本発明のインキ組成物を用いて形成させた筆跡のインキ非吸収性の被筆記体に対する定着性(耐手脂性)をより向上させることができる。
ケトン樹脂とフェノール化合物との含有量比(ケトン樹脂/フェノール化合物)は、質量基準で、1/0.1〜1/5であることが好ましく、1/0.2〜1/3であることがより好ましく、1/0.3〜1/2であることがさらに好ましい。ケトン樹脂とフェノール化合物との含有量比を上記数値範囲とすることにより、本発明のインキ組成物を用いて形成させた筆跡のインキ非吸収性の被筆記体に対する定着性(耐手脂性)をより向上させることができる。
(任意の成分)
本発明のインキ組成物は、以下に挙げるような任意の成分を含んでいてもよい。
(樹脂)
本発明のインキ組成物は、ケトン樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。これにより、筆跡の耐水性をより向上させることができる。また、筆跡の定着性を向上させることができると共に、堅牢性等を付与することができる。本発明のインキ組成物は、2種以上の樹脂を含んでいてもよい。
使用することのできる樹脂は、インキ組成物に含まれる有機溶剤に可溶なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリメタクリル酸エステル、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、アクリル樹脂及びポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物等が挙げられる。
本発明のインキ組成物における樹脂(ケトン樹脂を除く)の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜35質量%であることがより好ましい。
(顔料)
本発明のインキ組成物は顔料を含んでいてもよい。顔料としては、カーボンブラック、群青及び二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料及びイソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムに金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、蛍光顔料、蓄光性顔料、並びに芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ及び透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
(耐光性付与剤)
本発明のインキ組成物は耐光性付与剤を含んでいてもよい。これにより、筆跡の耐光性を向上させることができ、染料として塩基性染料と酸性成分の混合染料又は造塩染料を使用した場合であっても、染料の退色を好適に防止でき、耐光性に優れた種々の所望する色調の筆跡を形成できる。
耐光性付与剤としては、例えば、2−(3−t−ブチル−5−オクチルオキシカルボニルエチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体を使用することができる。
(剪断減粘性付与剤)
本発明のインキ組成物は剪断減粘性付与剤を含んでいてもよい。これにより、筆跡における滲みの発生をさらに抑制することができるため、被筆記体が、紙や、浸透性の高い布帛等の繊維材料であっても、筆跡における滲みの発生を抑制することができる。
インキ組成物を収容する筆記具がボールペンである場合、剪断減粘性付与剤を使用することが特に好ましい。これにより、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
剪断減粘性付与剤としては、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、非架橋型アクリル樹脂、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、オクチル酸及びラウリン酸のアルムニウム塩等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、並びにヘクトライト系無機化合物等が挙げられる。
なお、本発明のインキ組成物は2種以上の剪断減粘性付与剤を含んでいてもよい。
(潤滑剤)
本発明のインキ組成物は、潤滑剤を含んでいてもよい。インキ組成物を収容する筆記具が、ボールペンである場合、インキ組成物が、潤滑剤を含むことにより、ボール受け座とボールの接触部分における摩耗を防止してボールペンの耐久性を改良することができる。
潤滑剤としては、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
上記した潤滑剤の中でも、ボール受け座およびボールの摩耗をより防止することができるため、リン酸エステル系界面活性剤が特に好ましい。
リン酸エステル系界面活性剤としては、チオ亜リン酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜リン酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜リン酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等のリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等のリン酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等のリン酸トリエステルアルキルリン酸エステル、アルキルエーテルリン酸エステル、或いはそれらの誘導体等が挙げられる。
