JP6788337B2 - 接合用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、接合用組成物に関する。
金属や、酸化物等を接合部分に含む被接合材料を接合する際に用いることができる接合用組成物について従来から検討がなされてきた。特に、接合部分に酸化物を含む被接合材料を接合することは困難であることから、被接合材料の接合部分に酸化物を含む場合でも接合することが可能な接合用組成物について検討がなされている。
被接合材料の接合部分に酸化物を含む場合であって、380℃付近での接合及びシーリングに使用される接合用組成物としては、はんだ、またはガラスフリットが主に用いられている。しかし、「JISハンドブック(3)非鉄」に掲載されたロウ材及びブレイジングシート等においては、400℃以下で溶解して、被接合材料であるガラス等とロウ材との熱膨張係数の差によりガラス等に収縮割れを生じることなく、密着性良く接合することは困難であった。
そこで、接合部分に酸化物を含有する被接合材料を接合できる接合用組成物について、従来から検討がなされていた。
例えば特許文献1には、質量%で、Ag:2.0〜15.0%、Al:0.1超〜6.0%を含み、残部Snおよび不可避的不純物からなることを特徴とする酸化物接合用はんだ合金が開示されている。
また、特許文献2には、一対のガラス板間の間隙部を気密に封止する金属材料として、72〜99.9%のSnを含み、さらにZn、Al、SiおよびTiのうち少なくともいずれかの成分を含有し、鉛の含有量が重量%で表示して0.1%未満であり、液相線温度をT(℃)、ガラス板の歪点をT(℃)で表した時、100≦T≦(T−100)である金属材料が開示されている。
特許第4669877号 特許第4503856号
ところで、一対の被接合材料を接合用組成物により接合する場合、各被接合材料の接合面に予め接合用組成物を塗布しておく方法が取られている。
しかしながら、特許文献1、2に開示された接合用組成物によれば、被接合材料の接合面に塗布するために溶融した際に、その表面に酸化被膜が生じやすく、接合の際に超音波等を用いて酸化被膜を除去する作業が必要であった。
上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では接合時に酸化被膜の除去を要しない接合用組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一側面では、スズ、ゲルマニウム、ニッケル、イリジウム、及び不可避成分からなり
前記ゲルマニウムの含有量が10質量%以下であって、
前記ゲルマニウムの含有量と、前記ニッケルの含有量とが、以下の式(1)を満たし、前記イリジウムの含有量が0.0005質量%以上0.1質量%以下である接合用組成物を提供することができる。
0.1≦[Ni]≦2.8×[Ge]0.3 ・・・(1)
(ただし、[Ni]はニッケルの含有量、[Ge]はゲルマニウムの含有量を示す。)



実施例、比較例において、接合強度を評価するための3点曲げ試験の概略説明図。 3点曲げ試験用の試験片の作製手順の説明図。 リーク試験用の試験片の作製手順の説明図。 リーク試験用の試験片の説明図。 実施例、比較例における接合用組成物のゲルマニウムの含有量と、ニッケルの含有量との相関説明図。 本発明の実施例における接合用組成物のイリジウムの含有量と、接合強度との相関説明図。 実施例、比較例における接合用組成物のゲルマニウムの含有量と、ニッケルの含有量との相関説明図。 実施例11、実施例19、実施例20における接合用組成物の断面の光学顕微鏡画像。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本実施形態ではまず、接合用組成物の一構成例について説明を行う。
本実施形態の接合用組成物は、スズ、ゲルマニウム、及びニッケルを含有し、ゲルマニウムの含有量が10質量%以下であって、ゲルマニウムの含有量と、ニッケルの含有量とが、以下の式(1)を満たすことができる。
[Ni]≦2.8×[Ge]0.3 ・・・(1)
(ただし、[Ni]はニッケルの含有量、[Ge]はゲルマニウムの含有量を示す。)
以下に本実施形態の接合用組成物が含有することができる各成分について説明する。
(スズ)
本実施形態の接合用組成物は、上述のようにスズ(Sn)を含有する。
スズは、被接合材料と、接合用組成物との熱膨張差を緩和することができる。さらに、スズは接合用組成物の溶融温度を引き下げる働きを有する。
本実施形態の接合用組成物は、スズを主成分として含有することができる。主成分として含有するとは、例えば接合用組成物中に最も多く含まれている成分であることを意味しており、接合用組成物中に60質量%以上含有されている成分であることが好ましい。
特に、接合用組成物のスズの含有量は、例えば、85.9質量%以上であることがより好ましく、87.0質量%以上であることがさらに好ましく、88.0質量%以上であることが特に好ましい。
これは接合用組成物中のスズの含有量が85.9質量%以上の場合、上述した被接合材料と、接合用組成物との熱膨張差の緩和、及び接合用組成物の溶融温度の低下について、特に高い効果を示すからである。
