JP4294185B2 - 水性筆記具用インキ組成物及び水性筆記具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペン先端部でのインキの乾燥を抑制することができる水性筆記具用インキ組成物、及び、それを用いた水性筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでの筆記具等に用いられていた水性インキは、ペン先部分が大気中に開放されたまま長時間経過するとインキ中の液体成分(水又は有機溶剤)が蒸発してインキの粘度が高くなりペン先が乾燥し、筆記不能になる場合がしばしばあった。そこで、このような乾燥を抑制する耐乾燥性を付与するため、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどの吸湿性有機溶剤を添加することが従来から極めて一般的に行われている。しかしながら、これらの物質で乾燥抑制効果を得るには、かなり大量にインキ中に添加しなければならず、しかも着色剤として顔料を用いるインキにおいては必ずしも充分な効果が得られない上に、筆記線の乾燥が遅くなってしまうことやインキの粘度上昇による流出困難、描線のかすれなどの欠点があった。
【0003】
特に最近では、従来あまり用いられることのなかった、ガラスやプラスチックなどの非吸収性表面にも筆記可能な水性インキを充填した筆記具などが多く使われるようになり、その場合多量の吸湿性有機溶剤や尿素などの添加は、非吸収性表面での筆記線の乾燥を著しく遅らせることや、描線固着性、耐水性の著しい低下という致命的欠点となる。
またペン先での乾燥抑制剤として尿素又はエチレン尿素を単独で用いるか、又は前記の吸湿性有機溶剤などと併用してなるインキ組成物も提案され、また実際に用いられているが、水溶性染料を着色剤として用いる水性インキ組成物においてはペン先での乾燥抑制効果がある程度認められるものの、顔料を着色剤として用いるインキ組成物においては充分な乾燥抑制効果が得られていない。
【0004】
このように、ペン先の耐乾燥性を向上させるためにインキ組成物に上記のような吸湿性有機溶剤や尿素などを多量に加えることにより生ずるインキ性能(筆記線の滲み、乾燥性など)の低下を防止しかつペン先の耐乾燥性に優れた水性インキ組成物を得るため従来から種々の提案がなされている。例えば、ヒドロキノンを配合すること(特開平9−241570号公報)、サリゲニンを配合すること(特開平9−67537号公報)、パラキシレングリコールを配合すること(特開平9−12957号公報)、1,4−シクロヘキサンジメタノールを配合すること(特願平11−131467号明細書)等である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ペン先での乾燥抑制効果と非吸収性表面での筆記線の乾燥速度とは、ある程度相反する要求品質であり、上記種々提案された水性インキにおいても、両者が充分に満足し得る状態を得ることは非常に難しい。本発明者らは、この点に特に留意しつつ鋭意研究を重ねた結果、ヒダントイン又はヒダントイン誘導体を配合することで、二つの相反する要求品質をバランスよく得ることができることに着目し、本発明に到ったものである。本発明は、上記従来の水性インキの課題に鑑み、これを解決しようとするものであり、このようなインキ性能の低下または変化を抑え、耐乾燥性に優れた水性筆記具用インキ組成物、及び、それを用いた水性筆記具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明とその態様を以下に示す。
(1)着色剤としての顔料と、水と、ヒダントインとを少なくとも含有し、ヒダントインを2〜4重量%の割合で含有して成る水性筆記具用インキ組成物。
(2)更にフッ素系界面活性剤を含有する、上記(1)に記載の水性筆記具用インキ組成物。
(3)上記(1)又は(2)に記載の水性インキ組成物を用いて成る水性筆記具。
【0007】