上記したリン酸エステル系界面活性剤が有するアルキル基の炭素数は、5〜18であることが好ましく、10〜15であることがより好ましい。また、インキ組成物の経時安定性を考慮した場合には、アルキル基の炭素数は、12〜18であることが好ましい。
また、市販されるリン酸エステル系界面活性剤を使用してもよく、例えば、第一工業製薬株式会社製のプライサーフA219B(アルキル基の炭素数:12、酸価:44〜58)、プライサーフA215C(アルキル基の炭素数:12、酸価:135〜155)、プライサーフA208N(アルキル基の炭素数:12と13の混合物、酸価:15〜58)、東邦化学工業株式会社製のフォスファノールRB−410(アルキル基の炭素数:18、酸価:80〜90)、フォスファノールRS−610(アルキル基の炭素数:13、酸価:75〜90)、フォスファノールRS−710(アルキル基の炭素数:13、酸価:55〜75)等が挙げられる。
なお、酸価については、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に準拠して測定することができる。
この場合、インキ組成物における潤滑剤の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.3〜3.0質量%であることがより好ましい。潤滑剤の含有量を上記数値範囲とすることにより、インキ組成物の経時安定性を維持しつつ、ボール受け座およびボールの摩耗をより防止することができる。
(曳糸性付与樹脂)
本発明のインキ組成物は、上記した樹脂以外にも、曳糸性付与樹脂を含んでいてもよい。インキ組成物を収容する筆記具が、ボールペンである場合、インキ組成物が、曳糸性付与樹脂を含むことにより、インキ組成物の結着性を向上させることができ、チップ先端における余剰インキの発生を抑制することができる。
曳糸性付与樹脂としては、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。
この場合、インキ組成物における曳糸性付与樹脂の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として0.01〜3.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.0質量%であることがより好ましい。曳糸性付与樹脂の含有量を上記数値範囲とすることにより、インキ組成物における溶解性を維持しつつ、余剰インキの発生をより効果的に抑制することができる。
(有機アミン)
本発明のインキ組成物がリン酸エステル系界面活性剤等の潤滑剤を含む場合、インキ組成物は、有機アミンを含むことが好ましい。インキ組成物が、有機アミンを含むことにより、リン酸エステル系界面活性剤を中和することができ、インキ組成物の経時安定性をより向上させることができる。
有機アミンとしては、1級アミン、2級アミンおよび3級アミンのいずれも使用することができるが、インキ組成物の構成成分との反応性を考慮した場合、2級アミンまたは3級アミンを使用することが好ましい。
より具体的には、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン等が好ましい。これらの中でも、潤滑剤と併用したときにボール受け座およびボールの摩耗をより防止することができるため、エチレンオキサイド構造(CHCHO)を有するオキシエチレンアルキルアミンおよびポリオキシエチレンアルキルアミンが好ましい。
また、本発明におけるインキ組成物に含まれる有機アミンの全アミン価は、経時安定性という観点から、70〜300mgKOH/gであることが好ましく、150〜300mgKOH/gであることがより好ましい。
なお、全アミン価とは、試料1gを中和するのに要する、塩酸に当量の水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 7237に準拠して測定することができる。
有機アミンは、市販されるものを使用してもよく、例えば、日本油脂株式会社製のナイミーンL−201(全アミン価:232〜246、2級アミン)、ナイミーンL−202(全アミン価:192〜212、3級アミン)、ナイミーンL−207(全アミン価:107〜119、3級アミン)、ナイミーンS−202(全アミン価:152〜166、3級アミン)、ナイミーンS−204(全アミン価:120〜134、3級アミン)、ナイミーンS−210(全アミン価:75〜85、3級アミン)、ナイミーンDT−204(全アミン価:146〜180、3級アミン)、花王株式会社製のファーミン80(全アミン価:204〜210、1級アミン)、ファーミンD86(全アミン価:110〜119、2級アミン)、ファーミンDM2098(全アミン価:254〜265、3級アミン)、ファーミンDM8680(全アミン価:186〜197、3級アミン)等が挙げられる。
この場合、インキ組成物における有機アミンの含有量は、インキ組成物の総質量を基準として0.1〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがより好ましい。
また、インキ組成物が、有機アミンおよび潤滑剤としてリン酸エステル系界面活性剤を含む場合、有機アミンの全アミン価をX、リン酸エステル系界面活性剤の酸価をYとしたとき、0.1≦Y/X≦2.0を満たすことが好ましく、0.1≦Y/X≦1.0を満たすことがより好ましく、0.3≦Y/X≦1.0を満たすことがさらに好ましく、0.3≦Y/X≦0.8を満たすことが特に好ましい。インキ組成物に含まれる有機アミンの全アミン価と、リン酸エステル界面活性剤の酸価が上記関係を満たすことにより、析出物の発生を抑制することができ、筆記不良が生じてしまうことを防止することができる。