接合用組成物中のスズの含有量の上限値は特に限定されるものではないが例えば、99.9質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましく、99.3質量%以下であることがさらに好ましい。
上述のように、本実施形態の接合用組成物はスズ以外にゲルマニウム、及びニッケルを含有する。そして、これらの成分を含有することにより、被接合材料に塗布した際に接合用組成物の表面に酸化被膜が生じることを抑制できる。また、ゲルマニウム、ニッケル以外にも後述する任意の成分を添加することができる。このため、これらのスズ以外の成分の含有量を十分に確保するため、上述のように、スズの含有量は99.9質量%以下であることが好ましい。
なお、後述のようにゲルマニウム等の含有量によっては被接合材料間の気密封止性を特に高めることができる。気密封止性を高める観点からは、接合用組成物中の、スズ以外のゲルマニウム等の成分の含有量が一定量以上あることが好ましい。このため、気密封止性を特に高めることが要求される場合等には、スズの含有量の上限値は98.8質量%以下とすることが特に好ましい。
(ゲルマニウム)
本実施形態の接合用組成物は、上述の様にゲルマニウムを含有する。
ゲルマニウムは、被接合材料の接合面に接合用組成物を塗布した際に接合用組成物の表面に酸化被膜が生じることを抑制できる。これは、接合用組成物を塗布するために溶融した際、接合用組成物に含まれるゲルマニウムが優先的に酸化して、接合用組成物中のニッケルが酸化することを抑制することができるためである。
本実施形態の接合用組成物のゲルマニウムの含有量は特に限定されるものではないが、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。
これは接合用組成物のゲルマニウムの含有量が10質量%を超えると、ゲルマニウム自身が過度に酸化物を形成することとなり、かえって、被接合材料との接合を妨げるおそれがあるからである。
ゲルマニウムの含有量の下限値は特に限定されるものではないが、例えば0.5質量%より多いことが好ましく、0.7質量%以上であることがより好ましい。
接合用組成物は溶解した際に、過剰となった酸素がガス化することで接合用組成物内に空隙を生じる場合がある。特に真空環境下で接合のために接合用組成物を溶融した際には、上述の酸素等のガスが膨張し接合用組成物内に空隙を生じやすくなる。そして、該空隙により、被接合材料間の気密封止性が低下する場合がある。
これに対して、接合用組成物のゲルマニウムの含有量を0.5質量%より多くすることで、上述の様な過剰の酸素に起因する接合用組成物内の空隙の発生を抑制し、被接合材料間の気密封止性を特に高めることができるため好ましい。
(ニッケル)
本実施形態の接合用組成物は、上述のようにニッケル(Ni)を含有する。
接合用組成物を溶解した際に接合用組成物に含まれるニッケルは酸化物となる傾向が強い。このため、被接合材料の接合部分に酸化物が含まれている場合に、該接合部分の酸化物と接合用組成物とが結合しやすくなり、接合用組成物と、酸化物を含む該接合部分との濡れ性が向上し、高い接合強度を発揮することが可能になるからである。
本実施形態の接合用組成物のニッケルの含有量は特に限定されるものではないが、ゲルマニウムの含有量と一定の関係を有することが好ましい。
具体的には、ニッケルの含有量[Ni]と、ゲルマニウムの含有量[Ge]とは、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
[Ni]≦2.8×[Ge]0.3 ・・・(1)
これは、接合用組成物のニッケルの含有量[Ni]が2.8×[Ge]0.3を超えると、該接合用組成物を被接合材料の接合面に塗布するため溶融した際に、接合用組成物の一部が粒子状に溶け残り、接合できなくなる場合があるためである。
特に、ニッケルの含有量[Ni]と、ゲルマニウムの含有量[Ge]とは、[Ni]≦2.4×[Ge]0.3を満たすことがより好ましく、[Ni]≦2.0×[Ge]0.3を満たすことがさらに好ましい。
本実施形態の接合用組成物のニッケルの含有量の下限値は特に限定されるものではなく、0重量%よりも多ければ良い。
また、ニッケルの含有量[Ni]を、ゲルマニウムの含有量[Ge]で除した値が2.0未満であることが好ましく、1.5未満であることが好ましい。すなわち[Ni]/[Ge]<2.0であることが好ましく、[Ni]/[Ge]<1.5であることがより好ましい。
これは、[Ni]/[Ge]が、2.0以上の場合、被接合材料の接合面に塗布するために溶融させた接合用組成物の表面に、ニッケルの酸化被膜が発生する場合があり、接合を阻害する恐れがあるためである。
また、ニッケルの含有量[Ni]を、ゲルマニウムの含有量[Ge]で除した値は0.005以上であることが好ましく、0.01以上であることがより好ましい。すなわち0.005≦[Ni]/[Ge]であることが好ましく、0.01≦[Ni]/[Ge]であることがより好ましい。
これは[Ni]/[Ge]が0.005未満の場合、接合用組成物が、十分な酸素を保持できず、被接合材料の接合部分に酸化物が含まれている場合に、該接合部分の酸化物に対する濡れ性が低下し、被接合材料間の気密封止性を損なう恐れがあるからである。