ここで言うヒダントイン及びヒダントイン誘導体としては、下記一般式で示されるヒダントイン、1−アリルヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1−イソプロピルヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、1−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントイン又はアラントイン等があげられるが、これらの一種又は二種以上を添加すると、ペン先部分でのインキの乾燥抑制効果が得られるとともに、筆記時の描線の滲みやかすれが無く、また非吸収性表面に筆記した際にも良好な乾燥性を示す。特に、5,5−ジメチルヒダントインが好ましい。
【0008】
【化1】
【0009】
ヒダントイン:R1 =R2 =R3 =R4 =−H
1−アリルヒダントイン:
R1 =−CH2 CH=CH2,R2 =R3 =R4 =−H
1−メチルヒダントイン:R1 =−CH3,R2 =R3 =R4 =−H
1−イソプロピルヒダントイン:
R1 =−CH(CH3)2,R2 =R3 =R4 =−H
5,5−ジメチルヒダントイン:R1 =R2 =−H,R3 =R4 =−CH3
1−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントイン:
R1 =−CH2 OH,R2 =−H,R3 =R4 =−CH3
アラントイン:R1 =R2 =R3 =−H,R4 =−NHCONH2
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における作用効果の発現のメカニズムは必ずしも明らかではないが、概ね下記のように推測される。即ち、ペン先部分が露出して大気にふれると、水分が蒸発して乾燥抑制剤がいち早く析出し、析出物がペン先部分の露出した表面を覆って、以降の水分の蒸発を抑制するとともに、該表面に筆記不能に結びつくような硬い皮膜が生成することを防ぐことにより、目的を達することができるというものである。
このような観点から、乾燥抑制剤の水に対する溶解度が低すぎると、該表面を充分に覆うだけの乾燥抑制剤が析出せず、従って充分な乾燥抑制効果を得ることができない。一方、乾燥抑制剤の水に対する溶解度が高すぎると、ペン先表面の水分が蒸発しても乾燥抑制剤が容易に析出せず、その間水分が蒸発して該表面が固化し筆記不能となる。
【0011】
そこで、種々実験を行った結果、本発明において、ヒダントイン及び/又はヒダントイン誘導体の添加量は組成物を基準として(以下同じ)2〜20重量%、好ましくは4〜10重量%が適当であることが明らかとなった。ここで該添加量が2重量%未満ではペン先部分での乾燥抑制効果が充分ではなく、また20重量%を越えると効果はそれほど増加せず、むしろ粘度増加による筆記性能の低下や保存安定性の低下をもたらすという弊害が生ずるので好ましくない。
【0012】
本発明の水性インキは、着色剤と、水と、ヒダントイン及びヒダントイン誘導体からなる群から選択される一種以上の化合物とを少なくとも含むことを特徴としているものであるが、着色剤としては、従来の水性インキで用いられている染料及び顔料が何ら制約無しに用いることができる。しかしながら顔料を用いたインキは、染料を用いたインキに比べて著しくペン先で乾燥、固化しやすいため、一般的に顔料を用いたインキにおいて有効な乾燥抑制効果が認められる場合は、染料を用いたインキにおいては言うに及ばず、極めて有効な乾燥抑制効果が認められる。かかる顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料、フタロシアニン系顔料やアゾ系顔料、キナクリドン系顔料、イソジゴ系顔料、ニトロソ系顔料などの有機顔料などがあげられる。染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、などの水溶性染料が用いられるが、先に述べた様に発明の作用効果を得たいインキ組成物は主として顔料を用いたインキなので、以下、実施例を含めて主に顔料インキに限定して説明した。
【0013】
