JP2892393B2 - 油性インキ組成物 - Google Patents

油性インキ組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、油性サインペンや、プリンター・プロツタ
ー・レコーダ等の機械記録用筆記具に使用する油性イン
キに関し、特に筆記部、塗布部の乾燥固化抑制作用を有
する油性インキ組成物に関する。
〔従来の技術〕
油性サインペンやプリンター・プロツター・レコーダ
等の機械記録用筆記具などは筆跡が短時間で乾燥される
ことが要求される。そして、要求を満足するインキは速
乾性であるために、サインペン等においてはキヤツプを
外したまま放置しておくと筆記面の溶剤が蒸発し、着色
剤や樹脂の乾燥固化が進み、筆記時における筆記部のイ
ンキの流出を阻害し、描線や塗膜のかすれや、インキ流
出不能を引き起こす不具合があつた。
この問題を解決するために蒸気圧の低い遅乾性の溶剤
を用いる方法があるが、この方法は描線の乾燥性の低下
や粘度の上昇などインキの性能を著しく劣化させるもの
であつた。
また、特公昭62-34352号公報・特開昭61-261380号公
報には添加剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使
用し、特開昭64-87677号公報には添加剤としてソルビタ
ン脂肪酸エステルを使用して、溶剤の蒸発に伴い筆記部
に被膜を形成することにより、インキの蒸発を抑制し、
筆記時に筆圧により筆記部の被膜を被ることによりイン
キの流出を図るマーキングインキがそれぞれ提案されて
いるが、これ等のインキは被膜を形成するけれど、その
ために溶剤に対する溶解性が悪化し、インキの安定性が
得難かつた。また、これ等の添加剤は水不溶性であるた
め湿度の高い所では筆記した描線上に析出物が生じ、描
線の白化の原因となつていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
そこで、本発明は描線の乾燥性の遅速化や白化、イン
キの安定性の低下を起こすことなく筆記部・塗布部の乾
燥を抑えた筆記具用油性インキ組成物を提供するもので
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の油性インキ組成物は着色剤、樹脂及びアルコ
ール系有機溶剤に、添加剤として少なくとも下記の一般
式で示されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テルおよび/またはポリオキシエチレンソルビツト脂肪
酸エステルを添加した構成を具備する。
式中l,m,nは自然数、RはC1〜C22のアルキル基を表
す。
以下本発明の各成分について詳細に説明する。
本発明に用いる着色剤としては有機溶剤に可溶な油性
染料、粉末含金染料、液状含金染料、非水溶性塩基性染
料などや顔料など様々なものが用いられる。
例えば、オイルブラツクHHB(オリエント化学工業
(株)製、登録商標名)、オイルブルーBOH(同上)、
オイルレツド5B(同上)、オイルイエロー#101、#10
5、#107、GGS(同上)、バリフアストレツド#2303、
#3304、#3305、#3306(同上)バリフアストイエロー
#4120、#4121(同上)、バリフアストブルー#2606
(同上)やスピロンレツドGEH、BEH(保土谷化学工業
(株)製、登録商標名)、スピロンイエロー3RH(同
上)、スピロンオレンジGRH concスペシヤル(同上)、
スピロンイエローRHSリキツド(同上)、スピロンバイ
オレツトRHSリキツド(同上)、フジAレツドやローダ
ミン、メチルバイオレツト、マラカイトグリーンなどが
挙げられる。
さらに顔料としては、無機顔料、有機顔料共に使用す
ることができ、例えばカーボンブラツク、酸価チタン、
鉄黒、ベンガラやアゾ、フタロシアニン、アンスラキノ
ン、インジゴ、トリフエニルメタン、キサンタン系など
が挙げられる。
これらの着色剤は単独で用いても良いし、2種以上を
混合しても構わない。配合量については特に制限はな
く、着色剤の溶解度や分散力に応じた量、または所望の
色相や濃度に適した量であれば良く、その範囲は広く通
常組成物に対して0.1〜50重量%の範囲で用いられる。
樹脂としてはロジン、エステルガム、ロジン変性マレ
イン酸レジン等のロジン誘導体、ケトン樹脂、可溶性フ
エノールレジン、メチル又はエチルセルロース、ヒドロ
キシアルキルセルロース誘導体、スチレン−マレイン酸
共重合体、ビニルブチラール、酢酸ビニル、酢酸ビニル
−塩化ビニル重合体、ビニルピロリドン等のビニル系ポ
リマー等、一般に油性インキに用いられる樹脂が使用で
き、溶解状態はもちろんエマルジヨン状態でも構わな
い。配合量はこの場合も特に制限はないが通常インキ組
成中1〜30重量%の範囲で用いられる。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール等の低級
脂肪族アルコール類等のアルコール系有機溶剤が使用で
き、配合量はインキ組成中の20〜98重量%の範囲で用い
られる。
次に上記一般式で示す添加剤のポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステルおよび/またはポリオキシエチ