さらに、ゲルマニウムの含有量と、ニッケルの含有量との合計は1.2質量%より多いことが好ましい。これは、接合用組成物中のゲルマニウムの含有量と、ニッケルの含有量との合計が1.2質量%よりも多い場合、被接合材料間の気密封止性を特に高めることができるからである。
(イリジウム)
本実施形態の接合用組成物は、さらにイリジウム(Ir)を含有することもできる。
本実施形態の接合用組成物がイリジウムを含有することで、接合用組成物を溶融した際に、接合用組成物内の空隙の発生を低減することができる。接合用組成物がイリジウムを含有することで、接合用組成物を溶融した際に空隙の発生を抑制できる理由については明らかではないが、溶融金属の表面張力を低下させ、ガスの巻き込みを低減できるためと推認される。
このように接合用組成物を溶融した際に空隙の発生を低減できることで、被接合材料との接合面積を十分に確保できるため、接合強度を高めることが可能なる。また、リーク経路の発生を抑制できるため、被接合材料間の気密封止性を高めることができる。
また、接合用組成物中の共晶物の結晶の粗大化は、接合用組成物を溶融し、凝固させて、被接合材料間を接合する接合部を形成した際、該接合部の伸びや強度を低下させ、接合部におけるクラック発生の原因となる場合がある。しかし、接合用組成物がイリジウムを含有することで、共晶物の結晶の粗大化を抑制でき、気密性低下の原因となるクラックの発生を抑えることができる。
なお、接合用組成物は、線状に加工して線状はんだとして使用されることが一般的であるが、粗大な結晶を含む線状はんだは脆く、使いにくい。これに対して、本実施形態の接合用組成物はイリジウムを含有することで、接合用組成物中の共晶物の結晶の粗大化を抑制できる。このため、本実施形態の接合用組成物は、イリジウムを含有することで線状はんだとした場合でも取扱い性が低下することを抑制できる。
ここでいう接合用組成物に含まれる共晶物とは、例えばゲルマニウムと、ニッケルとで形成されるGe/Ni共晶物が挙げられる。
本実施形態の接合用組成物のイリジウムの含有量は特に限定されるものではないが、例えば0.1質量%以下であることが好ましく、0.025質量%以下であることがより好ましく、0.005質量%以下であることがさらに好ましい。
これは接合用組成物中のイリジウムの含有量が0.1質量%を超える場合、該接合用組成物を溶解した際に、その表面に酸化被膜が発生する場合があり、被接合材料の接合を阻害する恐れがあるためである。
また、接合用組成物中のイリジウムの含有量が0.025質量%以下の場合、被接合材料間の気密封止性を特に高めることができるため、より好ましい。
イリジウムの含有量の下限値についても特に限定されるものではなく、例えば0質量%以上とすることができ、0.0005質量%以上であることが好ましい。
(亜鉛)
本実施形態の接合用組成物は、さらに亜鉛(Zn)を含有することもできる。
接合用組成物が亜鉛を含有する場合、該接合用組成物を溶解した際に亜鉛は酸化物となる傾向が強い。このため、被接合材料の接合部分に酸化物が含まれている場合に、該接合部分の酸化物と接合用組成物とが結合しやすくなり、接合用組成物と、酸化物を含む該接合部分との濡れ性が向上し、高い接合強度を発揮することが可能になる。
本実施形態の接合用組成物の亜鉛の含有量は特に限定されるものではないが、0.5質量%以下であることが好ましい。
これは接合用組成物中の亜鉛の含有量が0.5質量%を超える場合、該接合用組成物を溶解した際に、その表面に酸化被膜が発生する場合があり、被接合材料の接合を阻害する恐れがあるためである。
亜鉛の含有量の下限値についても特に限定されるものではなく、例えば0質量%以上とすることができる。
(酸素)
そして、本実施形態の接合用組成物はさらに、酸素を含有することができる。
接合用組成物中の酸素は、被接合材料の接合部分に酸化物が含まれている場合に、接合用組成物と、該酸化物を含有する接合部分との接合を促進する成分となる。
接合用組成物中に含まれる酸素の状態は特に限定されるものではないが、例えば酸素は接合用組成物の金属材料中に溶解した形で含有されていることが好ましい。これは、接合用組成物と、被接合材料との界面において、被接合材料の接合部分の酸化物と、接合用組成物中の金属材料との間の酸素濃度の傾斜が滑らかになり、接合界面が強固になるからである。
接合用組成物中に酸素を含有させる方法は特に限定されるものではないが、例えば、酸素を含む雰囲気下で接合用組成物を溶解、製造する方法、および/または酸素を含む雰囲気下で被接合材料との接合作業を行う方法が挙げられる。
なお、被接合材料を接合する前の接合用組成物は、後述する接合用組成物中の酸素の含有量を充足していることが好ましい。このため、酸素を含む雰囲気下で接合用組成物を溶解、製造する方法により酸素濃度を調整することが好ましい。
特に、被接合材料を接合する前の接合用組成物、および接合後の接合用組成物いずれの状態においても、後述する接合用組成物中の酸素の含有量を充足していることがより好ましい。
接合用組成物中の酸素の含有量は特に限定されるものではないが、例えば0.0001質量%以上とすることができ、好ましくは0.0007質量%以上である。
