(第1実施形態)
以下に、一実施形態に係る縦型の洗濯機1の全体構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る縦型の洗濯機1の外観斜視図である。図2は、洗濯機1の蓋2を開いた状態を示す部分斜視図である。以下、説明の便宜上、図1等において、蓋2の前蓋部2Bが設けられた側を前側とし、洗濯機1を前側から見た図39を基準として洗濯機1の方向を特定する。なお、この実施形態は、あくまでも一例であって、当該実施形態に限定されるものではない。
(洗濯機1の全体構成)
洗濯機1は、全自動式の縦型の洗濯機である。洗濯機1の外箱1Aは、略直方体形状であり、金属又は合成樹脂からなる。外箱1Aの上面及び底面が、開口している。外箱1Aの上面の開口部が、上パネル5で覆われている。上パネル5の前側には、洗濯動作に関する入力操作及び表示を行う表示操作部6が設けられている。外箱開口部12の後側を臨むように、後パネル7が上パネル5の後側に設けられている。上パネル5及び後パネル7は、例えば、合成樹脂からなる。
洗濯機1内に洗濯物を投入するための外箱開口部12が、上パネル5の中央に形成されている。蓋2は、平面視で、略円形状をしている。蓋2の後部分2Cに設けられたヒンジ部25が、給水パネル部8の上面部に設けられたヒンジ受部26により回転可能に支持されている。外箱開口部12を覆う蓋2の開閉は、蓋2を前後に回動させることによって行われる。
外箱1Aの内部には、洗濯物を収容して洗濯及び脱水を行う洗濯槽3と、洗濯槽3を収容する水槽4が設けられている。洗濯槽3は、洗剤を溶かした水、又はすすぎ用の水(以下、これらを総称して「洗濯水」という。)を溜めることができる。水槽4および洗濯槽3は、上面が開口した有底筒状の形状をしており、水槽4が外側に、洗濯槽3が内側に同心的に配置される。
水槽4は、サスペンション部材(図示しない)によって外箱1A内部で懸架されている。サスペンション部材は、水槽4の外面下部と外箱1Aの内面コーナー部とを連結する形で計4箇所に配設されている。サスペンション部材は、水槽4が外箱1A内で揺動できるように水槽4を弾性的に支持するとともに、振動を吸収する。
洗濯槽3は、テーパ状に広がる周壁を上方に有し、該周壁の最上部において環状に配置した複数個の脱水孔(図示しない)を除き、液体を通すための開口部を有していない。即ち、洗濯槽3は、いわゆる「孔無し」タイプのものである。洗濯物の脱水のために洗濯槽3を高速回転させたときに発生する振動を抑制する環状のバランサ(図示しない)が、洗濯槽3の上部開口部の縁に装着される。なお、洗濯槽3は、孔無しタイプではなく、周壁に多数の孔を備える孔有りタイプであってもよい。
洗濯槽3内の洗濯水を撹拌して流動させるための撹拌翼であるパルセータ(図示しない)が、洗濯槽3の内部底面に配置される。駆動ユニット(図示しない)が、水槽4の下面に取り付けられる。駆動ユニットは、モータ及びクラッチ・ブレーキ機構を有する。クラッチ・ブレーキ機構は、ベルトでモータに連結されている。洗濯槽3の脱水軸及びパルセータのパルセータ軸のそれぞれが、上方に突出している。クラッチ・ブレーキ機構は電磁力で動作し、脱水軸及びパルセータ軸の一方を択一的にモータに連結する。また、クラッチ・ブレーキ機構は、電磁力によって脱水軸の回転にブレーキを掛けるとともに、ブレーキを解除する。なお、駆動ユニットは、モータの回転を、脱水軸及びパルセータ軸を介して、洗濯槽3及びパルセータに選択的に又は同時に伝える構成であってもよい。
脱水軸及びパルセータ軸は、二重軸構造になっている。脱水軸が外側に配され、パルセータ軸が内側に配される。脱水軸は、水槽4を貫通して洗濯槽3に連結され、洗濯槽3を回転可能に支持する。パルセータ軸は、水槽4及び洗濯槽3を貫通してパルセータに連結され、パルセータを回転可能に支持する。脱水軸と水槽4との間、及び脱水軸とパルセータ軸との間のそれぞれには、水漏れを防ぐためのシール部材が配置される。
洗濯槽3の底部中央部は、水槽4を含めた他の部分から遮断され且つ水密に設けられた排水路(図示しない)に連通している。排水路は、排水弁を介して外箱1Aの外部に排水する排水ホースに連通している。水槽4の底部には、脱水時に脱水孔を通じて排出される水を排水するための排水口が設けられている。排水口と排水ホースの部分とが、直接に連通している。したがって、脱水によって生じた水は、排水弁を通ることなく、直接に排水ホースを介して排出される。
(洗濯機1の要部の構成)
以下、図2から図41を参照しながら、洗濯機1における各要部の構成を説明する。
図3は、給水装置9の外観斜視図である。図2において、上パネル5の後側に位置する給水パネル部8には、洗濯水を供給するための給水装置9(給水口)が設けられている。給水装置9が、給水パネル部8の前側に組み入れられて、給水パネル部8で覆われている。図3に示すように、給水装置9は、粉末洗剤、液体洗剤、柔軟剤あるいは漂白剤(以下、必要に応じて、洗剤等と総称する。)を入れるための洗剤ケース70と、該洗剤ケース70が引き出し式に装着される給水装置本体50とを有する。
図14は、図3に示した給水装置9の平面図(上面図)である。図27は、蓋2を閉じた状態での洗濯機1後方の要部断面図である。図34は、蓋2を開いた状態での蓋2の下端部分及びその周辺を示す図である。図27に示すように、給水接続口40が、外箱1Aの後パネル7の後側に凸設されている。給水接続口40は、例えば水道水を供給するため、図示しない水道蛇口及び連結具を介してホースに連結されている。また、図14及び34に示すように、給水接続口40は、洗剤用給水弁41及び柔軟剤用給水弁42を介して、給水装置9の洗剤用導水口34及び柔軟剤用導水口35のそれぞれに連通している。また、給水接続口40には、風呂水ポンプによって汲み上げられた風呂水を供給するための別の経路を接続して、風呂水を給水装置9に供給することもできる。
給水接続口40を通じて導入された水道水(以下、必要に応じて、単に「水」という。)は、給水装置9に供給される。以下、図3から図26を参照しながら、給水装置9の構成を詳細に説明する。
(給水装置9の構成)
図3に示すように、給水装置9は、給水パネル部8に対してねじ止めで固定される給水装置本体50と、該給水装置本体50に対して引き出し式にスライドして着脱可能に設けられる洗剤ケース70とから構成される。
(給水装置本体50の構成)
図4は、図3に示した給水装置9の分解斜視図である。図4に示すように、給水装置本体50は、樹脂材料を成型することによって作製された給水カバー部30及びケース収容部60を備え、両者を溶着することによって一体に取り付けられた水密構造をしている。給水装置本体50は、前側が開口したボックス形状をしている。給水装置本体50の前側に形成された開口は、洗剤ケース70を着脱可能に装着するための装着開口55として働く。
(ケース収容部60の構成)
図4から図7に示すように、ケース収容部60は、前側が開口したボックス形状をしている。ケース収容部60の天面部分は、給水板部51を構成している。図5に示すように、給水板部51の上面部分(表面部分)には、溶着リブ52及び溶着リブ53が形成されている。洗剤用給水室44の下部分は、溶着リブ52によって区画され、柔軟剤用給水室47の下部分は、溶着リブ53によって区画されている。溶着リブ52は、全体として多角形形状をしているが、左後側が柔軟剤用給水室47の方に張り出した六角形状をしている。溶着リブ53は、全体として多角形形状をしているが、右後側が引っ込んだ六角形状をしている。溶着リブ52,53は、いずれも上向きに延びている。
洗剤用給水室44は、第1給水部屋45と第2給水部屋46とに仕切られている。洗剤用給水室44が第1給水部屋45だけで構成される場合よりも、洗剤用給水室44における第1給水部屋45の占める割合が小さくなっている。
第2給水部屋46の下部分は、四角形形状の上リブ56によって区画されている。上リブ56は、ケース収容部60の給水板部51の上面部分から上向きに延びている。上リブ56は、前後方向に延びる上左リブ部56A及び上右リブ部56Bと、左右方向に延びる上前リブ部56C及び上後リブ部56Dから構成されている。
図16は、図14に示した給水装置9のXVI−XVI線矢視断面図、図17は、図14に示した給水装置9のXVII−XVII線矢視断面図である。図16及び図17の断面図に示すように、上リブ56が、全体として、溶着リブ52,53よりも上方に突出している。上リブ56は、側面視で、前側から後側に向けて徐々に立ち上がる立ち上がり部と、後側では立ち上がり高さが最も高くなりその高さが保たれた高原状の平坦部とを有する。したがって、上リブ56を構成する4つのリブ部56A,56B,56C,56Dのうち、上前リブ部56Cの立ち上がり高さが最も低くて、上後リブ部56Dの立ち上がり高さが最も高くなっている。また、上左リブ部56A及び上右リブ部56Bは、前側から後側に向けて徐々に立ち上がる立ち上がり部となる。
そして、図16,図17,図24から図26の断面図に示すように、上リブ56の上端部は、対向するカバー湾曲部39の下面に対して間隙を有するように寸法構成されている。水圧が高くて十分な水量が確保される大流量の水(以下、単に「大流量の水」という。)が導入される場合、上リブ56の上端部とカバー湾曲部39の下面との間に設けられた間隙を通じて、第2給水部屋46に給水することができる。
第2給水部屋46は、図5に示すように、洗剤用給水室44の中央よりも後側に位置して、平面視で、第1給水部屋45によって囲まれている。大流量の水が第1給水部屋45に導入されると、第1給水部屋45を満たして第1給水部屋45から水が溢れる。そして、当該溢れた水が、第1給水部屋45の外側にある第2給水部屋46にあらゆる方向から流入する。その結果、第1給水部屋45で囲まれた第2給水部屋46への給水性が優れている。