また通常用いられる防腐剤、防黴剤、pH調整剤、固体表面への濡れを良くする表面張力調整剤(例えば、フッ素系界面活性剤)なども必要に応じて用いることができる。しかしながら、既に述べたように、通常、保湿剤或いは凍結防止剤として用いる、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどを大量に添加することは、筆記線の乾燥を遅らす欠点があり、紙のような浸透性の筆記面での乾燥はまだしも、ガラスやプラスチックなどの非吸収面での筆記の場合には、致命的な欠点となる。しかし、インキの凍結防止目的でエチレングリコールやプロピレングリコール等をインキ中に少量添加することを制約するものではない。
【0014】
ここで着色剤の使用量は、通常1〜10重量%程度とするのが好ましいが、特に限定されるものではない。
本発明においては、ヒダントイン及び/又はヒダントイン誘導体の添加による直接的な乾燥抑制効果によって、上記の保湿剤の添加による乾燥抑制効果は必ずしも必要とせず、むしろその効果を低減させる場合があるという試験結果が得られている。
また、本発明の水性インキ組成物は、一般にpH6〜9.5、粘度2〜20mPa・s,表面張力18〜35mN/mの範囲の特性を有する。
その他の添加剤についても何ら制約するものではないが、発明の目的に鑑み、水の蒸発に伴う乾燥抑制剤の析出を妨げるものであってはならない。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、それにより本発明を限定するものではない
(実施例1)
▲1▼ WM−Zカラーブラック 85.7重量%
(カーボンブラック11%水分散体、大日精化工業(株)製 商品名)
▲2▼ デルトップ100 0.2重量%
(防腐剤、武田薬品工業(株)製 商品名)
▲3▼ ヒダントイン 4.0重量%
▲4▼ フッ素系界面活性剤 0.1重量%
▲5▼ イオン交換水 10.0重量%
▲5▼に▲2▼、▲3▼、▲4▼を加えて攪拌した後、得られた混合物を、▲1▼を攪拌しながらゆっくり▲1▼に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性黒色インキ組成物を得た。尚、上記水性黒色インキ組成物のpHは7.3、粘度は1.98mPa・s、表面張力は19.1mN/mであった。
なお、“粘度”は、ブルックフィールド社製「ブルックフィールドE型粘度計」、“表面張力”は、協和科学株式会社製「ウィルヘルミー型表面張力測定器」を用いて測定した(以下同じ)。
【0016】
(参考例1)
(1)WM−Zカラーブラック 79.7重量%
(2)デルトップ100 0.2重量%
(3)1−アリルヒダントイン 10.0重量%
(4)フッ素系界面活性剤 0.1重量%
(5)イオン交換水 10.0重量%
(5)に(2)、(3)、(4)を加えて攪拌した後、得られた混合物を、(1)を攪拌しながらゆっくり(1)に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性黒色インキ組成物を得た。尚、上記水性黒色インキ組成物のpHは8.1、粘度は2.38mPa・s、表面張力は18.1mN/mであった。
【0017】
(参考例2)
(1)WM−Zカラーブラック 79.7重量%
(2)デルトップ100 0.2重量%
(3)1−メチルヒダントイン 10.0重量%
(4)フッ素系界面活性剤 0.1重量%
(5)イオン交換水 10.0重量%
(5)に(2)、(3)、(4)を加えて攪拌した後、得られた混合物を、(1)を攪拌しながらゆっくり(1)に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性黒色インキ組成物を得た。尚、上記水性黒色インキ組成物のpHは8.0、粘度は2.28mPa・s、表面張力は18.5mN/mであった。
【0018】
(参考例3)
(1)WM−Zカラーブラック 79.7重量%
(2)デルトップ100 0.2重量%
(3)1−イソプロピルヒダントイン 10.0重量%
(4)フッ素系界面活性剤 0.1重量%
(5)イオン交換水 10.0重量%
(5)に(2)、(3)、(4)を加えて攪拌した後、得られた混合物を、(1)を攪拌しながらゆっくり(1)に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性黒色インキ組成物を得た。尚、上記水性黒色インキ組成物のpHは8.1、粘度は2.36mPa・s、表面張力は17.8mN/mであった。
【0019】
(参考例4)