これは酸素の含有量を0.0001質量%以上とすることで、接合強度を高める効果を十分に発揮できるためである。
接合用組成物中の酸素の含有量の上限値は特に限定されるものではないが、例えば2質量%以下とすることができ、好ましくは1質量%以下である。
これは接合用組成物が含有する酸素の量が多くなりすぎると、接合用組成物内部に酸化物の析出が生じやすくなり、かえって接合強度が低下する恐れがあるためである。このため、上述のように接合用組成物中の酸素の含有量は2質量%以下であることが好ましい。
なお、ここでいう接合用組成物中の酸素の含有量とは、接合用組成物内部に含まれる酸素の含有量を意味している。すなわち、接合用組成物表面に酸化被膜が形成されている場合には、該酸化被膜を除去した後の接合用組成物中の酸素含有量を示している。
接合用組成物中の酸素量を測定する際に、酸化被膜の除去方法は特に限定されるものではなく、例えば酸等により接合用組成物の表面を処理することにより除去することができる。
ここまで、本実施形態の接合用組成物が含有することができる各成分について説明したが、係る材料に限定されるものではない。また、本実施形態の接合用組成物は、例えば接合用組成物を調製する際に発生する不可避成分を含有していてもよい。不可避成分としては特に限定されるものではない。ただし、不可避成分として、Fe、Co、Cr、V、Mn、Sb、Pb、Bi、Zn、As、Cdからなる群から選択される1種類以上の元素を含有する場合、上記元素の含有量は合計で1質量%以下であることが好ましく、合計で500ppm以下であることがより好ましい。
これは、上記元素は、接合用組成物の被接合材料に対する濡れ性を低下させる働きがあり、上記元素の合計含有量を1質量%以下とすることで、接合用組成物の被接合材料に対する濡れ性が低下することを抑制できるからである。
そして、Ga、P、Bはボイド発生の原因となるため、Ga、P、Bからなる群から選択される1種類以上の元素を不可避成分として含有する場合、その含有量は合計で500ppm以下であることが好ましく、合計で100ppm以下であることがより好ましい。
また、本実施形態の接合用組成物は、銀(Ag)を含有しないことが好ましい。
これは、銀はスズとの間で金属間化合物(AgSn)を生成する。そして、AgSnは融点が高いため、接合用組成物表面に存在すると、被接合材料との濡れ性を若干ではあるが、低下させる恐れがあるからである。
係る被接合材料との濡れ性低下の現象は従来の超音波半田ごて等を用いて、酸化被膜を除去しながら接合する接合用組成物であれば問題とはならない。しかしながら、酸化被膜の除去作用が働かない環境下で接合を行う場合には、接合を阻害する要因となるためである。
なお、接合用組成物が銀を含有しないとは、接合用組成物を酸で溶解してICP発光分光分析法により分析した場合に、検出限界以下であることを意味している。
そして、本実施形態の接合用組成物は、接合用組成物の断面中、任意の位置における面積が1.0×10μmの領域内に存在する共晶物について、共晶物がその内部に含まれる最小サイズの円を共晶物毎に形成した場合に、直径が220μm以上の円が2個以下、または直径が350μm以上の円が1個以下であることが好ましい。
また、本実施形態の接合用組成物は、接合用組成物の断面中、任意の位置における面積が1.0×10μmの領域内に存在する共晶物について、面積が2000μm以上の共晶物が2個以下、または4000μm以上の共晶物が1個以下であることが好ましい。
なお、本実施形態の接合用組成物は、少なくとも被接合材料を接合する前において、接合用組成物の断面の所定の領域内の共晶物についての上述の規定のいずれか、または両方を充足することが好ましい。特に、本実施形態の接合用組成物は、被接合材料を接合する前、及び被接合材料を接合した後の両方において、接合用組成物の断面の所定の領域内の共晶物についての上述の規定のいずれか、または両方を充足していることがより好ましい。すなわち、本実施形態の接合用組成物は、任意のタイミングで、接合用組成物の断面の所定の領域内の共晶物について評価を行った場合に、上述の規定のいずれか、または両方を充足していることがより好ましい。
上述の任意の位置における面積が1.0×10μmの領域の形状は特に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。上記領域の形状としては、例えば正方形、長方形、多角形等が挙げられる。正方形の領域とする場合、例えば一辺の長さを1.0×10μmとすることができる。また、長方形の領域とする場合、上記面積を確保できるように各辺の長さを選択でき、例えば400μm×2500μmの長方形とすることもできる。多角形の領域とする場合にも、上記面積を確保できるように各辺の長さを選択でき、多角形を構成する各辺の長さは限定されるものではない。
上述した接合用組成物に含まれる共晶物としては、例えばゲルマニウムと、ニッケルとで形成されるGe/Ni共晶物が挙げられる。