その反面、第2給水部屋46の下部分は、上リブ56で囲まれているので、水圧が低くて十分な水量が得られない小流量の水(以下、単に「小流量の水」という。)が第1給水部屋45に導入されると、小流量の水は第2給水部屋46に流入しないように構成されている。なお、大流量と小流量との間の中間的な流量である標準流量の水は、その量が多くは無いものの、第2給水部屋46に流入することができる。ここで、標準流量とは、一般的な家庭を想定した流量であり、例えば10リッター/分である。また、大流量の水とは、例えば、15リッター/分以上であり、小流量の水とは、例えば、5リッター/分以下である。
第1給水部屋45及び第2給水部屋46の大略左半分が、粉末洗剤収容室78に対応し、第1給水部屋45及び第2給水部屋46の大略右半分が、液体洗剤収容室79に対応する。
図5は、給水装置9を構成する給水装置本体50のケース収容部60の平面図(ケース収容部60を上から見た上面図)である。図8は、給水装置9を構成する給水装置本体50の給水カバー部30の平面図(給水カバー部30を上から見た上面図(表面図))である。図9は、図8に示した給水カバー部30の底面図(給水カバー部30を下から見た下面図(裏面図))である。なお、図8と図9は、表面と裏面の関係であるため、図8の左側は図9の右側に位置し、図8の右側は図9の左側に位置する。図5,図8及び図9において模式的に矢印で示すように、第1給水部屋45内には、導入流路45Aと外流路45Bと内流路45Cとバイパス流路45Dとが形成されている。なお、導入流路45Aと外流路45Bと内流路45Cとバイパス流路45Dを示す矢印は、あくまでも、この発明の理解を助けるための例示であって、この発明を限定するものではない。
導入流路45Aは、洗剤用導水口34から、外流路45B及び内流路45Cに分岐するまでの流路である。導入流路45Aの下流側の屈曲した部分では、分流リブ37によって内流路45Cと外流路45Bとに分けられている。外流路45Bは、第1給水部屋45の前側において左側から右側に延在して、すなわち、粉末洗剤収容室78及び液体洗剤収容室79の上を延在したあと、第1通気孔64につながるように後側に延在する流路である。外流路45Bは、内流路45Cよりも長い流路長を有する。内流路45C及び外流路45Bの前側部分は、導入流路45Aに対して略直交して屈曲するように延在している。
内流路45Cは、外流路45Bの後側に位置して左側から右側に延びるが、上リブ56の上右リブ部56Bの手前で行き止まりになっている。バイパス流路45Dは、第2給水部屋46に隣接するように、第1給水部屋45の後側に配設されている。バイパス流路45Dは、導入流路45Aから分岐して後側に沿って左側から右側に延びて、第1通気孔64のところで終端する。バイパス流路45Dは、第1通気孔64に向かう途中で分岐して、第2給水部屋46につながっている。給水板部51と給水カバー部30とが溶着されることによって形成される洗剤用給水室44内には、上述したような、導入流路45Aと外流路45Bと内流路45Cとバイパス流路45Dとが形成されている。
複数の粉末洗剤用給水孔61が、ケース収容部60の給水板部51の中央前側に設けられている。当該粉末洗剤用給水孔61は、給水板部51を貫通して、第1給水部屋45と粉末洗剤収容室78とを連通する円形状の孔である。粉末洗剤用給水孔61は、粉末洗剤収容室78の直上にある第1給水部屋45内の水を粉末洗剤収容室78に供給する給水孔として働く。図5に示すように、例えば、前後方向に4個と1個と1個と4個の粉末洗剤用給水孔61がそれぞれ配列されている。このように配列された複数の粉末洗剤用給水孔61により、粉末洗剤収容室78の前側部分に対して略均等に給水することができる。複数の粉末洗剤用給水孔61の開口径は、後述する複数の液体洗剤用給水孔62の開口径よりも大きい。当該構成によれば、より大きな流量で粉末洗剤収容室78に給水することができる。また、複数の粉末洗剤用給水孔61は、給水孔リブ62Aのようなリブをその周囲に備えていない。これは、洗剤用給水室44への給水が終了したときに、第1給水部屋45において給水板部51上に残る水を、複数の粉末洗剤用給水孔61を通じて流下させて、第1給水部屋45に残水を生じさせないようにするためである。
複数の液体洗剤用給水孔62が、ケース収容部60の給水板部51の右前側に設けられている。液体洗剤用給水孔62は、給水板部51を貫通して、第1給水部屋45と液体洗剤収容室79とを連通する円形状の孔である。液体洗剤用給水孔62は、液体洗剤収容室79の直上にある第1給水部屋45内の水を液体洗剤収容室79に供給する給水孔として働く。図5では、例えば、前後方向に3個と3個と4個と2個の液体洗剤用給水孔62がそれぞれ配列されている。このように配列された複数の液体洗剤用給水孔62により、液体洗剤収容室79の前側部分に対して略均等に給水することができる。複数の液体洗剤用給水孔62の開口径は、前述した複数の粉末洗剤用給水孔61の開口径よりも小さい。当該構成によれば、より高い水圧で液体洗剤収容室79に給水することができる。各液体洗剤用給水孔62を取り囲む給水孔リブ62Aが、給水板部51の上面部分に形成されている。給水孔リブ62Aは、脱水時等に発生する大きな振動により、給水終了後の残水が、液体洗剤用給水孔62を通じて液体洗剤収容室79に流れ込むのを防止する機能を有する。したがって、清水を必要とするすすぎ工程において、洗剤を含む水の供給が防止される。なお、粉末洗剤用給水孔61及び液体洗剤用給水孔62の個数や配置場所は例示であって、この発明を限定するものではない。
図5に示すケース収容部60の給水板部51では、内流路45Cが2個の粉末洗剤用給水孔61と4個の液体洗剤用給水孔62とを有し、外流路45Bが8個の粉末洗剤用給水孔61と8個の液体洗剤用給水孔62と有する。すなわち、外流路45Bは、内流路45Cよりも数多くの粉末洗剤用給水孔61及び液体洗剤用給水孔62を有する。外流路45Bは、内流路45Cよりも水が流れやすくて流速も速く、流量も多くなる。そのため、内流路45Cよりも外流路45Bに数多くの粉末洗剤用給水孔61及び液体洗剤用給水孔62を配置することで、外流路45B及び内流路45Cでの粉末洗剤用給水孔61及び液体洗剤用給水孔62のそれぞれから供給される水の圧力をできるだけ同等にできる。
図5に示すように、第1通気孔64が、第1給水部屋45の右後側に設けられ、液体洗剤収容室79の直上に位置している。見方を変えると、第1通気孔64が、外流路45Bの下流側であり且つバイパス流路45Dの下流側に配設されている。
第1通気孔64は、給水板部51を貫通して、第1給水部屋45と液体洗剤収容室79とを連通する、前後方向に長手に延びる四角形形状をした孔である。第1通気孔64は、液体洗剤用給水孔62よりも大きく開口している。第1通気孔64は、給水終了時に第1給水部屋45内に空気を取り入れて、第1給水部屋45内の残水を排出する通気孔として働く。第1給水部屋45内の残水が、第1通気孔64、粉末洗剤用給水孔61及び液体洗剤用給水孔62を通じて排出される。その結果、清水を必要とするすすぎ工程において、液体洗剤収容室79への残水流入に起因した、洗剤を含む水の供給が防止される。
第1通気孔64は、第1給水部屋45内に供給された水の表面張力によって塞がれないような開口面積を有する。第1通気孔64は、例えば、液体洗剤用給水孔62の数倍以上の開口面積を有し、例えば、液体洗剤用給水孔62の5倍以上の開口面積を有する。第1通気孔64は、通気孔として働くことに加えて、第1給水部屋45内の水を液体洗剤収容室79に供給する給水孔として働く。なお、第1通気孔64は、後述する長孔リブ66Aのようなリブをその周囲に備えていない。これは、第1通気孔64が外流路45Bの最も下流側に位置しているために水の流れが遅くなっているので、水の流れを阻害するリブを積極的に設ける必要性が無いからである。
第2通気孔65が、第2給水部屋46の左後側のコーナー部に設けられ、粉末洗剤収容室78の直上に位置している。第2通気孔65は、給水板部51を貫通して、第2給水部屋46と粉末洗剤収容室78とを連通する、左右方向に長手に延びる四角形形状をした孔である。第2通気孔65は、粉末洗剤用給水孔61よりも大きく開口している。第2通気孔65は、給水終了時に第2給水部屋46内に空気を取り入れて、第2給水部屋46内の残水を排出する通気孔として働く。第2給水部屋46内の残水が、第2通気孔65を通じて排出される。その結果、清水を必要とするすすぎ工程において、粉末洗剤収容室78への残水流入に起因した、洗剤を含む水の供給が防止される。
第2通気孔65は、第2給水部屋46内に供給された水の表面張力によって塞がれないような開口面積を有する。第2通気孔65は、粉末洗剤用給水孔61の数倍以上の開口面積を有し、例えば、粉末洗剤用給水孔61の5倍以上の開口面積を有する。第2通気孔65が、小流量の水が第1給水部屋45に導入される場合には水が流れ込まない第2給水部屋46に設けられている。そのため、小流量の水が第1給水部屋45に導入される場合での第1給水部屋45への給水に影響を与えない。
給水長孔66が、最も左側に位置する液体洗剤用給水孔62の前側に配置されている。すなわち、給水長孔66が、液体洗剤収容室79の上流側に配置されている。給水長孔66を液体洗剤収容室79の上流側に配置することで、上流側で勢いのある水を液体洗剤にぶつけて液体洗剤の溶解を促進することができる。給水長孔66は、給水板部51を貫通して、第1給水部屋45と液体洗剤収容室79とを連通する、左右方向に細長く延びる四角形形状をした給水孔である。すなわち、給水長孔66は、液体洗剤収容室79に給水するための液体洗剤用給水孔62の一つとして働く。給水長孔66は、液体洗剤用給水孔62よりも大きな開口面積を有する。給水長孔66は、例えば、液体洗剤用給水孔62の数倍以上の開口面積を有し、例えば、液体洗剤用給水孔62の3倍以上の開口面積を有する。
図6は、図5に示した給水装置本体50のケース収容部60の水平断面を底面側からみた図である。図6に示すように、整流リブ69が、給水長孔66の下流側に設けられている。整流リブ69は、給水長孔66の下流側(すなわち図6の右側)であって給水板部51の下面部分において下向きに延びているとともに、前後方向に延びている。整流リブ69は、給水長孔66を通じて流入した水を、真下に流下させる。その結果、液体洗剤収容室79での給水ポイントの位置決めが確実になるとともに、水を勢いよく液体洗剤にぶつけて液体洗剤の溶解を促進することができる。給水長孔66を取り囲む長孔リブ66Aが、給水板部51の上面部分に形成されている。長孔リブ66Aは、脱水時等に発生する大きな振動により、給水終了後の残水が、給水長孔66を通じて液体洗剤収容室79に流れ込むのを防止する機能を有する。したがって、清水を必要とするすすぎ工程において、液体洗剤を含む水の供給が防止される。