(1)WM−Zカラーブラック 79.7重量%
(2)デルトップ100 0.2重量%
(3)5,5−ジメチルヒダントイン 10.0重量%
(4)フッ素系界面活性剤 0.1重量%
(5)イオン交換水 10.0重量%
(5)に(2)、(3)、(4)を加えて攪拌した後、得られた混合物を、(1)を攪拌しながらゆっくり(1)に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性黒色インキ組成物を得た。尚、上記水性黒色インキ組成物のpHは7.8、粘度は2.25mPa・s、表面張力は18.3mN/mであった。
【0020】
(参考例5)
(1)WM−Zカラーブラック 79.7重量%
(2)デルトップ100 0.2重量%
(3)1−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントイン 10.0重量%
(4)フッ素系界面活性剤 0.1重量%
(5)イオン交換水 10.0重量%
(5)に(2)、(3)、(4)を加えて攪拌した後、得られた混合物を、(1)を攪拌しながらゆっくり(1)に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性黒色インキ組成物を得た。尚、上記水性黒色インキ組成物のpHは7.6、粘度は2.21mPa・s、表面張力は18.3mN/mであった。
【0021】
(実施例2)
(1)WM−Zカラーブラック 82.7重量%
(2)デルトップ100 0.2重量%
(3)アラントイン 5.0重量%
(4)ヒダントイン 2.0重量%
(5)フッ素系界面活性剤 0.1重量%
(6)イオン交換水 10.0重量%
(6)に(2)、(3)、(4)、(5)を加えて攪拌した後、得られた混合物を、(1)を攪拌しながらゆっくり(1)に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性黒色インキ組成物を得た。尚、上記水性黒色インキ組成物のpHは7.5、粘度は2.05mPa・s、表面張力は18.9mN/mであった。
【0022】
(実施例3)
(1)WM−Zカラーブルー 85.7重量%
(フタロシアニン系顔料10%水分散体、大日精化工業(株)製 商品名)
(2)デルトップ100 0.2重量%
(3)ヒダントイン 4.0重量%
(4)フッ素系界面活性剤 0.1重量%
(5)イオン交換水 10.0重量%
(5)に(2)、(3)、(4)を加えて攪拌した後、得られた混合物を、(1)を攪拌しながらゆっくり(1)に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性青色インキ組成物を得た。尚、上記水性青色インキ組成物のpHは7.9、粘度は4.74mPa・s、表面張力は23.4mN/mであった。
【0023】
(実施例4)
(1)WM−Zカラーレッド 85.7重量%
(アゾ系顔料10%水分散体、大日精化工業(株)製 商品名)
(2)デルトップ100 0.2重量%
(3)ヒダントイン 4.0重量%
(4)フッ素系界面活性剤 0.1重量%
(5)イオン交換水 10.0重量%
(5)に(2)、(3)、(4)を加えて攪拌した後、得られた混合物を、(1)を攪拌しながらゆっくり(1)に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性赤色インキ組成物を得た。尚、上記水性赤色インキ組成物のpHは7.8、粘度は5.33mPa・s、表面張力は23.2mN/mであった。
【0024】
(比較例1)
▲1▼ WM−Zカラーブラック 74.7重量%
▲2▼ デルトップ100 0.2重量%
▲3▼ グリセリン 15.0重量%
▲4▼ フッ素系界面活性剤 0.1重量%
▲5▼ イオン交換水 10.0重量%
▲5▼に▲2▼、▲3▼、▲4▼を加えて攪拌した後、得られた混合物を、▲1▼を攪拌しながらゆっくり▲1▼に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性黒色インキ組成物を得た。尚、上記水性黒色インキ組成物のpHは8.6、粘度は4.10mPa・s、表面張力は25.9mN/mであった。
【0025】
(比較例2)
▲1▼ WM−Zカラーブラック 74.7重量%