既述のように、接合用組成物中の共晶物の結晶の粗大化は、接合用組成物を溶融し、凝固させて、被接合材料間を接合する接合部を形成した際、該接合部の伸びや強度を低下させ、接合部におけるクラック発生の原因となる場合がある。しかし、接合用組成物の断面における共晶物が上記条件を充足する場合、共晶物の結晶の粗大化を抑制できているといえ、気密性低下の原因となるクラックの発生を抑えることができる。
また、接合用組成物は、線状に加工して線状はんだとして使用することができるが、接合用組成物の断面における共晶物が上記条件を充足する場合、接合用組成物中の共晶物の結晶の粗大化を抑制できており、線状はんだとした場合に十分な取扱い性を有することができる。
ここまで、本実施形態の接合用組成物について説明したが、本実施形態の接合用組成物により接合する被接合材料については特に限定されるものではなく、各種被接合材料の接合に用いることができる。被接合材料としては例えば、金属や酸化物等が挙げられ、金属同士の接合や、酸化物同士の接合、金属と酸化物との接合に用いることができる。
特に、従来は被接合材料の接合部分に酸化物を含む場合に、十分な接合強度を出すことが困難であったところ、本実施形態の接合用組成物によれば、高い接合強度を発揮することができる。このため、本実施形態の接合用組成物は、接合部分に酸化物を含む被接合材料を接合する際に特に好適に用いることができる。
なお、被接合材料の接合部分に含まれる酸化物は特に限定されるものではないが、例えば、ガラス、クロム酸化物、アルミニウム酸化物からなる群から選択された1種類以上であることが好ましい。クロム酸化物としては、ステンレス鋼の表面に形成されたクロム酸化物を含む。また、アルミニウム酸化物としては、アルミニウム金属の表面に形成された不動態膜や、酸化アルミニウムを含む。
以上に説明した本実施形態の接合用組成物によれば、溶融時に表面に酸化被膜が形成されることを抑制することができるため、酸化被膜の除去を行うことなく被接合材料の接合を行うことができる。
なお、被接合材料を真空環境下で接合するニーズもあるが、真空環境下では酸化被膜を除去するための超音波半田ごて等を利用することは困難である。このため、被接合材料の接合面に塗布するために溶融した際に表面に酸化被膜が発生し、酸化被膜を超音波半田ごて等で除去する必要のある従来の接合用組成物では、真空環境下で接合を行うことが困難であった。これに対して、本実施形態の接合用組成物によれば、被接合材料の接合面に塗布するために溶融した際に、表面に酸化被膜が形成されることを抑制できる。このため、接合時に超音波はんだごてを用いる必要はなく、真空環境下での接合にも適用することができる。
また、真空環境下において接合用組成物を溶融すると従来の接合用組成物は、該接合用組成物が含有する酸素等のガスが膨張することで被接合材料間を接合する接合部に空隙を生じ気密封止性や接合強度を損ねる原因となる場合があった。
これに対して、本実施形態の接合用組成物のうち、特に好ましい態様によれば、真空状態において接合用組成物を溶融した場合でも、過剰な酸素ガスの発生を抑制することができる。このため、接合部に空隙が生じることを抑制し、気密封止性や、接合強度を十分に高めることができる。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、以下の実施例、比較例において製造した接合用組成物の評価方法について説明する。
(接合強度試験)
2枚のガラス板を以下の各実施例、比較例で調製した接合用組成物によって接続した試験片を準備し、係る試験片について3点曲げによる試験を行い、接合強度(単位:N/mm)を測定した。
図1、図2を用いて具体的な試験手順について説明する。図1は、試験片を構成する2枚のガラス板の積層方向と平行な平面における試験片の断面図を模式的に示したものである。また、図2は図1に示す試験片の作製手順についての説明図である。図1、図2について同じ部材については同じ番号を付している。
図1に示すように3点曲げ試験には、2枚のソーダライムガラス基板111、112をお互いがずれた位置で長さ5mmの接着しろにおいて、接合用組成物により構成された接合用組成物部12により接合した試験片を用いた。そして、接合した試験片の底面を支え治具131、132で支持し、接合した試験片の上面側であって、接着しろの部分を抑え治具14を介して、ブロック矢印Aの方向に荷重を加えることで3点曲げ試験を行った。
3点曲げ試験は、接合部が剥がれ2枚のガラス板に分離、または試験片が破壊した時の荷重を測定した。そして測定値を、用いた接合用組成物の接合強度とした。
荷重評価試験機は、アイコーエンジニアリング(株)社製MODEL−1308を用いた。
ここで、図1に示した試験片の作製手順について図2を用いて説明する。
図2(A)に示すように、1枚が厚さ5mm×長さ30mm×幅30mmのソーダライムガラス基板111、112を2枚用意した。そして、ソーダライムガラス基板111、112の一辺に沿って設けた接着しろ(長さ5mm×幅30mm)に各実施例、比較例で作製した接合用組成物をはんだごて22により300℃に加熱、塗布し、接合用組成物部211、212を形成した。
その後、各ソーダライムガラス基板111、112、及び塗布した接合用組成物を冷まし、接合用組成物が流動しない程度、具体的にはソーダライムガラス基板111、112の裏表を反転させた場合でも接合用組成物が流れない程度に凝固させた。なお、この際接合用組成物は160℃以下にまで冷却されていた。