複数の柔軟剤用給水孔63が、ケース収容部60の給水板部51の左前側に設けられている。柔軟剤用給水孔63は、給水板部51を貫通して、柔軟剤用給水室47と柔軟剤収容室80とを連通する円形状の孔である。図5では、例えば、前後方向に2個と1個と1個と1個と4個の柔軟剤用給水孔63がそれぞれ配列されている。給水板部51の左後側にも、複数の柔軟剤用給水孔63が設けられている。図5に示すように、例えば、給水板部51の左後側において、3個の柔軟剤用給水孔63が前後方向に離隔して配置されている。各柔軟剤用給水孔63を取り囲む給水孔リブ63Aが、給水板部51の上面部分に形成されている。給水孔リブ63Aは、脱水時等に発生する大きな振動により、給水終了後の残水が、柔軟剤用給水孔63を通じて柔軟剤収容室80に流れ込むのを防止する機能を有する。柔軟剤用給水室47には、柔軟剤用導水口35から導入された水を複数の柔軟剤用給水孔63のそれぞれに供給するための柔軟剤流路47Aが形成されている。柔軟剤流路47Aを、図5,図8及び図9において模式的に矢印で示している。なお、柔軟剤用給水孔63の個数や配置、及び、柔軟剤流路47Aを示す矢印は、あくまでも、この発明の理解を助けるための例示であって、この発明を限定するものではない。
図5に示すように、柔軟剤用給水室47の右後側には、1つの柔軟剤用排水孔63Cが設けられている。柔軟剤用排水孔63Cは、給水板部51を貫通して、柔軟剤用給水室47と柔軟剤収容室80の外部とを連通する円形状の孔である。図7は、図5に示した給水装置本体50のケース収容部60の前面図である。図6及び図7に示すように、給水板部51の下面部分において、下向きに延びる排水管83が、柔軟剤用排水孔63Cの周囲に設けられている。排水管83は、柔軟剤用給水室47の水の一部を、図11に示す排水凹部84の外側に導いて、柔軟剤収容室80を経由することなく、柔軟剤収容室80の外部に排出する機能を有する。なお、図11は、給水装置9を構成する洗剤ケース70の平面図(上面図)である。
(給水カバー部30の構成)
給水カバー部30は、図4、図8から図10に示すように、下側が開口したボックス形状をしている。給水カバー部30は、側壁部31及びカバー湾曲部39を有する。側壁部31は、左側壁部31A、右側壁部31B、前壁部31C及び後壁部31Dを備えてなる。
図15から図21の断面図に示すように、カバー湾曲部39の前平坦部39Aは、前側から後側に向けて略半分のところまで平面状に延びている。その一方で、カバー湾曲部39の後湾曲凹部39Bは、略半分のところから後側のところまで、後側に行くにしたがって徐々に立ち上がる円弧状の湾曲凹面である。
図3,4,8及び9に示すように、前平坦部39Aの前側の左端部及び右端部には、左右のストッパ部43がそれぞれ設けられている。各ストッパ部43は、前側に延びたあと下向きに延びている。左右のストッパ部43は、引き出された洗剤ケース70の後壁76に係合して、洗剤ケース70が不用意に飛び出して落下するのを防止する。
図9に示すように、給水板部51の上面部分には、溶着リブ32及び溶着リブ33が形成されている。洗剤用給水室44の上部分は、溶着リブ32によって区画され、柔軟剤用給水室47の上部分は、溶着リブ33によって区画されている。溶着リブ32は、溶着リブ52に対応するべく、全体として多角形形状をし、左後側が柔軟剤用給水室47の方に張り出した六角形状をしている。溶着リブ33も、溶着リブ53に対応するべく、全体として多角形形状をし、右後側が引っ込んだ六角形状をしている。溶着リブ32,33は、下向きに延びている。
図9に示すように、第2給水部屋46の上部分は、U字形状の下リブ36によって区画されている。この下リブ36は、第2給水部屋46の上リブ56に対応する付近に、給水カバー部30の下面側に設けられている。下リブ36は、給水カバー部30の下面部分から下向きに延びている。下リブ36は、後側が切り欠かれたU字形状をしており、前後方向に延びる下左リブ部36A及び下右リブ部36Bと、左右方向に延びる下前リブ部36Cから構成されている。
図16,図17,図24から図26の断面図に示すように、下リブ36の各リブが、上リブ56の各リブを外側周囲から取り囲み、下リブ36の各リブと上リブ56の各リブとが、上下方向に部分的に重なるように構成されている。そして、下リブ36が上リブ56に対して横方向(水平方向)に離隔しており、下リブ36と上リブ56との間の横方向(水平方向)には、若干の隙間を持ったリブ間隙が設けられている。当該構成によれば、小流量の水が第1給水部屋45に導入される場合、洗剤用導水口34を通じて給水装置本体50の第1給水部屋45に導入された水は、下リブ36を乗り越えることができず、第1給水部屋45の中を満たすだけである。それに対して、大流量の水が第1給水部屋45に供給される場合、下リブ36と上リブ56との間に形成されたリブ間隙を通じて、第1給水部屋45を満たしたあとの水が、第2給水部屋46に供給される。
上述したように、カバー湾曲部39の後湾曲凹部39Bが、前側から後側に行くにしたがって急な勾配で立ち上がる湾曲凹面から構成されている。それとともに、図14に示した給水装置9のXVIII−XVIII線矢視断面図である図18に示すように、下リブ36の下側面と、溶着リブ32,33の下側面とが、実質的に面一になっている。そのため、下リブ36は、後側に行くにしたがって立ち下がりが大きくなっている。すなわち、下リブ36の下左リブ部36A及び下右リブ部36Bは、側面視で、前側から後側にいくにしたがって立ち下がり高さが徐々に高くなっている。したがって、下リブ36を構成する3つのリブ36A,36B,36Cのうち、下前リブ部36Cの立ち下がり高さが最も低くて、下左リブ部36A及び下右リブ部36Bの最も後側で立ち下がり高さが最も高くなっている。
また、図16及び図17の断面図に示すように、上リブ56の上後リブ部56Dの立ち上がり高さが最も高くなっている。しかしながら、下リブ36は、図9に示すように、上リブ56の上後リブ部56Dに対応する後リブを有していないため、第2給水部屋46の後側には開口が形成されている。したがって、大流量の水が第1給水部屋45に供給される場合、第1給水部屋45内が満水に近い状態になったあと、バイパス流路45Dを流れる水の一部が、上リブ56の上後リブ部56Dを乗り越えることができる。言い換えると、第2給水部屋46の後側に設けられた開口を通じて、第2給水部屋46にスムーズに給水することができる。
図9に示すように、閉成リブ38が、下リブ36の下右リブ部36B近くの下前リブ部36Cから前側に延びている。閉成リブ38は、給水カバー部30の下面部分から下向きに延びている。閉成リブ38の端面と給水板部51の上面との間には、隙間が設けられている。閉成リブ38の前側部分を基点にして、右側から左側に延びる分流リブ37が設けられている。分流リブ37は、導入流路45Aを、外流路45Bと内流路45Cとに分岐するためのリブである。分流リブ37は、給水カバー部30の下面部分から下向きに延びている。分流リブ37の端面と給水板部51の上面との間には、隙間が設けられている。ケース収容部60の給水板部51には、粉末洗剤用給水孔61及び液体洗剤用給水孔62を設ける必要があるため、分流リブ37を給水板部51に設けると給水板部51の構造が非常に複雑になってしまう。そこで、分流リブ37を給水カバー部30に設けることで、ケース収容部60の構造が複雑になるのを避けることができる。外流路45Bでは水が勢いよく流れて流量が多くなる傾向にあるのを、内流路45Cにも流すことにより、内流路45C及び外流路45Bからの給水をできるだけ万遍なく実現することができる。
なお、本実施形態では、閉成リブ38の端面と給水板部51の上面との間には隙間が設けられているが、閉成リブ38の端面と給水板部51の上面(あるいは給水孔リブ62A)とを、部分的あるいは全体的に接触させるようにしてもよい。同様に、本実施形態では、分流リブ37の端面と給水板部51の上面との間には隙間が設けられているが、分流リブ37の端面と給水板部51の上面(あるいは給水孔リブ62A)とを、部分的あるいは全体的に接触させるようにしてもよい。
閉成リブ38は、内流路45Cの下流側であって液体洗剤収容室79に対応するところに形成されている。当該閉成リブ38により、内流路45Cが行き止まりになっている。このような構成によれば、閉成リブ38が存在しない場合に比して、内流路45Cを流れた水が、内流路45Cに配設された粉末洗剤用給水孔61及び液体洗剤用給水孔62を通じてより確実に流下する。したがって、内流路45Cからの給水をより確実なものとすることができる。
図9に示すように、分流リブ37の左側の突出端部37Aは、下リブ36の下左リブ部36Aよりも左側に少し長めに延びている。内流路45Cよりも外流路45Bに水が流れやすい傾向にあるが、当該突出端部37Aを設けることにより、導入流路45Aからの水を内流路45Cに導くのが容易になる。なお、図22及び図23の断面図に示すように、閉成リブ38の下側面及び分流リブ37の下側面も、溶着リブ32,33の下側面と実質的に面一になっている。なお、図22は、図14に示した給水装置9のXXII−XXII線矢視断面図、図23は、図14に示した給水装置9のXXIII−XXIII線矢視断面図である。
図3,図15から図26に示すように、給水板部51の溶着リブ52,53と給水カバー部30の溶着リブ32,33とが全周で溶着されることにより、溶着部54が形成される。溶着部54によって、給水カバー部30とケース収容部60の給水板部51とが水密に一体化される。なお、接着剤を用いた公知の接着技術を用いて、給水カバー部30とケース収容部60の給水板部51とを水密に一体化することもできる。