本発明のインキ組成物は、その他にも酸化防止剤、耐ドライアップ性付与剤、紫外線吸収剤、防錆剤、剥離剤、消泡剤、可溶化剤、粘度調整剤、着色安定剤、可塑剤、キレート剤、水等の助溶剤を含んでいてもよい。
(筆記具)
本発明の筆記具は、上記インキ組成物を収容してなる。
筆記具の種類は特に限定されず、チップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペン等が挙げられる。
本発明によるマーキングペンは、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、またはプラスチックチップなどのチップを筆記先端部に具備し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造のマーキングペン、同様のチップに軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させて筆記先端部にインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。なお、前記軸筒としては、樹脂成形物やアルミ缶等の金属加工体が用いられる。
本発明によるボールペンは、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、ボールを先端部に装着したボールペンチップにインキを供給する構造のボールペン、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させてボールペンチップにインキを供給する構造のボールペン、軸筒内にインキ組成物を収容したインキ収容管を有し、そのインキ収容管はボールペンチップに連通しており、さらにインキ収容管内のインキの端面には逆流防止用の液栓、および必要に応じて固体のインキ逆流防止体が密接している構造のボールペンが挙げられる。なお、前記軸筒やインキ収容管としては、樹脂成形物や金属加工体が用いられる。
(被筆記体)
被筆記体は、特に限定されるものではなく、紙や布帛といったインキ吸収性の筆記体であっても、樹脂フィルム、ガラスや金属等といったインキ非吸収性の筆記体であってもよい。
(実施例1)
インキ組成物の調製
下記配合量で各原料を混合し、20℃で3時間撹拌溶解することによりインキ組成物を得た。なお、ケトン樹脂とフェノール化合物との含有量比(ケトン樹脂/フェノール化合物)は、質量基準で、1/3であった(表3参照)。
(インキ組成物組成)
・黒色染料 10質量%
(オリエント化学工業株式会社製、商品名:ニグロシンベースEX)
・フェノール化合物A 1.2質量%
(4,4′−(1−α−メチル−ベンジリデン)ビスフェノール(R=水素、R1=メチル基、R2=ヒドロキシフェニル基))
・ケトン樹脂A 0.4質量%
(ケトン・アルデヒド縮合樹脂、Evonic社製、商品名:TEGO VARIPLUS SK)
・ロジン樹脂 7質量%
(荒川化学工業株式会社製、商品名:ロジンWW)
・ショ糖脂肪酸エステル 1質量%
(第一工業製薬株式会社製、商品名:DKエステルF−110(HLB:11))
・シリコーン系界面活性剤 0.1質量%
・ドデシルベンゼンスルホン酸 4質量%
・エチルアルコール 52.3質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 20質量%
・ベンジルアルコール 4質量%
(実施例2〜8)
インキ組成物の組成を表1に表される配合比とした以外は、実施例1と同様にしてインキ組成物を得た。
(比較例1〜5)
インキ組成物の組成を表2に表される配合比とした以外は、実施例1と同様にしてインキ組成物を得た。なお、比較例2において使用したケトン樹脂は、有機溶剤に不溶であり、以下の試験を行うことができなかった。
マーキングペンの作製
実施例及び比較例により得られたインキ組成物5gを、市販のマーキングペン外装(株式会社パイロットコーポレーション製;WMBM−12L、ポリエステル製チップを備える)に収容することで油性マーキングペンを得た。
耐水性試験
上記のようにして作製したマーキングペンにより形成される筆跡の耐水性を、以下手順に従い試験した。
筆記可能であることを確認した各マーキングペンを用いて、20℃の環境下で、PETフィルムに手書きにより線状の筆跡を形成した。
次いで、筆跡が浸るように、PETフィルムをイオン交換水に60分間浸漬させた後、取り出し、乾燥させた。乾燥後、筆跡の状態を目視により確認し、以下の評価基準に従い、評価した。評価結果を以下の表3に示す。
評価基準
A:筆跡滲みは生じない。
B:筆跡染料が少し滲み出た、又は、用紙全体と浸漬液が少し着色した。
C:筆跡周辺に染料が滲み出た、又は、用紙全体と浸漬液が着色した。
定着性(耐手脂性)試験
筆記可能であることを確認した各マーキングペンを用いて、20℃の環境下で、PETフィルムに手書きにより線状の筆跡を形成した。
次いで、20〜50代の男女それぞれ5名ずつ、計10名に、形成した筆跡を1kg程度の荷重で人差し指により10往復擦過してもらった。擦過後の筆跡の状態を以下の評価項目に従い点数化し、その平均を表3にまとめた。
評価基準
5点:筆跡の剥離なし
4点:筆跡に僅かに剥離がみられた
3点:筆跡に剥離がみられた
2点:筆跡にかなりの剥離がみられた
1点:筆跡なし
Figure 0006789769
Figure 0006789769
Figure 0006789769