▲2▼ デルトップ100 0.2重量%
▲3▼ エチレングリコール 15.0重量%
▲4▼ フッ素系界面活性剤 0.1重量%
▲5▼ イオン交換水 10.0重量%
▲5▼に▲2▼、▲3▼、▲4▼を加えて攪拌した後、得られた混合物を、▲1▼を攪拌しながらゆっくり▲1▼に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性黒色インキ組成物を得た。尚、上記水性黒色インキ組成物のpHは8.6、粘度は3.95mPa・s、表面張力は23.7mN/mであった。
【0026】
(比較例3)
▲1▼ WM−Zカラーブラック 74.8重量%
▲2▼ デルトップ100 0.2重量%
▲3▼ 尿素 15.0重量%
▲4▼ フッ素系界面活性剤 0.1重量%
▲5▼ イオン交換水 10.0重量%
▲5▼に▲2▼、▲3▼、▲4▼を加えて攪拌した後、得られた混合物を、▲1▼を攪拌しながらゆっくり▲1▼に加え2時間攪拌し、遠心機により粗大粒子を除去し水性黒色インキ組成物を得た。尚、上記水性黒色インキ組成物のpHは8.6、粘度は2.42mPa・s、表面張力は23.9mN/mであった。
【0027】
(試験方法)
上記実施例1〜4、参考例1〜5及び比較例1〜3の各インキを、市販されている通常の中綿式マーキングペンと同様に、中綿(インキ吸蔵体)にインキを充填した後、軸に装填し、ペン先、尾栓及びキャップを嵌着して1日横置きに静置したものを試験試料とした。
(1)ペン先での耐乾燥性試験(乾燥抑制効果の評価)
複数本の前記試験試料のキャップをはずし横置きで放置し、一定時間ごとに筆記用紙に手書きで筆記し、初筆の筆記状態を観測した。
(2)筆記線の乾燥時間
前記試験試料を用いて、ポリエチレンフィルムに手書きで約30cmの線を描く。一定時間ごとに筆記線直角方向に消しゴムで軽く擦り、筆記線が擦り取られたり、延びたりしなくなった最短の時間を「筆記線の乾燥時間」とした。
(試験結果)
試験結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
実施例1〜4、参考例1〜5及び比較例1〜3の記載からわかるように、吸湿性有機溶剤又は尿素を乾燥抑制剤として用いた比較例と、本発明の実施例及び参考例で用いたヒダントイン及び/又はヒダントイン誘導体の添加量(重量部)の差が、処方上、顔料水分散体の差(実施例及び参考例の方が約8%多い)となっており、顔料(着色剤)分の多い実施例及び参考例の方がペン先でより乾燥しやすい厳しい条件下にあるにもかかわらず、表1の試験結果から明らかなように、比較例1〜3においては筆記可能な放置時間がいずれの場合も20分以下であったのに対して、実施例1〜4及び参考例1〜5においては筆記可能な放置時間が60分以上に大幅に延長された。比較例1及び比較例2で用いた吸湿性有機溶剤の添加における「筆記線の乾燥時間」がいずれの場合も、180秒以上であるのに対して、実施例1〜4及び参考例1〜5は、はるかに短く、発明の効果が顕著に現れている。さらにこの点に関し、実施例1〜4及び参考例1〜5と同様に固体の乾燥抑制剤(尿素)を添加した比較例3と比較しても、実施例1〜4及び参考例1〜5は、「筆記線の乾燥時間」が短くなっており、発明の効果が実証された。
【0030】
【発明の効果】
吸湿性有機溶剤の添加により、ペン先部分での乾燥抑制効果を得るには、従来15〜35重量%にも及ぶかなり多量の吸湿性有機溶剤を添加しなければならず、特に着色剤として顔料を用いたインキにおいてはそれでもまだ充分な乾燥抑制効果を得ることができない場合が極めて多いのに対して、本発明の水性インキ組成物によると、その量を必要最小限に抑えつつより有効な乾燥抑制効果ならびに筆記線の良好な乾燥性を与えるという効果を発揮することができる。
Claims (3)
- 着色剤としての顔料と、水と、ヒダントインとを少なくとも含有し、ヒダントインを2〜4重量%の割合で含有して成る水性筆記具用インキ組成物。
- 更にフッ素系界面活性剤を含有する、請求項1に記載の水性筆記具用インキ組成物。
- 請求項1又は2に記載の水性インキ組成物を用いて成る水性筆記具。
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