図3に示すように、給水カバー部30の後壁部の左側には、洗剤用導水口34及び柔軟剤用導水口35が設けられている。洗剤用給水弁41が洗剤用導水口34に接続され、柔軟剤用給水弁42が柔軟剤用導水口35に接続される。
(洗剤ケース70の構成)
図11は、給水装置9を構成する洗剤ケース70の平面図(上面図)である。図12は、図11に示した洗剤ケース70の底面図(下面図)である。図13は、図11に示した洗剤ケース70の後面図である。洗剤ケース70は、図4,図11から図13に示すように、上側が開口したボックス形状をしている。洗剤ケース70は、給水装置本体50の装着開口55に対して着脱可能に構成されている。洗剤ケース70は、右側壁71、右仕切り壁72、左仕切り壁73、左側壁74、前壁75、後壁76及び底壁77を有する。
図4及び図11に示すように、洗剤ケース70は、粉末洗剤収容室78、液体洗剤収容室79及び柔軟剤収容室80に区画されている。粉末洗剤収容室78は、右仕切り壁72、左仕切り壁73、前壁75、後壁76及び底壁77によって画定されている。液体洗剤収容室79は、右側壁71、右仕切り壁72、前壁75、後壁76及び底壁77によって画定されている。柔軟剤収容室80は、左仕切り壁73、左側壁74、前壁75、後壁76及び底壁77によって画定されている。
図3及び図4に示すように、前壁75には、各収容室78,79,80に収容すべき対象物の名称が表記されている。例えば、前壁75の右側には液体と、前壁75の中央には粉末と、前壁75の左側には柔軟剤とそれぞれ表記され、液体及び粉末という表記の下には洗浄剤・漂白剤と表記されている。前壁75は、洗剤ケース70を引き出すときの取手として用いられる。
図16は、図14に示した給水装置9のXVI−XVI線矢視断面図である。図17は、図14に示した給水装置9のXVII−XVII線矢視断面図である。図18は、図14に示した給水装置9のXVIII−XVIII線矢視断面図である。図19は、図14に示した給水装置9のXIX−XIX矢視断面図である。図20は、図14に示した給水装置9のXX−XX線矢視断面図である。図21は、図14に示した給水装置9のXXI−XXI線矢視断面図である。図16から図21の断面図を参照しながら、底壁77の構成を説明する。底壁77の前側部分は、前側から後側にかけて後下がりに傾斜している。粉末洗剤収容室78及び液体洗剤収容室79における底壁77の前側部分のそれぞれは、その勾配が急な斜面である。これに対して、柔軟剤収容室80における底壁77の前側部分は、その勾配がなだらかな斜面である。図16,図19から図21の断面図に示すように、液体洗剤収容室79及び柔軟剤収容室80における底壁77の後側部分のそれぞれは、前側から後側にかけてわずかに後下がりに傾斜しているが、水平に近い平坦面である。図17及び図18の断面図に示すように、粉末洗剤収容室78における底壁77の後側部分は、比較的急な勾配で後下がりに傾斜している。
また、図16から図21の断面図に示すように、洗剤ケース70の底壁77とケース収容部60の底部67との間には、流出路49が形成されている。流出路49の前側には、流出口68が設けられている。流出口68は、洗濯槽3の内部を臨む位置に配置されている。洗濯時においては、水が洗剤ケース70の粉末洗剤収容室78や液体洗剤収容室79を通過することにより、洗剤を含む洗濯水が作り出され、洗剤を含む洗濯水が、流出口68を通じて、洗濯槽3に供給される。また、すすぎ時においては、水が洗剤ケース70の柔軟剤収容室80を通過することにより、柔軟剤を含む洗濯水又は水道水が作り出され、柔軟剤を含む洗濯水又は水道水が、洗濯槽3に供給される。
図4及び図11に示すように、液状体である液体洗剤及び柔軟剤のそれぞれを収容するための液体洗剤収容室79及び柔軟剤収容室80には、それぞれ、サイフォン部81,82が設けられている。
サイフォン部81は、液体洗剤収容室79の底壁77から垂直に立ち上がる内筒部81Aと、内筒部81Aに被せられるキャップ部81Bと、を備えてなる。内筒部81Aとキャップ部81Bとの間には、液体洗剤を含む水が通過するための上隙間が形成されている。内筒部81Aの内部には、上下方向に延びる縦孔(図示しない)が形成されている。図12に示すように、内筒部81Aの底部には、縦孔に連通するとともに底壁77を貫通する流出孔81Cが形成されている。キャップ部81Bの下端と、底壁77との間には、下隙間が設けられており、当該下隙間が、液体洗剤を含む水の流入口になる。また、キャップ部81Bの内壁部と、内筒部81Aの外壁部との間にも、横隙間が設けられて、当該横隙間が、液体洗剤を含む水の通路になる。液体洗剤収容室79において、内筒部81Aの縦孔の上側にある上隙間を超えるレベルまで給水が行われると、液体洗剤の溶解が行われるともに、サイフォン作用が生じる。そして、液体洗剤収容室79において、液体洗剤を含む水は、サイフォン部81によって吸い出され、内筒部81Aの縦孔内を通過したあと、流出孔81Cから流出する。
サイフォン部82も、柔軟剤収容室80の底壁77から垂直に立ち上がる内筒部82Aと、内筒部82Aに被せられるキャップ部82Bと、からなる。内筒部82Aとキャップ部82Bとの間には、柔軟剤を含む水が通過するための上隙間が形成されている。内筒部82Aの内部には、上下方向に延びる縦孔(図示しない)が形成されている。図12に示すように、内筒部82Aの底部には、縦孔に連通するとともに底壁77を貫通する流出孔82Cが形成されている。キャップ部82Bの下端と、底壁77との間には、下隙間が設けられており、当該下隙間が、柔軟剤を含む水の流入口になる。また、キャップ部82Bの内壁部と、内筒部82Aの外壁部との間にも、横隙間が設けられて、当該横隙間が、柔軟剤を含む水の通路になる。柔軟剤収容室80において、内筒部82Aの縦孔の上側にある上隙間を超えるレベルまで給水が行われると、柔軟剤の溶解が行われるともに、サイフォン作用が生じる。そして、柔軟剤収容室80において、柔軟剤を含む水は、サイフォン部82によって吸い出され、内筒部82Aの縦孔内を通過したあと、流出孔82Cから流出する。
図13に示すように、後壁76において液体洗剤収容室79及び柔軟剤収容室80に対応する各部分は、底壁77とつながっているので、閉じられた連続壁が形成されている。後壁76において粉末洗剤収容室78に対応する部分では、上側部分だけが存在するものの、下側部分は底壁77とつながることなく開口することにより粉末洗剤流出口78Aを構成している。そして、図17及び図18に示すように、粉末洗剤収容室78における底壁77の後側部分は、比較的急な勾配で後下がりに傾斜しているため、底壁77が滑り台のように働く。さらに、供給された水が潤滑水として働き、粉末洗剤が給水と一緒に底壁77に沿って滑り落ちる。その結果、粉末洗剤収容室78内の粉末洗剤を含む水が、粉末洗剤流出口78Aを通して流出する。
粉末洗剤収容室78、液体洗剤収容室79及び柔軟剤収容室80のそれぞれに給水すると、粉末洗剤を含む水、液体洗剤を含む水、及び柔軟剤を含む水のそれぞれが作り出される。それらの水は、流出路49を流れたあと、流出口68を通じて、洗濯槽3に供給される。
また、図11に示すように、柔軟剤収容室80の後壁76では、後壁76の一部分が前側にU字状に突出することにより、排水凹部84が形成されている。給水板部51の下面部分から下向きに延びる排水管83が、排水凹部84の外側(後側)に配置される。柔軟剤用給水室47の水の一部は、排水管83を通して排水凹部84の外側(後側)を流れるので、柔軟剤収容室80に供給されることなく、柔軟剤収容室80の外部に供給される。そして、排水管83を通過した水は、流出路49を流れたあと、流出口68を通じて、洗濯槽3に供給される。
(給水装置9の作用)
次に、上述した給水装置9の作用について説明する。
使用者は、洗濯運転を行う前に洗濯槽3内に洗濯物を収納するとともに、洗剤ケース70を引き出して、粉末洗剤収容室78に粉末洗剤を投入するか又は液体洗剤収容室79に液体洗剤を投入する。また、柔軟剤を使用する場合には、洗剤ケース70の柔軟剤収容室80に液体の柔軟剤を投入する。
洗濯運転は、例えば、洗い工程、すすぎ工程、及び脱水工程の順で実行される。洗い工程では、例えば、洗濯物の重量検知、給水及び洗いが行われる。図示しない制御部は、検知した洗濯物の重量に基づいて水槽4に供給される水の量を決定し、洗濯槽3を停止させた状態で給水を開始する。制御部は、排水弁を閉じ、洗剤用給水弁41を開く。これにより、小流量の水又は大流量の水が、洗剤用導水口34を通じて給水装置本体50の第1給水部屋45に供給される。
まず、小流量の水が第1給水部屋45に供給される場合について説明する。第1給水部屋45に供給された小流量の水の多くは、導入流路45Aに沿って後側から前側に向けて流れ、その残りが、バイパス流路45Dに沿って流れる。
導入流路45Aに沿って流れる水は、分流リブ37の突出端部37Aで、外流路45B及び内流路45Cに分かれて流れる。内流路45Cを流れる水は、複数の粉末洗剤用給水孔61及び複数の液体洗剤用給水孔62からそれぞれ流下して、洗剤ケース70の粉末洗剤収容室78及び液体洗剤収容室79にそれぞれ供給される。内流路45Cが閉成リブ38により行き止まりになっているため、内流路45Cを流れる水は、外流路45Bを流れる水と同程度の勢いで流れることができる。
外流路45Bを流れる水は、第1給水部屋45の前側部分を左側から右側に向けて流れる。その過程で、外流路45Bを流れる水は、複数の粉末洗剤用給水孔61から流下して、洗剤ケース70の粉末洗剤収容室78に供給される。粉末洗剤収容室78を通過した水は、給水長孔66及び複数の液体洗剤用給水孔62のそれぞれから流下して、洗剤ケース70の液体洗剤収容室79に供給される。なお、給水長孔66から流下した水は、整流リブ69に突き当たることで勢いよく真下に流れる。右側壁部31Bに突き当たった水は、第1給水部屋45の右側部分を前側から後側に向けて流れる。外流路45Bにおいて第1給水部屋45の右側部分を前側から後側に向けて流れる水は、複数の液体洗剤用給水孔62及び第1通気孔64からそれぞれ流下して、洗剤ケース70の液体洗剤収容室79に供給される。
