JP4874620B2 - 筆記具用油性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 - Google Patents
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Description
前記白化現象を抑制するために、高沸点溶剤を添加する方法が慣用されているが、この方法においては、筆跡乾燥性能が悪化してしまう問題がある。
そこで前記問題を解消するために、各種化合物の添加が検討され、ヒドロキシプロピルセルロースや無機塩類等を添加する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、無機塩類を添加した場合、白化現象を抑制することができるものの、インキ中に剥離剤を添加する擦過消去性インキにおいては消去性能を低下させるものであった。
0.1重量%未満では所望の白化抑制効果を付与し難くなる。また、多量に添加することも可能であるが、10重量%以下で所望の効果は充分に得られる。
前記染料としては、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
前記ソルベント染料の具体例としては、バリファストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、同3807(C.I.ソルベントブラック29の染料のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、バリファストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1の染料とC.I.アシッドイエロー23の染料の造塩体)、バリファストイエローAUM(C.I.ベーシックイエロー2の染料とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンイエローC2GH(C.I.ベーシックイエロー2の染料の有機酸塩)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1の染料の有機酸塩)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、オイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5)、ネオザポンブルー808(C.I.ソルベントブルー70)等が挙げられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムにアルミニウム等の金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、フィルム等の基材に形成したアルミニウム等の金属蒸着膜を剥離して得られる厚みが0.01〜0.1μmの金属顔料、金、銀、白金、銅から選ばれる平均粒子径が5〜30nmのコロイド粒子、蛍光顔料、蓄光性顔料、熱変色性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
前記着色剤は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成物中3〜40重量%の範囲で用いられる。
前記有機溶剤は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中40〜90重量%の範囲で用いられる。
具体的には、ケトン樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリメタクリル酸エステル、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物等が挙げられる。
これらの樹脂は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中0.5〜40重量%、好ましくは1〜35重量%の範囲で用いられる。0.5重量%未満では筆跡の紙への滲み抑制、定着性向上、堅牢性付与等の充分な効果を発揮できず、40重量%を越えて添加すると、樹脂の溶剤への溶解性が低下し、インキの流動性が低下する。
例えば、前記剥離剤としては、カルボン酸エステル類、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を挙げることができるが、好適に用いられる剥離剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル又はこれらの塩、脂肪族二塩基酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、ポリアルキレングリコールエステルから選ばれる化合物であり、一種又は二種以上を併用して用いることもできる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドロキシトルエン、フラボノイド、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸誘導体、α−トコフェロール、カテキン類等が使用できる。
紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル5′−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、p−安息香酸−2−ヒドロキシベンゾフェノン等が使用できる。
消泡剤としては、ジメチルポリシロキサン等が使用できる。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
尚、剪断減粘性付与剤を添加する場合は、20℃でのE型粘度計による3.84S−1の剪断速度におけるインキ粘度が10mPa・s(20℃)以上、好適には10〜10000mPa・sであり、且つ、剪断減粘指数を0.3〜0.99の範囲に調整することが好ましく、前記した粘度範囲及び剪断減粘指数を示すことによって、更にインキ漏れだし、インキの逆流を防止することができる。
また、着色剤として顔料を併用した場合には、前記顔料の凝集・沈降を抑制することができる。
インキ粘度が10mPa・s未満では剪断減粘性による効果が適正ではなく、インキ吐出性及び筆跡性能に支障を来すこともある。
尚、剪断減粘指数(n)は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式T=Kjn(Kは非ニュートン粘性係数)にあてはめることによって計算される値である。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面には逆流防止用に液栓や固体栓等のインキ追従体が密接している構造のボールペンを例示できる。
尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
(1)冨士色素(株)製、商品名:FUJI AS RED 58
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストレッド1308
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノール12
(4)ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、東邦化学(株)製、商品名:フォスファノールLS−500
(5)L−ピロリドンカルボン酸オクチルドデシル(脂肪酸炭素数18)、日光ケミカルズ(株)製、商品名:Ceramidone
(6)L−ピロリドンカルボン酸ミリスチル(脂肪酸炭素数14)、日光ケミカルズ(株)製、商品名:Miristidone
(7)L−ピロリドンカルボン酸ラウリル(脂肪酸炭素数12)、日光ケミカルズ(株)製、商品名:Raurydone
前記実施例1乃至3及び比較例1乃至3においては、各原料(着色剤、溶剤、樹脂)を混合し、ディスパーにて50℃で4時間撹拌した後、剥離剤、添加剤を投入して更に30分攪拌することにより筆記具用油性インキ組成物を得た。
また、前記実施例4及び比較例4、5においては、各原料(着色剤、溶剤、樹脂)を混合し、ディスパーにて40℃で2時間撹拌することにより筆記具用油性インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物5gを、市販のマーキングペン(パイロットコーポレーション製;M−12F)に充填することで油性マーキングペンを得た。
各マーキングペンを用いて、20℃、湿度60%の環境下で透明なポリエステルフィルム上に5個連続して丸を書いた際の、筆跡状態の目視による観察と、筆跡の乾燥時間の測定をした。
実施例1乃至3及び比較例1乃至3のインキ(剥離剤を添加したインキ)を充填したマーキングペンを用いて、表面光沢値70°グロスのホーロー板に5個連続して丸を書き、50gの分銅を載せたティッシュペーパーで筆跡上を移動させた際の消去性を目視により観察した。
試験結果を以下の表に示す。
筆記試験
○:筆跡に白化現象がみられない。
×:筆跡に白化現象がみられる。
筆跡乾燥試験
筆記直後から筆跡が完全に乾燥するまでの時間(秒)を示す。
消去性試験
○:1回の移動で筆跡が消去できる。
×:1回の移動で筆跡が消去できない。
Claims (3)
- 少なくとも着色剤と、有機溶剤と、樹脂と、炭素数12〜18のアルキル基を有するピロリドンカルボン酸アルキルエステルを含んでなる筆記具用油性インキ組成物。
- 前記ピロリドンカルボン酸アルキルエステルをインキ組成物全量中0.1〜10重量%含んでなる請求項1記載の筆記具用油性インキ組成物。
- 前記請求項1又は2に記載の筆記具用油性インキ組成物を内蔵してなる筆記具。
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