Claims (13)

  1. 染料と、有機溶剤と、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物と、前記有機溶剤に可溶性のケトン樹脂と、を含んでなる筆記具用油性インキ組成物であって、前記各成分が、相互に接触可能な状態で、前記インキ組成物中に均一に溶解または分散されていることを特徴とする、筆記具用油性インキ組成物。
    Figure 0006789769
    〔式中、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基のいずれかであり、Rは、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシフェニルで置換された炭素数1〜5のアルキル基のいずれかである〕
  2. 前記ケトン樹脂が、ケトン・アルデヒド縮合樹脂である、請求項1に記載のインキ組成物。
  3. 20℃における蒸気圧が5〜50mmHgの有機溶剤を、前記有機溶剤の総質量に対し、50質量%以上含んでなる、請求項1または2に記載のインキ組成物。
  4. 前記20℃における蒸気圧が5〜50mmHgの有機溶剤が、アルコール系有機溶剤である、請求項3に記載のインキ組成物。
  5. 前記アルコール系有機溶剤に含まれるアルコールの炭素数が3以下である、請求項4に記載のインキ組成物。
  6. 前記ケトン樹脂の水酸基価が、100〜350である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインキ組成物。
  7. 前記ケトン樹脂の融点が、85〜150℃である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインキ組成物。
  8. 前記インキ組成物における前記ケトン樹脂の含有量が、0.5〜10.0質量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインキ組成物。
  9. 前記ケトン樹脂と、前記フェノール化合物との含有量比(ケトン樹脂/フェノール化合物)が質量基準で、1/0.1〜1/1.5である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインキ組成物。
  10. 前記染料が、ソルベント染料である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインキ組成物。
  11. 前記各成分が、相互に接触可能な状態で、前記インキ組成物中に均一に溶解または分散されている、請求項1〜10に記載のインキ組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の筆記具用油性インキ組成物を収容した、筆記具。
  13. マーキングペンおよびボールペンからなる群から選択される、請求項12に記載の筆記具。
JP2016223255A 2016-11-16 2016-11-16 筆記具用油性インキ組成物、並びにそれを収容した筆記具、マーキングペンおよびボールペン Active JP6789769B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016223255A JP6789769B2 (ja) 2016-11-16 2016-11-16 筆記具用油性インキ組成物、並びにそれを収容した筆記具、マーキングペンおよびボールペン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016223255A JP6789769B2 (ja) 2016-11-16 2016-11-16 筆記具用油性インキ組成物、並びにそれを収容した筆記具、マーキングペンおよびボールペン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018080259A JP2018080259A (ja) 2018-05-24
JP6789769B2 true JP6789769B2 (ja) 2020-11-25