洗剤用導水口34から供給されて導入流路45Aを流れた水の残りは、バイパス流路45Dに沿って第1給水部屋45の後側部分を左側から右側に向けて流れ、第1通気孔64から流下して、洗剤ケース70の液体洗剤収容室79に供給される。
洗剤用給水室44が、第1給水部屋45と第2給水部屋46とに仕切られているので、洗剤用給水室44が第1給水部屋45だけで構成される場合よりも、洗剤用給水室44における第1給水部屋45の占める割合が小さくなっている。その結果、小流量の水が第1給水部屋45に供給される場合でも、第1給水部屋45が水で満たされて、洗剤ケース70内での洗剤等への適切な給水が行われるので、洗剤ケース70内での洗剤等の残存を抑制できる。
大流量の水が第1給水部屋45に供給される場合、以下の挙動となる、すなわち、大流量の水が第1給水部屋45に供給されると、第1給水部屋45内を満たし、第1給水部屋45内を満たした水が、第1給水部屋45から溢れるようになる。第1給水部屋45内を満たして溢れた水は、下リブ36と上リブ56との間に形成されたリブ間隙から流入したあと、上リブ56を構成する上左リブ部56A,上右リブ部56B,上前リブ部56C及び上後リブ部56Dを乗り越えて、第2給水部屋46内に流入する。また、バイパス流路45Dを流れる水の一部が、上リブ56の上後リブ部56Dを乗り越えて、第2給水部屋46の後側に設けられた大きな開口を通じて、第2給水部屋46内に流入する。第2給水部屋46内に流入した水は、第2給水部屋46内を満たしつつ第2通気孔65から流下して、洗剤ケース70の粉末洗剤収容室78に供給される。
複数の粉末洗剤用給水孔61及び第2通気孔65を通じて、粉末洗剤収容室78に供給された水は、粉末洗剤収容室78に収容された粉末洗剤の一部を溶解するとともに、粉末洗剤が底壁77に沿って滑降するときの潤滑水として働く。その結果、粉末洗剤が、粉末洗剤収容室78に供給された水と一緒に、底壁77に沿って滑降しながら、粉末洗剤流出口78Aを通して粉末洗剤収容室78から流出する。粉末洗剤収容室78から流出した粉末洗剤を含む水は、流出路49を流れたあと、流出口68を通じて、洗濯槽3に供給される。
複数の液体洗剤用給水孔62、第2通気孔65及び給水長孔66を通じて、液体洗剤収容室79に供給された水は、液体洗剤収容室79に収容された液体洗剤を溶解する。液体洗剤収容室79内に供給された水(液体洗剤を含む水)が、内筒部81Aの縦孔の上側にある上隙間を超えるレベルに達すると、サイフォンの原理によって、サイフォン部81の下隙間、横隙間、上隙間、縦孔及び流出孔81Cを通過して、液体洗剤収容室79から流出する。液体洗剤収容室79から流出した液体洗剤を含む水は、流出路49を流れたあと、流出口68を通じて、洗濯槽3に供給される。
洗剤を含む水が、所定量で洗濯槽3に溜まると、制御部は、洗剤用給水弁41を閉じ、モータによりパルセータを回転駆動させる。これにより、洗濯槽3内に収容された洗濯物の洗いが行われる。
洗い工程が終了すると、すすぎ工程が実行される。すすぎ工程では、例えば、シャワーすすぎや溜めすすぎのような複数のすすぎが行われる。すすぎ工程において柔軟剤を使用する場合、制御部は、複数のすすぎのうち最後に行われるすすぎに対して、柔軟剤を含む水を洗濯槽3内に供給するように制御する。なお、最後に行われるすすぎよりも前に行われるすすぎに対しては、制御部は、洗剤用給水弁41を開いて、洗剤用給水室44を通じた給水を行うように制御する。
制御部は、排水弁を閉じ、柔軟剤用給水弁42を開く。これにより、水が、柔軟剤用導水口35を通じて給水装置本体50の柔軟剤用給水室47に供給される。柔軟剤用給水室47に供給された水の大部分が、柔軟剤流路47Aに沿って後側から前側に向けて流れ、その残りである少量の水が、1つの柔軟剤用排出孔63Cに流れる。
柔軟剤用給水室47に供給された水の大部分が、柔軟剤流路47Aにより、複数の柔軟剤用給水孔63のそれぞれに供給される。複数の柔軟剤用給水孔63のそれぞれから流下した水は、洗剤ケース70の柔軟剤収容室80に供給される。
複数の柔軟剤用給水孔63を通じて柔軟剤収容室80に供給された水は、柔軟剤収容室80に収容された柔軟剤を溶解する。柔軟剤収容室80内に供給された水(柔軟剤を含む水)が、内筒部82Aの縦孔の上側にある上隙間を超えるレベルに達すると、サイフォンの原理によって、サイフォン部82の下隙間、横隙間、上隙間、縦孔及び流出孔82Cを通過して、柔軟剤収容室80から流出する。柔軟剤収容室80から流出した柔軟剤を含む水は、流出路49を流れたあと、流出口68を通じて、洗濯槽3に供給される。
柔軟剤用給水室47は、溶着による密閉空間であるにもかかわらず、第1通気孔64等のような大きく開口した通気孔を備えていない。このような構成では、水の表面張力により、複数の柔軟剤用給水孔63が塞がれてしまい、柔軟剤用給水室47内の水が流下するのを妨げる。そのため、第2給水部屋46に供給されたものの、複数の柔軟剤用給水孔63を通じて柔軟剤収容室80に供給されなかった水が、残水として、柔軟剤用給水室47に残る傾向にある。残水対策として、柔軟剤用給水室47に対応する給水板部51は、柔軟剤用排出孔63C及び排水管83を備えている。当該構成によれば、第2給水部屋46での残水が、柔軟剤用排出孔63C及び排水管83を通じて、排水凹部84の外部(後側)を流下して、柔軟剤収容室80の外部に供給される。そして、当該残水は、流出路49を流れたあと、流出口68を通じて、洗濯槽3に供給される。その結果、柔軟剤用給水室47における残水の発生が防止される。
すすぎ工程が終了すると、脱水工程が実行される。脱水工程では、制御部は、パルセータの回転を停止させ、排水弁を開いて排水を行い、次に、排水弁を開いた状態で洗濯槽3を高速回転させて遠心脱水を行う。洗濯物に含まれていた洗濯水は、脱水孔から放出され、水槽4の内面を伝って水槽4の底部に流れ落ち、外箱1Aの外に排出される。脱水工程が終了することにより、一連の洗濯運転が終了する。
(第2実施形態)
次に、給水装置9の給水カバー部30に関連して、図1,図2,図27から図29を参照しながら、蓋2の回転と給水カバー部30の形状との関係を説明する。
図1に示すように、蓋2は、平面視で、略円形状をしている。従来の蓋2は、ヒンジ部25よりも下端寄りの部分をカットした形状のものがほとんどである。これに対して、この発明での蓋2は、円形状をしている。蓋2の当該円形状は、従来に無い斬新なデザインであり、スタイリッシュな印象を観者に与える。
図2に示すように、蓋2は、蓋2の後側に位置する蓋本体2Aと、蓋2の前側に位置する前蓋部2Bとを備える。蓋2は、蓋本体2Aの下端部分の左右に設けられたヒンジ部25が、給水パネル部8の上面部に設けられた左右のヒンジ受部26により回転可能に支持される構成になっている。蓋本体2Aのヒンジ部25よりも下端寄りの部分には、三日月状の後方端部21Aが設けられている。図27から図29に示すように、蓋2の開閉により、蓋2が略直立位置と略水平位置との間で回転する。図27は、蓋2を閉じた略水平位置を示し、図28は、蓋2を半開きした中間位置を示し、図29は、蓋2を開いた略直立位置を示す。蓋2が略直立位置と略水平位置との間で回転するのにともなって、三日月状の後方端部21Aも、ヒンジ受部26を中心にして、略直立位置と略水平位置との間で回転する。
後方端部21Aが略水平位置と略直立位置との間で回転するとき、後方端部21Aは、略水平位置よりも下方に位置するようになる。後方端部21Aが略水平位置よりも下方に位置しても、後方端部21Aが後方端部21Aに対面する給水パネル部8等に接触しないように、給水パネル部8は、後方端部21Aが自由に回転できる回転可能空間を備えている必要がある。
すなわち、給水パネル部8は、後方端部21Aの回転可能空間と重ならないように凹状に形成されたパネル湾曲部11を有する。パネル湾曲部11は、後側から前側にかけて前下がりであって、後方端部21Aが回転する軌跡から所定の距離で離隔するような曲率半径で、断面視で凹状の円弧形状で湾曲している。そして、給水パネル部8のパネル湾曲部11の下方に位置する給水カバー部30のカバー湾曲部39も、パネル湾曲部11の湾曲形状と相似的に湾曲している。すなわち、カバー湾曲部39は、後側から前側にかけて前下がりであって、パネル湾曲部11の湾曲面から所定の距離で離隔するような曲率半径で、断面視で凹状の円弧形状で湾曲している。
このように、給水パネル部8のパネル湾曲部11及び給水カバー部30のカバー湾曲部39のそれぞれが、相似的に、断面視で凹状の円弧形状をしている。したがって、略円形状の蓋2を開閉する際に、後方端部21Aの回転が、給水パネル部8のパネル湾曲部11及び給水カバー部30のカバー湾曲部39に接触することなく、スムーズに行われる。
(第3実施形態)
次に、蓋2の開閉に関連して、図30から図33を参照しながら、蓋2の開閉を検知する蓋センサ90の配置及び構成について説明する。図30から図33は、蓋センサ90及びその周辺部の構成を分かりやすくするため、外箱1Aから後パネル7を取り外した状態を示している。
外箱開口部12の後側には、外箱開口部12を囲むように、保護壁95が立設されている。保護壁95の中央寄りの場所には、保護壁95よりも後側にセットバックした後退保護壁96が、保護壁95に連設されている。後退保護壁96は、平面視で略L字状に屈曲した形状であって、前後方向に延びる前保護部96Aと、前保護部96Aの後端部から左右方向に延びる後保護部96Bとを備えている。
後保護部96Bは、蓋2と給水パネル部8との隙間に入り込んだ指等が蓋センサ90及び検知レバー91に届かない安全距離よりも離れた距離で、保護壁95から後側に離隔している。後保護部96Bは、上方から下方に向けて略垂直に延びる切欠98を有する。切欠98の幅は、指等が切欠98に入り込まないサイズに寸法構成されている。後保護部96Bの後面側は、補強リブ97によって支持されている。