レンソルビツト脂肪酸エステルは、筆記部の乾燥固化を
抑制するために使用するもので、例えば、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレ
ンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソ
ルビタントリパルミテート、ポリオキシエチレンソルビ
タントリラウレートやポリオキシエチレンソルビツトテ
トラオレエート、ポリオキシエチレンソルビツトテトラ
ステアレート、ポリオキシエチレンソルビツトトリミリ
ステート、ポリオキシエチレンソルビツトテトララウレ
ートなどが挙げられる。添加量は着色剤や樹脂の量によ
り異なるが0.01〜6重量%で、好ましくは0.1〜3重量
%である。
本発明組成物においては、前記必須成分に加え、通常
油性インキに用いられる他の添加剤、例えば、粘度調整
剤、可塑剤、分散剤などを必要に応じて添加することも
できる。
〔作用〕
揮発性の有機溶剤を使用した油性インキは、筆記部或
いは塗布部を長時間空気中にさらして置くと溶剤の揮発
によりインキ中の着色剤や樹脂が固化して流出不良を起
こす。しかし、本発明に使用するポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステルおよび/またはポリオキシエチ
レンソルビツト脂肪酸エステルは、溶剤が蒸発する際に
溶剤などとの相互作用により筆記部表面上に軟らかく薄
いゲル状の層を形成し、蒸発を抑制する。その結果、筆
記部あるいは塗布面を長時間空気中に放置しても流出不
良を起こし難い油性インキを得ることができる。さら
に、この添加剤は非常に少量で効果を示すことから、描
線や塗膜の乾燥速度の低下がなく、分子中のエチレンオ
キサイドの長さにより溶剤や樹脂及び水分などとの親和
力をコントロールすることができ、インキの安定性や描
線或いは塗布部の状態など、そのインキの持つ本来の性
能を劣化させることがない。
〔実施例〕
本発明の実施例を比較例と対比し、その特長を説明す
る。なお、ここで記載する(部)は重量部を表わす。
実施例1 着色剤・オイルブルーBOH(オリエント化学工業(株)
製) 7.0(部) 樹脂 ・タマノル 100S(荒川化学工業(株)製) 7.0 〃 溶剤 ・エタノール 60.0 〃 ・エチルセロソルブ 20.0 〃 ・酢酸エチル 4.0 〃 添加剤・POEソルビタントリステアレート 2.0 〃 比較例1 着色剤・オイルブルーBOH(同上) 7.0(部) 樹脂 ・タマノル 100S(同上) 7.0 〃 溶剤 ・エタノール 57.0 〃 ・エチルセロソルブ 20.0 〃 ・酢酸エチル 4.0 〃 添加剤・ソルビタンパルミテート 5.0 〃 実施例2 着色剤・フジASレツド(冨士色素(株)製)10.0(部) 溶剤 ・エタノール 69.5 〃 ・イソプロピルアルコール 9.5 〃 添加剤・ドデカン2酸ジオクチル 6.0 〃 ・ポリオキシエチレンアルキルエーテル 4.0 〃 ・POEソルビツトテトラステアレート 1.0 〃 比較例2 着色剤・フジASレツド(冨士色素(株)製)10.0(部) 溶剤 ・エタノール 68.5 〃 ・イソプロピルアルコール 9.0 〃 添加剤・ドデカン2酸ジオクチル 6.0 〃 ・ポリオキシエチレンアルキルエーテル 4.0 〃 ・ヘキサグリセリンジパルミテート 2.5 〃 上記の各実施例と各比較例とについて、(1)温度25
℃・湿度65%の条件でキヤツプを取り、筆記できなくな
るまでの放置時間を測定(ノンドライ性能)、(2)温
度25℃・湿度30%、温度30℃・湿度80%の条件下で筆記
し、描線表面を目視にて比較、(3)温度50℃で1ヵ月
放置した時のインキの安定性、に対する評価試験を行つ
た。その結果は、下表の通りである。
〔発明の効果〕 着色剤・樹脂およびアルコール系有機溶剤を含むイン
キ組成物中に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステルおよび/またはポリオキシエチレンソルビット脂
肪酸エステルを添加した本発明の油性インキ組成物であ
る実施例1・実施例2ともに、筆記部・塗布面が乾燥す
るには長時間かかり、また、筆記面の描線状態も高温高
湿であつても良好な評価を得た。また、インキ自体は長
時間安定性を保持している。
すなわち本発明の油性インキ組成物は、筆記部表面に
生成したゲル状層が溶剤の揮発を抑制し、筆記部を長時
間空気中に放置しても着色剤や樹脂の固化を防ぎ、流出
不良を起こし難くし、さらに分子中のエチレンオキサイ
ドの効果により溶剤や樹脂との親和性を高め、描線や塗
膜の荒れを無くし鮮明なものにすると共に、インキの安
定性が優れている。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】着色剤、樹脂およびアルコール系有機溶剤
    よりなるインキ組成物中に、少なくともポリオキシエチ
    レンソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはポリオキ
    シエチレンソルビット脂肪酸エステルを含有してなる筆
    記具用油性インキ組成物。
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