次に、図2(B)に示すように、ソーダライムガラス基板111の表面と裏面とを反転させ、ソーダライムガラス基板111、112の接着しろに塗布、形成した接合用組成物部211、212を接触させた。そして、形成した接合用組成物部211、212を接触させた状態でソーダライムガラス基板111、112を電気炉に入れ、300℃まで加熱した。
加熱後、ソーダライムガラス基板、及び接合用組成物を冷却し、接合用組成物を凝固させることで、図2(C)に示したように一体化した接合用組成物部12を有する試験片とした。
なお、ソーダライムガラス基板111、112の接着しろに塗布、形成した接合用組成物部211、212を接触させ、加熱しても、それぞれのソーダライムガラス基板に塗布した接合用組成物部211、212が一体化しない試験片もあった。これらは比較例1〜5とした。
これは比較例1〜比較例3については、接合用組成物部211、212を加熱しても、一部は溶融せずに固形の粒状物が生じたためであり、はんだごて等を用いても接合できなかった。
また、比較例4、比較例5については、接合用組成物部211、212の表面にごく薄い酸化被膜が生じているためである。比較例4においては、図2(C´)に示すようにはんだごて23を各ソーダライムガラス基板111、112に塗布、形成した接合用組成物部間に差し込むように軽く接触させるだけで、接合用組成物部211、212の表面に形成された酸化被膜を容易に破壊し、一体化した接合用組成物部12とすることができた。
しかしながら、比較例5ではソーダライムガラス基板111、112の接着しろに塗布、形成した接合用組成物部211、212を接触させ、加熱し、はんだごてを接触させても、各ソーダライムガラス基板に塗布、形成した接合用組成物部211、212は接合できなかった。そこで、通常のはんだごてに代えて、超音波衝撃機能を有するはんだごてを用いて接合用組成物部211、212表面に形成された強固な酸化被膜を除去することで接合を行った。
(気密性試験)
図3、図4を用いて気密性試験の方法について説明する。図3は気密性試験の試験片の作製手順を示す図であり、図4は気密性試験の試験片の斜視図を示している。
図3(A)に示すように、厚さ5mm×長さ100mm×100mmのソーダライムガラス基板311、312を用意した。なお、一方のソーダライムガラス基板311は中央部に図示しない3mmφの孔を予め形成しておいた。
そして、ソーダライムガラス基板311、312の一方の平面311a、312a上の周囲に、すなわち四辺に沿って、約2mm幅になるよう、各実施例、比較例で作製した接合用組成物を配置した。次いで、ソーダライムガラス基板311、312上で280℃となるようにソーダライムガラス基板の他方の平面311b、312bから加熱した。
そして、ソーダライムガラス基板、及び塗布した接合用組成物を冷まし、接合用組成物が流動しない程度、具体的にはソーダライムガラス基板311、312の裏表を反転させた場合でも接合用組成物が流れない程度に凝固させた。これにより、接合用組成物部321、322を形成した。なお、この際接合用組成物は160℃以下にまで冷却されていた。
次に、図3(B)に示すように、ソーダライムガラス基板311、312を、接合用組成物を塗布した面同士が対向するように、すなわち、一方の平面311aと、一方の平面312aとが対向するように重ね合せた。この際、各ソーダライムガラス基板に形成した接合用組成物部321、322同士が接触するように配置しており、加熱中も接合用組成物部321、322同士が接触し、ずれないようにクリップ33により固定した。そして、ソーダライムガラス基板311、312を真空下、280℃まで加熱、接着した。その後冷却することで試験片とした。
なお、ソーダライムガラス基板311と、ソーダライムガラス基板312とを重ねあわて加熱する際、両ソーダライム基板の間にはスペーサ34として厚さ0.35mmのステンレス片を設置しているので、内部には0.35mmの高さ空間をもつ容器となっている。
以上の手順により、図4に示した様に、ソーダライムガラス基板311と、ソーダライムガラス基板312とが、接合用組成物部41により接合された容器40が得られた。なお、上述のように、一方のソーダライムガラス基板311は、中央部に3mmφの貫通孔42を有しており、ソーダライムガラス基板311、312、接合用組成物部41で囲まれた空間と連通している。
ただし、比較例1〜比較例5については、ソーダライムガラス基板を重ね合せ、加熱してもそれぞれのソーダライムガラス基板に形成した接合用組成物部が一体化しなかった。
比較例1〜比較例3の試験片については接合強度用の試験片を作製した場合と同様に、固体上の粒状物が形成されたためであり、はんだごて等を用いても接合できなかった。
比較例4の試験片については、はんだごてを接合用組成物部間に差し込むように軽く接触させることで一体化させることができた。
また、比較例5の試験片については、超音波衝撃機能を有するはんだごてを接合用組成物部間に差し込むように接触させることで一体化させることができた。