図32及び図33に示すように、ヒンジ先端部25Bが、蓋2の後部分2Cに設けられたヒンジ部25の先端側に形成されている。ヒンジ先端部25Bは、前後方向に直線状に延びるアームである。ヒンジ先端部25Bの幅は、ヒンジ先端部25Bが切欠98に挿入できるように切欠98の幅よりも小さい。ヒンジ先端部25Bの長さは、蓋2の開閉によりヒンジ部25が回転したときに、後退保護壁96の切欠98に対してヒンジ先端部25Bが後側に出没自在であるように構成されている。
すなわち、図32及び図33に示すように、蓋2を閉じてヒンジ先端部25Bが略水平位置にあるとき、ヒンジ先端部25Bは、切欠98内に入り込むとともに後保護部96Bよりも後側に突出した状態になる。また、図30及び図31に示すように、蓋2を開いてヒンジ先端部25Bが略垂下位置にあるとき、ヒンジ先端部25Bは、切欠98内に入り込むことなく後保護部96Bよりも前側に引っ込んだ状態になる。このように、蓋2を閉じたとき、ヒンジ先端部25Bが後保護部96Bよりも後側に突出して略水平方向に延びるのに対して、蓋2を開いたとき、ヒンジ先端部25Bが後保護部96Bよりも前側に位置して引っ込んでいる。
蓋センサ90は、蓋2の開閉状態を検知するセンサである。蓋センサ90は、例えば、検知レバー91を有するマイクロスイッチである。検知レバー91は、その先端において、L字状に折れ曲がったレバー先端部91Bを有し、図示しない回転軸を中心にして回転可能に支持されている。蓋センサ90は、レバー先端部91Bが略水平の上位置にあるとき、蓋2の閉状態を示すON信号を出力し、レバー先端部91Bが斜め下向きの下位置にあるとき、蓋2の開状態を示すOFF信号を出力する。
蓋センサ90は、外箱開口部12の近傍後側であって後パネル7下の洗濯機1の本体側に配設されている。さらに、蓋センサ90は、切欠98の左側に位置して、且つ、保護壁95に対して少なくとも前記安全距離で後側に離隔して配置されている。したがって、使用者が誤って蓋2と給水パネル部8との隙間に指等を挿入したとしても、指等が蓋センサ90及び検知レバー91に直接的に届くことがなく、物理的に接触することもない。
図32及び図33に示すように、蓋2を閉じると、ヒンジ先端部25Bが回転してレバー先端部91Bに係合して、レバー先端部91Bを持ち上げて、レバー先端部91Bを略水平の上位置にする。このとき、蓋センサ90が、蓋2の閉状態を示すON信号を出力する。図30及び図31に示すように、蓋2を開くと、ヒンジ先端部25Bがレバー先端部91Bに対して非係合になるように回転して、レバー先端部91Bが自重又は内蔵バネの付勢力により斜め下向きの下位置になる。このとき、蓋センサ90が、蓋2の開状態を示すOFF信号を出力する。例えば、使用者が脱水中に蓋2を開いたとき、蓋センサ90がそのことを検知し、危険防止のため、制御部は、モータの回転を停止して、脱水運転を中断する。
上記構成によれば、使用者が誤って蓋2と給水パネル部8との隙間に指等を挿入しようとしても、指等が蓋センサ90及び検知レバー91に対して物理的に接触することが防止されるので、蓋センサ90に関する安全性を高めることができる。
なお、図30から図33では、蓋センサ90としてスイッチを用いた場合を例示しているが、蓋センサ90として光センサを用いることもできる。すなわち、発光部及び受光部を有する光センサを後保護部96Bの後側に配置するとともに、ヒンジ先端部25Bを発光部及び受光部の間に配置することができる。
そして、例えば、蓋2を閉じると、光センサの発光部から出射した光がヒンジ先端部25Bで遮光されることにより、光センサが蓋2の閉状態を示すON信号を出力する。また、蓋2を開くと、発光部からの光がヒンジ先端部25Bで遮光されることなく受光部に入射することにより、光センサが蓋2の開状態を示すOFF信号を出力する。したがって、蓋センサ90として光センサを用いた場合も、蓋センサ90としてスイッチを用いた場合と同様に、蓋2の開閉状態に応じて、蓋センサ90はOFF信号及びON信号を出力することができる。
(第4実施形態)
図34及び図35を参照しながら、ヒンジ部25及びヒンジ受部26の構成について説明する。図34は、蓋2を開いた状態での蓋2の後部分2C及びその周辺部を示し、図35は、図34の要部断面図である。
図34に示すように、蓋2の後部分2Cに設けられた左右のヒンジ部25,25が、給水パネル部8の上面部に設けられた左右のヒンジ受部26,26でそれぞれ回転可能に支持されている。
図35を参照しながら、左右のヒンジ部25,25及び左右のヒンジ受部26,26からなる左右のヒンジ構造を説明する。
左右のヒンジ部25,25の中心寄りの場所には、左右のダンパー挿入部27,27がそれぞれ凹設されている。左右のダンパー挿入部27,27を通じて、左右のダンパー29,29が着脱自在に挿入される。四角形形状で板状のダンパー蓋28によって、左右のダンパー挿入部27,27がそれぞれ閉塞される。左右のダンパー挿入部27,27のそれぞれは、左右のヒンジ部25,25の左右のヒンジ挿通孔25A,25Aまで左右方向に延びる挿入穴である。左右のヒンジ受部26,26には、左右の係合穴26A,26Aが形成されていて、ヒンジ挿通孔25A,25Aが左右の係合穴26A,26Aにそれぞれ連通している。
左右のダンパー29,29のそれぞれは、例えば、本体ケース29A,29Aと軸部29B,29Bとを有するロータリダンパーである。左右のダンパー29,29は、例えば、本体ケース29A,29A内に密閉されたオイルの粘性抵抗により発生する制動力で軸部29B,29Bの回転を制動する回転系ダンパーである。
左右の軸部29B,29Bは、先端側を部分的に切り欠くことによって形成された軸係合切欠を有する。軸部29B,29Bの軸係合切欠と係合するための軸係合突部が、左右のヒンジ受部26,26の係合穴26A,26Aにそれぞれ形成されている。軸部29B,29Bの軸係合切欠が、係合穴26A,26Aの軸係合突部に係合するように構成されている。
本体ケース29Aの基端側には、それぞれ、係止部29C,29Cが設けられている。各係止部29C,29Cは、部分的に切り欠くことによって形成された本体係合切欠である。各ダンパー蓋28,28の先端側には、係止部29C,29Cと係合するための係合端28A,28Aがそれぞれ設けられている。軸部29B,29Bの軸係合切欠が係合穴26A,26Aの軸係合突部に係合するように、左右のダンパー挿入部27,27に対して、左右のダンパー29,29のそれぞれが装着される。それとともに、ダンパー29の係止部29Cがダンパー蓋28の係合端28Aに係合するように、ダンパー蓋28がダンパー挿入部27に装着される。そして、左右のダンパー蓋28,28を蓋2の後部分2Cに対してネジで固定することで、左右のダンパー29,29が蓋2に取り付けられる。
上記構成では、左右のダンパー29,29の軸部29B,29Bが、左右のヒンジ受部26,26に係合するとともに、左右のダンパー29,29の本体ケース29A,29Aが、左右のダンパー蓋28,28の係合端28A,28Aに係合している。左右のダンパー蓋28,28は、左右のダンパー29,29を係止するとともに、左右のダンパー29,29を覆い隠す働きを有する。蓋2を閉じると、左右の軸部29B,29Bを中心にして蓋2が回転するものの、左右のダンパー29,29の制動力が働くので、蓋2をゆっくりと閉じることができる。窓23がガラスのような重量があって耐衝撃性の劣る材質からなる場合、ヒンジ部25及びヒンジ受部26が、左右のダンパー29,29を用いた制動構造を備えていることが好ましい。
また、図35に示すように、左側のヒンジ受部26が回転凸部26Bを有するとともに、左側のヒンジ部25が回転支持孔25Cを有する。すなわち、左側のヒンジ部25及びヒンジ受部26においては、回転凸部26B及び回転支持孔25Cによって軸支構造が形成されている。左側のダンパー29の軸部29Bが左側のヒンジ受部26の係合穴26Aに装着されていない場合であっても、回転凸部26Bが左側の軸として機能する。したがって、左側のヒンジ受部26及びヒンジ受部26には、左側のダンパー29と関係しない軸支構造が設けられているので、蓋2の組み付けや左右のダンパー29,29の装着が容易になる。なお、右側のヒンジ部25及びヒンジ受部26は、このような軸支構造を備えておらず、右側のダンパー29の軸部29Bが右側の軸として機能する。
(第5実施形態)
図36から図41を参照しながら、蓋2における前蓋部2Bの折り畳み回転構造について説明する。図36から図39は、蓋2の前蓋部2Bが、折り畳み支持状態から最終閉じ状態に変化する様子を示している。図40は軸支部24のクリック機構87を示す斜視図であり、図41は、軸支部24の抜け止め部89を示す斜視図である。
図36から図39に示すように、外箱開口部12を覆う蓋2は、蓋2の後側に設けられる蓋本体2Aと、蓋2の前側に設けられる前蓋部2Bとを備えている。すなわち、図39に示すように、蓋2を閉じて蓋2が略水平方向に延びる位置にあるときに、円形状の蓋2を前後方向に分ける左右方向に延びる分割線によって、三日月状の前蓋部2Bと、三日月状の前蓋部2Bを切り欠いたあとの残部である蓋本体2Aと、に分けられている。蓋本体2Aは、前側に弦を有し、後側に円弧を有する。蓋本体2Aの枠体21の内側には窓23が形成されており、窓23としてガラスや樹脂等の透光性材料が用いられる。前蓋部2Bは、前側に円弧を有し、後側に弦を有する。前蓋部2Bには、把持部22が設けられている。図39に示すように、蓋2が最終閉じ状態になっているとき、蓋本体2Aの上面及び前蓋部2Bの上面が略連続的に延在する面一状態を形成して、1枚物の蓋2を形作る。
前述したように、蓋2が円形状をしており、蓋2のサイズが大きくなっている。そのため、蓋2を開いたときに、蓋2の前側端部の位置が高くなり、使用者の背丈によっては、蓋2の開閉操作がしにくくなるおそれがある。そこで、図36に示すように、蓋本体2A及び前蓋部2Bは、複数の軸支部24により、蓋本体2A及び前蓋部2Bの下面同士が対面するように、前蓋部2Bの自重で回転して折り畳み可能に連結されている。軸支部24の構造については、後で詳細に説明する。
