JP2012067210A - 可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容した筆記具 - Google Patents

可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容した筆記具 Download PDF

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Abstract

【課題】 白色の被筆記面のみならず、透明又は着色された被筆記面に筆記した場合であっても、形成された筆跡を加温消去した際、筆跡箇所に白濁した残像が視認されることのない可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物とそれを収容した筆記具を提供する。
【解決手段】 (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、有機溶剤を少なくとも含有してなり、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径が0.01〜1.0μmの範囲にあり、1.5μm以上の粒子が全マイクロカプセル顔料中の20体積%以下である可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物。前記インキ組成物を収容した筆記具1。
【選択図】 図3

Description

本発明は可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物とそれを収容した筆記具に関する。
従来、可逆熱変色性マイクロカプセルを用いることで、温度変化により色調が変化する筆跡を形成できる可逆熱変色性マーキングペン用油性インキが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記油性インキを用いたマーキングペンによる筆跡は、水性インキでは筆記困難な金属や樹脂フィルム等の非浸透面に筆記することが可能であることから、筆記面を選ぶことなく使用できるものである。特に、前記マイクロカプセルの平均一次粒子径を0.5〜1.0μm且つ最大一次粒子径4μm以下とすることで、繊維集束体からなるペン先を用いた場合であっても目詰まりや筆跡の濃度低下を生じることなく安定したインキ吐出を行うことができるものとなる。
しかしながら、平均一次粒子径が0.5〜1.0μmで最大一次粒子径が4μm以下であっても、粒度分布が広域に亘ってブロードする場合、即ち、粒子径が1.5μm以上4μm以下のものが多く存在する場合、擦過により生じる摩擦熱やヘアドライヤーによる筆跡消去時、また、インジケーター使用時の発熱による色変化時等、筆跡中の可逆熱変色性マイクロカプセルを有色から無色に変色させることで筆跡を消去した際、筆跡が消去された箇所には、白濁した残像(筆跡)が視認されるものであった。
前記白濁した残像は被筆記面が白色の場合は視認され難いものの、透明又は着色された被筆記面に筆記すると残像は顕著に視認され、実用性を損なうことがあった。特に油性インキでは金属面やフィルム面、更に着色樹脂成形物等、紙以外への筆記に適しているため、加温消色時の前記残像が顕著なものとなる。
特開2009−270033号公報
本発明は前述した問題点を解消しようとするものであって、即ち、白色の被筆記面のみならず、透明又は着色された被筆記面に筆記した場合であっても、形成された筆跡を加温消去した際、筆跡箇所に白濁した残像が視認されることのない可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物とそれを収容した筆記具を提供しようとするものである。
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、有機溶剤を少なくとも含有してなり、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径が0.01〜1.0μmの範囲にあり、1.5μm以上の粒子が全マイクロカプセル顔料中の20体積%以下であることを特徴とする可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物を要件とする。
更に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、色濃度−温度曲線に関して完全消色温度(t)が50℃以上であり、完全発色温度(t)が0℃以下であること、前記有機溶剤の沸点が95℃〜220℃の範囲にあること、前記有機溶剤がn−オクタン、イソオクタン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレンから選ばれる一種以上であること、前記有機溶剤がエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコールから選ばれる一種以上であることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載の可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物を収容した筆記具を要件とし、前記インキが直接又はインキ吸蔵体とともに収容される軸筒の材質がアルミニウム又はナイロン樹脂であること、筆記具に摩擦部材を設けてなること、前記摩擦部材がゴム又はプラスチック発泡体であることを要件とする。
本発明は、筆記時のインキ吐出性に優れることはもちろん、透明又は着色された被筆記面に筆記して形成された筆跡を加温消色した際、筆跡箇所に白濁した残像が視認されることなく、良好な筆跡消去性を示し、実用性に富んだ可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物とそれを収容した筆記具を提供できる。
加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 本発明の筆記具の一実施例を示す説明図である。 本発明の筆記具の他の実施例を示す説明図である。
本発明の筆記具用可逆熱変色性油性インキ組成物は、有機溶剤中に添加される可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセルの平均粒子径を0.01〜1.0μmの範囲とすると共に、1.5μm以上の粒子の割合を全マイクロカプセル顔料中の20体積%以下とすることにより、透明又は着色された被筆記面に形成された筆跡を加温消色した際に、筆跡箇所に白濁した残像が視認されることなく、良好な筆跡消去性を示すものである。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が用いられる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を適用できる(図1参照)。
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜80℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物も適用できる(図2参照)。