そして、得られた容器に対し、リークディテクタ((株)アルバック製HELIOT700)を用いて、容器40内の空間を貫通孔42から真空脱気しつつ、Heガスを各接合用組成物部へ吹き付けながら、そのリーク量を測定した。
測定したリーク量が1.0×10−11(Pa・m/s)以下の場合には合格と判定した。また、測定したリーク量が1.0×10−11(Pa・m/s)超の場合には不合格と判定した。なお、表1中、合格は〇、不合格は×と表記している。
(接合用組成物の断面における共晶物の評価)
作製した接合用組成物の断面中、任意の位置において、面積が1.0×10μmの正方形の領域内に存在する共晶物について、共晶物がその内部に含まれる最小サイズの円を共晶物毎に形成し、直径が220μm以上の共晶物の数を評価した。
なお、接合用組成物の断面の観察は光学顕微鏡を用いて行った。
また、評価は接合用組成物を作製後、該接合用組成物を用いて被接合材料である2枚のガラス基板を接合した後に実施した。
本試験は、実施例11、19、20の接合用組成物についてのみ行った。
(環境試験)
ソーダライムガラス基板311、312として厚さ5mm×長さ50mm×50mmのソーダライムガラス基板を用いた点以外は上述の気密性試験の場合と同様にして、試験片を作製した。
作製した試験片を、水を入れたオートクレーブ内に入れ、121℃、2atmの条件で478時間保持した後、上述の気密性試験の場合と同様にしてリーク量を測定した。判定基準は上述の気密性試験の場合と同様である。
なお、本試験は実施例16の接合用組成物についてのみ行った。
以下に各実施例、比較例の接合用組成物について説明する。
[実施例1]
接合用組成物に含まれる各成分が表1の組成となるようにSn、Ge、Ni、Irを秤量、混合し、溶解をして一旦原料合金を作成する。そして、この原料合金を溶解後、鋳型に流し込み、接合用組成物を作製した。
そして、作製した接合用組成物について、上述の接合強度試験、及び気密性試験を実施した。結果を表1に示す。
なお、表1中Snの含有量について「残」と記載しているが、これは表1に示したSn以外の成分の含有量を100質量%から差し引いた残りがSnの含有量になっていることを示している。実施例1以外の実施例、比較例においても同様である。
[実施例2〜実施例47]
接合用組成物を作製する際、各実施例について表1の組成となるように、Sn、Ge、Ni、Irを秤量、混合した点以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示す。
なお、実施例11、実施例19、実施例20については、作製した接合用組成物の断面における共晶物の評価を行った。この際に撮影した接合用組成物の断面の光学顕微鏡の画像を図8に示す。図8(a)が実施例11の、図8(b)が実施例19の、図8(c)が実施例20の接合用組成物の断面の光学顕微鏡の画像を示している。
図8(a)では、図中点線で示した面積が1.0×10μmの正方形の領域81内に存在する共晶物について、共晶物がその内部に含まれる最小サイズの円を共晶物毎に形成した際に、直径が220μm以上となった2つの円82、83を示す。なお、円82は直径が360μm、円83は直径が240μmであり、円82、円83以外はいずれも直径が220μm以下となった。
図8(b)、図8(c)でも同様にして、接合用組成物の断面中、任意の位置において、面積が1.0×10μmの正方形の領域に存在する共晶物について、共晶物がその内部に含まれる最小サイズの円を共晶物毎に形成した。しかし、直径が220μm以上の円はなかった。
また、実施例16については上述のように、環境試験の評価も実施したところ、評価結果は〇であることが確認できた。
[比較例1〜比較例5]
接合用組成物を作製する際、各比較例について表1の組成となるように、各成分を秤量、混合した点以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。
ここで、接合用組成物のニッケルの含有量と、ゲルマニウムの含有量との関係を検討するため、Sn、Ge、Ni、Irを含有し、実施例1〜実施例10、実施例12〜実施例18、実施例22〜実施例45、及び比較例1〜比較例3のニッケルの含有量と、ゲルマニウムの含有量とをプロットした図を図5に示す。なお、プロットした実施例、比較例はいずれもイリジウムの含有量が0.001質量%となっている。図5中、丸のマークが実施例1〜実施例10、実施例12〜実施例18、実施例22〜実施例45を、バツのマークが比較例1〜比較例3を示している。
なお、曲線51は[Ni]=2.8×[Ge]0.3を示している。また、点線52はゲルマニウムの含有量が10質量%であることを示している。
図5から、ニッケルの含有量が、ゲルマニウムの含有量との関係で一定量以上の場合、すなわちニッケルの含有量が曲線51よりも多い場合に、比較例1〜比較例3の様に、接合用組成物を溶融した際に固形の粒状物が生じ、被接合材料を接合できないことが分かる。
また、はんだごて等を用いて酸化被膜を除去する作業を行わずに被接合材料を接合できた図5中にプロットした実施例は、接合用組成物中のゲルマニウムの含有量が10質量%以下の範囲に分布していることが確認できた。