前蓋部2Bの側周面に形成された傾斜側面22Aは、内側から外側端部に向けて下がり勾配で傾斜している。傾斜側面22Aは、例えばC面で面取りされている。逆に、外箱開口部12の外周にある上パネル5の開口周壁部は、開口内縁13から外縁に向けて上り勾配で傾斜している。したがって、蓋2を閉じて蓋2が外箱開口部12を塞ぐとき、傾斜側面22Aが上パネル5の開口周壁部と係合する。また、外箱開口部12は、上パネル5の開口内縁13によって画定されている。
前蓋部2Bが自重により自由に回転可能であるように、軸支部24が構成されている。そのため、蓋2が少しでも前側に倒れると、前蓋部2Bが蓋本体2Aよりも先に回転して鉛直方向を向いて蓋2が折り畳まれる。そして、蓋2は、前蓋部2Bが鉛直方向を向いた折り畳み状態を保ちながら、図36に示した前蓋部2Bの折り畳み支持状態まで閉じられる。図36に示した折り畳み支持状態では、蓋本体2Aの大部分が閉じた状態にあるものの、折り畳まれた前蓋部2Bが、外箱開口部12の開口内縁13に当接して支持されている。そして、折り畳み支持状態では、前蓋部2Bがスペーサとして働き、前蓋隙間が上パネル5の開口周壁部と前蓋部2Bとの間に形成されている。
また、図36では、折り畳まれた前蓋部2Bが、外箱開口部12の開口内縁13に対して二箇所で支持されている。すなわち、前蓋部2Bの傾斜側面22Aが、外箱開口部12の左右の開口内縁13で当接して支持されている。したがって、左右の摺接支持部15,15が、前蓋部2Bの傾斜側面22Aと外箱開口部12の開口内縁13との間に形成されている。前蓋部2Bが左右の摺接支持部15,15で支持され、前蓋部2Bと外箱開口部12との間には前蓋隙間が形成されている。そのため、意図しないで蓋2が前側に急に倒れても、前蓋部2Bが自重で先に回転して折り畳まれて、折り畳まれた前蓋部2Bによって前蓋隙間が形成されるので、前蓋部2Bで指が挟まれにくくなっている。
図36に示した前蓋部2Bの折り畳み支持状態は、蓋2を完全に閉じた状態ではないため、前述した蓋センサ90が蓋2の開状態を示すOFF信号を出力する。そこで、折り畳み支持状態の前蓋部2Bを、図39に示す最終閉じ状態に修正する必要がある。
使用者によって把持部22が把持されて前蓋部2Bが少し引き上げられると、図37に示すように、傾斜側面22Aが外箱開口部12の開口内縁13に対して摺接及び支持されながら、前蓋部2Bが軸支部24を中心にして回転する。このとき、傾斜側面22Aは、前蓋部2Bが外箱開口部12の開口内縁13に沿って滑動するためのスライド面として働く。そのため、使用者は、前蓋部2Bを僅かな力で引き上げるだけで、前蓋部2Bを開口内縁13に沿って滑動させて、蓋2を容易に閉じることができる。
図36から図39に示すように、前蓋部2Bが折り畳み支持状態から最終閉じ状態に変化するとき、左右の摺接支持部15,15が、左右の外側位置から中央寄りの位置に移動するとともに後側から前側に移動する。そして、前蓋部2Bが外箱開口部12を塞ぐと、前蓋部2Bの傾斜側面22Aが上パネル5の開口周壁部に係合して、前蓋部2Bが最終閉じ状態になる。前蓋部2Bが最終閉じ状態になると、蓋2全体も閉状態になるので、前述した蓋センサ90は、蓋2の閉状態を示すON信号を出力する。
(第6実施形態)
次に、図40及び図41を参照しながら、軸支部24の構造を説明する。
図40に示すように、軸受穴85Aを有する軸受リブ85が、前蓋部2Bの下面後側に形成されている。また、支持軸86Aを有する支持軸リブ86が、蓋本体2Aの下面前側に形成されている。蓋本体2Aの支持軸86Aは、前蓋部2Bの軸受穴85Aに対応する位置に設けられ、支持軸86Aが軸受穴85Aによって回転可能に支持されている。したがって、軸支部24は、支持軸リブ86の支持軸86Aと、軸受リブ85の軸受穴85Aとによって構成されている。なお、このような軸支部24は、蓋2において、複数個設けられており、例えば、図2に示すように、4個設けられている。
前蓋部2Bが、その自重で自由に回転する構成では、蓋2を前側に少し倒して蓋2を閉じようとしたとき、前蓋部2Bが、鉛直方向を向いた折り畳み状態を保持したあと、図36に示すような折り畳み支持状態になってしまう。そのため、折り畳み支持状態の前蓋部2Bを、最終閉じ状態に手動で修正する必要がある。しかしながら、手動による前蓋部2Bの修正作業は、使用者に煩わしさを感じさせるおそれがある。
そこで、図40に示すように、軸支部24は、前蓋部2Bが回転の途中において一時的な係止により自由な回転が一旦規制される係止状態になり、当該係止状態を保持するクリック機構87を備えることができる。クリック機構87は、具体的には、前蓋部2Bの軸受リブ85に形成された突起85Bと、突起係合リブ88の突起係合部88Aとから構成され、突起係合部88Aが、突起85Bに引っ掛かって係合する。突起85Bは、断面視、軸受リブ85の半円弧状の先端周面部上において、頂部と前裾部と後裾部とを有して山のように盛り上がった凸部として設けられている。突起係合部88Aは、突起係合リブ88から突起85Bに向けてL字状に延びている。
前蓋部2Bは、蓋本体2Aに対して、面一角度と密着折り畳み角度との間で、約180度の角度で回転することができる。面一角度では、蓋本体2Aの上面及び前蓋部2Bの上面が略連続的に延在する面一状態を形成し、密着折り畳み角度では、蓋本体2A及び前蓋部2Bの下面同士が密着して完全に折り畳まれた状態を形成する。
突起85Bは、面一角度よりも、前蓋部2Bが折り畳み側に若干回転して、突起係合部88Aが突起85Bの頂部に係合する係合角度に配置されている。突起係合部88Aが突起85Bの頂部に係合する手前の前係合角度では、突起係合部88Aが突起85Bの前裾部に当接して、前蓋部2Bが回転の途中において一時的な係止により自由な回転が一旦規制される。面一角度から前係合角度までの前半自由回転範囲では、前蓋部2Bがその自重で自由に回転できる。
また、突起係合部88Aが突起85Bの頂部に係合した後の後係合角度では、突起係合部88Aが突起85Bの後裾部に当接して係合する。後係合角度から密着折り畳み角度までの後半自由回転範囲では、前蓋部2Bがその自重で自由に回転できる。
前係合角度から係合角度までの角度範囲では、突起係合部88Aが突起85Bの頂部を乗り越えるときに、クリック力が生じる。当該クリック力は、前蓋部2Bがその自重で回転するときに生じる回転力よりも大きいように構成されている。前係合角度においては、使用者が、クリック力よりも大きな力を意図的に加えない限り、突起係合部88Aが突起85Bの頂部を乗り越えることは無く、前蓋部2Bの係止状態が保持される。
使用者が、クリック力よりも大きな力を加えると、突起係合部88Aが突起85Bの頂部を乗り越えることにより、前蓋部2Bは、後半自由回転範囲に入り、鉛直方向を向いた折り畳み状態になる。なお、前半自由回転範囲及び後半自由回転範囲では、突起係合部88Aは軸受リブ85の半円弧状の先端周面部と当接するものの、クリック力のような大きな係合力は働かず、前蓋部2Bが自由に回転できる。
例えば、係合角度が面一角度を基準にして大略60度回転した位置に位置するようにクリック機構87を構成することができる。この場合、前蓋部2Bは、大略60度よりも小さな前半自由回転範囲では自由に回転でき、大略60度で自由な回転が一旦規制されて係止状態になる。このとき、使用者がクリック力よりも大きな力を前蓋部2Bに加えない限り、当該係止状態が保持される。軽い力で蓋2が前側に倒されると、前蓋部2Bが係止状態を保持したままで、蓋2が前側に倒れながら降下する。
蓋2が降下すると、図37に示すような状態で、前蓋部2Bが開口内縁13に当接する。当該当接により、係止状態の前蓋部2Bが、前係合角度から面一角度に向けて回転する。前蓋部2Bが、図37から図39に示した状態を順次取りながら最終閉じ状態になる。このように、手動で前蓋部2Bを修正することなく、蓋2を自動的に閉じることができる。したがって、手動による前蓋部2Bの修正動作が不要になり、使用者に煩わしさを与えることがなくなる。
なお、使用者が、係止状態の前蓋部2Bに対してクリック力よりも大きな力を加えると、突起係合部88Aが突起85Bの頂部を乗り越えて、前蓋部2Bが後半自由回転範囲に入り、前蓋部2Bがその自重で鉛直方向を向くように回転する。そして、蓋2を前側に少し倒して蓋2を降下させると、前蓋部2Bが図36に示すような折り畳み支持状態になる。そして、前述したように、折り畳み支持状態の前蓋部2Bは、最終閉じ状態になるように手動で修正される。
また、軸支部24は、蓋本体2Aの上面及び前蓋部2Bの上面が面一状態になるように、バネが前蓋部2Bを付勢するキックバック機構(図示しない)を備えることができる。キックバック機構によれば、前蓋部2Bが蓋本体2Aに対して面一状態を保持したまま、前蓋部2Bが最終閉じ状態まで自動的に閉じていく。
さらにまた、図41に示すように、蓋本体2A上に設けられた抜け止め部89が、軸受リブ85を挟んで支持軸リブ86の反対側に配設されている。抜け止め部89は、支持軸リブ86に向けて上り勾配で傾斜した傾斜ガイド面89Aを有し、蓋本体2Aに対して弾性変形可能に支持された構成である。抜け止め部89の傾斜ガイド面89Aは、支持軸86Aを軸受穴85Aに装着するときに、軸受リブ85を傾斜ガイド面89Aに沿って摺動するときのガイド面として働く。そのとき、抜け止め部89が弾性的に押し下げられながら、支持軸86Aが軸受穴85Aに装着される。支持軸86Aを軸受穴85Aに装着した後は、抜け止め部89は、抜け止め部89がそれ自身の弾性力で元の位置に戻り、軸受リブ85が支持軸リブ86から外れることを防止する抜け止めとして働く。
以上説明したように、この発明の洗濯機1は、
ケース収容部60と該ケース収容部60の上に一体で取り付けられる給水カバー部30とを有する給水装置本体50と、該ケース収容部60に装着される洗剤ケース70と、を有する給水装置9を備える洗濯機1であって、
前記給水装置9は、前記給水カバー部30と前記ケース収容部60との間に形成された給水室44を有するとともに、該給水室44と前記ケース収容部60に装着された前記洗剤ケース70とを連通する給水孔61,62を前記ケース収容部60に有し、