前記可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt間の温度域であり、着色状態と消色状態の両状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度tを冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度である0℃以下、完全消色温度tを摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度である50℃以上にすることにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
尚、前記完全発色温度tとして好ましくは−50〜0℃、より好ましくは−50〜−5℃、完全消色温度tとして好ましくは50〜95℃、より好ましくは55〜95℃である。
前記完全消色温度tが50℃以上であれば、夏場のような気温の高い条件下でも変色前の状態を維持でき、また、95℃以下であれば、筆記面に形成された筆跡上を摩擦部材による数回の擦過による摩擦熱で十分に消去することができる。
完全消色温度tが95℃を越える温度の場合、摩擦部材による擦過で得られる摩擦熱が完全消色温度に達し難くなるため、容易に消去し難くなり、擦過回数が増加したり、或いは、荷重をかけ過ぎて擦過する傾向にあるため、筆記面を傷めてしまう虞がある。
また、完全発色温度tの温度設定において、消色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより低い温度であることが好ましく、0℃以下が好適である。
更に、筆記具に充填された状態の可逆熱変色性組成物を発色状態にする必要がある。そのため、筆記具、インキ組成物、或いは、マイクロカプセル顔料を予め冷却して可逆熱変色性組成物を発色させておく必要がある。
製造工程における冷却手段としては汎用の冷凍庫にて冷却することが好ましいが、冷凍庫の冷却能力を考慮すると、−50℃迄が限度である。
以下に可逆熱色性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)成分について化合物を例示する。
本発明の(イ)成分である電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられる。
具体的な化合物としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3′,6′−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、3′,6′−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色乃至赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群〕、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類を挙げることができる。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等を挙げることができる。
また、ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナデカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2−ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を挙げることができる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を挙げることができる。
また、エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を挙げることができる。
更に、前記(ハ)成分として、下記一般式(1)で示される化合物が好適に用いられる。
Figure 2012067210
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
Figure 2012067210
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2012067210
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2012067210
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2012067210
(式中、Rは炭素数1乃至21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51−44706号公報、特開2003−253149号公報)加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を適用することもできる。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
前記三成分からなる可逆熱変色性組成物はマイクロカプセルに内包して使用される。それは、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持できるためであり、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記マイクロカプセル顔料は、平均粒子径が0.01〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.65μm、より好ましくは0.1〜0.49μm範囲が実用性を満たす。
平均粒子径が1.0μmを越えると、空隙率の低い繊維やプラスチックからなるマーキングペンチップや、クリアランスの狭い汎用のボールペンチップからのインキ吐出性が阻害されることがあり、筆跡カスレ等の筆記不良が発生され易くなり、また、平均粒子径が0.01μm未満では、発色性に乏しいため消去前の筆跡の色濃度が十分ではない。
尚、前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径が0.01〜1.0μmの範囲を満たす系において、光を乱反射し易い1.5μm以上のマイクロカプセル顔料を全マイクロカプセル顔料中の20体積%以下、好ましくは15体積%以下、より好ましくは10体積%以下に調整することが好ましい。これにより消去時の被筆記面上の乾燥塗膜(筆跡)が白濁することを防止でき、残像を視認し難くすることができる。
1.5μm以上のマイクロカプセル顔料の割合が全マイクロカプセル顔料中の20体積%を越えると、光を乱反射するマイクロカプセル顔料の比率が多くなるため、筆跡中のマイクロカプセル顔料に内包された可逆熱変色性組成物を有色から無色に変色させて筆跡を消去した状態における被筆記面上の乾燥塗膜(筆跡)が白濁し、残像として視認され易くなるためである。
更に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径が0.1〜0.65μmの場合は、前記マイクロカプセル顔料中の1.5μmを越える粒子は全マイクロカプセル顔料中の15体積%以下、好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下に調整すると、いっそう消色時の被筆記面上の乾燥塗膜(筆跡)が白濁することを防止でき、残像を視認し難くすることができる。