Family

ID=62198134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016223255A Active JP6789769B2 (ja) 2016-11-16 2016-11-16 筆記具用油性インキ組成物、並びにそれを収容した筆記具、マーキングペンおよびボールペン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6789769B2 (ja)

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3853032B2 (ja) * 1997-07-04 2006-12-06 株式会社サクラクレパス 油性マーキングペン用インキ組成物
AU2001290231A1 (en) * 2000-09-20 2002-04-02 Mitsubishi Pencil Co. Ltd. Oil-base ink composition, writing utensils and dyes to be used therein
JP2003192975A (ja) * 2001-12-28 2003-07-09 Pilot Corp 油性ボールペン用インキ組成物
JP2005126491A (ja) * 2003-10-21 2005-05-19 Pilot Ink Co Ltd 筆記具用油性インキ組成物
JP5295647B2 (ja) * 2008-06-05 2013-09-18 パイロットインキ株式会社 ボールペン
JP2010275419A (ja) * 2009-05-28 2010-12-09 Pilot Ink Co Ltd 感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料及びそれを用いた感温変色性色彩記憶性液状組成物
JP2012067210A (ja) * 2010-09-24 2012-04-05 Pilot Ink Co Ltd 可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容した筆記具
JP5638338B2 (ja) * 2010-10-08 2014-12-10 パイロットインキ株式会社 筆記具用可逆熱変色性油性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具
JP2012102310A (ja) * 2010-10-14 2012-05-31 Sakura Color Products Corp インキ組成物
JP2012214611A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Pentel Corp 油性マーキングペン用インキ
US20130177703A1 (en) * 2012-01-09 2013-07-11 Chromatic Technologies Inc. Reversible thermochromic and photochromic ink pens and markers
EP3305861A4 (en) * 2015-05-28 2018-11-21 Kabushiki Kaisha Pilot Corporation (also trading as Pilot Corporation) Oil-based ink composition for writing instrument, and writing instrument, marking pen, and ballpoint pen containing same

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018080259A (ja) 2018-05-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6695873B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物、並びにそれを収容した筆記具、マーキングペンおよびボールペン
JP4698390B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物及びそれを用いた筆記具
JP6286254B2 (ja) 油性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いた油性ボールペンレフィル、油性ボールペン
JP2008208290A (ja) 筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容したマーキングペン
JP6789769B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物、並びにそれを収容した筆記具、マーキングペンおよびボールペン
JP6855312B2 (ja) 筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具
JP6959757B2 (ja) 油性ボールペン
JP2015193086A (ja) 油性ボールペンレフィル及びそれを用いた油性ボールペン
JP6058481B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容したマーキングペン
JP5557445B2 (ja) 水性ボールペン用インキ組成物
JP7139112B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具
JP7026519B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具
JP5295601B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容したマーキングペン
JP7074437B2 (ja) 油性ボールペン
JP6645865B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容した筆記具
JP6507926B2 (ja) ボールペン用油性インキ
JP2006124456A (ja) 筆記具用油性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具
JP6490347B2 (ja) 油性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いた油性ボールペン
JP7245622B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物、それを用いた筆記具、および油性ボールペン
JP6572014B2 (ja) マーキングペン用油性インキ組成物及びそれを収容したマーキングペン
JP6706364B2 (ja) 油性ボールペンレフィル及びそれを用いた油性ボールペン
JP4874620B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具
JP6385869B2 (ja) 筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容したマーキングペン
JP2023159494A (ja) 筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容した筆記具
JP2023052806A (ja) 筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190802

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200602

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201009

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6789769

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150