以上の結果から、Sn、Ge、Niを含有し、ゲルマニウムの含有量が10質量%以下であり、ゲルマニウムの含有量[Ni]と、ニッケルの含有量[Ge]とが以下の式(1)を満たす場合は酸化被膜の除去をせずに接合できることを確認できた。
[Ni]≦2.8×[Ge]0.3・・・(1)
なお、図5にプロットしていない、実施例11、実施例19〜実施例21、実施例46、実施例47についても、ゲルマニウムの含有量が10質量%以下であり、上記式(1)を満たすことが確認できた。
次に、接合用組成物のイリジウムの含有量と、接合強度との関係を検討するため、イリジウムの含有量のみが異なる実施例11、実施例16、実施例19、実施例20、実施例21、実施例46、実施例47について、イリジウムの含有と接合強度との関係を図6に示す。
図6に示した結果によると、イリジウムを添加することにより接合強度が高まることを確認できる。ただし、本発明の発明者らの検討によると、図面には示していないが0.1質量%を超えると被接合材料の接合を阻害する場合があるため、0.1質量%以下であることが好ましい。
また、実施例46、実施例47については、表1に示したように気密性試験の評価結果が×になっていることが確認できる。このため、被接合材料間の気密封止性を高める観点からは、イリジウムの含有量は0.025質量%以下であることがより好ましいことが分かる。
なお、既述のように、実施例11、実施例19、実施例20については、作製した接合用組成物の断面における共晶物の評価を行った。
その結果、実施例11では、接合用組成物の断面中、面積が1.0×10μmの正方形の領域81内の共晶物について形成した円の直径が220μm以上となった円は2つであった。一方、実施例19、20ではいずれも同様にして形成した円の直径はいずれも220μm未満であった。
実施例11、19、20については、イリジウムの含有量のみが異なっており、実施例11についてはイリジウムの含有量が0質量%であり、実施例19、実施例20はそれぞれイリジウムの含有量が0.002質量%、0.005質量%となっている。
従って、以上の結果から、接合用組成物が、イリジウムを含有することで、接合用組成物に含まれる共晶物の結晶の粗大化を抑制できることを確認できた。
また、既述のように、実施例16については環境試験を実施したところ、評価結果は〇、すなわち合格であることを確認できた。従って、高温、高湿の環境下に長期間置かれたとしても気密封止性を維持できることを確認できた。
次に、図5に示したグラフについて一部を拡大した図7に示す。なお、図7において気密性試験の評価結果が×となった実施例38〜実施例44は白抜きの丸で示している。
なお、図7中点線71はゲルマニウムの含有量が0.5質量%を示しており、一点鎖線72はゲルマニウムの含有量[Ge]と、ニッケルの含有量[Ni]とについて、[Ge]+[Ni]=1.2質量%の直線を示している。また、直線73はニッケルの含有量[Ni]と、ゲルマニウムの含有量[Ge]とについて、[Ni]=2.0×[Ge]の直線を示している。そして、曲線51は図5において説明した[Ni]=2.8×[Ge]0.3の曲線を示す。
図7から、ゲルマニウムの含有量が0.5質量%より多く、ゲルマニウムの含有量と、ニッケルの含有量との合計が1.2質量%より多く、ニッケルの含有量を、ゲルマニウムの含有量で除した値が2.0未満の場合、気密性試験の評価が〇となることを確認できた。すなわち、被接合材料の気密封止性が高くなることを確認できた。

Claims (6)

  1. スズ、ゲルマニウム、ニッケル、イリジウム、及び不可避成分からなり、
    前記ゲルマニウムの含有量が10質量%以下であって、
    前記ゲルマニウムの含有量と、前記ニッケルの含有量とが、以下の式(1)を満たし、前記イリジウムの含有量が0.0005質量%以上0.1質量%以下である接合用組成物。
    0.1≦[Ni]≦2.8×[Ge]0.3 ・・・(1)
    (ただし、[Ni]はニッケルの含有量、[Ge]はゲルマニウムの含有量を示す。)
  2. 前記イリジウムの含有量が0.0005質量%以上0.025質量%以下である請求項1に記載の接合用組成物。
  3. 前記ゲルマニウムの含有量が0.5質量%より多く、
    前記ゲルマニウムの含有量と、前記ニッケルの含有量との合計が1.2質量%より多く、
    前記ニッケルの含有量を、前記ゲルマニウムの含有量で除した値が2.0未満である請求項1または請求項2に記載の接合用組成物。
  4. 接合部分に酸化物を含む被接合材料を接合する際に用いる請求項1乃至のいずれか一項に記載の接合用組成物。
  5. 前記酸化物が、ガラス、クロム酸化物、アルミニウム酸化物からなる群から選択された1種類以上である請求項に記載の接合用組成物。
  6. 前記接合用組成物の断面中、面積が1.0×10μmの領域内に存在する共晶物について、前記共晶物がその内部に含まれる最小サイズの円を前記共晶物毎に形成した場合に、
    直径が220μm以上の円が2個以下、または直径が350μm以上の円が1個以下である請求項1乃至のいずれか一項に記載の接合用組成物。
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