更には、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径が0.1〜0.49μmの場合も前記マイクロカプセル顔料中の1.5μmを越える粒子は全マイクロカプセル顔料中の10体積%以下、好ましくは8体積%以下、より好ましくは5体積%以下であることにより、いっそう消色時の被筆記面上の乾燥塗膜(筆跡)が白濁することを防止でき、残像を視認し難くすることができる。
特に前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料においては、可逆熱変色性組成物:壁膜=7:1〜1:1(質量比)、好ましくは6:1〜1:1の範囲を満たすことが好ましい。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を生じ易くなる。
前記可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、コアセルベート法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料は、円形断面の形態であっても非円形断面の形態であってもよい。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、インキ組成物全量に対し、15〜50重量%、好ましくは20〜45重量%、更に好ましくは25〜40重量%配合することができる。
15重量%未満では発色濃度が不十分であり、50重量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性能が阻害される。
前記有機溶剤としては、従来から油性インキに適用される汎用のものを用いることができ、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルイソブチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ギ酸n−ブチル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸プロピル等を例示できる。
特に、乾燥性能と筆記性能の点から、沸点が95℃〜220℃の範囲のものを用いることが好ましい。尚、ボールペンに適用する場合、高い筆記性能が得られ易い点から沸点が140℃〜200℃の範囲にある中沸点溶剤を主溶剤(即ち、溶剤成分の50%以上を占める)とすることが好ましい。
前記沸点範囲の有機溶剤としては、例えば、マーキングペン用とする場合には、n−オクタン、イソオクタン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン等が挙げられ、ボールペン用とする場合には、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
前記溶剤を使用する際、助溶剤として、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコールアルキル(C1〜3)エーテル、エチルベンゼン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、炭酸ジメチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の低沸点溶剤や、エチレングリコールモノフェニルエーテル等の高沸点溶剤を用いることができる。
前記有機溶剤は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中40〜90重量%の範囲で用いられる。
また、筆跡の滲み抑制、定着性向上、堅牢性付与等の目的で以下の樹脂を用いることもできる。
具体的には、ケトン樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルピロリドン、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂等を例示できる。
更に、本発明の筆記具用油性インキ組成物には、必要に応じて上記成分以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、潤滑剤、粘度調整剤、剥離剤、顔料分散剤、消泡剤、剪断減粘性付与剤、界面活性剤等の各種添加剤を使用できる。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等が使用できる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドロキシトルエン、フラボノイド、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸誘導体、α−トコフェロール、カテキン類等が使用できる。
紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル5′−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、p−安息香酸−2−ヒドロキシベンゾフェノン等が使用できる。
消泡剤としては、ジメチルポリシロキサン等が使用できる。
剥離剤としては、ホーロー、ガラス、金属或いは熱可塑性又は熱硬化性プラスチック等の素材からなる筆記板(ホワイトボード)に用いられるインキ組成物に含まれる剥離性を付与できる化合物であれば全て用いることができ、例えば、カルボン酸エステル類、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を挙げることができるが、好適に用いられる剥離剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル又はこれらの塩、脂肪族二塩基酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、ポリアルキレングリコールエステルから選ばれる化合物であり、一種又は二種以上を併用して用いることもできる。
また、本発明の油性インキ組成物をボールペンに適用する際には、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル等の潤滑剤を必要により添加することもできるが、特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等を用いるとボール受け座の摩耗防止効果に優れる。
更に、剪断減粘性付与剤を添加することによって、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。また、マイクロカプセル顔料の凝集・沈降を抑制することができる。
前記剪断減粘性付与剤としては、従来公知の化合物を用いることが可能であり、例えば、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体の水溶液、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、デキストリン脂肪酸エステル、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物、シリカ等が例示できる。