前記給水室44の内部は、小流量の水が供給される場合に該小流量の水が流入する第1給水部屋45と、前記小流量を超える大流量の水が前記第1給水部屋45に供給される場合に前記第1給水部屋45を満たして前記第1給水部屋45から溢れた水が流入する第2給水部屋46とに仕切られていることを特徴とする。
上記構成によれば、給水室44の内部が、第1給水部屋45と第2給水部屋46とに仕切られているので、給水室44が第1給水部屋45だけで構成される場合よりも、給水室44における第1給水部屋45の占める割合が小さくなっている。その結果、小流量の水が第1給水部屋45に供給される場合でも、第1給水部屋45が水で満たされやすく、洗剤ケース70内での洗剤への適切な給水が行われやすくなるので、洗剤ケース70内での洗剤の残存を抑制できる。また、大流量の水が第1給水部屋45に供給される場合では、第1給水部屋45を満たしたあと第1給水部屋45から溢れた水が、第2給水部屋46に供給されて、洗剤ケース70内での洗剤の溶解に供される。
前記第2給水部屋46が、平面視で、前記第1給水部屋45によって囲まれていることが好ましい。
上記構成によれば、第1給水部屋45を満たしたあとの水が、あらゆる方向から第2給水部屋46に流入するため、第2給水部屋46への給水性が優れている。
前記第2給水部屋46が、前記ケース収容部60の上面から上向きに延びる四角形形状の上リブ56と、前記給水カバー部30の下面から下向きに延びるU字形状の下リブ36とによって形成され、前記上リブ56と前記下リブ36とが上下方向に重なるとともに、前記上リブ56が前記下リブ36に対して横方向に離隔していることが好ましい。
上記構成によれば、大流量の水が第1給水部屋45に供給される場合では、下リブ36と上リブ56との間に形成された横方向の間隙を通じて、第1給水部屋45を満たしたあとの水が、第2給水部屋46にも供給される。
前記ケース収容部60が、該給水室44と前記ケース収容部60に装着される前記洗剤ケース70とを連通する第1通気孔64を前記第1給水部屋45に対応する部分の下流側に有し、該給水室44と前記ケース収容部60に装着される前記洗剤ケース70とを連通する第2通気孔65を前記第2給水部屋46に対応する部分に有することが好ましい。
上記構成によれば、第1通気孔64が、空気を取り入れて第1給水部屋45内の残水を排出する通気孔として働き、第2通気孔65が、空気を取り入れて、第2給水部屋46内の残水を排出する通気孔として働く。したがって、第1給水部屋45内の残水及び第2給水部屋46内の残水のそれぞれをスムーズに排出することができる。
前記洗剤ケース70が、粉末洗剤収容室78と液体洗剤収容室79とを有し、
前記第1通気孔64が、前記液体洗剤収容室79の上に配設され、前記第2通気孔65が、前記粉末洗剤収容室78の上に配設されていることが好ましい。
上記構成によれば、第1給水部屋45内及び第2給水部屋46内の残水のそれぞれが、第1通気孔64及び第2通気孔65を通じて排出される。その結果、清水を必要とするすすぎ工程において、液体洗剤収容室79及び粉末洗剤収容室78への残水流入に起因した、洗剤を含む水の供給が防止される。
前記給水カバー部30に設けられた導水口34と前記第1通気孔64とをつなぐバイパス流路45Dが、前記第2給水部屋46に隣接するように前記第1給水部屋45に配設されていることが好ましい。
上記構成によれば、バイパス流路45Dを通じて、第1給水部屋45及び第2給水部屋46に給水することができ、スムーズな給水を実現することができる。
前記第1給水部屋45での導入流路45Aの下流側の屈曲した部分では、分流リブ37によって内流路45Cと外流路45Bとに分けられていることが好ましい。
上記構成によれば、導入流路45Aを流れる水が内流路45Cと外流路45Bとに分流され、外流路45Bでは水が勢いよく流れて流速も速く流量が多くなるのを、内流路45Cにも流すことで、内流路45C及び外流路45Bによる給水をできるだけ万遍なく実現することができる。
前記分流リブ37が、前記給水カバー部30の下面から下向きに延びることが好ましい。
ケース収容部60には、給水孔61,62を設ける必要があるため、ケース収容部60に分流リブ37を設けるとケース収容部60の構造が非常に複雑になってしまう。上記構成によれば、分流リブ37を給水カバー部30に設けることで、ケース収容部60の構造の複雑化を避けることができる。
前記内流路45Cの下流側であって洗剤ケース70の液体洗剤収容室79に対応するところに形成された閉成リブ38により、前記内流路45Cが行き止まりになっていることが好ましい。
上記構成によれば、内流路45Cを流れた水が、内流路45Cに配設された給水孔61,62を通じて確実に流下するので、内流路45Cからの給水を確実なものとすることができる。
前記外流路45Bにおける前記給水孔61,62の数が、前記内流路45Cにおける前記給水孔61,62の数よりも多いことが好ましい。
外流路45Bでは、内流路45Cよりも水が流れやすくて流速も速く、流量も多くなる。上記構成によれば、内流路45Cよりも外流路45Bに対して多くの給水孔61,62を配置することで、外流路45B及び内流路45Cの各給水孔61,62から供給される水の圧力をできるだけ同等にできる。
前記外流路45Bの前記給水孔として、横長の給水長孔66が形成されており、該給水長孔66の周囲には、前記ケース収容部60の上面から上向きに延びる長孔リブ66Aが形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、脱水時等に発生する大きな振動により、給水終了後の残水が、給水長孔66を通じて液体洗剤収容室79に流れ込むのを防止できる。
前記給水長孔66が、前記洗剤ケース70の液体洗剤収容室79での上流側に配置されていることが好ましい。
上記構成によれば、上流側で勢いのある水を液体洗剤にぶつけて液体洗剤の溶解を促進することができる、
整流リブ69が、前記給水長孔66の下流側に形成されて、前記ケース収容部60の下面から下向きに延びることが好ましい。
上記構成によれば、給水長孔66を通じて流入した水を、真下に流下させ、液体洗剤収容室79での給水ポイントの位置決めが確実になるとともに、水を勢いよく液体洗剤にぶつけて液体洗剤の溶解を促進することができる。
略円形状の蓋2を開閉したときに該蓋2の後方端部21Aの回転を妨げないように、前記給水カバー部30と、前記給水カバー部30を覆う給水パネル部8とが、断面視で凹状の円弧形状をしていることが好ましい。
略円形状の蓋2を開閉する際に、蓋2の後方端部21Aが回転するが、上記構成によれば、後方端部21Aの回転が、給水パネル部8及び給水カバー部30に接触すること無く、スムーズに行われる。
外箱開口部12を覆う蓋2は、前記蓋2の後側に設けられる蓋本体2Aと、前記蓋2の前側に設けられる前蓋部2Bとを備え、前記蓋本体2A及び前記前蓋部2Bは、複数の軸支部24により、前記蓋本体2A及び前記前蓋部2Bの下面同士が対面するように、前記前蓋部2Bの自重で回転して折り畳み可能に連結されている。
上記構成によれば、意図しないで蓋2が前側に急に倒れても、前蓋部2Bが自重で先に回転して折り畳まれて、折り畳まれた前蓋部2Bによって前蓋隙間が形成されるので、前蓋部2Bで指が挟まれにくくなっている。
前記前蓋部2Bの側周面に形成された傾斜側面22Aは、内側から外側端部に向けて下がり勾配で傾斜し、前記外箱開口部12の外周にある上パネル5の開口周壁部は、開口内縁13から外縁に向けて上り勾配で傾斜して、前記傾斜側面22Aが前記上パネル5の前記開口周壁部と係合するように構成されている。
上記構成によれば、傾斜側面22Aは、前蓋部2Bが外箱開口部12の開口内縁13に沿って滑動するためのスライド面として働くため、使用者は、前蓋部2Bを僅かな力で引き上げるだけで、前蓋部2Bを開口内縁13に沿って滑動させて、蓋2を容易に閉じることができる。
前記蓋2の後部分2Cに設けられたヒンジ部25が、前記給水パネル部8の上面部に設けられたヒンジ受部26で回転可能に支持され、前記ヒンジ部25にはダンパー29が装着されている。
上記構成によれば、蓋2が閉じられて蓋2が回転する際に、ダンパー29の制動力が働くので、蓋2をゆっくりと閉じることができる。特に、窓23がガラスのような重量があって耐衝撃性の劣る材質からなる場合、蓋2をゆっくりと閉じる制動構造を備えていることが好ましい。
一方の前記ヒンジ部25及び前記ヒンジ受部26においては、回転凸部26B及び回転支持孔25Cによって軸支構造が形成され、他方の前記ヒンジ部25及び前記ヒンジ受部26では、他方の前記ダンパー29の軸部29Bが他方の軸として機能するように構成されている。
上記構成によれば、蓋2の組み付けやダンパー29の装着が容易になる。
前記軸支部24は、前記前蓋部2Bが回転の途中において一時的な係止により自由な回転が一旦規制される係止状態を保持するクリック機構87、又は、前記蓋本体2Aの上面及び前記前蓋部2Bの上面が面一状態になるように、バネによって前記前蓋部2Bを付勢するキックバック機構を備える。
上記構成によれば、前蓋部2Bが最終閉じ状態まで自動的に閉じるので、手動による前蓋部2Bの修正動作が不要になり、使用者に煩わしさを与えることがなくなる。
この発明の実施形態を具体的に説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
この発明を説明するために、洗濯槽3が洗濯機1の垂直方向に配置された縦型洗濯機を例示しているが、この発明は当該洗濯機1に限定されるものではない。この発明は、洗濯槽3が水平方向に配置された横ドラム型洗濯機、又は洗濯槽3が水平方向に対して傾斜して配置された斜めドラム型洗濯機にも適用できる。また、この発明は、全自動式の洗濯機1には限らず、洗濯槽と脱水槽とが別々に設けられた二槽式洗濯機にも適用できる。さらに、これらの洗濯機1は、乾燥機能を有してもよいし、乾燥機能を有さなくてもよい。乾燥機能は、例えば、シーズヒータ及びヒートポンプのうちの少なくとも一方の加熱部によって生成される温風で提供される。
上記実施形態では、給水装置9に供給される水として清浄度の高い水道水を使用しているが、給水接続口40にホースを介して風呂水ポンプを接続することにより、風呂水を給水装置9に供給することもできる。