前記インキ組成物は、チップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペンに充填して実用に供される。その際の筆記具はキャップ式、出没式等いずれの形態であってもよい。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面には逆流防止用に液栓や固体栓等のインキ追従体が密接している構造のボールペンを例示できる。
前記液栓(液状インキ追従体)は不揮発性液体又は難揮発性液体からなり、具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
また、前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
前記インキ組成物を直接又はインキ吸蔵体を介して収容するインキ収容管や軸筒としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体や、アルミニウムや鉄の金属加工体等を用いることができるが、適用する溶剤に応じて耐溶剤性の高いアルミニウムやナイロン樹脂が適用される。
前記筆記具により形成される筆跡は、指による擦過や加熱又は冷熱具の適用により変色させることができる。
前記加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦部材が用いられる。
前記摩擦部材としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。
尚、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、前述の摩擦部材が好適に用いられる。
前記摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂等が用いられる。
前記摩擦部材は筆記具と別体の任意形状の部材(摩擦体)とを組み合わせて筆記具セットを得ることもできるが、筆記具に摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れる。
キャップを備える筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)或いは軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)に摩擦部材を設けることができる。
出没式の筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)或いはノック部に摩擦部材を設けることができる。
冷熱具としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
実施例及び比較例のインキ組成を以下の表に示す。尚、実施例中の部は重量部である。また、各平均粒子径は堀場製作所製レーザー式粒度分布測定機LA−300を使用し、そのメジアン径を平均粒子径とした。
Figure 2012067210
前記表中のマイクロカプセル顔料について以下に説明する。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aの調製
(イ)成分として2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン3.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0部を用いた溶液を、ポリビニルアルコール水溶液中で、平均粒子径が約0.7μmになるよう分散条件を調整して乳化分散し、加温しながら撹拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に撹拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液をスプレードライイング法にて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを単離した。
前記マイクロカプセル顔料A(T:−40℃、T:−18℃、T:45℃、T:64℃)は黒色から無色に色変化し、平均粒子径は0.65μm、1.5μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中1体積%であった。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bの調製
(イ)成分として1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン2.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン3.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0部を用いた溶液を、ポリビニルアルコール水溶液中で、平均粒子径が約0.5μmになるよう分散条件を調整して乳化分散し、加温しながら撹拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に撹拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液をスプレードライイング法にて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを単離した。
前記マイクロカプセル顔料B(T:−40℃、T:−20℃、T:45℃、T:64℃)は橙色から無色に色変化し、平均粒子径は0.45μm、1.5μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中0.1体積%であった。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cの調製
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン3.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0部を用いた溶液を、ポリビニルアルコール水溶液中で、平均粒子径が約0.9μmになるよう分散条件を調整して乳化分散し、加温しながら撹拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に撹拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液をスプレードライイング法にて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを単離した。
前記マイクロカプセル顔料(T:−40℃、T:−18℃、T:45℃、T:64℃)はピンク色から無色に色変化し、平均粒子径は0.8μm、1.5μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中11体積%であった。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dの調製
(イ)成分として3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン3.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0部を用いた溶液を、ポリビニルアルコール水溶液中で、平均粒子径が約1.2μmになるよう分散条件を調整して乳化分散し、加温しながら撹拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に撹拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液をスプレードライイング法にて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを単離した。
前記マイクロカプセル顔料(T:−35℃、T:−15℃、T:45℃、T:64℃)は青色から無色に色変化し、平均粒子径は0.95μm、1.5μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中18体積%であった。
マイクロカプセル顔料aの調製
前記マイクロカプセル顔料Aの平均粒子径を2.0μm、1.5μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中88体積%とする以外は同様の組成を用いて調整することでマイクロカプセル顔料aを得た。
マイクロカプセル顔料bの調製
前記マイクロカプセル顔料Bの平均粒子径を0.95μm、1.5μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中28体積%とする以外は同様の組成を用いて調整することでマイクロカプセル顔料bを得た。
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)積水化学(株)製、商品名:BL−S(計算分子量23000のポリビニルブチラール)
(2)積水化学(株)製、商品名:BL−1(計算分子量19000のポリビニルブチラール)
(3)日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H
(4)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(5)B.F.Goodrich社製、商品名:PEMULEN TR−1
(6)ヤスハラケミカル(株)製、商品名:YSポリスターS145
インキの調製
前記実施例と比較例の組成物において、各成分を混合して、25℃でディスパーにて3時間攪拌することで各インキを調製した。
インキ逆流防止体の調製
ポリブテン47部、鉱油47部、脂肪酸デキストリン6部を三本ロールミルにて混練してインキ逆流防止体を得た。
ボールペンの作製
前記実施例1乃至3及び比較例1,2のインキ組成物5を、直径0.7mmの超硬ボールを抱持するステンレススチール製チップ2が接続部材3を介してポリプロピレン製パイプ(インキ収容管4)の一端に嵌着されたボールペンレフィル7に充填し、その後端に前記インキ逆流防止体6を配設した後、前記ボールペンレフィル7を軸筒8に組み込み、キャップ9を装着することで試料ボールペン(筆記具1)を作製した。尚、前記軸筒後端部には摩擦部材10としてSEBS樹脂を装着してなる(図3参照)。
マーキングペンの作製
前記実施例5及び比較例3のインキ組成物5を、軸筒8内のインキ吸蔵体11に充填し、先端部にインキ吸蔵体11と連通するアクリル繊維束を樹脂で結着したチップ2を設け、キャップ9を装着することで試料用マーキングペン(筆記具1)を作製した。尚、前記軸筒後端部には摩擦部材10としてSBS樹脂を装着してなる(図4参照)。
得られたボールペン及びマーキングペンを用いて以下の試験を行った。
筆跡消去試験
各ボールペン及びマーキングペンを用いて、ボールペンは有色用紙、マーキングペンは透明PETフィルムに手書きで螺旋状の丸を連続筆記した後、筆跡を付属の摩擦部材による摩擦熱消色、又はドライヤーによる加温消色をした際の筆跡の状態を目視により観察した。
試験結果を以下の表に示す。
Figure 2012067210
尚、表中の記号に関する評価は以下の通りである。
筆跡消去試験
○:筆跡箇所に残色を生じることなく消去される。
×:筆跡箇所に白濁の残色が見られる。
加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全発色温度
加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の発色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の消色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 筆記具
2 チップ
3 接続部材
4 インキ収容管
5 インキ組成物
6 インキ逆流防止体
7 レフィル
8 軸筒
9 キャップ
10 摩擦部材
11 インキ吸蔵体

Claims (9)

  1. (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、有機溶剤を少なくとも含有してなり、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径が0.01〜1.0μmの範囲にあり、1.5μm以上の粒子が全マイクロカプセル顔料中の20体積%以下であることを特徴とする可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物。
  2. 前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、色濃度−温度曲線に関して完全消色温度(t)が50℃以上であり、完全発色温度(t)が0℃以下である請求項1記載の可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物。
  3. 前記有機溶剤の沸点が95℃〜220℃の範囲にある請求項1又は2に記載の筆記具用可逆熱変色性油性インキ組成物。
  4. 前記有機溶剤がn−オクタン、イソオクタン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレンから選ばれる一種以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物。
  5. 前記有機溶剤がエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコールから選ばれる一種以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物。
  6. 前記請求項1乃至5のいずれかに記載の可逆熱変色性筆記具用油性インキ組成物を収容した筆記具。
  7. 前記インキが直接又はインキ吸蔵体とともに収容される軸筒の材質がアルミニウム又はナイロン樹脂である請求項8記載の筆記具。
  8. 筆記具に摩擦部材を設けてなる請求項6又は7記載の筆記具。
  9. 前記摩擦部材がゴム又はプラスチック発泡体である請求項8記載の筆記具。
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